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  • 連載 外国につながる子どもの教育(第4回)
  • 加害教諭給与差止も.24
  • 4野党、延期法案提出.25
  • 昨年末、初の6万人突破.25
  • 英語民間試験「自分の身の丈で」.26
  • 受験生軽視「許せない」.29
  • 条例成立.30
  • 10月30日 神戸いじめ 条例成立

     神戸市立東須磨小で教諭4人が同僚をいじめていた問題を受け、起訴の恐れがある職員の給与を差し止める改正条例が29日の市議会で賛成多数で可決、成立した。30日に公布、施行される。加害教諭が有給休暇扱いになっていることに批判があり、神戸市と市教育委員会が対応を急いでいた。

     従来の職員の処分に関する条例では、休職させられるのは起訴された場合や病気の場合などに限られていた。改正条例では「重大な非違行為があり、起訴される恐れ」がある職員も休職とし、給与を止めることができるとの文言を追加した。

     これまでの議論では、市議から「基準が曖昧で怒意的な運用の恐れがある」との懸念が示された。市側は「異例の事態に対応するた めで、幅広く運用するつもりはない」としていた。市議会は29日、本人の弁明の機会を保障するよう求める付帯決議も可決した。

     市教委は近く、弁護士らによる審査会を開き、加害者4人への適用について議論。教育委員会の会議に諮ってから正式に決定する。

     市教委によると、4人は30代の男性3人と40代の女性1人。事実上の謹慎とするため、市教委は今月1日から有給休暇扱いにした。だが、市関係者によると、久元喜造市長の強い意向で条例改正での対応に踏み切った。久元氏は20日にツイッターで「座視するわけにはいかない」と投稿。28日に改正案が市議会に提出され、翌日に成立するというスピード対応となった。市議からは「審議が不十分だ」との意見も上がっている。


    大津のいじめ事件をきっかけに地教行法が改正され教育委員会の第3者委員会としての性格が薄れ首長の介入が容易になった。しかし、当面は変化がないといわれてきたがこの条例制定は具体的な首長の教育への介入といえるだろう。審査会での議論は民主主義の原則を確認しながら行って欲しい。「教師だからいじめても法律で守られるのか」という反論がるだろうが、再三書いてきているところの民主主義は手間隙のかかる制度だということを肝に銘じなければならない。子どものいじめは「無法地帯」(中井久夫)といわれる。それはその通りなのだが、今回の条例と制定と同時には議論できな。


    10月29日 文科相発言 受験生軽視「許せない」

     萩生田光一文部科学相は28日、大学入学共通テストの英語民間検定試験を巡る「身の丈」発言を謝罪し、早期の幕引きを図った。しかし、制度の旗振り役から飛び出した格差容認とも取れる物言いに、識者からは「受験生を軽視しており、許しがたい」との厳しい批判の声が上がっている。

     萩生田氏は24日のテレビ番組で、家庭の経済状況や居住地で不利が生じると指摘され、「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と述べた。さらに「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じだと思う」との見方も示した。

     野党からの批判に加えインターネット上でも反発が広がり、萩生田氏は28日に報道陣の取材に応じ「受験生に不安を与えかねない説明だった。おわびしたい」と謝罪。一方で「試験そのものは公平に設計したが、受験勉強(の環境)を行政側が全てイコールにするのは難しい」とも述べた。

     制度には公平性の担保を懸念する声が上がっており、全国高等学校長協会は2020年4月開始の延期を求めている。

     東京大の阿部公彦教授(英米文学)は、萩生田氏の発言に「民間試験導入が抱える問題を分かっておらず、許しがたい」と憤る。導入で採算重視の運営が進む可能性があるとして「『受験生ファースト』が守られない」と問題視した。

     予備校利用と同一視した点にも「公平に入試に臨めることと、予備校に通えるかは別問題。根本を理解していないことの表れだ」と言い切る。

     「受験生にとって深刻な問題なのに、発言が軽い」とあきれた様子で語るのは、共栄大の藤田英典教授(教育社会学)。合格者と不合格者を分ける入試では機会の平等が最重視されるだけに、「所管大臣の発言として無責任すぎる」。

     試験導入に以前から批判的だった藤田教授は、「従来のセンター試験の方がよほど公平な仕組みだ」とした上で、「フェアに物事を行うという認識が萩生田氏にはない。大臣どころか政治家としての資質に欠けている」と切り捨てた。


    安倍改造内閣の閣僚の失言や失態が陸続と出てくるが、とりあえず英語民間試験導入は延期すべきだろう。このまま突っ走れば、受験生か民間テスト業者かどちらの利益を優先しているのかと問われかねない。


    10月26日 萩生田文科相 英語民間試験「自分の身の丈で」

     萩生田光一文部科学相が大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験について、家計状況や居住地で不利が生じるとの指摘に「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」とテレビ番組で述べ、教育関係者や受験を控えた高校生の間で25日、「格差を容認するのか」といった反発が広がった。

     萩生田氏が発言したのは24日夜のBSフジの番組。受験生の間で不公平が生じる懸念について「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じだと思う」との見方も示した。一方、民間試験の実施に当たり「(受験生に)できるだけ負担がないように知恵を出したい」とも話した。

     ツイッター上では「貧乏人は高望みするなということか」「財力で生じる教育格差の是正が文科省の仕事のはずだ」などの声も上がっている。


    昨日安倍内閣の菅原経産相が更迭された。公職選挙法違反の疑いで。萩生田文科相の発言も更迭に値するものではないか。「身の丈」にあわせた教育の問題点は90年代に入ってからも教育社会学を中心に大きな教育イシューとして取り上げられてきた。13年に成立した「子どもの貧困解消法」もそうした観点から学校をプラットホームにした対策を講じらることを定めている。その大元である文科相がこの発言では開いた口がふさがらない。


    10月25日 府内の外国人住民 昨年末、初の6万人突破

     京都府内の外国人住民は、昨年末に初めて6万人を突破した。地域で開設されている日本語教室は26カ所。自治体が場所や一部経費を提供する教室もあるが、ボランティアの交通費や研修費などは大半が自己負担だ。向日市(9月時点の外国人住民数528)や宇治田原町(同307人)、宮津市(同1651人)など、山市町村は未開設という。

     教室の利用者は、技能実習生や日本人と結婚した女性らが多い。技能実習生は増加傾向にあり、4月には外国人就労を拡大する新在留資格「特定技能」制度の運用が始まった。府内でも、宇治市の飲食料品製造業で1人が働き始めている。受け入れに向け動く企実は多く、今後も増加が予想される。

     外国人就労者の拡大を見据え、府は今後5年間の施策の方向性を示した「地域における日本語教育推進プラン」の中間案を作成した。空白地域での教室開設や学習プログラムの作成支援を担うコーディネーターの配置、学習支援者の確保などを盛り込んでいる。

     国も6月に日本語教育推進法を策定。ただ、地域における支援の具体化はこれからだ。府内の支援者からは、北部など交通手段が乏しい周辺部に住む人へのサポートや、家族と来日して支援の手が届きにくい子どもへの対応などを求める声も上がっている。

     府国際課は「来年度の事業に反映できるよう支援策を検討している。日本語教室に限らず、部署を横断して取り組んでいきたい」としている。同プラン中間案は28日まで意見を募集している。


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    10月25日 大学入学共通テスト 4野党、延期法案提出

     立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は24日、2020年度開始の大学入学共通テストで英語民間検定試験の導入を延期するた めの法案を衆院に提出した。立民と国民にとっては新会派を結成して初の共同提出となる。

     民間試験の授業料が新たな負担となり、試験の公平性に関して学校現場や生徒に不安が生じている。法案は大学入試センター法の一部を改正する内容で、法律で定める日までの間は民間試験等を活用せず、経済的な状況や居住地域に関わらず等しく試験を受けられる ための必要な調査、検討を求めるとしている。

     提出後、4党の議員と会見した現役高校生らは、「なぜ一度立ち止まって考えられないのか」「どんな意義があり、どんな未来を見据えているのか教えてほしい」と訴えた。

     法案作成に関わった無所属の山井和則衆院議員(比例近畿) は「この問題に政党は関係ない。とにかく審議させてほしい」と与党側へ協力を求めた。


    教育の重要性を認めながらその負担は国民が負うことになるというのがこの間の政府の政策。それぞれの家庭の文化・社会資本によって教育の成果が異なるという教育の新自由主義的な「成果」が安倍政権の7年間でボディーブローのように効いてきている。


    10月24日 神戸市 加害教諭給与差止も

     神戸市立東須磨小で教諭4人が同僚をいじめていた問題で、加害者が有給休暇扱いであることに批判があるとして、神戸市が給与の 支払いを差し止める条例の制定や改正の検討を始めたことが24日、市への取材で分かった。

     市教育委員会によると、加害者は30代の男性3人と40代の女性1人で、今月1日から事実上の謹慎中。有給休暇は年20日取得でき、前年の未取得分も翌年に回すことができる。処分が決まるまでに有給の日数を超えた場合は病欠などで対応する方針だった。市によると、加害者に給与や手当が支払われることに市民から批判が相次いだ。市が重大事案と認めた場合、職員の処分を待たずに給与を差し止める方策を導入できないか議論している。


    今回の教員間のいじめ(ハラスメント)はとても常識では考えられない事件ではある。そして、教育者としてのモラルも問われるものである事は言を待たない。しかしである、「市民から批判」があるからといってこれまでの行政慣例を簡単に変更することは許されない。公務員が「罪」を犯したとしても、裁判での判決が確定するまではその身分は保障されなくてはならない。いわゆる民意にそぐわないかもしれないがそれが民主主義のルールである。不自由展や映画「宮本から君へ」(プロデュ―サーは映画「新聞記者」も手がけている)の助成金交付を理屈をつけて取りやめるのも民意が拠り所だという。安倍政権の衆愚政治と轍を一にする発想だといわねばならない。


    10月22日 府人事委 6年連続引き上げ勧告

     京都府人事委員会は21日、府職員の給与と期末・勤勉手当(ボーナス)を引き上げるよう西脇隆俊知事と田中英夫府議会議長に勧告した。府内の民間給与水準との差を解消するためで、引き上げ勧告は6年連続となる。

     府人事委が50人規模以上の府内222事業所を対象に今年4月時点の給与を調査したところ、民間の平均給与月額は37万9612円で、府職員平均を478円上回った。人材難で初任給を引き上げる民間企業が多いことなどから、府でも30代半ばまでの若手職員の給与を引き上げる。

     勧告では、若手職員の月例給を473円引き上げるよう求めた。職員全体の平均給与額は37万8772円(行政職、平均年齢42・5歳)となる。ボーナスも0・05自分引き上げ、民間と同等の4・5月分となるよう勧告した。

     勧告通りに引き上げられれば、平均給与額は年間で2万2千円増え、629万2千円となる。給与は4月分から、ボーナスは6月期分からを対象とし、引き上げに必要な本年度の予算額は7億8千万円という。

     京都市上京区の府庁で勧告を受け取った西脇知事は「少子高齢化や度重なる災害発生など、取り巻く環境は厳しいが適切に対処した い」と述べた。田原博明委員長は「災害対応などがあっても、過重勤務どならないようお願いしたい」と求めた。


    府人事委委員長は元教育長。教職員の勤務実態を十分承知しているはずだ。超勤解消や非正規職員の処遇改善でどれだけ踏み込むことができるかが注目されていたが…。


    10月21日 全国銀行協会 子どもの貧困銀行業界が支援へ

     所得が一定の水準を下回る、貧困状態の世帯で暮らす子どもへの支援を銀行業界として進めようと、全国銀行協会が会合を開き、会員の銀行に対して、子どもや親への支援を呼びかけました。

     国の調査によりますと、所得が一定の水準を下回る、貧困状態の世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合「子どもの貧困率」は、平成27年の時点で13.9%、7人に1人に上っています。

     進学や就職に影響が出て貧困が次の世代に連鎖し、日本全体の経済や雇用にもマイナスになると指摘されています。

     全国銀行協会は、問題を放置すれば日本の金融市場の縮小にもつながりかねないとして、業界として取り組むことになりました。

     会員の銀行を集めた会合で、萩原攻太郎企画委員長が「銀行として、取り組む意義がある課題だ」と述べて、支援を呼びかけました。

     このあと、子どもの貧困への対応を始めた銀行の取り組みが紹介され、青森銀行はインターネットを通じて資金を集め、児童福祉施設を出た子どもたちの自立を支援する相談所を開設したことを紹介しました。

     東京スター銀行は子育てを一人でするシングルマザーの雇用や収入の安定のため、就労支援の講座を設けたことを報告しました。

     全国銀行協会によりますと、子どもの貧困の問題に関連して、奨学金制度などを含め4割の銀行が何らかの支援を行っています。

     出席した銀行の担当者は「自分の銀行で、何ができるか持ち帰って検討したい」と話していました。(NHK)


    日本財団子どもの貧困対策チームによる『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす』 (文春新書)では、子どもの貧困を放置すれば将来の社会的損失は40兆円に及びそれを貧困でない層が負担しなければなrないとしている。そうした観点で銀行業界が対策を打ち出すことは理解できる。しかし、子どもの貧困を社会的損失があるからとの理由で民間(日本財団やベネッセなども)が支援を訴えるのはやや違和感がある。ひとり親家庭の貧困利率は50%を超えるという実態を労働問題としてとらえるべきではないだろうか。1億総活躍といいながらワーキングプア対策に非積極的な安倍政権を補完するような「支援」であってはならないだろう。


    10月18日 府教委 府内のいじめ認知2万4841件

     文部科学省が17日に公表した2018年度の児童生徒による問題行動・不登校調査結果で、京都府内の国公私立の小中高校で認知されたいじめ件数は2万4841件と前年度と比べると17件増でほぼ横ばいだった。小中学校での不登校が3千人と303人(11・2%)増え、7年連続で増加した。

     いじめの件数は千人当たり91・7件(前年度は90・7件)で、全国で3番目(同2番目)に多かった。府教委は「嫌な思いをした」といった軽微な事案もすくい上げて対応しているため、件数が例年多くなる傾向にあるという。

     学校別では、小学校が2万885件(前年度比124件減)、中学校が3171件(78件増)、高校が624件(29件増)。けがなどにつながった重大事案は1件あった。いじめ発見のきっかけは74・3%が「アンケートなど学校の取り組み」、11・0%が「本人の訴え」、7・5%が「学級担任が発見」だった。

     小中学校千人当たりの不登校児童生徒数は15・3人(前年度は13・7人)で、全国では31番目の多さだった。内訳は小学校が722人(前年度比78人増)、中学校が2278人(225人増)だった。府教委は「全国傾向と同様に毎年増えており、喫緊の課題だ。学校に登校するだけでなく、フリースクールに通うなど個々の希望に沿った学びの場を提供し、社会的に自立できるよう取り組みたい」としている。

     このほか暴力行為の発生件数ま小中高校の合計で2233件(72件増)。千人当たりの件数は8・3件で全国で9番目に多かった。内訳は、小学校980件(34件増)、中学校1044件(5件増)、高校209件(33件増)。内容は生徒間暴力が1450件(34件増)と最も多く、器物損壊も418件と65件増えたのが目立った。


    全国 認知最多54万件

     全国の国公私立小中学校と高校、特別支援学校における2018年度のいじめの認知件数は54万3933件で、過去最多だことが17日、文部科学省の問題行動・不登校調査で分かった。前年度から31・3%、12万9555件の大幅な増加。いじめが確認された学校は6・4ポイント増の80・8%に上った。心身に深刻な被害が生じるなどの「重大事態」も128件増の602件で最多だった。

     文科省の担当者は認知件数が大幅に増えた要因について「いじめを広く定義した13年施行のいじめ防止対策推進法を踏まえ、積極的な認知を求めてきたことが大きい」と説明し、問題解決の第一歩として肯定的に捉えているとした。重大事態の増加には「重く受け止め、さらなる対応を検討したい」とした。

     いじめの認知件数は、小学校が42万5844件(10万8723件増)。低中学年の増加が目立ち、小1〜小4ではいずれも約2万件増えた。中学校は9万7704件(1万7280件増)、高校は1万7709件(2920件増)、特別支援学校は2676件(632件増)だった。

     1件でもいじめが確認された小学校は1万7145校で全体の85・8%。中学校は8862校(85・2%)、高校3556校(62・7%)、特別支援学校486校(42・7%)だった。

     どの学校種でも、冷やかしやからかい、悪口などを言われる形のいじめが全体の50〜60%台を占めて最多。「ネットいじめ」のようなパソコンや携帯電話などを介した誹謗中傷は3702件増の1万6334件で、高校では約2割を占めた。都道府県別の千人当たりの認知件数は平均40・9件。最多の宮崎(101・3件)と最少の佐賀(9・7件)で約10倍差だった。13倍近い差だった前年度からは縮まった。

     いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」は、骨折など心身に大きな被害を受けたのが270件、年間30日以上の不登校となったのが420件で、両方に該当する事例もあった。学校から報告があった児童・生徒の自殺は332人で、前年度から82人増えた。


    森田洋司鴫門教育大大学院特任教授(教育社会学)の話 「気付き」評価したい

     いじめは、まず認知しないと何の対策もできない。認知件数の高まりは「気付き」の結果で、肯定的に評価したい。重大事態の急増も、これまで埋もれていたいじめに目が行き届くようになった結果とも言える。ただ、まだ認知件数ゼロの学校がある。本当にいじめがないなら歓迎したいが、いじめをすくい取れていない可能性があるのではないか。さらなる取り組みを期待したい。とにかく認知するという段階から、具体的にどう対処するかという段階に来ている。各学校で、保護者や地域、子どもを巻き込み、具体的で実効性のある対策や未然防止に取り組んでほしい。


    神戸市立東須磨小 子ども同士いじめ急増

     教諭4人が同僚をいじめていた神戸市立東須磨小で、児童同士のいじめ認知件数が2017年度は0件だったのに対し、18年度は13件、本年度は半年間で16件と急増していることが分かった。市教育委員会が17日の市議会文教こども委員会で明らかにした。

     市教委は「教員の仲がぎくしゃくしていると子どもにも現れる。東須磨小の職員の状態が少なからず影響したのではないか」と分析。加害者の一部は18年度からいじめ対応などをする生徒指導担当で、児童同士のトラブル仲裁にも当たった。

     被害者の男性教諭(25)が17年、当時教頭だった前校長(今春異動)から飲み会の参加を強要されていたことも判明。市教委関係者は「パワハラに当たるとみられる」と話しており、経緯を調べている。

     久元宮造市長や教育委員は17日、総合教育会議を開催。市教委は学校現場との間に溝があるとの認識を示し、人事や採用の制度を改革して風土を変えるとした。事実解明に向け弁護士3人による調査委員会を設置し、年内にも結果をまとめる。


    数字がどこまで現場の状況を表しているのかは定かではないのだが、いじめられる側(東須磨小の教諭でも)が、いじめを内面化してしまう傾向がある事は間違いない。自分の「辛さ」を外部に伝えるための方法をどう獲得させる(獲得する)かが、いじめ解決の方法ではある。


    10月17日 朝鮮学園も無償化を

     今月から始まった幼児教育・保育の無償化で、対象外となっている京都朝鮮学園幼稚班の保護者らが16日無償化の適用を求める要望書を京都府に提出した。保護者らは「母国語や歌、踊りなど民族のアイデンティティーを学ぶ子どもの権利が奪われる」と現状の制度を批判し、政府への働き掛けや独自の財政的措置を講ずるよう府に求めた。

     幼保無償化は、認可外保育施設やベビーシッターなどが対象になる一方、朝鮮学校やインターナショナルスクールなど、学校教育法で「各種学校」に分類される学校は除外されている。府内には同学園の幼稚園にあたる朝鮮初級学校付属幼稚班が京都市右京区と伏見区の2カ所にあり、保育料はバス代なども含め1人当たり月額約2万5千円。現在は3〜5歳の計約30人が通っているという。

     府庁には保護者や学園関係者ら10人が訪れ、文教課職員に要望書を手渡した。保護者の鄭英姫さん(42)は「納税義務を果たしているのに権利がないことに憤りを感じる。道理が通らないことを、子どもにどう説明すればよいのか」と声を震わせた。同学園の趙明浩理事長は「子どもたちは4世、5世で日本に生まれ育ってきた。新たな差別や偏見につながる懸念もあり、無償化は全ての子が当然の権利として受けるべきだ」と訴えた。

     保護者らは来週、京都市にも同様の要望書を提出する。


    子どもの権利は国籍や親の思想・信条とは全く無関係なものとして保障されなければならないとされるのは世界の常識。加えて、住民税を含めて納税している外国人を除外する理由はない。早急な改善を求める。


    10月12日 教諭いじめ暴行で捜査へ

     神戸市立東須磨小の教諭4人が後輩をいじめていた問題で、いじめを受けた男性教諭(25)の代理人弁護士が11日、兵庫県警に被害届を提出した。関係者が明らかにした。県警は暴行容疑で捜査するとみられ、刑事事件に発展する見通しとなった。

     関係者によると、男性教論は50種類以上の暴行や嫌がらせの被害を訴えている。首を絞められ呼吸困難になったことがあり、焼き肉のたれやドレッシングを大量に飲まされるいじめもあった。

     昨年12月には、期末面談で被害を申告しようとした際、前校長(今春異動)から「いじめられてないよな」と論されて言い出せなかったと説明していることも判明。前校長は市教育委員会に「昨年末の段階ではハラスメントの報告はなかった」と主張している。

     男性教諭が訴えたいじめは、関節技をかけられたり、ビール瓶で殴られたりしたもの。熱湯の入ったやかんを顔につけられる被害もあった。他にも、男性教諭は「ジーンズをぴりぴりに破かれた」「犬と呼ばれた」などと申告している。

     同様の内容は欠勤するようになった今年9月から学校に手紙などで送符。 市教要は「内容を精査している」としている。教諭は公務員の労災に当たる公務災害認定の申請を検討している。

     また、激辛力レーを食べさせられる様子を撮影した勤画に、加害者4人とは別の人物が写っていることも関係者が明らかにした。動画では「辛いのは苦手なんです」と訴える男性教諭を30代男性教諭が羽交い締めにし、40代女性教諭がスプーンでカレーを口に運んでいた。その周囲に数人が写り、市教委が加害者と認定していない人物が含まれているという。

     市教委はカレー強要について「誰がその場にいたのかなど詳細については調査中」としている。


    外部からの侵入者によって学校の安全が脅かされるということはあった。子どもの間でのいじめや教師の体罰もあった。今度は教師と教師の間のいじめ(ハラスメント)が起こった。かつての「学校の安全」は神話となったといってもいいのかもしれない。加害者である教師たちの倫理観の欠如、とりわけ管理職のガバナンス能力の欠如は目を覆いたくなる。団塊の世代の大量退職によって学校でのヒエラルキーに異変が起こっているのかもしれない。


    10月11日 厚労省 「非正規」表現禁止に批判

     厚生労働省が国会答弁などの際、非正規雇用で働く人の呼称として「非正規労働者」や、単に「非正規」という表現を使わないよう省内に求めた通知に批判が出ている。担当者は「働く人の修飾語として『非正規』はふさわしくない」と説明するが、専門家からは「言葉の置き換えによって深刻な問題が覆い隠されるのではないか」と指摘する声が上がる。

     「厚労省通知のニュースを聞いて自分の存在が消されていくように感じた」。東京都内で契約社員として働く女性(43)はこう憤る。足に障害があって車いすが欠かせない。北海道函館市の商業高校を卒業後、水産仲卸会社に勤務したが事前の説明と違い重たい荷物を運ばされた。体調を崩して1年で退職、その後は非正規雇用の生活だ。

     現在の年収は約300万円で将来への不安が頭を離れない。「言葉を置き換えても非正規で働く人の厳しい現実は変わらない。厚労省の通知は机の上だけで考えた『言葉遊び』に過ぎない」。

     厚労省の通知にはインターネット上でも「非正規という言葉の方が実態を正確に表している」「非難されることを避ける狙いがあるのでは」と否定的な意見が相次ぐ。厚労省がことし8月に出した通知では原則として労働者を指す場合は、雇用の実態を表す「有期雇用」「派遣」「パートタイム」などの表現を使うように求めた。同省の雇用環境・均等局の担当者は「『非正規』は雇用形態を示し、労働者への修飾語としては不適切」と説明する。

     こうした動きは労働組合側にも。連合は今年に入り「非正規労働者」という言葉を使用しないよう決めた。「同じ働く仲間に使用する言葉として不適切」「職場内の連帯感に配慮するべき」という議論があったためだ。

     非正規で働く人は全国で2千万人超。労働者全体の4割近くを占める。バブル崩壊後に企業が正社員の採用を絞り込み、さらに規制緩和で派遣労働の範囲が拡大したためだが、最近では女性や高齢者の就業が増えたことも後押ししている。厚労省は同じ非正規で働く人でも「正社員を希望しながら非正規を余儀なくされている」「都合のいい時間や体力に合わせて働きたいため非正規を選んでいる」の二つの傾向があると分析。非正規雇用全体の1割強が「不本意」とみており、正社員転換にも力を入れていると強調する。

     法政大の上西充子教授へ労働関連は「非正規という言葉を使わないという通知には問題をごく一部に限定したいという意図が透けて見える」と指摘。「安倍政権が進める『多様な働き方』は法律で守られてきた正規の枠組みを崩す政策だ。賃金が低く不安定という非正規に共通する問題が言葉の置き換えで見えにくくなる」と警鐘を鳴らした。


    ことばを無くす(置きかえる)というのは、その存在を抹殺する事に他ならない。関電の金品授受問題への解決姿勢も含めて、安倍政権への忖度の度合いがますます強くなっている。加えて連合がこうした姿勢に同調することはなんとも理解し難い。これまで、「非正規」問題を大きく取り上げてきた官公労系の労組の意向が内部で押さえ込まれてしまったのかとの疑いを持たざるを得ない。


    10月5日 神戸市立小 4教員 同僚いじめ

     神戸市立東須磨小で20代男性教諭が先輩の同僚教諭4人からいじめを受け欠勤している問題で、市教育委員会は4日に記者会見し、この4人が他に20代の教員3人にも、暴言を浴びせたりセクハラしたりするいじめをしていたと発表した。

     市教委は、男性教諭がカレーをこすりつけられたのは目ではなく体だったと訂正した。この教諭に関する調査の過程で他の教員へのいじめも判明した。

     市教委によると、新たに被害が分かった3人は男性教員1人と女性教員2人。昨年度、男性教員に対して「ポンコツ」を意味する「ポンチャン」と呼ぶ嫌がらせをしたほか、女性教員へのセクハラ行為もあった。

     加害者の4人は30代男性3人と40代女性1人。いずれもリーダー的存在で、子どものいじめ防止の取り組みにも関わっていたという。市教委に自身のいじめを認め、反省の言葉を口にしている。

     また、欠勤している教諭に対して飲酒の強要や、尻をたたくなどの暴力があり、激幸ラーメンの汁を目にこすりつけられたとの訴えがあることも分かった。今年6月に別の教員から相談を受けた校長らが状況を尋ねると、この教諭は「大丈夫です」と答えた。実際には加害者から「謝ってほしいなら謝ってやる」といった暴言が続いていた。

     市教委は加害者4人を授業から外し、事実上の謹慎にしている。今月7日に市教委や周辺の学校から教諭3人を東須磨小に異動させ、授業に支障がないようにする。


    【第一報】目にカレー、教諭に同僚嫌がらせ

     神戸市須磨区の市立東須磨小の20代男性教諭が、先輩の同僚教諭4人に羽交い締めにされて目にカレーをこすりつけられるなどの嫌がらせを受けたと訴え、9月から学校を休んでいることが4日、市教育委員会への取材で分かった。市教委が事実関係を調査しており、加害者側の処分を検討する。

     市教委によると、4人は同じ学校の30〜40代の男性教諭3人と女性教諭1人。嫌がらせは昨年から始まったとみられ、無料通信アプリLINE(ライン)で別の女性教員に性的メッセージを送るよう強要されたほか、車の上に乗られたり車内で飲み物をこぼされたりする内容も報告された。


    常識では理解できないような事件。これまでの学校は、左右いずれにしても「学校の共同性」を理念としてきた。とりわけ日本型の企業慣行である「ジョブではなくメンバーシップ」として職場に迎え入れることが学校文化となっていた。そのことがハラスメントを生んだのか、あるいは学校のマネージメント機能が低下してしまったのかは定かではない。いずれにしても、危機的な状況である。


    10月5日 大学共通テスト 文科相主導も混乱収まらず

     2020年度度開始の大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験を巡り、文部科学省は4日、四年制大学483校が初年度に少なくとも一つの学部や学科で利用を予定していると発表した。集計は9月30日時点で、全体の63.6%。短大も含めると利用予定は52.5%となる。文科省の「大学入試英語ポータルサイト」の公開を一部停止してデータを更新し、週明け7日をめどに詳細が見られるようにする。

     文部科学省が大学入試改革の目玉とする大学入学共通テストへの申請民間検定試験導入を巡り、混乱が収まらない。萩生田光一文科相は9月の就任以来、対応.策を矢継ぎ早に打ち出すが、受験生らの不安解消こは至らない。来年4月の制度開始まで半年となっても、試験の詳細は公表されず、活用をやめる大学も。「初年度は精度向上期間」と語る萩生田氏に、受験生らは憤りを募らせている。

     9月11日の文科相就任会見。「間違っても受騷生が実験台になるような制度であってはならない」。全国高等学校長協会などが地域格差や経済格差などを懸念し、民間試験導入の延期を求めたことについて問われた萩生田氏は、強い口調で言い切った。

     執務を始めると早速、受験の予約申し込みを始める「英険」に対し、受験しない場合でも返さないとしていた予約金3千円の返還を要請。民間試験の活用方針を明らかにしていない大学などには、原則9月末までに公表するよう求め、期限に間に合わなければ「大学入試センターを通じた試験の成績提供をしない」と迫った。

     しかし、混乱はますます深まっている。「英検」を運営する日本英語検定協会(東京)は要請を受け、予約受け付け終了翌日から8日間は予約金を返すと表明したが、私立学校団体などが「期間が限定され、手数料が高校生の負担となっている」と批判。再検討を迫られる事態になった。

     大学側からの不信感も噴出した。文科省は今月4日、大学や短大の対応について最新状況を発表。共通テストの枠組みを使い、少なく とも一つの学部や学科で民間試験を利用すると答えたのは、全体の半分にとどまった。準備の遅れを懸念した結果とみられ、9月末の期限までに状況を答えられずに「未定」とした大学も残った。津田塾大(東京)は当初、民間試験を出願資格として使うとしていたが、今月2日になって「諸問題が解決に向かうまでの間、一般選抜での利用を控える」と表明。以前から民間試験を使わないとしていた東北大などだけでなく、 方針を変えざるを得ないケースが出ている。

     こうした中、萩生田氏は1日の記者会見で「初年度は精度向上期間だ」と発言。受験生らが「実験台にしないと言ったのに」と抗議の声を上げた後も、「当初の予定通り、2020年度から導入する」と強い意気込みを語った。

     11月1日には、新制度で鍵となり、民間試験の成績を管理するための「共通ID」発行申請が始まる。民間試験の導入に反対し、文科省前などで抗議活動を続ける教育関係者の女性はこう言う。「公平公正な試験を整えるのが文科大臣の仕事。制度を整えないまま、妻鷺に始めるべきではない。仕事をしてほしい」


    この間の混迷を見ていると大学教育の質の向上(英語の必要性)などではなく、試験の改善(?)のみが目的であるように見える。また、文科相の指揮ぶりはまるで、民間業者の教育参入を促す事だけが目標ではないかと疑いたくなる。


    10月2日 閣僚に聞く 加計疑惑 きちんと説明

    ★ 加計学園を巡る疑惑にどう対応するか。

    「総理から何かしてくれと指示を受けたり、私から文部科学省に働きかけしたりしたことはない。国会で再びただされれば、きちんと説明したい」

    ★ これからの学校や教育をどう考えるか。

    「どこに生まれても、同じレベルの教育が受けられることが大事。そのためには、教師力を高める必要がある。大学で教職課程を取り、社会人1年目から教壇に立つことでいいのか。(新任教員となった後、能力が足りなければ)一度研修に行って地力をつけるような制度を作りたい」

    「私はサラリーマン家庭に育ち、決して豊かではなく、進学には負担を掛けた。給付型奨学金は経済環境にかかわらず、チャレンジできる制度と自負している」

    ★ 教員の長時間労働が問題だ。

    .「教員志望者が減っており、対策に力を入れたい。勤務時間のガイドラインを法的根拠のある指針とすることや、休日まとめりのための制度改正が提言されている。真体的な内容や法案の提出時期は調整中だが、与野党を超えて理解してもらえると思う」

    ★ 大学入学共通テストの英語民間検試験を延期する考えはあるか。

    「予定通り実施を前提に、私なりの最終的な詰めをしている。延期、中断による混乱も、このまま続けることによる混乱もある。限られた時間で実施前提に準備したい」

    ★ 東京五輪・パラリンピックについて。

    「アスリートには引退後、キャリアを生かせない人が多い。レガシーとして、教職課程を終えていなくても、教員となれる仕組みを考えたい」


    歴代の文科大臣としては「最悪」といいていいほどの人事だろう。愛知県の「不自由展」の交付金を後出しじゃんけんで取りやめることが象徴的なのだが、政権への「忖度」政治がより強固になった感がある。加えてことばの軽さが目を引く。「きちんと説明」、「どこに生まれても、同じレベルの教育」、「給付奨学金」、「勤務時間のガイドライン」、「私なりの最終的な詰め」、「アスリートには引退後」なども即座には信じ難い。またこれまで文科大臣としてだれもが取り組んできた「定数改善」も、財務省の意向を受けての忖度政治になるかもしれない。