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  • 市幹部が会議出席拒否.30
  • 10代投票率22%.31
  • 5月31日 府選管 10代投票率22%

     京都府選挙管理委員会は30日、4月に行われた府知事選の18、19歳の投票率を発表した。投票率は22・41%で、全有権者の35・17%を大きく下回った。2016年の選挙権年齢引き下げ後初めての府知事選だったが、10代の投票率は府内の大型選挙では昨年の衆院選に続き最低を更新した。

     府内の10代の有権者数は4万8365人で、投票したのは1万839人。投票率は全有権者より12・76ポイント低かった。10代の投票率は、国政選挙で初めて実施された16年参院選が46・86%だったが、17年衆院選は39・82%に低下していた。

     年齢別投票率は、高校生が大半の18歳が26・95%、就職や進学後の19歳が18・3%で、過去の選挙と同様に19歳になると大きく下がる傾向が出た。

     10代の投票率が最も高かったのは井手町の58・9%で、18歳が69・23%、19歳が50・62%だった。町内唯一の中学で選挙権年齢引き下げ前から模擬投票などの主権者教育を実施してきたほか、町役場を訪れた10代の若者に直接投票を呼び掛けたという。町選管は「町議選が同日に行われたことも影響したのではないか」と分析している。和束町が41・67%、伊根町が34・29%で続いた。

     一方、最も低かったのは京丹後市の16・7%で、18歳19・45%、19歳13・73%だった。市選管は学校に啓発パンフレットを配り、防災行政無線からの呼び掛けも強めたが、投票行動に結びつかなかった。市選管は「住所移転や就職・進学などで忙しい年度替わりの時期というのも影響したかもしれない。今後も周知を続けていくしかない」としている。


    若者の低投票率の原因を安易な解釈で済ます事はできないだろうが、少なくとも教育との関わりが強いということは言えるかもしれない。ただ、学校現場で取り組めば解決するという課題ではないだろう。教育が政治への関心を持たせるような構造を持たなければならないということだ。例えば若年層を対象としたキャリアアップのための生活保障をテーマにするなど、若者に直結する政策(マニュフェスト)作りも必要で、それぞれの政党の責任も重いはず。


    5月30日 城陽市議会 市幹部が会議出席拒否

     城陽市議会から29日の議会活性化推進会議への出席を求められた市幹部3人が、会議での事情聴取に応じるのに必要な条件が整っていないとして、出席を拒否した。出席拒否は異例だが、地方自治法では、議会から要求を受けた理事者の出席は、本会議は義務付けられているが、他の会議は対象外とされている。

     この日の会議は、府立西城陽高で2月に行われた主権者教育の授業を巡って市幹部らが介入とも受け止められる問い合わせを府教委や同高に行った問題についてで、教育長、教育部長、企画管理部次長の市幹部3人に事情聴取を行う予定だった。

     増田貴議長が18日に文書で出席を求めたが、市幹部らは▽聴取目的や質問内容の事前通告▽弁護士など第三者による同高への事実確認―を議会に求めた。議会は事前通告に応じたが、高校への事実確認は「直ちに困難」と市に返答した。

     市幹部の3人は29日朝、出席拒否を決め、奥田敏晴市長に報告した上で、増田議長に伝えた。

     地方自治法121条は、議会審議に必要な説明のため議長から出席を求められた理事者に、議場への出席を義務付けている。本会議以外の会議への出席要求については城陽市議会の基本条例や委員会条例が、理事者に情報提供や出席を求められると手続きを明記しているが、理事者の出席義務に関する決まりはない。

     奥田市長は取材に「出席しないことに問題はない」とし「第三者による学校への事実確認が行われない以上、(出席しても)議論が上滑りになる」と強調した。

     増田議長は「出席してもらいたかったが、調整できず残念だ。3人の市幹部に質問に対する回答を文書で求めていく」と述べた。

     議会と行政の関係に詳しい同志社大の新川達郎教授(地方自治論)は「議会が問題の経緯を聞き取る意図で出席を要請したなら、今回、市幹部側が出した条件は、出席しない理由としては根拠が薄弱だ」と指摘。「執行機関(理事者)の説明義務を議会基本条例で定めるなどして、議会の権能を広げている動きも全国にはある。執行機関側が出したくない情報を引き出すため、次の一手をどう打つかが議会の腕の見せどころ」と話す。


    市側は出欠を云々する立場にあるのだろうか?「教育の政治的中立」にかかわっての「疑義」だったはず。それへの問題が指摘されたのだから、教育現場での「政治的中立」を確保ししつつ「主権者教育」をどうすすめるかを積極的に議論する責任が市教育委員会にはあるはず。それを条件が整わないことを理由に拒否するのは、昨今の悪しき国政の手法のように感じてしまう?


    5月25日 府教委 大学入試新テスト理解の研修会

     昨年度末に告示された高校の次期学習指導要領や高大接続改革についての教員研修会が24日、京都市伏見区の府総合教育センターであった。府立高などで教える約150人が、次期要領の理念や2020年度から現行大学入試センター試験の後継として始まる大学入学共通テスト(新テスト)に理解を深めた。

     文部科学省教育課程企画室長として要領改定に携わり、新テストの作問担当である大学入試センターの大杉住子審議役が講演し た。

     大杉審議役は次期要領で目指す確かな知識や技能の習得、思考力や表現力の育成などについて解説。一部で記述式が導入され、英語で民間検定が活用される新テストについて説明し、「現場は不安があるだろうが、学校は新テスト対策ではなく、探究的な学びを充実させてほしい。新テストでは、そうした学びの成果と大学で必要な基礎力を見るようにしたい」と述べた。

     会場からは「高校間で授業実践をどう共有すればよいか」「今の2年生は現役で入試に失敗すると、新テストを受けねばならない。どんなアドバイスができるか」などの質問が出た。


    英語民間試験活用見直しを

     2020年度から始まる大学入学共通テストで導入される英語の民間検定試験について、東大教養学部の英語教員らが「導入自体の妥当性を含め根本的に検討すべきだ」と五神真学長に見直しを申し入れていたことが24日、分かった。東大は3月、検定試験を合否判定に使わない意向を表明していたが、4月末には一転して活用する方向で検討すると発表していた。東大の南風原朝和高大接続研究開発センター長が都内で明らかにした。他大学の活用判断にも影響力がある東大内部で、依然慎重論が根強い現状が浮かんだ。

     南風原氏によると、1、2年生の英語教育を担う教養学部の英語教員らでつくる部会が意見書をまとめて今月中旬に申し入れた。南風原氏自身も検定試験を合否判定に使うことについて「会場や監督者、採点者の確保に不安があり、異なる試験の成績を比較することにも疑問がある」などと懸念を示した。

     大学入試センターによると、共通テストの英語は最初の4年間、従来型のマークシート式試験と「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る民間試験を併存させ、24年度から民間試験に全面移行する方針で、今年3月、日本英語検定協会の英検(新方式)など7団体の8種類が認定された。


    教育の制度改革に正解はないのだろうが、改革に向けての理念は明確なものでなければならない。今回の「新テスト」での英語民間試験活用の意味は何なのかを改めて考える必要がある。教育への民間企業の参入(株式会社立の学校など)は、「岩盤規制」を崩すものなのだろうか?むしろ公の責任の放棄に思えるのだが。


    5月15日 府教委 いじめ防止へ基本方針改定

     京都府と京都府教育委員会は府いじめ防止基本方針を改定し、京都市を除く府内の市町村や公私立学校に通知した。昨年8月に新しくなった国の基本方針に合わせ、けんかやふざけ合いでも背景にいじめがないか注意が必要とし、いじめが解消したと判断する要件を厳格にした。不登校の児童や生徒が教育を受ける機会を確保することも独自に盛り込んだ。

     府の基本方針では、教員が気付かないところでいじめが起きている場合があるとして、けんかやふざけ合いでも背景を十分に調査して判断するよう示した。解消の判断は「3カ月を目安にいじめ行為がなく、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと」を最低限の要件とした。仮に要件を満たしても再発の恐れがあるため、日常的に注意深く観察すべきとした。

     昨年2月に施行された教育機会確保法を踏まえ、学校は不登校や別室登校の子どもに対し、フリースクールと連携するなど校内外で 教育を受けられるように支援することを明示した。教員間での情報共有を徹底し、教職員には、子どもが気軽に相談しやすい関係性づくりなどを求めている。

     昨年度2学期に府教委が京都市を除く府内の公立小中高校や特別支援学校を対象に行った調査では、いじめの認知件数は計12454件で解消率は約8・1%たった。


    「解消要件」の厳格化で一定の見通しを持つことができるようになったが、求められる教員の活動もより複雑になったともいえる。いつものことだが、職務の充実と人員不足のアンビバレンツな関係をどう整理するかが見えない。教育論と労働論がクロスする地点での議論の必要性を感じる。


    5月13日 【きょうING】 先端教育・「国語」習得に力

     在日朝鮮人の児童らが適う京都朝鮮初級学校」が京都市伏見区の現在地に移転し、新校舎が完成して今年で5年を迎えた。現在、どんな授業が行われているのだろうか。新年度が始まって1カ月が過ぎた今月初旬、学校を訪ねた。(三鼓慎太郎)

     「ヘボセヨ、やってみて」。1年生の朝鮮語の授業で、児童らが遊具の名前や使い方学んでいた。担任の女性教師が朝鮮語と日本語を交えて説明する。

     日本の保育園、幼稚園の出身者も半数おり、朝鮮語が分からない児童も多いそうだ。まずは耳からと、「さんす(算数)。」「いるぼの(日本語)」など朝鮮語の発音をひらがなで板書していた。

     教務主任の金永柱(キムヨンジュ)さん(49)は「子どもはのみ込みが早いので、数カ月すると耳が慣れてきます」。確かに、2年生以上の教室では「日本語」の授業以外、日本語はほとんど聞こえてこなかった。

     日本の公立小学校でもまだ少ないICT(情報通信技術)を活用した授業も行っている。3年生は台車型ロボットによるプログラミング、4年 生は電子端末を使って朝鮮語を学習していた。入学時から英語教育も導入しており、「日本の学校に劣らない、先を行く教育を心掛けている」と金さんは胸を張る。

     もちろん、1年生で週9コマを「国語」に割くなど朝鮮語の習得に最も力を入れる。友だちと朝鮮語で雑談していた5年の潘宗憲()パンジョンホン)君(10)は、「最近では自然と口に出るまでになった。まだ分からない言葉も多いが、人に教えられるぐらい勉強したい」と、日本語で返答してくれた。

       ◇     ◇

     朝鮮学校を取り巻く環境は厳しい。「初級学校は現在、京都市内に2校しかないので、通学に時間がかかる。また公的補助金もないため公立より授業料も高い。保護者の負担は大きい」と、金さん。さらに価値観の多様化もあって、朝鮮学校に通う子どもは年々減少していると明かす。

     日本国籍を取得する人も増え「日本の教育を受け、日本人として暮らす方が楽」という声も少なくないと聞く。それでも朝鮮学校を選ぶ理由とは。

     2人の子を通わせる朴京姫(パクキョンヒ)さん(41)は「我が子を朝鮮人として育てたい、それに尽きます」と即答する。朝鮮の言葉や歴史、文化は日本の公立学校では学べない。さらに「(朝鮮が)植民地だった歴史・社会的背景や反骨心から、『民族を守る』という意識があるのかも」と話す。

     金さんは強調する。「少数者が共生できる社会は日本にとっても意義のあること。まず学校に足を運び、存在を知ってもらいたい」



    5月6日 国際社会貢献センター調査 外国人児童5%が特別学級

     愛知や群馬、滋賀などブラジル出身の外国人が集住する6県12市町の公立小で、外国人児童のうち、知的障害などにより支援が必要な児童を対象とする特別支援学級に通う子どもの割合が5・01%と、日本人の倍以上であることが5日、NPO法人の調査で分かった。

     外国人が多い地域で日本語を教える制度が整っておらず、日本語ができずに情緒不安定になっている子弟らの事実上の受け皿になっている可能性がある。専門家は「行政や学校全体での支援体制を整え、それぞれの児童に適した教育をすべきだ」と指摘。調査を行った国際社会貢献センター(東京都)は、在日外国人の増加が続く中、ほかの地域でも同様の傾向があるとみて、国による詳細な調査を求めている。

     調査は2017年4〜12月、計約10万人の外国人が住む、群馬、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀各県の12市町の教育委員会を通じ実施。全公立小355校を集計すると、外国人児童5・01%に対し日本人は2・26%だった。

     特に岐阜県内の自治体では日本人は2・26%だが外国人は7・75%。愛知県内の自治体も2・33%に対し6・79%と高率だった。一方で、同県内の別の自治体は2・27%に対し2・66%でほとんど変わらず、自治体によってばらつきがあった。

     センターによると、自閉症や情緒障害、知的障害が在籍理由の大半で親の出身国はブラジルのほかフィリピンも多かった。特別学級の児童の大半が外国人だった三重県内の小学校の教諭は「環境の変化や家庭の事情で言語能力が十分身に付かず、知能や精神発達に悪影響を及ぼしているのでは」と推測する。

     特別学級は知的障害など支援が必要な児童が対象で、きめ細かな教育を受けられる利点がある。ただセンターの調査担当者は「これほど外国人児童の在籍率が高い状況は不自然ではないか」と訴えている。


    「強引に誘導」と不満…

     ブラジルなどからの外国人が集まる地域の公立小で多くの外国人児童が特別支援学級に通っている実態が、NPO法人国際社会貢献センターの調査で明らかになった。関係者からは「強引に特別学級に誘導する学校もある」との不満も。外国人の受け入れ体制が整っていない自治体ほど学校任せにしがちとみられ、専門家は「地域が一体となった取り組みが必要だ」と訴えている。

     岐阜県内のある市の工業団地では多くの外国人労働者が働く。市内には全校児童の3分の1が外国人の小学校がある。次男(7)を通わせる30代の日系ブラジル人女性は昨夏、担任論から「授業中に立ち歩き、暴力的になる」との理由で特別学級を勧められた。

     地域の支援者の間で「ちょっとでも問題があったら強引に特別学級に入れる」と言われる学校だった。「このまま通常学級で学ばせたい」と思った女性は子供の発達に遅れがないか調べる「発達検査を受けさせた。

     学校には「都合のいい結果を出す病院を紹介する」とのうわさまであった。別の病院を選び、結果は「今の学級で大丈夫」。担任が代わった今年4月、次男は2年に進級し元気に通っている。

     特別学級は通常学級よりも人数が少なく、さめ細かな指導ができるメリットがある。ただ、専門家は、学校側が外国人児童を特別学級に誘導しがちな背景には、生活習慣の指導や保護者への多言対応など負担が増す担任へのサポート不足があるとみる。

     発達障害の児童を支援するNPO法人「アジャスト」(愛知県一宮市)の清長豊代表は「外国人児童が多いと担任の仕事は増える。大人数のクラスほど余裕がなくなり、通常学級より特別学級で個別に教えようとなる」と話す。

     センターの調査で愛知県内のある市は、外国人児童のうち特別率級に通う児童の割合が日本人とほぼ同じだった。この市で外国人が増え始めたのは10年以上前。以降、長年かけて受け入れ体制を整えてきた。

     市はブラジルの教員免許を持つスタッフらを確保。小学校就学前の検査で発達障害などが疑われる子供がいれば、通訳として検査に付き添う。

     清長代表は行政を含めた地域全体での取り組みが重要と指摘。

     「学校が児童の日ごろを知る日本語教室や塾の講師とのパイプ役となるなど担任を支える体制を徐々にでも構築していくべきだ」と話した。


    外国人の子どもの教育は、ニューカマー、オールドカマーを問わずその母国語教育の保障と日本語の取得古くて新しい問題である。しかし、日本語取得に難点があということで特別支援学校の入級対象者として見てしまうのは、現場の多忙さもあるかもしれないが特別支援学級あるいは学校の在りかた、そしてそこでの教育の考え方が根本的に誤ってはいないのだろうか。どの子も教育を受ける権利を有しているしそれを保障するのは日本の国家の責任にであることを改めて口にしなくてはいけない。