2016年度に障害のある子どもが通う特別支援学校と交流した全国の公立小学校は16%、公立中学校は18%にとどまることが29日、文部科学省の調査で分かった。公立高校は26%。政府は20年東京バラリンピックに向けた行動計画で、障害者との交流や共同学習を各学校で推進するとの目標を掲げているが、学校での浸透が途上にあることが浮き彫りとなった。 文科省は、各地の教育委員会が中心となって学校に助言したり、情報提供したりして交流を支援する仕組みづくりを検討しているほか、交流ポイントをまとめた08年のガイドラインの見直しを有識者会議で進めている。 調査では全国約3万3千校が答えた。交流していた学校に、教育課程での位置付けを複数回答で聞いたところ「総合的な学習の時間」が公立小54%、公立中48%。学校行事など「特別活動が公立小48%、公立中高は、いずれも42%だった。 一方、交流をしていない学校に複薮回答で理由を聞くと「近隣に交流できる侍別支援学校がない」が公立小で64%、公立中で48%を占めた。公立高は28%。「教科時数の確保を優先」は公立小15%、公立中31%。公立高では49%に上った。 文科省によると、特別支援学校との交流は校長ら学校側の判断に委ねられているケースが多く、障害児と触れ合うノウハウを持つ教員が在籍しているかどうかで、実施に温度差があるという。 文科省は教委が学校間の交流を促すモデル事業を15年度から開始。本年度は全国約20の教委などが、交流校で障害者スポーツを一緒に体験する企画を実施したり、各校担当者による意見交換の場を設けたりしている。文科省の担当者は「行政の支援があれば、学校も継続的に取り組める。 東京パラリンピックを最大の契機と捉え、交流を広めたい」としている。 ![]() |
文部科学省は26日、全国の国公私立小中高、特別支援学校が対象の2016年度問題行動・不登校調査結果を公表した。いじめ認知件数は軽微なものも積極把握するとの文科省方針もあり、前年度から小学校で1・5倍に急増。全体で9万8676件増(43・8%増)の32万3808件と過去最多を更新した。京都府では1120件増の2万6775件。心身に大きな被害を受けるなど、いじめ防止対策推進法で規定する「重大事態」 は374校で400件(86件増)。自殺した児童生徒は244人で、うち10人がいじめに遭っていた。 いじめの90・6%は既に解消し、9・1%が現在解消に向け取り組み中だった。文科省は「件数増を重く受け止める」としつつ「いじめを早めに把握し、対応できているのであれば、子どもたちを救う望ましい傾向に進んでいる」としている。 一方、認知件数ゼロの学校が全体の約3割を占め、千人当たりの件数も都道府県でばらつきがあることから、見逃されたいじめがあるとみて掘り起こしを進める考えだ。 認知件数は、小学校が23万7921件(8万6229件増)で特に低、中学年の増加が顕著。中学校は7万1309件(1万1807件増)、高校は1万2874件(210件増)だった。 具体的な内容は「冷やかしや悪口」が全体の62・6%と最多だった。会員制交流サイト(SNS)など「パソコンや携帯電話での中傷、嫌がらせ」は全体で3・8%だが、高校に限ると17・4%と2番目に多い。 都道府県別の千人当たり件数は最多が京都の96・8件、最少が香川の5・0件で19倍以上の差があった。青森は前年度の1224件から4倍以上の5237件。文科省は昨年8月に青森県の中学2年女子がいじめを訴え自殺した問題が影響したとみている。新潟、長野、沖縄も大きく増えた。 調査では今回から、けんかやふざけ合いといった軽微なものも、一方的であればいじめに含むこととしている。 . 自殺した244人のうち、教職員との関係で悩みを抱えていたのは3人。文科省は明らかにしていないが、担任らの強い叱責(しっせき)で今年3月に自殺した福井県の中学2年男子を含むとみられる。 暴力行為は小中高全体で5万9457件(2651件増)。特に小学校は2万2847件と、5769件増えて過去最多を更新した。不登校は全体で18万2977人(7423人増)。児童生徒全体に占める割合は1・4%だった。 いじめ認知件数が前年度から約10万件増の32万3808件となった文部科学省の2016年度問題行動・不登校調査。同省はけんかやふざけ合いもカウントして広く網を張り、深刻ないじめの芽を事前に摘もうとしているが、自殺防止までには至っていない。学校現場からは「膨らんだ認知件数に対処するには人的手当ても必要だ」と恨み節も聞かれる。 「全国に出向いて、いじめを積極的に認知するよう話してきた。認知を肯定的に評価する(文科省の)メッセージが、現場に浸透してきた」。文科省の担当者は認知件数の増加について、いじめを早期発見し、教員が抱え込まずに学校組織で対処する土壌ができてきたと成果を自賛した。 大津市の中2男子のいじめ自殺をきっかけに、13年に施行したいじめ防止対策推進法は、いじめを「一定の関係にある児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為で、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と広く定義し、早期発見を求めている。 今回の調査からは、これまで対象になかった「けんかやふざけ合い」なども認知するよう求めた。小学校では「冷やかしやからかい」などが前年度から約5万2千件増、「軽くぶつかられた」などが約1万8千件増と全体を押し上げた。 文科省が目指すのは、教員や学校が小さな芽の段階でいじめを認知し適切に指導すること。自殺や不登校といった深刻な事態の未然防止を狙う。 ただ認知件数が最多となった16年度調査では、深刻な事態が減少したとは言えなさそうだ。いじめを原因とする自殺は10件で、前年度の9件から増えた。内訳を見ても中学校8件、高校2件と、小学生よりも中高生で発生している。 いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」も400件と、前年度から86件増となっている。 今回の調査結果は何を表しているのか。児童生徒千人当たりの認知件数が都道府県トップだった京都府教育委員会の担当者は「小学 校低学年でたたかれたり、押されたりして、すぐ仲直りするような種類が大きく増えた」と小学校での認知が多かったと明かす。その上で「ぼやを放っておけば大火事になる。こうした意識で大人がいじめを見れば、子どもの意識も変わる。今は大火事を防ぐまでの過渡期だろう」と指摘する。 「こんなことまで、いじめと認知してしまうのか」。首都圏の公立小の中堅男性教諭は声を落とす。いじめを早期に認知し対応することで、現場の教員の負担は確実に増える。いじめを見つければ、被害者と加害者の話を聞き、双方のつじつまが合つているかを確認し、保護者に連絡する場合もある。以前はいじめと捉えなかった小さなけんかであっても同様だ。 この教諭は「認知も大事だが、一つ一つの案件に教員が対処して多忙になるとクラスが荒れ、いじめが起きる。教員を増やすなど負相軽減を優先してほしととこぼす。 文教大の松田素行教授(生徒指導)は「教員を増やすのが理想だが、すぐには難しいのが現実。校長がリーダーとなり、各校の実情に応じて学校組織としていじめに取り組む工夫が必要だ」と提言している。 文部科学省が26日に公表した2016年度の児童生徒による問題行動・不登校調査で、京都府内の国公私立小中高校で起きた暴力行為は2096件(前年度比23件増)に上り、千人当たりは7・7件(同0・2件増)と全国5番目に多かった。特別支援学校を含めたいじめの認知件数は2万6775件(同1120件増)、千人当たりは96・8件(同4・8件増)と全国1位。暴力行為は小学校の増加が顕著となっている。 公立で発生した暴力行為の件数は1964件と前年度より30件増えた。中学高校は減少傾向だが、小学校は191件増の832件に上り、2006年度と比べると倍増している。 内訳は児童生徒間の暴力が最多で、前年度比141件増の1321件。うち小学校が121件増だった。府教育委員会は「感情のコントロールができない低学年の児童が、暴力行為を繰り返している点が目立っている」としている。 いじめの認知件数は4年連続で全国1位だった。全国平均の千人当たり23・9件と比べて突出しているが、都道府県ごとに異なる調査方法が原因に挙げられる。府教委は13年度から全児童生徒にアンケートと面談を実施し、「嫌な思いをした」などの軽微な事案もすくい上げている。 93・3%は既に解消されたが、公立では重大事案6件が確認された。内容は公立で「冷やかしや悪口」が61・4%を占めた。ネット関連のいじめは割合が2・6%の678件で176件減ったが、SNS (会員制交流サイト)の閉鎖的空間で起きているケースが考えられ、発見しにくいという課題が浮かんでいる。 全体の不登校者数は小中学校で90人増の2625人。高校は不登校が94人増の1003人、中途退学者は138人減の734人だった。 ![]() |
国京都府人事委員会は25日、府職員の給与と期末・勤勉手当(ボーナス)の引き上げを、山田啓二知事と村田正治府議会議長に勧告した。民間給与との差を解消するとして、4年連続の引き上げ勧告となった。 府人事委が給与とボーナスを4年連続で引き上げるよう勧告するのは、高度成長期の1963年以来。府人事委などが別人以上の府内事業所226カ所の民間給与を調査したところ、月額平均は38万4211円で府職員平均を984円上回った。 勧告では、月額給与を978円引き上げ、38万3363円とするよう求めた。ボーナスも民間平均(4・41月)との格差解消に向け、勤勉手当に0・10月分上乗せし、4・40月とすることが適当とした。 勧告通りに引き上げが実施されれば、給与とボーナスは年間で5万1千円増え、632万7千円となる。引き上げに必要な予算額は約15億5千万円に上る。 山田知事は「大幅な税収減などにより警戒感を持って予算編成を行わざるを得ない府の行財政環境を踏まえ、給与制度の総合的見直しに着実に取り組んでいる実情も考慮し、適切に対処したい」とコメントした。 ![]() ア 総実勤務時間の短縮 ・ ICカードやパソコン使用時間の記録等適切な方法による勤務時間の適切な管理 ・ 業務の執行状況に応じた適切な職員配置による執行体制の構築 ・ 教員に係る業務改善の取組が教育現場で浸透するよう関係者の理解を得るとともに、更なる各種改善策の検討 イ 健康の保持増進 ・ 定期健康診断等の全員受診の徹底 ・ 予防、早期発見・早期対応、職場への復帰支援・再発防止のそれぞれの場面におけるメンタルヘルス対策の推進 ウ 仕事と育児・介護等の両立 ・ 両立支援制度の周知徹底や職場全体としてのサポート体制構築による制度を利用しやすい職場環境づくりの推進 ・ 多様で柔軟な働き方の推進のための研究・検討 エ 適正な勤務環境の確立 ・ 労働安全衛生法等に的確に対応した上での働きやすい勤務環境の追求 ・ 労働災害の未然防止、万一発生した場合の再発防止 ・ ハラスメントの防止対策の推進 オ 非常勤職員の勤務条件 ・ 社会情勢を踏まえた勤務条件等の検証と適切な処遇の確保 ・ 会計年度任用職員等の制度導入に向けた臨時・非常勤職員の実態把握 との指摘も見える。「臨時・非常勤職員の実態把握」に言及している点は評価できるだろうが、理事者側はこの問題点は既に把握しておりどこまで実態に迫れるかが問題。 。 |
長時間労働が深刻な教員の働き方改革に向け、中教審の特別部会が対策をまとめた緊急提言を発表したことを受け、過労死遺族でつくる「全国過労死を考える家族の会」は2日、文部科学省を訪れ、教員の勤務時間の適正な把握や、負担が大きいとされる部活動の見直しなど、提言内容を着実に実行するよう求める要望書を提出した。 学校現場では勤務時間の管理がおろそかになっているとの声があり、緊急提言はタイムカードなどで管理の徹底を図り、現場の意識 改革を促すよう求めている。 要望書は、教員に時間外手当の支給を認めない教職員給与特別措置法(給特法)が原因で「管理者や教員は労務管理意識が薄い」と指摘。校務支援システムなどを導入して勤務時間を正確に把握するよう求めたほか、国が全体をチェックできるような体制づくりが必要だとした。給時法の改正も要望した。 また朝練や週末の試合などで教員の負担が大きい部活動に関しても「心身共に疲労する最大の原因」として、外部スタッフの「部活動指導員」の増員など、国が対策を急ぐよう訴えた。 家族の会のメンバーで、10年前に中学校教員だった夫を過労で亡くした工藤祥子さん(50)は要望書提出後の記者会見で「教員は教育に対して熱い思いがある。週に1日は休日とするとか、学校閉庁日を定めるなど、きちんと仕事の上限を設けることも大切だと思っている」と語った。 ![]() |
内閣府が30日付で公表した「障害に関する世論調査によると、日本社会で障害を理由とした差別や偏見が「ある」と思う人は83・9%に上り、前回2012年の調査より5・3ポイントの減少にとどまった。障害による不当な差別を禁止した「障害者差別解消法」が昨年4月に施行されたが、十分に浸透していない現状が明らかになった。 障害者差別解消法は、車いす利用者の移動の手助けや、聴覚に障害がある人との筆談といった「合理的配慮」を国や自治体などに義務付けている。この法律を「知っいる」と答えた人は21・9%で、「知らない」としたのは77・2%だった。内閣府の担当者は「差別解消の取り組みが進むよう関係省庁と連携し、法律内容の周知に努めたい」と語った。 調査は8月に全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施し、回収率は59・0%だった。 ![]() |