京都府南丹市美山町の知井振興会は、知井地区の全小学生を対象に「子ども夏休み朝学習応援プロジェクト」を始めた。廃校になった旧知井小に児童が集まり、自分たちで体力づくりや宿題に取り組むのを応援する初めての試みで児童に好評だ。 同地区の児童は27人で、昨年4月から統合された美山小に通学している。以前は集落ごとに集まっていたが、児童の減少で成り立たなくなり、保護者が振興会に要望していた。 児童は保護者が送迎し、夏休みの前半と後半各5日間の午前8時45分から同11時半まで旧知井小で預かり、学習を応援する。 初めの1時間は、児童が校庭や体育館で縄跳びやドッジボールなどをして、午前10時から教室で一斉に、夏休みの宿題などに取り組んでいる。 分からない問題は友だちに聞き、長野光孝振興会長ら元教師の役員3人も指導する。児童は「みんなと遊べてうれしい」「友だちと教え合えるので楽しい」「勉強がはかどる」と喜ぶ。3日間で夏休みの宿題を全部済ませた児童もいるという。 長野会長は「元気な姿を見てうれしい。これからも子供たちが触れ合える機会をつくっていきたい」と話している。 ![]() |
朝鮮学校を高校無償化の適用対象 とした国の処分を違法とする初の判決を大阪地裁が出した。教育の機会均等を目的とした制度の趣旨に立ち、政治、外交間題を持ち込んだ国の対応を批判する判断。「これ以上子どもたちを苦しめないで」。原告側の訴えに対し、控訴して争う方針を早々と打ち出す国側。朝鮮学校に厳しく臨んだ教育行政には困惑が広がった。 「とんでもない判決だ」。文部科学省内では当惑する声が上がった。ある幹部は「確定はしていない。控訴するだけだ」と冷静に受け止める。2010年に始まった無償化制度は、朝鮮学校に対する適用の可否を巡って当時の民主党政権時代から政治の動きに伴う紆余(うよ)曲 折をたどった経緯があり、「当時きちんと判断していれば後の混乱を招くこともなかった」との見方は省内に根強い。 政府が正式に朝鮮学校の無償化適用の見送りを表明したのは12年12月の衆院選で自民党が大勝し、政権交代した直後。「国民の理解が得られない」。下村博文文科相(当時)は就任直後の記者会見で、北朝鮮の拉致間題や朝鮮学校と在日本朝鮮人総連台会(朝鮮総連)との関係を挙げ、背景に「民意」の存在をにじませた。 当時を知る文科省幹部は「朝鮮学校の生徒たちは普段から日本の文化に触れ、日本の子どもと変わらない生活を送っているように感じた」とした上で「民主党政権は朝鮮学校を対象に含めるつもりがあったなら、もっと早く政治主導で決断すべきだった」と語る。 別の幹部は「そもそも外国人学校は全て無償化の対象外とすべきだった」と正反対の立場。それでも「政治のごたごたがさまざまな混乱を招いたのは間違いない」と、適用判断が時の政権に翻弄(ほんろう)された過去を振り返る。 今回の判決の舞台は、かつて橋下徹氏が府・市のトップとして朝鮮学校に厳しく臨んだ大阪だけに、地元の教育行政担当者には動揺が広がる。 府や市が国の動きに足並みをそろえるように朝鮮学校への補助金を不支給とした是非が争われた訴訟では、大阪地裁が学校側の訴えを全面的に退けた。今回の結果に府の担当者は「自治体が勝ったのに、なぜ国が負けたんだ」と困惑。当事者はあくまで国だとしながらも「情報収集を急ぐ」と表情は険しかった。 無償化制度は朝鮮学校を除く外国人学校には広く適用されている現状もある。今回の判決は粒致問題などを理由に朝鮮学校を適用外とした国の対応について、教育とは無関係な政治的意見に基づいたものだと批判した。 原告側の丹羽雅雄弁護団長は「最も重要な子どもたちの教育の機会均等という視点に立った判断だ」と評価。保護者の女性(48)は「日本の子どもたちと同じ子どもだと認められた」と涙を流した。 国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法として、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)が処分の取り消しと適用の義務付けを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(西田隆裕裁判長)は28日、原告側の全面勝訴を言い渡した。初の判決だった広島訴訟と逆の結論となった。 学園側は「政治や外交上の理由で無償化対象から排除するのは裁量権の逸脱だ。平等権や生徒の民族教育を受ける権利が侵害された」と主張。国側は「学校運営の適正さに疑念があるため基準に満たないとした判断は不合理ではない」と反論していた。 ![]() |
京都市内の児童館を利用している子どもの勉強を支援するため、市と市児童館学童連盟、4大学は8月上旬から、学生ボランティアを派遣する連携事業に乗り出す。6館で夏休み中に実験的に始め、子どもたちの学びを学生が支え、共に遊ぶ機会を設けて過ごしやすい居場所づくりを進める。 事業に取り組む児童館は、西陣(上京区)、勧修、大宅、大塚(いずれも山科区)、塔南の薗(南区)、うずらの里(伏見区)。それぞれの館に近い大谷、京都教育、京都橘、花園の4大学が協定を結んだ。各児童館では月3回程度〜毎日、学習の時間を設ける。各大学で福祉を学ぶ学生や教員を目指す学生が4、5人で児童館に出向く。子どもたちは学生から勉強を教わり、遊び相手にもなってもらう。 18歳末満の子どものうち、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす割合を示す「子どもの貧困率」は2015年に、7人に1人にあたる13・9%となり、市内も同様の状況とされ、学習塾に通うのが難しい事情がある。こうした子どもたちが児童館を利用している実態を踏まえ、今回の事業を検証し、市内131カ所にある児童館での展開も検討するという。 28日、市役所で協定の締結式があり、村上圭子副市長は「子どもたちの可能性を最大限に伸ばす取り組みにしたい」とあいさつ。市児童館学童連盟の山手重信会長は「あらゆる家庭環境の子どもたちが、年齢の近いお兄さん、お姉さんと触れ合うことで多様な体験ができ、学生にとっても生きた学びや気付きの場になる」と話していた。 ![]() |
相模原の障害者施設殺傷事件を受け、国が再発防止策として打ち出した精神保健福祉法の改正案への批判が収まらない。行政などによる精神障害者への関与を強化する仕組みを柱とするが、精神障害の当事者らは「共生社会に逆行する監視強化だ」と猛反発。次期国会での成立を目指すものの、法案を作成した厚生労働省内部からも「方向がすれてしまった」と反省する声が漏れる。 「措置入院制度の新たな在り方を考えていくことが大事だ」。昨年7月、事件3日後の記者会見で塩崎恭久厚労相が語った。精神疾患により自分や他人を傷つける恐れがあるとされた人を強制的に入院させる制度。植松聖被告(27)が事件の5カ月前に措置入院、約2週間後に退院したことを踏まえた発言だった。 この時期、「DPI(障害者インターナショナル)日本会議は意見書で制度見直しは誤りと指摘。事件の背景の検証も進んでいない段階であり「推測を基にした拙速な対応は差別を助長する恐れがある」と国の方向性に危機感を示している。 だが政府の動きは止まらなかった。「市や病院の退院後支援が不十分だった」とする有識者検討チームの指摘を受け、今年2月には精神保健福祉法の改正案を閣議決定。退院後も含めた患者への関与強化を盛り込んだ。 「精神医療に犯罪防止の役割を担わせるな」。障害者らは改正法案に反対する集会を何度も開き、廃案を求め続けている。転居した場合も自治体間で引き継がれる退院後支援計画を「ずっと見張られるのか」と批判。特に、計画をつくる「精神障害者支援地域協議会への警察の参加を「患者のためではなく治安目的だ」と問題視する。 今年4月には、国会の審議中に法案の説明資料から「事件の再発防止」の文言が削除される異例の事態も。塩崎氏は「改正法案は犯罪防止目的ではない」「事件は法改正のきっかけの一つ」と説明を大きく後退させ、謝罪に追い込まれた。 運用を担う行政の現場にも戸惑いが広がる。相模原市の職員は「膨大な作業量が予測され、増員は不可連と指摘。神奈川県の職員は、退院後の支援が患者の意思確認を要件としない点について「信頼関係に影響するのでは」と懸念を示す。 政府は秋にも予定される臨時国会での改正法案成立を目指すが、厚労省幹部は「大臣の一声で再発防止の検討を始めたが、障害者の思いとは離れた」と本音を打ち明ける。 専門家からは、再発防止策は警察が担うべきだとの意見も。事件を予告するような手紙を衆院議長に宛てて出したことなどを問題視した指摘だが、警察幹部は「手紙の内容は支離滅裂で当時刑事責任は問えないと判断した。内容は施設側に伝えており、やるべき手は尽くした」と説明する。 精神障害の当事者団体である全国「精神病者集団の山本真理さん(64)は、政府が「事件は障害者へのへイトクライム(憎悪犯罪)であり、絶対に許さない」と表明した上で、全省庁を挙げて対策を行うよう求める。例えば事件の被告はどんな教育を受けてきたか、文部科学省だって検証すべきだ」。この1年間の国の動きを「自分たち精神障害者を事件の原因であるかのように捉えたのは差別的で見当違い。筋違いのまま進んでいる」と批判した。 ![]() |
2017年度の地域別最低賃金の改定を巡り、中央最低賃金審議会の小委員会が25日にまとめた目安額通りに引き上げが行われても、全国の約3分の2に当たる32県が依然として時給700円台にとどまることが26日、分かった。小委員会は16年度に並ぶ過去最大の上げ幅となる目安をまとめたが、地域間格差が埋まらない現状が浮き彫りになった形だ。 小委員会は25日夜、都道府県をABCDの四つのランクに分けて引き上げ額の目安を示し、東京などのAは26円、沖縄などのDは22円とした。全国平均は25円の引き上げで時給848円となる。 現在、東京、神奈川が900円台、京都や大阪など7府県が800円台。その他、38道県は700円台で最低額は宮崎と沖縄の714円だ。今回の目安額通りに引き上げられた場合、800円台に上がるのは、滋賀や北海道など6道県にとどまる。 労働側は「3年以内に全都道府県で800円を上回る」という目標を掲げ、700円台の解消を目指しているが状況は厳しい。 達成するためにはDランクでも毎年29円以上の引き上げが必要だが、連合の安永貴夫副事務局長は「今回は経営側と折り合いがつくところで着地した。今後2年で800円を求めることは維持したい」と話した。 . 過労死遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」や過労死弁護団全国連絡会議、日本労働弁護団などは26日、東京都内で記者会見を開き、一部専門職を残業代支払いといった労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」や裁量労働制の拡大について「定額働かせ放顔になる」と反対した。 . ![]() |
京都府教育委員会は、京都市立を除く公立学校の小学4年と中学1年を対象に4月に国語と算数・数学で実施した府学力診断テストの結果を公表した。中1で、国語・数学ともに予想正答率(65%)を下回った。家庭での状況などを聞く調査では、スマートフォンや携帯電話の使用時間が長くなっていることが課題として上がった。 国語の平均正答率は小4が66・3%、中1が62・7%。いずれも例年と同様、登場人物の心情などを捉える読解力の分野が苦手だった。算数・数学は小4が68・5%、中1が60・0%。小4では、比率を求める問題、中1では統計などから計算する活用問題の正答率が低かった。 質問紙調査では、「自分だけのスマートフォンや携帯電話を持っている」と答えた小4は39・9%(前年度39・7%)、中1で60・3%(同55・9%)。中1では、2時間以上使うと答えた生徒が21%と、前年度の18・7%を上回った。 府教委が独自で毎年行い、全小中学校304校と一部の特別支援学校の計約2万人が参加した。 ![]() |
京都府教育委員会は20日、学校での運動部活動のあり方を考える第1回検討会議を京都市上京区のホテルで開いた。教員の過重負担につながっているとされ、出席した教員からは「休養日を定めるなど明確な規定が必要」「大会数を減らすことも考えるべき」との声が上がった。 すでに運動部活動の指導方針はあるが、「適切な休養日の設定など具体性が欠けるため、休養日の日数や活動時間、外部指導員を派遣するシステムの導入などを盛り込んだ新たな指針を策定する。 会議には、中学や高校の校長や有識者計8人と府教委関係者が出席し、部活動の現状が報告された。少子化で複数校の合同チームに なったり、顧問の人数が少なくなっているとし、「顧問1人の責任が増している。学校単位での部活が無理になりつつある」「地域のスポーツ団体を活用する方法も考えたい」などの意見が出た。 部活動の軽減策について、「学校独自で水瞳日を休養日にした。職員会議ができ、生徒もリフレッシュできる」「外部人材を活用し、土日の負担を減らしている」などの実施例も紹介された。 ![]() |
京都市右京区京北地域で全4小中を統合して小中一貫校とする計画について、反対する住民団体「子どもと京北を輝かせる会」が20日、計画を撤回するよう求める要望書と約6300人分の署名を市教育委員会に提出した。 要望書では小中一貫校ができた場合、「校区が広すぎ、大雨や大雪の際に幹線道路が通行止めとなることがあり、通学路の安全を守れない」「新校舎建設には多額の税金を要する」「学校がなくなる地域では過疎化が進む恐れがある」としている。 ![]() |
国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象から外したのは違法として、広島朝鮮学校の運営法人「広島朝鮮学園」と卒業生らが処分取り 消しや在学中の受給相当額に当たる計5600万円の損害賠償などを国に求めた訴訟の判決で、広島地裁は19日、原告側の全面敗訴を言い渡した。全国6カ所で係争中の同種訴訟で初の判決。学園側は控訴する方針。 小西洋裁判長は判決理由で、国側が「朝鮮学校は北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にあり、無償化の資金が授業料に充てられないことが懸念される」と主張した内容を追認。「対象外とした国の判断に裁量範囲の逸脱、乱用は認められない」と述べた。 また、原告側が「民族教育を受ける権利を含む学習権や、憲法上の平等権の侵害に当たる」と主張した点については「朝鮮学校が対 象外となったのは高校無償化法の支給要件に該当しないためで、民族を理由としたものではなく、違憲ではない」と判断した。 ほかの外国人学校が対象となり、朝鮮学校が外れた点についても背景事情の違いを挙げ「結果的に差が生じても合理的な判断だ」と 指摘した。 判決などによると、高校無償化制度は民主党政権当時の2010年に導入された。広島朝鮮学園は同年11月、国に適用を申請したが、判断の棚上げが続ぎ、自公政権となった後の13年2月に対象外とされた。 同種訴訟はほかに東京、名古屋、大阪各地裁と福岡地裁小倉支部で争われ、大阪訴訟は今月28日、東京訴訟は9月13日に判決の予定。 ![]() |
高収入の一部専門職を残業代支払いなどの労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案修正を巡 り、政労使トップ会談を19日開催で調整したものの、来週以降に延期されたことが18日、関係者への取材で分かった。連合が政府に修正を要請、事実上の制度容認に転じたことに内部から異論が出ており、傘下の労働組合への説明に時間が必要なためだという。 連合の神津里季生会長は13日、官邸で安倍晋三首相と会談し修正を要請。神津会長は会談後「制度を導入する必要があるのかというのが根底にある。方針転換ではない」と強調したが、連合内の一部労組からは「組合員への裏切り行為だ」などと批判が噴出。会談は来週以降の7月中に開く方向で再度調整が図られる見通しだが、内部の合意形成が難航していることが浮き彫りになった。 会談には安倍首相と神津会長、経団連の榊原定征会長が出席、制度の対象労働者に年104日の休日取得を義務付けるなどの健康確保措置強化で合意する見通しだった。神津会長は18日、取材に「私どもがこのタイミングで何もしないと健康確保措置は極めて脆弱なま まになる。工寧こ議論すれば必ず組織内の理解は図られると思う」と述べた。 ![]() |
【深層表層】政府の労働基準法改正案を「残業代ゼロ法案」と批判してきた連合の神津里季生会長と安倍晋三首相が13日会談し法案を修正する方向で一致した。高度プロフェッショナル制度の創設にあたり健康確保対策の強化が条件。水面下で政府から働き方改革の残業規制と抱き合わせでの受け入れを迫られて方針転換した形だが、傘下の労組からは激しい批判を浴びる結果となった。 同日夕の首相官邸。神津会長が「(修正しないと)長時間労働がさらに拡大しかねない。健康管理は極めて不十分だ」と切り出した。 「しっかり受け止めて検討する。政労使合意が必要で政府として経団連と対応する」と応じた安倍首相。修正が事実上決まった瞬間だった。 「じっくり取り組んでいく」。自民党幹部は、法案成立の環境が整いつつあることに自信を見せた。学校法入「加計学園」問題や閣僚の失言で支持率が急落し、東京都議選で惨敗した安倍政権にとって、重要法案成立に向けた渡りに船だった。政権への逆風が収まらない中、秋の臨時国会で連合や野党が反対したまま改正案の採決強行に踏み切れぱ、世論のさらなる反発を招きかねない。 一方の連合内部では批判が噴出している。11日午後、東京都千代田区の連合本部に近いビルの会議室。傘下の労組幹部らを集めた緊急の「中央執行委員会懇談会」で「方針の転換ではない。圧倒的多数の与党で改正案が現在の内容で成立してしまう。修正が必要だ」と執行部側は力説した。会合では「方針を変えたのか」との批判の声が上がったにもかかわらず、神津会長は取材に「全体の理解をもらった」と説明した。 13日のトップ会談の前には傘下の労組から異例の反対声明が出た。声明を出した「全国コミュニティ・ユニオン連合会」の鈴木剛会長は「過労やハラスメントが横行している実態と懸け離れている」と訴え「小さな穴を開けてはいけない」と強調した。労働事件が専門の弁護士も「政権支持率が低下している持に助け舟を出すのに等しい」とするなど、批判は連合の外にも広がった。 残業代ゼロを巡る自民党政権と連合の駆け引きは10年以上前の小泉政残業規制と一括迫られ後退権から続いている。小泉政権以降、労働分野の規制は経済成長を阻害しているとして常に緩和の対象にさらされ、連合は反対を掲げ続けてきた。 潮目が変わったのは、安倍政権が昨年、働き方改革の看板を掲げた頃からだ。政府が、働き方改革実現会議に参加するよう連合側に呼び掛け、連合側も残業に上限を設けるなど要望実現のチャンスとみて応じた。その結果、今年3月には規制実現にめどがついた。 連合は水面下で、政府に創設に反対してきた高度プロフェッショナル制度の撤回も求めた。しかし政府側は「法改正の象徴で、制度創設を撤回するわけにはいかない」 (政府関係者)と突っぱねた。政府は残業規制を盛り込んだ働き方改革関連法案と秋の臨時国会で一括審議することをちらつかせ「全部パーにするか、清濁併せのむか迫られた」。 労働界の反対で国会で2年以上塩漬けになってきた改正案は成立に向けて動きだした。連合幹部の一人は「テーブルに着けば政権の思惑にのみ込まれ、テーブルに着かなければ何も実現できない。それが安倍1強時代の怖さだ」と漏らした。 連合が高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を容認する方針を表明しました。 Q制度の概要は。 Q具体的には? Qなぜ導入するのですか。 Q連合は制度の修正を政府に茨めました。 A 制度は労働側の懸念に配慮し健康確保措置を定めています。従来は@年間104日以上かつ4週間で4日以上の休日を確保A働く時間の上限設定B終業から始業までに間隔を設ける「勤務間インターバル」−のいずれかを企業が選ぶものでした。連合は不十分として@を義務化し、AとBに加えて連続2週間の休日や臨時の健康診断を追加し、労使に選ぱせるよう修正を求めました。 Qこれで働き過ぎは防げますね。 Q連合はなぜ、事実上の容認に転じたのですか。 Q今後の注目点は。 ![]() |
財務省は13日、2018年度予算の概算要求基準で4兆円程度の特別枠を設け、教育無償化など安倍政権の重点施策に手厚い要求を認める方向で調整に入った。例年と同様、既存経費の削減額に応じて特別枠向けに上乗せ要求できる仕組みとし、めりはりの付いた予算編成を冒指す。経済財政諮間会議で議論し、7月下旬に閣議了解する。 各省庁は基準に沿って8月末までに必要経費を財務省に要求する。一般会計の要求総額は4年連続で100兆円を超える見通し。財務省は年末にかけての査定で必要額を絞り込むが、経済再生と財政健全化の両立は綱渡りとなりそうだ。 18年度予算の基準は前年度をほぼ踏襲し、歳出総額の上限は定めない方針だ。特別枠は幼児教育と保育の無償化に向けた予算や、入工知能(AI)の活用による生産性の向上といった成長戦略の関連施策を対象とする。於共事業など裁量的経費の要求額を17年度当初予算から10%削ることを特別枠要求の条件とする方向で調整している。年金、医療などの社会保障費は、高齢化に伴い要求額が17年度当初予算より6千億円超増えることを容認する。ただ財政再建の既定方針に基づき、査定を通じて増額幅を5千億円に圧縮する方針だ。 |
文部科学省は10日、2020年度以降に現行の大学入試センター試験の後継で新たに実施する「大学入学共通テスト」の実施方針案を同省の検討会議で示し、了承された。英語で「読む、聞く、話す、書く」の4技能を評価するため民間検定試験を活用。23年度まで共通テストと併存させ、24年度から民間に全面移行する。共通テスト自体はマークシート式を続けるが、国語と数学で記述式を一部導入する。 検討会議の了承で事実上決定し、1989年度のセンター試験開始以来の一大転換となる。初回は2021年1月中旬に2日間行い、出題は現行と同じ6教科30科目。現役なら今の中学3年生からが対象となる。文科省は今年11月に高校2年生らに実施する5万人規模のプレテストの結果なども踏まえ、制度設計を進める。 グローバル化に伴い英語では4技能を重視。民間試験は英検やTOEICなどから水準を満たすものをセンターが認定し、各大学にはできるだけ多くの活用を求める。認定試験はセンターに申請の上、高3の4〜12月に最多で2回まで受けられ、試験結果と語学力の国際標準規格「CEFR(セファ,ル)」に基づく6段階の成績は全て大学に提供され、各大学の基準で評価する。 20〜30年度は、各大学が認定試験と共通テストのいずれか一方を採用するか、両方を活用するかを決める。同省は20年度から民間への全面移行も検討していたが、現行方式との併存を求める高校や大学側の声を踏まえ移行期間を設定し、この間に実施状況を検証する。民間試験では費用負担がまちまちで、実施会場に地域差もあることから文科省は認定に際し主催団体に配慮を求める。 記述式は「国語」「数学T」「数学T・A」で各3問程度を出しマークシート式と同じ試験時間内に解かせる。出題と採点はセンターが担うが多数の答案を見る必要があり、ノウハウを持つ民間業者を活用。高校の次期学習指導要領に基づく出題となる24年度以降は地理歴吏、公民、理科でも記述式導入を検討する。 文部科学省が10日に公表した大学入学共通テストの実施方針案は、これまでの「読む聞く」を中心とした英語に加え、民間検定試験を利用して「書く、話す」を含む4技能をみることなどが骨格だ。「時代の流れ」と受け止める教員がいる一方で「検定試験の対策が優先され、高校本来の授業が形骸化しかねない」と危ぶむ声も上がった。 「高校での教育と、大学や卒業後の社会で求められる能力との間にギャップがある」という有識者らの批判に応えるため、文科省は高校の学習指導要領改定と同時に、接続点となる大学入試の改革を進めてきた。 新テストでの検定試験活用も、単語や文法の教え込み中心の教育から脱却し、コミュニケーションを重視した教育への移行を期待したものだ。 しかし、静岡県の50代の英語教員は「高校教育と大学入試を両輪で改革する発想は総論で賛成」としつつ、検定試験の活用には懐疑的だ。文科省は高3の4〜12月に受けた検定結果を2回まで入試で利用できるとしているが、指導要領との整合性や受験者の経済的な負担への配慮などは今後詰めるとしている。 この教員は「検定試験でスコアを出すにはこつがある。教科書だけではなく、検定試験に対応した参考書を使う学校も増えるだろう」と指摘する。さらに「早い時期に志望大学の基準をクリアした生徒は、ほかの教科の試験対策に力を入れるだろう。そういう生徒らと授業を続けられるのか」と不安は尽きない。 ある地方国立大の学長は英語で会話ができる力の重要性は認めつつ、「うちのような地方国立大は、入学段階で話す力までは求めていない。英語で論文を書くための読む、書くだけで十分。検定認験対策で中途半端な能力になるなら本末転倒だ」と訴える。 受験機会の格差にも触れ「東京と地方の高校生で差が出るのは当然だが、同じ地方でも都市部と郡部では大きな格差がある。公平性の面からも、現在のセンター試験の英語に記述式を加えるだけでいいのでは」と話す。 4技能を測る検定試験「GTEC」(ジーテック)を運営するべネッセの担当者は「生徒の将来を見据えて英語コミュニケーションに力を入れている高校は、入試でのメリットが少なかった。がんばっている高校や高校生にとっては良い方向だ」と評価する。 これまでの実績を踏まえて「出題や採点などの態勢に問題はない」と胸を張るが、不正への対策については「高校や大学とも連携してやつていく。セキュリティーをどこまで高めるかは受験料との兼ね合いで、今後の課題だ」と含みを残した。 ![]() |
「京都府教員らの資質の向上に関する協議会」の第1回会議が6日、京都市伏見区の府総合教育センターで開かれた。府教育委員会 関係者や有識者らが、教員がキャリアに応じて身に付けるべき力について意見を交わした。教え子へのわいせつ行為など教員による不祥事が相次ぐ中だったが、全く触れられなかった。 同協議会は、大量退職や多忙化で教員の資質向上が求められる中、教員の目標となる指標や研修計画作りを国が指示したことから設立された。年度内に指標を策定する予定。 会議には学校教員や有識者ら委員10人と府教委関係者約20人が出席した。有識者は「教員は、自分の学校では力を尽くすが、社会参画や学び続ける姿勢が弱いのが課題」と指摘、現場の小学校長は「教員には精神的なタフさが欠かせない」と強調した。 府教委では昨年4月から今年5月末までに、教え子や同僚教員に対するわいせつ事案で教員10人が懲戒処分を受け、資質向上が喫緊の課題となっている。 ![]() |
京都府教育委員会は6日、京都市右京区京北の市東北合同庁舎で北桑田高の在り方を考える検討会議を開いた。徳廣剛校長は、生徒の減少を食い止める方策の一つとして、来年度入試から前期選抜の対象を京都市・乙訓地域にも広げる構想の私案を発表した。 同高は現在、前期選抜で口丹以北の通学圏から中期を含む募集定員の20%を上限に生徒を受け入れている。京都市・乙訓地域は10〜20%を想定しているとした。将来的には全国募集を視野に入れていることも明らかにした。 このほか、インターネットを使った学習支援システムと予備校によるサテライト授業のシステムを年内に導入する案も梶示した。 府教委は、可能な案件からできるだけ早期に実行する方針を示した。選抜地域の拡大については、京都市と乙訓地域の関係機関と協 議するとした。 徳廣校長は、普通科と森林リサーチ科の存続を前提に、地域資源と伝統を生かした同高ならではの教育を展開する考えも打ち出した。会議に出席した京北、美山の自治振興会の代表からは物心両面で全面的に支援するとの意見が相次いだ。 ![]() |
京都市教育委員会は、市立小中一貫教育校6校を来年度から「義務教育学校」に移行すると、5日の市議会教育福祉委員会で明らかにした。2015年度の学校教育法改正で設けられた新制度で、教育課程を学校独自で編成しやすくなる。 移行するのは、凌風(南区)、大原(左東区)、花背(同)、開睛(東山区)、東山泉(同)、宕陰(右京区)の各小、中。19年度に開校を予定する伏見区向島地域の小中一貫教育校も開校と同時に義務教育学校に移す方向で検討する。 これまで小中一貫教育校で独自のカリキュラムを編成するためには、国の特例校の指定を受けて3年どとに国に報告することが義務づけられていたが、義務教育学校になることで学校独自で組むことができるようになる。「京都大原学園」や「凌風学園」、「東山開睛館」などの通称名は、残すことも視野に検討する。 ![]() |
厚生労働省は30日、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2016年度に労災認定されたのは498件で、1983年度の調査開始以降、最多だったと発表した。このうち過労自殺(未遂を含む)は84件。 仕事による脳・心臓疾患の労災認定は260件で、うち死亡したケース(過労死)は107件だった。 過労自殺には、昨年9月に労災認定された電通の高橋まつりさん=当時(24)=も含まれる。政府は今年3月、電通の違法残業事件を受け、残業時間の上限規制などを盛り込んだ働き方改革の実行計画をまとめ、関連法の改正案を秋の臨時国会に提出する方針だ。 精神疾患の労災申請件数も最多の1586件になった。厚労省の担当者は「電通事件を機に、業務上の精神疾患も労災の対象になることが広く知られるようになり、申請者が増えたのではないか」と分析している。 労災認定の内訳は、精神疾患の原因で「嫌がらせやいじめ、暴行」が74件と最多。「仕事内容や量の変化」が63件、「2週間以上にわたる連続勤務」も47件あった。年代別では、40代が144件と最も多かった。脳・心臓疾患は月80時間以上の残業が大半で、160時間以上も17件あった。働き方改革の実行計画では、残業の上限を「月100時間未満、2〜6カ月平均で80時間以内」としているが、80時間未満で労災認定されたケースが14件あった。 業種別では脳・心臓疾患でトラックやタクシー運転手など自動車運転従事者が89件と目立った。精神疾患は介護や医療関係者が多か った。 ![]() |