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  • 弁護団が評価.25
  • 府立55.2%市立57.9%.27
  • 民間試験導入に賛否.30
  • 4月30日 大学共通テスト 民間試験導入に賛否

     共同通信の国立大アンケートの意見記述では、大学入学共通テストの英語に民間検定試験を導入する新たな方式について「英語力アップに効果的」などの評価が寄せられた。一方、目的や実施方法が異なる試験を扱うことの妥当性や、受験機会の確保など、実際の合否判定での活用に伴う課題の指摘も相次いだ。

     「民間試験の方が従来のセンター試験より質が高い。その試験結果を使わない理由がない」。合否判定で活用する考えの金沢大は、民間試験導入を高く評価する。大学入試センターによる改革より「民間試験への『転換』の方が未来に希望が持てる」と強調。千葉大は「英語力アップに効果が高いと思われる」とした。

     センターが共通テストとして認定したのは8種類の試験で、検定料は6千〜2万5千円程度となる見通し。ただ、初回の2020に全部道府県で実施さるのは3種類のみとなっている。

     琉球大も活用する考えだが、離島が多い沖縄県の事情も踏まえ「県内受験生の公平性確保や経済的負担などに不明確な部分もある」と記載。東京外国語大は「制度設計が異なる民間試験では入試の公平性が保てない」と懸念した。活用を「検討中」と答えた各大学の思いはさまざま。「障害者への配慮を見極める」としたのは、視覚障害者か聴覚障害者であることが入学条件の筑波技術大。三重大は「検定試験の導入を不安視する意見は少なくない」と記した。


    ちなみに京滋の「検討中」は、滋賀大、滋賀医科大、京都教育大、京都工芸繊維大など。


    4月27日 公立高大学進学率 府立55.2%市立57.9%

     京都府、京都市両教育委員会は26日、今春に公立高を卒業した生徒の進路状況を発表した。全日制の四年制大学進学率は府立高 が55・2%で過去最高となり、市立高は57・9%だった。就職希望者に占める内定率は府立高が98・9%、市立高は99・0%だった。

     府立高全日制では国公立大の合格者数が卒業生の11・4%を占めた。主な大学の延べ合格者数は京都大40人(前年比4人増)、東京 大4人(前年比同)、大阪大42人(同1人減)、神戸大55人(同12人減)、府立医科大31人(同9人増)、同志社大351人(同51人減)、立命館大946人(同17人減)、関西大445人(同113人減)、関西学院大135人(前年比同)だった。

     市立高全日制の国公立大合格者は卒業者全体の21・1%。主な大学の合格者は京大54人(同7人減)、東大6人(同8人減)、阪大35人(同8人増)、神大19人(同12人減)、府立医大3人(同6人減)、同大147人(同13人減)、立命館大217人(同36人減)、関大81人(同6人減)、関学大25人(同13人減)。定時制から3人が四年制大学に進んだ。

     私立大の合格者延べ人数は、府立高で1万1000人(同709人減)、市立高で1708人(同117人減)と減らした。国の定員超過抑制策などが背景にあるとみられる。


    「〇〇高、京大へ**人」という広告や記事が目立つような季節になってきたが、そうした数字に右往左往するのはあまり意味がないように思う。しかし、高卒者の半数以上が大学進学を希望するという事態は考慮する必要がある。かつて60年代後半には高校進学率が過半数を超えていたがそこから教育過剰な時代へと突入していったことが想起される。教委が不用だというのではない。「学び直し」が可能な社会を作る事が必要だということだ。同時に「新卒一括採用」という雇用の在りかたも問題にしなければならないのだろう。


    4月25日 ヘイトスピーチ起訴 弁護団が評価

     差別的発言で朝鮮学校の名誉を傷つけたとして、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の西村斉元幹部(49)=京都市右京区=が名誉毀損罪で在宅起訴されたのを受け、学校側の弁護団が24日、京都市内で記者会見を開いた。「ヘイトスピーチ(憎悪表現)に毅然と対応した」と京都地検の判断を評価し、今後、差別的な言動の抑止につながるとの見方を示した。

     弁護団事務局長の冨増四季弁護士は「ヘイトスピーチを巡る従来の刑事事件では、捜査機関が被害を軽視する傾向があった」と指摘 した。その上で「在特会が敗訴した民事訴訟判決の積み重ねやへイトスピーチ対策法の制定により、刑事司法が厳正に処罰する流れが生まれた」と話した。

     一方、法律や条例でへイトスピーチが規制された後も、各地で差別的言動による街宣活動が行われているといい、弁護団の豊福誠二 弁護士は「彼らがなぜ、そのような行動を続けるのか分からない。(今回の発言を)裁判所が人種差別に基づくものと認めるかどうか、注目して見ていく」と話した。

     西村被告は同日、京都新聞の取材に対して「事実に基づく発言で、公益性があり、名誉毀損には当たらない」と話した。

     告訴状によると、西村被告は昨年4月23日夕、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校(閉校)の跡地近くの公園で、拡声器を用いて「日 本人を粒致するような学校はたたきださないといけない」などと発言。インターネットで動画配信するなどし、学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけた、としている。

     学園は昨年6月、西村被告を南署に告訴し、京都地検が今月20日付で在宅起訴した。


    「事実に基づく発言で、公益性があ」るという考え方は一見正論に見える。しかし、ヘイトスピーチが言論の自由の範囲に含まれるとする考え方は、人権擁護という観点とは異質であるということを確認して置かなければならない。それは「イジメ」を表現の自由とすることと同じ過ちだからである。


    4月17日 学テ 213万人参加

     小学6年と中学3年の全員を対象にした文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が17日、一斉に行われた。国語と算数・数学に、3年ぶりに理科を加え3教科で実施し、計約213万4千人が参加。結果公表はこれまで8月だったが、教員が夏休み期間中に結果の分析などをできるよう7月に前倒しする。

     参加は小学校1万9629校の約107万2千人と、中学校1万80校の約106万2千人。国公立は全校で、私立の参加率は49・8%。東日本大震災で事実上実施できなかつた2011年度を除き、今回で11回目となる。島根県西部で震度5強を観測した地震の影響で、同県大田市の市立中学校22校は17日のテスト実施を見送り、後日の参加となる。

     林芳正文科相は17日の閣議後記者会見で「調査結果が教育施策や指導方法の検証や改善充実につながるよう学校や教育委員会と適切 に連携していく」と述べた。

     国語と算数・数学は基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力をみるB問題に分けて出題。理科は知識と活用を一体的に問う。同時に子どもたちに学習意欲や生活習慣などを尋ねる質問調査も実施し、さまざまな分析に役立てる。

     文科省は来年度から3年に1度程度、中3全員を対象に英語も実施する予定で今年5月に一部の学校を抽出して予備調査を行う。

     全国学力テストは07年度に全員参加方式で始まった。民主党政権が一時、約3割の学校を抽出する方式に変えたが、自民党の政権復帰で毎年全員を対象とする方式に戻った。


    知識と活用 一体の問題へ

     全国学力テストで出題する国語と算数・数学の問題は、基礎的な知識を尋ねる「A問題」と、その知識の活用力をみる「B問題」に分かれているが、文部科学省は2019年度のテストから、これらを一体化した新形式の問題を出すことを目指している。20年度以降に実施される次期学習指導要領の方向性に沿う形の大幅な見直しで、どのような問題にするかを専門家会議で検討中だ。

     小中学校の次期指導要領は「知識・技能」と「思考力・判断力・表現」との結びつきを強める学習を掲げており、文科省は学力テストもその趣旨を踏まえたものに改善すべきだと判断した。

     背景には、学力テストが07年度に始まって以降、毎年の結果から児童生徒の学習課題の把握と学力の底上げが進んだとして「現行の出題方式は一定の役割を果たした」との考えがある。

     また19年度からは中3対象の英語のテストが3年に1度程度実施され、大学入試改革でも重視される「読む・聞く・書く・話す」の4技能を問うことが決まっており、生徒や学校現場の負担への懸念が指摘される。こうした点を踏まえ、国語と算数・数学での知識と活用問題の一体化により、試験時間の短縮につなげる狙いもある。

     ただ具体的な問題内容の詳細はまだ決まっていない。文科省は今後、専門家会議で議論を重ねた上で、問題のイメージを公表したい考えだ。理科は既に知識と活用が一体の問題となっている。


    「知識と活用の一体」ということが求まられる傾向にあるが、それを進めれば進めるほど「点数化」による矛盾が大きくなるのではないか。知識をどう活用するかによって「答え」は多様化するのだから、これまでの回答方式では捉えきれない事になるように思えるが。


    4月18日 学テ(続報) 過去の課題から36%

     文部科学省は17日、小学6年と中学3年を対象に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の出題の狙いを公表した。国語、算数・数学、理科の3教科で過去のテストで課題とされた分野からの出題が約36%を占め、次期学習指導要領の内容を先取りするような問題もあった。3年ぶりに実施した理科では実験や観察の場面が多く出題された。

     過去のテストで平均正答率が70%を下回った分野を課題として出題し、全178問中64問に上った。小学校国語Bで文章構成や表現を工夫して推薦文を書けるかどうかを試したほか、算数Aでは「単位量当たりの大きさ」を求める割り算の理解を尋ねた。

     理科では実験や観察などを通じ科学的事象を探求する力を確認した。小学校では、メダカを育てる水槽の水温を下げるため光電池を使ったプロペラで風を起こす場面を出題。現在の授業内容でも対応できるというが「次期指導要領や解説にある『ものづくり』活動の充実の視点を先取りした」(文科省)という。算数Aでも次期指導要領に関連する問題があった。

     小中の国語Aでは共に「心を打たれる」の意味を尋ねた。同一の言葉の意味を小中で同時に問うのは初の試みで、慣用句の理解に課題があることから、それぞれの時点での学習の定着度を検証する目的で導入された。

     一方、文科省によると、島根県で発生した地震の影響やインフルエンザによる学校閉鎖などで22道府県の計53校が17日のテストを見 送り、一部は参加を取りやめる方針。後日実施する場合は5月1日まで行えるが、結果集計には反映しない。

     これとは別に、大阪府内の2校は中学校理科に授業で学んでいない内容があったといい、文科省は今後、結果の扱いを検討する。


    横浜国立大の高木まさき副学長(国語教育)の話 全体に良問そろう

     小中学校とも全体的に良問がそろっている印象だ。天気予報や電子辞書、学習の場面などが題材となり、実際の生活に生かされるような問題が多かった。中学校のB問題では古典を現代語訳した長文も出題された。原文で読めるのに越したことはないが、古典に触れてもらうための試みとして評価できる。また一つの文章だけでなく、複数の資料から情報を読み取らせる問題が今回もあり、この形式が基本路線として定着したといえる。必要な情報を目的に沿って取り出す力をみる問題もあり、いろいろな読み方を示そうという出題者側の意図がうかがえる。


    浜松学院大の坂本雄須土教授(数学教育学)の話 日常課題絡め出題

     日常的な事象に絡めて問題を解決させる出題が目立ち、データの活用など次期学習指導要領を意識したと考えられるものもあった。算数では単純な計算問題がなく、文章を読んでから解く形式が多い。「うろこ模様」「きつこう模様」など日本の伝統的な模様にも触れ、児童の興味を引きそうだ。昨年の数学Bでは、無解答率が20%を超えているものが3問あった。今回は、おおむねオーソドックスな設問だった。生徒が最初から解くのを諦めるのでは学習の達成感がない。晋段の授業でも、児童生徒が間違いを恐れず発言し、認め合うことが思考の発展につながると思う。



    4月18日  学力テストのねらい

    【小学校 国語】 日常場面での活用問う

     授業や課外活動など日常場面を提示して、学んだ知識を実際に活用する力が身に付いているかを調べる出題が多かった。/A問題の設問5は、春休みの出来事をつづった文章の「反省点は、用具の手入れをあまりしませんでした」の部分について、主語と述語が合っていないとの誤りを見つけさせる内容。相手や目的に応じて、伝えたいことを正確に表現できるようにするためで、過去のテストでも課題のある観点だった。/B問題の設問2は家庭科と関連付けた出題。するめを材料にしたあえ物を紹介した文章と、保健室の先生から聞いた食事に関する豆知識を読み比べ、よくかむことで虫歯予防効果が出ることを50字以上、80字以内でまとめさせた。目的や意図に応じて文章全体の構成や表現を工夫して推薦文を書く力を確認した。/設問3は、日本初のノーベル賃受賞者、湯川秀樹の伝記が題材。文章の内容を的確に押さえられているかを問い、研究に挑み続けた真体的なエピソードを文中から探し出せるかがポイントとなった。/昨年のテストでは解答時間が足りないとの声が多かったため、全体的に問題数を減らした。

    【小学校 算数】 言葉と数で法則性記述

     実生活で不可欠な基礎知識の定着を確認する問題を幅広く出題したほか、言葉と数で法則性を記述させる問題もあった。/A問題は、四則計算や図形の角度、割合などを出題。設問9は、異なる地点の気温を示した折れ線グラフから変化の特徴を読み取る問題で、次期学習指導要領に登場するグラフの組み合わせも意識した。/B問題は、身近な題材から数学的に解を導かせる内容が含まれ、10間中7間が過去の学力テストで正答率 の低かった分野からの出題だった。/設問1では、正三角形と正六角形を組み合わせてできた「かごめ模様」について、ある点の周りの角の大きさの和が360度になることを、図形の名前と角の大きさが分かるように説明させた。玉入れが題材の設問2は、投げる時間と入った玉の個数、玉を数える時間をどう組み合わせたら、3分に最も近づくかを考える内容だった。/設問4は、九九の表を基に、横に並んでいる「18、21、24」の三つの数字の和 である63は、真ん中の21に3を掛けたものと等しくなることを例示。その上で、2の段の七つの数字の並びを示し、同じように説明するよう求めた。

    【小学校 理科】 実験や観察、思考を重視

     2015年度の前回テストで解答時間が足りないとした児童が多く、問題数を前回の24間から16間に減らした。うち14間は過去のテストで判明した課題を踏まえた出題。実験や観察を重視し、予想を立てたり複数の情報を組み合わせ判断したりする設問が目立った。/太陽の位置の変化に関す る設問は「ものづくりに関する教育の充実」が掲げられた次期学習指導要領を先取りする内容。太陽電池を設置する場所をどのように工夫すれは、午後1〜3時の時間帯だけ日光を当てて扇風機のモーターを動かせるかを問うた。/電流の流れ方を取り上げた設問では、まず他人が立てた予想が正しければどんな実験結果が出るはずなのかを検討させた。その上で実際の結果を踏まえ、より妥当な考えを導けたかどうかを問う出題につなげた。/ひなのいる鳥の巣を学校の玄関の上に見つけたといった身近な事象を扱った設問では、親鳥の子育てを邪魔せずに、安全に気をつけて観察するにはどうすれはよいか選ばせた。/川を流れる土や石を積もらせる水の働きを示す「たい積」という言葉を尋ねるなど、基本的な知識に関する問題もあった。

    【中学校 国語】 小6と同じ慣用句出題 

     二ュースやスピーチなどを扱った問題が目立ち、グラフから情報を読み取らせる出題もあった。慣用句の意味を答えさせる問題では、初めて小 学6年のテストと同じ問題が出された。/A問題の設問7はテレビの天気予報が題材に。桜が開花した中、今夜は強風が予想されるというせりふの中に登場する「ハナイカダ」の意味を、文脈を踏まえて4択の中から答えさせた。/慣用句の「心を打たれる」の意味を尋ねる問題があり、小6の国語Aでも同じ問題が登場した。文部科学省によると、小中で同時に同じ問題を出すのは初の試み。「両学年の定着度を比較し、指導の改善に生かすのが目的」としている。/B問題の設問1は文化庁の「国語に関する世論調査」を取り上げた。「天地無用」の意味を3割近い人が誤解していたとの結果を示したグラフから読み取れることを聞いたほか、意味を誤解してしまう理由を書かせた。/設問2では総合的な学習の時間に「ロボットに期待すること」とのテーマで発表する場面を提示。ロボットに関する資料と、発表者と質問者とのやりとりを見た上で、あなたなら何を質問するか、などを尋ねた。

    【中学校 数学】 数学的表現で説明要求

     A問題では36問中10問が過去のテストで課題があった分野からの出題だった。B問題は与えられた情報を適切に処理し、数学的な表現で説明さ せる出題が多かった。/A問題では、比例式や図形の対称に関するものなど、過去のテストで正答率が70%未満だった分野の類題が多かった。2009年度に正答率が45・7%だった等式に関する問いも出題。三角形の面積を表す等式を、底辺の長さについて解く内容だった。/設問14は、男子生徒35人の運動靴のサイズの最頻値を示し、選択肢の中から適切な内容を選ばせた。女子生徒の反復横跳びの結果から、中央値の理解度を確認した。/B問題は学校生活や実社会への活用を意識しており、設問1は、昼の放送で流す音楽に関するアンケート結果から出題。全8曲のうち、上位4曲を選んだ生徒数の割合や、下位4曲を選んだ生徒の回答用紙をくじにして1曲を流す場合の確率に関わる問題だった。/バスツアーの料金を扱った設問5では「通常料金」「団体料金」「団体料金の利用可能人数」といった条件を提示。必要な情報を選択して、数学的に説明するよう求めた。

    【中学校 理科】 科学的な探究力を確認

     物理、化学、生物、地学の各分野からバランスよく出題された。生活密着型のテーマを多く含み、科学的な探求方を問うとともに、実際の課題解決につなげられるかを確認する内容が目立った。/物理分野では、自転車のライトを豆電球から発光ダイオード(LED)電球に変えると明るさが増したとの事例を示し、電流・電圧と抵抗、光の明るさの関係に関する知識が備わっているかを見た。/化学分野では、水を入れると火を使わずに物を温められる発熱パックの仕組みを調べる実験を取り上げた。パックに入ったアルミ二ウムの役割をグラフから読み取り、浮かんだ疑問を記述させる出題もあった。/地学分野は、コンピューターを使った台風の進路のシミュレーションを扱い、複数の気象のパターンを示して太平洋高気圧の範囲が進路に影響していることについて分析させた。/生物分野は、刺激と反応に関し「運転士に話しかけるとブレーキを踏むのが遅れる」との仮説を確かめるには、どのような代替実験を行うべきかを考えさせる内容。信号をLEDの光に、、フレーキをスイッチにそれぞれ置き換え反応時間を比べる方法を導き出させた。



    4月10日 19年度教員採用 府340人、市300人

     京都府、京都市の両教育委員会は9日、2019年度教員採用試験の要項や日程を発表した。採用規模は府教委が昨年度末の大量退 職を受けて前年度比30人増の340人程度とした。市教委は前年度と同規模の300人程度。1次の筆記試験は6月30日に実施する。

     府教委は、英検やTOEICで一定の成績をおさめた小学校と中学校英語の志願者や国際貢献活動の経験者に、1次試験で5〜10点を加点する。20年度に始まる小学校英語の教科化に対応するとともに、中学校の英語科教員の能力を底上げする狙いがある。採用は小学校が前年度と同規模の130人程度、中学校が30人増の75人程度、高校が5人増の80人程度、特別支援学校が前年度並みの45人程度となる。受験資格年齢は来年4月1日時点で60歳末満。

     市教委は国公私立学校の現職教諭らを対象とした特別選考制度を新設し、経験豊かな人材の確保を進める。採用は小学校が150人程度、中学校が70人程度、高校が10人程度、総合支援学校が40人程度でいずれも前年度並み。受験資格年齢 は特例を除き45歳未満。

     両教委は前年度に引き続き、理工系の研究者やスポーツ選手、英語を母語とする人材などの特別選考を行う。

     志願受け付けは府教委が19日〜5月18日、市教委が17日〜5月17日。実施要項の冊子配布は府教委が4月19日以降、市教委が16日以降を予定。要項はホームページでも公表する。



    4月7日 【土曜評論】 問題山積の「考える道徳」

     道徳が教科化されて初の中学校教科書の検定結果を文部科学省が公表した。報道では、いじめと会員制交流サイト(SNS)やスマートフオンの関連、自然災害、オリンピック、性的少数者などの題材が話題になった。一方、昨年の小学校と異なり、検定意見はそれほど論議を呼んでいない。

     検定に合格した8社の教科書は、いずれも文科省が掲げる「考え、議論する道徳」に一定の配慮を見せている。一見したところ、順調な滑り出しである。だが、解決すべき問題は少なくない。

     道徳科はいじめ自殺をきっかけに、「戦後レジームからの脱却」を目指す安倍政権によって導入された。だが、その制度設計では、次の二つの課題を無視できなかった。

     一つは、経済や社会のグローバルな変化への対応だ。学校教育全体を通じた「思考力、判断力、表現力等」の重視や「主体的・対話的で深い学び」の導入、主権者教育の推進などが、その具体策である。

     もう一つは、「道徳の時間」の限界をどう乗り越えるかだ。従来の道徳では、物語資料の登場人物の心情を読み取ることにより、道徳的価値を心で受け止めることが期待された。けれども実際には、資料や教師が想定している「答え」を当てるだけで良しとされた。しばしば「いい子」を演じる時間や単なる息抜きの時間となった。学んだのは教師を出し抜く術と、道徳を軽視する姿勢だけ、というわけだ。

     「考え、議論する道徳」はこの二つの課題に挑んでいる。道徳への理解を深め、多様な道徳的見解を踏まえながら、自分の考え方や生き方を問い直し、人間や社会の在り方を考えることを目標としている。

     例えば、身近な人への思いやりが公共の利益を損なう事例や、目先の利益の追求が長期的には不幸をもたらす事例について考えれば、そのような目標を追求できる。

     ところが、こうした課題への対応については、程度の差はあるが、どの教科書も依然として不十分である。まず、答え当てゲームを誘発しそうな教材が少なくない。経験しなければ分からないことを言葉だけで分からせようとする無理な教材も多い。そこからは形だけの思考や議論しか生まれてこないだろう。そこに評価が加わると、従来の気楽さが息苦しさに反転しよう。

     さらに、戦前の修身科以来、学校の道徳教育には、従順、自己犠牲、自制、分相応といった内向きの姿勢を求める傾向が強 かった。こうした傾向は今回の教科書にも散見され、時に色濃い。これからの激動の時代には外への突破力が求められるのに、これでは心配だ。

     とはいえ、子どもたちに本気で考えることを求める教材も、コラムを中心に少なからずある。多様な人々と共生する力を培う創造的な道徳科の可能性は芽生えている。補助教材も活用しながら、その芽を社会全体で育てていく必要がある。

     近年、道徳・倫理に関する学問的成果は多様な分野で著しい。教科を名乗り、また先の諸課題に対応するのであれば、諸学問の成果を踏まえながら、学習指導要領の「内容」を大胆に見直すことも急務だといえる。(武庫川女子大教授 松下良平)



    4月7日 文科省調査 中高英語力、到達4割

     文部科学省は6日、全国の公立中学・高校に通う生徒の英語力を調べた2017年度の英語教育実施状況調査の結果を公表した。中3で「英検3級程度以上」の力がある生徒は前年度より4・6ポイント増の40・7%、高3で「英検準2級程度以上」は2・9ポイント増の39・3%だった。政府は20年の東京五輪などを見据えグローバル化に対応するため、17年度までにそれぞれの割合を50%にすることを目標としていたが、達成できなかった。

     都道府県や政令指定都市別の結果では、福井県など複数の自治体が50%を超えた一方、目標に大きく届かない自治体もあり、ばらつきが見られた。文科省は「全体として底上げは進んでいる」と分析した上で「結果が良い地域では教育委員会の主導で授業改善を徹底したり、外部試験を導入したりする取り組みが奏功した」と指摘。伸び悩む自治体には好事例を周知するなどして地域差の解消を目指す。

     また文科省は同日、全国の中3、高3それぞれ6万人を対象に「読む・聞く・書く・話す」の4技能ごとの到達状況をみた別の英語 力調査の結果も公表。中高でいずれの技能も50%に届かず、特に高3では「話す」「書く」の到達割合が2割を切り、発信力に課題が浮かんだ。

     教育実施状況調査は17年12月に実施し、中学は都道府県と政令市、高校は都道府県を集計。中3で英検3級、高3で準2級相当を取得した生徒のほか、取得していなくても学校の成績などを基に教員の裁量で「相当する力がある」と判断したケースも含む。3級は中学卒業、準2級は高校中級相当のレベルとされる。

     中3で到達割合が最も高いのは福井県の62・8%で、さいたま市の58・9%、横浜市の54・0%が続いた。福岡市、大阪市、東京 都、熊本市、石川県も50%を超えた。京都府は38・6%、京都市は43・1%、滋賀県は40・0%だった。高3でも福井県が52・4%でトップ。ほかの自治体は50%に届かなかった。京都府は36・1%、滋賀県は33・5%だった。

     中高の英語教員の英語力も調べ、大学中級程度とされる英検準1級か、それに相当するレベルのスコアなどを取得している割合は、中学で前年度比1・6ポイント増の33・6%、高校で3・2ポイント増の65・4%。政府は中学で50%以上、高校で75%以上を目指していたが、こちらも達成できなかった。


    毎回英語学習が話題になる度に思うのだが、英語による「発信力に課題が浮かんだ」といわれることにいささか疑問がある。というのも、では日本語による「発信力」に問題はないのかということ。英語による「発信力」がグローバル化に対応することかという二つの点だ。教育において「ことば」をどう理解するのかがまずは問われなければ楢にのだが、ほとんどそうした形跡が見られないと思うのだが、それこそがベースとなる思考だろう。その上で「言語のよる教育」が成立する筈。


    4月6日 通産省 原発説明に変更要求

     北海道ニセコ町の町立ニセコ高で昨年10月、国の委託事業の一環として開かれたエネルギー問題の外部講演を巡り、経済産業省北海道経済局が講師の大学助教に原子力発電に関する説明を変更するよう事前に求めていたことが5日、分かった。一部住民は「教育への介入だ」と問題視。経産局は「中立公平な内容とするため助言した。不当行為ではない」としている。

     ニセコ高は2017年度、経産省資源エネルギー庁の委託で日本科学技術振興財団が実施するエネルギー教育モデル校事業の対象に選ばれた。昨年10月16日、北海道大大学院の山形定助教が原子力や火力、太陽光などエネルギーの特徴をテーマに講演した。

     町教育委員会などによると、町から山形助教を紹介された高校が、講演の計画書を財団に提出した。その後、経産局の職員が山形助教の研究室を訪れ、講演資料にあつた原発の発電コストに関する記述や東京電力福島第1原発事故の写真について、「特定の見方に偏っている」「印象操作なので使わないでほしい」と変更を求めた。

     山形助教は、自然エネルギーの事故リスクに関する内容を追加したが、変更には応じなかった。取材に対し、「要求の対象が原発に集中し、違和感があった。教育への介入という観点からも容認し難い」と話した。

     ニセコ町は、北海道電力泊原発(泊村)の30キロ圏内にある。町によると、経緯を知った住民の一部が問題視し、昨年12月〜今年3月に住民説明会を3回開いて片山健也町長らが対応した。

     町教委の菊地博教育長は取材に対し、「高校に直接要求したわけではないので、教育への介入に当たるかどうか判断は難しい」と語った。


    教育が政治や行政からの介入に晒されることが今後も増加するものと思われる。これまで教育側の自己規制(忖度)によって政治的な課題は触れないという暗黙の了解があったからだ。しかし、「主権者教育」(シティズンシップ教育)の必要性が語られる中で、政治に直結したテーマが取り上げられる事が多くなることによって、こうした軋轢が増加する。それらを整理する論議(中立性を保持しながら政治的な課題に迫れるガイドライン)が必要となる。そして、まずは教育委員会がそれを確立し現場の意見を聞く事から始めなければならない。


    4月1日 府・市教職員異動 女性管理職が過去最高に

     京都府と京都市の両教育委員会は31日、4月1日付で発令する教職員4245人の人事異動を発表した。府教委が前年と比べて27人減の2307人、市教委が同45人増の1938人だった。

     府教委は管理職の大量退職を迎える中、女性の積極的な登用を進めた。女性管理職は188人で、記録が残る1999年以降で過去最高の22・1%となった。

     2020年度に予定する丹後地域での新設高校開設に向けて峰山高(京丹後市)に開設準備委員会を設け、4月に開校する南陽高付属中(木津川市)には重点的な人事配置をした。

     特色ある学校づくりの推進として、洛北高(京都市左京区)に物理分野の研究者を、嵯峨野高(右京区)に経験豊富な外国語指導助手をそれぞれ教員として採用した。

     市教委では、幅広い年齢層から管理職を登用するため、主幹教諭から20人が教頭に昇任。女性管理職の比率も増加し、全学校・園の合計で27・6%となった。

     18年度から高校での通級指導が制度化されるため、伏見工業高定時制(伏見区)と東山総合支援学校高等部(東山区)に担当教員2人を配置した。新規採用では、20年度から小学校で英語が教科化されることを見据え、英語教育の中心的役割を担う教諭を過去最多の14人採用した。