衆院解散・総選挙に向け、高校では「18歳選挙権」を意識し模擬選挙など主権者教育の準備を進める動きが出ている。選挙までの動きが急で授業計画に大幅な変更を迫られるケースがあり、戸惑う教員もいる。 「10月初めまでは裁判の仕組みを学習する予定で、中間テストもある。模擬選挙をやる時間を何とか作りたい」。東京都立高島商の大畑方人教諭(40)は「10月22日役開票」と報じられてから、政治・経済の授業計画の練り直しを進めている。 以前から主権者教育に積極的に取り組んできた大畑教諭。3年生の半数以上が選挙権を持っているといい、関心を高めるためにも、選挙期間中に実際の政治課題や争点をバランス良く扱うことが重要だと考えている。選挙の見通しが立った昨年の参院選では、事前に安全保障法制や消費税をテーマにした調べ学習ができた。ただ、今回の衆院解散に向けた動きは予想外だった。「社会保障、北朝鮮への対応、憲法改正という論点があるが、深く掘り下げた学習をする時間を確保するのは難しい」と語り、対応に頭を悩ませている。 埼玉県立高校で現代社会を受け持つ男性教諭も「このタイミングで解散になれば、選挙前に簡単に政策を比較することしかできない」とこぼす。「主権者教育に『投票に向けた準備』という期待が込められているとしたら、責任を果たせない」と話した。 こうした模索が現場で続く一方で、文部科学管からは「学校の政治的中立」も強く求められている。ある高校教諭は「今回の解散に大義はないと思っている。だが、生徒にそうした話をすることはできないだろう」と明かした。 ![]() |
中学校教員の多忙化の一因となっている部活動指導を軽減するため、京都市教育委員会は、顧問の教員に代わって指導や大会への引率ができる「部活動指導員」を10月初旬から計5校で試行的に実施することを決めた。本年度から国が制度化しており、本格導入に向け て検討する。 28日の市議会代表質問で、在田正秀教育長が表明した。 市教委ではすでに、非常勤講師や住民・学生を、部活動の顧問を補助する「外部コーチ」として学校に派遣しており、昨年度は56中学校115部に123人を延べ7771回派遣した。外部コーチは単独での指導や大会への引率ができず、1月に行った調査では、派遣された中学校の91%が「顧問の負担感の軽減につながった」などと肯定的に答えたが、「時間外勤務の縮減につながった」との回答は48%にとどまった。 部活動指導員を試行実施するのは5校の計5部。すでに外部コーチに就いている非常勤講師計5人を対象とする。従来の勤務時間に それぞれ週4〜8時間上乗せして指導できるようにし、負担軽減の効果について検証する。 部活動指導員は本年度、学校教育法施行規則改正で学校職員として位置づけられ、顧問もできるようになった。 ![]() |
福知山市教育委員会は10月から市内の全小中学校で「早退勤デー」と、中学校での「ノー部活デー」を試行的に導入する。来年3月ま での6カ月間、隔週で行い、来年4月からは毎週実施する予定。長時間勤務が課題とされる教職員の労働環境の是正を目指す。 市教委によると、昨年度、「過労死ライン」とされる月80〜99時間の超過勤務をした教職員は約570人中94人、月100時間超えは44人、年千時間以上は5人いたという。 同市の教職員の勤務時間は、平日は午前8時半から午後5時。早退勤デーは31全小中学校で、午後6時までに退勤する日を各校が隔 週で1日設定する。退勤後の保護者対応などは市教委が担う。ノー部活デーは全9中学校で、隔週で土日の少なくとも一日を部活休止日に設定する。 放課後の部活動や生活指導、保護者対応など教職員の負担が大きいとして、市教委は2014年度、検討委員会を設け、業務負担の軽 減について協議を続けてきた。これまでも、ノー部活デーを設ける学校はあったが、学校どとにばらつきがあり、試行導入を決定。21日付で各校を通し、保護者に通知した。 福知山市教委は「現場の意識改革とともに、保護者にも現状の理解を求め、教職員の負担軽減を進めたい」としている。 ![]() |
京都府教育委員会で公立学校の教員によるわいせつ事案が相次いでいる問題で、2012年4月から17年8月までの5年余りの間、わいせつでの懲戒処分が計19件発生し、7割超が教え子に対する行為であることが分かった。さらに、大半の教員が20〜30代だった。携帯電話での直接的なやりとりが背景の一つにあるとして全面禁止の措置を取り、「生徒との距離感を誤ってはいけない」と厳重注意を呼びかけている。 「始業前の空き教室で何度も会った」「学校生活での出来事をメールでやりとりするうちに親密になつた」―。よくある青春時代の恋愛のひとこまのようだが、違う。わいせつ行為をした教員の懲戒処分内容に関する府教委側の説明だ。 府教委によると、教え子が被害者になるケースでは、多くの教員が調べに対し「生徒から好意を示され、つい行き過ぎてしまった」「生徒が拒否しなかった」と答えている。19件のうち、14件の被害者が教え子で、12件が20〜30代の男性教員による行為だった。 生徒が被害にあう事案では無料通信アプリLINE (ライン)でのやりとりから仲を深め、生徒の裸の画像を送らせたり、ドライブに誘って抱きしめキスをしたりしていた。部活の顧問の立場を利用したケースもある。 教職員人事課は「生徒と年代が近い若手教員は、慕われる対象になりやすいが勘違いしてはいけない。携帯での安易なやりとりが温床になっており、危険だ」と研修などで強調する。未成年の教え子に対するわいせつは、教員倫理に反するだけでなく、刑法や府青少年健全育成条例に違反する犯罪行為につながると警告している。 府教委では昨年度に8件相次ぎ、本年度もすでに3件発生。研修だけでは根絶できず、8月に教員と生徒がラインなどでやりとりすることを全面的に禁止する通知を出した。 教員によるわいせつ処分は全国的にも増加している。文部科学省によると、15年度に処分された公立学校の教職員は224人と過去最多。処分を隠して他の自治体の教員になり再び問題を起こすケースもあったため、教員の処分情報を都道府県を超えて共有するシステム作りに乗り出す。 「携帯、車、部活。これらを利用した生徒とのコミュニケーションは、わいせつ行為に至るケースが多い」。被害にあった生徒や保護者から年間約100件の相談を受ける「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(大阪府)の亀井明子代表は指摘する。 発生する構図は共通しており、教員と生徒の圧倒的な力関係の差がある。子どもは、内申書や部活動の選手選びなどに影響することを恐れ、教員に抵抗しにくい。そこにつけ込み、部活の帰りに「車で送る」と誘ったり、携帯で直接やりとりし「他の子には内緒」と口止めしたりし、親や友人の目から隠れて「2人きり」になるように誘導するという。 発覚後、「抵抗されなかった」と言い訳する教員が多いが、生徒が嫌と言えなかったケースのほかに、性暴力に関する知識が乏しく、被害だと認識していない場合もある。その時は被害感情がなくても、成長し何かのきっかけで「性暴力だったのでは」と自覚し、深い傷を負って相談にくる女性も多いという。 「生徒が教員に恋愛感情を持つことはある。それ自体は問題ない」と亀井代表は認めた上で、教員と生徒が「恋愛関係」になることは全く別だとする。「大半が違法行為にあたる上、教員は教育のプロとして保護者から生徒を託されており、自らの私的な恋愛感情に巻き込むことは許されない」と断言する。教員研修だけでなく、生徒に性暴力の知識を正しく教える重要性も訴える。 ![]() |
厚生労働省の労働政策審議会は15日、残業時間の上限規制や、一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度 (高プロ)などを含んだ働き方改革関連法案の要綱について「おおむね妥当」とし、加藤藤居厚労相に答申した。 加藤厚労相は「今後速やかに法案を国会に提出したい」と述べた。政府は法案を閣議決定の上、9月下旬に召集される臨時国会に提 出する方針だ。 要綱は審議会の分科会で8日に示され、労働者委員は高プロや裁量労働制の拡大を「長時間労働につながる」と反対。答申に際して も「実施すべきではないとの考え方は変わらない」との意見を付けた。 審議会の後に記者会見した連合の神津里季生会長は「残業時間の上限規制は連合が長年主張してきたことで大きな一歩だが、高プロや裁量労働制の拡大が盛り込まれたことは極めて遺憾だ」と述べた。 法案では、非正規労働者の待遇改善を目指す「同一労働同一賃金」導入や、終業から次の始業までに一定の休息を設ける「勤務間イ ンターバル」を企業が取り入れるよう努力義務を設けることも柱になっている。 ![]() |
全国の国公私立の小中学校、高校で勤務する30歳末満の教員の割合が、2013年度より増加したことが14日、文部科学省の16年度学校教員統計調査(中間報告)で分かった。平均年齢も小学校で0・6歳、中学校でも0・1歳低下し、近年続いている学校現場の若返り傾向が顕著になった。 文科省は、1970年代の第2次ベビーブームへの対応で大量採用した教員の定年退職が進み、採用が増えていた若手の割合が増加したと分析。ただ、指導や校務で中心的な役割を担う40代の中堅クラスの割合は低めとなり、年齢構成のいびつさも浮かんだ。文科省は「ノウハウの蓄積や若手への継承が進むよう支援していきたい」としている。 一方、高校教員の平均年齢は前回の13年度調査の45・3歳から45・4歳にわずかに上昇。大量採用は小中高の順で進んだため、文科省は若返り傾向に転じるのに時間差があるとみている。 30歳末満の教員の割合は、小学校が13年度から2ポイント増えて17・3%。中学校は1・6ポイント増の15・9%、高校が1・7ポイント増の12・3 %だった。 50歳以上の教員の比率は、小学校で1・8ポイント減の36・2%。中学校では0・4ポイント増の36・9%、高校は1・5ポイント増の41・6%になったが、平均年齢は、小学校が44・0歳から43・4歳に、中学校は43・9歳から43・8歳になった。 ![]() |
国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象から外したのは違法だとして、東京朝鮮中高級学校高級部の卒業生62人が国に計620万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、「文部科学相の判断に裁量権の逸脱はない」として適法と判断し請求を棄却した。卒業生側は控訴する方針。 同種の訴訟は全国5カ所で起こされ、初判断となった7月19日の広島地裁判決では学校側が敗訴したが、同28日の大阪地裁判決では勝訴していた。 田中一彦裁判長は判決理由で、学校と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係から「学校側に支払われる就学支援金が授業料に充てられないとの懸念や、学校運営の適正さに十分な確証を得られない」として対象から外した文科相の判断について「不合理とまでは言えない」と判断した。 朝鮮総連が学校の教育内容や人事、財政に影響を及ぼしているとした公安調査庁の資料などに「文科相が一定の信を置くことは不合理ではない」とも指摘。「拉致問題など政治的理由で教育の機会均等を覆した」との卒業生側の主張は「除外は政治的理由ではない」として退けた。 卒業生側の弁護団は判決後「朝鮮学校を対象外としたのは政治的、外交的配慮であることは明らかで、判決は明白な事実謀認をしている」との声明を出した。 無償化訴訟は他に、名古屋地裁と福岡地裁小倉支部でも係争中。 朝鮮学校卒業生の全面敗訴を言い渡した13日の東京地裁判決は、高校無償化の対象から外した文部科学相の判断を「裁量権の範囲内で適法」と認定したが、理由が十分説明されているとは言い難い。 国の判断を違法とした今年7月の大阪地裁判決は教育の機会均等を重視し、教育に対する行政の過度な介入に警鐘を鳴らした。今回の判決はこうした問題について検討を加えた形跡がうかがえない。上級審では多角的な視点からの審理が求められる。 訴訟で国は、公安調査庁の資料や警察幹部の国会答弁などを基に、朝鮮学校に支払われる就学支援金が授業料に充てられない懸念があると主張。判決はこれを追認し、無償化の適用要件に合わないと結論付けたことは不合理ではないと指摘したが、具体的な証拠は示していない。 さらに、下村博文文科相(当時)が2012年末の記者会見で「位致問題が進展しておらず、国民の理解が得られない」として対象外にすることを表明した点についても「個別具体的な処分について述べたわけではなく、政治的、外交的理由で決めたとは認められない」とした。いずれの判示も文科相の判断妥当とする根拠になるかは疑問だ。 朝鮮学校の運営実態や在日本朝鮮人総連台会(朝鮮総連)との関係に関する判断の根拠が薄弱だ。臆測に基づいている可能性があり、問題だ。また、無償化の適用を義務付けた大阪地裁判決では触れられていた教育機会の均等や民族教育の重要性への言及が見られず、十分な検討がなされたのか大いに疑問だ。大阪地裁と正反対の判決が示され、今後の同種訴訟への影響は見通せない。 ![]() |
京都市人事委員会は13日、市職員の期末・勤勉手当(ボーナス)の支給月数を引き上げるよう、門川大作市長と寺田一博議長に勧告した。民間との差を埋めるためで、ボーナスの引き上げ勧告は4年連続。勧告通り市条例が改正されれば、平均年間給与は4万円増える。 市人事委が、市内で従業員数が別人以上の企業や事業所167カ所の状況を調べた結果、ボーナスの支給月数は4・42月分だった。市職員は4・30月分のため、今年12月の支給から0・1月分引き上げて、4・40月分とするように勧告した。 市職員の月給は平均39万7629円で、民間を36円しか下回っておらず、改定は求めない。市職員の平均年間給与(42・歳)は648万1千円で、ボーナスが勧告通り引き上げられた場合は652万1千円。 市役所で、人事委の彦惣弘委員長から勧告を受け取った門川大作市長は「勧告をしっかりと踏まえ、適切に判断したい」と述べた。 ![]() |
政府は11日、安倍晋三首相が掲げる「人づくり革命」を具体化する議論に着手した。焦点の教育無償化は、幼児教育・保育の財源として「こども保険」の創設や企業拠出金の活用を検討。大学進学の負担軽減では、返済不要の給付型奨学金の拡充などが中心となる。首相は官邸で開いた会合に出席し、年内に一定の方向性を出すよう茂木敏充経済再生担当相ら関係閣僚に調整を指示した。 この日開いたのは「人生100年時代構想会議」の初会台で、閣僚や有識者が参加した。首相は「スピード感を持って検討を進めてほしい」と強調。年末に中間報告、来年6月をめどに基本構想を策定する。 政府と並行して自民、公明両党も近く「人づくり革命」の検討組織をそれぞれ発足させる。月内に初会合を開き、政調会長を中心に党独自の案をまとめる方針。首相は新たな目玉政策と位置付けており、衆院解散戦略とも絡みながら制度設計や実施時期の検討が進められていく見通しだ。 教育無償化は、親の経済状況による教育格差をなくし、人材育成を通じて経済成長につなげるのが狙い。実現には巨額の財源確保が 課題となる。 幼稚園や保育園の無償化では自民党が提唱した「こども保険」が選択肢となる。企業と従業員から保険料を徴収し、子育て世帯に現金給付する仕組みを想定している。子育て支援では、企業負担で保育所などを整備する「事業主拠出金」という仕組みが既にあり、これを無償化に活用する案も浮上している。 大学教育では、2017年度にスタートした給付型奨学金の拡充が軸となる見込み。家庭の収入などに応じた授業料の減免措置も強化する方向だ。奨学金とは別に、オーストラリアの高等教育拠出金制度「HECS(へックス)」に倣い、在学中は政府が授業料を全額負担し、卒業後に収入に応じて返済してもらう「出世払い」導入の是非も検討する。 財源確保が難航した場合は「教育国債」による借金で穴埋めする議論も再燃しそうだ。 ![]() |
政府は8日、小中学校の夏休みの一部を地域ごとに舂や秋に分散させる「キッズウイーク」の2018年度からの導入を目指し、学校休業日について定めた学校教育法の施行令改正案を閣議決定した。従来の夏休みや冬休みなどに加え「家庭や地域での体験学習のための休業日」を追加し、時期を適切に分散化できるよう教育委員会に求める。13日に施行する。 キッスウイークは安倍政権が掲げる働き方改革と休み方改革の一環で、子どもの夏休みなどを分散化させ、それに合わせて親も休暇を取得することで子どもと向き合う時間を増やしてもらうのが狙い。ただ有給休暇取得に向けた企業側の取り組みや、他の関係省庁による労働法親に基づく指針改正なども必要とされ、実現に向けたハードルは依然残されている。子どもに合わせて休みを取れない家庭への配慮も大きな課題だ。 分散化のイメージとして、夏休みの最初と最後の一部を秋の週末に移動させて大型連休とする方法や、最終日の1日分だけを切り出して「県民の休日」と合わせて地域特有の連休とする案などが想定されている。 ![]() |
総務省は、自治体で働く一般職の非常勤職員に支給する期末手当(ボーナス)について、常勤職員の支給月数と同水準にするよう全国の自治体に通知した。待遇の格差縮小が狙い。一般職の非常勤はボーナスの対象外とされてきたが、民間企業の「同一労働同一賃金」を目指す政府方針を踏まえ、今年5月に成立した改正法に基づき2020年度から支給できるようになる。 常勤職員の年間支給月数は国家公務員に準じており、現状はおおむね2・6カ月分。 通知は8月23日付で、支給対象は任期6カ月以上の職員とする目安も示した。6カ月以上勤務する非正規の地方公務員は約64万3千 人(16年4月時点)。特別職や臨時職員といった異なる雇用形態も含まれるが、総務省は一般職非常勤への移行を求めている。実現すれば、大半が支給の対象になる。 ![]() |
厚生労働省愛知労働局は4日、複数の事業所で月80時間を超える残業を繰り返し従業員にさせたなどとして、名古屋市の運送会社「大宝運輸」に是正を指導した。同日中に社名を公表する。公表は2件目で、政府の働き方改革に伴う1月の対象拡大後では初めてのケースだが、半年以上を過ぎての対応となった。 厚労省は従来、書類送検した場合に公表していたが、企業に自主的な改善を促すため、2015年から行政指導段階のものについても公表を開始。16年5月、棚卸し業務代行会社「エイジス」(千葉市)を公表した。 ![]() |
京都府内の常勤講師の任用期間には、謎の「空白の1日」が存在する。府と京都市を含む大半の自治体教育委員会が3月31日など年度末の1日〜数日分を期間から外している。緊急の事情がある場合のみ臨時職員を任用できるという趣旨の法律の抜け穴となり、非正規の講師が大量に生み出されている。府・市教委は、この「1日」を理由に夏の一時金を8割程度に減額している。 両教委は、地方公務員法22条の「臨時職員は6カ月を超えない期間で任用し、1度は更新できるが、再度更新できない」を根拠として常勤講師を任用している。1年を超えて連続更新できない規定だが、両教委は、3月31日を任用期間から外すことで「いったん途切れているため、何度でも任用できる」(府教委)と解釈し、実質的に連続任用している。 その1日のために、夏の一時金の算定日数が減り、両教委とも常勤講師としての満額の約8割しか支給しておらず、人件費7千万〜8千万円程度を浮かせているとみられる。数年前までは厚生年金や健康保険でも不利益が生じていた。ある常勤講師によると任用期間ではない3月31日に離任式などに出席するケースもあるという。 一方、総務省は「1日空けなくても法的には問題ない」との見解を示す。実際、北海道教委や東京都教委は空白期間を設けていないという。 「空白の1日」による不利益の改善を求めてきた全日本教職員組合(東京都)は「働く人にとって何のメリットもなく、実態ともかけ離れていておかしい」として、完全撤廃を主張する。府・京都市の両教委とも問題は認識しているものの「国の方針を見ながら検討していく」としている。 ![]() |
厚生労働省は2日までに、生活保護受給世帯など経済的に困窮している家庭の子どもを対象に自治体が実施している学習支援事業に ついて、主な対象としている小中学生に加え、2018年度から高校中退や中卒の子どもにも対象を塔ける方針を決めた。教育機会の格差が子どもの将来の選択肢を狭めないように支援する狙い。17年度に比べ自治体への補助などに12億円を上積みし、18年度予算で47億円を要求した。 学習支援事業は15年に施行された生活困窮者自立支援法に基づく制度で、現在約2万人の子どもが利用。ボランティアや元教員らが 公共施設や家庭訪問で勉強を無料で教えたり、家庭や学校に居場所がない子どもの相談に乗ったりする。 現在の枠組みでは高校進学を後押しするのが主な目的のため、利用者の6割超は中学生で、小学生も約3割を占める。 ただ、高校の授業に付いていけずに中退したり、中学を卒業しても家庭の事情で進学できなかったりする生徒もいることから、支援の対象に加えるべきだと判断した。将来の自立や進学につなげたい考えだ。 17年度は約500自治体が学習支援に取り組んでおり、厚労省はこのうち6〜7割程度が新たな対象者への支援を実施すると想定し文部科学省の統計では、高校中退者は近年減少傾向だが、15年は約4万9千人だった。中卒後、進学しない子どもは就職を含め約1万3千人。 厚労省はさらに、貧困の連鎖を防ぐには早期の支援が必要なことから、小学生がいる世帯への支援も強化する。ソーシャルワーカー らが積極的に自宅を訪れ、子どもの悩みや親の子育ての相談に応じる。 日本は15年時点の「子どもの貧困率」が13・9%で、7人に1人と先進国の中では高い水準。生活困窮世帯への教育支援が重要となっている。 ![]() |
【ニュースを読み解く】高度プロフェッショナル制度 より 法政大教授 上西充子さん ★労働政策の課題は。 「過労死ゼロ、労働者の命と健康を守るという視点が抜けている。長時間労働の抑制が最優先であるべきだ。安倍政権の働き方改革の狙いである労働生産性や経済活性化の話をするのは、過労死、過労自死が後を絶たない現状を変えてからだ。優先課題のずれが大きい。企業が労働力を自由に使える政策ではなく、社会全体として人が使いつぶされないための政策こそが国の役割だ」 ★なぜ長時間労働がまん延するのか。 「労働時間に上限がない。不払い残業が横行して割増賃金が時間外労働の歯止めになっていない。仕事の量や範囲を労働者側が自分でコントロールできない。これらの帰結だ」 ★どうすれば長時間労働はなくなるか。 「正社員の無限定な働き方を変えていく必要がある。そのためには月単位で労働時間を規制するだけでなく、日々の休息時間や生活時間、家族との時間を確保するための勤務間インターバル規制も必要だ」 ★高覧プロフェッショナル制度をどう見るか。 「長時間労働を助長する危険性が高い。時間ではなく成果で評価するとか、効率的に働けば早く帰れるなどとPRされるが、労働時間規制の適用除外にすぎず、成果型賃金に関する規定はない。今でも成果型賃金制度も定時前退社も可能だ。高プロでは、要領よく仕事を終えても追加の仕事を拒めない。時間外手当を払いたくないので、不払い残業の違法リスクを合法化したいのが賛成派の本音ではないか」 ★高プロの対象は年収1075万円以上の一部の専門職に限られる。 「経団連の当初の提言は400万円以上だった。導入されればいずれ要件が引き下げられ、対象が拡大するのは必至だ」 ★実行計画で残業の上限は「単月で最長100時間未満」とされた。 「時間外労働の上限規制は必要だが、100時間は労災認定の目安である過労死ラインと同じだ。過労死遺族も反対している。そこまで残業させてもいいという誤ったメッセージとならないか。労使協定(三六協定)の上限設定にも影響する。せめて上限時間を短縮していくタイムスケジュールが必要だろう。上限規制を機能させるために必要な労働時間の実態把漣が法律上義務付けられていないのも問題だ」 ★連合が法案修正を条件に高プロ容認へ一時傾き組織内批判を招いた。 「迷走は残念。執行部の一部の判断で政府、経済界と水面下の修正に動けは、686万人の組合員をバックにした交渉力を弱め、労働運動全体にもマイナスだ。政労使の合意にまで進んでしまうかと危惧したが、最後は踏みとどまり、反対を確認したのは良かった」 ★加藤勝信厚生労働相が就任早々、高プロと残業上限規制の2法案一本化を表明した。 「高プロ法案は、反対が強くて提出から2年以上も審議されなかったものだ。評判の悪い条項を働き方改革のバッケージに紛れ込ませて成立させようという意図的な戦略であり、姑息(こそく)だ」 |