ブカツは今 (2023年1月12日 京都新聞)

全47チームアンケートから(上)

 皇后杯第41回全国女子駅伝は47都道府県からチームが参加して14日に開会式、15日にレースを迎える。スポーツ界全体で「部活動改革」が叫ばれる中、京都新聞社は昨年末、全チームにアンケートを実施し、改革の是非や指導現場の実態を尋ねた。改革の必要性を支持する意見が大半を占めた一方、部活の安易な「地域移行」に対する懸念や各地の地域事情による違いを指摘する声もあり、課題が山積している状況が改めて浮き彫りとなった。

 Q 改革の必要性は

 アンケートは全47チームから回答を得た。「中学・高校の部活動について改革が必要か」では、「必要」が35チームで7割を超え、「不要」は7チーム、その他が5チームだった。

 具体的には「部員数が減り、整った環境で練習ができない高校が多い。根本的な改革が行われないと人口の少ない県の競技力向上は望めない」(香川)と少子化を背景にした理由や、「いじめ問題や体罰問題、保護者の過剰なクレームなど、中学校ではすでにうまくまかなえない状態」(熊本)、「仕事量が多すぎて手が回らないなどの悩みから、部活動をやりたくないと思っている先生が多くいる」(埼玉)といった学校現場の事情が挙げられた。「小中高とそれぞれのカテゴリーに全国大会が設定され、結果を出すことだけにとらわれていては、オーバーワーク・燃え尽き症候群など選手の幸せにつながると思えない」(福岡)という行き過ぎた勝利至上主義への懸念もあった。また長崎や兵庫などは「改革は必要だが、部活動をしたい教員や生徒のことも大事にしてほしい」などとした。

 改革が不要という意見では、「学校教育下で行う部活動だからこそ、学べることがあると思う」(佐賀)や「クラブチームへ移行することで勝利至上主義の色が増すことが危惧される」(青森)などがあった。

 Q 過重労働の経験は

 国が部活改革を進める理由には、教員の働き方改革が大きく関わっている。過重な働き方を経験したことがあるかについては、31チームが「ある」と回答。「ない」は13チームで、その他は3チームだった。

 あると答えた中では、陸上競技の一例として「大会が多い上、高校などは4〜5日間続く。学校や家庭を犠牲にしている人は多いと思う」(福島)、「本県のような小規模の協会は全てのカテゴリーの競技会に審判に行かなければ運営できない。休日はない状況」(三重)。

 ないという回答の中では「部活動の指導が好きでしてきたので、過重であると感じたことはない」(岡山)、「そんな経験をしている人は回りにたくさんいたし、当たり前と思っていた」(奈良)と振り返る声もあった。(後藤創平)