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  • 夜間中学新設アンケート .21
  • 理系の高大一貫教育、参加校募集.23
  • 外国人受け入れ期待と懸念.25
  • 通信制高 京滋で増化.26
  • 全日制公立高志望の割合過去最低.30
  • 11月30日 京都の中3進路希望調査 全日制公立高志望の割合過去最低

     京都府と京都市の両教育委員会は29日、来春の高校入試に向けて府内の中学3年生を対象に行った進路希望調査の結果を公表した。全日制公立高を志望する生徒の割合は前年比0・7ポイント減の58・1%で、2013年の調査開始以来、過去最低となった。逆に、私立高は0・4ポイント増の31・5%で過去最高だった。

     卒業予定者2万2670人(前年比431人減)のうち、通信制を含めた進学志望率は98・7%。私立高の志望者の割合は年々、増加傾向にあり、府教委は「私立高授業料を減免する府独自制度や、各校の積極的な募集活動の影響ではないか」とみている。

     全日制公立高では2月の前期選抜の志望者が85・2%を占めた。倍率は洛北高の普通科A方式1(募集人数24人)が6・58倍で最高だった。山城高の普通科A方式1(同48人)が6・31倍、向陽高の普通科A方式(同30人)が6・0倍、桂高の普通科A方式(同42人)が5・88倍、鴨沂高の普通科A方式1(同48人)が5・85倍と続いた。

     前期選抜の募集人数を下回ったのは、北桑田高の普通科A方式2や大江高普通科A方式など22校3分校33学科だった。

     府教委は「志望者の多い少ないでなく、学校説明会で得た情報や高校で取り組みたいことを踏まえて志望校を決めてほしい」としている。

     調査は府内の国公私立中学や義務教育学校、特別支援学校、奈良県の国立中学に通う府内在住者の3年生を対象に、11月10日現在の進路希望を聞いた。

    ■選抜方式のうち、A方式は府教委共通か高校独自の学力テストに、中学の成績、面接や作文で合否を決める。クラブやボランティアなどの活動を記した報告書が必要かどうかで、1、2に分ける場合がある。B方式は学力テストを課さず、C方式は実技が加わる。



    11月26日 【フォローアップ】 通信制高 京滋で増化

     通信制高校の新設が京都府や滋賀県で相次いでいる。他府県で認可を受けた高校が今秋に京滋で提携施設を開いたほか、府の認可を受けて来春に開校を予定する高校もある。背景の一つには不登校の生徒が増えていることがあり、各校は進学に向けた学習や専門技術の習得、芸術などさまざまな特色を打ち出し、多様な進路希望を持つ生徒の受け皿となろうとしている。

     近畿で学習塾を展開する成基(京都市中京区)は10月、伏見区に通信制高校提携校「ゴールフリー高等学院京都キャンパス」を開設した。自社の塾が入る施設の3階フロアに校舎となる教室を設けた。

     同校は山口県から通信制高の認可を受けた松陰高(岩国市)の提携校。京都の教室で一定数の授業を受ければ、同高の卒業資格を取得できる。2012年3月に草津市で同様の提携校を開設し、京都市内でも需要があるとみて新設した。塾のノウハウを生かして進学に向けた授業を充実させており、担当者は「不登校になっても、勉強はしたいという生徒は多い。進学に強い通信制高が少ないため開設した」と明かす。

     学校法人つくば開成学園(茨城県牛久市)は、15年に府認可の「京都つくば開成高」を京都市下京区に開設したほか、今年10月には沖縄県で認可を受けた「つくば開成国際高」の滋賀校を守山市に開設した。

     京滋の両校とも理容や調理など専門技術を学べるコースがあるのが特徴で、担当者は「入学者は不登校だった生徒が多く、担任を選べるなど学校に行きやすい環境づくりに力を入れている」と話す。

     このほか、京都造型芸術大会(左京区)も来年4月に府認可の通信制の付属高を開設する準備を進めている。大学講義棟の一部を教室とし、大学教員が出張授業をするなど芸大の強みを生かす予定という。

     開設が相次ぐ背景にあるのは不登校生徒の増加だ。文部科学省の調べでは、京都府内の公立中学校(京都市含む)の不登校生徒は17年度で1885人と6年連続で増えている。高校も不登校は京都府が866人、滋賀県が1135人、中途退学も京都府が750人、滋賀県が506人と少なくない。各通信制高は、新入生だけでなく、転入生や編入生を取り込もうとしている。

     各校が提示する多様な学びの形は生徒にも人気がある。府内の通信制高に転入した高校2年の女子生徒(16)は「自分に合ったペースで勉強ができるのがいい」と話す。以前通っていた学校では、人間関係に悩み一時不登校になったが、現在は大学進学を目指している。

     一方で、新設が増えると各校による競争の激花も予想されている。現在、京都府が認可する私立の通信制高は7校、滋賀県は8校。他府県で認可され、京滋に提携施設を置く高校もあるため、「特色がある学校だけが生き残るだろう」 (府内の通信制高)との声もすでに出ている。

     通信制高の需要を見込み、さらなる参入が増えて競争が進めば、教育の質が低下する恐れもあるだけに、府教委は「きちんとした教育が行われているか、中学生の進学先として職員を派遣するなどして確認したい」としている。



    11月25日 自治体首長 外国人受け入れ期待と懸念

     国会で与野党が激しく対立している入管難民法などの改正案について、自治体の首長が発言する機会が増えている。地方を中心に人手不足に悩む自治体は多い。新たな在留資格による外国人受け入れ拡大への期待が膨らむ一方、受け入れた外国人の生活を支える立場でもあり、懸念や国の支援を求める声も出ている。

     「ものづくりや介護の現場から『仕事が回らない』『何とかしてくれ』と言われている。もっと外国人労働者を受け入れるべきだ」。22日の記者会見で、神奈川県綾瀬市の古塩政由市長は新制度に期待を寄せた。

     人口の約4%はベトナムやブラジルなどの外国人で、製造業への従事者が多い。古塩市長は「受け入れ態勢を充実させ、住みたいと思われるようにしたい」と強調した。

     少子高齢化が進み、人手不足への危機感を強める自治体は多い。山口県の村岡嗣政知事は14日の定例会見で「事業を維持したり、広げたりしようと思っても、人手が足りないからなかなかできないという大きな壁に当たっている」と話した。

     ただ、外国人受け入れ拡大で医療や福祉、教育など、自治体の負担は重くなる。千葉市の熊谷俊人市長は8日の会見で「国が経済面から進めたいのは分かるが、受け止めるのは地方自治体。日々、生活習慣のトラブル、子どもの教育などに向き合っている」とする。

     受け入れ拡大を見据え、支援の仕組み作りに乗り出す自治体もある中、全国の市区町村で2番目に多い9万人超の外国人を抱える横浜市の林文子市長は12日、自治体への財政援助拡充を求める要望書を法務省に提出した。

     外国人の人権をどう守るかも課題だ。改正案は日本人と同等の雇用契約を義務付けるが、現在の技能実習生を巡っては、国会審議の中で賃金不払いなど劣悪な労働環境の一端があらわになった。

     京都府の西脇隆俊知事は16日の会見で改正案の審議自体は評価しつつ「安価な労働力確保の点が強調され、労働環境が軽視されることは問題」と言及した。


    「入管難民法などの改正案」が経済成長の側面だけからの国会提出の謗りは免れない。とりわけ、外国人の子どもの教育についてはどの学校でも受け入れ体制が十分だとは言えない。また、住民側の理解が進んでいるとは思えない地域もある。こうした問題を解決しなければならないのは前線に立つ自治体であることは間違いない。国はどこまでその実態を理解しているのだろうか疑問。


    11月23日 文科省 理系の高大一貫教育、参加校募集

     文部科学省は23日までに、理数系の得意な高校生を集める高校・大学一貫校制度に参加する学校の募集を12月から始めることを決めた。日本の科学界を担う研究者の卵を育てるのが狙い。来年3月には決定校を公表、2019年度から開始する。

     参加するには、理数系教育に実績のある大学と、その地域の高校5校前後が連名で応募する。ただし、大学とその付属高が団体を作って応募することは認めていない。初年度は1団体だけ選抜する方針だが、20年度以降も継続し全国に広げる。国から3千万円ほどの支援金が拠出される見通し。

     新制度は高校から大学まで切れ目のない専門教育の実現を目指す。



    11月21日 府教委 夜間中学新設アンケート

     京都府教育委員会は、夜間中学を京都市外の府内に新設するか検討するため、どういった要望があるか調べるアンケートを行っている。府内には京都市立洛友中(下京区)の1校のみで、2016年12月に成立した教育機会確保法は各都道府県に1校以上の設置を求めている。府教委はアンケートの結果を受けて新設するかどうかの方針を本年度中に決める。

     夜間中学は、戦後の混乱期に勉強できなかった人などが通う公立学校で、中学卒業資格を得られる。近年は、中学時代に不登校だった人や在留外国人などさまざま人が通うため、教育機会確保法を受けて千葉県松戸市など新設する動きが全国で広がっている。京都では洛友中に現在24人が通っているが、入学は市内在住者に限られているため、府教委は8月に検討会議を設け、府内に新設すべきか議論している。

     アンケートでは、夜間中学について授業料が無償であることや、週5日授業があることなどを紹介。その上で勉強したい人に向けて、学びたい理由や年齢、在住市町村名を尋ねている。学びたい内容や夜間中学に関する希望も記述できる。京都市外の府内の市町(組合)教育委員会や図書館、公民館などで、府教委に郵送かファクスできるアンケート用紙を配っている。府教委のホームページでも募集している。12月11日まで。

     問い合わせは府教委学校教育課075(414)5840。



    11月20日 遺族ら法改正要望 いじめ防止対応 まず学校

     2011年にいじめを苦に自殺した大津市の男子中学生=当時(13)=の父親(53)と越直実市長が19日、東京都内で記者会見した。13年のいじめ防止対策推進法施行後も命を絶つ児童生徒が相次いでいるとして、同法を改正し、いじめの防止は学校が最優先で対応すべき業務と明記することなどを訴えた。

     父親らはこの日、同法の改正に向けて議論している超党派国会議員勉強会の馳浩座長(元文部科学相)に要望書を提出した後、同勉強会にも参加。いじめが疑われる情報を得た際には直ちに調査して速やかに結果を被害児童や保護者に報告するなど、教育委員会や学校がいじめへの対応を軽視しないような法整備を求めた。

     会見で父親は、いじめ防止対策推進法の施行から5年を経て「いじめが問題行動だと意識はされたが、学校現場や教育委員会ではまだ、いじめが人を殺す怖い行為だと認識されていない」と強調。越市長も「中立公正でない調査で家族が事件後も苦しむ事態が起きている。なぜいじめで亡くなったのか、二度と起こってほしくない、と願う人々に寄り添う法律にしなければいけない」と述べた。


    「子どもを守る」ことの大切さはいささかも疑う余地はない。しかし、「いじめ防止対策推進法」を改正すれば「いじめ自殺」は防げるのだろうか。「いじめ」が社会問題として取り上げれれるようになったのは1980年代のことだが、そこからすでに40年近くの時が流れているにもかかわらず「命を絶つ児童生徒が相次いでいる」事実をどう受け止めればいいのだろうか。北澤毅「『いじめ自殺』の社会学」や村瀬学「いじめの解決 教室に広場を」など、「いじめ」にかかわる当事者としての子ども(児童生徒)を議論の中心に据えたものは示唆的だと思う。また、こどもの権利条約にいう「意見表明権」を実質化すような議論も、ぜひ改正「推進法」に盛り込んで欲しいと思う。


    11月18日 共産党 教員の長時間労働是正を

     教員の長時間労働の是正に向けて、共産党は、教員が受け持つ授業の数に上限を設けたうえで、教員の定数を増やすなどとした政策提言をまとめ、今後、野党各党などにも協力を呼びかけ、政府に働きかけていく方針です。

     共産党は、教員の労働条件の改善は、子どもの教育にも重要だとして、教員の長時間労働の是正に向けた政策提言をまとめました。

     それによりますと、教員が受け持つ授業の数に上限を設けて減らすほか、今後10年間で、公立の小中学校の教員の定数をさらに9万人増やすとしています。

     また残業代を支給せず、基本給の4%を一律に支給している現行の公立学校の給与制度を見直し、残業代を支払うようにするとともに、残業時間を規制すべきだとしています。

     共産党は、この政策提言を実現するため、今後、野党各党などにも協力を呼びかけ、政府に働きかけていく方針です。(NHK ラジオ)


    中教審で「変形労働制」が、教員の働き方改革(?)として議論されそうな雲行きの中の提言。これまで日教組も力を入れてきた課題であり、共産党の提言に新鮮味はないのだが、野党共闘の課題としては一定の意味があるといえる。


    11月18日 府教委 学習塾130社超 新連合

     学研ホールデイングスと市進ホールデイングス(千葉県市川市)を中心に、全国の学習塾など130社超が新連合を設立したことが17日、分かった。少子化で生徒数の先細りが避けられない中、教材や教育法のノウハウを共有するなど緩やかな協力関係を結び、コスト削減と経営安定化を図る。

     合計の売上高は1170億円で、学習産業ではべネッセホールデイングスに次ぐ国内2位の規模になる。生徒数は46万人。少子化のほか大学入試改革などの変化に対応し、勝ち残りを狙う。、全国の塾が大同団結する連合の発足で教育業界の再編が一段と加速しそうだ。

     新連合の名称は「教育アライアンスネットワーク」。18日に東京都内で設立記念会を開く。進学会(札幌市)や第一ゼミナール(大阪市)、全教研(福岡市)など地方の有名塾が参加し、教材作成会社なども加わる。参加する各塾の本社は京都など35都道府県に所在し、全都道府県に教室を展開している。

     地方の塾にとっては大手の持つ教育システムを利用し、小学校での新たな英語教育などでより的確な指導が可能になる。

     新連合の代表理事を務める市進の下屋俊裕社長は「地域で支持される学習塾が存続できる環境を整え、新しい教育に対応した指導を広げていきたい」と話している。

     児童・生徒数の減少に加え、人手不足の影響で講師の確保に苦労するなど、学習塾は厳しい環境に置かれている。生徒が多くても、経営者が高齢化し後継者確保の見通しが立たないケースもある。

     2020年度からは新たな教育改革が始まる。大学入試では大学入学共通テストが導入され、小学校では3〜6年生で英語教育がスタートする。

     連合によって地方の塾は自前で教材を作成する負担が減り、生徒指導に集中できる。教員の質を高める研修や採用ノウハウを共有し、人手不足に対応。新たな教室を開くのに必要な資金の融資も利用できる。

     共通の学力診断テストも実施。考える力や論理力を養う内容で、生徒は全国規模で成績を把握できるようになる。


    地方塾、単独対応に限界

     「これからはITを活用した教育システムが必要だ。地方の塾は開発に限界があり、大手の力を借りることにした」

     鹿児島市で小学生から高校生向けの進学塾「MUGEN(ムゲン)」を経営している小牧聖代表は、教育の変化に単独で対応する限界を感じ、全国の塾が合従連衡を選んだ事情を説明する。

     同塾は、生徒が問題を理解して文章で答える過程を重視してきた。解答に行き詰まると講師が一緒に考え、自力で考える力を伸ばす方法で生徒数を増やしてきた。

     だが、高齢化による現役世代の減少は、生徒を指導する講師の人手不足として重くのしかかる。

     学習産業を取り巻く環境は厳しい。2016年時点で1578万人いる0〜14歳の人口は、25年には1407万人に減り、半世紀後の65年には898万人まで減少するとの推計もある。

     中小企業を業種別に見ると、学習産業は労働生産性が低いと指摘されてきた。新たな教育改革に対応し、人手不足を補う面からも人工知能(AI)を駆使した教育システムの導入は欠かせず、小規模の塾は生き残りをかけた取捨選択を迫られている。

     全国ネットワークを構築することでITに対応したシステムやコストを抑えたサービスを導入でき、個性が発揮できる指導が可能になる。小牧代表は「どの塾にも独自の良さがある。省力化によって地域に密着した学習を提供することが求められている」と話す。


    これまでも塾によっては独自の教育理念をもって経営に当たってきたし、またそれをもとめる顧客もあった。しかし今回の「同盟」でどこまでそれを確保できるのかは見とおせない。加えて、全国的な「知の内容」がより均質化することも十分考えれる。個性ある人材を育成することが、学習指導要領の詳述化とともに塾の寡占化がそれをそれを阻害するともとれる。


    11月16日 府教委 「住民の学校運営」後押し

     京都府教育委員会が本年度から、地域住民が学校の運営に協力する「コミュニティ.スクール」 の発足支援に力を入れている。すでに導入した学校では住民が学校運営を支え、教員の負担軽減にもつながっている。ただ、京都市を除「く府内の発足率は1割超にとどまっており、紹介冊子の作成などで普及を図る。

     「はい、オッケー」。今月上旬、京都府精華町の精華中で放課後に行われた1年生の振り返り学習。主婦や元教員ら地域住民5人が答案の丸付けや生徒へのアドバイスをし、教諭は生徒への指導に集中していた。

     同中では07年度から地域住民と一体になった運営を始めた。学校運営協議会の下に設けたコミュニティ協議会が学校を支援。平日に校内の一室を使って障害学習講座「シニアスクール」を開くほか、住民が振り返り学習で丸付けをしたり、家庭科の授業で補助をしたりするなど、授業や行事で協力している。

     深田守校長は「日常的に住民が校内におり、生徒も住民を案内するなど良い関係ができている。教員の負担の軽減にもなり生徒に直接指導する時間も増える」と効果を語る。

     コミユ三ナイ・スクールは、市町村教委の規則に基づき、住民や保護者が参加する「学校運営協議会」を設置した学校。地域住民側は常設の組織を設けるなどして、体験活動や登下校の見守りなどをサポートする。学校と地域が継続的に情報を共有し、多様な活動を展開できる利点がある。

     だが、府内(京都市を除く)のコミュニティ・スクール導入校は、4月現在で全体の14%にあたる43校(小学校33校、中学校10校)のみ。京都市は小学校が全校、中学校は約8割で導入するほか、城陽市と久御山町伊根町は全小中学校で設置済みだが、「導入すれば何ができる か理解が進んでいない」 (府教委)こともあって普及が遅れているという。

     ただ、2017年3月には地方教育行政法が改正され、設置が各教委の努力義務になった。このため府教委は本年度から普及に本腰を入れており、10月には導入校の事例や利点を紹介する冊子(A4判、4n)を千部作成して、各市町村や学校に配布。年明けには各市町村教委を対象にした説明会を開いて、導入校を増やしていく計画だ。

     府教委は「導入すれば、子どもは地域に育てられているとの安心感があり、住民も子どもの成長を感じることが生きがいになる。より多くの自治体に広めたい」としている。


    地域に開かれた学校というイメージは以前からある。しかし、どのようにして「地域に開く」のかという問題はそうそう明らかになっているとは言い難い。先行する多くのコミュニティースクールが、学校の下請け的な仕事を担う組織となっている実情がある。教育に最も利害関係を持つ(ステークホルダー)保護者は運営協議会に参加することはあまりないように思える。OB・OGが協議会の主なメンバーというところも少なくない。ある退職校長は手記の中で「難しい事はわからん。あとは学校に任せる」といった地域の重鎮のことばを引用し、学校への信頼が生まれた事を誇っている。しかし、運営協議会が下請け機関としての役割だけを担わされるのでは「自治」的な教育には程遠い。


    11月16日 府立農業高校 農の可能性 生徒ら探る

     就農人口の減少や環太平洋連携協定(TPP)の発効など、農業を取り巻く環境が変化する中、京都府内の農業高校が幅広い視野を持った人材を育てようと、特色ある授業を展開している。起業に向けた教育や研究を深める活動を通じ、農業の持つ可能性を生徒たち自らが探っている。

     10月下旬、京丹波町の須知高で、食品科学科の3年生約30人が、地元の魅力を発信する商品案をチームごとに発表した。農家が加工や販売まで担う「6次産業化」を支援する東京のプランナーが講師を務め、企業のマーケティングのようなアドバイスを行った。

     「その商品は、何が一番の強み?」。特産品を使った料理体験や動物とのふれあいができるサービスを発表した生徒に講師が質問した。「家族と過ごす時間を作れることです」と生徒が答えると、講師は「よい考えだ。強みを洗い出していくと、商品の価値が見えてくるよ」と助言した。

     須知高は府から、商品の開発から販売まで実践する「ハイスクール起業チャレンジ実践校」の指定を2013年度に受け、起業家教育を進めている。農産物の生産だけでなく、食品製造や販売、流通までを総合的に教えることで、幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指している。

     本年度は、プランナーを招いた授業を6回実施。6次産業化は、商品の開発と販売で終わりがちだが、時代のニーズを取り入れながら長期的に継続する事業に育てるにはどうすべきか、生徒自身に考えさせている。

     井戸仁副校長は「生徒にとっては、地域資源を生かしたビジネスの可能性を、新たな視点で考えるよい機会になっている」と話す。

     桂高(京都市西京区)は、生徒の主体的な学びを引き出しながら、農業の新しい道を模索する研究活動「TAFS (タフス)」に取り組んでいる。「農と食の研究群」など四つの研究分類があり、さらに詳細なテーマごとに研究室を設け、授業中や放課後などに活動している。

     各研究群には学年や学科に関係なく40人程度が所属。指導は同高の教員に加え、連携する大学の教員や大学院生が担当する。

     同高の研究活動は12年の歴史がある。10月には鹿児島県で行われた「日本学校農業クラブ全国大会」で、緑化技術の開発に関する発表が最優秀賞を受賞した。ただ、時間のかかる研究の経過を評価するのは難しいといい、前口良太郎農場部長は「今後は研究の過程を可視化することで、評価をしやすくし、活動も充実させたい」と意気込む。

     農業の生産現場の改善に関する教育に力を入れる高校もある。

     茶の生産者の育成を目的に設立された木津川市の木津高は、数年前から持続可能な農業のあり方を生徒とともに考えている。茶の栽培農壕で、肥料や殺虫剤の種類、量を見直しているほか、茶の生産を学ぶ生徒の体調や服装の管理にまで注意を払っている。

     その結果、昨年には、生産者の労働環境や環境保護、農産物の安全性に配慮した生産方法であることを証明する国際認証「グローバルGAP」を茶の生産で取得。那波和志農場部長は「生徒は社会に出た時、国際規格や認証を扱うかもしれない。生産活動には改善の意識が大切だということを、今のうちから学んでほしい」と話す。



    11月16日 府教委 大卒の就職内定率77%

     来春卒業予定で就職を希望する大学生の10月1日時点の内定率は前年比1・8ポイント増の77・0%で、調査が始まった1996年以降、この時点では最高となったことが16日、文部科学、厚生労働両省の調査で分かった。両省は、景気が好調で企業の採用意欲が高いことや、就職活動の早期化ま背景にあるとみている。

     今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率は過去最高の98・0%だった。来春卒業の大学生も最終的には同様に高い水準の就職率になるとみられる。両省は大学やハローワークを通じ、内定を得ていない学生の支援を続ける。

     一方、厚労省が16日までにまとめた高校生の9月末現在の内定率は62・3%で、前年比で0・4ポイント減となった。厚労省の担当者によると、9月末が土日だったため、内定日が10月にずれた企業があったことが影響した可能性があると指摘。「依然として高い水準」 としている。

     大学生の内定率は全国の国公私立大62校の4770人を対象に電話や面接で調査を実施した。文理別では、文系76・5%(2・1ポイント増)、理系79・2%(0・6ポイント増)。地域別では、北海道・東北70・4%(2・1ポイント減)、関東80・5% (0・7ポイント増)、中部76・0%(4・0ポイント増)、近畿82・1%(3・4ポイント増)、中国・四国64・7% (5・9ポイント増)、九州69・0%(0・3ポイント増)だった。



    11月14日 中教審 教員の働き方に変形労働時間制を

     小中学校などの教員の働き方改革を話し合う中教審特別部会は13日、労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入検討を軸とする答申の骨子案を示した。繁忙状況に応じて学期中の勤務時間を引き上げる一方、夏休み中の学校閉庁日を増やして長期休暇をま とめて取りやすくする。ただ、部会内では導入に慎重な意見もあり、年明けの答申に向けてさらに議論を進める。

     骨子案は勤務時間の上限を示したガイドライン制定にも触れており、文部科学省は答申と同時期に設ける方針。これまでの部会の議 論では、働き方改革関連法に準じて民間と同様、残業上限を原則、月45時間、年360時間とし、特別な事情がある場合でも年720時間とする意見が強い。同法の上限規制こは罰則が設けられたが、公務員は同法の対象外のため上限は目安となる見通し。

     教員の正規の勤務時間は1日7時間45分とする自治体が多い。文科省が部会で示した変形労働時間制導入時のイメージでは、学期中 の勤務時間を週3時間長くすれば、学校閉庁日を年15日間増やせる。週4時間長くすれば閉庁日は年20月間増やせ、例えば8月に3週間連続の休日を設定することもできる。


    中教審の議論は全くの筋違い。「働き方改革」が問題になってきた背景は教員の無際限長時間労働をいかに減らすかであったことを想起すべきだ。問題は年間の総労働時間ではなく、日々の残業の多さである。ここを取り違えて(?)の議論は弊害のみを拡大する。おそらく中教審の狙いは「給特法」をいじることなく数字上の整合性を求めることだろう。現場の教員がどれだけの危機感を持てるかも議論を左右することになろう。


    11月12日 家電量販店がプログラミング教室

     コンピューターのプログラミング教育が小学校で必修化されるのを前に、大阪市に本社がある大手家電量販店のエディオンは、ロボットを使ったプログラミング教室を12月から始める方針です。

     関係者によりますと、エディオンは、ロボットを使ったプログラミング教育を世界で展開している中国の企業と提携して、国内で子ども向けのプログラミング教室を始める方針です。

     小学3年生から中学生までが対象で、専用の教育用ロボットと教材を使うことで、3年かけてプログラミングを学ぶことができるということです。

     12月に兵庫県西宮市に最初の教室を直営で開設し、来年以降、全国でフランチャイズ展開して、200か所以上の教室と8000人以上の生徒を目指すということです。

     また、プログラミングの力を競う全国大会を2019年中開催することも計画していて、2020年以降は、大会の成績優秀者でチームを作り世界大会に出場することも検討しています。

     プログラミング教育は、2020年度から全国の小学校で必修化されることになっていて、エディオンとしては、一足早く参入しておくことでこの分野での事業展開の足がかりとする狙いがあると見られます。(NHK ラジオ)


    プログラミング教育が子どもにとって必須の学習内容かどうかは、疑わしい。大学入学テストにしても結局は公教育外部の資源を利用するという方向に進んでいる。新自由主義的教育が、教育の公的性格を急速に失いつつあるという印象を持つ。いわゆる「移民法」(入管法改正)についても、低賃金労働者の確保にのみ目標があって外国人労働者の子どもの教育についてはほとんど留意された形跡がない。多文化共生の市民社会形成を「キチン」と構想すべきだと思う。


    11月11日 大学共通テスト試行 成績二極化の加速懸念

     大学入学共通テストの試行調査は初日の日程を終えた。主に基礎知識の習得度をみる大学入試センター試験から衣替えし、思考力や読解力を測るため記述式問題などの新形式を導入。従来の受験テクニックが通用せず「進学校有利」との指摘もある中、成級下位層どの二極化の加速も懸念される。今回の調査が2年後の本番に向けた試金石となるだけに、関係者からの注目度は高い。

     「問題文の量が多くて、今までの試験よりも読む力を求められているなと感じた」。10日、会場となった東京都杉並区の明治大で試行調査を受けた高校2年の女子生徒(16)は疲れた様子で感想を語った。

     この日は国語と英語、地理歴史・公民などを実施。エッセーや風刺画、図表など、多様な題材をふんだんに取り上げて情報を正しく読み取る力があるかどうかを試す問題が目立ち「教科書の丸暗記では解けない良問ばかりだ」と絶賛する予備校関係者もいた。知識偏重の学習からの脱却を掲げた大学入試改革の当初の理念は形になりつつあるようにも見える。

     新テストが本番を迎えるのは2021年1月。今の高校1年が受験の第1期生となる。

     大手予備校河合塾は4日、東京都内で高1と中3の生徒や保護者を対象に共通テストの説明会を実施。講師の話に100人近くが熱心に耳を傾けた。母親と参加した私立高1年の男子生徒(15)は「自分の進学のタイミングから入試が変わるのは運がないとも思うが、仕方ない。早めに準備をしないと」と2年後を見据えていた。

     「昨年の試行調査の問題を見たときは『こんなに変わるのか』と驚いたが、元々考えることが好きな生徒が多い進学校には有利だと思う」。西日本の私立進学校の教諭はこう話す。その上で「今回の調査が終われば、共通テストはある程度こんな感じ、というものが分かる。対策に力を入れるのはそれから」と慌てる様子は見せなかった。

     一方、関東地方の公立高に勤める40代の女性教諭は「普段、それほど深く考えずに授業を受けている生徒と、意識が高い生徒との成 績の差は広がるのでは」と心配する。

     この学校ではセンター試験を受ける生徒は少数派で、学校全体で受験対策を進めることはないといい「授業でこれをやっておけば大丈夫、という見通しが立たない。受験する生徒には、さまざまな分野にバランス良く関心を持ってもらえるよう努力しなければ」と 指導の改善も必要だと考える。

     大学入試改革に詳しい北海道大の佐々木隆生名誉教授によると、センター試験の得点分布は平均点近くに山の頂が来る「釣り鐘型」になる傾向がある。しかし共通テストで成績の二極化が進めば、上位層ど下位層に二つの山が分離する形になる可能性があるという。

     佐々木氏は「そういう偏った得点分布になる試験の成績をどのように評価するのか。このままでは大学側が『あの試験では不十分だ』と判断しかねない」と指摘した上で「今回の調査結果を大学入試センターがどう受け止めるのか、注目したい」と話した。


    ここにも「教育格差」の影が見える。家庭の教育資本・文化資本が成績となって表れるという指摘だ。「就学前教育の無償化」がこの「格差」是正をどこまで見据えたものかよく分からない。加えて、リテラシーを育てることに義務教育段階や高等学校段階でどれほど熱意をもてるかということでもあるだろう。


    11月10日 府教委 中学教諭体罰5件

     京都府教育委員会は9日、府南部の中学校の男性教諭(48)が昨年夏から今年7月に掛け、生徒の頭をたたいたり、蹴ったりするなどの体罰を計5件繰 返していたと発表した。また、10月に生徒の左腕を蹴って骨折させた府立乙訓高の男性教諭(54)が、昨年に他に計4件の体罰をしていたことも明らかにした。

     府教委によると、府南部の教諭は5月、授業中に携帯電話でゲームをしていた男子生徒を指導する際、平手で頭をたたいた。見ていた別の教員から報告を受けて学校が注意をしたが、7月にも顧問を務める女子バレーボール部で練習試合中にミスをした生徒のほほを平手でたたいたという。

     その後、学校が生徒に聞き取りをしたところ、昨年夏から同9月に掛け、部活動中の部員3人に対して髪を引っ張ったり、ボールを投げつけたりしていたことが分かった。座って2人一組でマッサージ中に私語をした女子生徒の頭を足で蹴る体罰も加えたという。

     また、乙訓高の教諭は昨年2月から今年4月の間、顧問を務める陸上競技部の活動や海外修学旅行中に男子生徒3人に対して頭をたたいたり、頭突きをしたりする体罰を計4回していた。

     府教委は9日付けで南部の教諭は戒告、乙訓高の教諭は減給10分の1(3力月)の懲戒処分にした。府数委は「信頼が損なわれ残念。特に部活動は閉鎖的になるので校長らを通じて目を光らせていく」としている。


    「校長らを通じて目を光らせていく」とは、ずいぶんと変わったコメントだと思う。目を光らせて解決できる問題だと言う認識ではないとは思うが、こうれが対策になるとは思えない。次の「内田良准教授の講演」記事が参考になるはず。


    11月10日 龍谷大 教員の長時間労働危険性指摘

     学校の危機管理に関する講演会が9日、京都市下京区の龍谷大であった。内田良名古屋大准教授(教育社会学)が、教員の長時間労働や過熱する部活動の実態と危険性について語った。

     教員の働き方について内田准教授は、ほとんどの小中学校で教員の出退勤時刻が把握されておらず、労務管理なき長時間労働が行われていると指摘。子どものためと頑張ってしまう先生が多いことにも触れ、「業務に優先順位をつけることと、教育者である前に労働者であるという意識を持つことが重要と強調した。

     部活動については教育課程外で制度設計がないため、指導者、設備、資金などが不十分な中、実施されていると解説。部活動中の事故が多いことからも、「制度設計がなければ自主性に任され過熱してしまう」と解説。勝つことにこだわらず、規模をさくすることが必要だと訴えた。

     内田准教授は、学校事故などを調査する「学校リスク研究所」を主宰。安全性の確立されていない組体操批判や、部活動現場の疲弊を指摘した「ブラック部活働」の著書で知られる。

     講演は龍谷大文学部・短期大学部の学生らでつくる龍谷学会の主催。文学部の学生や一般市民ら約100人が聴講した。



    11月9日 【暮らし】欄から 教育現場に「哲学対話」

     道徳の教科化やアクティブ・ラーニングなどで、子どもたちに自ら考えてコミュニケーションする能力を付けさせようと試行;錯誤する現在の教育現場。新たな試みとして、注目を集めているのが「哲学対話」だ。

     「偶然が積み重なったのが奇跡」「何回も起きたら、それは奇跡ではなく普通のことになってしまうのでは」。車座になった約30人の小学6年生が、テーマの「きせき」を巡り、話し合っていた。東京文京区にあるお茶の水女子大付属小学校。2015年度に3年生以上で始まった新教料「てつがく」の授業だ。

     大学で学ぶような哲学の勉強と異なり、対話や記述を通して互いの考えを聴く。「幸せって何」「大人になるとは?」など児童たちが話し合ってテーマを設定し、「当たり前」と思いがちな価値観や概念と向き合い、問い直すのが狙いだ。

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     道徳の時間全てを充てるなど、年間55時間を確保。同校の研究推進部長を務める片山守道教諭は「簡単に結論を出して納得せず、もっと考え続けようとする姿勢が育ってきた。対話を通じて友達の知られざる一面を知るなど、互いに理解を深められる要素もあるのでは」と手応えを語る。

     他校でも、16年度から宮城県白石市の公立小中学校全てで哲学対話を導入。さいたま市にある私立開智中学・高校でも定期的に授業に取り入れるなど、広がりを見せる。

     「こども哲学」の普及に取り組む立教大の河野哲也教授は「ある事柄に対する知的好奇心を育てることが大事。つまらないことを我慢してやっても、良いものは生まれてこない」と説き、教育効果として「動機付け」も挙げる。対話を通して深い疑問に到達すると、学びを深めたいという動機が強まるそうだ。

     価値観が異なる人々が共生できる社会をつくり出す力を養うのにも有効という。「日本でもLGBT (性的少数者)問題への関心の高まりや多国籍化など、社会の多様性が浮き彫りになってきた。対話を通してしか問題解決できないような状況が目前に迫っている」

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     一方、家庭でも哲学対話は楽しめる。「子どもの経験や語彙力だからこそ考えられる世界がある、と分かれば子どもに対する親の見方が変わる」と意義を語るのは「自信をもてる子が育つこども哲学」(ワニプックス)を出した川辺洋平さん。

     「答えが出ない哲学的なことを突然言うのが子ども。これまで少し面倒くさく感じていた親も、『哲学』という言葉で捉え直すだけで、面白がれる余裕が出てくるのでは」。否定されず受け止めてもらえると、子ども は安心して発言できる。「子どもは元々考えている。『遊び』としての哲学対話を通して、その思考力が見えてくるんです」


    ルールは五つ結論不要

     「こども哲学」は、デイベートのように相手を言い負かそうとするのではなく、多様な考えを認めるのが特徴だ。3〜10人のグループで、対話のテーマを考えることから始め、相手の意見で分からない点があれば質問する。結論を出す必要はなく、時間を決めて終わらせる。

     川辺洋平さんが挙げる「こども哲学」のルールは次の五つ。@ひとが話しているときはきくA相手が考えているときは待つH自分の思ったことを言うCひとの嫌がることをしないD可も言わなくてもいい。これらを守ることで、子どもは安心感を得られ、考える楽しさを感じられるという。


    「こども哲学」の方法は、デイベートのように表現力を競うものではないということが大きな特徴。日々競争の環境に置かれつづけている子どもにとっては異質な世界の実現になる。また、教科道徳の導入を逆手に取る事も、シティズンシップ(主権者)教育やいじめ防止対策のヒントになることも期待することができる。つまり、教育の原点である「ことばとは何か」に向かうことなのだから。


    11月7日 府教委 ネット活用研修整備へ

     京都府は6日、公立小中高校(京都市を除く)の教員の能力向上に向けた計画の最終案をまとめた。インターネットを活用した研修システムを新たに整備するほか、優れた授業を映像としてデジタル保存することや若手教員の自主研修支援などに取り組むことなどを盛り込んだ。

     2020年度からの新学習指導要領の導入や教員の世代交代など学校現場が大きく変わる中、業務を効率化し、教員の能力を向上させる必要があるため策定した。

     基本方針として、教員が自らの経験段階に応じて主体的に研修に取り組み、レベルアップできる環境整備を行っていくことにしたりインターネットを活用した講義システムは、遠隔地や自宅でも受講できるようにする。研修のために京都市内の施設を訪れる移動の負担を減らすほか、育休中の教員の職場復帰に向けた不安解消にもつなげる。

     このほか、指導力が高い教員の授業や教材を映像としてデジタル保存して共有できるようにしたり、若手教員同士で教材や指導法を研究する取り組みに経費を補助したりする。優秀な教員の海外派遣なども検討する。

     19年度から順次実施していく予定で、府教育委員会は「近年はベテラン層が減っており、若い人材の能力向上をサポートしていきたい」としている。


    教員の業務改善にインターネット利用は欠かせないものになってきている。府の計画案もその一つだと言える。懸念材料としては、「自主研修」というくくりで勤務時間外に「勤務」を強いられる可能性があるということ。いついつまでに「自主研修教材を視聴する事」という指示を「自主的」とするか「職務命令」とするかという問題がでてくる。業務改善(長時間間勤務の是正)の流れと逆行しない運用が重要だろう。


    11月3日 【社説】 誰のための無償化策か

     見切り発車した子育て施策の不備が早くも蕗呈した形だ。

     来年10月の消費税率引き上げに合わせ、政府が実施する幼児教育・保育の無償化である。全国の私立幼稚園のおよそ4割が、来年度から保育料を値上げすることが共同通信の調査で分かった。

     無償化を見越した「便乗値上げ」とみられるケースが含まれている。保育料は国が負担するため、保護者の理解を得やすい、というのが理由のようだ。

     背景には、少子化などで幼稚園経営が厳しさを増していることがある。半数近くの園は職員の給与引き上げなど「保育の質向上のため」と答えている。一方で、保育料を国が補助する上限額まで引き上げるなど不自然な例もある。

     値上げは、国の財政負担で事業者の利益を賄うことを意味する。便乗値上げは納税者の理解を得られまい。

     問題なのは、真に必要な値上げなのか判断する仕組みがないことだ。

     政府は5月、無償化の基本方針を公表した。だが制度の詳細はいまも固まっていない。通園送迎費や給食費など、どこまでが無償化の対象費目となるかについては自治体や幼稚園関係者に周知できていない。早急に手を打つべきだ。

     無償化は、安倍晋三首相が昨秋の衆院選で掲げた主要公約だ。消費税増税分は本来、借金返済や社会保障の財源に充てるはずだったのに一部を振り向けるとした。

     だが、十分検討せずに打ち出されたため認可外保育施設の扱いなどを巡り、制度設計は迷走した。練られた施策とは言いがたい。

     認可保育所や認定こども園は全額補助するのに対し、幼稚園や認可外施設は一部補助にとどまる。認可外の利用者は認可保育所を 希望しながら落選し、やむを得ずに子どもを預けている保護者が多い。「不公平だ」との声が上がるのは当然だ。一律無償化ならば誰もが公平に機会を保障しなければならない。

     高い保育料を支払う高所得世帯ほど恩恵を受けることになり、教育格差が拡大する恐れもある。保育需要の掘り起こしで待機児童が増えれば不公平が広がりかねない。

     こうした保護者の懸念に真摯に向き合い、待機児童解消のための受け皿整備を急ぐべきではなかったか。

     幼保の無償化はいったい誰のための施策なのか。子育て制度のあるべき姿と併せ、国会で改めて議論する必要がある。


    「入管法改正」もほとんどまともな議論をしていない。一言で言えば「アベノミクス」の効果を示さんがばかりに、無理に経済成長路線を取っているのだ。就学前教育についても高校無償化の議論には乗れないとばかりに公明・維新に秋波を送るだけのものだった。また、今後も議論になるだろうが「入管法改正」で、子どもの側から考えれば教育保障がどこまで整えられるかだが、これまでも「ニューカマー」の子どもたちが日本語の教育はもとより母語の保障さえも十分になされてこなかったことを考えれば見とおしは暗いだろう。


    11月1日 文化庁有識者会議 文化部活動、週2日休み

     中学校や高校の文化部活動に対し、国が策定中の指針案に「週2日以上の休養日を設ける」「1日の活動時間は平日2時間、休日3時間程度まで」といった内容が盛り込まれることが31日分かった。吹奏楽部など一部で長時間の練習が行われており、生徒や指導教員らの過度な負担を防ぐ狙い。11月1日の文化庁有識者会議で案を示す。

     学校の部活動を巡ってはスポーツ庁が3月、生徒のけが防止や負担軽減を目的に、運動部について同様の指針を策定した。

     その「文化部版」となる今回の案では、成長期の子どもが授業や校外活動、休養、睡眠とバランスの取れた生活を送ることを重視。運動部にならい、文化部にも適切な休養日や活動時間の目安を設けることにした。有識者会議で案を議論し、年内にも正式決定する。

     指針に法的拘束力はないが、教育委員会や学校は指針の内容を踏まえ、具体的な活動方針の策定が求められる。


    府教委フォーラム 業務改善例報告

     京都府教育委員会は31日、「教職員の働き方改革フォーラム」を京都市左京区の府立京都学・歴彩館で開いた。資料のペーパーレス化など府内の学校で行われている業務の改善事例が報告され、約370人の校長らが聞き入った。

     学校現場は、長時間労働が常態花するため、校長らに業務改革への意識を高めてもらおうと企画した。

     園部小(南丹市)の阜正是校長は、実際の業務改善事例として、午前7時半〜午後7時以外の時間帯に学校に掛かってくる電話はメッセージで対応▽保護者への電話連絡網は一斉メール配信に変更▽資料のペーパーレス化推進―などを挙げ、「紙の学年通信は余白を埋める苦労もあったが、ウェプ化したら紙面の大きさがないので書きやすくなった」と報告した。

     京田辺市教委の担当者は、教職員の負担軽減に向け、市教委に臨床心理士を含むチームを編成し、問題行動を起こす児童らへの対応を助言していると紹介。

     南陽高(木津川市)の越野泰徳校長は、部活を行わない日を設定したり、職員向けにスマートフオン連絡用ソフト「スラック」を導入したりしていると説明し、「学校も取り組みを行政にバックアップしてもらいたい」と訴えた。


    ここで例示されているソフト「Slack」は、無償版と有償版があるいわばひとつのSNSのようなもの。「Slack」でやり取りされたデータはクラウドに保存される事になるが、生徒個人のプライバシーや意思形成過程の文書などの流出の危険性がないとはいえない。しかし、現場がこうした工夫を凝らしているのは一定評価ができるが、過積載である教育内容の削減(教科の量だけではなく)や職員増などのベーシックな改善がないと小手先の改革にしかならないと危惧するが。