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  • 懲戒5件非公表.28
  • 「研究者よ、国になびくな」.30
  • 教員、6時までに退校を.31
  • 5月31日 自民議連 教員、6時までに退校を

     学校教員の長時間労働是正を検討している自民党の議員連盟(会長・塩谷立衆院議員)は31日、午後6時までに退校できる体制づくりや、部活動の負担軽減を求める提言の中間取りまとめを馳浩文部科学相に手渡した。

     中間取りまとめは「教員の長時間労働に支えられている状況は既に限界」だとして、抜本的な改革が必要と指摘。

     その上で(1)教員全員の午後6時までの退校を目指し、勤務時間管理や健康管理などを促進する(2)部活動は大会などを除き、土曜、日曜を休養日とする(3)業務を明確化し、給食費の徴収業務などを極力行わせない―ことなどを提言した。


    自民議連が提言  教員の負担軽減 “土日を休養日に”

     教員の長時間労働が課題となるなか、自民党の議員連盟のメンバーは馳文部科学大臣と面会し、教員の負担軽減につなげるため中学校での部活動は大会などの特別な場合を除き、土曜日や日曜日を休養日にすることなどを求める提言を提出しました。

     31日、文部科学省を訪れたのは、自民党の塩谷政務調査会長代行ら党の議員連盟のメンバーで、馳文部科学大臣に教員の長時間労働の是正に向けた提言を手渡しました。

     この中では「教員の長時間勤務が慢性化し、児童・生徒と向き合う時間が十分に確保できていない」などとして、教員が担うべき業務を大幅に見直すよう求めています。

     具体的には、中学校の部活動について、大会などの特別な場合を除き、土曜日や日曜日などを休養日にするとともに、外部指導者を積極的に配置するとしています。また、給食費の徴収などの業務については、事務職員の配置や外部化の促進などを通じ、教員に極力行わせないようにするなどとしています。

     提言を受け取った馳大臣は「教員のワークライフバランスを考え、体制や制度作りに取り組んでいきたい」と述べました。(NHK)


    教員のオーバーワークはこれまでにも問題とされてきた。従来は教員組合の側からの問題提起が多かったのだが、TALISなどの国際調査の結果などが手伝って文科省の課題ともなっていた。ただ背景には、超過勤務手当についての労基法36・37条の適用除外を定めた給特法廃止の動きもあり、それにともなう財政的な補填も深刻になるとの予想も働いているようだ。問題は「教員の負担」が何なのかを明示的に分析する必要がある。子どもの問題をすべて学校や教員の責任としてきたこれまでの自民党の文教政策への反省なしには済まされないだろう。


    5月30日 軍学共同反対シンポ 「研究者よ、国になびくな」検討を

     大学や研究機関が国と連携し、軍事目的の科学研究を行う「軍学共同」に反対するシンポジウムが29日、京都市左京区の京都大であった。航空宇宙や無人機など、軍事にも民生分野にも応用できるデュアルユース技術などについて学者らが問題提起し、学術界のあるべき姿を探った。

     京都産業大の益川敏英教授らが発起人となり昨秋立ち上げた「安全保障関連法に反対する学者の会」の主催で、約100人の学者や市民らが集まった。

     学者の会設立を呼び掛けた一人、池内了名古屋大名誉教授が基調講演し、2014年の武器輸出三原則撤廃などを例に、第2次安倍政権下で軍学共同が急速に進展したと指摘。デュアルユースにつながる基礎研究に資金を配分するため、防衛省が昨年始めた「安全保障技術研究推進制度」に関しては「民生分野の活用は幻想にすぎない。大学が国の下請けとなり、秘密研究に直結する」と批判した。

     一部の大学が同制度を活用する背景には研究費の少なさがあるとしながらも、池内名誉教授は「研究者は国になびいてはならないという社会的責任がある。大学組織としては軍事研究に関する行動・倫理規範などを整備する必要がある」と訴えた。



    5月28日 市教委 懲戒5件非公表

     生徒だった女性と性的関係を持った京都市立鳴滝総合支援学校(右京区)の元男性教諭(59)を懲戒免職処分としながら、市教育委員会が事実を公表していなかった問題で、市教委は27日、2006年度以降の懲戒処分35件のうち、5件を非公表にしていたと明らかにした。

     市議会教育福祉委員会で報告した。懲戒免職11件のうち4件、懲戒停職14件のうち1件を非公表としていた、という。

     市教委は、元教諭の処分について、女性や保護者から公表や保護者説明会の開催を何度も求められた経緯を明らかにした上で、元生徒が特定されるなどの二次被害を生じかねず、プライバシーに配慮する必要があると考えた」と対応を見送った理由を説明した。

     懲戒処分を非公表とするケースは「被害者のプライバシーを損なったり、子どもの心身に重大な影響を与えたりする可能性がある場合」とし、13年度までは市の人事行政白書に記載する処分件数にも含めていなかったことも報告した。

     女性側が市に「学校は事案をもみ消し、生徒の人権より事なかれ主義を優先した」などとして、450万円の損害賠償を求めて京都地裁に起こした訴訟に対しては、「応訴し、経緯や考え方、対応を説明する」とした。敗訴した場合は賠償金の支払い分を元教諭に請求する意向を示した。

     また、教員OBが設立したNPO法人に元生祥小(中京区)の教室を明確な規定に基づかずに、市教委が無償貸与している問題では、「他のNPOや市民からの疑義を生じさせる」と認め、手続きを経た上で使用料免除にすることを検討するとした。


    事件が公になって慌てて対応策をとったという印象が強い。市教委のこれまでの体質を表しているように思える。また、「敗訴した場合は賠償金の支払い分を元教諭に請求する」というのは筋違いではないか。事件についての責任は元男性教諭が当然負うべきであるのは自明だが、公表しなかった責任は市教委にあるのだからこの議論は責任転嫁ではないか。


    5月28日 市教委 開智幼稚園、こども園に

     京都市教育委員会は27日、園児数が減少傾向にある開智幼稚園(下京区)を民間経営の認定こども園に転換する方針を明らかにした。2018年度の開園を目指す。市立幼稚園が認定こども園に衣替えするのは初めて。

     同日開かれた市議会教育福祉委員会で表明した。

     開智幼稚園は少子化の影響などで園児数が減少傾向にあり、定員90人に対して現在の園児は42人にとどまっている。地元の開智自治連合会が昨年8月、幼稚園と保育所の両方の機能を備える認定こども園への移行を要望したことから、市教委が検討を進めていた。

     新設する認定こども園は保育所枠で90人、幼稚園枠で45人の定員を予定し、最大150人程度を受け入れ可能な規模として整備する。施設の建設や運営を担う主体は学校法人や社会福祉法人から公募し、今年12月に決定する方針。

     園舎の建て替えに伴い同園は本年度末で閉鎖。現在の園児は来年4月に有隣小跡地に移転する楊梅幼稚園(下京区)に通えるようにし、開園後の認定こども園に転園することも可能にする。


    統廃合後の小学校跡地の処分を含めて民間経営が既存の方針のようだが、公的な責任が希薄になり受益者負担が益々大きくなる傾向。


    5月26日 文科省 学テ結果、研究者に

     文部科学省は25日、小6と中3の全員を対象に毎年実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の詳細な結果データを、2017年度から希望する大学の研究者らに提供することを決めた。データを活用した多様な研究成果を教育施策に反映させる。19年度から中3で英語を追加して3年に1回実施することとともに、同日の専門家会議で了承された。

     文科省は、全国学力テストのデータ研究だけでなく、学級規模や習熟度指導と学力との相関関係などの研究も進める。公立小中学校の教職員数を巡って文科省は、削減を求める財務省と対立しており、これらの研究結果から少人数指導の有効性などを立証し、教職員数増につなげたい考え。

     学級規模と学力との関係といった研究は、国立教育政策研究所などに委託する。自治体が独自に実施している学力テストの結果を使い、各自治体での学級規模や習熟度別指導が、学力向上にどう影響しているかを調査。政策的に増員した教員やスクールカウンセラーの配置が、不登校の解消にどのような効果があったかも分析する。

     全国学力テストで追加される英語は「読む・聞く・書く・話す」の4技能をそれぞれみる。「話す」は、3技能とは別の日に教員がテストを実施し、採点する。


    そもそも悉皆の学力テストを毎年実施する根拠がないことは毎回書いている。あえて「データ公開」が必要だとも思えないが、財務省との綱引きにだけ利用されているという感がする。もちろん、教育費の支出が先進国でもっとも少ないことは問題なのだが、学テで出費するのは見当違い。


    5月21日 京都市 東山の小学校跡地にホテル建設へ

     京都市は20日、東山区の元清水小を活用する事業者に、ホテルを提案したNTTグループの不動産会社「NTT都市開発」(東京)を選んだと発表した。同市の学校跡地がホテルとして活用されるのは初めて。同社は運営を国内有数のホテルに任せる方針で、早ければ2018年にも開業する見通しという。

     計画では、昭和初期(1933年)に建てられた既存校舎(4階建て、延べ床面積約4200平方メートル)の外観を保全しつつ、40室のホテルに改修する。グラウンド部分は未確定だが、駐車場や観光客らの休憩スペース、地域の運動会用スペースなどを今後検討する。

     また、ホテルと入り口を分けた独立の地元利用施設(2階建て)を新設し、集会所のほか、元清水小の思い出の写真や動画を展示するアーカイブミュージアムを設ける。敷地は全体で約7300平方メートルあり、同社は60年間の貸し付けを希望。市に払う借地料は年間6500万円と提案した。

     市は2012年7月、少子化に伴う統廃合で生じた学校跡地を民間でも活用できるようにした。元清水小では、多くの観光客でにぎわう清水寺に近い立地や地元の意向も踏まえ、校舎の外観を保全・再生した上でホテルか婚礼施設に活用するとの条件で昨年7〜10月に事業者を募集した。

     10社から応募があり、学識者や観光関係者、地元代表らでつくる選定委員会が提案内容などを採点。NTT都市開発は豊富な自己資金を持ち、地元への配慮にも優れているなどとして、210点満点で170・4点を付けてトップとした。市は6月中に同社と基本協定書を締結する。

     NTT都市開発は、3月に閉館した商業施設の旧新風館(中京区)跡地にもホテルを核とする複合施設を建設中で、19年春の開業を計画する。元清水小でのホテル運営事業者は未定といい、「歴史あるレトロな外観を生かし、旧新風館に誕生するホテルとの相乗効果で国内外から集客したい」(総務部)としている。

     門川大作市長は「NTT都市開発には、今後とも京都の歴史的景観や伝統産業の振興、京都ならではの価値を生かす取り組みを地域とともに深化させてほしい」とのコメントを出した。


    【解説】 「地域の拠点」配慮必要

     京都市は元清水小について、学校跡地の民間活用では初めてホテル計画を選んだ。市内では外国人をはじめ観光客が急増し、宿泊施設の不足が指摘されている。ほかの学校跡地でも「ホテルに活用したい」との声が市に多数寄せられており、こうした流れが強まる可能性は高い。市が4年前に学校跡地の民間活用に道を開いたのは、財政が厳しい中で敷地の貸付料を不足する歳入に充てる狙いもある。

     しかし、学校は地域の自治活動や防災の拠点でもあり、閉校した後もその重みは変わらない。市は活用を希望する事業者には、地元利用への配慮を最大限求めていく方針だが、「民間のもうけのために学校跡地を差し出すのか」「従来のように、福祉や文化施設など公的な活用を優先すべき」という疑問や批判があるのも事実だ。

     今後、市が民間活用の対象とする学校跡地は残り14力所ある。市は観光振興や台所事情だけにとらわれず、それぞれの地元に合った使い道を幅広く模索することが求められる。


    かつて門川市長は、市内の番組小学校を「竈金(かまどきん)の精神」で作り上げた学校と持ち上げ地域の力を強調した。しかし、2期目からの都市政策は金儲け主義が先行していて都市に住む住民側の施策から遠ざかっているように見える。ただこれらの校区の「住民自治」を手放しで賞賛するわけにはいかない。行政のコストパフォーマンスに見合うような「住民自治」の側面も相半ばする。


    5月20日 京都新聞社説 再雇用減給判決

     ■安易な経費抑制に警鐘

     同じ仕事をしているのに賃金が引き下げられるのはおかしい― 。横浜市の運送会社を定年後、再雇用された運転手3人が起こした訴訟の判決で、東京地裁は賃金引き下げを違法と判断し、会社に定年前と同水準の賃金を払うよう命じた。定年後の再雇用者の処遇で違法性を認めた判決は初めてという。

     65歳までの継続雇用制度によって定年後も職場に残って働く人が増えている。多くの企業で再雇用時に賃金水準が下げられてきたが、判決は同じ仕事内容のまま再雇用を理由として安易に人件費を抑えることに警鐘を鳴らした。

     政府は働き方改革で「同一労働同一賃金」実現を掲げているが、定年後の再雇用者にとどまらず、非正社員全体の処遇改善を進める上で重要な視座になるだろう。

     原告の3人は60歳の定年退職と同時に1年契約の嘱託社員として再雇用された。定年前と同様に大型タンク車を運転しているが、賃金は7〜8割に減ったという。

     地裁が会社側の違反を認定したのは、有期契約の労働者と正社員に不合理な格差を設けるのを禁じた労働契約法20条に基づいてだ。判決は「仕事内容が同じ場合は貸金格差があってはならない」と明確に指摘した。再雇用時の賃下げ自体は、コスト増大を抑えつつ高齢者の雇用を確保するために合理的」だが、運送会社は人件費圧縮が必要な財務状況でなく、違法な賃下げと判断した。

     会社側は運転手も同意したと主張したが、「同意しなければ再雇用されない恐れがあった」と無効にした。相対的に弱い労働者の立場を踏まえた常識的判断だろう。

     65歳までの雇用は、年金支給開始年齢の引き上げに伴い、2013年度から全希望者に対象を広げて企業に義務付けられた。多くの企業は処遇を引き継ぐ定年延長ではなく、再雇用で対応している。

     労働政策研究・研修機構の13年調査では、8割近い企業で定年前と同じ全日勤務が主だが、給与平均は定年時の7割弱にとどまる。割安な労働力として使われている面は否めない。

     人手不足が強まる中、高齢者雇用は企業の貴重な財産だ。若手への継承を含めキャリアをどう生かすか、業務や処遇の戦略的な見直しが欠かせない。

     政府は正社員と非正社員の格差縮小のため、どんな格差が認められないのか指針を検討中だ。合理的な理由が必須とする今回の判決も土台になろう。掛け声で終わらず、中小企業の後押し策など処遇底上げへ具体的手だてが必要だ。


    労働契約法20条は「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」 と規定している。これにかかわって「郵政労働者ユニオン労働契約法20条裁判」が2014年から始まっている。他にも東京メトロコマース社事件も現在係争中。同一労働同一賃金について考える手がかりとなる。


    5月17日 市教委 教諭、障害ある生徒と関係

     京都市立鳴滝総合支援学校(右京区)の教諭だった男性(59)が、当時の女子生徒(21)と性的な関係を持ち、2014年3月に京都市教育委員会から懲戒免職処分を受けていたことが17日、分かった。市教委は処分を公表しておらず、「生徒への影響を考慮した」と釈明している。

     市教委や関係者によると、男性は妻帯者だが、12年8月ごろから、3年の女子生徒に性的関係を求め、13年3月の卒業後も不適切な関係を続けた。生徒は発達障害などがあった。女性は心身に不調をきたし14年1月から心療内科に通い、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

     関係者によると、女性は家族に相談し、児童相談所を通じて教育委員会に申し入れて発覚。学校側に対し、懲戒処分の公表と、同様の被害発見と再発防止のため、保護者説明会の開催や、在校生らへのアンケート実施を求めた。しかし、学校側は保護者説明会は開催せず、アンケートは行ったが、女性の事案を伏せた上で在校生だけに一般的な悩みの有無を聞く不十分な内容だったという。

     また女性側は、障害がある生徒にうそをついて性的にもてあそんだ上、「学校は事案をもみ消し、生徒の人権より事なかれ主義を優先した」などとして、京都市を相手に、450万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴している。


    男性教諭の行為は許されざるものである。加えて、市教委のとった行動は人権教育への不信感を募らせるもので、これも許されるものではない。前教育長の時代の事件であるのだが、なぜ公表しなかったのかということは現在の教育委員会として真相を究明する責務があるはず。


    5月17日 市教委 廃校小学校教室、教員OB団体に無償貸与

     京都市教育委員会が廃校とした小学校の教室を、教員OBが設立したNPO法人に無償で貸していることが16日、分かった。旧校舎の貸付料を減額する場合はあるが、無料貸与は一部の公共団体を除き、他にないという。市教委は「教員研修を手がけるNPOで施設の目的にかなう」と説明するが、規定がない上に第三者機関の判断に基づいておらず、有識者は「無償にはきちんとしたルールが必要。身内だからとうやむやにしたのではないか」と指摘している。

     市立中の元校長だった男性が代表理事を務めるNPO法人で、元生祥小(中京区富小路通六角下ル)に入居している。市教委によると、任意団体だった2013年8月から2教室を無料で貸与した。NPOは事務所や市立学校教員を対象にした研修会の会場に使い、他団体が主催する教育関連の催しに無料でまた貸ししたこともあるという。正規賃料は年間約53万円になる。

     旧市立小校舎の教室を継続使用しているのは、他に、市の関連機関やNPOなど13団体。貸付料を減額する制度もあり、元崇仁小(下京区)の京都市立芸術大だけが100%免除されているが、制度にのっとらずに無償とするのは、他に例がないという。

     市教委は「貸付料を取るのは、行政財産を目的外利用する場合。NPOは教員の資質向上という学校施設の本来的な使い方であり、無償は正当性がある。ただちに見直す考えはない」としているが、施設利用における明確な規定はなく、他の市施設の資産活用のように第三者委員会に諮った上での判断でもないという。

     NPOの代表は「市教委に協力する活動の場所を探していたところ、元生祥小を紹介された。賃料の話は出なかったと思う。活動自体は持ち出しが多く、赤字で運営しているのが実情」と説明している。

     同志社大政策学部の山谷清志教授(政策評価論)は「(公共施設の利用を)無償とする場合は公平なルールに基づいてやらないと説明責任を果たせない。NPOの活動の目的が良くても、手続きはしっかりすべきだ」と市教委の対応を疑問視する。


    ここで示されているNPOは「EDU・LABO教育イノベーション開発研究所」で元下京中学校の村上幸一氏が代表を務めている。これまでにも、特定の研究会に多額の支援をしているなど市教委の公正さはしばしば問題とされている。


    5月15日 文科省 障害のある子の「カルテ」義務化

     障害のある子どもを小学校から高校まで一貫して支援し、進学や就労につなげるため、文部科学省は進学先にも引き継げる「個別カルテ(仮称)」を作るよう、各校に義務づける方針を固めた。通常学級に通う比較的軽い障害や発達障害の子どもも対象で、2020年度以降に導入する。

     個別カルテには子どもの障害や健康の状況、保護者と本人の希望や目標などを書き込む。卒業後は進学先に渡し、これまでの子どもの状況を把握してもらう。

     いまの学習指導要領では、子どもの目標や支援内容についての「個別の教育支援計画」や、教科ごとの指導状況などを記す「個別の指導計画」を作るよう勧めているが、義務化はしていない。文科省の15年度の調査では、特に支援計画は該当者のいる公立小中の1割、公立高校の4割が作成していなかった。

     さらにこうした計画を中学や高校に引き継ぐかどうかは各校が独自に判断している。このため新しい学校が障害に応じた最適な指導方針を把握しきれていない恐れがあり、特に高校では適切な進路指導がしにくい状況にあると文科省はみている。

     個別カルテは、いまの支援計画と指導計画をもとに、小学校から高校まで引き継ぐことを前提とした書式を目指す。文科省は20〜22年度に順次始まる小中高校の新学習指導要領での義務化を検討する。(朝日新聞デジタルニュース


    障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されたことでいわゆる「合理的配慮」行う必要性が生じることからの措置と考えられる。そもそも「個別の指導計画」が障害を持つ子どもの個的な能力に着目しているという点で不十分である事。そして、「個別の指導計画」の扱いが個人情報としてのレベルの扱いになっているかどうか、開示が適切に行われているかどうかも未整理だといえる。「カルテ」に記載される側は12年間、記載する方ははるかに短期間で「カルテ」から解放される。この非対称な関係を考えると「カルテ」として12年間も使われることに大きな危惧を感じる。


    5月13日 東京地裁 同じ仕事で減給「違法」

     横浜市の運送会社を定年退職後、有期契約で再雇用された運転手3人が「仕事内容は全く変わらないのに、賃金が引き下げられたのは理不尽だ」として起こした訴訟の判決で、東京地裁13日、引き下げを違法と判断し、運送会社に定年前と同水準の賃金を支払うことを命じた。

     労働契約法20条は有期契約の労働者と正社員の待遇に不合理な格差を設けることを禁じている。原告側代理人によると、この規定に 基づいて定年後の再雇用者について違反を認めた判決は初めてで、再雇用者の待遇改善を巡る議論に影響しそうだ。

     判決理由で佐々木宗啓裁判長は「コストの増大を避けつつ高齢者の雇用を確保するために、再雇用後の賃金を下げること自体は合理的だが、仕事内容が同じ場合は賃金格差があってはならない」と指摘した。

     その上で原告3人のケースを検討し「仕事は正社員と同じで、定年前と能力に差があるとも考えにくい。運送会社は再雇用制度をコスト削減の手段としていた側面があるが、人件費圧縮が必要な財務状況ではなかった」として、違法な賃下げと判断した。

     3人は横浜市の「長沢運輸」に勤務。判決によると2014年3〜9月の定年退職と同時に会社と再雇用契約を結び、正社員と同様に大型タンク車を運転していたが、賃金は定年前の7〜8割に減った。

     判決は長沢運輸に、これまでの引き下げ分として1人当たり98万〜204万円を支払い、今後は定年前の給与水準に戻すよう命じた。

     原告側代理人の花垣存彦弁護士は「定年後は賃金が下がって当然との考え方が広がる中、画期的な判決だ。同じ業界で働く60歳以上の人にとって大きな意義がある」と評価した。

     原告の鈴木三成さん(62)は判決後「今も全く同じ車を運転し、月の走行距離は4千キロにもなる。朝5時ごろから働く日もあり、賃金だけ下がるのは不合理だと思っていたので、うれしい」と話した。


    日本労働弁護団の会長を務める徳住堅治弁護士の話 思い切った判断

     これまでの裁判では労働契約が違法で無効と認めても、使用者側に損害賠償を命じるだけというケースが多かった。今回の判決は再 雇用契約を無効だと判断した上で、正社員と同じ貸金水準で処遇すべきとしており、とても優れた判断手法だ。裁判官がここまで思い切った判断をできる背景には、労働者の賃金に対する社会情勢の変化があると言え、今後も同じ方向に進んでいくことが期待される。


    労働契約法は公務員に適用されないというのが通常の解釈だが、この判決で示された判断は相当に重いと言えそうだ。教員の再雇用(とりわけ小学校教員)は「フルタイム」の仕事しかなく、おまけに定数内とされている。つまり「仕事内容が同じ場合は賃金格差があってはならない」との判断から真っ向対立する現状がある。公務員の再雇用制度を改めて考え直す契機となるはず。


    5月12日 ヘイトスピーチ対策法案成立

     特定の人種や民族への差別をあおるへイトスピーチ(憎悪表現)を根絶するため、国や自治体に教育や啓発活動の充実を求める与党提出法案が12日、参院法務委員会で全会一致で可決した。本会議での採決を経て衆院に送られ、今国会で成立する見通し。憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、禁止規定や罰則はない。

     法案は、保護対象を適法に日本に居住する日本以外の出身者や子孫とし「差別意識を助長する目的で、公然と生命や身体、名誉、財産に危害を加える旨を告知する」ことや「著しく侮蔑する」ことを不当な差別的言動と定義。「許されないことを宣言する」と明記した。

     国や自治体には相談体制の整備や、教育、啓発活動の充実を求めた。

     野党は「ヘイトスピーチは違法だと明記しなければ法律の実効性がない」と主張。与党は「表現行為を違法と判断することには慎重であるべきだ」と反論し、見送られた。

     さらに野党は「適法に居住」「日本以外の出身者」という要件を「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判。法的拘束力はないが、国会の意見を表明する付帯決議に「国際条約の精神に鑑み適切に対処する」と盛り込むことで与党と合意した。

     旧民主、社民両党などは昨年5月に「人種等を理由とする不当な行為」を禁止し、実態調査のため有識者の審議会を内閣府に設置する法案を参院に共同提出。自民、公明両党が今年4月に提出した与党案を修正する形で議論が進み、野党案は12日に否決された。


    以前から与党の姿勢に疑問が指摘されていた。不十分な法案としかいいようがないのは確か。「理念法」に過ぎないとも受け取れるけれども、とにもかくにも「ヘイトスピーチ」に対する社会的な合意を形成する材料が出来たという事は評価できるだろう。今後は自治体レベルでの条例制定の段階でどれだけ実効性を高めることができるだ。法案成立で終結ではなくこれからようやくスタートと考えるべきであろう。


    5月12日 府・市教委 主権者教育 身近な課題で

     選挙権年齢の18歳への引き下げを受け、京都府、京都市両教育委員会は、教員向けに主権者教育の手引きを作成した。いずれも身近な地域の課題を通して生徒の政治に関する知識を育む方針を掲げ、具体的な手法として模擬投票やデイべートを例示する。政治的中立 性の確保も求めている。

     府教委の手引きは府立高や特別支援学校高等部が対象。地域貢献活動と法やルールの教育、政治的教養を育む実践の三つを主権者教育の土台に据え、生徒に地域社会の一員としての意識や法制度の知識、政治について考える習慣を身に付けさせるよう説いている。

     留意点として、政治的中立性の確保や多様な見解の提示を求めた。政治的活動に対する指導は生徒の権利行使を妨げたり、政治的 信条の是非を問うたりすることを戒めている。実践事例では地方議会の傍聴や賛否の分かれる社会的課題をテーマにした議論、模擬市長選挙などを挙げた。

     市教委は高校だけでなく小中学校も対象に含めた。充実すべき教育活動に地域貢献やボランティアを挙げ、論理的思考や多角的視点 の育成も目標に掲げた。

     学習指導案も小中高別に作り、小学校は市役所や市議会の役割を調べる学習、中学校は選挙制度や死刑制度などについての意見発表を挙げた。高校では市での鉄道整備を想定したグループワークや消費増税をめぐる討論をモデル授業で示した。


    主権者教育で最も注意が必要とされるのは「政治的中立」だが、「触れない」ことでそれを確保しようとすることは逆効果になる。しかし、生活とかけ離れた「問題」を取り上げる事や「動員型」の参加を強要する事は「触れない」こと以上に政治離れを招く事になる。「手引き」がガイドラインになって現場の裁量を狭めることがないような運用が必要。


    5月11日 市教委 知的障害者 学校で採用

     京都市教育委員会は10日、知的障害のある人を臨時職員として採用する試験を初めて行うと発表した。採用者には市立総合支援学 校でパソコン入力などの事務補助や清掃業務などの軽作業に当たってもらう。

     市教委はすでに、教員や学校事務職員の採用で身体障害者を対象にした特別選考を設け、教員と事務職員を2人ずつ採用している。 障害者施策の一環で採用対象を広げることにした。

     採用人数は若干名。任用期間は10月1日から約1年半となる。勤務条件は合格者の希望や能力、障害の程度に応じて過38時間45分 (日額6500円)と週25時間(同4200円)、週20時間(同)から決める。

     受験資格は4月1日時点で65歳未満、療育手帳の交付を受けており、介護者なしで仕事が可能な人。3次試験まであり、1次の筆記試験は6月19日に行う。受付は5月末まで。

     問い合わせは教職員人事課(電)075(222)3781へ。


    障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が4月1日に施行されたのを受けてのことであるが、知的障害者を対象としたことには大きな意味がある。これは始めの一歩であることを確認しておく必要があるし、より重度の人たちの雇用を視野に入れたものでなければならない。同時に「働かない、働けない」障害者についてどのような社会的支援が可能なのかも提起されrなければならない。つまり、能力に応じた処遇ではなく、人の生き方の問題として障害者をとらえる視点が不可欠であるということ。


    5月11日 文科省 学テで中3英語

     英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能をみるため、中学3年全員を対象に2019年度から3年に1回程度行うことを検討している新テストについて、文部科学省の専門家会議は10日、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の中で実施する案を示した。教室でDVDの音声を流して「聞く」力を、教員との約10分の対面式で「話す」力をみる。月内にも最終案をまとめる方針。

     全国学力テストは現在、国語、算数・数学を毎年、理科を3年に1回、記述式で実施し、委託業者が採点している。英語は、出題と解答の方式がこれらの教科とは異なるため、専門家会議は一部で教員による採点を検討。実施手順や採点態勢を検証するため、18年度中に抽出の予備調査が必要とも言及した。

     英文を聞いて概要を把握したり、身近な話題で自分の考えを伝えたりする出題を検討する。基礎的な知識だけでなく、思考力や表現 力も問う。「話す」を除く3技能は計45分程度の時間で国語などと同じ日に実施。「聞く・読む」はマークシートで答える。「話す」は当面、一定期間を空けて別の日に実施する方向だが、時間の確保や教員の負担軽減が今後の検討課題となりそうだ。

     「書く」技能の採点者には研修をさせるなど、一定要件を設け、「話す」では生徒の力をきめ細かく把握するため、教員による採点を検討する。

     4技能別の平均正答数や平均正答率などの結果公表を予定。政府の教育振興基本計画は中高年の英語力向上を掲げており、結果を授業改善や教員研修に反映させる。


    教員への負担はますます大きくなることは必至だが、こうした形式の、いや学テそのものが必要かどうか改めて考えなければならない。60億円もの経費をかけて競争を煽るシステムを構築し、さらに教科を拡大する方向は、教員や子どもにとって(外国語を)「学ぶ」ことの楽しさを知る事よりも苦痛だけを強化することになりはしないかと危惧する。


    5月9日 京都府 実践型食育 全小中校で

     京都府は、2016年度から5年間に取り組む食育活動の指針となる「第3次食育推進計画」を策定した。農業体験などを含めた食育に取り組む学校数や、府内産食材を用いた弁当を宅配する施設の増加など、13の目標を示した。子どもや子育て中の親世代だけでなく、人数が急速に増えている高齢者向けの対応も盛り込んだ。

     新たな目標では、児童や生徒が農作物の栽培や収穫、調理などを体験する「実践型食育」の実施校の増加を挙げた。14年度に6割弱の府内小中学校で行われていたが、全校実施を月指す。

     子育て中の親世代ら向けには、府のホームページで講座形式の「食の安心・安全府民大学(仮称)」(年6回)を公開する。大学教員や管理栄養士資格を持つ府職員が、子どもの成育に応じた栄養摂取や調理の方法などを教えるという。

     また、府が認定する直売所「京野菜ランド」(計61施設)では、5施設で弁当や総菜の宅配を始めるよう促す。外出が難しくなった高齢者らが、地産地消で健康的な食べ物を味わえる機会をつくる。

     一方、15年度までの第2次計画で目標を達成できなかった「朝食を毎日食べる小中学生の割合」については、新計画でも向上に向けた取り組みを継続する。小学6年を87%から95%、中学3年を82%から90%に引き上げるとする。

     府食の安心・安全推進課は「子どもの朝食離れは、共働きで忙しい親世代の影響もあって対策が一筋縄ではいかないが、粘り強く取り組むしかない。増加する高齢者向けも含め、全世代で施策を行いたい」としている。



    5月3日 国立青少年教育振興機構 スマホ熱中 生活乱れ関係

     国立青少年教育振興機構は2日、朝食や歯磨きなどの生活習慣が身に付いていない子どもほど、スマートフォンや携帯電話を気にしたり、操作したりする傾向があるという調査結果を発表した。調査は2015年2〜3月、公立の小学4〜6年と中学2年、高校2年を対象に実施し、約1万人のデータを分析した。

     スマホなどについて熱中度を「高い」から「低い」まで5段階に分類。さらに生活習慣も関連する質問項により「身に付いている」から「付いていない」まで5段階に分けて、関係を調べた。機構によると、生活習慣が身に付いている集団のうち、スマホ熱虫度が「高い」との回答は15・0%。生活習慣が身に付いていないほど「高い」の割合は増え、あまり身に付いていない集団で29・5%、身に付いていない集団で32・6%と、およそ倍の開きが出た。


    「調査結果のポイント」には「子供の自己肯定感や道徳心など豊な心をはぐくむためには、子供への関わりやしつけを通じて、生活体験やお手伝いといった日々の体験を充実させたり、規則正しい生活習慣を見につけさせることが大切」とある。同日付けの記事に非正規の郵便局員の給与が子供二人の夫婦合わせて25万とあった。低所得者層が不健康になる傾向が強い事は、これまでも言われててきたが、「子どもの貧困」への対策は掛け声ばかり。