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  • いじめ41万件、過去最多.26
  • 講師が試験用紙に旭日旗.27
  • ずさん管理露呈.30
  • 10月30日 児童育成協会 ずさん管理露呈

     安倍晋三政権が待機児童対策の目玉事業として導入した企業主導型保育所。認可外だが、保育士数など一定の条件を満たせば認可並みの手厚い助成金を受け取れるとあって、制度スタートから2年で約2600カ所と急増した。一方、助成金支給や監査業務は児童育成協会が一手に担っており、助成金の支払い遅れも目立つ。今回のメール流出について、保育関係者は「協会側の能力不足が露呈した」と指摘する。

     「このままでは経営が成り立たない」。府内で企業主導型保育所を経営する企業は、本年度分の助成金がいまだに支払われていないため、銀行の融資などに頼っている。全国では経営難を理由に閉鎖した保育所が増えている。同協会によると、審査に時間をかけていることが支給遅れの主な原因という。

     一方、企業主導型保育所を運営している関西の団体役員は、同協会の能力不足を指摘する。助成制度について担当職員が十分理解していないといい、「一事が万事そういう具合で、制度を知らない素人とやりとりしているよう。こういう組織に委託している内閣府にも責任はある」と憤る。

     企業主導型保育所を巡っては、助成金目当ての事業者による不正受給や定員割れも相次いでおり、「制度そのものが見切り発車だった」(厚生労働省職員)との指摘もある。国は制度を根本から見直し、体制を強化する必要がある。


    「企業主導型保育所」とは、企業が従業員の子供を預かるために設置した保育施設のことを指します。認可外保育施設に分類されるものの、一定の条件を満たして都道府県に届け出をすれば、認可保育施設なみの助成を受けることが可能です。休日勤務や昼夜交代制など、従業員の働き方に応じた多様な保育サービスを提供できます。複数の企業が共同で設置したり、従業員だけでなく地域住民の子どもも受け入れたりと、柔軟な運営ができることも主な特徴です。利用者とも、一定の要件を満たせば直接利用契約が結べます。(保育のお仕事HPより)


    10月27日 城陽市立中 講師が試験用紙に旭日旗

     城陽市立北城陽中で11日に行われた2年生の社会科中間テストで、戦前に軍旗として使われた「旭日旗」に「世界に見せたれ!日本人のど根性」とのメッセージを重ねた図が、問題用紙に記載されていたことが26日、分かった。同校は不適切と判断し、問題用紙を回収した。

     同校によると、テストは2年生95人を対象に、地理の内容を扱った。20代男性講師が、生徒を鼓舞し、余白を埋める目的で、インターネットでダウンロードした画像をそのまま使い、問題文の末尾に掲載したという。

     テスト終了後に別の教員が用紙を見つけ、19日に平野達郎校長に報告。校長が男性講師と、同じ学年で社会科を担当する教諭を注意した。講師は26日までに生徒から用紙を回収し、「不適切な図が載っていたので回収する。迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。

     旭日旗は現在、日本の海上自衛隊が艦旗として使っている。戦前は日本陸海軍の軍旗で、中国や韓国では「侵略の象徴」との受け止めがある。

     テストと同日に行われた韓国の国際観艦式・海上パレードでは、事前に韓国側から艦旗の掲揚自粛を求められ、政府が海自の式典出席を見送り、両国間の懸案となっていた。

     平野校長は取材に「政治的な意図はなく、軽い気持ちで載せてしまったようだ。旭日旗にはいろいろな解釈をする人がいる。配慮をした教育が必要、と講師に指導した。学校としても、生徒に経緯を説明して謝罪する」と話した。


    当該の講師の資質云々ということではなく、戦後の日本の教育がここまで劣化していているのかという感想を持たずにはいられない。軍旗だからダメという議論ではなく、政治にかかわる重大な質を持ったものだという認識ができていなかったことが問題であだろう。18歳選挙権や国民投票制度の整備が必要であること以前に、市民育成(シティズンシップ)教育が行われていない教育の現状がもんだいだろう。


    10月26日 文科省調査 いじめ41万件、過去最多

     2017年度に全国の学校が認知したいじめがまた過去最多を更新した。特に増加が目立つ小学校では、いじめ認知への教員の抵抗感がなくなり、子どもたち自身にもいじめを見つけようという意識が浸透してきた。かつては大きな開きがあった都道府県ごとの認知の格差も解消に向かっている。ただ、子どもが深いダメージを受ける「重大事態」は減る気配を見せておらず、専門家からは「もっと危機感を」との声も上がっている。

     「先日、受け持つクラスの子がふざけて友だちのことをつねったら内出血の痕が残ったので、いじめとして報告した。昔ならけんかで片付けていたものも、今は全部いじめという感じだ」。関西の公立小に勤める30代の男性教諭が打ち明けた。

     11年の大津市の中2男子いじめ自殺をきっかけにいじめ防止対策推進法が施行され、文部科学省は軽いものでも認知するよう全国の 教育委員会に指導してきた。その結果、認知件数は飛躍的に増加。11年隼度は7万件余りだったが、今や6倍近い。

     17年度のいじめ件数を押し上げたのが小学1〜5年で、全学年が16年度より1万件以上増えた。首都圏にある公立小の30代の男性教 諭は「クラスで誰かが嫌がらせを受けたと知ると、周りが『いじめだ』と積極的に声を上げるようになった。子どもたちの間でも、いじめのとらえ方が変わったという印象だ」と語る。

     児童生徒千人当たりの認知件数を都道府県別で見ると、以前は最大80倍超の格差があったのが今回は約13倍まで縮まった。まだ大きい差とはいえ、積極認知の考えが根付いてきた表れともいえる。最多の108・2件だった宮崎県教委の担当者も「以前はいじめを認めることが『悪』という風潮もあったが、今は子どもが嫌な思いをすればいじめ、と対応する姿勢が定着してきた」と話す。

     ただ、いじめ防止法が定める「重大事態」の件数も474件と16年度から78件増えた。認知が進んでも深刻化に歯止めはかけられないのか。

     首都圏の男性教諭によると、今は細かい事案でも対処に追われるようになり「現場の負担は相当増している」という。学校外で起きたけんかなのに、保護者から「学校で解決してほしい」と頼まれることも珍しくない。「全てにきちんと対応しなければならないが、時間が足りず、アフターケアに手が回らなくなることもある。そういう中で深刻化につながるケースがあるのかもしれない」と声を落とした。

     兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は、教員の年齢構造にも一因があると指摘する。「いじめに対処するには、担任が1人で抱え込まずにベテランの教員やカウンセラーらがチームになって取り組むことが必要だが、今はそのチームのリーダーになれる経験豊富な40〜50代の中堅教員が少ない」。そこに教員個人の多忙も重なり、一部でいじめの深刻化を招いてしまった可能性がある、とみている。

     41万超といういじめの件数に関しては「情極的な認知が進んだ結果という意味合いはあるだろう」と評価しつつ「軽重あるとはいえ、41万人が被害者になっている事実は重く、子どもたちは危機の局面を迎えているといえる。この数字を社会全体で深刻に受け止めるべきだ」とも訴えた。


    森田洋司鳴門教育大特任教授(生徒指導)の話 対策磨く努力を

     いじめの認知件数が大幅に増えたことは、発生するいじめに少しでも気付き対応するための、学校や家庭、地域の努力が実った証しだ。深刻ないじめも悪口などから発展するケースが多く、認知を進めることなしに防ぐことはできない。いじめ防止対策推進法の制定で、各学校が基本方針やいじめに対応する組織をつくったが、中身が不十分なところもまだ散見される。今後は、対策の検証を進め、子どもやPTA、地域の意見も反映して磨き上げていく姿勢が一層求められる。


    教育評論家の尾木直樹さんの話 地域差依然大きい

     いじめについて、都道府県別の認知件数の差が依然、大きいのは課題と言える。件数が多ければ問題だとみなす意識が残っているためだろうが、小さな芽のうちに把握し、深刻化を未然に防ぐことこそが大事だ。文部科学省は先進事例を広め、認知の地域差を縮める努力をさらに進めてほしい。


    府内いじめ2万4824件

     文部科学省が25日に公表した2017年度の児童生徒による問題行動・不登校調査結果で、京都府内の国公私立の小中高校で認知さ れたいじめ件数は2万4824件と、前年度から1951件(7・3%)減少した。一方、暴力行為は2161件と65件(3・1%)増え、特に小学校での増加が目立っている。

     いじめの件数は千人当たり90・7件で全国2番目の多さだった。前年度までは4年連続で全国最多だった。府教育委員会は「13年度から『嫌な思いをした』といった軽微な事案もすくいあげているため件数が多くなっており、早期の把握と状況の改善に努めている」としている。

     学校別では、小学校が2万1009件(1494件減)と8割超を占め、中学校が3093件(324件減)、高校が595件(115件減)だった。けがや不登校につながつた重大事案は3校で3件あった。パソコンや携帯電話を使ったいじめは公立校のみの集計で8件増の686件だった。

     暴力行為の件数は、千人当たり8・0件で、前年に続き全国で5番目に多かった。公立校だけでみると、中学校は989件 (前年度比11件減)、高校は112件(20件減)といずれも減少傾向にあるが、小学校は876件(44件増)と8年連続で増えた。特に小学6年生が71件増の217件 と、伸びが際だった。

     内容は、生徒間暴力が1273件と最も多く、器物損壊が322件、対教師暴力が303件と続いた。府教委は「感情のコントロールができず、ちょっとしたことで手が出てしまう児童が増えている」とみている。

     私立も含めた不登校者数は、小学校が644人(32人増)、中学校が2053人(40人増)、高校が866人(137人減)。高校の中途退学者数は750人(比人増)だった。


    いじめは依然減少傾向にはならず増加の傾向にあるという。「いじめ」をどう定義するかによって様々な判断が伴うことによる統計のゆらぎも念頭において考えなければならないだろう。そうした状況の中で参考になると思われる書籍を2つ紹介しておきたい。村瀬学『いじめの解決 教室に広場を』(言視舎)。清水賢二『いじめの深層を科学する』(ミネルヴァ書房) 。


    10月18日 医学部不正入試事件 若い学生やOBの子確保

     昭和大が医学部の一般入試で、現役と1浪の受験生だけに加点する得点操作を実施していた上、大学卒業生の親族を優遇していた。既に不正を公表した東京医科大も、3浪以上の受験生の合格を抑えたり、卒業生の子らの点数を操作して合格させたりしていたことが判明。手法の詳細に逢いはあるものの、両大学の目的には卒業生優遇や、若い学生の確保といった共通点が浮かび上がる。

     昭和大によると、一般入試で1次の学科試験の合格者を対象にした2次試験は、面接と小論文のほか、高校から提出される調査書の評価を総合判定する仕組み。この調査書の評価の際、現役生には一律10点、1浪生には5点を加えていた。2浪以上の受験生には加点しなかった。昭和大は「現役や1浪生の方が将来性が高いと判断した」と理由を説明している。

     また一般入試の2期試験では、補欠に回るはずの卒業生親族を繰り上げて正規合格としていた。入学者を確保するためで、こうした操作は2013年から行っていた。

     一方の東京医大は一般入試で、2次試験の小論文で受験生全員の得点に「0・8」を掛けた後、男子の現役と1、2浪の受験生に一律20点、3浪生には10点を加算し、女子と4浪以上の男子は加算していなかった。少なくとも06度入試から実施していたという。また卒業生の子など特定の 受験生に点数を加え、合格できるよう調整もしていた。


    明治以来日本の教育制度は複線型、単線型にかかわりなく学歴を積み上げる事で将来の生活が約束されることが暗黙の了解となっていた。しかし、相次ぐ不正入試事件の報道を見ているとこうした「神話」が崩壊しているように思える。同時に、大卒一括採用・終身雇用という日本型の雇用システムも機能しなくなっているという現実もある。こうした中で、「学力とは何か」を問わず「学力の向上」を目指す学校教育は、果たして延命できるのだろうかと考えてしまう。


    10月15日 京都・亀岡 「小規模特認校」手厚い教育が魅力

     京都府亀岡市教育委員会が、市内全域から通学を認める「小規模特認校」に山間部の東別院小と西別院小を指定し、1年半になる。少人数の手厚い教育を魅力に市中心部から通う児童がいる一方、通学の利便性や認知度の低さから思うように児童数が集まっていない現状がある。

     「レッツゴー・トゥー・オニガシマ!」。西別院小(西別院町)の教室で、1、2年の児童6人が童話「桃太郎」を題材にした英語劇の練習に励んでいた。鬼役の2年男子児童(7)は、同級生2人と一緒に元気よく歌い、台詞に声を張っていた。

     男子児童は、同小の校区在住ではなく、市中心部の市役所近くの自宅からスクールバスで30分ほどかけて通う。昨年春、市教委が始めた小規模特認校制度を利用して同小に入学した。男子児童は「友だちが優しく、学校の周りに自然がいっぱいある。毎日楽しい」と話す。

     特認校は、特色ある教育を提供することで校区外からの通学を認める学校。山あいの東別院小、西別院小とも児童数の減少が深刻で、東別院小(東別院町、計29人)は3・4年で、西別院小(計17人)は2・3年と4・5年で複式学級を採用している。

     市教委が、少子化を受けた学校規模適正化の議論を進める中で、学校統合せずに存続させ、児童数を確保する目的で導入した。「大規模校では合わない児童にとって選択肢になる。学校と児童、どちらの側にもメリットがある」と強調する。

     西別院小は、少人数を生かしたきめ細かい指導や、全学年で実施している英語教育などを独自の魅力としてアピールする。男子児童の母親は「引っ込み思案の傾向があり、1クラス30人前後の地元の学校では個性が埋もれてしまう。のびのびと過ごせており、行かせてよかった」と話す。

     東別院小の保護者の1人も「児童全員が助け合い、地域全体で成長を見守る土壌がある。多くの人に良さを知ってもらい、来てほしい」という。

     一方で、2校合わせた制度利用者は、1年目4人、2年目3人。複式学級の解消には至っていない。西別院小の木村正己校長は「来年度は、3人以上転入学してくれたら複式を一つ減らせるのだが」と期待する。

     思うように利用者が増えない理由の一つに、通学の不便さがある。2校とも山間部にあり、市教委はスクールバスを出しているが、午前7時15分に市役所を出発する1便のみ。市役所までは親の送迎が必要で、毎日となると負担が大きい。男子児童の場合も「うちは市役所まで歩けるが、6年間、車で送迎となると大変だったかもしれない」と母親は明かす。

     制度自体も広く知られておらず、今月15日からの来年度募集に向け、両小それぞれ特色や制度を紹介する案内書を市内の保育園や幼稚園、小学校に配って認知度アップに努めている。

     府内では、宇治市の笠取小が初の特認校として2001年に指定された。現在、児童数19人のうち特認児童が15人と大半を占める。宇治市教委は「20年近くたち、選択肢の一つとして認知された。制度は学校存続に欠かせない」とする。

     亀岡市教委は、特認校について「3年程度で複式が解消できない場合、改善策を含めて検討する」とする。両小校区では市教委の中学校再編案をきっかけに地域の小・中学校の在り方が話し合われている。制度をどう生かし、学校の未来をどう描くか。学校と住民、行政による丁寧な議論と取り組みが求められる。


    「小規模特認校」ということばはあまり聞きなれない。いわゆる山間留学とも異なるシステム。これの良し悪しはまだ評価できる段階ではないだろうが、小規模校の問題を統廃合だけで片付ける議論に一考を促すものであるともいえる。


    10月10日 府人勧 5年連続「給与増」

     京都府人事委員会は9日、府職員の給与と期末・勤勉手当(ボーナス)を引き上げるよう、西脇隆俊知事と村田正治府議会議長に勧告した。府内の民間給与水準との差を解消するためで、引き上げ勧告は5年連続となる。

     府人事委員会が、府内事業所規模50人以上の1013事業所を対象に今年4月時点の給与を調査したところ、民間の平均給与月額は38万1700円で、府職員平均を679円上回ったという。

     勧告では月例給を672円引き上げ、38万0866円(行政職、平均年齢43・0歳)とするよう求めた。ボーナスも民闇平均の4・46月分に近づけるため、0・05月分増の4・45月分として格差を縮めるよる勧告した。

     勧告通りに引き上げられると、府職員平均給与額は年間で2万6千円増え、631万1千円となる。引き上げに必要な予算額は9億円。

     また、長時間勤務の是正や人材の確保、育成なども要請した。

     京都市上京区の府庁で西脇隆俊知事に勧告を手渡した田原博明委員長は「災害対応で過剰な勤務にならないよう、教職員も含め適正な職員配置をお願いしたい」と求めた。西脇知事は「勧告を尊重し適切に対処していきたい。時間外勤務(の是正)は災害が多く難しいが、管理職の意識を変えて取り組みたい」などと述べた。


    改めて人事委員会勧告の意義が「労働三件」制限の保障であることを思い出してみたい。賃金の引き上げ勧告は当然であるとしても、労働条件の改善についてはやはり迫力不足であるといえる。とりわけ教員の長時間労働是正は急務であるが、なかなか具体的な措置にまで進展しない。原因は、労使共通の教育に対する「聖職」意識の払拭だろう。


    10月4日 文科大臣 「教育勅語に普遍性」

     柴山昌彦文部科学相は2日の就任記者会見で、教育勅語に関し「現代風にアレンジした形で、今の道徳などに使えるという意味で普遍性を持っている部分がある」と述べ、一部を評価した。同胞を大切にするといった基本的な内容をアレンジして教えていこうという動きがあるとして「検討に値する」とも語った。野党は3日「認識違いも甚だしい。言語道断だ」(辻元清美立憲民主党国対委員長)と批判した。

     辻元氏は「昔だったら、その一言で即クビだ。安倍晋三首相は同じ考えなのか」と述べ、24日にも召集される臨時国会で追及する考え を示した。

     国民民主党の玉木雄一郎代表は衆参両院による教育勅語の排除・失効決議に触れ「全体として軍事教育などさまざまな歴史的な負の 遺産と認識されている。教育をつかさどる大臣の発言としては軽率だ」と非難した。

     共産党の志位和夫委員長も「教育勅語の一連の徳目は大事が超こったら天皇のために命を投げ出すという点につながつてくる。文科 相はその基本点を理解していない」と指摘。いずれも国会内で記者団に語った。

     菅義偉官房長官は3日の会見で、柴山氏発言に関し「真意や意図は承知しておらず、コメントを控えたい」とし、柴山氏に確認する考えもないとした。教育勅語について「政府として積極的に現場で活用する考えはない」と説明した。

     政府は昨年3月の閣議で、戦前の教育の基本理念を示した教育勅語を学校で扱うことに関し「教育の唯一の根本とするような指導を 行うことは不適切」とした上で、憲法や教育基本法に反しない形での教材使用は否定しないとの答弁書を決定。野党や教育学者などか ら「国会決議に反する」「戦前回帰の動きだ」との批判や懸念が出ていた。

     教育勅語を巡っては昨年、当時の稲田朋美防衛相が「核の部分は取り戻すべきだ」と述べ、野党から批判を浴びた。


    日本教育学会会長の広由照幸日本大教授の話 原理的に間違っている

     教育勅語には普通の人が理解しやすいような徳目も含まれているが、全て「無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という文言に掛かり、天皇家の繁栄のために国民があるというつくりのため一部をつまみ食いできる文章ではない。だからこそ戦後、国会で失効が決議された。ある徳目が普遍的だと考える人がいてもおかしくはないが、道徳の教材として使われれば憲法に反する原理を教育に持ち込むことになってしまう。気がつくと子どもたちが学校で古い国体観念を学んでいる事態になりかねない。発言の真に「憲法や教育基本法に反しない形での教材使用は否定しない」とする政府答弁書が意識されているのは明白で、政府全体として教育勅語を容認するかのような言動はやめるべきだし、教材使用を検討する動きも原理的に間違っている。


    5日の続報から一部抜粋

     柴山氏の発言が答弁書の内容を意識したものだとしても以前、ツイッターで「戦後教育や憲法のあり方がバランスを欠いていたと感じています」と踏み込んだ教育観を示したこともあるだけに、その“真意”を巡り、現場からは不安や戸惑いの声が聞かれる。

     「教育勅語の『普遍性』というようなことを教育行政のトップが軽々に発言するのは怖い」。首都圏の小学校に勤める40代の男性教諭は胸の内を明かす。

     学校には、さまざまな家庭の子どもがおり、教育勅語が説く当時の「理想的な家族観」は必ずしも全員に当てはまらないという。男性教諭は「国家が規定した正しい生き方というものを扱うことは不可能だ」と憤る。


    柴山文科大臣も稲田元防衛大臣も安倍首相に近い人物とされているが、その二人がこうした発言を意図的に繰り返すのは容認できない。憲法改正の狙いがそこにある事は明白だ。ただ、現在の天皇こそが「無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」と言われることを最も忌避していることは間違いないだろうし、安倍首相の改憲策動をこれまた最も危惧しているのも現天皇ではないのか。


    10月4日 警察庁 刑法犯の少年摘発最少

     今年1〜6月に警察が万引や傷害、殺人など刑法犯で摘発した少年は1万1433人で、昨年同期を1558人下回り、過去最少だったことが4日、警察庁の集計(暫定値)で分かった。半数以上を占める窃盗犯の減少が主な要因。

     一方、振り込め詐欺の摘発は189人増えて368人に上り、昨年から倍増した。中でも高齢者宅を訪問して現金やカードを受け取る「受け子」が7割以上を占めた。受け子はだまされたふり作戦などで逮捕されやすく、犯行グループが少年を利用している背景が浮かぶ。

     罪種別では、窃盗犯は1151人減って6564人。殺人などの凶悪犯は9人増の196人、傷害など粗暴犯は52人減って1674人だった。振り込め詐欺の摘発が多くなったため知能犯は163人増えて567人となった。

     軽犯罪法や迷惑防止条例などで摘発された特別法犯少年も減少傾向が続き、昨年同期を422人下回って2012人になった。

     仕返しも含め、いじめを原因とする事件の摘発は12件少ない70件。内訳は暴行が35件で最も多く、傷害の13件、名誉毀損(きそん)の4件などと続いた。


    同じ警察庁の発表で、児童ポルノ摘発1423件と過去最多、SNS犯罪被害も856人と高水準としている。インターネットの利用をばら色の未来と描く関係者も多いが、消費者として子どもが利用される事への警戒が必要だろうし、政府の対策も必要だろう。


    10月4日 大阪市教委 中学女子バレー部で体罰

     大阪市立中の女子バレーボール部顧問だった男性教諭が「おまえのせいで負けた」と言い、部員の女子生徒の顔面にボールをぶつけ る体罰を加えていたことが4日、市教育委員会への取材で分かった。市教委は教諭を処分する方針。

     市教委によると、教諭は8月16日、別の中学での練習試合後、消極的なプレーが目立ったとして生徒の顔にボールをぶつけ、生徒の保護者が抗議。2年前から部員全員に対して、人格などを否定する暴言も吐いていたと判明し、同月、顧問を解任された。教諭は生徒や部員に直接謝罪。市教委に「怒る指導が中心となり、指導方法を誤った」と説明している。

     別の女性顧問も暴言を認識しながら管理職への報告を怠っており、市教委が処分を検討している。


    桜宮高校での体罰事件の影響は相当大きかったにもかかわらず、その教訓は生きていなかったと言う事なのだろうか。教師の体罰は大阪市に限った事ではないにしてもだ。学力テストの結果と教員の処遇を連動させるという市長の方針が「教育の正常化」に向かうとは思えないが、そうした偏った視線が「体罰」禁止のモラルを損ねているかもしれない。