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  • 山城高と鳥羽高など6校で単位制導入.27
  • 学童保育、担い手にNPO.28
  • 教員負担軽減へ12.2%増.30
  • 学校PC5人に1台止まり.31
  • 高2の3割勉強ゼロ.31
  • 8月31日 文科省調査 高2の3割勉強ゼロ

     高校2年生の3割は宿題をのぞく1日の勉強時間がゼロと答えたことが30日、文部科学省の調査で分かった。卒業後に進学を希望する生徒は勉強時間を長く確保する一方、就職希望の6割近くは、休日に授業の予習や復習などを全くしていなかった。望む進路によって、学習時間に差がついている状況が浮かんだ。

     2001年の特定日に生まれた子どもを毎年調査する「21世紀出生児縦断調査」の結果。高校2年生相当の昨年に、約3万人が答えた。調査結果によると、高校などに通う男子の52・8%、女子の54・5%が大学進学を希望。就職希望は男子16・8%、女子10・5%だった。「進路を具体的に考えていない」は全体の8・3%で、前年より5ポイント秒減った。

     宿題をのぞく学校外での勉強時間を聞いたところ、平日は29・5%、休日は29・9%がゼロと回答。中学入学以降の調査で最も多くなった。卒業後の希望進路別に見た場合では、大学進学希望は休日に2時間以上が41・7%で、ゼロは18・0%。就職希望は休日に2時間以上が6・8%で、ゼロは57・1%だった。


    「生涯学習」とは常に学ぶ姿勢を持つこと、学ぶ機会があることだと思う。だとしたら、「当面卒業すればいい」と考える子にとれば、敢えて勉強する必然性があるとは思えない。高校が「学びの面白さ」ではなく「偏差値の高さ」を目標にしているが故の結果だといえるのではないか。


    8月31日 文科省調査 学校PC5人に1台止まり

     全国の学校に配備されている教育用コンピューターは今年3月時点で、児童生徒5・4人に1台にとどまっていることが29日、文部科学省の調査で分かった。前年調査は5・6人に1台で、改善はわずか。文科省は2022年度までに、1日1度ほ1人1台で学習できる環境の実現を目指すが、達成が危うい状況が明らかになった。

     文科省は近く、市町村ごとの整備状況を、地図で一覧できるようにした調査結果をホームページに掲載。自治体に整備を急ぐよう促す。

     文科省は毎年、全国の公立小中高でのパソコンやタブレットなどの整備状況を調査している。1台当たりの人数は7・3人だった07年3月から少しずつ改善しているが、パソコンなどの数は200万台前後で、大きく伸びていない。

     1台当たりの児童生徒数を都道府県別で見た場合、最低の愛知県(7・5人)から最高の佐賀県(1・8人)まで違い、同じ都道府県内でも格差が広がっている。滋賀は5・2人、京都は5・6人。

     20年度から小学校でプログラミングが必修となり、デジタル教科書も今後、本格的に導入される。学校現場の情報通信技術(ICT)整備は急務となっている。


    「児童生徒1人に1台」の必要性が本当にあるのだろうか。また、PCとタブレットの使い分けを考えるとなると更に不足分は大きくなる。一斉授業を基本に考えるならそうしたことが必要となりるのかも知れないが、個別に考える・一緒に考える授業をベースにすると「1人1台」である必要はないと思えるが。


    8月30日 文科省概算要求 教員負担軽減へ12.2%増

     文部科学省は四日、総額5兆9688億円となる2020年度当初予算の概算要求を発表した。学校現場の働き方改革による教員負担軽減や児童生徒らの登下校時の安全対策、宇宙ロケット開発を含む科学技術の振興や文化財の防災強化に重点を置き、19年度当初比で12・2%増とした。

     文教関係は10・0%増の4兆4450億円。教職員給与に充てる義務教育費国庫負担金は1兆5196億円で、20年度から小学校高学年で教科化される英語の指導教員を拡充。教員の負担軽減に向けた外部人材活用には74億円を充て、公立中学校の部活動指導員を3千人増やす。

     川崎市の児童殺傷事件を受けた対策では、登下校時の見守り指導に当たる「スクールガードリーダー」を倍以上の4千人に増やすほか、スクールバス停留所など集合場所のの安全確保も進める。

     科学技術分野は22・2%増の1兆1920億円。新型ロケットH3開発や、米国が構想する新宇宙ステーション「ゲートウエー」への参画など、宇宙研究開発に2050億円を盛り込んだ。

     文化芸術分野は、パリ・ノートルダム寺院の大火災を受けた文化財の防火対策強化を含め、19・5%増の1275億円。

     スポーツ分野は21・1%増の411億円で、東京五輪・パラリンピックに向けた選手強化などに充てる。


    防衛省の予算額とほぼ同じの文科省予算。OECD参加国の中でも国が支出する教育予算の割合が最も低いのが日本の文教予算。まずは、イージス・アショアの分で給食費の無償化から。


    8月28日 学童保育、担い手にNPO

     共働きやひとり親家庭の小学生を預かる「放課後児童クラブ」 (学童保育)が多様化している。利用者の増加で、入学後に預け先が見つからない「小1の壁」が問題となる中、NPO法人などが担い手となって受け皿を拡充。さまざまな体験を通じ、子どもが成長できる場になっている。

     「今日はそうめんを、つゆから作ってみましょう」「ヘー、できるかな」。7月、東京都中野区にある私立新渡戸文化小中学校の調理室で、小学生約10人が講師の説明を真剣に聞いていた。NPO法人「放課後NPOアフタースクール」(東京)が立ち上げた活動だ。

     校舎の一部を改装し、専用の部屋が三つ。午後2時半ごろから授業を終えた児童が次々に訪れ、ランドセルを置くと用意された手作りのおやつを食べたり、友達と本を読んだり、思い思いの時間を過ごす。月曜日から金曜日の午後7時まで。夏休み中も開いており、同校の児童は誰でも利用できる。サッカーや料理、そろばんなど20以上の活動プログラム(1時間程度)は自由に選択可能だ。

     同法人の織畑研副代表理事は「学校と調整し、使える教室を増やして活動の幅を広げてきた」と話す。2011年の開設当時は利用者が20人ほどだったが、.今では全児童の3分の1を超える約140人に増えた。保護者からは「子どもがいろんな体験ができる上、預けやすくて助かる」といった声が寄せられるという。

     厚生労働省の調査によると学童保育は18年5月時点で全国に約2万5千カ所、利用登録する児童は約123万人で、ともに過去最高となった。共働き世帯が増え、希望しても利用できない待機児童は約1万7千人。安心・安全を重視するあまり、過ごし方が単調になるといった課題も指摘されている。

     学童保育とは別に、希望する全ての子どもを対象とし、工作やスポーツなど多様な体験ができる文部科学省所管の「放課後子供教室」 もある。ただ開催日が限られ、終了時間も早いなど、日常的に子どもを預かってほしい家庭は利用しづらい面があった。

     厚労省と文科省は効率的な運営を目指して、同じ小学校内で両事業を実施し、学童保育を利用する子どもが子供教室にも自由に参加 できるよう推進。こうした「一体型」は18年5月時点で約5千カ所に上り、厚労省の担当者は「学童環育を利用する子も、そうでない子も、一緒にいろいろな体験ができる」と利点を語る。

     新渡戸文化小中学校のケースは一体型の趣旨を取り入れつつ、学校側が独自に運営している先進例だ。各プログラムの講師はシルバー人材センターに声をかけたり、「卓球大会で活躍したことがある人」と聞けば足を運んだりして、地域で地道に集めてきた。織畑さんは「いろいろな大人と触れ合うことで子どもの可能性が広がる」と話す。


    子どもが放課後をどう過ごすのかはその発達にとって大きな影響があるとの研究(ペリー就学前教育などから)が注目されている。そしてそこでは「非認知能力」の育成が将来的に有用であると言われている。学校教育の枠を超えた子どもへの取組が課題となっている。こうした活動にNPOが関わることの意味は大きいのだが、費用対効果からの観点から「お金になる」ことが重視される傾向がある事は否めない。必要な子どもに届くサービスなのかどうかが同時に問われなければならないだろう。


    8月27日 府・市教委 山城高と鳥羽高など6校で単位制導入

     京都府と京都市の両教育委員会は26日、公立高の2020年度入試の募集定員や日程、学科改編を発表した。生徒数の減少などを考慮して総定員は前年度比314人減の1万3015人とした。山城高と鳥羽高など全日制6校で新たに単位制を導入する。

     来年3月の府内公立中の卒業見込みは466人減の1万9168人。定員は全日制で324人減の1万1735人、定時制は10人増の720人となった。

     定員は、北稜、鳥羽、城陽、南陽、西舞鶴の普通科で各40人減らした。亀岡の普通科(美術・工芸専攻)、南丹の総合学科、須知の食品科学科も各10人減らす。園部は京都国際科(30人)を廃止する一方、普通科を20人増やす。農芸は農産バイオと環境緑地の2科を農業生産、園芸技術、環境創造の3科に再編し全体で10人減る。大江も、普通科とビジネス科学科が地域創生科となり10人減る。

     久美浜の総合学科は丹後緑風(りょくふう)(網野と久美浜が統合)久美浜学舎のアグリサイエンス科とみらいクリエイト科に再編され、計24人減る。峰山弥栄分校、宮津伊根分校、網野間人分校は募集停止し、3分校(各40人)が統合して新設する昼間定時制の清新は90人を募集する。

     単位制は、亀岡、大江、宮津天橋、丹後緑風でも導入する。口丹と丹後の両通学圏は学区を廃止する。

     このほか、生徒が記入する願書から性別欄を撤廃する。不要な個人情報は集めないためという。

     京都府内の2020年度公立高入試の募集要項は次の通り。

    【前期選抜】願書受け付けは各中学による一括受け付けが2月3日、志望先の高校が4、5日(音楽科は1月22、23日)。試験は2月17、18日の2日間(音楽科は2月1、2日)。合格発表は25日。

    【中期選抜】全日制、定時制ともに願書受け付けは各中学による一括受け付けが3月2日。第1志望第1順位(定時制は第1志望)の高校での願書受け付けは2月27日、3月2日。試験は6日。合格発表は16日。

    【後期選抜】一定の欠員が出た場合に実施を判断する。全日制、定時制とも願書受け付けは志望先の高校のみで3月17、18日。試験は24日。合格発表は26日。

    【海外勤務者帰国子女特別入学者選抜】鳥羽普通科(スポーツ総合専攻除く)、西舞鶴普通科、嵯峨野京都こすもす科で各5人以内。願書受け付けは2月4、5日。試験は17日。合格発表は25日。

    【中国帰国孤児子女特別入学者選抜】鳥羽普通科(スポーツ総合専攻除く)と同定時制普通科、西舞鶴普通科、東舞鶴浮島分校定時制普通科で各5人以内。願書受け付けは2月4、5日。試験は17日。合格発表は25日。

    【成人特別入学者選抜】来年4月1日現在満20歳以上で、高校を卒業していない人が対象。いずれも定時制普通科で、朱雀と鳥羽は各9人以内、桃山は普通科が6人以内で商業科は3人以内。願書受け付けは2月4、5日。面接、作文は17日。合格発表は25日。

    【長期欠席者特別入学者選抜】来年3月に卒業見込みで、中学1〜3年のいずれかの学年で年間30日以上の欠席がある人が対象。いずれも普通科で、朱雀と城陽が各10人程度、乙訓と西舞鶴が各5人程度。西京定時制普通科が10人程度。願書受け付けは2月4、5日。試験は17日。合格発表は25日。

    【清明特別入学者選抜】A、B方式を選ぶ。A方式は定員48人。B方式は定員72人。願書受け付けは各中学による一括受け付けが2月3日、高校が4、5日。試験は17、18日。合格発表は25日。 【清新特別入学者選抜】A、B方式を選ぶ。いずれも定時制総合学科でA方式は30人、B方式は30人。願書受け付けは各中学による一括受け付けが2月3日、高校が4、5日。試験は17日。合格発表は25日。

    【全国部活動特別入学者選抜】北桑田普通科と同京都フォレスト科が各3人以内で、入学後は自転車競技部またはワンダーフォーゲル部に加入する。須知普通科が4人以内と同食品科学科2人以内で、入学後はホッケー部に加入する。保護者の住所が京都府の区域外にある人が対象。願書受付は2月4、5日。試験は17日。合格発表は25日。

    【通信制】願書受け付けは3月25〜27日。試験はせず、必要に応じて面接を実施し、報告書などに基づいて選抜する。合格は本人に通知する。



    8月4日 文科省 夜間中学支援 拡充へ

     不登校などで学校に通えなかった人が再び学びの場を確保できるようにするため、文部科学省が来年度予算の概算要求に、夜間中学に関連する経費として本年度の3倍近い1億3千万円程度を盛り込む方針を固めたことが24日、分かった。

     夜間中学については、在留外国人が増える中で、義務教育を終えず来日した人の勉強の場としても需要が高まっている。文科省は全 都道府県と政令市で設置を目指しており、新設を検討する自治体を手厚く支援する。

     夜間中学は戦後、生活困窮のため昼間に働く少年や少女らのために誕生し、多い時は全国に80校以上あった。近年になって再評価さ れ、いじめなどを受け、ほとんど授業を受けず中学校を卒業した「形式卒業者」に門戸を開いた。2016年12月、設置を促す教育機会確保法も成立した。

     今年4月、千葉県松戸市と埼玉県川口市に新たに夜間中学が開校。「各都道府県に少なくとも1校設置」を促進すると閣議決定されて いるが、現在のところ、9都府県の33校にとどまる。文科省によると、茨城県常総市や徳島県、高知県などが具体的な時期を掲げて新設を表明しているが、多くの自治体では検討が進んでいない。

     自治体が二の足を踏む要因としては、新設に必要な需要の調査や運営費への懸念などがある。このため、文科省は本年度からの増額分の多くを、こうした点に悩む自治体への支援に振り分ける。

     また、夜間中学に通う生徒のうち、17年度の調査では約8割が外国籍だった。多くが日本語指導を必要としており、文科省は教員の研修など、既存の夜間中学で教育を充実するための経費も概算要求に盛り込む方針だ。


    夜間中学設置自治体:川口市・市川市・松戸市・足立区・葛飾区・墨田区・世田谷区・大田区・荒川区・江戸川区・八王子市・横浜市・川崎市・京都市・大阪市(4)・堺市・八尾市・東大阪市(2)・守口市・豊中市・岸和田市・神戸市(2)尼崎市・奈良市・天理市・橿原市・広島市(2)。


    8月24日 大津いじめ控訴審 元同級生一審取り消し訴え

     大津市で2011年に市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのは元同級生によるいじめが原因として、遺族が元同級生らに計約3800万円の損害賠を求めた訴訟の控訴審第1回ロ頭弁論が23日、大阪高裁(佐村浩之裁判長)で開かれた。

     控訴した元同級生側は、男子生徒への一連の行為はいじめと認定するべきではなく、自殺との因果関係もないと主張し、一審の大津 地裁判決の取り消しを求めた。一方、遺族側は一審判決の正当性を訴えた。男子生徒の父親(54)は意見陳述で「息子が受けた苦痛から目を背けようとする元同級生の姿に悲しさとつらさが募るばかりだ。猛省し更正する機会になる判断が下されることを期待する」と述べた。

     閉廷後、記者会見した父親は「控訴理由書を見る限り、到底自分たちの起こした事実と向き合っているように思えない。成人なので、 自分の考えで悪いことをした、と認識してほしかった」と心境を語った。裁判の長期化については「時間がかかっても、いじめが自殺に結びつくという司法判断がなされることが重要。教育現場の意識改革にもつながるはずだ」と強調した。

     今年2月の大津地裁の判決では、自殺といじめの因果関係を認め、悪質ないじめが自殺に結び付くことは一般的に予見可能であると し、元同級生3人のうち2人に対し、計約3750万円の支払いを命じた。支払いを命じられた2人が控訴した。


    「大津いじめ事件」などのいじめ問題の複雑さと難しさを思い知らされる。いじめをうけた中学生が自殺したという事実は間違いなくあるのだが、いじめと自殺との因果関係が明らかかどうかはなかなか判断できるものではないだろう。学校でのいじめ防止対策は必要である事はいうまでもないのだが、いじめが自殺へと向かう道筋をどう断ち切るかという発想が必要だろう。


    8月24日 文科省 部活指導員3000人増

     教員の働きを方改革を促進するため、文部科学省が全国の公立中学校の部活動指導員を本年度より3千人増やし、計1万2千人とする方針を固めたことが23日、分かった。広範囲から人材を確保できるよう、新たに交通費を支援する費用と合わせて、来年度の概算要求に15億円を盛り込む。このほか、教員に代わって教材作成やプリント印刷などを担う外部人材も増員する。

     文科省は、各教育委員会が外部の部活動指導員を確保する際、人件費の3分の1を補助している。その際は、土日を含む週2日以上 の休日確保など、スポーツ庁と文化庁が過度な部活動を防ぐために示した指針を順守しているかどうかを確認。働き方改革に積極的に取り組んでいる教委を優先するとしている。

     2016年度の教員勤務実態調査によると、公立中教諭の6割は、おおむね月80時間超の時間外労働が目安としている「過労死ライン」を超過。06年度調査との比較では部活動指導による負担が増していた。文科省は、部活動指導員の増員で教員の負担を軽減できるほか、専門的な指導で豊富な知識を持つ外部人材を生かすことで、部活動の内容も短時間で質の高い練習などが可能になるとしている。

     ただ、部活動によっては通した人材を近隣地域だけでは確保できない場合があるとの声も学校現場から出ている。そのため、部活動 指導員の交通費を支援する仕組みを新たに設け、より遠い地域からも人材を確保できるようにする。


    部活動指導員の増員は働き方改革を進めるうえでの前進だと評価できる。注目されるのは運動系の部活なのだが、一方で音楽系の部活では「休養日」を設けず過度な練習を行っているところもある。また、「指導費」が部員の自己負担を当然視しているところもあるようだ。「勝利至上主義」からいかに部活を解放するかも同時に議論されなくてはならない。


    8月18日 全教教研集会 「外国ルーツの子」の教育、支援員増訴え

     滋賀県で開催されている教育研究全国集会(全日本教職員組合などの実行委員会主催)は17日、分科会を各地で開いた。草津市の会場では、外国にルーツを持つ児童・生徒への語学教育や進路指導の在り方を巡り、教員や外国籍の学生が意見を交わした。

     特設分科会「日本語指導が必要な児童・生徒と学校教育」で登壇した河かおる滋賀県立大准教授(朝鮮近現代史)は、県内の状況を説明。転校や進学の際、日本語の習熟度が学校間で引き継がれていないことや、外国人生徒の進学率が把握されていないことを指摘。「指導ノウハウや子どもの状況を引き継ぐ仕組みをつくり、早急に実態を把握すべき」と述べた。

     日系ブラジル人で県立大4年の南崎サラ小百合さん(21)と、愛知中教員の大平浩樹さん(59)が体験を語った。南崎さんは小学3年で会話ができるようになるまで通常学級にいるのが苦痛だったことや、家計を支えるためアルバイトと受験勉強を両立させたり、アイデンティティーに悩んだりした中学・高校時代を話した。

     大平さんは、外国人の生徒と保護者に入試制度を説明したが十分に伝わらず、希望する高校を受験できなかった例を挙げ、「言葉の壁は生徒の人生を狂わす」と、母語が話せる支援員の増員を訴えた。


    すべてが教育で解決すとばかりに様々な課題が学校に投げかけられるが、「働き方改革」との矛盾はないのか。改正入管法の問題点も全く解消されないまま、自治体任せはお粗末。容認できない。


    8月8日 甲賀市 中学生派遣が中止に

     滋賀県甲賀市は8日、友好都市の韓国・利川(イチョン)市に中学生を派遣する国際交流事業を見合わせると発表した。利川市から「日本と韓国の政治的、経済的状況から交流事業を休止したい」と連絡があった。28日出発に向けて準備を進めてきたが、日韓関係悪化で急転直下、韓国側が実施方針を転換した。

     甲賀市は参加予定だった生徒6人と保護者に経緯を説明し、おわびした。保護者は「子どもたちは楽しみにしており、残念」「仕方ない」と話したという。

     甲賀市教育委員会によると、利川市長が6日に交流休止を決定し、7日に「交流中の突発事項も心配しており、やむを得ず交流を見合わせたい。両国関係が好転した場合、再開を期待したい」との同市長の親書が甲賀市に届いたという。

     両市は友好都市となった2005年度から中学生の交流事業を開始。今年は甲賀市の生徒6人と教育長ら引率者が5日間の日程で利川市の中学生宅でホームステイする予定だった。今回の実施について甲賀市役所には賛否両論の意見が電話やメールで寄せられていたという。

     岩永裕貴市長は「姉妹都市との信頼関係に陰りが生じることや草の根交流の機会までも奪う状況になっていることは大変残念だ」とのコメントを出した。


    戦後最悪の日韓関係といわれる中での出来事なのだが、こうした時期にこそ民間交流が欠かせないはず。日韓双方の指導者は、「内向きの外交」をしているのではないか。反日・反韓感情を醸成しないような政治こそが、極東アジアの平和の礎。その上で改めて「歴史問題」を解決するという姿勢が不可欠。


    8月7日 人事院  国家公務員の給与増勧告 

     人事院は7日、2019年度の国家公務員給与が民間を下回っているとして、国会と内閣に6年連続で引き上げを勧告した。月給は平均387円(0・09%)の増額。ボーナスに当たる期末・勤勉手当は、夏と冬の合計で月給の4・45カ月分から4・50カ月分とする。中央省庁のパワハラ対策強化を検討するとの報告書も提出した。

     勧告は地方公務員の給与水準決定でも考慮される。民間の賃上げの動きが弱まっており、月給、ボーナスとも小幅なプラスとなった。政府は関係閣僚会議で対応を協議する。勧告通り改定すれば、増額分が追加支給され、年間平均給与は行政職で2万7千円多い680万円となる。


    森友学園への土地売却に関わって近畿財務局の職員が自殺したことを公務災害の扱いにしたことがわかった。公務災害は当然だが通常は「争い」があるが、雇用者側が認めるのは異例?パワハラとしてもきちんとした自殺原因を究明すべきで、「認定」と「プライバシー」を隠れ蓑にすることは、再び隠蔽工作を重ねることになる。


  • 日韓関係悪化も 中学生が韓国訪問「続けたい」.6
  • 8月6日 滋賀県日野中 日韓関係悪化も 中学生が韓国訪問「続けたい」

      日野中(滋賀県日野町松尾)の生徒たちが今夏、町と姉妹都市提携を結んでいる韓国・忠清南道の恩山面(うんざんめん)を使節団として訪問し、現地の中学生らと交流した。最近の日韓関係の悪化で、各地で交流行事が中止されるなどの影響が出る中、生徒らは「これからも交流を続けていきたい」と語った。

     日野町小野の鬼室神社には、7世紀に百済から渡来したとされる高官・鬼室集斯(しゅうし)がまつられ、恩山面には集斯の父福信の墓がある。その縁で両自治体は1990年に提携を結び、互いに3年に一度、中学生を派遣している。

     今年は、日野中の1〜3年生12人ら計16人が7月30日から2日まで韓国に滞在し、地元の恩山中の生徒たちと一緒に行動した。庭園が有名な宮南池(くんなむじ)などの観光地を巡ったり、互いに出し物をする時間には日野中の生徒がコマやお手玉を披露し、恩山中の生徒は弦楽器を演奏したりして、友情を育んだという。

     一行は、帰国後に日野町役場を訪れ、滞在時の出来事を今宿綾子教育長らに報告。生徒たちは、恩山中の校長から日本語で「この機会にぜひ仲良くなりましょう」とあいさつがあったことや、日韓関係悪化に関連したトラブルはなかったことを紹介した。

     恩山中の生徒と連絡先を交換した2年生は「以前からの友達のように感じることができた。これまでの関係をより深めていきたい」と語り、今宿教育長は「今後も交流を続けて、両国の懸け橋になってほしい」と願った。


    日韓関係がこじれる中日本の外交政策が問われるのだが、両国の指導者が内向きの「支持率狙い」のみでの動きは東アジアの不安定化を招きかねない。同時に「内政のための外交」を志向する米国トランプ大統領への追従が日本の国益になるとはとても思えない。中学生の外交感覚を見習って欲しい。


    8月2日 人事院 6年連続、上げ幅減

     人事院は1日、2019年度の国家公務員給与改定で、一般職の月給とボーナス(期末・勤勉手当)を引き上げるよう勧告する方針を固めた。いずれも6年連続のプラスとなる。来週中に国会と内閣に勧告する。

     人事院が4〜6月に実施した民間給与の実態調査で、民間企業の水準が国家公務員を上回ったため、格差を埋める。ただ民間の賃金アップの動きは弱まっており、月給の引き上げ幅は18年度の0・16%を下回り、0・10%以下となる見通し。

     月給の上積み分は、民間との格差が拡大傾向にある初任給や若年層に充て、それ以外は据え置く。人手不足で新卒の獲得競争が激しくなる中、優秀な人材を確保する狙いがある。

     ボーナスは年間支給月数18年度(4・45月)から0・05力月引き上げる方向で調整している。経団連の調査で大手が過去最高を更新するなど好調だった昨冬に比べ、今夏の伸びが鈍かったため微増にとどめる。



    8月1日 洛西NT 地元3校統合 小中一貫に

     京都市西京区の洛西ニユータウンの住民らが31日、中京区の京都市教育委員会を訪れ、地元の竹の里小、福西小と西陵中を統合し、新たに小中一貫教育校を開校するよう要望した。要望書では福西小の敷地に新校舎を建設し2025年度をめどに開校するよう求めており、市教委は実現に向けて具体的な検討を始める。

     要望書には、できるだけ早期に施設一体型小中一貫教育校を福西小敷地に建設する▽建設の前に竹の里小と福西小を1次統合して、福西小の児童が竹の里小で学べるようにする▽福西小に隣接する西陵中のグラウンドを部活動などの多様な教育活動で利用できるよう、環境を整備する―などが記されている。

     少子化で児童生徒が減少したため、各PTAと地元自治会などが3年前から、学校統合に向けて協議を重ねていた。5月には「小中一貫教育校創設準備会」を立ち上げ、3校を統合して新たな一貫校の開設を要望することを決めた。

     この日は、準備会のメンバーである竹の里、福西両学区の自治連会長や3校のPTA代表、学校運営協議会の代表らが、在田正秀教 育長に要望書を提出。在田教育長は「要望の実現に向けて取り組んでいきたい」と応じた。

     洛西ニュータウンは40年ほど前、住宅開発により人口が爆発的に増加し、小、中学校の開校が相次いだ。福西小の児童数はピーク 時、1700人を超えていたが、少子化により現在は224人。竹の里小は166人、西陵中は203人になっている。


    京都市内での学校統廃合のやり方が「京都方式」として一定の評価を得ている中で、洛西NTの統廃合はまさに絵に描いたような「京都方式」だといえる。住民の意向を作り出すためにどれだけ激しいやり取りがあったのかが想像できる。しかし、この「京都方式」が新たな教育のあり方に大きな足枷となる可能性があることも指摘しておく必要がある。住民の街作りの思いがどこまで活かせる、あるいはそれを阻害してしまうことになるかが分かれ道でもある。


    8月1日 府教委 学校事務共同化 理解深め

     京都府教育委員会は31日、「教職員の働き方改革フォーラム」を京都市左京区の府立京都学・歴彩館で催した。学校事務の共同化をテーマに識者の講演や先進事例の紹介があり、府内の小中学校の事務員や校長ら約250人が新たな学校運営に理解を深めた。

     学校の事務員は各校に原則1人配置されている。複数校の事務員で業務をこなす共同化を進め、教員の負担軽減や学校運営の効率化を図ろうと企画した。

     滋賀大の大野裕己教授が講演し、「事務員は総務、財務の専門職としてより積極的に学校運営に参画することが求められている」と 指摘。「共同化の際は事務処理の仕方だけでなく、新しい学校像を意識することが大切だ」と訴えた。

     事務の共同化に取り組み始めた南丹市教育委員会の担当者は「事務員はお金に強く、共同化を進めればより効果的な予算の活用につながる」と説明。インターネットの会議システムを活用した共同化の仕組みの構築などを検討しているとし、「事務員も直接学校に運営に関わり、地域や保護者など総掛かりで行う子育ての力になってもらいたい」と強調した。


    事務職員が学校教育の一翼を担うことは間違いがないのだが、マネージメントの段階でどこまで参画するのかが微妙な問題だろう。過度に責任や権限を強調されればそのことが事務職員のストレスになりかねない。ストレスケアとしての共同化という側面も見逃してはならない。


    8月1日 全国学テ 特徴的な設問

    小学校国語考えまとめる記述が苦手

     平均正答率は64・0%だった。必要な情報を得るため、本や文章全体を概観して読むことはできていたが、自分の考えを簡潔にまとめて書く内容を苦手としていた。

     食べ物の保存について書かれた資料を題材にした出題では、文章の内容をきちんと把握する読解力が問われた。中でも梅干しを作るのに必要な情報を調べるため、本の目次から適切なべージを選ぶ設問は、正答率が88・6%と良好だった。

     一方、公衆電話の必要性を調べた結果が記された複数の文章から分かったことを取り上げ、報告文にふさわしい表現で記述させる出題では、正答率は28・9%と低調だった。目的や意図に応じ、自分がそう考える理由を明確にし、まとめて書く力に課題が見えた。

     同音異義語の漢字にも誤答が目立った。「調査のたいしよう」を正しく「対象」と答えられたのは42・1%で、「対照」「対称」といった間違い が多かった。「かんしんを持つ」は正解の「関心」が35・8%に対し、「感心」が46・9%に上った。


    小学校算数複数のデータ処理振るわず

     平均正答率は全体で66・7%。図形の知識や理解を問う問題では高い正答率が得られたが、複数のデータを読み取り、筋道を立てて考えた経過を記述するといった問題は、正答率が振るわなかった。

     長方形を切ってできる形から台形を選ぶ出題では93・2%が正答。二つの図形からできる形を選ぶ問題は、図形をずらしたり、裏返したりして考えることが求められ、正答率は60・5%だった。

     ある市全体の水の使用量と人口を表したグラフから、1人当たりの使用量の増減と、そう判断した理由を記述できたのは52・3%で資料の特徴を把握し、数学的に処理する力に課題が見えた。

     一方、数式にどんな工夫をすれば、計算しやすくなるかを考え法則性を「わられる数」「わる数」「商」の三つの言葉を使って書くことができたのは31・3%にとどまった。

     遊園地の限定商品を買うまでの待ち時間に関する題では、与えられた条件を基にレジに着く時間と、その導き方を記述させ、正答率は62・8%だった。


    中学校国語情報整理や内容把握に課題

     平均正答率は73・2%だった。文章に即して情報を整理し、内容を捉える力に課題がある一方、伝えたいことについて資料から根拠となる情報を取り出して正確に書くことはできていた。

     情報読解力に関する出題では、架空の中学生新聞を掲載。「海外に広がる弁当の魅力」との見出しが付けられた記事で述べられてい る内容について、選択式で適切なものを全て選ばせたところ、正答率は62・2%にとどまった。文章全体からきちんと情報を捉えることが不十分であることがうかがえた。

     また、新聞に投稿するとの場面設定で、紙面に記された送信先情報を読み取り、郵送用の封筒に住所や宛名、敬称の「御中」などが適切な配列や字の大きさに注意して書けるかを見た出題の正答率は57・4%。住所にメールアドレスなどを含めて書く誤答もあった。

     広報誌の一部にあるアンケート結果の情報を用いて、意見文に地域の商店の魅力に関する具体例を書き加えさせる出題では、正答率が78・0%に上った。


    中学校数学連立方程式の理解改善

     平均正答率は60・3%。基本的な連立2元1次方程式の正答率は70・7%で、2014年に出された同水準の問題の68・0%を上回った。事象を数学的に解釈し、説明する問題には、苦戦した。

     本体価格や年間の電気代が異なる冷蔵庫にかかる費用を比較する出題では、費用の変化を表す1次関数のグラフを読み取らせ、正答率は39・5%となった。また、2台の総費用が等しくなる使用年数の求め方を式やグラフを用いて書かせた問題については35・6%だった。

     図形問題では、証明の根拠として用いられる三角形の合同条件を記述させ、76・1%と高い正答率となった。一方、ある結論が成り立つための前提を考え、説明する問題の正答率は53・8%にとどまった。

     全校生徒の読書時間の分布を示すグラフを読み解く内容も出された。「平日は半数以上が20分以上」といった結論を導くため、根拠となる代表値として適切なものを選ぶ出題で「中央値」と正答できたのは54・1%だった。


    中学校英語低正答率でも意欲表れる

     「読む・聞く・きく・話す」の4技能のうち、「読む」の平均正答率は56・2%。文章の内容を読み取ることはできているが、概要や要点を捉える問題で正答率が低かった。

     「聞く」は平均正答率が68・3%で最も高かった。短文を聞き、内容を適切に表した絵を四つの中から一つ選ぶ問題は、多くの生徒が正確に聞き取れており、正答率は91・3%に上った。

     「書く」の平均正答率は46・4%。学校を表す絵文字「ピクトグラム」を2案示し、どちらが良いか、自分の考えを25語以上の英文で書く問題では、両方の案に触れるという条件を満たしていない他、文法を誤る解答が目立った。ただ、全体の半数近てが25語以上書いており、意見を伝えようとする意欲はみられた。

     「話す」の平均正答率は30・8%で最低だった。.別の2人の会話に加わり、即興で質問ができるかどうかを測る問題は正答率が10・5%に とどまった。海外テレビ局の取材を受け、将来の夢や実現のためにやるべきことを話す問題の正答率は45・8%。考えを整理し、まとまりの ある内容を話すことに課題があった一方、無解答率は4・6%で、何とか話そうとする姿勢は表れていた。



    8月4日 全国学テ 英語「書く・話す」に課題

     文部科学省は31日、小学6年と中学3年の全児童生徒を対象として4月に実施した2019年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。計201万7876人分を集計。初実施の中3英語では、自分の考えをきいたり話したりする発信力に課題が浮かんだ。都道府県別では東京などが上位となった。国語と算数・数学は小中とも従来通り知識活用が苦手との結果だった。

     中3英語は「読む・聞く・書く・話す」 の4技能について出題。それぞれの平均正答率は「読む」56・2%、「聞く」68・3%に対し、「書く」は46・4%、「話す」は30・8%と低かった。

     「書く」では、2枚の図を比較して25語以上で考えを記す問題で正答率が1・9%にとどまり、基本的な語や文法を活用した表現ができていなかった。パソコンで出題し生徒の声を録音した「話す」でも、2人のやりとりを聞いて即興で質問できるかどうかをみる問題で正答率が10・5%と低調だった。

     パソコンの整備状況が各校で異なるため「話す」に限っては不参加を容認し、結果も参考値としたが、参加した生徒のうち1万5298人の録音に不具合などがあり採点できなかった。

     英語の都道府県別平均正答率(公立校)は、「読む」「聞く」「書く」の3技能の調査で東京と神奈川、福井が最上位で並んだ。政令指定都市別の最上位はさいたま市だった。文科省の担当者は「英語を重視した取り組みや、授業外で英語に触れる機会が多いといった複合的な理由が考えられる」と分析した。

     同時に行ったアンケートでは、「英語の勉強が好き」と感じている生徒の方が、正答率が高い傾向が出た。英語で自分の考えをまとめ たり、即興で気持ちを伝え合ったりするような授業を受けている生徒の方が英語を好きと感じており、授業の工夫が学力向上につながることをうかがわせた。

     国語と算数・数学は今年から知識と活用力を一体的に問う新たな出題形式となった。小中とも、目的や意図に応じて自分の考えを明 確に書いたり、複数の資料から必要な情報を読み取って判断したりするのが苦手な傾向は変わらなかった。


    京都・中3英語 全国平均並み

     京都府教育委員会は31日、2019年度全国学力テストの府内公立小中学校の結果を公表した。全国順位は小6が前年度の8位から10位に、中3が12位から13位に下がった。小中学校ともに「勉強が好き」という児童生徒の割合が全国平均より低い傾向がみられた。

     国語、算数・数学は、これまで基礎知識の問題と知識を活用する問題が別々だったが、今回から一体化した。文部科学省は過度な競争をあおらないよう、17年度から都道府県の正答率は小数第1位を四捨五入した整数値で公表している。

     教科ごとの府内の正答率は、小6の国語が66%(全国平均63・8%)、算数は68%(同66・6%)、中3の国語が73%(同72・8%)、数学が61%(同59・8%)、英語が56%(同56・0%)だった。府教委によると、小数第1位まで含むと全教科とも全国平均を上回っているという。

     京都市立学校だけでみると、小6の国語で1ポイント高かった以外は、府全体の平均と同じだった。

     児童生徒に対する調査では、「国語の勉強は好きですか」という問いで、中学校は「当てはまる」と「どちらかといえば、当てはまる」の合計が56・0%と、全国平均を5・7ポイント下回った。小6、中3の他教科でも同様に全国平均を下回る傾向がみられた。

     学校の授業時間以外に普段(月〜金曜日)に1日当たり勉強する時間(学習塾や家庭教師を含む)は、中学校で1時間以上の割合が64・0%と、全国平均を5・8ポイント下回った。小学校は全国並みだった。

     調査対象学年で学用品費などを支援する就学援助制度を受ける児童生徒が20%以上いる学校が、小学校で31・7% (全国平均22・2%)、中学校は43・8%(同26・9%)に上り、いずれも全国平均より多かった。

     調査は府内の小学校369校の2万4人、中学校171校1万7927人が受けた。府教委は「学力が厳しい層に補充学習をするなど基礎基本の定着に向けた取り組みが学力向上に結びついている」としている。


    解説 授業改善 きっかけに

     全国学力テストに英語が導入された背景には、子どもたちに「使える英語を身に付けさせる狙いがある。

     結果は「読む・聞く・書く・話す」の4技能のうち「書く」「話す」で平均正答率が低く、自分の考えや意見を表現する力の不足が改めて浮き彫りになった。中3全員が対象となっただけに、学校現場では、従来の授業で生徒を伸ばせているのかを再考し、改善を図るきっかけになるだろう。

     都道府県別平均正答率の上位を見ると、国語や算数・数学では従来の顔ぶれが並んだが、革語については違いもみられた。単に順位を競うのではなく、なぜ変化が生まれたかを分析し、全国的な学力の底上げにつなげることが期待される。

     一方、パソコンを使った「話す」調査では、録音の不具合で1万5千人以上の採点ができなかった。文部科学省は各学校の機器の性能差などを要因に挙げるが、テストの信頼性に不一安を抱かせた面は否めない。

     国は小学校から大学まで一貫した英語教育の充実を図っており、2020年度に始まる大学入学共通テストでも4技能を測るため新たに民間検定試験が導入され、一部ではパソコンやタブレットを利用する。平等性を確保するためにも、トラブルを防ぐ十分な対策が求められる。


    学力における問題点は英語に限らずこれまでも指摘されてきた傾向が改善されていないという印象を持つ。また、英語に関わっての家庭での文化資本や地域環境での「差」があるのではないかと考える結果となったようだ。アクティブラーニングの掛け声だけは高いようだが、学校で授業の取り組み方は従来とあまり差がないことに原因があるのではないか。また、親の側から見れば「自分で考える」ことは見えにくい観点である事も後押しをしているのだろう。