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  • 3〜5歳の教育無償化を正式決定.28
  • 学童保育、1万7千人入れず.28
  • 小中校の時間割や学年、廃止検討.28
  • 高校、大学でブラックバイト対策教育.30
  • 12月30日 清明高 高校、大学でブラックバイト対策教育

     高校生や大学生に対する労働者教育が京都や滋賀で活発化している。人手不足で若者に過酷な勤務を強いるトラブルが懸念されているため、学業に支障をきたす「ブラックバイト」や、長時間労働を課すようなブラック企業への適切な対処法を早い時期から教えよう、というのが狙いだ。

    ■弁護士ら「労働法の存在知って」

     「バイト先で疑問に思う働き方をさせられたことはないですか。被雇用者と使用者の力関係を公平にし、労働者の人権を守るために、労働法があるということを知ってほしい」。12月上旬、京都市北区の清明高で労働に関する知識を教える特別授業が行われた。弁護士が講師を務め、法律の意義や過重労働の具体例などを2年生約100人に解説した。

     同高では3割の生徒がアルバイトなどをしており、労働者教育に力を入れている。瀧本徹副校長は「バイトがきつい、と漏らす生徒もいる。自分の生活と将来を守るため、正しい知識を身につけてほしいと思い企画した」と述べた。

     高校生、大学生へのこうした出前授業は各行政機関も積極的に取り組んでいる。京都労働局は2012年度から力を入れ、17年度は7高校12大学に実施した。滋賀労働局も同様に取り組むほか、京都府も府社会保険労務士会やNPO法人などと連携して行っている。授業では、「アルバイトでは労働条件を確認する」「労働局などに相談窓口がある」といった働く際の注意点や知識を分かりやすく伝えている。

     近年は、より早い時期からバイトでのトラブルを防ごうと、高校1年生への授業が増えているという。京都労働局は「人手不足で学業に影響が出るほどバイトに入らせる事業所もある。今後も出前授業に力を入れていきたい」としている。

     府は今年4月に「ブラックバイト相談窓口」(0120)786604を開設しており、「気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。


    出前授業も学外の人から学ぶという体験が出来る点では有効だと思う。しかし、この手の問題は「公民」などの教科の課題として取り組む必要があるだろう。名称は特にこだわる必要があるわけではないが「普通職業教育」と呼ばれている実践もあることを知っておいても良い。


    12月28日 名古屋市 小中校の時間割や学年、廃止検討

     名古屋市は28日、市立小、中学校での時間割や学年の枠を廃止した授業の導入に向け、教員らが参加する勉強会を初めて開いた。子どもの個性に応じた教育を実現するのが狙いで、いじめが減るなどの効果も期待できるという。市は来年度にも一部での試行を目指す。

     市は、オランダで普及している「イエナプラン」と呼ばれる教育法を参考に検討。国内では私立小学校で同様の仕組みを取り入れる動きがあるが、公立学校に導入した例はないという。

     勉強会には、教育の専門家や市立学校、幼稚園の教員ら約180人が参加、河村たかし市長が「のびのび好きなことをやれるようにしよう」とあいさつした。


    子どもの個性化をどのように捉えるかがまず問われるだろう。市民社会の構成員として確立した個をめざすといういうのか、あるいは私的な利害を追求する経済的な個なのかという点である。しかし、いずれにしても「公立学校」での議論は注目したい。あるいは、6・3・3制の学制そのものに対する、戦後教育制度に対するアンチテーゼとして成り立ちうる課題なのかも注視したい。


    12月28日 厚労省 学童保育、1万7千人入れず

     厚生労働省は28日、共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)について、利用を希望しても定員超過などで入れない待機児童は、今年5月時点で1万7279人だったと公表した。1〜3年生の低学年で減少する一方、4〜6年生の高学年は増加。全体では前年より109人増えた。

     子育てをしながら働く女性が増えているため利用希望者も年々拡大。政府は2018年度中に待機児童を解消する計画だったが、需要の高まりを受けて達成時期を21年度末へ先送りした。9月に公表した新たな計画では計152万人分の利用枠を確保することを目標に掲げている。

     全国の施設数は2万5328カ所。利用登録している児童は6万3204人増え、過去最多の123万4366人となった。低学年が81%を占めた。

     待機児童は低学年で計669人減少、高学年で計778人増えた。都道府県別に見ると、東京都の3821人が最も多く、埼玉県1657人、千葉県1602人と続いた。


    保育所や学童保育などい従来のわゆる「保育に欠ける」子どものみならず、親が働くこととの兼ね合いで要求は高くなっている。先日学童保育の指導員を1名でも可能とする方針を政府は決定したのだが、はたして1名でこうした需要を満たすことはできるのだろうか。とりわけ高学年の子どもに対応するのには、例えば「けんかの仲裁」を考えただけでも1人では心許ない。


    12月28日 政府 3〜5歳の教育無償化を正式決定

     政府は28日、幼児教育・高等教育の無償化について関係閣僚会合を開き、3〜5歳児は原則全世帯、0〜2歳児は住民税非課税の低所得世帯を対象に、来年10月からスタートさせることを正式に決めた。高等教育無償化では2020年度から、大学などに通う低所得世帯の学生に、返済不要の給付型奨学金を支給することを決めた。

     幼児期に教育を受ける機会を保障するとともに、子育て世帯の負担軽減を図ることで少子化対策につなげる。来年の通常国会に関連法案を提出し、早期成立を目指す。

     安倍晋三首相は会合で「国の社会保障を全世代型に転換する。無償化は重要な第一歩だ」と述べた。


    教育交差点 保育士の待遇改善こそ

     政府は2019年10月の消費税率引き上げに合わせて「幼児教育・保育の無償化」を始める予定だ。政権の看板政策として少子化対策への取り組みをアピールする構えだが、その有効性を疑う指摘は少なくない。「保育園を考える親の会」 代表の晋光院亜紀さんに寄稿してもらった。

     ◇

     保育所、幼稚園、認定こども園、認可外保育施設等に通う3〜5歳児らを対象とする「幼児教育・保育の無償化」は、費用が年間約8千億円とされています。子どものための予算が増えるのは歓迎すべきことでしょうが、自治体の現場担当者や保護者からは、政策の優先順位に疑問の声が上がっています。

     確かに今、幼児教育の重要性は世界的に注目されています。米国の幼児教育が普及していない貧困地域で行われた長期追跡調査では、専門職による質の高い幼児教育を受けたグループの子どもは、受けなかったグループと比べ、40歳になった時点での所得、学歴が高く、犯罪率が低いなど顕著な差が表れました。「幼児教育は国家にとって最も費用対効果の大きい教育」だと結論づけられています。質の高い幼児教育の普及は、国の最優先課題といえます。

     とはいえ日本では既に、3歳以上の幼児の就園率(幼稚園・保育園など)は9割を超え、低所得世帯への保育料軽減策も行われています。無償化で最も恩恵を受けるのは、高い保育料を払っている高所得世帯です。幼児教育の質の改善には直接つながりません。それは直ちに必要な対策でしょうか。一方で深刻化しているのは、都市部の3歳末満児の待機児童問題であり、その対策を妨げている保育土不足です。

     資格を持ちながら保育園等で働いていない潜在保育士は70万人以上いるといわれています。保育士の現場離れの最大の理由は賃金の低さです。厚生労働省の2017年の賃金構造基本統計調査で見ると、保育士の平均年収は全産業平均を149万円も下回ります。キャリアアップ補助金などの給与改善策も取られていますが、もっと思い切った改善が必要です。

     保育士の仕事の負担の重さも、大きな理由の一つです。日本では20年以上前から「仕事と子育ての両立支援」を旗印に、保育園の定員増加などが図られてきました。しかし相次ぐ基準緩和などで「量」が増える一方「質」は置き去りにされ、保育士の配置人数や乳幼児1人当たりの面積などの基準は、先進国に比べ大きく劣ります。このことが、保育士の負担を重くしてきたと思います。

     処遇改善と負担軽減を一刻も早く行うことが、人材確保への最も有効な対策です。保育士の平均賃金を全産業平均に追いつかせるためには、単純計算であと4千億円の財源が必要です。経済的に余裕のある層の無償化は待ってもらって、質の確保された保育・幼児教育を行き渡らせることを優先する必要があります。日本社会の未来への重要な投資をどうするか、子どもたちのために十分な議論を尽くすべきです。


    高校無償化に際して所得制限を設けた政府が幼児教育の無償化ではそれを設けないのは理屈に合わない。全く理念が見えないというべきだろう。晋光院さんの指摘では「単純計算であと4千億円」で保育士の年収「全産業平均を149万円」以下を改善できるという。「4千億円」と「149万円」という数字に改めて驚かされる。ちなみに「いずも」「かが」の改修費用は40億ドル(4400億円)とか。


    12月27日 亀岡市 教育委員を京都府内初公募へ

     京都府亀岡市は26日までに、教育委員を公募することを決めた。英語やIT教育など専門分野に精通した人材を幅広く募り、市民に開かれた制度としたい考えだ。特に女性を積極登用する方針で、府教委によると、公募は府内で初めてとなる。

     教育委員は、教科書選定や学校の設置、廃止など、教育行政に広範囲な権限を持つ。戦後の一時期は選挙による公選制を採用していたが、政治的対立が教育現場に持ち込まれる例が相次ぎ、国は1956年から首長が候補を選び、議会の同意を得る制度に改めた。

     全国的に教員OBや有識者から選任する場合が多く、公募は33団体(16年度)にとどまる。「単なる名誉職」「首長の意向を受けた委員で占められている」との批判も根強くある。

     亀岡市は2019年4月から現行4人の委員を6人へ増員。そのうち1〜2人を公募する。20年度からの新学習指導要領で、小学校では英語が正式教科に格上げされ、プログラミングも必修となるため、「委員の専門的知見を生かし、時代にあった教育を充実させる」(市教委)としている。

     市は年明けにも募集を始める。活動は定例会や学校視察など月平均3日で、報酬は年100万円。論文や面接で選考し、3月議会で同意が得られれば4月から就任する。任期は4年。

     市内で別院中の統廃合や中学校給食導入の是非、校舎老朽化が問題となる中、各委員は住民目線で課題に向き合う姿勢が求められている。


    かつて教育委員長が公選制であったことを思い出した。議会と首長だけのいわば内輪の論理で選ばれるのとは違うのであれば、今回の「公募」が住民の意思が反映されるシステムになる可能性があるだろう。ただ「選考基準」が明確であるなければならないのは言うまでも無い。


    12月27日 京都府・市 公立高付属中5校の志願者状況

     京都府と京都市の両教育委員会は27日、公立高付属中5校の2019年度入学の志願者数を公表した。倍率が最も高かったのは、市立西京高付属中(中京区、定員120人)の4・68倍で、562人が志願した。

     他は府立で、洛北高付属中(京都市左京区、定員80人)は志願者数294人で、3・68倍。南陽高付属中(木津川市、定員40人)は120人で3・00倍、福知山高付属中(福知山市、同)は95人で2・38倍、園部高付属中(南丹市、同)は59人で1・48倍だった。

     西京と洛北はいずれも2004年度に開校し、当時の倍率は11倍ほどあった。5校とも入試が1月19日に行われる。


    中高一貫校とはなんであったのかと毎年この時期に思う。高校入試のストレスから子どもを解放する?中学校入学についての選抜試験は行わない?学校の序列化にはつながらない?どれも信じ難い。


    12月26日 府調査報告書 「いじめへの危機感乏しい」

     2017年に京都府立高付属中で生徒がいじめで不登校になった問題を調べていた調査委員会は25日、調査報告書を発表した。同級生による2件の言動をいじめと認定したほか、学校が早期に適切な対応をしなかったとして「いじめへの感度が低く、危機感も乏しかった」と厳しく批判した。

     報告書では、生徒が昨年6〜9月に体育系部活動でのプレーを巡って同級生1人から無料通信アプリLINE(ライン)を使って批判されていたことなどをいじめと認定した。ほかに、鞄に落書きされたり、足を引っかけられたりしたことなど、生徒が受けたとする10件も調べたが事実関係を確認できず、いじめとは判断できなかった。

     学校の対応については、同9月に保護者から連絡を受けたのに、校内にいじめ対策委員会を設置したのは同10月だったことなどを踏まえ、「生徒同士のトラブルと認識し、対応が後手に回った」と指摘した。

     生徒は同10月以降、不登校が続いている。欠席期間が30日以上のため、学校がいじめ防止対策推進法に基づく重大事態として学識者でつくる調査委員会を今年3月に設置した。

     同日、京都市上京区の府庁で記者会見した調査委の大畑好司委員長(臨床心理士)は「当初の段階から組織的な対応をすべきだった。再発防止につなげてもらいたい」と述べた。


    「いじめ対策」の難しさを示した事件であると言える。つまり、子ども・親・教師のそれぞれのかかわり(観点)が異なることによる「いじめ認知」の違いが露呈したものだからである。では第三者機関の認定はどうかというと、「あとづけ」の議論であるが故に分かりやすさはあるが、「感度が低」いとすることで解決策とするのは不充分に思える。


    12月26日 文科省調査 心の病で公立教員5000人超休職

     2017年度にうつ病などで休職した公立小中高校などの教員は前年度比186人増の5077人だったことが、文部科学省の調査でわかった。心の病気による休職は07年度以降、5000人前後で推移しており、多忙でストレスを抱えていることが要因の一つとみられている。

     発表によると、病気での休職者は同38人増の7796人。精神疾患による休職者はこのうち5077人で、全教員の0・55%に当たる。今年4月までに復職したのは1994人、引き続き休職したのは2060人で、1023人は退職していた。世代別では30代(0・63%)が最も割合が高く、40代(0・62%)、50代以上(0・57%)などと続いた。現場で経験を積み、責任が増す年代ほど、心の病にかかる傾向がみられた。

     精神疾患での休職者は急増しており、最近25年で4倍超になった。文科省の担当者は「休職者が高止まりしている背景には多忙化などによるストレスもあり、働き方改革で業務を見直すことが必要」としている。

     一方、免職などの懲戒処分や訓告などの処分を受けたのは同2929人減の5109人。体罰での処分は同69人減の585人、わいせつ行為での処分は同16人減の210人だった。

     また、再任用の教職員は今年4月現在、同4739人増の4万595人で過去最多となった。フルタイム勤務が2万6192人、短時間勤務が1万4403人だった。(読売新聞)


    精神性疾患に伴う休職者が高止まりしている原因を「多忙化」であることをこの間文科省は見とめてきているのだが、本来中教審の議論として解決策を優先させるべきなのに禁じ手である「変形労働時間制」の導入でお茶を濁そうとするのは無理筋であろう。また年金への不安から再任用が増加しているのがわかるが、小学校と中・高での再任用のシステムが異なることは早急に検討すべき課題であるといえる。


    12月26日 文科省調査 体罰で教員585人処分

     2017年度に全国の公立小中学校、高校などで体罰を理由に懲戒や訓告などの処分を受けた教員は585人で、前年度から69人減ったことが25日、文部科学省の調査で分かった。私立は6人増の185人、国立が2人減の3人だった。

     体罰による公立校の処分者は11年度までは年400人前後で推移してきたが、13年1月に発覚した大阪市立桜宮高の体罰問題を受け、13年度は3953人に急増。その後は減少傾向にある。文科省の担当者は、各学校現場で体罰の根絶の取り組みが進んだとみているが「依然少ないとは言えない」と語った。



    12月26日 文科省若手有志 「権威に配慮」抜本改革を

     文部科学省の局長級幹部が相次いで逮捕された汚職事件を受け、同省の中堅・着手職員有志は25日、組織の抜本改革を求める報告書を柴山昌彦文科相に提出した。背景に「上司やOBなど、内外の権威ある者に必要以上に気配りする組織風土」があると厳しく指摘。過剰な忖度や責任感の欠如といった体質を改め、政策本位の組織に変えていくべきだとしている。

     柴山文科相は記者会見で「意欲ある提案をしっかり受け止め、可能なものから取り組んでいく」と述べた。

     事件後の今年8月に職員173人が公募で集まり、議論を経てまとめた。メンバーは室長・課長補佐級以下が大半を占めている。

     報告書は、上司や先輩の意向をおもんぱかることを優先し、健全な議論をしない省内の慣習を見直すべきだと強調。重要な政策課題に対応した公募チームの創設や、職員が提案を競う「政策コンペテイション」の開催などを通じ、一人一人が業務に集中できる環境整備や政策立案力の強化を求めた。

     上司の人事評価に部下も関わる「360度評価」の本格導入や、どのような行動が服務規律に反するかを冥体的に示す倫理研修も提言している。


    柴山文科相自体が就任時に「教育勅語」について肯定的な評価をし、安倍首相の政策的なアシスタントをしているなかで、はたして「忖度」に批判的な改革ができるだろうか。前事務次官の前川喜平さんが『面従腹背』を出しているが、正面から議論ができる省庁が構築できるか。注視することになろう。


    12月25日 政府 学童保育の運営、職員1人も可能

     政府は25日、地方分権改革の対応方針を閣議決定した。共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)の運営に関し、自治体の自由裁量を拡大するのが柱。現在は国が全国一律で、1カ所につき2人以上の職員配置を義務付けているが、条例で1人に変更することも可能になる。2020年度ごろの実施を目指す。

     対応方針は、国からの権限移譲や規制緩和といった分権改革の具体策を示し、毎年末に決定。今回は168件を盛り込んだ。学童保育など法改正が必要な項目も含まれ、来年の通常国会に関連法案を提出する。

     学童保育は昨年5月時点で、全国に約2万5千カ所ある。国は15年度、常時2人以上の職員配置を義務付ける基準を導入。うち1人は学童保育に類似した事業での一定の勤務経験や、都道府県の研修を受ける必要がある。

     だが、人手不足に悩む自治体は、地域や時間帯によって児童数が異なるのに、画一的な基準は不合理だと主張。このため、政府は職員の数や要件を拘束力のない参考基準とし、自治体が条例で地域に応じたルールを決められるようにした。


    学童保育を1人で「見る」ことが可能なのだろうか?かつて都市交通が2人乗務から1人乗務(ワンマンカー)になったときのことを思い出す。1人で安全確保はできるのだろうかという不安であった。確かにその後はワンマンカーノの運行が常識になり別段の支障も無いようにみえる。しかし、その背景にはワンマン運行を支える交通システムの整備があることが前提だろう。同じロジックを「学童保育」に適用できるのだろうか、不安である。財政難を抱える自治体の要望に応じるとしているが、学童保育の民間企業の参入のための規制緩和にしか見えないが、自治体まかせの対応でいいのだろうか?


    12月24日 滋賀県教委 教員残業月7時間抑制

     滋賀県内の公立小中学校に本年度から配置された学校業務を補助するスクールサポートスタッフが、教員の働き方改革に貢献している。教員が授業を行う間に教材準備や資料整理などを支援することで、教員1人当たりの時間外労働を月約7時間短縮できたという。中学校に配置した部活動指導員も効果が出ているといい、県教育委員会は来年度以降、配置を拡大する方針だ。

     同スタッフを務めるのは各校の卒業生の保護者や元教員ら。県教委の「学校における働き方改革取組計画」に基づき38小学校、9中学校に計62人配置され、授業で使う教材の印刷や、テストの採点などを担当している。県教委によると、教員からは「業務を分担し、効率的に仕事ができる」「本来大切にすべき、児童に向き合う時間を確保できる」などの声が上がっているという。

     部活動指導員は、本年度からスポーツ少年団の指導者や元教員ら20人を16中学に配置し、一つの部活動当たり月約18時間の削減につながった。運動部だけでなく吹奏楽部なども対象で、顧問の教員は空いた時間を教材研究に充てられるメリットがある。専門的な知識を持つ人が指導に当たるため、担当部活動の経験がない顧問の心理的な負担も軽減できているという。

     県教委は「かなり効果が出ていると感じる半面、配置できていない学校が多い」とし、増員する意向だ。


    「スクールサポートスタッフ」をどのように配置するかで、だれの業務が削減でき、担任など直接子どもにかかわる人たちの業務改善ができるが変わってくる。より子どもに近い立場の教職員の「働き方改革」につながるのか、提出書類などの迅速化に資するのかは、それぞれの教委の教育哲学にかかわるのかもしれない。


    12月22日 文科省調査 子の視力1.0未満 最悪/font>

     裸眼の視力が「1・0未満」の高校生協割合は3人に2人の67・09%に上り、過去最悪どなったことが21日、文部科学省の2018年度学校保健統計調査(速報値)で分かった。小学生も過去最悪だった前年度からさらに増加し34・10%。一方、虫歯の割合は中高生で最も少なくなり、肥満傾向児の割合も長期的な減少傾向が続いた。

     文科省によると、 「視力1・0未満」の割合は、幼稚園では4人に1人の26・69%、中学生で半数以上の56・04%となるなど、加齢により上昇。どの学校種でも統計を取り始めた1979年度以降、増加傾向が続いている。「視力0・3未満」の割合は中学生で25・54%、高校生で39・13%に 上った。

     一方で、虫歯の割合は幼稚園や小中高校の全学校種で前年度より下がり、35・41%の中学生と45・36%の高校生は過去最低となった。口腔ケアに対する意識の高まりや学校の保健指導の充実が要因という。

     身長別標準体重から算出した肥満度が20%以上の肥満傾向児の出現率を学年別にみると、男子は高1の11・01%、女子は少6の8・79%が最も高かった。学年によって前年度からの増減はあるが、減少傾向が続いている。東日本大震災以降、運動不足などで肥満傾向児が増えた福島県も目立った増加などはなかった。


    府内 0.3未満の高校生増加

     京都府内では裸眼視力0・3未満の高校生の割合が47・9%と前年より8・6ポイント増え、現在の公表方法になった2006年度以降で最も高くなった。

     高校生で裸眼視力1・0未満は70・3%で前年より0・7ポイント増えた。小学生は裸眼視力1・0未満が34・7%(前年比1・8ポイント増)、0・3未満が10・2%(同0・3ポイント減)。いずれもスマートフォンや携帯型ゲームの普及などが背景にあるとみられている。幼稚園と中学生は受験者数が少なく非公表。


    虫歯の減少が「フッ素洗口」によるものとの断定はできないだろうし、そのエビデンスをしっかりと検証する必要がある。


    12月20日 政府 給付奨学金最大年91万円

     政府が2020年度から始める大学など高等教育の無償化で、低所得世帯の学生を対象に支給する返済不要の給付型奨学金について、1人当たりの支給額を最大で年間約91方円とする方向で最終調整していることが20日、関係者への取材で分かった。現行の最大48万円からほぼ倍増とし、家計が苦しい世帯の子どもの進学滋蜜確保を図る。文部科学誉は来週に正式決定する見通し。

     高等教育無償化は政府が掲げる「人づくり革命」の柱の一つ。関係者によると給付額は自宅から通学する学生と自宅以外から通う学 生で、住居光熱費や食費の負担が異なることから支給額に差をつける。国公立大などの場合、自宅生は年間約35方円、自宅以外は約80万円を支給。私立大などの場合は、自宅生約46万円、自宅以外は約91万円とする方向だ。

     支援額は住民税非課税世帯が基本で、夫婦と子ども2人の家庭で、子どものうち1人が大学生の場合、年収270万円未満が目安。これに加え、年収300万円未満は3分の2の額を、380万円未満は3分の1の額を支給する。

     生活費などに充当する給付型奨学金と合わせ、授業料の減免措置も実施。国立大では授業料に相当する標準額約54万円と入学金約数28万円を全額免除する。

     公立大は国立大の額を上限こし、私大の授業料は最大約70万円を減額することが既に決まっている。減免額も奨学金と同様に世帯年 収によって変わる。

     学生の成績が長期間低迷したり、停学や留年となったりした場合は支援を打ち切る。


    給付型奨学金の導入が話題となり、今回給付額が2倍近いものになったのは評価できる。ただこの対象となる学生は高校から推薦を受ける1名に限られている。おそらく成績優秀やが推薦されているだろう。しかし問題は、この推薦に漏れた学生の多くが「学資ローン」として市中銀行の債務者となっていることだ。成績優秀者は卒業後「返済」可能な職につく可能性が高いが、そうでない学生は卒業と同時に最低400万円債務者になり返済のあても無くなっているとうのが現状だろう。5年間で27兆円もの防衛費を支出するのと、こうした学卒債務者を減らすのとではどちらが「成長戦略」となりうのだろうか。


    12月19日 厚労省調査 労組加入率17%過去最低

     厚生労働省は19日、雇用者全体に占める労働組合加入者の割合を示す「組織率」が6月時点で推定17・0%と過去最低になったと発表した。昨年比で0・1ポイント減少した。組合員数は1007万人で8万8千人増えたが、全体の雇用者数の伸びが上回り、組織率が低下した。

     産業別では「卸売・小売」や「宿泊、飲食サービス」の増加が目立ち、「運輸・郵便」などは減少した。パートタイムで働く組合員の数は8万9千人増の129万6千人で過去最多となり、組合員全体で占める割合は年々高くなっている。

     主要団体別では、連合が6万3千人増の699万2千人、全労連が7千人減の76万4千人など。


    組織率の低迷はこの間続いているのだが、8万8千人の加入者増はこれまでとは若干異なる傾向といえる。内訳はパート労働者の組織率が上がっていることによるもの。学校現場では非正規の教職員が目立つのだが、「採用に影響が」と考える向きもあるだろうが、組合加入と採用の可否とは全く関係が無い事を労組も教委も広く広報すべきだろう。


    12月14日 改正入管法成立 外国人の子らに学ぶ場を

     外国人労働者の受け入れを大幅に拡大する改正入管難民法が成立した。だが、多文化共生の基礎となるべき教育体制は立ち遅れており、懸念の声は根強い。学校現場では近年、日本語指導を必要とする外国人の子らが増えているが、ニーズに対応できていない。専門家は「一人一人に学びの場を保障することが、日本の子にとってもプラスだ」と指摘する。

     約6900校に約4万4千人,。全国の公立の小中高校などに通う児童生徒のうち、日常生活で日本語に支障があり、学習指導が必要な子の数(文部科学省調査、2016年時点)だ。親が国際結婚したり、海外から帰国したりした日本国籍の子約9600人も含む。

     「政府は、日本国籍がない子に就学義務はなく、希望するなら受け入れるという姿勢なので、そもそも学校に行けていない子も相当な数いる。小規模の私立校などに通う子も含めれば、実態はもっと多いだろう」。外国語教育に詳しい明治学院大の高桑光徳教授(言語教育)は指摘する。

     同調査によると、日本語指導が必要な子のうち、約4人に1人もが実際の指導を受けられていない。地元の教育委員会が教員を十分に配置できなかったり、指導法が分からなかったりするためだ。「基礎学力がないまま置き去りにされている。その結果、自立した生活や就職も難しい若者が増え、悪循環になりかねない」と高桑教授。

     そうした子の受け皿の一つとなってきたのが、地域の日本語教室。主にボランティアが運営する。秋田県能代市の「のしろ日本語学習会」は1992年に活動を始め、学力に応じた個別指導を続ける。

     同市の人口約5万3千人のうち、国際結婚した人など外国籍の人は約200人。「少数が散らばって暮らすので行政が対応するのは簡単ではない。だからこそ民間の支援が求められた」と代表の北川裕子さん。地域住民との交流行事も重ね、何人もの子が高校進学を果たしてきたが、活動はボランティア頼みだ。

     こうした実情について基礎教育保障学会の野山広副会長(国立国語研究所准教授)は「本来なら公的に行うべき事業。外国人材の受け入れを拡大するなら、現状から見直す必要がある」と指摘。学校現場や保護者などをつなぐコーディネーターの自治体への配置が、特に重要だという。

     政府は教員の増員など関連の施策を拡充する方向だ。野山さんは「海外の事例を見ても、多様な言語・文化背景の子が教室にいて共に学ぶことが、寛容性や柔軟性を育むことにつながる。それが多文化共生社会をつくる力になるはず」と話す。


    安倍首相の「丁寧に説明し、理解を求める」ということばが全ての政治局面において信用できなくなってきている今、新たな負担が現場や自治体にのしかかってくることになる。やっかいなことを民間に背負わせることが、民間活力の導入ではあるまいに。


    12月10日 社説 現場に手厚い支援必要

     深刻化する教員の長時間労働の是正策を議論してきた中教審の特別部会が、残業時間に上限を定める指針案などをまとめた。

     働き方改革関連法に沿い、小中学校などの教員の残業時間を原則月45時間以内、繁忙期でも月100時間未満とすることが柱だ。

     これまで時間管理があいまいだった教員の残業に初めて上限を示した点は一歩前進といえる。

     だが、文部科学省の調査では公立の小中学校の約8〜9割の教員が月45時間以上の残業をしており、現状では大半が超過するとみられる。指針案には違反への罰則は盛り込まれておらず、現場が実現できるのかどうかは疑問だ。

     「過労死ライン」とされる月80時間超の残業時間だった教員は小学校で約3割、中学校では約6割に上る。改善は急務といえる。

     このため、指針案と同時に示された答申素案では労働時間短縮につながる具体例が列挙された。部活動の外部人材登用や平日の出勤時刻を遅らせることなどだ。

     文科省は、こうした対策を一つ一つ積み重ねる「合わせ技」で教員の働き方改革を進めたいとする。膨大な業務を仕分けして、負担を減らす工夫が欠かせない。

     ただ、活用の期待が高い部活動指導員は担い手不足が指摘されている。出勤を遅らせる案には現場から「実態を無視している」など困惑の声も上がる。具体例を基に縮減できる年間勤務時間もそれぞれ示したが、机上の計算の域を出ない。

     答申素案では、自治体の判断で労働時間を年単位で調整する「変形労働時間制」の導入を提言した。多忙期に勤務時間を増やす一方、夏休み中に長期休暇を取るなどの働き方を想定している。

     だが、現実には多くの教員が夏休みに部活動の指導や研修などに追われている。過重勤務の根本的解決にならないのではないか。

     教職員給与特別措置法の規定により、公立校の教員は時間外手当の支給が認められていない。代わりに給与月額の4%分が上乗せされている。これまで教員の残業は「自主的な労働」と捉えられてきた。

     中教審は今回、給与制度の改正には踏み込まなかったが、負担増大に伴う「サービス残業」をなくすためにも実態に即して見直しを検討するべきだ。

     働き過ぎが常態化し、教員が疲弊する現状は早急に改める必要がある。小手先ではなく、教員の大幅増員などの抜本対策や、現場が求める手厚い支援が求められる。



    12月11日 「こどものみらい叢書」で 家族社会学者が疑問

     世界思想社(京都市左京区)が創業70年に合わせて「こどものみらい叢書(そうしょ)」を創刊した。10月刊行のシリーズ第3作「子どもが教えてくれた世界」は、京都市出身の家族社会学者片岡佳美さんが担当。「母親として子どもを怒ったりしながら、その日常を少し俯瞰(ふかん)することで見えてくる驚きを言葉にした」と語る。

     片岡さんは同志社大卒、島根大法文学部教授。著書では、小学6年の息子との生活に根ざした疑問や発見を大切にする。例えば学校の宿題。「がんばろうね、終わったら遊べるよ」と優しい声かけをしても、遅々として進まない状況に「怒りが爆発してしまう」経験を振り返りながら、「親子が毎日悪戦苦闘している宿題とは一体何のためのものだろう」と、苦痛の理由を探っていく。

     覚えた漢字でも何回も繰り返し書かせ、創造的なはずの日記や自主学習も毎日の義務になるとパターン化する。「学力よりも精神鍛錬、根性を育てるための修行になっていないか」と問い掛ける。

     あるいは「空気を読む」傾向について。作文では「将来の夢」というテーマが好まれるが、片岡さんは「どう書くとほめられるか、子どもは忖度(そんたく)を学んでいるのではないか」と手厳しい。学級での集団生活も「みんなが同じ方向に向くことを要求する」と指摘し、「浮いている」と思われたくないから慎重に空気を探り合う傾向は、大学生の間でも強まっているという。

     片岡さんは「大人たちが型にはめることによって、子どもたちは窮屈な思いをしている。その結果、多様な人がいることへの忍耐や寛容が失われていっている」と話す。

     シリーズは、主に研究者や大学生向けに学術書や教養書の出版を手がけてきた同社が、より広く一般向けに「子育てマニュアルではなく、もう少し踏み込んで考えてもらえるエッセー」を目指して創刊した。これまでに作家佐川光晴さんの「おいしい育児」、北白川幼稚園園長の山下太郎さんの「お山の幼稚園で育つ」が出版されており、今後も年3冊ペースで刊行する。



    12月7日 残業「月45時間内」 時短推進へ“合わせ技”

     小中学校などの教員の長時間労働是正策を議論「する中教審の特別部会が6日開かれ、公立校の教員の残業時間を原則月45時間以内、繁忙期でも月100時貝未満とする指針案を了承した。働き方改革関連法の上限に沿う内容。文部科学省は必要な制度改正に向け検討を始めるが、罰則は設けない方針で、実効性確保が課題となりそうだ。

     特別部会では、長時間勤務の縮減策などを盛り込んだ答申素案も示され、各自治体の判断で労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入を提言した。文科省は、繁忙状況に応じて学期中の勤務時間を引き上げる一方、夏休み中の学校閉庁日を増やし長期休暇を取りやすくするなどの活用例を想定している。

     文科省はパブリックコメント(意見公募)を経て年明けにも指針案を正式決定し、中教審の答申を受ける。変形労働時間制を導入する自治体が条例化できるよう、2019年度内の教職員給与特別措置法(給特法)改正を目指す。

     中教審の特別部会が6日まとめた答申素案には労働時間の短縮につながる身近な取り組みが列挙された。文部科学省はこうした対策 を一つ一つ情み重ねる「合わせ技」で改革を進めたい考えだが、多忙な学校現場からは「本当に実現できるのか」との声が上がる。大幅な人員増こそが必要との指摘もある。

     「働き方改革なんて、私たちには外国のことみたい」。関西地方の中学校で働く社会科担当の40代女性教諭は冷めた口調でつぶやく。

     昨年度、バレー部の顧問を任された。朝練で午前6時45分には自宅を出て、放課後の練習や授業準備を終え帰路に就くのは午後9時ごろ。土日も部活で1日約10時間費やした。月100時間超の残業を正直に申告すると、管理職から短く事き直すよう命じられた。

     スポーツ庁が今年3月に策定した運動部活動の指針は、週2日以上の休養日を設けるなどとしたが、この中学校では何も変化がないという。

     多くの教員が過労死ラインを超える現状が判明した教員勤務実線調査結果を受け、松野博一文科相(当時)が中教審に諮問したのは昨年6月。特別部会による同12月の中間まとめでは業務の一部を地域や自治体などに任せ、外部人材を情極的に活用すべきだと打ち出し た。しかし、活用の期待が高い部活動指導員は担い手不足が指摘され、必ずしも想定通りには進んでいないのが実情だ。

     約1年半の議論を経て提示された答申素案には時短に向けた具体案が並ぶが、「夏休み期間の高温時のプール指導の見直し」などの 細かい対策が多い。

     文科省の担当者は「改革に特効薬はなく、地道な取り組みの合わせ技でやるしかない」と強調する。ただ、教員が正規の時刻より早く勤務を始めているとのデータを基に「平日は毎白45分遅く出勤すれば、年間約150時間削減できる」といったアイデアには、現場から「授業の準備がおろそかになる」「実態を無視している」との批判も上がる。


    「給特法」の枠組みを維持しようとすることから問題の解決は遠のいてしまう。「平日は毎白45分遅く出勤すれば」との文部官僚の言葉には現場は絶句してしまうだろう。ただ、繰り返して主張しているように、現状を肯定する教員の考えも改めなければ、問題は解決しない事も確かである。


    12月6日 京都橘高 教員残業「月45時間内」

     小中学校などの教員の長時間労働是正策を議論する中教審の特別部会が6日開かれ、公立校の教員の残業時間を原則月45時間以内、繁忙期でも月100時間未満とする指針案を了承した。働き方改革関連法の上限に沿う内容。文部科科学省は必要な制度改正に向け検討を始めるが、罰則は設けない方針で、実効性確保が課題となりそうだ。

     特別部会では、長時間勤務の縮減策などを盛り込んだ答申素案も示され、労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入を提言した。文科省は繁忙状況に応じて学期中の勤務時間を引き上げる一方、夏休み中の学校閉庁日を増やし長期休暇を取りやすくするなど の活用例を想定。導入する自治体が条例化できるよう教職員給与特別措置法(給時法)の来年度中の改正を目指す。

     文科省の2016年度教員勤務実態調査によると、残業時間が月45時間以上の公立小学校教諭の割合は81・8%、公立中学校教諭は89・0%に上る。

     指針案は、民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法を参考に、教員の目安を原則月45時間、年360時間に設定。特別な事情があつても月100時間未満、2〜6カ月の月平均で80時間、年720時間までとし、タイムカードなどで勤務時間を客観的に捉えるべきだとした。

     ただ、同法にある罰則の導入は、答申素案で「慎重であるべきだ」と指摘した。公務員の扱いに合わせるためで文科省もその方向で対応する。


    教員の長時間問題で具体的な数字が示されたのは一定の意義があるといえる。しかし、変形労働時間制や罰則の導入を見送るという考え方は、中教審が長時間労働問題を本当に解決を求めているのかどうか疑わしい。加えて、地教行法が改正され自治体の首長が教育委員会の議論に関われるようになった事で、自治体の政策(首長公約)として教育課題を設定することができるのだから、その意向を実現するための長時間労働を余儀なくされるということがより起こりやすくなっているといえるのではないだろうか。ちなみに、「月45時間」は、「1日2時間以上の超勤は常識」ということでもある。


    12月6日 市教委 AIが児童の喜びや怒り分析

     京都市教育委員会とNEC、京都大学術情報メディアセンターは5日、人工知能(AI)を授業改善に導入する実証研究を、来年1月から市内の小中学校2校で始めると発表した。班ごとに分かれて議論する際にAIが発言内容をリアルタイムに文字にし、指導の見直しや学習支援につなげる。2年間行う予定で、研究成果を他校にも広げる。

     研究は、下京区の七条第三小と北区の加茂川中で行う。授業で班別の議論を行う際、児童や教員らの発言をマイクで取得し、教員のタブレット端末にほぼ同時に表示する。声色から喜びや怒りなど5種類の感情を分析できるという。教員はデータを授業中に活用したり、子どもの学習状況の把握に役立てたりする。

     このほか、タブレット端末でデジタル教科書を使う際、どれだけ長く見ているかで児童らの習熟状況を分析する研究なども行う。

     NECは自社開発したAI搭載のシステムを提供し、メディアセンターは授業中にどのような情報を集めれば授業の改善に有効かなどを調べる。

     昨年示された新学習指導要領は、主体的、対話的で深い学びを重視しているため、議論型の授業は今後増えると予想されている。市教委は「複数班で同時に行われる議論の過程を教員が把握、評価するのは難しく、内容を可視化できれば議論の活性化に向けた助言や発言の少ない子どものフォローがしやすくなる」と話す。


    教育のICT化のスピードが速いのに日常感覚が追いつかない。20年後には現在の職業の半数近くがなくなっているという世界だ。しかし、アナログとデジタルの共存を考えないと、人間の思考そのもののがデジタル化されてしまう恐れがある。とりわけコミュニケーションにおけるデジタル化(声色から喜びや怒りなど5種類の感情を分析)は、コミュニケーションの本質を損ないかねない。喜びや怒りなどの感情は、当然のことだがボディーコミュニケーションを伴っているのだから。


    12月6日 府教委 部活指導員要件緩和へ

     京都府教育委員会は5日、本年度から始まった部活動指導員制度について、京都市を除く府内で任用時の教員免許の保有要件を緩和する方針を明らかにした。また、教員や生徒の負担減に向けて、来春をめどに府中学校体育連盟などの運動、文化系クラブの関係団体に大会や発表会のスリム化を提言する考えを示した。

     部活動指導員は、各市町教委が任用した人材が部活の顧問となり、単独での指導や大会への引率などができる制度。任用は各市町教委単位で行う。府教委は学校側が安心して雇えるよう、指導員が教員免許を持っていることを補助金交付の要件としている。

     同日、京都市上京区のホテルで開かれた府教委の「部活動の在り方検討会議」で、これまで「教員免許を有していること」としていた要枠について、来年度から「有していることが望ましい」などとする方針を示した。府北部など指導員の人材確保が難しい地域もあり、対象を広げるのが狙いだと説明した。

     また、団体への提言は、府中体運や府高等学校体育連盟、同文化連盟に行う。検討会議では提言の骨子案として、大会や発表会の日程短縮化▽統廃合▽運営での外部人材の活用▽運営会議の縮減―などが示された。ただ、有識者らから「統廃合を進めると1回戦で負けた学校の試合機会が減る」などと慎重な意見も出たため、今後S内容を精査していくとした。


    府教委の部活に関する改善策は評価に値する内容だといえる。教員免許取得が指導資格を証明するものではないとしても、指導員がどのような人権感覚を有しているかは大切な問題だ。任用と同時に人権に関する研修などを義務付ける必要はないのだろうか。


    12月5日 文化庁 文化部も週休2日

     文化庁の有識者会議は5日、中学校や高校の文化部活動の指針をまとめた。長時間練習による生徒や教員の負担を軽減するのが狙いで、「週2日以上の休養日を設ける」「1日の活動時間は平日2時間、休日3時間程度まで」といった目安を盛り込んだ。文化庁が、年内に全国の教育委員会などへ通知する。

     部活動の指針は、今年3月にスポーツ庁が運動部を対象に策定した。学校現場が混乱しないよう、文化部の指針もおおむね運動部に 準じる内容。国は教育委員会や学校に対し、指針を踏まえた具体的な活動方針の策定を求める。国公私立とも対象だが、指針に法的拘束力はない。

     指針は、休養日や活動時間の目安を示したほか、外部の部活動指導員を積極的に活用することを明記。週末の大会・コンクールへの 参加が生徒らの過度な負担になるのを防ぐため、教委などが参加数の上限を示すことも求めた。

     また、教員が効率的に指導を行えるよう、吹奏楽など各分野の全国団体が練習方法の手引を作り、ホームべ,ジで公開するよう注文している。



    12月5日 経団連 「人材教育」大学に協議提案

     経団連は4日、大学に人材教育に関する協議の場の設置を呼び掛けることを柱とする提案書を正式発表した。経済界が大学側と直接、人材教育の在り方について継続的に対話する場はなく、実現すれば初めての取り組みとなる。経団連は来年1月にも初の協議会開催を目指す。

     提案では、企業が求める人材像や、仕事を通じて実現できることを早い段階で学生に伝えることができれば、社会人としての基礎力を高め、就職におけるミスマッチを減らすことができると指摘。長期のインターンシップ実施など、大学入学から間もない時期にキャリア教育を実施する重要性を強調した。

     また、人工知能(AI)やビッグデータといった新な科学技術やグローバル化に対応するため、文系と理系の枠を超えた教育の充実を求めた。文理融合を進めることで、これまでの学部の在り方などを根本から見直す必要性にも言及した。

     対話の場には、経団連からは中西宏明会長や担当副会長らが、大学側は趣旨に賞同する国公立大学や私立大学の学長らの参加を想定している。大学側の参加者は地域や規模、文系、理系などの違いを考慮し、バランスをとる意向という。


    従来経済界の教育への要望は審議会などを通して政府の教育政策として実現されることが常であった。今回の経団連の「提案」は異例のものというべきであろう。個別大学が協議するという形になるところがミソではある。この事についての議論は今後展開されるだろうが、一言付言しておく。2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されるが、多くの関係者が「即戦力」としてのプログラマー養成の機会と捉えているようだが、「経団連」側はもっと大きな人材育成=文系と理系の枠を超えた教育を求めている事は念頭においておくべきことだろう。


    12月4日 京都橘高 生徒 府議と活発議論

     京都市伏見区の京都橘高で、生徒らが京都府議7人と「観光公害などの地域課題について意見交換する授業が行われた。生徒らは、観光混雑の緩和や消滅していく町家の保全など、京都が直面している課題について自らの体験や調べ学習を通じ考えた解決策を発表し、府議たちをうならせていた。

     授業は、身近な社会課題を抽出し、解決策を考え具体化する「探求学習」の一環で、同高2年の普通科目コース約80人が参加。より具体的な解決策を考えるため府議たちの意見を反映させようと、府議での出前高校生議会制度を活用した。

     生徒らは「観光」「文化」「教育」の3グループに分かれ、それぞれ府議2、3人を囲み、意見交換した。京都市内の混雑を課題とした生徒は、混雑原因として観光客の増加だけでなく、四条通の歩道拡幅で車道が狭くなったことなども挙げた。解決のため「利用者の興味や属性に応じ、すいて いる観光ルートを案内する無料アプリをつくること」を提案した。

     別の生徒は、府文化博物館(京都市中京区)の企画展で音声ガイドや展示案内が日本語しかなかったことを疑問視し、満足度を高めるため多言語ガイドづくりの必要性などを訴えた。府議らは「府議会でも一度提案していきたい」「具体化したい」と応じていた。

     町家活用策を提案した生徒は、空き町家を豆腐などの食品工場や、同一店舗で日時を分けて複数の経営者が別々の店を開く「コラボカフエ」にする案を発表。「外国人に人気の高いラーメン店と製麺工場を市内各地の空き町家につくれば、観光客の分散にもつながるのでは」と提案した。府議は「民泊やゲストハウスになり外側はきれいだが、人が住んでいないのが課題。研究してみたい」と前向きに受け止めていた。


    シティズンシップ教育はどうしても私学が先行した形になってしまう。いわゆる「政治的中立」という考え方が公立においては整理されていないことが大きな理由だろう。小学校からの主権者教育を考えたときには、公立高校での実践がどうしてもメルクマールとなる。


    12月3日 国家公務員試験 障害に応じた配慮 不透明

     来年2月に行われる障害者限定の国家公務員試験の受け付けが3日から始まる。障害者雇用水増し問題の発覚を受け短期間で決まっただけに、どんな配慮がどこまで受けられるのか不透明な面もあり、受験希望者からは疑問や不安の声が上がる。

     「まずは2桁以上の掛け算や割り算の練習をしましょう」

     11月下旬、東京都新宿区の「日本盲人職能開発センター」。今回の試験に向け急きょ設けられた視覚障害者向け公務員試験講座で、講師の呼び掛けに応じ、20〜50代の参加者15人が頭の中で計算する練習を重ねていた。視覚障害者は図や数式のメモを見ながら解くのが難しいため、試験ではパソコンの音声機能を使って、視覚に頼らずに計算する必要があるからだ。

     第1次試験は高校卒業程度の知能や知識を問う問題と作文。講座に参加した横浜市の男性(48)は後天的な障害で、「目が見えていたときなら簡単に解けた問題に苦戦している」と話す。

     講師の伊吾田伸也職能開発訓練部長は「パソコンの音声機能や拡大文字の配慮があっても、長文読解では時間内に効率よく文章を頭に入れる訓練が必要」と指摘する。

     準備期間の短さも戸惑いを招いている。水増し問題が8月に発覚し、試験概要が公表されたのは10月下旬。1次試は来年2月 3日で、期間は3ヶ月だけ。

     発達障害がある都内の男性(30)は試験対策を始めたが、「もっと時間を置いてほしかった。法定雇用率を早く達成させようという国の都合だけで、受験する私たちのことを考えていない」と不満を漏らす。

     受験案内では、点字受験の場合はパソコンの音声機能を併用できること、聴覚障害者には書面で試験官の説明を伝えることなど複数の配慮項目が示されたが、その他は希望を調査票に記入するよう求めているだけだ。

     これに対し、日本盲人会連合は「点字を使えない人も多いので、音声パソコン単独の使用も認めないと、不平等になる」と指摘。DPI(障害者インターナショナル)日本会議は試験中に薬を飲んでもよいことなどを明記するよう求めている。全日本ろうあ連盟は「本人が望む配慮を提供することを周知徹底してほしい」と訴える。

     人事院は14日に受け付けを締め切った後、調査票を基に必要な配慮を検討する。従来の国家公務員試験で実施している配濾や、公平性などを基準にする方針だ。

     ただ、今回は全受験生が障害者。希望が多岐にわたることが予想され、担当者は「全ての要望には応えにくい。ふたを開けてみないと分からない部分があり、試験当日に問題なく対応できるか不安もある」と漏らす。


    「水増し」問題は、政府のいうインクルーシヴな社会の構築とは逆の現実を映し出したものだった。障害者への「合理的配慮」をより充実したものとするように努力すべきだ。また、教員の採用についても同じように「合理的配慮」が求められる。障害者が教壇に立てることは、障害を持つ子どもにとってのロールモデルになると同時に、教育におけるインクルーシヴとはないにかを、実体験をもって示す事にもなる。