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  • 電子黒板を全府立高に導入へ.31
  • 1月31日 府教委の19年度予算案 電子黒板を全府立高に導入へ

     京都府の2019年度一般会計当初予算案のうち府教育委員会分は1296億2400万円で、前年度に比べ実質で1・7%増加した。19年度から4年間で全府立高の普通教室に電子黒板機能付きのプロジェクターを導入する方針で、初年度は8800万円を掛けて7校に配備する。

     プロジェクターは、動画やデジタル教材を活用し、生徒の深い理解を実現するために導入する。教員の授業準備の負担軽減にもつなげる。府立高2校では生徒用タブレット端末も計約160台配備し、電子黒板と連動させた授業を進める。

     21年度に京都府井手町で開校予定の特別支援学校の建設費21億円も計上した。不登校の児童・生徒を支援するため市町村の教育支援センターに専門家を配置する事業には1500万円を充てる。

     部活の顧問業務を担うことができる部活指導員を前年度の47人から90人に増員して府内(京都市を除く)のほぼ全ての公立中に対応するほか、低所得世帯の高校生を対象にした通学費の補助も拡充する。



    1月25日 中教審 業務の地域委託や部活見直し

     中教審(北山禎介会長)は25日、公立校教員の長時間労働を是正する働き方改革の方策をまとめ、柴山昌彦文部科学相に答申した。民間の働き方関連法と同様、残業時間の上限を原則「月45時間、年360時間以内と定めた文科省指針の順守に向け、一部業務の地域委託や部活動の在り方の見直しなど、総合的な取り組みを求めた内容。労働時間を年単位で調整できる変形労働時間制導入も盛り込んだ。残業上限については違反した場合の罰則はなく、実効性の確保が課題となりそうだ。

     答申は改革の目的について、長時間労働の見直しで子どもと接する時間を確保し、効果的な教育を行うことと明記。文科省や教育委員会、家庭や地域社会との連携の必要性を強調した。

     こうした点を踏まえ、自治体や保護者らが担うべき業務として、登下校の対応や放課後から夜間の見回りなどを挙げた。教員の業務については、授業準備や進路指導、支援が必要な子どもや家庭への対応などを示しつつ、サポートスタッフや事務職員らの協力があれば負担軽減が可能とした。

     教育行政には実効性のある取り組みを要請。タイムカードで勤務時間を客観的に把握し、業務削減や勤務環境の整備につなげるべきだとした。

     多忙化の大きな要因とされる運動部や文化部の活動を巡っては、国がまとめたガイドラインに沿い、休養日を週2日以上設け、1日の活動時間を平日2時間、休日3時間程度に抑えることとした。文科省は2019年度、公立中学校で教員に代わり顧問などを務める部活動指導員を大幅に増やす予定でガイドラインを上回る取り組みをする学校を優先して支援する。

     変形労働時間制については、繁忙時の勤務時間を引き上げる代わりに夏床み期間などに長期休暇が取りやすくなるとし、自治体の判断で導入できるよう法改正を提言。ただ、残業時間を抑制する意識を希薄にしているとされる教員特有の給与制度を定めた教職員給与特別措置法の抜本的見直しには踏み込まなかった。

     答申に伴い、文科省は残業時間上限に関する指針を策定。土日出勤が多い教員の勤務実態を踏まえ、残業時間の算定時に例外なく休日労働を含むとした。働き方改革関連法では休日労働を算定しない場合があるが、同法より厳格に運用し時短の取り組みを促す。上限を超えても罰則はない。


     【表層 深層】26日時短策、見えぬ道筋

     公立校教員の働き方改革に関する25日の中教審答申には、文部科学省の残業上限指針で示された「原則月45時間以内などの順守に向けた総合的な方策が盛り込まれた。長時間労働が常態化し「ブラック学校」とも称される現状の抜本的見直しを強く打ち出したが、現場からは早くも「机上の空論だ」「時短実現への道筋が見えない」などの声が上がる。

     「月45時間以内については、将来的な目標にします」。栃木県教育委員会が今月まとめた働き方改革推進プランは、2021年度までに残業月80時間の「過労死ライン」を超える教員をなくすとの目標が掲げられた一方、文科省指針の取り扱いについては具体的な表現を避けた。

     指針は、残業時間の上限を原則「月45時間、年360時間以内と規定。部活動指導で土日出動が多い教員の勤務実態を踏まえ、残業時間の算定時に例外なく休日労働を含むなど、民間企業対象の働き方改革関連法より厳しい運用を求める。

     同県教委が昨年、県内の公立校全教職員に実施したアンケートでは、平日の残業だけで月45時間超とみられる教諭らが7割強に上る と判明。担当者は「必ず残業を抑えられる道筋は誰にも見えていない。手探りで対策を進めるしかないのに、いきなり高い目標を掲げられても!」と困惑する。

     中教審は17年夏に議論を始め、同年末の中間まとめを経て今回の答申に至った。教員の業務を整理し、登下校時の見回りなどを地 域や自治体に委ねるといった具体策を示し、それらの積み重ねで残業時間の縮減を目指す方向性を打ち出した。

     教員の受け止めはさまざまだ。岐阜県の20代男性教諭が勤務する公立小では、18年春に働き方改革が本格化し、月100時間超の残 業時間が少しずつ減り始めた。改革に前向きな教務主任を中心に、行事の簡素化や特定曜日の早期帰宅を促し、学校全体の意識にも変 化が見られるという。

     ただ、早く帰ると授業準備の時間が取れなくなるのが悩みだ。「教員2年目で経験が浅く、教材研究も足りない中で質の高い授業をするのは難しい。このままでいいのか不安だ」と打ち明ける。

     学力向上、生徒指導、情報教育や主権者教育など時代に合わせた新たな学びへの対応…。増え続ける仕事を踏まえ、西日本の公立小に勤める50代の男性教諭は答申で示された具体策を「机上の空論だ」と断じる。特に一部業務の地域委託が時短につながるかどうかは、住民や保護者の理解によるとし「調整や対応には、多大な労力と忍耐が必要だろう」と予測する。

     「ブラック学校」と呼ばれることもある教育現場の厳しい勤務状況。改善が遅々として進んでこなかったことは、教職を目指す学生たちの人気低下につながっているとみられる。文科省によると、小学校教員採用試験の競争倍率は00年度の12・5倍をピークに年々低下。17年度は3・5倍まで落ち込んだ。

     「教員志望者が減れば教育の質も低下し、日本の将来に深刻な悪影響をもたらしかねない」と懸念「するのは、名古屋大の内田良准教 授(教育社会学)。「長時間労働是正は国全体の課題と据えるべきだ」と述べ、教員定数の大幅増や予算面での手厚いサポートの必要性を訴えた。


    「給特法を変えない=残業代は支払わない」という自民党の方針を踏襲しただけのお粗末な答申案というほかはない。また、1日2時間程度の残業を当然の事として見とめるというもの。また、「保護者らが担う」業務という考え方は、自治的なあるいはボランティア的なものを国が定めるという倒錯的なもの。あえて言及するなら、それらに対して資金的な裏づけを保証することを国に義務付けることではなかったのだろうか。


    1月24日 文科省 発達障害児指導に履修証明

     文部科学省は23曰、発達障害がある小中学生の教育環境を整備するための対策方針を発表した。子どもの障害に応じた指導ができる教員を増やすため、専門性の高い研修制度を創設して履修証明を発行することや、指導方法の指針をつくって学校に周知することが柱。研修創設は2020年度以降、指針作成は19年度以降の実施を目指す。

     文科省によると、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害がある子どもらを対象に、通常の学級に在籍tながら 別室などで授業を受ける「通級指導」が近年増加。公立小中学校では17年度に約11万人と、09年度の2倍に上った。通級指導には専門の免許が必要ないため、障害への詳しい知識や経験がない教員が担ぎすることもあるといい、専門性の高い教員の不足が課題となっていた。

     新たな研修制度は現職教員を対象とし、自閉症やLD、ADHDなどがある子どもの特性に合わせた指導について、大学などで実施する。


    障害を持つ子どもの教育について専門的な知識が不用とまでは言わないが、なぜ普通学級に在籍して「特別な配慮」をうけることができないのかが疑問。かつて、臨床心理士の資格が云々されたときに、心を操作対象とすることへの疑問が出された。高機能自閉症児に対して「定型発達」でない発達の仕方もあるという、いわば理念が失われた中での専門家養成は害が多いといわざるを得ないだろう。


    1月19日 教育再生実行会議 高校普通科の細分化検討

     政府の教育再生実行会議座長(鎌田薫前早稲田大総長)は18日、高校生の7割が在籍する普通科について、生徒の多様な能力や興 味関心に柔軟に対応できるよう、教育内容の細分化を検討するとの中間報告をを了承した。国際化への対応や地域人材の養成といった分 類を想定。ただ、実現には検討課題も多く、今後の議論で内容を詰め、第11次となる5月の提言に盛り込みたい考え。

     同日の会合で安倍晋三首相は「多様な人材を育成するため、普通科の在り方を見直す改革が重要だ」と述べた。

     文部科学省によると、普通科は生徒の学力や希望する進路などが多様化Lており、画一的な教育カリキュラムの在り方などを見直す 必要性が指摘されている。中間報告では、各校の学びの志向性によって普通科の教育内容をいくつかに分け、生徒の強みを発揮しやすくするとの考えを示した。

     例えば、国際的に活躍できる人材や地域に貢献する人材の養成、進学を重視した指導などが考えられるという。その場合は、高校の 設置基準を見直し、類型ごとに単位の在り方や学習指導要領の内容を変える。

     ただ、普通料、専門学料、総合学科という従来の枠組みの在り方も含め議論すべき課題は山積し、本格的な検討はこれからとなる。ま た、文系・理系に偏らずに高校生が学べる仕組みを構築し、高校入試や大学入試も運動して見直していく必要性にも言及した。

     中間報告では、情報通信技術を、小中高校などの学習現場に導入する方向性として@生徒の情報活用能力の向上や、学習履歴のデジタル化による個別教育の充実A技術革新に応じた教員養成の質向上B学校の業務システム電子化による教員負担軽減などを挙げた。

     社会の変化に対応し、教育課程や教科書を不断に見直していくとの記述も盛り込んだ。


    兎に角即戦力の養成という感がぬぐえない。かつての高度経済成長を支えた「高校普通科」の役割は終わったとする議論もある。確かに受験での1点を争う競争の時代は終わったのだろう。しかしそれが「普通科解体と細分化」ではあまりにも短絡的過ぎる。様々な分野で活躍できる人材を育成するためには、例えば英語の熟達と文化人類学の素養という組み合わによりより分厚い人材が育成されるように思える。それにもかかわらず、ICT化の波に適合する人材を育成するという狭い視野ではいかがかと思う。


    1月19日 【高校リポート】 「情報科」高まる重要性

     情報通信技術(ICT)の発達を受け、プログラミングやインターネ、ットの危険性などを学ぶ情報教育の重要性が高まっている。今後は大学入試に導入される計画もあり、府立京都すぼる高(京都市伏見区)など専門学科の「情報科」を設置する高校では独自の取り組みが進んでいる。ただ、教科としての「情報」 を教える高校の現場では、生徒の習熟度にばらつきがあることなど課題も出ている。

     「ネットにつながれば、常に誰かに狙われる。つながることを知ることがセキュリティー対策の第一歩だと感じた」。昨年12月上旬、京都すばる高が伏見区で開いた情報科学科の研究発表会で、ネットワークの構築方法を学んだ3年生の男子生徒が力を込めた。

     同高は2003年に専門学料「情報科学科」を開設。今回の発表会は2016年度から3年間、文部科学省から専門的な職業人の育成を図る補助事業「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール (SPH)」の指定を受けた成果を報告するために行った。

     SPHでは、3年生からグループに分かれ、ネットワークの構築方法のほか、シミュレーションソフトを活用した最適な避難経路の割り出し 方などを学んだ。ネット上のトラブルを未然に防止するため、小学生向けの啓発活動に取り組んだ生徒たちもいた。

     同高では1年生からプログラムの「C言語」、2年生で「アプリ開発」などを学んでおり、卒業後にはIT会社への就職が決まった3年生もい る。情報科を担当する小西良尚教諭は「ネットではさまざまな問題が増えており、倫理観など心の教育が大切だと痛感している」と強調。今後は情報技術の発達に合わせた教員の指導力向上も課題だとした。

     情報教育の重要度は年々高まっている。教科としての「情報」は2003年度から高校で導入され、現在は情報の活用法などを中心に教える学校が多いが、22年度から導入される新学習指導要領ではプログラミングに関する内容を含む共通必履修科目「情報T」が新設される。大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストでも「情報」が加えられる方針で、22年度入学の生徒が受ける24年度テストから実施されるよう検討が進んでいる。

     昨年5月には政府の未来投資会議で安倍晋三首相が「人工知能、ビッグデータなどのIT技術、情報処理の素養はこれからの時代の時代の『読み書きそろばん』とした上で、「大学入試でも、国語、数学、英語のような基礎的な科目として情報科目を追加し、文系、理系を問わず学習を促していく」と表明した。

     ただ、学校現場での情報教育は試行錯誤が続いている。京都橘高(伏見区)では情報科の授業に力を入れ、1年生で表計算ソフト「エクセル」のプログラム言語「VBA(ビジュアル・ベーシック・アプリケーション)」を活用して処理を自動化する方法などまで教えている。担当の長谷川卓也教諭は「生徒は教わった通りにはするが、今後は自らが目的を持って活用できるようになるのが課題だ」と話す。高校入学直後は生徒によってコンピューターの知識や技術に差があるため、授業の当初は文書作成やファイルの保存など基本操作の習熟に時間を取られることもあるという。

     長谷川教諭は府内の私立中高の情報科教諭らでつくる研究会の事務局も担っており、「『文書作成は中学校までにできるようになる』など小中高の各段階で習得する技術を明確にすれば、授業も進めやすいのだが」と話し、「今後、大学入試に情報が加われば授業内容も変わつていくだろう」とみている。



    1月18日 警察庁 自殺者9年連続減

     2018年の自殺者数は17年より723人少ない2万598人(3・4%減)で、9年連続で減少したことが18日、警察庁の集計(速報値)で分かった。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は0・5人改善の16・3人で1978年の統計開始以来、最少となった。18年1〜11月のデー夕を17年同期と比べると、19歳以下の女性が増えており、有識者は「実態を分析し、対策を取るべきだ」と指摘している。

     政府は17年の自殺総合対策大綱で自殺死亡率を米国やドイツの水準に並ぶ13・0人以下にする目標を掲げている。データを分析した 厚生労働省自殺対策推進室は「景気回復や地域の取り組みで減少しているが、2万人超の現実を受け止め、対策を進める」としている。

     速報値によると、男性は1万4125人(17年比701人減)、女性は6473人(同22人減)。自殺者数が2万1千人を下回るのは37年ぶり。

     18年1〜11月のデータを分析すると、50代(3225人、前年同期比91人減)と40代(3222人、同220人減)が多く、60代(2811人、同312人減) が続く。

     未成年は男性が35人減ったものの、女性が51人増えたため、前年同期比16人増の543人(男性331人、女性212) だった。インターネットで自殺願望を示唆するなどした10〜20代の男女が犠牲となる「座間9人切断遺体事件」を受け、政府は若者らを対象に会員制交流サイト(SNS〉での相談体制を強化している。

     原因・動機は健康問題(9450人)が最も多く、経済・生活問題(3118人)が続いた。未成年では学校問題(169人) が最多だった。

     速報値によると、京都など13道府県で減少、13都府県で増加、滋賀は227人で17年と変わらなかった。最多は東京の2248人。大阪など5府県でも千人を超えた。京都は7・1%減の342人だった。最少は鳥取の79人。自殺死亡率は、山梨(24・8人)、青森(22・0人)、和歌山(21・5 人)が高かった。

     年間の自殺者は97年までは2万人台で推移したが、98年から14年連続で3万人を超えた。最多は03年の3万4427人。最少は81年の2万434人。


    自殺者の減少というのは喜ばしいことだが、自殺率13・0人(米・独)よりも依然高い16・3人は考えものである。また、未成年の自殺者(169人)が学校問題を苦に自殺していることは注視しなければならない。世間の耳目を集めるいわゆる「いじめ自殺」以外の原因で自殺する未成年者が多いということを見るなら対策が急がれるのではないだろうか。


    1月18日 市教委 全小学校で電話応対午後7時終了

     京都市校長会や市教育委員会などは今月から市内の小学校で夜間の電話応対を原則午後7時で終了する取り組みを始めた。教職員の負担を軽減する働き方改革の一環で、中学校や小中一貫校、総合支援学校でも4月から同様の取り組みを行う予定。市教委は「教員がやりがいを持って働ける環境をつくりたい」としている。

     市教委は昨年3月に「学校・幼稚園の働き方改革推進宣言」を発表。小学校教員の33%、中学校教員の57%が過労死ラインである月80時間以上の時間外勤務をしているとの文部科学省の調査結果を受け、職場環境の改善に取り組む姿勢を打ち出していた。

     夜間の電話応対も、長時間勤務の一因になっているとして是正することにした。市教委は校長会や園長会などと昨年から教職員の勤務時間削減に向けた取り組みを示すなどして、保護者に理解を求めてきた。市立幼稚園と高校、一部の小学校では以前から、留守番電話に切り替えるなどして電話対応終了時刻を設けているが、保護者からの苦情などは特になかったという。

     市教委は「今後も教員が生き生きと働き、子どもと向き合う時間を確保できるよう、職員配置の充実などで働き方改革を進めたい」としている。


    市教委の「働き方改革」はどうも受身的な感じがする。市教委独自の長時間勤務実態調査を行っているはずだが、「文部科学省の調査結果を受け」とあたかも全国的な流れのように考えている点だ。また、「7時以降」という考え方は「7時までは」になってしまう恐れがある。そうした恐れを取り除いてこそ「生き生きと働」くことのできる環境が生まれる。それを整備する事が行政の役割の一つでもあるはず。


    1月18日 府教委 「けんかはいじめ?」戸惑う意見も

     京都府内の自治体や学校、PTAなどでいじめに関する情報を交換する「府いじめ問題対策連絡会議」が17日、京都市上京区のホテルで開かれた。いじめを巡る状況が複雑化していることを受け、教員らが子どもに対する注意力を高めていく必要性を確認した。

     会議では、小中高校の校長や行政機関の代表らが「最近は発達障害からいじめ被害に発展することもある」「背景に貧困や家庭内暴力(DV)がある場合もある」などと報告。「近年は若い教員が多く、生徒指導の経験不足が課題」といった意見もあった。

     また、府の担当者がいじめの基準について「けんかなどでも児童・生徒本人が心身の苦痛を感じていれば認知している」と説明すると、PTAからは「昔はけんかなどはほっといていた。(保護者も)いじめに対する古い認識を改めないといけない」と戸惑う意見も出ていた。

     本間友巳京都教育大教授は「子どものトラブルをゼロにすることはできないが、それを不登校などにつなげず、人間的成長につなげることが大事だ」とし、「常にいじめに対する感度を上げ続けてほしい」と呼び掛けた。


    いじめに関わる問題の複雑さはいまさら言うまでもないことだが、「けんかなどでも児童・生徒本人が心身の苦痛を感じていれば認知」するという府教委の方針は、昨年の統計にも表れていて認知度の高い県とされている。しかし、果たしてそれがいいのかどうかは分からない。そしてその中で教員の「感度」あげるということは何を意味するのだろうか。「感度」の悪さを指摘されることを恐れるあまりに、対処を誤る可能性はないのだろうか。


    1月16日 京都・滋賀 生徒の悩み相談スマホで

     京都や滋賀の自治体が、スマートフォンのチャット(文字による同時会話)で中高生が気軽にいじめや不登校などの悩みを相談できる事 業に取り組んでいる。中高生に身近なスマホの無料通信アプリLINE (ライン)や相談専用アプリを活用し、悩みが深刻化する前に対応しようとしている。

     京都府教育委員会は昨年10月の1カ月間、LINEを使った相談事業を府内(京都市を除く)の公立校に通う中高生を対象に行った。生徒に配ったカードのQRコードをスマホで読み取れば、LINEで臨床心理士らに相談できる。期間中は「友だちができない」など友人関係や学業家庭などに関する相談が250件寄せられた。

     今月7日から同月末までも行っており、府教委は「今の子どもはスマホ文化で、電話より気軽に相談できる。悩みが重くなる前に正しい窓口で大人が解決に当たりたい」とする。

     大津市も同様のLINE相談を中学生対象に2017年11月から通年で実施しており、18年度は昨年11月末までに290件寄せられた。「悩みの早い段階でアドバイスでき、役に立っている」と実感する。

     京都市教委は、相談専用アプリ「STOPiT(ストップイット)」を使った相談窓口を、市立高校生を対象に昨年9月に開設した。同11月末までに24件の相談があり、市教委は「当初は文字だけで対応できるか不安だったが、相談として成り立つと分かった」と効果を感じている。

     ただ、文字での相談対応は「気持ちの重みが分かりにくい」(府教委)、「対面カウンセリングでよく使われる、相談者の言葉を繰り返して安心させるようなことが、文字ではできない」 (市教委)など難しい点も多いという。

     このため、各自治体とも運営は民間に委託し、研修を受けた臨床心理士らが相談に対応している。今後、実績を検証した上で事業を継続するか決めていくという。


    子どもが自分の悩みを外部の誰かに向かって発信することの意義は大きい。仮に、1度だけのコンタクトであってもそうした経験が役に立つ可能性は少なくない。こうした子どもの対象に「教員」が必ずしもなる必要がないことを示しているとも言える。全てを自分で抱えこむという「学校文化」からの脱却は、働き方改革でもあるだろう。


    1月11日 文科省 教員休日労働全て残業参入

     文部科学省は10日、部活動指導などで土日勤務が多い公立校教員の残業時間に例外なく休日労働を算入することを、現在検討中の教員の勤務上限時間に関する指針案に明記する方針を決めた。指針案のベースとなった働き万改革関連法より厳しく運用することで、時 短に向けた取り組みを一層促す狙いだ。

     民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法では「年720時間未満」など一部の上限については休日労働分をカウントせず、実質的に上限を超える働き方を許容しかねないとの指摘が出ている。文科省は11日の中教審特別部会で内容を示す。

     昨年12月に特別部会で示された指針案では、働き方改革関連法を参考に、特別な事情がある場合の上限の目安は休日労働を含め 月100時間未満などとした。

     一方、同法で休日労働を含めず算定するとした「原則月45時間以内」や「年720時間未満」の上限目安については、休日分の扱いが不明確だった。

     その後の指針案へのパブリックコメントで「教員の長時間労働の要因となっている土日の部活指導なども、勤務時間だと明確にすべきだ」といった意見が出たことから、文科省は休日労働を例外なく含めると明記することにした。

     文科省は指針を2018年度中に策定し、都道府県教育委員会などに通知。各自治体がこれを基に、19年度中に残業時間の上限に関する規定を設ける見通しだ。


    当然といえば当然の話だがこれまで休日労働という考え方が馴染まない職業にように考えられていたことが誤りである。また、各自治体の「規定」作成に際して国の基準を下回らないようにするだけではなく、勤務間インターバルについても言及するように努力してもらいたい。


    1月11日 ネット中傷、発信者開示

     埼玉県川口市立中でいじめを受け不登校となった元男子生徒(16)が、インターネット掲示板に実名を書き込まれるなど中傷されたとして、ブロバイダー3社に求めていた発信者情報が開示されていたことが10日、関係者への取材で分かった。元生徒側は、書き込んだ人物への損害賠償請求訴訟の準備を進める。

     関係者によると、開示れたのは、元生徒の実名やあだ名など4件の書き込みに関するプロバイダー契約者の住所や氏名など。元生徒側は、これを基に契約者の戸籍謄本と住民票を取得した。

     東京地裁は昨年12月、この4件の書き込みをプライバシー侵害に当たると認定。プロバイダーに開示を命じる判決を出していた。

     元生徒は2015年の中学入学後、所属していたサッカー部で首を絞められるなどのいじめを受け、16年に本登校になった。掲示板こま17年1 0月ごろから、中傷などの書き込みが計約2800件相次いだ。

     元生徒の母親は取材に「情報が開示されれば、誰が書いたのかすぐに分かると知ってほしい。ネットいじめの抑止力になれば」と話した。


    プロバイダーとの契約関係がないネット接続ではIPアドレスの特定までが限界だろう。しかし、ネットでの誹謗中傷が損害賠償請求の対象になることは、被害者・加害者双方にとって大きな意味があることを学校で子どもたちに知らせる必要がある。


    1月8日 超党派議連 子ども貧困対策法改正へ

     2013年に成立した子どもの貧困対策推進法について、超党派の議員連盟が法改正を検討していることが7日、分かった。現行では対策の計画策定が都道府県の努力義務となっているが、取り組みをさらに進めるため、より身近な市町村にも求める方向だ。早ければ今年の通常国会に与野党で改正案を提出する。

     推進法は、親から子への「貧困の連鎖」を断ち切ることを理念とする。生まれ育った環境で将来が左右されないよう教育支援などの対策を、国や地方自治体が実施する責務があると規定され、議員立法により制定、14年1月に施行した。

     見直しの論点の一つとなるのが、地方自治体による対策計画の策定だ。政府決定の「大綱」を踏まえ、各都道府県は地域事情に応じ た計画づくりに努めないといけない。全都道府県が策定済みだが、生活保護受給世帯の大学進学率は一般家庭より大幅に低いなど、取り組みは道半ばの状況だ。

     計画に基づき、長野県では県内大学の進学生に対する独自の給付型奨学金事業を展開。京都府では「きょうとこどもの城づくり事業」と題し、ひとり親家庭の子どもに対する居場所の提供や「子ども食堂」を実施するNPO法人などに運営助成している。既に独自に計画を策定している市町村もある。

     貧困家庭の子どもを支援する団体は「子どもの貧困」対策には、基礎自治体である市町村の役割が極めて重要だ」と訴える。内閣府も 有識者会議で議論し、有識者メンバーから「都道府県と市町村の役割分担を明確にして対策を推進するべきだ」と指摘が出ている。

     子どもの貧困対策推進法付則には施行5年後に見直しを検討することが盛り込まれており、超党派議運が望年12月から法改正を視野 に議論を進めている。


    教育機会で格差拡大

     政府は2014年に閣議決定した「子供の貧困対策大綱」で、25項目の統計データを「指標」と位置付けて改善に努めている。上向いているデータは多い一方で、経済的にゆとりがない家庭と一盤家庭での「教育機会」には大きな格差が残っており、きめ細やかな対応が求められている。

     平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳末満の割合を示す「子どもの賞困率は15年時点で13・9%と、7人に1人に上る計算だ。12年の16・3%からは改善したものの、先進国の中ではなお高い水準にとどまっている。

     生活保護を受給している世帯の子どもの大学・専修学校進学率は、17年4月時点で35・3%。13年4月時点から2・4ポイント上昇したが、全世帯の73・0%の半分にも満たない状況だ。進学すれば同居していても生計が切り離されて生活保護費が減額される「世帯分離」の制度が背景の一つにあり、廃止するべきだとの声が根強い。

     また生活保護世帯の高校の中退率も17年4月時点で4・1%と低下傾向にあるが、それでも全世帯の1・3%の3倍以上に上っている。

     子どもの貧困対策ではボランティアによる学習支援のほか、「子ども食堂」が各地で広まっており、国もこうした民間の取り組みを後押ししている。ただ厚生労働省調査では働くシングルマザーのうち正規職員・従業員は44・2%にすぎず、賃金面で不利となる非正規で働く人が多数を占める。有識者からは「貧困の連鎖」を断ち切るには国や自治体による就労支援の強化が必要との指摘が出ている。


    「子どもの貧困」対策は多角的な支援が必要であることは以前から指摘されてきたが統計的にもそれが示されている。安倍政権の「教育」に対する取組はそうして点にほとんど留意されていないように思える。「幼児教育無償化」によっても結果的には高所得者層が利益をより多く享受することになる。いわゆる「浮いたお金」は、個々の家庭の教育資本として使われることになるから、「格差」は拡大することになるといえる。


    1月4日 日本スポ協 指導者養成対話力重視

     スポーツ指導での暴力やパワーハラスメントが後を絶たない中、日本スポーツ協会が2019年度から「公認スポーツ指導者」資格の取得カリキュラムを大幅に見直すことが4日、分かった。教え子とのコミュニケーションの取り方や感情の抑え方などの項目に割く時間を約2倍に増やし、指導者の「人間力」 向上を目指す。知識詰め込み型の講習会方式に代わり、討論方式のグループワークなども増やす計画だ。

     現在のカリキュラムはスポーツ医科学などの座学が中心になっている。日本スポ協は柔道の暴力指導問題などを受け、16年に新たな指導者養成指針を取りまとめた。今回、カリキュラムの改定は「選手第一」の視点に立ち、実際の教え方に力点を置く指針に沿ったものとなる。18年度中に講師役を務める「コーチデベロッパー」を50人程度養成する方針で、日本スポ協関係者は「うまく制度が回り出せば、大きな改革になる」と期待する。

     既に日本体育大や大阪体育大は、指針に基づいた指導者養成を先行的に導入している。日本体育大の伊藤雅充教授(コーチ学)は「(選手時代に)トップダウンで教え込まれた経験しかないコーチは、トップダウンの指導しかできない」と指摘し、指導者がコミュニケーション能力などを磨ける態勢の整備が重要だと強調する。

     日本スポ協や競技団体が認定する公認スポーツ指導者は全国に約55万人おり、将来的には資格更新時の研修などの見直しも検討している。


    こうした見直しが学校での部活動にどの程度の影響力を持つのかは定かではないが、すくなくとも「根性」や「熱血」での指導は減少することが期待出来る。ただ、「勝利至上主義」に晒されているところでは、どの程度効果があるのかは分からない。


    1月4日 文科省 専修学校で職業教育強化

     文部科学省は2019年度から、全国に約3千校ある専修学校(専門学校を含む)で職業教育の強化に取り組む。一つの学校で複数の職業技能を学べる新たなプログラムの開発や、インターネット経由で効果的に学習できる講座の開設支援などが柱。社会人が学び直すための環境を充実させ、キャリアアップや再就職を応援する考えだ。

     専修学校は実践的な職業教育が特色。これまでは医療や福祉、服飾デザインなど、一つの学校で同一分野のスキルを学ぶのが主流だった。新プログラムでは、例えば美容学校で介護の専門技術を同時に習得司能とする。高齢者宅を訪ね、散髪だけでなく、寝たきりの人の移動を手助けできる「訪問美容師」の養成を目指す。小児医療と保育の専門教育を受けた保育士を育てて、人手不足の小児医療現場でサポートに当たってもらうことも想定している。

     また、仕事や育児で多忙な人もネットで参加できる講座を増やすため、テストの実施や単位認定の方法といった課題への対応策を整 理し、指針として示す。


    【専修学校】学校教育法124条に基づき、実践的な職業教育を通じて専門技術の習得を図る教育施設。高校卒業などを入学資格とする「専門学校」、中学卒業者が対象の「高等専修学校」、入学資格を問わない一般課程を置く学校の三つの種類があり、専門学校が約2800校と最も多い。中学卒業者を入学対象とする5年制の「高等専門学校(高専)」は同法1条により、中学・高校や大学と同じ「学校」に区分されている。
    福祉分野の関わる人の不足は高齢社会にあっては深刻な問題だし、子育てにかかわる人材不足も深刻なことは先刻承知なのだが、出口としての就労可能性と適正賃金の保障が無くては、結果的に専門学校が「儲ける」ためのシステムになってしまう危険性はある。事実、モラトリアムとして中小私学や専門学校が選ばれている現実もある。