法務省は30日、人種差別的な言動を街頭で行うヘイトスピーチ(憎悪表現)について初の実態調査結果を公表した。ヘイトスピーチを行っているとされる団体などが平成24年4月〜27年9月に行ったデモや街宣活動などを1152件確認。ほとんどが領土問題や拉致問題への抗議などを名目に参加者を募っているものの、特定の民族の排斥などを訴える発言が多くなされているという。 インターネットで公開された対象団体の活動情報などをもとに調査し、72件(約98時間)の動画も分析。25年は347件、26年は378件、27年は1〜9月で190件だった。 同省によると、京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に損害賠償などを求めた訴訟の2審で、賠償などを認めた判決が出た26年以降、対象団体の直接的な活動は減少傾向。参加者に過激な発言を控えるよう呼びかけているケースもあるという。ただ、同省は「全てを把握することは難しく、沈静化とは言えない。一部の団体や関係者の差別意識は根深い」とみている。 問題をめぐっては、民主(現・民進)、社民両党などが「人種差別撤廃施策推進法案」を国会に提出し、参院法務委員会で審議されている。さらに自民、公明両党は対案として関連法案を今国会に提出する方針だ。(産経ニュース) |
馳浩文部科学相は29日、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射や核実験などを受け、朝鮮学校に運営補助金を支給している地方自治体に、支給の妥当性をあらためて検討するよう求める通知を出したことを明らかにした。 朝鮮学校がある28都道府県の知事宛てに同日付で発出。「北朝鮮と密接な関係を有する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が、学校の教育内容、人事、財政に影響を及ぼしている」と指摘し、支給の公益性などを十分検討するよう求める。 記者会見で馳氏は「減額や停止を指示するものではない。補助金を出す権限は自治体にあり、通知は留意点を示すだけだ」と説明した。(共同通信) ![]() |
京都府教育委員会は2016年度、厳しい家計や不登校などの課題を抱える子どもたちの学力底上げに乗り出す。モデル校として府内4地域の小中学校に学識者や大学院生のチームを送り込み、教育効果の高い学習指導や学校生活に適応できない児童・生徒の支援、就学前教育の充実に結びつける。3年間で各校の低学力層を減らし、全国学力テストの平均正答率を引き上げるのが目標だ。 「京都式『効果のある学校』推進事業。モデル校は桃映中(福知山市)、南桑中(亀岡市)、久御山中(久御山町)、泉ケ丘中(井手町)の4中学校と各校区内にある11小学校。就学援助の割合や不登校の児童・生徒の人数、学力などを考慮して選定した。 対象校には大学研究者らでつくる三つの専門家チームを派遣する。「学校体制づくり」チームは、対象校の学力テストの結果を分析して、効果的な授業や補習の方法、教員配置などの対策を提言。メンバーの大学院生が学習に遅れのある児童・生徒の支援に当たる。 「発達障害・不登校」チームは、発達障害のある子どもの特性に応じた指導方法を助言し、不登校の児童・生徒の背景要因を踏まえ、課題解決の方策を考える。「幼児教育」チームは、小学校入学後の学習が円滑にいくよう、就学前に身に付けておきたい知識や能力の習得方法を幼稚園や保育所にアドバイスする。 スクールソーシャルワーカーも新たに配置する。福祉事務所や民生児童委員ら福祉関係者と連携し、課題を抱える子どもの家庭に働き掛け、生活習慣や学習環境の改善につなげる。 事業期間は3年間を予定する。府教委は、成果を将来的に他の小中学校にも取り入れていく考え。15年度2月補正予算に事業費1300万円を計上した。 子どもの養育環境に起因する教育格差は全国的な課題だ。京都府教委はその解消を目指すが、他地域の成功例を見ると、専門家の助言や学校現場の努力に加え、教員を補助するスタッフの充実や自治体による財政支援も必要といえる。 府教委の専門家チームに加わる予定の大阪大人間科学研究科の志水宏吉教授は学力格差解消に「効果のある学校」を「社会経済的に不利な子どもの基礎学力を支える学校」と定義する。就学援助を受ける子どもの割合が多い小中学校は学力テストの平均正答率が低い傾向にあるが、中には好成績の学校もある。志水教授はそうした学校の共通点を見いだし、スクールバスのパーツに当てはめたモデルを環唱した。例えば、エンジンは指導力や結束力に優れた教員集団、前輪はすべての子どもを支える学習指導や生活指導にあたる。志水教授は「府教委の事業では支援先をスクールバス・モデルに近うける」と意気込む。 効果のある学校で先行事例といえるのが、大阪府茨木市教委だ。08年度から学力格差を縮めるプランを3年ごとに策定。低学力や発達障害の子どもの指導のため、手厚い予算を組み、教員免許を持つ支援スタッフを小中学校に配置するなど多くの対策を打った。その結果、8年間で学力テストの平均正答率は上昇し、40点以下の低得点層も減少。就学援助率が市内で最も高い小学校は、低得点層の割合が07年度は全国平均の3倍だったが、13年度は平均以下にまで減った。同市教委の加藤拓参事は「教員の頑張りも大きいが、市の財政支援がなければプランは絵に描いた餅で終わっただろう」と振り返る。 阪大の志水教授もこう指摘する。「スクールバスに燃料が欠かせないように、学校が頑張れる条件を自治体や教委が整えるべきだ」 ![]() |
人種差別のへイトスピーチ(憎悪表現)について、全国の朝鮮学校などに通う高校生のうち9割以上が法規制を求めているとの調査結果を、龍谷大の金尚均教授らがまとめた。27日に京都市上京区の同志社大で開かれる集会で報告する。 各地の街頭で繰り返されるへイトスピーチを受け、金教授らは昨年夏、国内9力所の朝鮮学校や民族学校、外国にルーツがある高校生ら計1483人を対象にアンケートを実施した。 へイトスピーチの街宣に参加する人たちをどう思うかを尋ねたところ、「許せないけど同じ社会に生きる人間だからいつか分かり合える」が39%と最多で、「許せない・絶対に理解しあえない」は37%、「無視する・放っておくべき」は17%だった。全体の95%が「問題解決に対する法律の必要性」を感じていた。 2009年に起きた南区の朝鮮第一初級学校(当時)への街宣について「恐怖を感じた」と回答した女性の割合は66%と、男性より2倍近かった。 金教授は「若い世代も差別を感じている。社会の多様性が十分に培われておらず、日本の民主主義が問われている」と話す。 集会「京都でつくる―有効なへイトスピーチ対策は」は27日午後2時から、明徳館M1教室で。大学教員や弁護士でつくる「京都府・京都市に有効なへイトスピーチ対策の推進を求める会」の主催。資料代500円。 |
安倍晋三首相は25日、長時間労働是正のため、残業規制を見直すよう指示した。労働基準法の改正で残業時間に上限を設け、違反した際の罰則を設けることを検討する。 従来なかった上限ができれば、国際的にも著しい日本の長時間労働が是正される可能性があり、家庭生活との両立支援や女性の活躍推進、過労死の防止も期待される。残業が月80時間超の企業には労働基準監督署が立ち入り調査をする。ただ規制の厳しさ次第では経 済界が反発しかねない。 安倍首相は官邸で開かれた1億総活躍国民会議で「時間外労働規制の在り方を再検討する」と表明した。5月にまとめる1億総活躍プランに働き過ぎ是正策の方向性を盛り込む。 労基法は労働時間を1日8時間、週40時間までと定めているが、「三六協定」と呼ばれる労使協定を結べぱ法定時間を超えて働く残業が可能になる。残業時間の基準は厚生労働相の告示で月45時間までとされている。 ただ三六協定には決算期やボーナス商戦などの繁忙時の例外を認める「特別条項」があり、例えば「月100時間と上限を設定できる。条項の活用は1年に6カ月と限られるが、定められる残業時間に上限がなく「海外に比べ極端に長く無制限な働き方を助長する」と問題視されていた。 政府は“青天井≠ノなっている長時間労働に歯止めが必要と判断。残業が月80時間を超えると労働災害や過労死が多くなる傾向を踏 まえ、上限設定を検討する。一方、災害発生などに備え鉄道やエネルギー、研究開発といった業種や職種によって一定の例外を認めるこ とも考える。 一定の時間働いたとみなして賃金を支払う裁量労働制や政府が導入を目指す高度プロフェッショナル制度の対象者は残業規制が適用されない見通しだ。 厚労省は2015年1月から、残業が月100時間超の企業に立ち入り調査を実施し、違法な残業や賃金未払いなどがないか調べている。今後、対象を「月80時間超」に広げ、調査を徹底する方針だ。 労働時間の上限規制は、長時間労働を抑制するために、労働者側が以前から主張してきた。実効性のあるものになるか、これまで労 働者側の反発が強い政策を進めてきた安倍政権の本気度が問われる。 仕事が原因で脳・心臓疾患にかかり、2014年度に労災認定されたのは277件。そのほとんどで過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働があった。過労死を減らすためにも、長時間労働の抑制は重要だ。 だが上限規制となれば経済界の抵抗も予想される。上限を設けてもあまり大きな数字では意味がない。仕事が終わらなければ、実際 の労働時間を記録せずにサービス残業を強いられる恐れもある。仕事の進め方やで考える必要がある。 安倍政権は、労働時間規制を緩める労働基準法改正案を国会に提出している。高収入の專門職で働く人を残業代の支払い対象から除く「高度プロフェッショナル制度」の新設が柱で、労働者側や過労死遺族からは「過労死が増える」「残業代ゼロ法案」との声も出る。 長時間労働の抑制が、参院選向けのパフォーマンスになってはいけない。政府はこうした声にも耳を傾け、中身のある政策をつくるべきだ。 ![]() |
政府は23日、労働基準法で定められた週40時間を超えて働く人の時間外労働(残業)に関し、規制を強化する検討に入った。例外として長時間の残業を容認している「特別条項」に上限を設ける案が浮上している。 労基法では、残業が一定時間を超える場合、この制度を使って例外的に労使で独自に上限を決めることができるが、国が定める上限はなく、無制限な働き方を助長しているとの批判がある。政府は「1億総活躍社会」の柱として働き方改革を進める方針だ。 長時間労働への歯止めが期待できる一方、経済界は企業活動に影響を与えるとして猛反発するのは必至で実現には曲折が予想される。(共同通信) ![]() |
18日に検定結果が公表された高校教科書では、最近の世相を反映し、初めて取り上げられる題材も多い。来春から、さまざまな話題が授業で登場することになりそうだ。
今回合格した高校教科書で、性的少数者を表す「LGBT」という言葉が初めて取り上げられた。差別解消に向けた取り組みが国内でも進むが「今も差別と偏見はなくなったとはいえない」と、同性愛や性同一性障害などに悩む人たちへの理解を促す記述が目立つ。
家庭基礎、家庭総合の教科書では、LGBTを「性愛の対象が同性や、性自認が身体の性と異なるなど、性的に少数の立場にある当
事者の総称」と説明。別の教科書では「単に人数が少ないというだけでなく、差別や構造の問題によって、社会的に弱い立場にある人」とした。
国内で初めて同性パートナーの証明書発行を始めた東京都渋谷区の動きに触れたものや、心と体の性の不一致で悩んだり、気持ちが不安定になったりすることがあるとして「周囲の身近な人たちの支えが大切」と記した内容もあった。
ある教科書会社の編集者は「学校現場でも性同一性障害の人のトイレをどうするかという問題が出ている。生徒たちにはきちんと分
かってもらいたい」と話している。
今回合格した高校教科書には、子どもの貧困、危険ドラッグ、ヘイトスピーチ(憎悪表現)など、最近の社会問題に関する話題が随所に盛り込まれた。インターネット上のトラブルに関連した記述も目立ち、高校生に情報を読み解く力の大切さを説く内容もあった。
子どもの貧困は、公民や家庭科の教科書の多くが触れ、日本の子どもの貧困率が国際的に高い状態にあることなどを指摘。若者を酷
使する「ブラック企業について、ある現代社会の教科書は「過酷な労働環境が過労死や過労自殺を引き起こす原因となっている」と記した。
保健体育の教科書は初めて危険ドラッグという言葉を用い、国が対策強化に乗り出したことに言及した。現代社会や倫理ではへイトスピーチを紹介。「ときには扇動的なデモが行われることもある」とイラスト付きで解説したものもあった。
情報の教科書ではインターネット上に批判のコメントが殺到する「炎上」を説明するページも。現代社会では無料通信アブリを使った詐欺も取り上げられた。
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文部科学省の新しい検定基準に従って、政府見解を記述する高校教科書が大幅に増えることが、18日公表された検定結果で明らかになった。過去の検定は事実関係の誤りの指摘に主眼を置いてきたが、今回は政府の立場に加え、取り組みまで積極的に記述させる「書かせる検定」の姿勢が鮮明になったのが特徴だ。抑制的な検定制度の在り方が、変容しつつある。 2014年の検定基準の改正で、教科書検定は転機を迎えた。文科省は安倍政権と自民党の求めに応じ、近現代史に政府見解の尊重を求める規定を追加。教科書作成の指針としている学習指導要領の解説書も改め、竹島(島根県)や北方領土の問題を解決しようとする政府の努力を説明するよう定めた。 それを受け、昨年公表された中学生向け教科書の検定から、「竹島は固有の領土」「(戦後処理で)国家間賠償は解決済み」といった政府見解の記述が一気に増えた。 今回、竹島に触れた公民教科書のうち5点には「平和的な解決に向けたわが国の努力について理解しがたい」と同じ検定意見が並んだ。文科省は「解説書で説明を求めている『政府の取り組み』の記述がない」として位置や日本固有の領土との紹介では不十分と判断。 ある執筆者は、文科省の教科書調査官から「国際司法裁判所への付託について書けばいい」という趣旨の提案があったと明かす。出版各社は「日本は韓国に国際司法裁判所への付託を提案した」などと日本側の対応に説明を加えて合格。結果、どの教科書にも似たような表現がそろった。 文科省は「サジェスチョンはあり得る」と記述内容に一定程度関与したことを認めている。 精査 今回は新基率の対象でなくても、現行本と同じ記述を修正させるケースが相次いだ。「基準改正の趣旨を踏まえ、よりバランスの取れた記述になっているのか、全てを精査し直した。今までが寛容すぎた」というのが文科省の言い分だ。 慰安婦問題に触れた公民の教科書は、前回は「日本政府の対応には、国内外からさまざまな批判があるとの記述で問題なかったが、今回は政府の対応について理解が不十分との意見が付いた。 出版社は「アジア女性基金の設立を支援し」などと新たな説明を加えて合格。だが、慰安婦問題に関する政府の努力≠ヘ、新基準も解説書も直接求めていない要素だ。 .ご以前とは ある執筆者は「以前と違う『書かせる検定』になっている」と語る。従来の調査官の発言は「この表現で生徒は分かるだろうか」といった疑問点の指摘だったが「こういう表現なら」と方針を示されることが増えたと感じている。 坂田仰日本女子大教授(教育法制)は「検定基準改正の目的は、政府見解も加えた両論併記にしてもらうことだったはずだが、も っと政府の考えを広めようという運用に踏み込んでいるのではないか」と分析する。 模索 不合格を避けるためには文科省の指摘を受け入れざるを得ない 。多くの関係者が口にする業界の実情だ。「金太郎あめのよう」 「戦前の国定教科書につながる」と危機感を持つ執筆者は多い。 そうした状況でも、一面的な記述を避けようという模索は続いている。竹島のページを担当する執筆者は韓国側の主張にも触れた。「検定基準に『記述してはいけない』という縛りはない。なぜ争いになっているのかを示せば、生徒同士で話し合うこともできる。工 夫の余地は残されている」
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選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのを踏まえ、愛媛県立高の全59校が校則を改め、校外での政治活動の事前届け出を義務化することを決めたことについて、馳浩文部科学相は18日の記者会見で「(届け出制にするかどうかは)各都道府県の教育委員会で適切に判断してもらえればと思う」と述べた。「私が校長だったらしない」とも付け加えた。 文科省は昨年10月、高校生が休日や放課後こ校外で行う政治活動などを容認する通知を出した。その後に作成した「Q&A集」では、政治活動について届け出制も考えられるとした上で「個人的な政治的信条の是非を問うようなものにならないようにすること」と留意意を挙げていた。 今回合格した高校教科書は、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公選法成立前に検定申請されており「18歳選挙権」そのものを取り上げてはいない。ただ、2014年6月施行の改正国民投票法で、憲法改正の是非を問う国民投票の年齢が18年6月に「18歳以上」となるため、公民では候補者の立場から政策を考えさせるなど、主権者教育の記述が充実した。 「あなたが候補者ならほ、60歳代の有権者の声を政策に反映した方が当選しやすいと思わないだろうか」と問い掛けたのは第一学習社の現代社会。高齢層の投票率が高い一方、20代の投票率が低いことを示し「数の多い人の声に耳を傾けたくなっても無理はないだろう」とした。 その上で、財源が1千億円あったとして、待機児童解消のために保育所を増やすことと、老人医療費の自己負担額を減らすことの どちらに賛成するかを考えさせた。 数研出版の現代社会では、選挙権年齢と成人年齢の18歳以上への引き下げについて、「政治への関心が高まる」として賛成する意見と、「学校で政治教育を行うことに限界がある」として反対する意見を示し、考えることを促した。 帝国書院もさまざまな資料から引き下げについて考えることを求めた。各教科書会社は合格後の訂正申請で18歳選挙権の記述を盛り込み、17年春からの使用に間に合わせる方針だ。 朱雀高(京都市中京区)の演劇部が23日、18歳選挙権に着想を得たオリジナル創作劇を上京区の京都府立文化芸術会館で上演する。高校生が生徒会活動に無関心でいる間に奇妙な校則が次々できるという物語で、安保法制などの政治の動きも反映させたり選挙権が引 き下げられる今夏の参院選を前に、部員は「選挙で自分の意思を示す大切さを伝えたい」と話 ている。 題名は「こうそくレボリューション」。架空の高校で生徒会選挙が行われ、低調な結果に終わる。就任した生徒会長らは生徒会への関心を高めるため、あえてはちやめちゃな校則を投票にかけるが、図らずも成立する―という筋立てだ。 廊下の通行はダンスのステップ、職員室に入る際のあいさつは「チース」など、初めはコミカルな校則だが、後半は軍隊式の行進や敬礼が強制される。自由だった服装もジャージーになり、格闘技や射撃の訓練が導入されるなど、不気味に変わる学校を通じ、無関心社会の行く末を描く。 脚本を作り始めたのは昨年5月。部員で話し合い、18歳選挙権を主題に選んだ。筋書きは、主に部長の2年永見芽衣さん(17)と同、杉山紗愛弥さん(17)が3カ月近くかけて練り上げた。この間に国会で集団的自衛権行使を認めた安保関連法が成立し、新聞やテレビが連日報じた。永見さんは「安保法制が脚本の内容に与えた影響は大きかった」と振り返る。 昨年11月の府高校演劇大会で上演し、優秀賞を獲得。鳥取県で同月開かれた近畿総合文化祭でも「とても考えさせられた」「世相を表 している」という感想が寄せられた。 杉山さんは「大事な問題に無関心でいると物事がとんでもない方向に進むことを表した」と話す。入場無料。別の劇と2本立てで午後5時半に開演する。 ![]() |
文部科学省は18日、来春から主に高校1年生が使用する教科書の検定結果を公表した。政府見解の明記などを求めた新検定基準が高校で初めて適用され、日本史Aの2点で計5件の意見が付いた。改定学習指導要領解説書で竹島や尖閣諸島を「固有の領土」と明記したことに伴い、領土に関する記述が、対応する現行本の約1・6倍になったとしている。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の記述も増えた。 昨年検定結果を公表した中学校教科書に続き、高校も政府の立場に沿う傾向が強まった。2014年1月に改めた新検定基準は@近現代史で通説的な見解がない事項を記述する場合、そのことを明示するA政府の統一的な見解に基づく記述にする―などを求めている。 5件のうち政府見解の記述を求めたのは1件。戦後補償について「各国との条約で解決済みであり、個人に対する補償には応じられない」との見解を明確にさせた。 通説的な見解がない事項では、関東大震災の際に殺害された朝鮮人の人数で2件、三・一独立運動での死傷者数で1件、南京事件で殺害された中国人の数で1件の意見が付き、いずれも「人数が定まっていない」などと修正された。 精査や新基準の適用などで、現行本と同じ記述内容なのに、検定意見が付いたのが日本史で73件あった。文科省は「より正確性を求め、不断の見直しをする観点による」と説明している。 竹島、尖閣に関しては地理と日本史のほか、倫理を除く公民の全24点が記載。検定意見が付き、尖閣について「日本政府は領有権問題はないとしている」と修正した教科書があった。 原発の賛否を問う内容や震災からの復興が取り上げられ、現代社会と政治・経済の全12点が主権者教育に触れた。集団的自衛権行使 を一部容認した閣議決定やアベノミクスなど安倍政権の政策の記載も目立った。 義務教育段階ではない高校では本来、多様な学びこそが重要なはずだが、18日に検定結果が公表された高校教科書は、内容の画一化 が一層進んだ形となった。 背景には、文部科学省による新検定基準や改定学習指導要領解説書が、高校教科書として初めて適用されたことがある。 国家間の戦後補償問題は解決済みであるとか、竹島や尖閣諸島は日本固有の領土であるという政府見解を知ることは必要だ。しかし、現実の社会に向き合うには、見解を受け入れるだけで十分とはいえないだろう。 中教審は現在、新しい高校の学習指導要領の改定に向けて審議中だ。グローバル化を背景に、日本と世界の近現代史を横断的に学ぶ「歴史総合」や、「18歳選挙権」を見据え、主体的に社会に参画する態度を養う「公共」といった科目の新設が予定されている。 中教審が重視しているのは、物事をあらゆる角度から深く考察し、自らの考えを形成する過程だ。一面的な内容ばかりを取り上げる教科書では、この命題に応えることは難しく、物足りない。 安全保障や憲法改正論議―。合格した高校教科書には、最近の安倍政権の政策などに関する記述が多数盛り込まれた。しかし、議論が分かれるテーマだけに、検定意見が付き修正を余儀なくされる表現もあった。 集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐっては現代社会の教科書で「安全保障環境の変化に対応」(第一学習社)、「内閣による事実上の憲法改正(「解釈改憲」)ではないかとの批判もある」(東京書籍)など、書きぶりが大きく分かれた。 また、「第9条の実質的な改変」と記した小見出し部分に「誤解するおそれがある」との意見が付き「自衛隊の海外派遣」と修正。「日本が世界のどこででも戦争ができる国になるのかもしれない」とした表現にも「誤解するおそれがある」との意見が付された。ある執筆者は「厳しくチェックされた印象だ」と漏らした。 安全保障関連法については、検定申請後の昨年9月に成立したため、大半の教科書に入らなかったが、各教科書会社は今後、訂正申請して盛り込む方針。 一方、安倍晋三首相が意欲を見せる改憲について、実教出版の現代社会は「憲法は国家の基本法」と記し、拙速に進めず必要性や是非を慎重に論議すべきだとした。 特定秘密保護湊や武器輸出三原則の見直しのほか、政治・経済などではアベノミクスや環太平洋連携協定(TPP)といった経済政策も登場。 沖縄の米軍基地問題の現状をコラムで扱った教科書もあった。 教科書の内容は、高校生の学習が深化するよう考慮し、基本的には執筆者の学術的な知見と判断に委ねるべきだ。だが新たな検定基準の適用や学習指導要領解説書の改定に伴う領土問題記述の増加を含め、政権の意向を反映しているように感じる。日本の立場は記載する方がいいと思うが、いたずらに敵対心を抱かせないような配慮が必要だ。教育現場では外務省の公表資料などを含め、生徒たちに考えてもらうことが重要だ。 東日本大震災から5年を経て検定に合格した高校の教科書は、現行の教科書に比べ、防災や復興を扱う記述が厚みを増した。震災を単なる事象として扱うのではなく、学んだ内容を防災に役立てる視点が重視されており、被災地の学校からも「命を守る取り組みへの認識が深まる」と歓迎する声が上がっている。 今回改訂された教科書は、震災があった2011年春に検定申請したり、検定中だったりしたものばかりだ。当時は多くの教科書が内容を追加、修正して震災を記述した。理科のある編集者は「あの時は事実を盛り込むことで精いっぱいだった。今回の改訂は、その先を書かないといけないと思っていた」と語る。 この会社が発行する理科の「科学と人間生活」の教科書では、「東日本大震災の教訓を活かして」と題し、科学を学ぶ目的の一つに復旧、復興や防災があると指摘した。 現行本と同様に押し寄せる津波の写真を掲載した別の項目では、新たに「あの日のことを覚えていますか」という一文を加えた。食い止められない自然災害にどう備えるかを生徒に問いかけ、災害の発生を前提に被害を減らす「減災」の考え方を新たに記述した。 別の出版社の家庭科では、11年3月の仮設住宅の建設計画を掲載していたが、今回の改訂で宮城県気仙沼市の中高生が提案した復興まちづくり計画に差し替えた。震災による停電の暗闇の中で、災害に備えた住宅づくりを考案した建設会社の経営者もコラムで紹介。震災後に完成させた家は、自家発電したエネルギーだけで生活でき、雨水もためて活用するという。 編集者は「防災とは直接関係ない内容も含め、命と暮らしを守る取り組みをちりばめたかった」と力を込めた。 福島第1原発から30キロ圏の福島県広野町に15年春に開校した県立ふたば未来学園高は、原子力災害からの復興を担う人材育成を掲げる。原子力防災やメディアなど六つのテーマを探究するのが特色で、復興庁などに研究成果を提言する。 「海外の人にも福島の真の姿を知ってほしい」という1年生の三瓶諒さん(16)は、県外に避難している知人が「放射能がうつる」と中傷されたといい「正しい知識を持ってもらうには、正しい情報を発信するしかない」と訴える。 授業を担当する対馬俊昭教諭(理科)は「震災で気付かされたのは、生き延びるための学びの大切さ。さまざまな教科書を通じ、命を守る取り組みへの認識を深めることができる」と、教科書各社の姿勢を評価する。 同時に原発事故を扱う難しさも実感している。「教科書に思想や政治を入れてほしくはない。教員が物の見方を鍛え、バランス感覚を養って教えるべきだ」と強調した。 ![]() |
京都市教育委員会は17日、2学期制と事実上の3学期制が混在している小中学校の学期制を、早ければ2017年度にも一律で3学期制に戻す意向を明らかにした。保護者や地域住民から3学期制に戻すよう求める声が根強い上に、教員からも批判の声が上がっていた。授業時間確保を理由に全国に先駆けて導入したが、市教委は10年余りで転換を迫られることになった。 同日開催の市議会教育福祉委員会で、在田正秀教育長が「小中学校の学期の統一に向けた検討を始めたい」と答弁した。 2学期制は、市教委がゆとり教育の転換を見据え、夏休みの短縮のほか、試験や終・始業式の回数減少により、授業時間数を確保で きるとして03年度に始め、06年度に全校導入した。 だが当初から「児童生徒の気持ちの切り替えが難しい」「評定配布と進路指導のスケジュールが合わない」など保護者や教員に批判や 戸惑いがあり、11年度には学期の区切りを各校の裁量で選べる「通年制」を導入。本年度は市内全中学校のうち85%に上る61校が通年制を選択、多くが実質的に3学期制をとつている。これらを背景に、市教委は、3学期制に戻しても授業日数が確保でき、次の学習指導要領で小中一貫教育や地域連携が重視されることを踏まえ、学校ごとに長期休業期間が違う現状を是正することにした。 今後は学校現場とともに各学期制の利点と欠点を検証した上で、移行時期など詳細を決める。市教委は「2学期制導入は意義があったが、役割を果たした」としている。 市教委は1日の市会代表質問で、小中学校の長期休業を中学校区で17年度中に統一する方針を示したばかりだった。 京都市教育委員会が小中学校を3学期制に戻す意向を示した。鳴り物入りで始めた2学期制は思ったほどの効果が得られず、批判を 受け、独自の「通年制」というあいまいな形で事実上の3学期制を導入。「3学期制に戻す」という明言を避けてきたが、ついに見直すことにした。 2学期制は、導入当初から「季節感と合わない」「分かりにくい」など保護者から戸惑う声が上がっていた。学校現場では、成績評価の回数が減るなどの利点が強調されたが、長期休業前の指導や進路指導のために、実質的に評価は4回に増えるなど、逆に負担は重くなっていた。 2011年の「通年制」導入後は混乱に拍車をかけた。多くの中学校が選んだため、2学期制をとる同じ校区内の小学校で長期休業期間が違い、地域行事に支障が出るようになった。 ゆとり教育の見直しと重なり、2学期制は一時、全国的にも広がったが、「授業時間数の獲得という目先の利益にとらわれすぎた」という識者の指摘にもある通り、近年は3学期制に戻す教委が増えていた。 2学期制と通年制の導入で、保護者や学校現場を混乱させた市教委は転換にあたり、「進化した3学期制を目指す」としている。どう「進化」するのか、2学期制導入以降の検証も含め、市教委には保護者や教員への説明責任がある。 ![]() |
京都府教育委員会と京都市教委は16日、7日実施した公立高入試の中期選抜の合格者を発表した。全日制53校の合格者は7394人で受験者に対する実質倍率は1・12倍とほぼ前年度並みだった。合格者が募集定員を下回る「定員割れ」は前期選抜も含めて全日制13校の20学科に上った。後期選抜は23日に全日制1校、定時制9校で実施する。 合格者と倍率の内訳は普通科が6819人で1・11倍、専門学科が461人で1・24倍、総合学科が114人で0・94倍だった。 定員割れの学科は前年度に比べて2学科減った。内訳は普通科6学科、専門学科13学科、総合学科1学科で、特に口丹地域の高校が半数近くを占めた。 定時制の合格者は202人。中期選抜を実施した11校12学科のすべてが募集定員を下回った。 後期選抜は、全日制で京都すばる高の情報科学、昼間定時制で宮津高伊根分校と網野高間人分校、夜間定時制で西京高、綾部高東分校、東舞鶴高浮島分校、朱雀高、鳥羽高、桃山高の普通科と商業科、伏見工業高工業技術科が実施する。17、18両日に願書を受け付ける。 ▲普通科:東宇治・北桑田・亀岡(美術・工芸専攻のみ)・園部・須知・大江▲専門学科:桂(園芸ビジネス)・京都すばる(情報科学)・京都八幡南(介護福祉)・北桑田(森林リサーチ)・亀岡(数理科学)・園部(京都国際)・農芸(農芸学科群)・須知(食品科学)・大江(ビジネス科学)・海洋(海洋学科群)・峰山(産業工学機械系統)・峰山弥栄(農園芸、家政)▲総合学科:久美浜 |
次期学習指導要領の在り方を議論している中教審の小学校部会は14日、高学年での英語教科化に伴う授業時間数増に、10〜15分の短時間学習で対応するとの案を大筋でまとめた。土曜日や夏休みの活用を含め、各校の実情に合わせた柔軟なカリキュラム設定での時間確保が必要だとしている。平日の1コマ45分という通常の授業を現在より増やすのが難しいためだが、学校からは「それでも余裕がない」どの声も上がっている。 中教審の特別部会は昨年、現在は5、6年で週1コマの外国語活動を英語として教科化した上で週2コマに増やし、3、4年で新規に外国語活動を週1コマ導入する指導要領骨格案を提示。3〜6年で週1コマ純増する授業時間の確保が課題になっている。 小学校の各教科の授業時間は、45分を1コマとして年間のコマ数を規定。現行の指導要領でも必要なコマ数を確保すれば、60分授業 を行ったり、10分程度の反復学習に分けたりするなど、各校が時間割を弾力的に編成できると明示している。 案では、英語は短時間学習による実施を主眼とした一方、既に多くの小学校で、計算や漢字などさまざまな分野の短時間学習が実施されていると指摘。「全ての小学校で外用藷こ特化した短時間学習を一律に行うのは困難」として、60分授業や土曜日、夏休みの活用などを確保策として挙げ「これらを組み合わせながら、地域や各校の実情に応じた柔軟な時間割編成を可能としていくことが求められる」とした。 短時間学習は、登校後に行われる朝の会の前後や、昼休みと5時間目の授業の間などでの導入が考えられる。 3、4年の外国語活動は、短時間学習にするのは学習活動上なじまないとして、他教科を含めた柔軟な時間割を編成する方向とした。 こうした授業の実施には、教科書や教材の充実、教員研修など条件整備が不可欠としている。 小学校の次期指導要領は2020年度に全面実施を予定している。 ![]() |
京都府教育委員会と京都市教委は7日、同日実施した公立高入試の中期選抜の出題方針を発表した。中学校で学ぶ基礎的な内容を中心とし、知識の応用力や課題解決に必要な思考力を見る問題も盛り込んだ。 中期選抜の試験は各教科とも解答時間40分で40点満点。中学3年間の成績である報告書(195点満点)と合わせて合否判定する。 本年度の難易度は前年度並みとした。社会で短い文章で答える記述問題を初めて取り入れ、数学は難易度のやや高い確率の問題を出した。理科では実験の結果を分析する力を試した。 全日制は53校であり、受験者数は8223人で倍率は1・09倍。定時制は11校で受験者数は200人、倍率は0・37倍だった。 ■5教科の特色と傾向 出題方針と教科ごとの特色、傾向は次の通り。 【国語】古文は江戸時代の随筆「耳嚢」(みみぶくろ)を題材とし、歴史的仮名遣いなどの基礎知識を問うた。現代文は人類学者の松田素二京都大教授の著書から出題し、評論文の理解力を測った。 【社会】地理や歴史、公民の内容を関連づけた融合問題を中心とした。グラフから読み取れる内容を短文で答える問題を盛り込んだほか、昨年の琳派400年にちなんだ問題も出した。 【数学】計算問題は一次関数や二次方程式などの基本知識の習得度を見た。関数と図形を関連づけた問題で学習内容の活用力を試し、箱に白黒の玉を入れる確率の応用問題も入れた。 【理科】窓ガラスが曇る現象から室内の水蒸気量を求めさせたり、銅粉末を加熱することで生じる酸化と質量の関係を考えさせるなど、観察や実験に重点を置いた問題を出題した。 【英語】長文読解では選択肢をすべて英語で表記した。会話文とアンケート結果を融合させた問題も出した。リスニングは会話の部分的な理解でなく、全体の聞き取り能力を重視した。 |
2014年に国内で生まれた赤ちゃん約102万人の3・40%、29人に1人は、両親が外国人か、どちらかが外国人で、計約3万5千人に上ることが5日までに分かった。08年に最も高い3・44%となった後、景気後退の影響などで下がり11年は3%を割っていたが、最高水準に戻った。今後、保育や教育分野での対応が課題となりそうだ。 厚生労働省の人口動態統計を共同通信が分析した。1990年は1・7%、95年は2・6%で長期的に上昇しており、今後外国人受け入れが拡大すればさらに高まる可能性がある。(共同通信) ![]() |
滋賀県教育委員会は4日、2017年度の教員採用試験を前年より9日早い7月9日から始めることを発表した。教員の大量採用に伴い志願倍率が低下している中、日程を前倒して優秀な人材の確保に努めるとともに、これまで日程が重複していた近隣の京都や大阪との試験日をずらして併願できるようにした。 滋賀県ではベテラン教員の大量退職に加え、他県に比べて児童数の減少が緩やかなため近年、大量採用が続いている。15、16年度の公立小中高校などの採用試験合格者数はそれぞれ過去10年で最多の499人に上った。一方、志願倍率の低下が目立ち、特に小学校は ここ3年、2・7倍前後で、県教委が一つの基準とする「3倍」を切つている。 これまで1次試験のうち面接を7月中旬に行い、1週間後に筆記試験をしていた。17年度はまず7月9日に筆記試験を行い、同16、17日に面接する日程に変える。 京都府・市、大阪府の各教委も、民間企業の面接解禁が2カ月前倒しされることなどを受け、滋賀より1週間早い7月2日とした。県教委によると、これまでは同じ日に筆記試験をしていたが.9日にしたため併願も可能という。県教委教職員課は「まず志願者を増やすことが優秀な人材確保につながる」と話す。 さらに今回は長年やめていた志望者向けのバンフレットを復活させた。採用5年以内の教員の声や県の学習船「うみのこ」を活用した環境教育、充実した研修制度などを紹介し、湖国で教壇に立つ魅方をアピールする。 実技や面接などの2次試験は例年通り、8月中旬から下旬に行う。採用数は前年並みの500人程度を見込んでいる。 |
京都府教育委員会と京都市教委は3日、来春採用する教員の選考試験を前年より24日早い7月2日に始めると発表した。求人回復で学生に有利な「売り手市場」とされる中、民間企業の面接などの選考活動が前年より2カ月前倒しされ、大阪府教委も1次試験を早期化する。学生の獲得競争が厳しくなると予想され、対応を早める必要があると判断した。 今年は府教委、市教委とも出願期間を4月中旬〜5月中旬へ前倒しした上で、1次試験のうち筆記テストを2日に実施。市教委は面接も同3〜17日と早める。府教委は16〜18日。前年は両教委とも出願期間が5月上旬〜6月上旬で、1次試験の筆記試験を7月26日、面接を同18〜25日にそれぞれ行った。 実技や面接などの2次試験は府教委が8月中旬〜同下旬、市教委は8月下旬と前年と同時期を予定している。募集人数は未定だが、前年(府教委400人、市教委305人)と同程度の規模になる見通し。 ベテラン教員の大量退職に伴い、全国の公立学校の教員採用数は2006〜15年度の10年間でおよそ1・4倍に増えた。志願倍率はピークだった00年度の13・3倍から15年度は5・4倍と減少傾向にあり、質の確保が難しくなりつつある。 今年は、民間企業の面接解禁が6月1日と前年よりも2カ月早まるほか、大阪府教委も1次試験を昨年より24日早い7月2日に設定した。府教委教職員課は「優秀な人材を逃さないために、採用活動を早めることにした」と説明している。 |
京都市教育委員会は2日に開かれた市議会代表質問で、組み体操中の事故が本年度、小学校で16件あったと報告した。うち12件は、指や手首などの骨折やひびだったという。一部自治体で禁止や段数制限の動きがあるが、市教委は「段数や高さのガイドラインは設けていないが、安全を徹底する」として制限しない意向という。 市教委体育健康教育室によると、組み体操を本年度実施したのは、小学校166校のうち155校、中学校73校のうち14校だった。中学校での事故報告はなかった。 昨年度は小学校でのみ6件事故があり、うち4件が骨折だった。 小中高校での組み体操をめぐっては、骨折などの事故が多発しているとして、大阪市教委がピラミッドとタワーの実施を禁止し、名古屋市教委がピラミッドを4段に制限するなどの動きがある。 京都市立学校では、本年度はピラミッドは最大で小学校が7段、中学校が8段だった。 ![]() |
京都府教育委員会と京都市教委は2日、7日に実施する公立高入試の中期選抜の志願者数を発表した。全日制53校の志願者は前年度比0・6%減の8282人だったが、府北中部の府立高が募集人員を前期選抜に一部振り替えた影響で志願倍率は同0・02ポイント増の1・1倍だった。志願者が募集人員を下回る学科が全体の4割を占めた。 全日制の学科別の志願者数と倍率は普通科が7602人で1・11倍、専門学科が573人で1・09倍、総合学科が107人で0・91倍だった。 最も志願倍率が高かったのは、伏見工業と洛陽工業が統合して4月に開設される京都工学院プロジェクト工学科ものづくり分野で3倍。田辺自動車科が2・33倍、京都工学院プロジェクト工学科まちづくり分野が2倍で続いた。 志願者が募集人員を下回ったのは33学科で、前年度より6学科多かった。特に口丹地域や丹後地域の府立高で苦戦が目立ち、志願者ゼロや1人の学科もあった。 中期選抜は第2志望まで書けるため、現時点で募集人員に達しなくても定員割れになるとは限らない。 定時制11校の志願者数は前年度比0・4ポイント減の208人で、志願倍率は同0・12ポイント減の0・38倍だった。 ![]() |
京都市教育委員会は1日に開かれた市議会代表質問で、現在、学校ごとに異なる小中学校の長期休業期間を、2017年度以降、中学校区内で統一する方針を示した。16年度中に校長会などで検討するという。 市教委は13年度に小中学校で2学期制を導入し、長期休業期間を学校の裁量で運用できるようにした。その結果、期間に遠いが生 まれ、本年度の夏休み開始日は小学校で、7月17日5校▽21日4校▽22日20校▽23日51校▽24日86校、中学校で、17日68校▽21日4校▽22日1校-となっていた。 学校指導課によると、将来的に全小中学校での統一を目指し、まず同じ中学校区で合わせる。16年度はすでに学校行事が組まれてい るため、従来通り各校が決める。「小中一貫教育や地域連携が重視されており、できるだけ早く進める」としている。 各小中学校での休業期間の違いに関しては「地域行事の開催に支障がある」との声が出ていた。 ![]() |
昨年10月1日時点の日教組の組織率が前年より0・5ポイント減の24・2%となり、過去最低を更新したことが1日、文部科学省の調査で分かった。39年連続の低下。日教組以外も含めた教職員団体全体の加入率も40年連続で低下し、0・9ポイント減の36・3%となった。 調査は大学と高専を除く公立学校の常勤教職員約102万人を対象に実施。教職員団体に加入しているのは約37万人だった。 このうち日教組は前年より約6千人減の約24万7千人。全日本教職員組合は約3千人減の約4万4千人で組織率4・3%、全日本教職員連盟はほぼ横ばいの約2万人で組織率1・9%となっている。(共同通信) ![]() |