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  • 連載15回(完結)教室にてつがくを
  • 影響甚大 進路にも懸念.27
  • 64%利用自粛.27
  • 9月入学への制度変更を.28
  • 「直ちに再開困難」.28
  • 休校長期化で急浮上.10
  • 4月29日 9月入学制 休校長期化で急浮上

     新型コロナウイルスの感染拡大で学校休校が長期化しているのに伴い、安倍晋三首相が新学期の時期を5ヵ月ずらす「9月入学制」検討に言及した。学習の遅れなどを心配する知事や野党幹部が変更を求める声を上げ始めたのが急浮上の背景にある。コロナ対応で迷走気味との政権批判をかわし、目先を変えたいとの思惑も透ける。ただ就職など社会全体に影響が及びかねず、実現のハードルは高い。政権は世論の動向を慎重に見極める姿勢だ。

     「前広にさまざまな選択肢を検討したい」。首相は29日の衆院予算委員会の答弁で、9月入学が視野にあると認めた。萩生田光一文部科学相も「広く国民の間で認識が共有できるのであれば大きな選択肢の一つだ」と指摘した。

     入学が9月になれば、長引く休校の影響をいったんリセットできるのではないか。宮城県の村井嘉浩知事は「地域間でかなりの学力差が出ると懸念される。恩い切つて変えるタイミングだ」と必要性を力説する。

     官邸筋は検討着手を認めた。政府高官は、秋に新学期が始まる欧米を念頭に「国際標準に合わせるには良い機会だ」とする。

     自民党は29日、文科部会などの合同役員会を開催した。出席者からは「しっかり検証しながら議論しないと現場が混乱する」「知事の中にもいろんな意見がある」と慎重な意見が出た。首相に近い下村博文元文科相は「どういう問題があるのか、水面下で議論するのは必要だ」と主張した。

     立憲民主党の安住淳国対委員長は「休まされている学生や子どもたちの話と、9月入学の話を一気にセットでというのは乱暴なところもある」とし、一足飛びの議論をけん制した。国民民主党や日本維新の会は9月入学に積極的だ。国民の玉木雄一郎代表は首相の答弁を「比較的前向きだった」と評価した。与野党問わず、意見は分かれている。

     9月入学制の導入には学校教育法や施行規則の改正が必要だとの指摘もある。多くの企業は4月入社を採用。政府や自治体の会計年度ともずれが生じるため、教育界以外にも大変革を迫る可能性がある。自民の文教関係議員は「明治時代の一時期、西洋にならって9月入学にしたが日本の制度に合わず4月になった」と解説。閣僚経験者は「全てをひっくり返すのは難しい」と冷静な見方だ。


    「9月入学制」が大きな問題である事はわかっている話しである。しかし、ポストコロナという思想状況を考えれば、大胆な改革が必要だともいえる。メリット・デメリットは数え上げればきりがないほどあるのだが、ビフォア―コロナの社会と同一の基準でアフターコロナを考えることはできないだろう。元文科省官僚の寺脇研さんや前川喜平さんは、コロナのどさくさにまぎれてこんな重要な問題を議論すべきではないとの主張されている。安倍首相の政治的レガシーとして実施されるというのなら問題は大きいが、これまでの教育の在り方を議論した上での実施なら多少の不備は経過する中で修正していくべきだろう。また、学習の格差が広がっているというのは事実なのだから、いずれにしても9月までに遠隔教育(テレ・ラーンニング)を義務教育として実現できる手だてをまず整えるKとが政府の緊急課題であろう。


    4月28日 府教委 「直ちに再開困難」

     京都府教育委員会の橋本幸三教育長は27日、5月6日までとしている府立学校の休校について「終息に向かっているという状況ではなく、直ちに再開できるかというところは難しいと考えている」との見解を示した。

     同日開かれた府議会文化・教育常任委員会で、橋本教育長は現在の休校措置について「新型コロナウイルス特指法に基づく知事から の要請により実施したものである」と説明。その上で大型連休中に政府が緊急事態宣言を延長するか判断すると見られていることを挙げ「それを待っていると5月7日に向けた準備ができない。早い時期に判断することも検討したい」と述べた。

     京都市教委も「最終的には国の緊急事態宣言の動向や近隣の府県、市の状況も踏まえて判断することになるが、現時点では直ちに学 校を再開することは難しいと認識しており、早めに判断し周知したい」としている。


    特措法によって授権された自治体の長としての姿勢が政府の判断を横睨みしながらの曖昧さに批判がつのるが、教育行政もそれに倣ってということだろう。市教委も同じ。この間目に見える教育対策が打たれてきたようには見えないのはそうした姿勢の上での話しか?


    4月28日 国民民主・維新 9月入学への制度変更を

     国民民主党は27日、学校の入学や始業時期の9月への移行を検討するワーキングチームの初会合を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大で学校休校が長期化するのを機に、米欧など主要国で一般的な9月入学への制度変更をめざす。日本維新の会も同日、同様の提言をまとめた。

     国民民主は小中学校や高校、大学を主な対象に、新学期の開始を9月にずらす想定で議論を進める。27日の会合で9月入学への制度変更の時期について(1)2020年9月(2)20年度を延長して21年9月――の2案を軸に検討すると確認した。

     新学期の開始時期は現在、学校教育法の施行規則が4月と定めている。自民党の岸田文雄政調会長は27日の記者会見で「進学や受験などへの影響も含めて幅広く検討すべき課題だ」との認識を示した。

     国民民主は立憲民主党など野党共同会派に枠組みを広げ、週内にも萩生田光一文部科学相に提言する。

     9月入学に切り替える利点として、休校に伴う学習の遅れを取り戻せ、海外留学もしやすくなるといった点を挙げた。部活動の大会の時期や就職に影響が出るおそれがあるとの指摘も出た。

     中長期の課題としてデジタル技術を活用した遠隔教育の推進や、保育園や幼稚園の9月開始の是非なども話し合う。

     城井崇座長は「社会全体が停滞している今こそ、大きな変化に踏み出せるまれなタイミングだ」と強調した。

     与党内の一部にも9月入学への移行を求める声がある。萩生田氏は24日の記者会見で休校の長期化を念頭に「あらゆることを想定しながら対応したい」と述べた。(日経新聞)


    子どもの教育の保障という観点からみても、ある意味オールリセットとしての「9月新学期」は十分議論する余地はある。かつて着物業界の反対があって沙汰止みになったとの噂がまことしやかに流れた事もあったが、旧来の学校のイメージで議論すれば再びこの案は実現しただろう。物理的な9月新学期ではなく、学びそのものを再考することと併せて議論する必要があるだろう。


    4月27日 学童保育 64%利用自粛

     新型コロナウイルスの感染拡大の中、対策に気を使いながら子どもたちを預かる放課後児童クラブ(学童保育)や保育の現場が疲弊している。学童は小学校休校が続き地域によっては長時間の開所を強いられ、いつまでこの状態が続くか見通せない。乳幼児が通う保育所ではおむつ替えやだっこが必要で「3密」を防ぐのは難しいとの声が相次ぐ。

     「終息が見通せず、指導員に疲れが出ている」。福島市で学童保育施設を運営する山田和江・福島県学童クラブ連絡協議会会長はため息をつく。

     最近まで30人以上いた利用者は現在数人に。ようやく「3密」は解消されたが「現場は『感染者を出してはいけない』というプレッシャーで精的に追い詰められている」と話す。子どもの手やおもちゃを拭く消毒液も間もなく底を突く。3月初旬に発注したがいまだに入荷の見込みがない。

     名古屋市内の学童保育で指導員を務める竹内隆人さん(39)は小学校の休校により、勤務が長時間化している。利用する子どもは半数に減ったが、長期休暇の時と同じように午前8時から午後7時半まで11時間半開所。唯一の正規職員のため、朝5時半に家を出て、学童の子どもたち用の昼食の食材を買ってから出勤。そのまま夜まで働くことも珍しくない。

     保育所も登園自粛を求める自治体が増えたが、保育士らは不安を抱えながら働き続けている。大阪府吹田市は4月中旬から利用を医療関係者などの子どもに限定した。「保育所でひとたび感染者が出たらクラスター(感染者集団)になりかねない。リスクを背負いながらの保育で、職員の精神的負担は相当大きかった」と担当者。

     一方、家庭での保育期間が長期化し「園児のストレス、保護者の負担感の増大が懸念され、虐待につながるケースが出ないか」と危惧する。


    学童保育の所管庁は厚生労働省なのだが、学校の一律休校を決めたのは文部科学省である。ではどちらが休んでいる子どもの問題を考えるのかという論議は今や成り立たないのではないか。子どもの虐待やDV、家庭内でのストレスの蓄積など解決を要する問題は山積み。いわゆる「3密」を避けた形での学校の教室の利用を考えることはできるのではないか。すでに一斉休校から2ヶ月がたとうとするのに具体策が見えないのは、縦割り行政の問題?


    4月27日 高校総体中止で 影響甚大 進路にも懸念

     学習指導要領で「学校教育の一環」に位置付けられている部活。IH(高校総体)の中止が決まり、多くの高校3年生が集大成の舞台を経験することなく部活を「引退」していくことになる。学校活動そのものが停止している非常時にやむを得ないとはいえ、生徒への影響は余りに大きく、指導者は進路への影響などを懸念している。

     日本の学校教育において部活は、課外活動ながら学業に並ぶ重要な位置づけにある。草津東高陸上部の小沢信一監督は「教育の柱が 崩れているような感覚を受けている」と嘆く。京滋では5〜6月に予定されていた各競技のIH予選も開催は難しそうだ。サッカーなど一部は冬季にも全国大会があるが、大半の3年生が受験や就職を控え、高校までで競技スーポーツに区切りをつける生徒もも多い。

     練習さえもできない状況が続いており、北桑田高自転車部の田中良泰顧問は「3年生は最後の試合に懸ける姿を後輩に見せることで大きく成長する。今まで当たり前だったことも経験させることができず言葉が見つからない」と無念さを語る。

     またIHの結果をスポーツ推薦の選考条件にしている大学も多く、進学を目指す生徒への影響も大きい。2年までの実績が乏しくても3年で一気に花開く選手もおり、今回の判断は挑戦の機会自体がなくなったことを意味する。

     一方で全国高体連は、安全に部活動が実施できる状況になることを前提に、3年生の大会などの実施に向けた検討を各都道府県高体運に要請する方針だ。京都府高体連陸上専門部の渡辺為彦委員長は「何とか高校最後の機会を経験させられないか。いろいろな可能性を探りたい」と話した。


    ここでもこれまで問題になってきた高校(教育)と部活(スポーツ)の関係が鮮明に見えてきた。高校野球も含めて「最後の」舞台を経験させてやりたいという関係者の思いは痛く理解できる。しかし、それだけでは情に流されることにはならないか。この機会に教育とスポーツを、その頂点としてのオリンピックを考え直す時期に来ているのではないか。


    4月24日 「マスクは白」校則ですか?

     新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続く中、各地の学校で白のマスクを子どもに強要するケースが相次いでいる。「こんな時に・・・」「腹が立った」。インターネット上.で不満が広がる一方、色を限定しないよう学校側に働き掛ける動きも。専門家は「子どもの自由だけでなく、安全や健康を侵害させかねない問題だ」と指摘する。

     「そのマスクってピンクじゃない?白はないの?」。3月上旬、佐賀市内の中学校に通っていた女子生徒(15)は、休み時間中に廊下で女性教諭から呼び止められ、そう注意された。

     生徒は「何色でもいいじゃん」と思い、指摘を受け流した。生徒は取材に対し「マスクは店で売ってないし、そんなに白がいいなら学校が配ればいい。意味が分かんない」。

     佐賀市教育委員会の担当者は同様のケースは報告がないとした上で「白は汚れが目立ち、衛生的には望ましいが、店頭に並んでいないという現状を踏まえれば色は関係ない」と説明する。

     だが、札幌市教委の会議や群馬県議会の委員会でも3月に入り、生徒らが学校側から色や柄を注意されたという事例が報告された。会員制交流サイト(SNS)上では、生徒や保護者らから「こんな時に色指定だなんてこむごい」「この状況でまだそれ言つ?」と批判の声が上がる。

     こうした学校側の指導を是正する動きも見られる。札幌、熊本両市の教育委員会は3月下旬までに「品薄である実態を踏まえて適切に対応してほしい」「白に限定する対応は不適切であり、絶対に行ってはいけない」とそれぞれ学校側に呼び掛けた。

     「教育」の危うさをテーマに「学校リスク」を研究する名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「学校の秩序を優先したのかもしれないが、色の指定は子どもの自由や個性を抑圧するだけではなく、感染拡大に対応する地域社会を脅かしかねないという意味で、一重に不当だ」と指摘した。


    教育の現場(あえて学校現場とはいうまい)のこの感覚は、パンデミック以前の不当な価値観が問い直されているという認識がないままであることを示している。これまで問題ではあったが日常の中に埋もれていた事柄が噴出し、改めて問い直されることになっていることに気がつかないいと、「ポストコロナ」の時代を正しく見ることはできなくなるだろう。


    4月24日 高等教育無償化プロジェクトFREE 13人に1人退学を検討

     新型コロナウイルスの感染拡大に関する学生団体の調査で、大学生らの約6割が、アルバイトの収入が減ったりなくなったりしたと回答したことが22日、分かった。親の収入がなくなった、または減ったと答えた学生も約4割に上り、調査に答えた学生の13人に1人が、大学を辞める検討を始めていると回答するなど、多くの学生が経済的に厳しい状況にあることが浮かんだ。

     調査は、学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が9日から、インターネットで実施。21白夜時点で回答のあった大学生や短大生ら514人の回答をまとめた。

     アルバイトの収入を尋ねると、「減った」が37・4%、「ゼロになった」が23・0%。家計を支えている人の収入や、仕事への影響では、36・4%が「収入が減った」、3・3%が「収入がなくなった」と回答した。

     自由記述欄では「バイトがなくなり、学費が払えるか不安」 「父が自営業をしているが、売り上げが8割減った。『お金のことは心配せず、勉強しなさい』と言ってくれるが、大学を辞めざるをえないのか不安」などといった切実な声が多く寄せられた。

     学生団体は22日、東京都内で記者会見し、代表を務める東大4年の岩崎詩都香さん(21)が「この事態が終息する時期が分からない中で、学費をどうしようという人がもっと増えるかもしれない」と訴え、一律の授業料半額免除などを求める緊急提言を発表した。


    教育に関わる国家の予算がOECD加盟国で下位にある事はすでに知られている。この間の様々な国の対応を見ていると、基礎的な理念がはっきりしている国あるいはこの期に及んで明確にした国とそうでない国との差がはっきりとしている。勿論わが国は明確にしてこなかったし明確にしていない国である。おそらく第2次の補正予算を組まなければならないのだから、いまからでもどこに資金を投入すればいいのかをきちんと考えて欲しい。そのためには挙国一致内閣あるいは大連立、選挙管理内閣などの視野に入れる必要があるだろう。安倍首相の統治能力すでに破綻している。


    4月24日 市教委 就学援助世帯 給食費を支給

     新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う一斉休校で京都市立小中学校の給食の提供がなくなったことを受け、市教育委員会は23日までに、経済的に苦しく就学援助を受けている世帯(生活保護世帯除く)へ、4月からの給食費相当額を支給することを決めた。無償で給食が提供される就学援助世帯の負担軽減を図る。

     5月1日までの期間で取りやめた日数に1食分の給食費を掛けた金額を、5月中に口座振り込みなどをする。給食費は通常、小学生で262円、中学生で310円。対象の児童生徒は約1万1千人になり、総支給額は4千万〜4500万円を見込む。

     市で就学援助を受けている児童生徒の割合は19・5%(2018年度)で、府内全体と比較して2ポイントほど高い。うち生活保護を受けている1653世帯には厚生労働省の通知に基づき、生活保護費に上乗せされる形ですでに3月分から支給されている。

     市教委ほ「家計負担軽減のための特例措置で、今後もきめ細やかな対応を検討したい」としている。


    【インサイド】金銭支援では食事届かぬ恐れ

     休校が長期化する中、経済的に苦しい家庭の児童生徒の昼食を支援しようという動きはほかの自治体でも見られる。だが京都市のような金銭支給では、保護者が就労や病気などで調理が難しい場合、栄養のある食事が子どもに届かない恐れがある。支援者らは「食事を提供する制度が必要だ」と訴えている。

     東京都文京区では、給食費1食分に当たる200〜300円程度で休校中の昼食代を賄うのは難しいとして、就学援助世帯に1食当たり500円を補助。兵庫県南あわじ市でも昼食の経費に代わる臨時給付金として4月分は一律1万円を同世帯に支給する。

     休校中の預かりを利用して、学校で過ごす児童生徒に給食を提供する自治体もある。野洲市や湖南市では3月、東京都三鷹市では4月から始めた。感染リスクを心配する声もあったが三鷹市教育委員会は、「休校が長引く中、食事に困っている家庭を救うため」と説明する。

     ただ食事に困っても預かりを利用していなければ給食を食べられない。神奈川県藤沢市では4月から、事前にインターネットで申し込んだ希望者に、給食室で調理されたおにぎりなどを持ち帰り用として学校で100円で提供している。市教委は「この方法であれば誰もが利用でき、学校で食べるリスクも避けることができる」と話す。

     京都市教委が決めた給食費相当額の支給に対し、小学校の元栄養教諭で「より豊かな学校給食をめざす京都連絡会」の金井多恵子事 務局長は「経済支援として大切だが、子どもの健康を守るという意味では解決にならないのではないか」と投げ掛ける。夏休み中、家庭の事情で食生活が不規則になり、体重が増減したり体調を崩したりする子どもを教員の頃に見てきた。「休校が長期化すると子どもへの影響は深刻になる。フードバンクと企業、自治体が連携し、食料品や弁当を必要としている家庭に届けるシステムをつくることが望ましい」と指摘する。


    神奈川県藤沢市のケースは学校再開時どうするのか(給食調理室の衛生管理など)とい問題はあるのだけれども、給食費=昼食代ということにはならない。おそらく加えて調理のための人件費や材料費、光熱水費などが加算されて昼食代となるのだから。休校の長期化含めて小学校や特別支援学校の給食調理室をどう有効に利用するのかも視野に入れなくてはならないのではないか。


    4月22日 文科相 夏休み・土曜授業も

     萩生田光一文部科学相は21日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国各地の休校の長期化を踏まえ、学校の再開後に通常授業だけでは学習が間に合わない場合、夏休みや土曜に授業をする必要が出てくる可能性もあると指摘した。

     萩生田氏は「今から言うと萎縮するかもしれないが、夏休みが全て休みにできるのか。一部の日程は授業をやるとか、平日放課後に補習をやるなどして、しっかりカバーしないといけない」と話した。

     文科省の19日時点の調査では、岩手県と和歌山県を除く45都道府県は全ての都道府県立学校で休校したり、休校を決めたりしている。ほとんどの都道府県教育委員会は5月の大型連休明けから学校を再開する方針を示しているが、萩生田氏は休校がさらに長引いた場合の対応については「ありとあらゆることを想定しながら考えたい」と述べるにとどめた。

     4月の新学期から学校を再開できていない地域の中には、教科書の配布ができていなかったり、子どもの自宅学習の進行を十分に確 認できていなかったりするところもあるとし、「各自治体の皆さんに取りこぼしのないようお願いしたい」と求めた。


    政府のコロナ対策に批判が噴出しているが、これまでに経験にない事態である事から「失敗」はやむをえない面がある。しかし、問題はそのことを全く認めない政府の姿勢ではないか。次ぎつぎと看板をかけかえるのはこれまでの常套手段のように思える。そして、決定は地方に委ねるという無責任体制といってもいいだろう。教育においてもこのことはいえる。これまでの休校期間中に、それぞれの家庭では子どもの教育を独自の方法で積み上げている。再開された時点では大きな「学力」格差が生じている懸念はぬぐえない。ある自治体では子どもに図書券を配布するという奇抜なアイデアを出しているところもあるが、文科省はそうした地方や家庭の懸念を払拭する具体策を示す必要がある。おそらく収束までは長期間をようするだろうし、「今から言うと萎縮するかもしれない」などとうそぶくだけではなんの解決にもならない。


    4月21日 【表層深層】 経済危機で解雇、雇い止め

     今野晴貴(NPO法人「POSSE」代表) . .

     感染が広がる新型コロナウイルスは、日本の雇用に重大な影響を与えている。NPO法人「POSSE」やその連携団体には、3月31日時点で関連する計313件の労働相談が寄せられている。

     教育関係が最多

     相談してくるのは、契約社員、派遣、パートなどの非正規雇用や外国人など弱い立場に置かれた労働者たちだ。フリーランスや個人事業主などからも寄せられている。相談内容の多くは、使用者側の事情による休業に関するものだが、最近は解雇、雇い止め、採用内定の取り消しも目立ってきた。

     最も多いのは、一斉休校に伴う教育関係者からの労働相談。公立学校の非正規教員は、自宅研修扱いなどで給与が保障されるはずだが、支払われていないケースが少なくない。授業が減らされた分が、そのまま支給減となる場合もある。非正規教員が約4割を占める私立学校では事態はより深刻だ。3月分は、休業手当も含む給与がまったく支給されないという相談が寄せられている。

     塾や専門学校などの講師も厳い立場に立たされている。ある講師は、3月の授業が全てキャンセルされ、収入がまったくなってしまったという。英会話学校で働く外国人労働者やの塾講師、スクールバスの運転手からも、休業手当がもらえるかどうか分からないという不安の声が出ている。

     観光業では、キャンセルが多いことを理由に休業を求められたにもかかわらず、休業手当はもらえないという相談が多い。ホテルに採用を予定されていた学生アルバイトが突然ほごにされてしまったり、バスの添乗員が無給の休業を求められたりしたケースもあった。

     近年、行政の窓口や施設業務は、非正規公務員や下請けへの委託が進んできたが、そうした職場の労働者からも「施設が休館だから給与を払わないと言われた」という相談が複数あった。

     相談者の多くは、賃金を減らされて生活できないと訴えている。6割の休業手当があったとしても生活苦はなくならない。今後も事態が収束しなければ、家賃の支払いが困難になるなど生活こ重大な支障を来す恐れがある。

     大学生や留学生も予定していた収入がなくなれば、学費が払えないなど深刻な事態になりかねない。実際、飲食店で働く、ある留学生は、シフトを半分に減らされてしまったという。

    非正規への差別

     印象的なのは、正教員や正社員には休業手当が支給されるのに、非正規雇用の労働者には支給されないケースがいくつもあることだ。非正規差別が影を落としていることは間違いない。

     2008年秋のりーマン・ショックによる世界金融危機では、製造業を中心に非正規労働者が一斉に解雇され、住居喪失者があふれた。今回の経済危機も製造業にまで広がる気配を見せている。国内の自動車工場も相次いで生産をストップしており、今後、期間工や派遣労働者が大量に失職する危険性があるいリーマン・ショック当時よりも非正規労働者は増加しており、未婚率も上昇した。正社員になれないまま年齢を重ねた「中高年フリーター」も社会間題となっている。収入が途絶えても、配偶者や親を頼ることができない非生親労働者は以前よりも増えている。

     今回の危機で、政府は緊急策を打ち出している。使用者が労働者に休業を命令した場合、使用者側が支払いの義務を負う休業手当について、雇用調整助成金を特別適用して助成する。

     一斉休校に伴い、子を持つ働者を休業させた企業には、対象労働者に支払った賃金相当額を1日8330円を上限にする。政府が進める「雇用によらない働き方」のフリーランスは当初この制度から漏れていたが、1日4100円が支給されることになった。

     だが、こうした助成だけでは十分ではない。現在、国民への一律の現金給付が議論されているが、一定額の現金だけで必要な生活ニーズを満たせるとは恩えない。正規、非正規、自営業の別なく、住居や最低生活費などを保障できる制度を確立すべだ。この10年で雇用の不安定性が増したため、社会保障制度の重要性もさらに増している。


    隠れていた従来からの雇用問題(「非正規への差別」)が、コロナによって一気に表面化してきたといえるだろう。また、教育産業の肥大化を推進してきた政府の教育政策の矛盾点も同時に見えてきた問いべきかもしれない。


    4月20日 コロナ解雇 相談急増

     新型コロナウイルスの感染拡大を受け外出やイベントの自粛が広がった3月以降、労働組合などに解雇や雇い止めに関する相談が急に増えたことが分かった。一斉休校に伴う休業補償などの内容が多かった2月までと様相が一変。連合の集計では、3月の上旬に比べ下旬は10倍以上に増えるなど、雇用への影饗が深刻化する様子がうかがえる。

     連合は3月の上旬と下旬の2回、新型コロナ関連の緊急相談を実施。上旬は休業補償や業務中のマスク着用に関する内容が多く「解 雇や退職強要、契約打ち切り」は4件のみだったが、下旬は49件に増えた。「いきなり派遣を切ると言われた」「業績が悪いので解雇すると言われた」などの訴えだった。

     緊急相談以外にも、3月は前年同月比で約700件増の1804件の相談が全国から寄せられた。そのうち解雇などに関するものは200件と内容別で最多だった。

     労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」(東京)では、2月までは休業補償の相談が中心だったが、3月に入って解雇関連が増え始め、4月は上旬だけで50件を超えた。業種では観光や飲食が目立つが、製造業やITなどでも派遣や契約社員を中心に雇用不安が広がりつつある。

     全労運の集計では、3月中以降、解雇に関する相談が計10件と増えてきた。育休で休むのと(退職して)失業保険を受給するのと、どちらがいいかと迫られた」といった切実な声があった。

     非正規労働者の組合員が多い「全国ユニオン」 (東京)でも3月中旬から雇い止めの相談が増えたといい、関口達失事務局長は「ほとんどが新型コロナ関連。影響はどんどん広がっている」と懸念を示した。

     厚生労働省によると、新型コロナによる業績悪化などで解雇されたり雇い止めされたりする見込みの人は、国内で感染が広がり始めて以降、4月16日時点で1974人。3月5日の448人から4倍以上になった。


    「合理的理由なしは無効」

     新型コロナウイルスによる雇用への影響が深刻化してきた。労働組合や弁護士らは相次いでホームページにQ&Aを掲載。「解雇は自由にできない」などと、法律知識を交え、勤務先から解雇や雇い止めを言い渡された際の対応をアドバイスし、「諦めないで」と訴えている。

     連合は、これまで寄せられた相談内容を基にQ&Aを作成した。解雇については労働契約法で「客観的に合理的な理由を欠き、社会 通念上相当であると認められない場合は無効と規定されていると紹介。

     その上で、経営難による人員整理を理由とした解雇は@人員削減の必要性A解雇の回避努力B対象者選定の合理性C事前の説明や協議―の要件を満たさなければならないと説明した。

     日本労働弁護団のQ&Aでは、契約社員やパートなど非正規雇用で働く人たちの雇い止めも正社員の解雇と同様、正当な理由が必要 だと指摘している。弁護士ら専門家へ相談することを勧めている。

     また、契約期間中の解雇は「よほどのことがない限りできない」として、単に経営難で人を減らしたい、仕事が少なくなったという理由では認められないと強調した。


    コロナ蔓延のなかで弱者から最も大きな被害を受けるとの指摘がされてきた。安倍首相の「在宅動画」はそれと対極にあるもので、弱者の在り様を全く理解しないものとの批判を受けSNS上で炎上した。同様に正規労働者も非正規やパーとなどの条件で働く労働者に対する想像力が欠如していてはならないだろう。それを踏まえた上で正規労働者が「労働環境の改善」を要求する事は必要だろう。マスクが不足している状況で個々がそれを調達しながら勤務することを当然、あるいは仕方がないとすることは想像力に欠如ではないのだろうか。


    4月18日 【土曜評論】家事負担増に対策必要

    ―京都大学教授 落合恵美子―

     緊急事態宣言が出てもスーパーは意外と混んでいる。そういう報道に接して、買いだめに走る主婦か、と苦々しく思った方もいらっしゃるかもしれない。しかし、ちょっと考えていただきたい。

     「家にいる(ステイホーム)」ことが推奨され、子どもたちは休校・休園、大人たちは在宅勤務で一日中家にいる。しかも外食は控えないとならない。つまり自宅で3回食事をする人が大幅に増えたということだ。その食事を用意するためには、今までより頻繁に買い物に行って大量の食材を購入しなければならない。新型コロナウイルスに自分が感染するリスクを心配しつつ、スーパーに出かける主な理由は、家族の食事のためだろう。

     主婦でも、職業をもった女性でも、在宅勤務の場合でも、女性たちがいま一様に口にするのが家事負担の増大だ。朝5時起きで休校の子どものためにお弁当を作ってから出勤するという女性管理職の話も聞いた。しかし一方、「家にいる」とはリビングのソファでペットと戯れ、お茶を飲むことだと思っている人もいるようだ。みんなが「家にいる」ためにはどれほどの家事が発生し、誰がその負担をしよっているのか、見えていない人が多すぎる。

     「コロナDV(ドメスデイツクバイオレンス)」「コロナ離婚」が話題になり始めたが、それは問題の一角にすぎない。その裾野には休校・休園と在宅勤務で異様に膨れ上がった家族の負担と、それに伴うストレス、家族内のあつれきがある。ステイホームに伴うシャドーワーク、つまり目に見えない仕事をきちんと見ないと、この国の生活も経済も潰れてしまう。

     そこで「家にいる」ことの実態について緊急調査をしてみた。対象は「自分もしくは同居家族が新型コロナの影饗により、在宅勤務を経験した人」とし、4月85日日に大学院生の鈴木七海さんと共同でウェブ調査を実施して、340人の男女から回答をいただいた。

     詳細の分析はこれからだが、全体として家事の時間が増えたという回答が目立つ。特に食事を作る回数が増えたという。「旦那のの昼食」が増えたとはっきり答える裏もいる。「ステイホーム」は多くの場合、家族が行う家事の総量を増やしている。3倍増に感じる、と負担感を訴える例もある。家事の分担はというと、在宅になった夫が一部の家事をしてくれるようになったという声もある一方、家事分担は一切しないうえ、在宅勤務中に掃除機の音を出すなと言われて大変など、両極がある。

     在宅勤務そのものよりも影響が大きいのは、保育園や学童保育の休止、休校などにより、子どもが家にいることのようだ。「子どもの昼食」が増えたのはもちろんのこと、休校になった小学生の子どもの勉強を見てやらねばならない。子どもの世話に加えて家事と仕事をしているので、自分の仕事は夜中になるという女性の切実な声もある。

     これに「自宅療養」「自宅隔離」のケァが加わったらどうなるのだろう。家族は何でも呑み込めるわけではない。経済対策ばかりでなく、ケアや家事も含めた生活が回るようにする対策を望みたい。


    コロナの蔓延でこれまで明るみに出なかった問題が次々に表れてくる。高度経済成長の幻想に取りつかれた世界とりわけ日本はその弊害が目立つように思える。ここで言うのは時期尚早なのかもしれないが、「ポストコロナ」はひょっとすると「ポストモダン」なのかもしれない。コロナ撲滅は必要だとしても冷静な目できちんと状況を把握する努力はしておかねばならない。


    4月17日 文科省 学テ中止

     文部科学省は17日、小学6年と中学3年全員を対象とした「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)について、新型コロナウイルスの感染者増加を受け、今年は実施しないと発表した。小5と中2の全員を対象とした全国体力テストも中止する。

     全国学力テストは文科省が2007年から実施。東日本大震災が発生した11年に事実上の中止となったほか、16年には熊本地震で熊本県内の全小中学校が参加を見送った例がある。今年は4月16日に予定されていたが、文科省は3月、学校の準備が整わないことなどを理由に延期としていた。

     17日に記者会見した萩生田光一文科相は緊急事態宣言が全国に拡大されたことを踏まえ、学校再開後も現場が落ち着くまで相当の時間がかかると指摘。学校の指導計画の大幅な見直しが必要で「改めて(学力テストを)設定することは困難だ」と述べた。既に用意していた問題は各自の判断で学習に使えるよう、自治体や学校に送付することも明らかにした。

     19年4月の学力テストは、約105万人の小6、約98万人の中3が参加。体力テストは子どもの体力向上に関わる施策に生かすため、08年度から始まり、19年4〜7月の調査には約105万人の小5、約96万人の中2が参加した。.



    4月17日 ネットアンケート 非正規労働者悲痛な声

     「仕事が無く、無収入」「解雇になり、求人も無い」。全国の弁護士や研究者らでつくる団体「非正規労働者の権利実現全国会議」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響について非正規労働者や請負・委託の形態で働く人(フリーランス)にアンケートを行ったところ、仕事の減少などで日常生活が脅かされているといった不安の声が、多数寄せられた。正社員との待遇格差も浮かんでおり、同会議は安易な解雇や雇い止めの禁止や休業補情、労働者の安全確保などを求める提言書をまとめ、国に提出した。

     パートやアルバイト、有期雇用で働く人やフリーランスを対象に、3月18〜31日にインターネットを通じてアンケートを実施した。全国から 272件の声が寄せられた。

     イベント会場施行をしていた女性からは「イベント減少により正社員を優先するため、アルバイトは自宅待機となり、約2カ月間収入がなくなった」との声があり、旅行・観光業の女性は「全社休業につき非正規パート全員解雇」との実態が寄せられた。

     製造業補助の女性は「コロナにより帰休が増えた。社員には8割の給与があるが、パートには何もない」と正社員との格差を挙げた。職場の安全管理を問題視する回答もあり、物流管理を担当する女性は「正社員のみテレワーク。派遣は対象外。派遣のみ出勤している部署あり」と雇用形態によって差別があると指摘した。

     こうした声を踏まえ、同会議では、安易な解雇、雇い止めを規制▽賃金全額相当の休業手当を支払うよう指導▽フリーランスに対する安易な契約解除・打ち切りの制限▽安全確保措置について不合理な待遇差を設けないよう規制―といった提言をまとめ、今月6日に国に提出した。

     同会議代表幹事の脇田滋龍谷大名誉教授(労働法)は「非正規労働者やフリーランスは労組に加入していない人が多く、声を上げられない。今回寄せられた声は氷山の一角にすぎない」と指摘。「緊急事態宣言を受けて今後さらに同様の問題が広がる可能性が高い。国も率先して実態把握に努めてほしい」と訴える。

     同会議のホームページで引き続きアンケートを受け付けている。


    制限を設けないで個人に10万円支給が決定された。政権のパフォーマンスの感がぬぐえないのだが、同じパフォーマンスなら3月2日の一斉学校休校の折に「この10万円で何とか1月外出を控えて欲しい」とのメッセージを出すべきだったのではと思ってしまう。安倍政権の政策が全く的を得ていないないのは今更で、「政権末期」との声も出始めている。それとは別に、蔓延を止めるには「8割の人的接触」という提言がある中で最も問題は「通勤」だと指摘されている。自分を危険に晒して通勤する労働者をどう守るのかという役割は労働組合にないのだろうか。経営者や理事者の判断を待つまでもなく労働安全衛生という側面で、時差通勤、テレワーク、自宅待機、賃金の保障などを要求する必要があるだろう。とりわけ正規労働者の組合はこの間動きが非常に少ないのはその役割を果たしていないと批判されてもしかたがないかも。


    4月16日 市教委 映像で小4〜中3学習解説

     新型コロナウイルスの影響で京都市立小中学校の休校が続く中、市教育委員会は4月の授業で教える予定だった学習内容を解説する テレビ番組を、KBS京都で20日から放送する。動画投稿サイト「ユーチューブ」に載せるほか、京都新聞社の子ども向け新聞「ジュニアタイムズ」では概要を紹介する。市教委は「自宅で学びを継続するために利用してほしい」と呼び掛けている。

     休校中に規則正しい生活を送ってもらおうと、市教委とKBS京都テレビを運営する京都放送(上京区)、京都新聞社の3者が「京都・学びプロジェクト」として企画した。教委と地元の放送局、新聞社が連携して学びの機会を創出する取り組みは全国でも珍しいという。

     番組名は「がんばれ!京都の子どもたち」。小学4年〜中学3年の国語や算数など各教科について、それぞれ15〜30分ずつ収録し、30分間の番組こ編集する。

     各教科の指導主事が、4月に学ぶ予定の内容や自習の際のポイントなどを分かりやすく解説する。放送予定は20〜30日の平日の午前9時、同10時、同11時、午後2時半、同3時半からで、曜日によって放送しない時間帯もある。

     ユーチュープは番組を見ることができない家庭のために28日から公開する。京都新聞社のジュニアタイムズは毎週日曜に発行してお り、5月3日版に番組の概要を掲載する。4月19日、26日版にも感染防止に役立つ情報などを載せ、希望する家庭には家庭訪問などの機会に教員が提供する。

     市教委は「自分の興味や関心に合わせて見てほしい。家庭でどう学習すればいいか分からない人もヒントにしてもらいたい」としている。


    全ての子ども(どこの家庭にもテレビがあるとすれば)を対象にした取組としては面白い。できれば従来の学習指導要領に沿ったものではなくアクティブラーニングをイメージした内容になると望ましい。というのは、この手の内容は動画サイトには山ほどあるから、アクセス資源がある家庭にとっては目新しさがない。加えて、こうした機会に文化資本の格差を埋めるという視点で番組を編成しようとする意欲があってもよいだろう。


    4月15日 学習塾 ネットで独自授業

     新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校などで、この春は家庭で勉強する方法を探す親子も多いだろう。さまざまな教育素材があるインターネット上で、独自の理念でオンライン授業を展開する二つの塾に取材した。

     「よっしゃー!・数学と恋愛相談を担当する『ほしていー』だぜ-」。中学生向け無料オンライン学習塾塾「めのば」の画面で代表の星野智さん(38)が熱く呼び掛けた。

     「ゆめのば」は2018年、福島、群馬、兵庫各県の塾経営者で友人の3人が設立。教育格差の解消を掲げ、高校受験を目指す受講生に無料で、中学3年間の5科目を分かりやすく講義する。

     設立の契機は、兵庫県明石市で塾を開く星野さんに、伊豆大島で小学校教諭を務める友人が寄せた相談。「教え子が(本土の)高校を受験したがっているが、島では十分な受験勉強ができない」。星野さんの塾でも当時親の離婚の影響で通えなくなった生徒がいた。

     母子家庭で育ち、経済的な苦労を知る星野さんは一念発起。友人2人と手弁当で「ゆめのば」を立ち上げた。利用者は全国に約7千人。沖縄県が一番多く、東京都、大阪府が続く。希望校に合格した生徒も多いという。

     受講した女子生徒の一人は「画面の中の先生との距離が近く、見るのが楽しかった。(先生を)信じて頑張ることができた」との声を寄せた。オンライン学習はモチベーションの維持が課題といい、「仲間や先生の声掛けが必要不可欠です」と周囲の応援を訴える。

     一方、全国一斉休校を受けて特別授業を動画配信し、4月からオンライン授業を始めたのが「探究学舎(東京都三鷹市)。既存の受験勉強とは一線を画し、小中学生らの好奇心を育む「興味開発型」授業で人気の塾だ。

     特別授業の初回は、好きなことに熱中して社会貢献した「偉人」として米国の実業家ステイープ・ジヨブズの足跡を取り上げた。豊富な画像と巧みな語り口、視聴する生徒からチャットで次々届く感想を織り交ぜた授業は、大きな反響を得た。

     代表の宝槻泰伸さん(38)はオンライン学習に新たな可能性をみる。「学習履歴を蓄積すれば、それぞれの子が探究してきたことや学習スタイル、どんな個性・資質を磨いてきたかが分かる。教師は一人一人にもっと対応できるようになる」。子どもの学びも広がる。

     今春の休校などで、学校に行かずに学ぶ方法を考えた人は多く、その経験が学校を捉え直す契機になるのではないか、と宝槻さんは考える。「将来、学校は午前中に最低限の能力開発だけを担う場所になり、午後に子どもは自分で決めた時間割に沿って、好きな場所で仲間と探究するようになるのではないでしょうか」と期待を込めて話した。


    学校の在り方 変え チャンス

     異例の休校で、各地の学校も臨機応変な対応を迫られている。「自宅でのオンライン学習の仕組みを本気で議論してこなかった学校も多いが、今できることをしていかなくては」と促すのは藤川大祐千葉大教授(教育方法学)。千葉大教育学部付属中の校長も務める。

     塾の受験用オンライン学習との違いを、こう指摘する。「例えれば、教育産業のコンテンツは作り込んだテレビ番組。でも学校は、少ないリスナーに向けて語り掛ける、地域の手づくりラジオ番組でいい」。自校の生徒が今、求め るものに応える姿勢が大切という。

     付属中では臨時休校の始まった3月から、毎朝9時に校内専用ホームページに学年別の学習課題や学校のメッセージなどを載せる。「大半の家庭にはスマートフオンなどがあり、1日1回のチェックなら負担は少ない。毎朝発信す ることで、生活のリズムをつくるのにも役立ちます」。生徒からのメッセージや、作文も公開できるという。

     異例の長期休校で、授業や行事、式典、部活動などの大幅な見直しが必要となる。その中で、学校の役割や価値、在り方も再考される、とみる。

     「学校でしかできない学びは、集団で学ぶこと、皆で協力して一つのものをつくること。今回は、学校の在り方を より本質的に変えるチャンスになるかもしれませんね」


    教科書の無償配布が始まった頃は、教育の国家統制を広げるとの批判があった。それが杞憂ではなかったことは、学習指導要領の厳格な実施を求める国の方針に従った教科書作成が行われていることになっているからであろう。しかしその反面、「義務教育は無償」とした憲法の規定を実践したともいえる。同じように電子的端末が教育の必需品である状況がコロナ状況下で明らかとなった。「GIGAスクール構想」がそれを具現するものだが、すべて補正予算として計上されるというのは国の消極的な姿勢を示すもの。一方で、民間による遠隔教育が爆発的に拡大していることは今後の教育の在り方を大きく変える可能性があるように見える。ただ、バーチャルとリアルをどう組み合わせるということが課題で、学びそのものはあくまで「主体的」出なければならない。あえていえば、知識の集積が学びではないということ。


    4月15日 府・市教委 21年度新規採用要綱発表

     京都府と京都市の両教育委員会は14日、2021年度教員採用試験の実施要項や日程を発表した。定年退職者数が多いことから、採用人数は府教委で前年度より別人増の400人程度、市教委で40人増の375人程度を見込む。

     府教委は小学校で140人、中学校で110人、高校で90人、特別支援学校で45人募集。高校では音楽、美術、水産、福祉の教員は募らず、障害者特別選考では新たに知的、精神障害者を対象とした。

     小学校での教科指導の専門性を確保するため今回から、中学、高校免許の所持者が小学校を志願する場合 は、免許が英語なら10点、それ以外では5点を選考で加点する。高い専門性がある人を募る「スペシャリスト特別選考」では、採用を高校のみから中学校にも広げた。

     市教委の採用は小学校で170人、中学校で100人、高校で15人、総合支援学校で60人。高校では情報科教員を新たに募集する。就職氷河期世代や多様な人材を受け入れるため受験の年齢要件を緩和し、採用日時点で原則45歳末満から50歳末満に引き上げた。

     志願コースに「小学校理科教育推進コース」を新たに設け、理科教育の高度な知識などを有する受験者に加点する。今回から出願の受け付けを原則インターネットにする。

     出願期間は府教委が23日〜5月22日、市教委が27日〜5月25日。1次試験(筆記)は両教委とも6月27日。新型コロナウイルス感染拡大を受け、試験日程や会場などが変更になる可能性がある。



    4月11日 文科省 家庭学習を成績評価にも

     新型コロナウイルス感染拡大を巡り、文部科学省は10日、休校中の児童生徒が行った家庭学習を成績評価に活用でき、学力を身につけたと確認できる場合には、学校再開後に同じ内容を授業などで扱わなくてもよいとする特例の通知を、全国の都道府県教育委員会などに出した。

     また、萩生田光一文部科学相は同日の記者会見で、感染拡大の可能性が高いと保護者が判断して学校を休む子どもについて、校長が合理的な理由だと認めれば欠席として扱わない見解を示した。

     文科省は対面の指導を重視しており、学校再開後には、長期休みの短縮や学校行事の絞り込みなどをして、補充授業や土日の補習などを実施するよう要請している。

     ただ、休校が長期化し、再開後に十分な授業時間が確保できない恐れがある。そこで、休校中はパソコンなどを使ったオンライン学習や学校が作成したプリントなどの教材を利用した家庭学習を求めた上、こうした措置も取った。

     措置の適用については、学校長の判断で行うとした。文科省は家庭学習を指導計画の中で適切に位置付け、学習状況や成果を十分に把握しなければならないという要件を課した。

     萩生田氏は緊急事態宣言の対象となった自治体以外は「用心をした上で、学びの機会を確保してあげていただきたいと考えている」とした。一方、ウイルスについては解明されていない点が多いとし、感染拡大への懸念などから自主的に休ませる家庭への理解も示した。


    一概に「家庭学習」を想定する事は難しいだろう。また、これを成績評価にも加えるということは一層困難だと思える。こうしたことを学校長の裁量でといわれたら現場は判断に苦しむ。家庭の文化資本が学力に影響する事は既知であるにもかかわらずそれへの対応策を文科省は示していない。改めて言うまでも無く義務教育の「義務」は国家の役割である。店舗営業の自粛と補償が一体であるのと同じように、休校と学力保障は一体でなければならない。


    4月9日 自民党 コロナ危機逆手 改憲議論

     自民党が新型コロナウイルス感染拡大を逆手に、憲法改正に絡め緊急事態対応の議論を呼び掛けている。安倍晋増三首相も「大切な課題」と訴えるが、現行憲法には有事を想定した参院の緊急集会の規定があり、論議の必要性に疑問もある。野党はコロナ危機の悪用だと反発しており、協議の見通しは立っていない。

     「感染症への対応も踏まえつつ、国会で与野党の枠を超えた活発な議論を期待したい」。首相は新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言発令に先立つ7日の衆院議院運営委員会で、改憲議論への波及を後押しした。

     背景には、衆院憲法審査会の与党筆頭幹事、新藤義孝氏(自民党)が3日、緊急事態時の国会機能の在り方をテーマに憲法審開催を野党側に打診した経緯がある。

     論点は@国会議員に多数の感染者が出た場合、本会議を開いて議決するための定足数を満たすことができるのかA議員任期満了まで感染が終息せず、国政選挙を実施できない場合、議員不在の事態が発生する―の2点。

     野党が「新型コロナ対応を優先したい」と憲法審開催を拒否する中、新藤氏の提案はコロナ対応を迫る野党の主張を逆に利用する形となった。

     自民党改憲案は、大規模災害を想定した緊急事態条項創設を明記。国政選挙ができない場合の議員任期延長を盛り込んでいる。今回の危機を奇貨として実質的な改憲議論を進めたいとの思惑があるのは間違いない。

     公明党内には「国権の最高機関として果たすべき役割を真剣に考えた方が良い」(石田祝稔政調会長)と議論開始に一定の理解を示す声がある。ただ、山口那津男代表は、緊急時の議員任期延長について憲法54条で定める参院の緊急集会を生かすべきだと慎重姿勢を示したことがある。

     54条は、衆院解散後の緊急時に衆院の機能を参院が代替する規定。多数の議員が感染し、衆院が総議員の3分の1の定足数を満たせず、議決権を行使できない場合にも54条を適用できる余地は残る。

     憲法解釈を担う内閣法制局は、真に国政上の緊急の必要がある場合には適用できるものの、抑制的に運用すべきだとの立場。実際、現行憲法下で緊急集会は70年近て開かれていない。自民党の思惑を見透かす野党は「言語道断」(共産党の志位和夫委員長)と突き放す。できる限り改憲論議を遅らせ、首相在任中の改憲実現を困難にする構えだ。


    安倍内閣と自公政権の個々までのコロナ対策が果たして国民(市民)のいのちを最優先に考えたものだろうかという疑問は滓のように残っている。「学校の一斉休校」要請とその解除を巡ってもダブルバインドを引き起こしたし、給付についても個人に対するものは一切拒否。手続きの複雑な申請を求める。口では「スピード感」(この使い方は間違ってはいないか)というけれども、現実の歩みは遅々としている。首相の美辞麗句的な言葉が全く私たちには伝わってこない。こうしたなかでの「改憲議論」はまさに火事場どろぼう的なものと言わなければならない。政府に対する批判を控えている(?)野党は、こうしたときにこそ「まっとうな」批判を展開すべきではないか。


    4月8日 コロナ緊急事態宣言 塾・予備校続々休校

     新型コロナウイルス感染拡大防止のため多くの学校で休校が続く中、大手の予備校や塾でも、政府の緊急事態宣言の対象地域にある校舎で休校の動きが広がる。パソコンを使った自宅での動画学習に切り替えたり、双方向型のオンラインで実施したりするなど、志望校の受験を目指す子どもたちを支援。担当者は「できる限り学びの場は提供したい」と早期の事態収束を願った。

     東進ハイスクールや東進衛星予備校.はもともと、動画による学習が中心。普段は自宅よりも集中できるとして、各地の校舎に来て学ぶ生徒が多いが、8日からは緊急事態宣言の対象になった7都府県にある校舎で授業を受けられないようにし、自宅などでの受講に一本化する。

     さらに来週をめどに、授業の動画を一般にも無料で公開する方針。90分授業が5回で1講座となっており、5月末まで2講座分を選ぶことができる。担当者は「この大変な時をみんなで乗り越えたい」と説明した。

     駿台予備学校や河合塾、代々木ゼミナールも8日以降、緊急事態宣言の対象となる地域などで対面での授業を全て取りやめ、自宅での動画視聴に切り替える。校舎での授業再開は5月7日以降を予定しているという。

     首都圏を中心に展開する進学塾サピックスは動画の作成を進めている。生徒には教材を郵送するなどした上で、動画によって学習をフォローしていく方針だ。

     双方向型のオンライン授業を実施すのは早稲田アカデミー。無料でも使えビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使い、小学3年生から高校3年生を対象に授業を実施する。担当者は「普段の授業と極力同じようにしたい。子会社のあるニューヨークとロンドンでは3 月ら行っており、日本でもできると感じている」と説明している。

     少人数指導や個別指導の形態で展開する「関塾」は、時間割などを調整し、子ども同士の接触をできるだけ避けるようにした上で、開校を続けることも検討する。担当者は「具体的な要請内容が分からず、実際にどうなるかは未定だ」と述べた。


    長期の学校休業が続く中で、私的な資源を使える子どもとそうでない子どもの間には学力(本質的な学力かどうかは別として)差がつくことは間違いなさそう。まさに「身の丈」に応じた教育がトレンドとなっている。来春の入試をどうするかも現時点で一定の方向を定めなくてはならない。


    4月7日 「緊急事態宣言」識者はこう見る 従順の強制許されぬ

     《専修大教授山田健太》

     潮目が変わった、と言うべきだろう。2週間前までは自粛しなくても大丈夫と外出していた人も、つい数日前までは布マスクに文句を言つていた人たちまでもが、一気に、世の中は「一刻も早い緊急事態宣言発令を」そして 「この国難の時に政府批判して何になる」という状況に変わったからだ。

     もちろん感染まん延防止のため、うつさない、うつらないように、各自が家にとどまることが有効な対処法であろう。しかしそれと、宣言を求めることや、それを含めて政府の言うことにはみんな我慢して従おう、というのは別の話だ。この「前のめり」と「従順の強制」は、厄介な問題を引き起こす。

     社会としての健全さを維持しつつ、今の状況を乗り切っていくためには、個々人が思考停止に陥って、不安や恐怖心の中で、全体の空気にのまれるのが一番怖いことだ。従わないものを異端視して、差別の対象にする事態も既に生まれている。

     自粛の要請によって、既に私たちはさまざまな我慢をしてきている。出掛けるのを諦め、音楽や舞台を見に行くこともできず、多くの図書館での新聞閲覧も中止になった。

     しかしここで失ったものは、移動の自由、学習の自由、表現の自由、思想・良心の自由といった、私たちが戦後の憲法下で大切に守ってきたものばかりである。

     私たちは、これらを一時的にせよ手放したこと、逆に言えば、行政機関はこれらを例外的に妨げたことを、お互いに自覚して過ごすことが必要だ。なぜなら、失うことに慣れてしまうと、ちょっとしたことで、生活の平穏や社会の安心を守るために、政府に自由を預けるという安易な発想が芽生えやすくなるからだ。

     あるいは、預けっ放しの方がさまざまなゴタゴタも起きないし、面倒くさいから政府にきちんと統制してもらおうということにもなりかねな い。

     すでに国難を理由とした超法規的措置もまかり通っている。例えば多くの地方議会では、議事の短縮のため一般質問を取りやめたり、担当者の多忙を理由に新型コロナウイルス関係の質問を外したりという動きがある。

     傍聴も制限し、中には記者を議場に入れない事例さえ生まれた。デジタルプラットフオーム事業者には、匿名化することを条件にしたものの、個々人の行動履歴の提供を求めている。

     これらはいずれも、憲法上の権利規定にかかわるものとして慎重に取り扱われてきたが、そうした議論を一瞬にして無にするものだ。そしてこうした「前例」は、今後ことあるごとに「活用」される可能性がある。だからこそ、軽々に認めない、どうしてもの場合は前例にしない厳重な歯止めをかけることが必要だ。

     あえて言うが、為政者は一度手にした権力を手放さないものだ。いったん、個人の自由を制限する権利を有すれば、それはどんどん広がる可能性はあっても、元に戻すのは至難の業だ。私たちの日常を管理・監視・制限することを、公権力に与えるその第一歩が緊急事態宣言である。形式的には強制力がないようには見えるが、その法的な意味は限りなく大きい。

     コロナ禍を克服しても、民主主義社会が壊れてしまっては意味がない。命と自由をトレードオフするのではなく、どちらも守る闘いが、今、始まっている。


    山田風太郎『戦中派不戦日記』はこの時期に読むに値するかもしれない。医学生だった山田の見た戦時下東京の様子だ。空襲のさなかにもかかわらず銭湯が混雑していた様子も描かれている。国家と個人との関係を考える上で興味深い作品だとおもう。


    4月6日 兵庫県 “学校再開はおかしい” 高校生がネットで署名活動

     新学期から、予定どおり再開されることが決まった兵庫県の県立高校に通う生徒たちが、「感染の拡大が心配だ」として、休校を続けるよう求める署名活動をインターネットで始めました。

     兵庫県は、県立学校について「時差通学」などの感染防止対策をとったうえで8日から予定どおり再開する方針です。

     これに対して、県立高校に通う生徒たちが「感染拡大が収まらない中で学校を再開するのはおかしい」として学校を超えて休校措置の延長を求める署名活動をインターネットサイト「チェンジ・ドット・オーグ」(Change.org)で始めました。

     高校生らは、大型連休まで休校措置を延長するよう求めていて、署名は、ツイッターなどで呼びかけられ、開始から3日目となる5日午後5時までに目標としていた1万人を超える1万5000人の署名が集まっているということです。

     発起人の1人で神戸市内の県立高校に通う、2年生の男子生徒はNHKの取材に対し、「多くの賛同が集まり驚いている。高校生は重症化しにくいとされているが高齢者に移す可能性もある。集まった署名を近く県教育委員会に提出するので声を受け止めてほしい」と話していました。(NHK)


    登校するかどうかの判断は生徒自体にあると考えるとこの「署名」は非常に意義のあるもの。各高校はこの要請に対して遠隔教育などの選択肢を準備する必要があるだろう。今後「通学」「在宅」の選択は生徒に移っていく可能性もありそれに対応するカリキュラムの作成も必要になるかも。


    4月4日 文化庁 ネット授業 利用自由に

     インターネットを通じた授業でも、著作権者の許可なく自由に著作物を利用できるようにするため、文化庁が新制度の運用を月内に始める方針を固めたことが3日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で大学を中心にオンライン授業が広がる見通しで、当初の予定を1年前倒しする。利用に伴う補償金は、2020年度は免除する方向で関係団体が検討している。

     現状では無許可利用できるのは実際に対面しての授業などに限られ、オンライン授業で教科書の一部を映したり、予習用に参考資料 をメールで事前送信したりする場合、そのたびに著作権者の許可が必要となる。手続きも煩雑で、教育現場の負担となっている。

     そのため18年の著作権法改正で、オンライン授業でも許可なしで著作物を利用できる制度を創設。市区町村の教育委員会や学校法人などが一定の補償金を支払えば、教材をネットで送受信できるようにした。

     当初は21年4月の運用開始を予定していた。しかし感染拡大を受けて遠隔授業実施の動きが大学などで相次ぎ、教材のネット利用環 境を早急に改善する必要があると判断した。


    授業での著作物利用

     著作権法は原則として著作物の複製利用を認めていない。ただ、教室で教師と生徒が対面して行う授業で資料として印刷、配布する場合などは例外的に著作権者の許可を得ずに無情で利用できる。一方でインターネットの普及とともに、オンライン授業の教材としても写真や文芸作品、新聞記事を使いたいとの声が高まり、2018年の著作権法改正で無許可利用の範囲を拡大。有償だがオンラインでも許可を得ずに利用できるようにした。


    政府 小中学生世帯にネット環境

     新型コロナウイルス感染拡大の影蟹で学校の休校が長期化する中、政府が、小中学生がいる低所得世帯でインターネット環境がない 全ての家庭を対象にモバイルルーターを貸与する方針を固めたことが3日までに、関係者への取材で分かった。家庭のネット環境を整備し、学校のパソコンを自宅へ持ち帰って学習に活用するのが目的で、対象は小中学生がいる全世帯のうち2割程度に上る見通し。政府は4月中の成立を目指す2020年度補正予算案に関連費用として100億円超を計上する方針。ただ、毎月発生する通信費は含まず、国や自治体、家庭の負担の在り方をさらに詰める。

     文部科学省は数年度までに全ての小中学生が学校で1人1台のパソコンを使える環境を整える「GIGAスクール構想」を進めている。20年度補正予算案ではルーター貸与の費用のほか、小中学校のパソコン整備費として1951億円を計上。19年度補正予算と合わせ、1人1台の環境実現に必要な計約700万台分の予算を確保する。端末の供給量が限られ、実際の整備を20年度中に終えることは困難だが、予定を大幅に前倒しする。

     文科省は1人1台のパソコン環境について、主に学校での使用を前提としてきた。だが、新型コロナ感染拡大で東京都や大阪府など大都市部を中心に休校期間の延長が相次いで決まる中、学びの機会を保障する観点から、家庭学習での活用も本格的に検討する必要があると判断した。

     その際には、家庭のネット環境整備や通信費負担に加え、教材をどう確保するかなど課題は少なくない。


    遠隔教育において遅れをとっている日本の状況がこの間明らかになった。果たして、インターネットでの教育が必要なのか、あるいは学校は必要なのか、通学することは必要なのか、ネットオ環境の補償は「義務教育は無償である」こととどう関わるのかなど、近代公教育の根幹に迫る課題が問われることになる。


    4月2日 【インサイド】 「5月再開が限界」

     政府の専門家会議は1日、新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では一斉休校を検討すべきだと提言、萩生田光一文部科学相もこれに同調した。東京都教育委員会は同日、都立学校の再開を大型連休明けにすると決定。感染者数が大幅に増えている大阪府などが追随する可能性が高まっている。教員らは1年の予定をこなす方法を模索するが、終息が見通せない中で「5月の学校再開が限界」と不安の声が上がる。

     「避けられない妥当な判断」「後悔しないほうがいいので支持したい」。1日夕、都教委が開いた臨時会。5月の大型連休まで都立学校を休校とする都教委の提案に対し、マスク姿の委員からは賛同が相次いだ。結論が出るまでわずか20分ほどだった。

     安倍晋三首相の要請を受け、全国各地の小中高校などは3月、一斉休校に踏み切った。都教委の臨時会とほぼ同じ頃に厚生労働省で開かれた記者会見。専門家会議の脇田隆字座長は「政府から国民に対策を呼び掛ける意味ではインパクトがあった」と首相の要請を評価した。

     ただ、休校を延長すれば学校の現場は難しいかじ取りを迫られる。3月に履修できなかった分も教えた上で新年度分の学習を進めることになる。学校のスケジュールは現状でも過密状態。特に4月から新学習指導要領が全面実施された小学校は、3年生以上で授業時間が昨年度よりも増加している。休校期間が延びるほど、教員らへの負担は比例して重くなる。

     長引けば受験に影響

     「都内の状況は悪くなっている。新学期の再開は厳しいという空気になりつつある」。3月2日から臨時休校している都内のある区立小の校長は打ち明ける。

     今月6日に始業式を開く予定だが「再開しても、密集を避けるための分散登校や授業を午前と午後に分けることを考えなければならない。再開が5月よりずれ込むと、カリキュラムをこなすのは難とこぼす。

     西日本のある公立中では、夏休みの短縮や土曜日の全日授業実施、時間割の組み替えなどの検討を始めた。校長は「いずれの方法も5月再開が大前提。子どもは大事だが、休校が長引けば高校受験にも影響が出る」と危ぶむ。

     保護者も意識共有を

     感染者数が増え続ける中、多くの学校が綱渡りの運営を求められる。東大の衛藤隆名誉教授(健康教育)は「子どもの教育を受ける機会が制限される状況が続いているのは問題だ。しかし経路が分からない感染者が多い東京などの地域では、命と健康を守るために慎重な対応をせざるを得ない」と、休校延長を選択肢とする国の方針に理解を示す。

     一方で「休校の判断が学校側に委ねられており、困るところも多いだろう。地城の医師や、自治体の保健部局と連携して感染状況の把握に努めることが重要になる」とも述べた。

     学校の危機管理に詳しい鳴門教育大の阪梶健ニ特命教授(学校教育学)は、再開後の学校は感染防止だけでなく、休校中の学習の手当てや子どもの心のケアなどさまざまな課題が噴出すると指摘。「臨時教員の配置といった負担軽減策が欠かせない。保護者も学校任せにせず、共に子どもを守るという意識で対応してほしい」と訴えた。


    東京や大阪だけの問題ではないというのが京都の肌感覚だ。「長期休業」が続くことで子どもや家庭が疲弊していることはさまざまに報道されているし、実感でもある。しかし、政府が示している再開の3条件はあまりにも曖昧。具体索を検討して現場に示す努力がされているのだろうか。この時期に「布マスクを世帯毎に2枚を配布」というとぼけた政策を口にする首相は指導者たりうるのか。


    4月1日 府・市教委 70歳就業法成立

     希望する人が70歳まで働けるよう企業に就業機会確保の努力義務を課すことを柱とした関連法が31日、参院本会議で自民党などの賛成多数により可決、成立した。少子高齢化の中、社会保障制度の担い手を増やすため、高齢者の就業や創業・兼業といった多様な働き方を促進する内容。2021年4月から実施する。

     関連法は、高年齢者雇用安定法や雇用保険法など六つの法律を束ねた。

     70歳までの就業は企業の選択肢を拡大した。定年延長・廃止や継続雇用制度の導入といった従来の制度のほかに、起案やフリーラン スを希望する人への業務委託や、自社が関わる社会貢献事業に従事させることも新たは加えた。継続雇用制度では他社に転職させることも認める。

     企業はいずれかの方法で就業機套の確保に努める。業務委託や社会貢献事業への従事は雇用関係がなくなるため、労使の合意を前提とする。

     副業や兼業を普及するため労災保険法も改正。仕事を掛け持ちする人の労災を認定する際、全ての勤務先での労働時間を合算して判断する制度を設ける。

     一方、現役時代から大幅に給料が減った60〜64歳に月給の最大15%を支給する高年齢雇用継続給付制度は25年度から給付率を下げて最大10%とする。企業による65歳までの雇用が同年度から義務化されるため。


    3月31日付“プリズム”欄で日比野記者は次のように記している。…高年法の改正案を政府は「70歳までの就業機套確保を企業に義務づける」とうたう。「雇用」ではなく「就業」としているところが重要な論点だ。/退職社員を個人事業主として業務委託で働かせることができる。実際は企業の指揮命令下で働くのに、「雇用」でないと労働者保護法制の適用除外になってしまう。/野党は労働災害が多発する危険性や、業務請負が将来的に若い世代にも広がりかねないと追及したが、議論は深まらなかった。抱き合わせ法案に野党が反対しにくいものが含まれていたからだ…。新型コロナウイルスの蔓延が国会の議論に影を落としているという。働く側にやさしくないこの国は、一斉休業にかかわる補償にしてもフリーランス(一人親方)に企業労働者の半分の価値でしかみていないようにみえる。


    4月1日 府・市教委 教職員異動4248人

     京都府と京都市の両教育委員会は4月1日付で発令する教職員計4248人の人事異動を発表した。校長の大量退職に伴い管理職の異動が前年を大幅に上回り、府は98人、市は54人の増加になった。

     異動規模は府教委が前年度比178人増の2507人、市教委が同比29人増の1741人。

     府教委は、井手町に新設する特別支援学校の開設準備室を南山城支援学校(精華町)内に設置したほか、児童生徒が急増している山城地域の小中学校に教頭を複数配置した。

     3月末退職の校長が過去10年で最多の109人となる中、8人を前年度の勤務校で引き続き再任用した。特色ある学校づくりを進めるため、鴨折高(京都市上京区)と京都八幡高(八幡市)に五輪やアジア選手権出場経験者を保健体育の教員として採用した。 .

     市教委は女性管理職の登用に力を入れ、全管理職の27・2%になった。英語のスキルが高かったり国際経験が豊かだったりする教員9人の採用や校種間異動の増加で、多様な人材の育成を目指す。

     働き方改革に対応した配置に努め、校務支援員や部活動指導員などを拡充。担任を持つ教員が年度途中に出産休暇を取得する場合、スムーズに引き継ぎができるよう取得前から補充講師を配置する。


    数字がはある。