京都府教育委員会は25日、京都市を除く府内の公立小中高校と特別支援学校を対象に行ったいじめの独自調査の結果を発表した。重大ないじめにあたるケースは井手町の小学校で1人おり、現在も解消されていないという。いじめを報告した全体人数は1万4870人で大半が軽微という。 重大事案に報告されたのは井手町の男児に対するいじめで、昨年夏ごろから複数のクラスメートからたたかれたり、けられたり、からかわれるなどの行為を受けたという。男児は今もクラスに入れず、別の教室で個別指導を受けている。 学校側は昨年8月下旬には男児とクラスメート1人の間にトラブルがあったことを把握していたが、集団によるいじめと分かったのは10月中旬という。同町教委の松田定教育長は「最初の時点でいじめを防げなかったという面では反省すべきかもしれない。男児がクラスに復帰できるよう支援を続ける」としている。 府教委は、国が義務づける年1回のいじめ調査と別に1、2学期に独自調査を実施し、被害の大きさに応じて3段階に分類している。今回は2015年度の2学期分で、最も軽微な第1段階は1万4198人、第2段階は671人だった。 本年度1学期分の調査で重大事案と報告された宇治市の児童1人と城陽市の生徒1人は今回、第2段階に分類しており、引き続き解消に向けて支援しているという。 |
京都府向日市中学校給食検討委員会は23日、実施方式について、市内3校のうち1校に調理施設を造り、ほかの2校に運んで提供する「兄弟方式」が最適とする意見を示した。3月下旬の会合で案としてまとめた後、市が方式を決定する。 この日は、事務局が兄弟方式のほか、各校に調理室を設ける「自校方式」、小学校で調理された給食の提供を受ける「親子方式」、別の場所に施設を造って一括調理する「センター方式」について、それぞれ事業費の概算を明らかにした。 施設建設費など兄弟方式の初期費用は約6億8千万円で、自校や親子よりも安く、ランニングコストを見ても大きな差はなかった。 委員の間では「自校方式が一番良い」という意見が大勢を占めたが、2校については調理施設を建設できる用地がないことから兄弟方式を最優先とした。 ただこの場合、調理施設は都市計画法で工場とみなされ、実際に建設が可能かなどについて府と協議する必要があることから、自校と親子を併用した方式を次善の案とすることを確認した。 センター方式については、事務局が「用地のめどが立たない」としたが、委員からは「選択肢として残してほしい」との声も聞かれた。 |
京都府内の公立高入試で前期選抜の合格発表が22日、54校であった。全日制と定時制の計5356人が一足早い春をつかんだ。一方、受験した5割強の計6495人が不合格となった。各学校では喜びを爆発させる生徒と、中期選抜に向けて励まし合う生徒の姿が混在した。 普通科で200人が受験した洛北高(京都市左京区)では午後2時前から、受験生が校門の前に列をつくった。合格者90人の受験番号が張り出されると、自分の番号を見つけた受験生から「あった」「やった」と歓声が上がった。 下鴨中3年入江有香さん(15)は「理科に力をいれている学校なので目指していた。部活も頑張りたい」と?を紅潮させた。一方で110人が不合格になり、慰め合ったり、点数の簡易開示を受けたりする姿もあった。 前期選抜は全日制で1万1827人が受験し、合格者確定後の実質倍率は2・22倍。定時制は1・04倍だった。中期選抜は26日から願書を受け付ける。 ![]() |
義務教育年齢で住民票がある全国の外国籍の子ども約10万人のうち少なくとも約1万人に関し、京都市などの自治体が就学の有無を調査していないことが共同通信の取材で20日分かった。公立校に籍がない場合、通常は他校への就学状況や事情を把握するが、外国人の場合は就学を義務付ける対象外として多くの自治体は確認しない。少なくない子が学校に通わないままとなっている恐れもありそうだ。 外国人学校への通学や、住民票を残したまま帰国したケースも多いとみられるが、専門家は「調査しないこと自体問題と指摘。国際人権規約や子どもの権利条約の精神に反し、社会から排除された層になりかねないとして改善を求めている。 政令市や県庁所在地、外国人が多い自治体計72市を対象に取材。公立校などの在籍が確認できていない子どもの就学有無を調べていないとした自治体は41あった。千葉、横浜、大阪各市や東京の特別区など大都市に多く、それぞれ就学状況を調査していない子どもが数百人から千人以上おり、合計は1万人を超えた。京都市は378人について調べていないとした。 新1年生と転入者については全員就学状況を把握するなど、部分的に調べているという自治体は17。名古屋市は新1年生の年齢なのに入学手続きを取らない家庭にアンケートをするが、無回答が多いという。 調べているのは14で、神戸市や浜松市、大津市などは就学の形跡がない外国籍の子どもは家庭訪問などもして状況を調べ、就学を促していた。浜松市は「外国人の子どもの不就学ゼロ」を目指している。 |
京都府教育委員会は2016年度、公立中学に理科の授業を手助けする支援員を新たに派遣する。多忙な教員をサポートし、実験や観察の機会を増やすことで、理科に対する中学生の関心を高める狙い。理科教育に詳しい学識者も助言役に送り込み、効果的な指導方法に結びつける。 理科支援員には理系の大学生や大学院生を想定する。1人あたり週20時間ほど中学校に入ってもらい、実験の企画や準備、授業における教員の助手役などを担ってもらう。派遣先には京都市を除く府内市町の中学6、7校を予定している。理科教育を専門にする大学教授も中学校のアドバイザー役になってもらい、生徒の関心を引きつける実験内容や授業の進め方などを助言してもらう予定だ。 本年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、府内の中学3年は教科別で理科の正答率だけが全国平均を下回った。併せて行われたアンケートでは「理科の勉強が好きか」との質問に「はい」と答えたのは24・2%と全国平均の29・8%より低かった。現行の学習指導要領で重視されている実験や観察の機会が週1回以上あるという回答も16%にとどまった。 大学生らを理科支援員として配置する事業は科学技術振興機構が07〜12年度に小学5、6年生向けに実施した先行例がある。府教委は同事業を参考に、中学生向けのてこ入れ策として独自制度を設けることにした。新年度当初予算案に関連事業費800万円を計上した。 ![]() |
文部科学省の2014年度の全国学力テストで、城陽市に小中学校の学校別成績開示を命じた京都地裁の判決が、京都府内の教育委員会や保護者に波紋を広げている。各教委はこれまで「序列化につながる」として、平均正答率などを公表してこなかったが、今後は開示を求められる可能性があるからだ。各教委は、城陽市教委の対応に注目している。 「教育的配慮から公表しないとした主張が認められず、非常に残念」。城陽市教委学校教育課は戸惑いを隠さない。裁判では一貫して、過度の競争が生じる恐れがあると反論してきた。「他の自治体にも影響するので、控訴するかどうか慎重に考えたい」と話す。 保護者の意見は賛否両論だ。城陽市内の小学校に通う6年男児を持つ母親(48)は「子どもが通う学校が下位だった場合、先生や学校を一方的に責める保護者も出てきそう。偏見も生みかねない」と否定的だ。 別の母親(41)は「できるなら知りたい。たとえ悪い結果でも、学校や保護者に危機感が生まれて、努力するようになるかもしれない」と歓迎する。 府内の各教委は城陽市の対応を見守る構えだ。京都市教委は「内容がまだはっきり分からず、コメントできない。テストの結果は改善策に生かしており、ただちに公表の方法を変えるつもりはない」とする。 宇治市教委も「情報収集した上で、府教委とも相談したい」と話した。 府教委学校教育課は「学力テストは生徒一人一人の学習状況の把握や授業の改善、教育施策への活用が狙いだ。単純に平均点や正答率を公表したからといって学力向上につながるとは考えていない」として従来通り非公表とする方針だ。 文科省は、14年度のテストから市町村別や学校別の成績公表を解禁した。しかし、同年夏に京都新聞社が府と滋賀県の43市町・広域連合教委に実施したアンケート結果では、「平均正答率や順位を公表する」と答えた教委はなかった。 京都地裁が18日に出した判決は、城陽市に学力テストの小中学校別の平均正答数や平均正答率、学習状況調査の結果などを開示するよう命じた。 |
基礎学力が不足している中学生を対象とした補習授業の拡充や独自の少人数教育の推進など学力向上に58億400万円スクールソーシャルワーカーの配置拡充などいじめ防止策に2億7600万円を計上した。 国際化に対応するため、外国にルーツを持つ子どもへの日本語指導体制整備に2400万円、茶道といった伝統文化を高校生が体験する事業に300万円、高校での英語の実践力向上など英語教育に2億2900万円を盛り込んだ。 運動部活動の外部コーチ派遣拡大に2600万円、道徳の教科化に向けた研究に970万円を充てる。給食の和食推進のため、栄養教諭増員に2千万円を充て、2年後の全小学校配置を目指す。 |
文部科学省の2014年度の全国学力テストで、城陽市に小中学校の学校別成績などを開示するよう同市のNPO法人「行政監視機構」が求めた訴訟の判決が18日、京都地裁(神山隆一裁判長)であった。神山裁判長は、一部を除いて城陽市に開示を命じた。 開示すると学校間の序列化と過度の競争が生じる恐れがあると市側は主張していたが、神山裁判長は、城陽市は校区制で、「直ちに特定の学校に入学希望者が集中することは考えられない」と指摘。また、学校間の差が生じた場合でも経験豊富な教員の人事異動で容易に解消可能であるとし、学校別の平均正答数や平均正答率、学習状況調査結果などの開示を求めた。 また、文科省が14年度のテストから、条件付きで教育委員会による学校別成績の公表を解禁したことを指摘し、「各学校に混乱を招く蓋然性(がいぜんせい)があると認めるには足りない」と述べた。 一方で、児童・生徒や保護者に対する学校側の評価項目は、率直な回答の妨げになるとして、開示を却下した。 城陽市教委は「判決の詳細について承知していないが、今後内容を十分精査し、対応を検討したい」としている。 14年度以降、市町村教委は学校別に公表でき、都道府県教委も市町村教委の同意で可能だが、府内で明らかにしている教委はない。 ![]() |
入学者の定員割れが続く京都府京丹波町唯一の高校、須知高(同町豊田)の活性化策を探る動きが本格化している。町は昨年秋から「須知高校のあり方懇話会」を設置し、議論を深めてきた。地域を支える人材育成の場や、少子化の加速を見据えた通学範囲拡大に期待する意見もある。「地域ぐるみで高校支援に動くのは府内初」(府教委)といい、将来への明るい展望を模索している。 須知高は1876年開校の府農牧学校がルーツの伝統校だが、2011年度から入学者が定員割れとなった。定員を120人から100人とした15年度も74人にとどまった。教育関係者は「1996年に嵯峨野高の京都こすもす科が府内全域から入学可能になった。園部高も2006年に付属中を開設し、生徒が町外に流れる傾向が強まった」とみる。 京丹波町の基幹産業である農業・畜産関係の学科があり、住民の愛着は強い。町は「独特の歴史を持ち、存続してほしい高等教育機関」と位置づけ、卒業生やPTA、町内の中学校長らで構成する懇話会を設置。地方創生の観点も踏まえて将来像を議論してきた。 同高と地元との関係は密接だ。食品科学科の生徒が加工したクッキーなどは道の駅「味夢の里」で人気商品として定着。生徒は小学校で菓子づくりの指導やスポーツ活動をサポートする。進学面では、13年度から普通科に設けた特進コースの生徒は神戸大など難関大に合格している。 だが、将来の見通しは厳しい。府教委の推計では、町内の中学3年生は21年に94人となり、その後も減少する見込みだ。 懇話会はこれまで3回開かれ、町内の中学生に進路として選んでもらうための支援策を話し合い、企業との連携による就職先の開拓や、中学との連携充実による学力向上策などが指摘された。上田秀男座長(78)は「地域の中核となる人材を育てたい。行政、企業、団体、同窓会も含め『オール京丹波』で取り組みたい」と願う。 須知高も今年初めて町内3中学の2年生を対象に、高校の学習や生活について理解を深めてもらう「須高セミナー」を開き、進学希望者確保に躍起だ。 入学対象区域の拡大も議論に上がる。食品科学科は府内全域だが、普通科の大半は口丹地域に限られる。長谷川清隆校長は「他地域からの志願者確保も考えなくては」と話す。 長谷川校長らは昨年、定員の30%を県外から募集し、学校再生に成功した島根県の隠岐島前高を視察した。離島にある同高では、地元自治体が生徒対象の「公立塾」をつくり、落ち着いた環境で学力に応じた指導を行う体制をアピールした結果、県外からの志望者を増やし、若者流出も阻止できたという。豊かな自然に抱かれた須知高にとっても大きなヒントになる。 懇話会は本年度中に提言をまとめ、寺尾豊爾町長に答申する。府教委は「町の須知高への支援策に注目している」(高校教育課)とする。町単独では難しい支援もあるが、京丹波と同様の悩みを抱える地域の先例となるのか、期待される。 |
障害者に対する差別的取り扱いを禁止し、公的機関に必要な配慮を義務付ける障害者差別解消法が4月に施行される。学校や交通機関、一般の商店などにも影響の大きい法律で、サービス向上への障害者の期待は高いが、施行まで2カ月を切つたのに認知度が低いままだ。国の対応も遅れており、事業者から戸惑いの声が出ている。 同法は2013年に成立。障害を理由としたサービス提供の拒否や制限を禁じている。車いす利用者の移動の手助け、視聴覚障害者への読み上げ・筆談といった「合理的配慮」を国や地方自治体に義務化。民間事業者にも努力義務がある。 だが周知が進んでいない。障害児教育事業などを手掛ける民間企業LITALICO(りたりこ、東京)が全国の小中学校の教員300人に先月実施した調査では、同法を「内容も含め知っている」と答えたのは16%にすぎず、「知らない」との回答が39%に上った。 各省庁は14年度末に所管の事業者向けに指針を示す予定だったが、大幅に遅れ、総務省や環境省、消費者庁などが通知したのは先月中旬。同法を所管する内閣府は「国の基本方針に関する有識者委員会の検討に時間がかかったため」と釈明するが、国の動きを持っていた企業や自治体は直前の対応を迫られている。 多くの都道府県は職員向けの対応要領の策定が来月までかかりそうだ。鉄道、タクシー、バスといった交通事業者や、コンビ二大手、ホテル業界などは同法を認識していたものの、商店街の全国団体は先月の取材に「知らなかった」。別の小売業団体も「年明けに経済産業省から説明会の通知を受けて初めて知った」と話した。従業員一人一人に徹底されているかは疑問で、外食産業など複数の業界団体が「障害者の期待に応えられず、現場で混乱が生じる恐れもある」と懸念を示す。 軽度の障害や学習の遅れがある小中学生が、補習やトレーニングを受ける通級指導教室のニーズが高まっている。発達障害への理解が広がったことを背景に、指導を受ける京都府内の児童生徒は2014年度までの5年間で3割以上増えた。各市町村の教育委員会は教室をさらに増やす意向だが、国会で審議中の16年度予算案では加配教員の増員は少数にとどまり見通しは立っていない。 間仕切りされた小さな部屋に女性教員と小学5年男児が向き合っていた。机には漢字の部首を書いたかるたが並ぶ。読み札が指し示している部首を男児が正しく選び取ると、女性教員が「すごいね」とほめた。 京都市南区の小学校で行われている通級指導の様子だ。男児は米映画監督スティーブン・スピルバーグさんが診断された学習障害「ディスレクシア」で、漢字の読み書きに困難がある。そのため週1回、特別支援教育に詳しい女性教員の指導で補習や認知機能の訓練を受けている。男児の母親は「表情が明るくなった。漢字を覚える努力もするようになった」と変化を喜ぶ。 男児のように通級指導を受ける小中学生は増加傾向にある。府内では2014年度に8087人と09年度比で35・6%増えた。全国も同期間に65%増だ。中でも注意欠陥多勳性障害(ADHD)が3倍、学習障害(LD)が2・5倍と発達障害の伸びが著しい。京都市教委総合育成支援課は「保護者や教員の間で発達障害への意識が高まり、早めに医師の診断を受けるようになったためだろう」と背景を説明する。 市教委は発達障害のある小中学生を受け入れる通級指導教室の開設校を急ピッチで増やしており、15年度は67校とこの5年で倍増させた。ADHDとLDの診断を受けた伏見区の小4男児も、昨年4月に通学先に通級指導教室ができ、週2回通う。母親は「困ったことがあった時に教員が相談に乗ってくれるので親も助かる」と実感を込める。 教育現場には通級指導教室の増設を求める声が強い。京都市を除く府内市町からは15年度、府教委に対して計22教室の新設要望があった。しかし実際の開設は5教室のみ。府教委特別支援教育課は「国の加配教員が増えないとニーズを満たせない」と打ち明ける。 先行きも厳しい。財務省は16年度政府予算案の編成に際し、財政難を理由に教員定数の大幅削減を主張した。文部科学省が交渉し、加配定数は525人増を確保したものの、このうち通級指導などに当たる特別支援教育の加配は全国で50人増にとどまった。京都市教委は小学校の通級指導の教員を20人程度増やすのが当面の目標だが、「これではいつ実現できるやら」(総合育成支援課)と嘆く。. 一方、教員定数のうち級数で決まる基礎定数は少子化を理田に4千人減る。通級指導を受ける児童・生徒も普段は通常学級で学んでおり、担任教員らの 配慮が欠かせない。教員削減はそうした余裕を教育現場から奪うとの懸念もある。 学習面に課題のある子どもを持つ保護者らでつくる「京都LD等発達障害親の会『たんほぼ』」の茶木敬子代表は「現状ですら通級指導が必要なすべての子どもが受け入れられているわけではない。子どもたちが課題を抱えたまま社会に出て行くよう ことがないよう、加配教員のみならず教員数を思いきって増やすべきだ」と訴える。 ![]() |
1990年の初調査以来、減り続けていた高校生の授業以外での学習時間が初めて増加に転じたことが13日までに、ベネッセ教育総合研究所(東京)の2015年調査で分かった。小中学生も前回06年調査に続いて増加した。 調査を監修したお茶の水女子大の耳塚寛明教授は、ゆとり教育を転換した政策の影響を指摘し「学習時間の減少に完全に歯止めがかかった。V字回復は宿題を中心とした学校主導で実現したと考えられる。今後は、学びの質の向上が重要だ」と分析している。 調査は90、96、01、06年に続き5回目。(共同通信) |
京都市の門川大作市長は10日の会見で、2016年度一般会計当初予算案が、前年度比227億円(3・0%)減の7277億円になると明らかにした。中小企業の振興や福祉・防災の充実、環境に配慮したまちづくりなどに重点を置く。職員削減など行財政改革にも取り組む考えを示した。 3年ぶりの減額だが、中小企業への融資を支援する金融機関への預託金が景気回復で減少したのが要因で、それを除くと実質13億円(0・2%)増となる。 主な事業は、若者や学生の雇用を促進するため、市内の中小企業の情報発信強化を支援するほか、雇用の安定化に向け、非正規率の高い業界の実態調査に取り組む。橋や住宅の耐震補強事業も充実させる。16年度中に完成する京都駅南口の広場整備には20億4800万円を投じる。 子育て関連では、2年連続で達成した保育所の年度当初「待機児童ゼロ」を維持するため民間保育所を増改築し、受け入れ枠を17、18年度で計767人分増やす。1歳児保育で月齢の低い子に対応できるよう、より多くの保育士を配置する。 歳入は、市税収入を前年度比16億円(0・7%)増の2538億円と見込む。財源不足が174億円に上るため、職員の123人削減で10億円、事業見直しなどで41億円、市有地の売却や貸し付けで30億円をそれぞれ確保するとした。 それでも不足する財源93億円を補うため「特別の財源対策」として、本来は手を付けない借金返済用の貯金である公債償還基金を50億円取り崩し、行政改革推進債も43億円発行する。同対策は前年度より19億円増えた。 門川市長は市長選(7日投開票)で3選を果たして初の予算編成となる。「市長選で公約した133の事業のうち、9割の事業に着手できる予算案となった。スピード感を持って実行していく」と語った。 ![]() |
京都府の2016年度当初予算案のうち、教育委員会分は前年度比1・19%減の1875億5800万円を計上した。教員の退職手当の減少や学校耐震化工事の大半が完了したことなどが減額の大きな要因。 主な事業では、15年度2月補正予算案と合わせ、経済的に厳しい家庭の子どもたちの基礎学力向上や生活習慣の確立を目指す事業に1億3200万円を充てる。英語教育の強化に2億1700万円、府立高の特色つくりに1億2600万円をそれぞれ盛り込んだ。 高校授業料の実質無償化に充てる就学支援金は、制度創設3年目で初めて高校1〜3年すべてが対象となるため、前年度から約12億 円増の39億7100万円となる。 英語教員の育成事業に1300万円を計上した。中学英語科教員のTOEIC受験料を負担し、英検準1級相当の730点以上の得点目標を課す。府立高の時色づくりの一環で先進的な職業人教育を行う2校を2千万円かけて支援する。 18歳選挙権の施行に伴う府立高の主権者教育に300万円、中学校の理科教育の推進に800万円をそれぞれ充てる。清水寺本堂や仁和寺観音堂などの歴史的建造物の修理事業費15億400万円も盛り込んだ。 15年度2月補正予算案も活用。経済的に厳しい家庭が多い小中学校の学力向上を図るモデル事業に1300万円をかけ、府内4地域に調査や指導にあたる専門家チームを派遣する。フリースクールで学ぶ不登校の子どもへの支援や、市町の運営する適応指導教室の拡充にも2800万円かけて取り組む。 |
京都府教育委員会は新年度から、京都市を除く府内の公立中学校の英語科教員に英語能力試験TOEICで英検準1級に相当する730点以上の得点目標を課す方針を固めた。国が掲げる2017年度内に中学教員で英検準1級以上50%という目標にとどまらず、100%に限りなく近づけ、指導力向上に結びつける。 TOEICは英語のコミュニケーション能力を測るテストで990点満点。得点が明示されるため、英語の実力や弱点を把握しやすいのが利点とされる。府教委は公立中学の英語科教員の研修にTOEIC受験を組み入れ、受験料を負担する。730点に届かなかった教員は追加講習を受けさせた上で、再度挑戦してもらう。最終的に得点目標に達しなくてもペナルティーは科さないとしている。 国際化が進む中で将来を担う世代の英語力向上が課題になっている。指導する側の中学校の英語科教員で英検準1級以上かそれに相当する資格を取得しているのは全国、府とも28%台(14年度)にとどまる。中教審が16年度中に答申する次期学習指導要領では中学校の英語科の授業は基本的に英語で行うことが盛り込まれる方向ということもあり、府教委は教員の指導力底上げには共通目標が必要と判断した。 他府県では、和歌山県が15年度から公立中学・高校の英語科教員の研修にTOEIC受験を取り入れているが、得点目標は課していない。 府教委は、新年度当初予算案に負担する受験料など事業費を盛り込む予定で、府議会で可決されれば実施する。 京都府教委が中学校の英語科教員にTOEIC730点以上の得点を求める背景には、教員の語学スキルを高めない限り、生徒の英語力の底上げに結びつかないとの問題意識がある。 経済活動が国際化し、訪日外国人が増える中、語学にたけた若者の育成は大きな課題だ。国は2020年度に小学校高学年で英語を教科化し、大学入試センター試験から替える予定の「大学入学希望者学力評価テスト」でも、英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る出題を検討するなど、英語教育の強化策を次々と打ち出している。 府教委の新たな施策はこうした国全体の動向に沿ったものといえるが、教員の語学力は指導力の必要条件ではあっても十分条件とはいえない。英語教育の効果を上げるには、研修などで授業内容の改善に取り組むことも不可欠だろう。 現状ですら多忙といわれる教員に過重な負担がかかる懸念もある。教員が自己研さんに充てる時間を十分に確保できるよう、業務軽減の手だてを講じることも求められる。 ![]() |
京都府私立中学高校連合会は5日、府内私立高の2016年度入試の志願状況を発表した。全日制38校の平均倍率(同日午前10時現在)は3・5倍で前年度並みだった。共学化やコース改編を打ち出した高校で志願者の増加が見られた。入試は10日から順次実施される。 外部募集人員は38校合計で7327人、志願者は2万5897人だった。 志願倍率が最も高かったのは、京都学園の特進BASIC(ベーシック)コースの15・7倍で、京都橘の国公立進学(S)コースの12・6倍、大谷のバタビア・インテグラル両コースの10・2倍が続いた。 英語力が高い生徒のコースを新設する立命館が前年度比1・8ポイント増の6・1倍、女子高から共学に移行する京都精華学園も普通科が同1・2ポイント増の3・8倍と伸びた。 同連合会の山本綱義会長は「改革や再編に取り組んだ高校は志願者が比較的増えた」と述べた。 同日発表した16年度新入生の納付金は、私立高全日制平均が前年度比1415円増の80万9123円、私立中平均が同2236円増の83万2752円。一燈園が中高とも4万9200円増の63万7200円、立命館が同じく6千円増の103万8千円にそれぞれ引き上げた。 ![]() |
京都府教育委員会と京都市教委は4日、16、17日に実施する公立高入試の前期選抜について志願状況を発表した。全日制の志願倍率は平均2・32倍で前年度とほぼ同じだった。5倍を上回る高校は8校で、最も高かったのは田辺高普通科A方式の6・2倍だった。 前期選抜は各高校の定員のうち100〜20%を募集する。全日制は募集定員5312人に対し、1万2327人が志願。うち普通科は志願者7972人で志願倍率2・81倍、専門学科は4124人で1・78倍だった。定時制は募集定員40人に対して志願者24人で志願倍率は0・6倍だった。 志願倍率上位は田辺に続き、桂の普通科A方式(6倍)、城陽の普通科A方式(5・84倍)、洛北の普通科A方式1型(5・63倍)、山城の普通科A方式1型(5・58倍)だった。 一方、募集定員に対して志願者が下回ったのは5校6方式。亀岡の普通科美術・工芸専攻は前年度を上回ったものの0・83倍、京都八幡の介護福祉学科も0・83倍だった。 府教委高校教育課は「前期選抜から自分の行きたい高校にチャレンジする傾向が定着した」としている。 昼間定時制である清明高の特別入学者選抜の志願状況も同日発表され、学力試験を課すA方式は定員48人に対して志願者94人で1・96倍、作文と面接のみのB方式は定員72人に対して志願者140人で1・94倍だった。 |
京都府長岡京市選挙管理委員会による出前授業が3日、同市友岡1丁目の乙訓高で開かれた。3年生約220人が、投票率の現状や候補者の情報を集める方法などについて学んだ。 今夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられ、現3年生が全員有権者となることから、卒業前に選挙への関心を高めてもらおうと、同高が依頼した。 選管の担当者が全国で投票率が下落傾向にあり、特に20代は3割程度と低迷している現状を解説。期日前投票や不在者投票などの制度を紹介し、投票日でなくても投票できることを説明した。 また、自分の考えに近い政党や候補者が選べるインターネットサイトや選挙公報など、候補者の政策や経歴などの情報を集め方についても触れ、「若い人が投票に行けば、候補者も若い人に向けた政策を考えるようになり、若い人にとっても住みやすい地域になる」と投票を呼びかけた。 橋本胡太郎さん(17)は「あまり選挙に興味がなかったが、投票できるんだという実感がわいてきた。投票に行こうと思う」と話していた。 ![]() |
連合のシンクタンク、連合総合生活開発研究所(連合総研)は、小中学校教員の1日平均労働時間が約13時間との調査結果をまとめた。「保護者・地域からの要望対応」「国や教育委員会からの調査対応」への負担感が高く、勤務日の睡眠時間は約6時間、読書時間は15分未満だった。2日、東京都内でのシンポジウムで公表した。 連合総研は「教員の健康悪化や資質向上の機会不足を招き、教育の質の低下につながる恐れがある」として、長時間労働の改善を求めている。 連合総研によると、小学校教員は平均で午前7時29分に出勤し、午後7時11分に退勤。学校外で1時間9分働いていた。(共同通信) ![]() |
京都府宇治市の立命館宇治高で1日、京都市長選の模擬投票に向けた授業があった。実際の候補者が訴えている政策について学び、四条通の歩道拡幅を題材に、政治とまちづくりについて考えた。2〜5日にはスマートフォンなどを使ってウェブ上で模擬投票も行う。 同高は、主権者教育に力を入れ、社会科の杉浦真理教諭が2003年から国政選挙などで模擬投票に取り組む。今夏から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられるのを踏まえ、初めて首長選で実施する。 授業は2年生が対象。同高卒業生で、学生団体ivote(アイボート)関西のメンバーが講師を務め、市長選に立候補している3人の教育や福祉、財政など各分野の政策の特徴を説明した。 政治による意思決定の例として、四条通の歩道拡幅を挙げた。「人が歩きやすくなった半面、車線が減って渋滞も起きた。どちらがいいと考えますか」と投げかけ、自分なりの基準で賛否を考えるよう促した。 ウェブでの模擬投票に向け、生徒たちはスマホを使って方法も確認した。模擬投票の「有権者」は1年生も含めて約250人。投票用紙を使う模擬投票も6日に行い、ウェブと合わせて集計する。2年の寸田桜さん(17)=京都市北区=は「交通の便とか住みやすさに関わることを重視して誰に入れるか決めたい」と話した。 ![]() |