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  • 学テ 地域差縮小進む.29
  • 学校にタイムカード導入.29
  • 過度な部活学力に関係か.29
  • 非正規常勤講師7.8%.30
  • 8月30日 府内の小中 非正規常勤講師7.8%

     京都府内の公立小中学校で非正規教員として任用されている常勤講師の割合は、国が定めた教員定数の7・8%を占め、全国平均を0・7ポイント上回ることが文部科学省の調査で分かった。担任などの重要業務を担う教員の1割近くが不安定な身分で働いていることになる。国全体でも常勤講師の割合が増えており、少子化をにらんだ「調整弁」の役割を担わされている実態が背景にある。

     文科省によると、2016年5月1日時点で、教員定数に占める常勤講師の割合は、京都府が7・8%で888人、滋賀県6・9%で508人だった。全国で最も高いのは、沖縄県の15・5%で、定数を正規教員(教諭)で満たしているのは東京都のみだった。

     定数に占める常勤講師の割合は国全体で増えており、05年度は5・6%だったが、16年度は7・1%になり、4万人を超えた。

     常勤講師は本来、緊急の事情がある場合のみの臨時的な任用だが実際は継続的な任用が常態化している。担任や部活指導など教諭と同様の仕事を担う。一方で給与は教諭より低く、単年度ごとの任用のため、3月中旬まで翌年度も職があるかどうかが分からない。

     府と京都市の両教育委員会によると、少子化による将来の学級数減や、政策によって毎年変化する加配定数への対応のため、常勤講師の雇用をやめることはできないという。

     講師の中には採用試験に受からないまま20年以上も教壇に立ち続けている人もいる。府教委教職員人事課は「採用試験に受からない からといって指導力がないという認識ではない。正規の数を増やしたい気持ちはあるが、大量退職期で新規採用と再任用希望の調整が難しく、結果的に増えてしまった」と話す。

     労働問題に詳しい京都弁護土会の福山和人弁護士は「常勤講師は公務員としての身分保障はなく、労働者としての保護も不十分で、 非常に弱い立場にある。教育現場の過重労働や質の向上が課題となる中、国は正規教諭を増やすべきだ」と指摘した。


    数字的には定かではないが非正規非常勤講師の割合も京都は上位にランクされている。府独自の教育施策によるものと思われるが、定数改善が行われない少人数学級に準ずる要員。この人たちの処遇は更に劣悪なものだということは知られていない。近年、教員組合(日教組・全教)にとっても組織拡大だけではなしに現場の職務軽減問題として軽視できない課題となっている。


    8月29日 全国学テ 過度な部活学力に関係か

     全国学力テストの生徒へのアンケートで、文部科学省は初めて中3の部活動時間を尋ねた。教員や生徒の「過度な負担」になっているとの批判もある部活動の見直しは、教員の働き方改革とも絡んで喫緊の課題だ。文科省は「部活動が一定の時間を超えると、平均正答率が下がる」と読めるデータを公表。学力との関係を示すことで、長時間の部活動を抑制したい狙いも透ける。

     中学校教諭の半数以上が「過労死ライン」―。文科省が4月に公表した公立小中学校に勤める教員の勤務実態調査(2016年度)は、社会に衝撃を与えた。中でも中学校教諭の勤務時間を押し上げているのが部活動で、平日、土日ともに10年前を上回っていた。

     文科省は部活動の実態を把握するため、今回のアンケートで生徒に部活動時間を尋ねる問いを新設。結果は、運動部の練習時間に関する指針作成に取り組んでいるスポーツ庁の議論にも反映される見通しだ。

     今回の調査では、中3の平日1日当たりの部活動は「2〜3時間が43・3%と最多で、「1〜2時間」の29・0%と合わせ大多数を占めた。一方で「3時間以上」と答えた生徒も11・4%いた。

     活動時間と学力テストの関係を分析すると、数学Aでは「(部活動)1〜2時間」の平均正答率が69・1%でトップとなり「2〜3時間」が66・7%と続いた。反対に「3時間以上」は58・9%で、「全くしない」の56・8%に次いで低かった。他の科目も全く同じ傾向が表れた。

     結果の受け止めについて、担当者は「因果関係を示すものではない」と話すが、ある幹部職員は「部活動の改善に生かすデータの一つになるだろう。『過ぎたるはな及ばざるがごとし』ということだ」と部活動の時間規制をにおわせた。

     「画期的な調査だ」と評価するのは、部活動問題に詳しく、練習時間や日数を減らす「ゆとり部活塾を提唱する名古屋大の内田良准教授(教育社会学)だ。背後の要因など慎重な見方が必要とした上で「部活に時間を費やし、勉強に向き合えずにいる生徒の実態が読み取れる」と分析した。

     運動部の顧問を務める大阪府の公立中のベテラン男性教諭も「朝練をやつて放課後も長時間やつている生徒は1時間目から眠そうにしている。部活動は平日2時時間程度でよいのではないか。健全な達成感をもたらし、生活にメリハリを付ける程度が望ましい」と話す。

     ただ、今回のデータは長時間の部活動が成績悪化と運動することを証明したわけではない。福岡県の公立中の50代男性教諭は「長時間にわたって部活動を一生懸命やる生徒の中にも成績の良い子はいる」と強調する。

     しかし、今の学校にとって学力問題は切実だ。データを真に受けた学校が部活動時間を規制するようなことになれば「文武両道」に励む生徒の意欲を摘み取りかねない。逆に、部活動を希望しない生徒にも「学力向上につながるから」と、一律に短時間の活動が無理強いされる恐れもある。

     名古屋大の中嶋哲彦教授(教育行政学)は「学力は錦の御旗なので世論も学校も思考停止してしまいがちだ。このデータだけで結論を導くのは危険であり、文科省は説得力が不足した資料の公開には慎重であるべきだ」と警鐘を鳴らしている。


    部活と学力に因果関係があるのかどうかは多分分からない。問題はそこではなく、「勝利至上主義」に陥っている部活動、「順位至上主義」に幻惑されている学力なのであろう。


    8月29日 中教審 学校にタイムカード導入

     長時間労働が深刻な教員の働き方改革を議論している中教蕃の特別部会が、具体策を盛り込んだ緊急提言をまとめ、国や教育委員会などに実施を求める方針であることが28日、関係者への取材で分かった。提言は学校現場へのタイムカードや留守番電話の導入、部活 動の休養日の設定など、勤務時間の管理徹底を図ることが柱。29日の会合で了承する。

     公立学校の教員は時間外手当が支給されない特殊な給与制度で、勤務時間の線引きがおろそかになっているとの声がある。提言は大規模な予算措置などがなくても実施できる対策から取り組み、学校現場の意識改革につなげるのが狙いだ。

     文部科学省が実施した教員の2016年度勤務実態調査では、タイムカードや情報通信技術(ICT)を使って教員の出退勤時間を正確に管理している小中学校は2割合にとどまった。

     こうした現状を踏まえ、提言では「勤務時間管理は労働法制上、校長や教委に求められている責務」と指摘。自己申告方式ではなく、時間を客観的に把握できるシステムをすぐに構築するよう求めた。

     勤務時間外にかかつてくる保護者らからの問い合わせも長時間労働の一因と考えられることから、緊急時の連絡先を確保した上で留 守番電話やメールで対応できるような仕組みの整備も必要だとした。

     特に中学校で教員の勤務負担増につながつている部活動では、休養日をつくるなど適切な活動時間の設定を要望。夏休みなど長期休暇中には一定期間、教職員が出勤しない「学校閉庁日」を取り入れることも盛り込んだ。

     ただ、こうした具体策の実施には、保護者や地域住民の理解を得る取り組みも不可欠だとした。


    勤務時間の適正な管理が管理職の責務であり、それを怠る事は違法であるとの国会答弁を意識しての事である。しかし、何が長時間勤務を招来しているのかを議論しないと絵に描いた持ちとならざるを得ない。ある学校では、残業中に教頭が職員のタイムカードを無断で使用し「退勤」を刻印したという笑うに笑えない事実がある。京都では「学校閉庁日」の制度は既に取り入れられているが、年休取得率は一般職と比してもかなり低い。QOLの視点からも同じに検討すべき課題である。ちなみに年休取得率向上は新たな財源措置は必要がないはずだが?


    8月29日 文科省 学テ 地域差縮小進む

     文部科学省は28日、小学6年と中学3年の全員を対象に4月に実施した2017年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。公立校の都蓮府県別平均正答数を過去と比べると、地域差縮小が進み下位層の底上げ傾向が続いていると説明。初公表の政令指定都市は多くが全国平均を上回った。一方、知識活用問題は依然苦手とされた。児童生徒アンケートでは部活動時間や主体的な学びへの意識を尋ね、学力との関係を分析した。

     文科省は、年度ごとの全国平均正答数を100と換算し、都道府県の上位層と下位層の平均正答数の差を比較。中3の数学Bでは08年度に6ポイントあったが17年度は4ポイントになり、小6の国語Aでは13年度に5ポイント以上あった差が3・7ポイントに縮まった。前年度より差が開いた教科もあるが、担当者は「下位層が平均に近づく傾向はここ数年変わらない。先進的な授業内容を共有するなどの努力が奏功している」と述べた。

     都道府県別の平均正答率の上位は秋田や石川、福井、冨山などが占める固定化が継続。教育行政の権限拡大に伴い今回から公表された政令市20市のうち半数以上が、国語、算数・数学の各教科で公立校の全国平均正答率を上回り、各教科で同じ道府県の他地域と並ぶか上回ったのも10市に上った。

     各教科で上位のさいたま市教育委員会は「教委が全教員の授業を見て課題や良い点を話し合ってきた」と説明した。

     一方、国公私立の全国平均正答率は各教科とも基礎的なA問題より活用力をみるB問題が5・1〜32・6ポイント下回り、公立校でも5・ 2〜32・7ポイント下回った。資料に基づいて考えを書く問題の正答率が低いなど例年と同様の課題が示された。

     アンケートと組み合わせた分析では、国公私立の中3で平日の部活動時間が「1時間以上2時間未満」の生徒が最も平均正答率が高かった。

     ただ文科省は「生活状況なども学力に影響し、部活だけでは判断できない」とみている。

     同級生との議論などを通して「考えを深められたと思う」と答えた小6の平均正答率が国語Aで78%となり「そう思わない」の66・9%を上回るなど主体的な学びに肯定的な児童生徒の平均正答率が各教科で高かった。


    京都 国語、算数平均上回る

     京都府では、国語、算数(数学)の平均正答率が、小学校は10年連続、中学校は3年連続で全国平均を上回った。滋賀県は、平均正 答率が小中学校とも4年連続で全国平均を下回り、小学校の全科目と中学校の数学A問題で全国平均との差が開いた。


    正答率公表、整数値に

     文部科学省は、2017年度全国学力テストの都道府県別、政令指定都市別の平均正答率を整数値で公表した。昨年は詳細資料には小数点第1位まで示したが、今年はこれも整数値に統一。「わずかな差での過度な競争をあおらないため」と説明するが、全国での順位を目標に掲げる自治体もあり、教員からは「競争から逃れられない」との訴えも出ている。

     例年同様、今回も結果が上位となった秋田県。担当者は「整数値でも授業改善に生かすというテストの趣旨は全うできる。不便は感じない」と話し、文科省の姿勢に肯定的だ。

     一方、岡山県は文科省から提供された個別データを使い、独自に小数点第1位までの平均正答率を算出するとしている。

     岡山県は、学力向上プログラムの成果指標に「小中学校ともに10位以内」と目標順位を明記。ただ順位の評価には、あくまで文科省 公表の整数値を使うとし、独自に小数点第1位まで算出するのは、県民への説明や経年比較のためだとする。担当者は「クリア自体が目標ではなく、学力が付けば自然と順位は上がる。学力向上を目指すという県民への決意表明のようなものだ」と強調するが、学校現場にかかるプレッシャーは強い。

     岡山県の公立小に勤める40代の男性教員は「テスト実施を前にした4月になると、校長から過去間に取り組むよう言われる。『他県の6年生と競争しているんだ』とハッパを掛ける教員もいる。テスト自体がなくならないと、現場は競争から逃げられない」と話した。

     【改善状況、地域で違いも】耳塚寛明・お茶の水女子大教授(教育社会学)の話

     全体的に上位層と下位層の差の縮小傾向が続いている。ただ、都道府県別で見ると、上位層が厚く下位層が薄い自治体がある一方、下位層の底上げが進んでいない場所もあり、改善状況は異なる。都道府県はどの層に課題があるかよく検討すべきだ。政令指定都市と都道府県の結果の違いについては、今回の調査だけでは分析が難しいが、保護者の所得や通塾率、高校入試の状況、教員の配置などの要因が関わっているだろう。文部科学省は調査結果を生かし、国や教育委員会の政策課題などをもっと発信すべきだ。

     【割合と関数に課題変わらず】清水美憲筑波大教授(数学教育学)の話

     四則計算や分数など、基本的な計算問題はできていた。だが、二つの事柄に目配りして関係性を捉える二次元表の問題は正答率;が低い。統計的な能力が求められる時代なので、学校活動の中で実際に表を作って触れていくことも必要ではないか。また、小学校なら割合、中学なら関数に課題があるという従来と同じ結果も出た。10年間の調査で似た傾向は示されている。今後は課題のある部分に絞って、学力上の問題点を細かく分析するような形にリニユーアJレする必要があるだろう。

     【「読む力」の必要性再認議を】中村和弘・東京学芸大准教授(国語教育学)の話

     昨年度と同様、基礎学力の定着が全国的にしっかり図られている傾向だ。ただ、書かれていることを基に自分の考えを述べる設問の正答率が低いなど、小中学校ともに「読む力」に課題がみられた。相手の発言の意図を捉えて聞くという日常で必要とされる力が付いていない。次期学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学びご」を実践するためにも、授業では議論などの活動面だけでなく、文章をき ちんと読んで理解したり、考えたりする力を育む必要性を再認議すべきだ。


    自己肯定感と成績に相関?

     自分自身を認めている子どもほど平均正答率も高い傾向にある―。2017年度全国学力テストの児童生徒アンケート結果から、文部科学省はこんな分析を提示した。政府の教育再生実行会議が「自己肯定感の向上」を重要課題に掲げており、複数の調査項目の中から相関関係をクローズアップした。有識者からは、自己肯定感ど学力を単純に結び付けることに懸念の声も上かっている。

     日本の子どもの自己肯定感は、以前から海外と比べて低いと指摘されてきた。14年の国際調査では、「人並みの能力がある」と考え る日本の高校生が55・7%だったのに対し、米国の高校生は88・5%だったとの結果も出ている。

     文科省によると、アンケートでは「自分には、よいところがあると思いますか」との質問に、小6の38・6%が「当てはまる」と回答。毎年同じ質問をしており、07年度の初回調査の29・5%から増加傾向が続いている。

     平均正答率との相関では「当てはまらない」や「どちらかといえば、当てはまらない」と答えた児童よりも、「当てはまる」や「どちらかといえば、当てはまる」と答えた児童の方が成績も良い傾向にあった。中3もほぼ同じ傾向が出た。

     教育再生実行会議が6月にまとめた提言で「子どもたちが自らの個性を発揮し、自信を持って未来を切り開く」などと目標を掲げており、文科省は今回、自己肯定感の項目を強調して公表した。

     ただ、藤田英典共栄大教授(教育社会学)は「元から成績の良い子は、ほめられて自己肯定感が高まるという相関が考えられる」と指摘し、「日常生活での努力や、思いやりを持った行動を認められても子どもは喜ぶ。テストの点数との結び付きばかりを強調するのは誤ったメッセージになりかねない」と指摘する。


    ほぼ毎年同じ結果が出、同じコメントが語られる。巨額を投じたこうした調査に意味があるのだろうかという疑問は多方面から出されている。定数改善に対してはほとんどゼロ回答に近い財務省の姿勢だが、学テ費用を定数改善にまわすという考えを持っても誰も文句は言わないと思うのだが。


    8月25日 文科省 教員定数3800人増要求

     文部科学省は24日、2018年度予算の概算要求で、公立小中学校の教職員定数の3800人増を盛り込むことを決めた。長時間労働が深刻な教員の働き方改革を進めると同時に、次期学習指導要領に沿った授業を円滑に実施できるよう、小学校で英語などを専門に教える「専科教員」の増員を目指すのが柱。いじめや不登校、貧困といった課題に対応する要員も充実させる。

     教職員の定数は主に学級数や児童生徒の数で算定。少子化で18年度の定数は3千人の自然減となるため、実質的には800人増の要 求となる。ただ教職員の若返りで人件費が低くなるため、給与に充てる義務教育費国庫負担金の要求額は17年度比で60億円減の1兆5189億円となる見通し。

     文科省は「国民に財政負担の追加を求めないよう最大限努める」としており、恒常的な財政支出につながるとして定数増に慎重な財務省の理解を得たい考えだ。

     20年度から全面実施される次期指導要領では小学校で英語が教科化され、授業のコマ数が増える。また「主体的・対話的で深い学び」 の実践も掲げており、教員の負担増が懸念されている。

     そこで文科省は、小学校で英語や体育などを担う専科教員を2200人増やすよう要求。教員1人が受け持つ授業を減らした上で、授業準備にかける時間を増やせるようにする。中学校では生徒指導を重点的に担う500人の増員を求め、いじめや不登校への対応を強化させる。

     校長や副校長、教頭が受け持つ業務を軽減し、学校の運営体制を強化するため、事務職員400人や主幹教諭100人の増員も求めた。また、貧困が原因の学力格差解消に向けた要員として100人養教諭、栄養教諭などを40人、統合校、小規模校への支援要員として75人の配置も盛り込んだ。


    文科省と財務省の駆け引きという様相は報道からも窺い知る事ができるが、増員となる教職員の配分がどうのような基準で行われるのかは不明。さらに教委の中でとなるとまさにブラックボックス。必要なところに回っていないというのが現場の実感。それにしても、巨額の投資が必要なミサイル防衛システムと教職員の人件費を比較するのもなんだが、やはりハテンと考えこまざるを得ない。


    8月25日 京都労働局 過労死四人を認定

     京都府内で2016年度中に「過労死」と認定された人は前年度と同じ4人たったことが、京都労働局のまとめで分かった。脳・心臓疾患が2人、精神障害による自殺が2人で、いずれも長時間労働が一因とみられるという。

     同局の「過労死等の労災補償状況」によると、過重な仕事が原因で発症した「脳・心臓疾患は、労災請求が過去最多の40件(うち死亡12件)に上った。業種では製造業や運輸業が多かった。業務上の労災と認定されたのは1件(15年度請求分含む)。このうち、亡くなった2人は30代と40代の正規労働者で、いずれも月平均100時間以上の時間外労働をしていた。

     仕事による強いストレスなどで発病した精神障害による労災請求は、16年度に55件(うち3件が未遂含む自殺)。業務上の労災と認定 されたのは12件(15年度請求分含む)。亡くなった2人は、いずれも20代の正規労働者で、2週間以上の連続勤務を行い、月平均80時間以上の時間外労働をしていた。

     同局労働基準部は「長時間労働が原因となっている事例が多いので、監督に力を入れて未然防止に努める」としている。


    長時間労働と精神性疾患、自殺との因果関係が強い事はこれまでも言われてきているが、1校に解決していない。「働き方改革」の名の下に長時間労働を認めようとする労基法改正は認められない。臨時国会での動向を注視する必要がある。同時に、正規労働者だからこそ「月平均100時間以上の時間外労働」を強いられる実態もあるのだろう。労基法36、37条適用除外の教員についても同じ。


    8月25日 府、市教委 総定員1万3549人

     京都府、京都市両教育委員会は24日、公立高の2018年度入試の募集定員と日程を発表した。中学校卒業見込み生徒数の減少に伴 い、総定員数は前年度比320人減の1万3549人となる。全日制で府立工業(福知山市)の学科を改編するほか、北桑田(京都市右京区)普通科の前期選抜で、京都市・乙訓通学圏からも若干名募集する。山城通学圏の普通科(単位制、スポーツ総合専攻総合選択制を除く)では、前期選抜での募集割合を、総定員の20%から30%へ増やす。

     来春に府内公立中を卒業する生徒は前年度を566人下回る2万30人となる見込み。こうした状況を踏まえ、全日制の総定員は前年度比360人減の1万2279人とした。京都市内では朱雀と東稜、洛水の普通科でそれぞれ40人、山城地域では久御山(久御山町)と南陽(木津川市)の普通科で各40人減らす。中丹地域では福知山(福知山市)と東舞鶴(舞鶴市)の普通科でともに40人、綾部(綾部市)の普通科と大江(福 知山市)の普通科総合選択制でも各20人縮小する。口丹地域の亀岡(亀岡市)普通科は40人減となる。

     府立工業は、現在ある5学科を新たな五つの専門学科に改編し、各学科の募集定員は36人のまま据え置く。口丹通学圏の北桑田は、前期選抜で総定員(60人)の10%以内を京都市・乙訓通学圏からも募集する。

     定時制は710人、通信制は280人でいずれも前年度と同規模を募集する。


    八幡支援に職業学科新設

     京都府教育委員会は24日、八幡支援学校(八幡市)高等部に来年度から、就労に必要な技能や知識を学ぶ職業学科「福祉総合科」を 新設すると発表した。福祉や介護の専門資格を取得して社会で活躍できる力を育てる。

     介護福祉に関する専門学科のある近くの京都八幡高・南キャンパスの生徒や地域との交流、共同学習も検討している。募集定員は10 人程度で、山城教育局管内に住む中学校や特別支援学校中等部の卒業予定者と卒業生が対象。出願期限は12月8日。府立の特別支援学校に職業学科が設けられるのは城陽支援学校(城陽市)に続き2校目。


    障害を持つ子どもの就労は大きな問題であることは間違いない。しかし、障害者雇用のための準備施設の偽装倒産が社会問題化しているなかで、「働く」こと目指す支援教育に問題はないのだろうか。同時に、支援学校内での労働可能者とそれ以外の子どもとの差別化はないのだろうか。


    8月24日 府教委 改革へ初の意見交換会

     教職員の働き方改革を進めるため、教職員や保護者らによる意見交換会が23日、城陽市の東城陽中で行われた。部活動の休養日の必要性や研修・イベントへの参加が過重な負担になっている現状が報告された。

     京都府教育委員会が主催。働き方改革に府民の理解を得るため、各教育局管内の中学校で10月上旬までに計6回行う予定。

     この日は初回で、管理職や顧問経験者、保護者ら10人がバネリストとなり、約30人が出席した。帰宅時間が午後11時になる教員もいるとし、「6時以降も保護者らから相談があれば受け入れている」「教育の質は落とせない」などと勤務時間を短縮する難しさが強調された。

     部活動に関して「外部の人材を活用し、試合の引率も可能な部活動指導員が制度化されたが、財政事情から配置が十分とは言えない」「やりがいはあるが、土日とも出るのは大変なのは事実」「吹奏楽も行政のイベントに何度も招かれると、ありがたいが負担も大きい」との実情が明かされた。

     また、府教委や各教育局が実施する研修の内容が重なっており精査の必要性があることや、地域人材の活用を求める意見もあった。


    「教員の働き方」についての府教委の本気度が試される取り組みだといえるだろう。こうしたキャンペーンを積みかさねる事で「世間」の考え方も少しずつ変化するだろう。サービスを減らす事は消費社会の中では極めて難しいことだが、あえてそれを訴える事が必要。加えて、意見交換会に現場の教員も参加させるべきでは、とも思う。


    8月23日 向日市教委 日本文教出版の道徳教科書を採択

     京都府向日市教育委員会は22日、来年度から小学校で教科化される道徳の教科書に、日本文教出版の教科書を採択した。市立小6校で来年4月から2年間使う。

     8社の候補のうち、採択されたのは日本文教出版の「小学道徳 生きる力」 。この日の市教委定例会で、全4人の教育委員の賛成で可決した。

     市教委は採択理由について、創意工夫ある指導が行いやすい▽教材ごとに児童の考えを記録でき、評価に生かすことができる−などの点を挙げた。

     教育委員からは「いじめに関して考えることにスムーズに入っていける」「児童にとってのメリットがどこにあるのか明確に示したほうがよい」などの意見が上がっていた。


    「道徳の教科化」が良いのか悪いのかの議論はひとまず置くとして、現場では教科書の使用と評価が求められる。評価についての誤解が多いのは毎回の通知表にも評価することが義務付けられていると考えれていること。求められているのは指導要領への記述という点は抑えておかないといけない。その上で、教科書をどのように弾力的に使うのかということは、現場の主体的な考えにまかされなければならない。例えば、教材の中途まで読んで後は子どもの討論にまかせるなども一つの方法ではないだろうか。


    8月20日 府・市教委 教員スキルや財政面課題

     京都府と京都市の両教育委員会が、発達障害に対する高校での支援の充実を図ろうとしている。小中学校と違い、これまで高校には障害の特性によって個別に指導する「通級指導教室」がなかったが、国の制度変更で来年度から設置が可能になったからだ。ただ、教員のスキルや財政面での課題があり、模索状態が続きそうだ。

     「今週あった出来事を話して」「リズムに合わせて手足を動かして」。田辺高(京田辺市)で週1回放課後に行われている特別支援授業。コミュニケーションに課題がある生徒らが、教員の指示に従い、呼吸法や音読などのプログラムに取り組んでいた。

     国が高校での通級指導を導入するのに向け、同高は2014年度に文部科学省の研究指定校になった。専門性を持つ教員がいなかったため、先進校への視察や研修など試行錯誤を重ね1年かけて準備を進めた。

     最も議論になったのは、「どの時間帯に行うか」「対象生徒をどう選ぶか」だったという。小・中学校での通級指導は、通常の授業時間に対象の子どもだけクラスを抜けて受けるが、多感な高校生では他生徒のからかいの対象になりかねない。小中で支援対象になっていても、情報が高校に引き継がれないケースも多く、選ぶ基歴も明確でなかった。

     同高の特別支援授業は、放課後に実施することにし、対象生徒は、入学式後の保護者説明会などで募った。本当に支援が必要か1学期間かけて見極めたという。指導は、教員と生徒の信頼関係をじっくりと構築することに重点を置いた。

     生徒たちは最初、無断で教室を休んだり、教員との会話も難しかった。2年かけて少しずつ好転が見られ、クラスメートとの関係の作り方も良くなり、自ら学習に向かうようになったという。当初は難しいと考えられていた就職も視野に入るようになった。

     竹中秀治副校長は「生徒にとって社会に出る日が近く、高校の通級指導が果たすべき役割は現実として大きい。今後も研究を続けて いきたい」と話している。


    制度化へ整備急げ

     文部科学省は、高校での通級指導を2018年度から制度化する。通級指導を受ければ単位を別の授業から互換できる仕組みで、府・京都市両教委は清明高(京都市北区)や伏見工業高定時制(伏見区)でも研究を行い、来年度からの導入を目指すが、実現するかは不透明だ。

     府教委によると、通級指導を行うためには、新たな教員の配置や生徒に合わせた個別の年間カリキュラムが必要になる。導入は各自 治体の判断に委ねられているが、▽教員の配置基準や予算措置を国が示していない▽カリキュラムを組むための教員の経験や知識が足 りない▽小中学校で支援を受けていても、生徒や保護者が高校に明かしていないケースが多い―など課題が山積している。

     高校教育課は「単位認定できる正式な通級指導は難しくても、補習などの形をとる個別の支援は充実させたい」としている。

     特別支援教育に詳しい京都教育大の相澤雅文教授は「学びの連続性から、高校でも通級指導は保障するべき。進学や就職などの自立に向け自分の特性を理解するという意味でも非常に重要。専門性の高い教員をどう養成していくのかが課題だ」と指摘する。


    「発達障害」という極めて理解しにくいカテゴリーに入れられる子どもの教育の保障が必要とされ、具体化されることは意義のある事。なのだが、それ以外の障害を持つ子どもは高校教育の対象ではないのかとの疑問が残る。そのために特別支援学校があるという考え方もあるのだろうが、インクルーシブ教育の視点からは大きな問題が残る。文科省や地方教育行政は、建前ではインクルーシブを語るが本音では「分離」だと見える。


    8月19日 働き方改革 秋提出法案の概要判明

     政府が「働き方改革」を推進するため、秋の臨時国会に提出する関連法案の概要が18、判明した。改革を推進するため、厚生労働相は基本方針を新たに策定し、関係閣僚に必要な要請ができると明記。残業時間の上限は月100時間(未満)、2〜6カ月の平均80時間年間720時間と規定し、終業から次の始業までの休息時間を確保する「勤務間インターバル」導入の努力義務を盛り込んだ。安倍政 権の看板政策実現に向け、法案の早期の成立を図る。

     関連法案は、労働基準法など複数の改正法案を1本にする「束ね法案」とする方針で、労働参加の拡大や労働生産性の向上を目指す。基本方針は経済財政運営の指針「骨太方針」と同様に閣議決定し、重みを持たせる。

     法案には、残業時間の上限規制を罰則付きで設けるほか、高収入の一部専門職を労働時間規制から除外する「高度プロフェッショナル制度の導入を盛り込む。同一労働同一賃金を目指し、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法を改正する。事業者には、正規、非正規の待遇差についての説明を義務化し、行政指導の対象にする。

     労働者の働き過ぎを防ぎ、企業の健康管理を強化するため、長時間労働者への医師による面接指導の充実や、産業医への情報提供を事業者も義務付ける。

     現在、国会で継続審議となっている高度プロフェッショナル制度を導入するための労基法改正案は取り下.け、関連法案として出し直す。

     高度プロフェッショナル制度を巡っては、連合側が休日104日以上の義務付けなどを求めており、政府は法案に反映させる方向で 最終調整を進めている。


    「働き方改革」とは実は「働かせ方改革」ではないのだろうか。様々な問題を検討する機会が「束ね法案」という形で提出されるという。「戦争法案」提出時と同じ構造だといえる。そして、目新しい言葉として「勤務間インターバル」を持ち出すが、これは努力義務であるし、104日間の休日も週休2日を越えるものではない。連合がこれまで積み重ねてきた議論がほぼ反故にされかねない。改めて労働組合の社会的な責任が問われる秋になるだろう。


    8月18日 厚労省 児童虐待 過去最多12万件

     厚生労働省は17日、虐待や貧困などの理由から親元で暮らせない子どもが、入所先の施設や里親家庭で虐待を受けた事例が2014年度に62件あったことを明らかにした。虐待を受けたのは86人で、半年以上被害を受けた子どももいた。87件だつた13年度からは減少しているが、09年度の集計開始以降、3番月に多かった。

     深い心の傷を負わせる児童虐待の増加が止まらない。虐待などにより親元で暮らせない子どもたちについて、政府は数値目標を掲げ、里親などの元での養育を進める方針だが、17日に開かれた全国児童相談所長会議では現場の不安もあらわになった。継続的なフォローを行政だけに任せるのではなく、社会全体で子どもたちを見守る意識が必要となる。

     「キャーッ」という母の悲嶋。寝室のふすまの隙間からリビングをのぞくと、父が母の首をベルトで絞めていた―。都内で暮らす女性(21)の脳裏に焼き付いている光景だ。3人きょうだいの末っ子で、当時は小学校低学年。母が出て行くと、父はいらつきを子どもたちにぶつけるようになった。「いつも父の様子をうかがっていた。自分の思いは言えなかった」

     ある夜、父に家を追い出され、警察に保護された。児童養護施設で育ち、今は自立しているが「人に受け入れられた経験がない気がする。恋人にも『私のこと好き?』と何度も確認してしまう。あの頃、幼いなりに傷ついていたのかもしれない」と話す。

     身体的暴力に性的行為の強要、ネグレクト(育児放棄)…。虐待で傷ついた子どもたちの症状はさまざま。眠れなかったり、周囲に暴言を吐いたり、自傷行為に及んだりする子もいるという。

     被害児童の心のケアに当たる、あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)の古橋功一心療科医長(44)は「幼少期の精神発達は、大人になってからの心の健康を左右する」と指摘する。

      子どもに暴力を振るう親がが、実は幼少期に虐待を受けて いたケースもある。 「今、目の前にいる親子をサポートする。それが虐待の連鎖を断ち切ることになるんです」と強調した。

     虐待を受けた子どもが安心して暮らせる環境をより整えていくことは急務だ。「家庭的な環境で子どもを育む」。厚生労働省は2日、 親元で育てられない子どものうち、就学前の75%以上が里親の元で暮らせるようにするとともに、戸籍上、養父母の実子となる特別養子縁組を5年間で倍増させるとの数値目標導入を決めた。

     「特別養子縁組は、新しい親をつくること。ポンと数字を出せるものではない」「虐待対応で疲弊している。里親委託の業務を担う のは厳しい」。17日の会議では、児相側から不安の声が相次いだ。

     里親からの虐待があったことも明らかになった。里親委託や特別養子縁組が進んでも、児相側の継続的なフォローも必要となる。ただ人員に限りがあるのも事実だ。

     西南学院大(福岡市)の安部計彦教授(児童福祉)は「児相だけに負担がいかないよう、地域や民間を巻き込むことが必要。社会全体で子どもを育てる意識が大切だ」としている。


    「社会全体で子どもを育てる」という指摘は重要だが、個別化が進む中でどのような方策が具体性を持つのかはよく分からない。学校サイドでものを考えれば、ソーシャルスクールワーカーなどの配置が重要であり、組織的に対応する必要もあるが、介護制度がその出発時の理念から著しく後退してきている現実は他山の石として活かさなければならないだろう。


    8月8日 人事院勧告 月給・ボーナス4年連続

     人事院は8日、2017年度の国家公務員一般職の月給を前年度から平均631円(0・15%)、ボーナスに当たる期末・勤勉手当の年間支給月数を0・1カ月多い4・4カ月にそれぞれ引き上げるよう国会と内閣に勧告した。ともに4年連続のプラス。非常勤職員の待遇改善に向け、忌引や結婚の休暇を取りやすくする規則改正を人事院として検討することも報告した。

     勧告通り改定されれば、平均の年間給与は5万1千円(0・8%)増の675万9千円になる。月給は4月にさかのぼって差額を支給、ボーナスは冬に積み増す。

     政府は、来週にも給与関係閣僚会議で対応を協議する。



    8月4日 市教委 教育出版の道徳教科書は採用せず

     京都市教育委員会は3日、来年度から小学校で教科化される道徳について、市立小学校で2年間使う教科書を採択した。「国旗・国家」の表現や安倍晋三首相ら現役政治家の取り上げ方をめぐり、市民から反対意見の多かった教育出版の教科書は採用されなかった。

     採用されたのは、8社のうち、日本文教出版の「小学校道徳 生きる力」と「道徳ノート」。市教委によると、道徳的価値を考えさせたり、問題解決的な学習をさせる内容や、自分の考えを書く活動が充実していることを評価した。

     この日の定例会では、教育委員から「評価に関して心配の声も多い。保護者と信頼関係を持ちながらやってほしい」「書くことが苦手な子どもが道徳を嫌いにならないよう配慮を」などの意見があった。

     教育出版の教科書を巡っては、戦前の修身の「礼法」の内容が含まれているなどとして、市民や団体から、約95通の非採択を求める要望書が市教委に届いていた。

     府内の市町教委では8月末までに順次採択される。