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  • 京の児童休み時間“新様式”.28
  • 朝鮮学校生の受験を認めず.28
  • 「武器買うお金を医療へ」.27
  • 「子ども宅食」本格始動.30
  • 7月30日 「子ども宅食」本格始動

     京都市の困窮家庭に食品や日用品を届ける「京都こども宅食プロジェクト」は29日、8月下旬以降に事業を本格スタートすると発表した。これまでは伏見区の3学区をモデル地区としていたが、今後は中京区にも対象を広げる。

     同プロジェクトは、社会福祉法人あだち福祉会(中京区)が市やこども宅食応援団(佐賀市)と連携して実施。就学援助を受ける家庭に小学校を通じて利用を呼び掛け、寄付で集めた食品や日用品を配達する。行政の支援が届きにくい家庭とつながり、必要なサポートへと導く狙い。

     モデル事業は2月〜6月にかけ4回、伏見区の約130世帯に実施。利用者の9割以上から好評を得た一方、6割が行政の相談窓口を利用したことがない実態も分かった。

     夏以降は、約400世帯の対象がいる中京区にも事業を拡大。無料通信アプリ「LINE(ライン)」での相談、情報提供に取り組むほか、配達用の物品や寄付金も募る。

     あだち福祉会の畑山博理事長は中京区の市役所で会見し、「京都の少子化を20年後に救うかも。仲間を作って全市的に広げていきたい」と語った。門川大作市長は「行政の施策は充実しているが、届いていない。貧困や孤立に悩む家庭につなぐ役割を果たしてほしい」と期待した。


    いわゆる「子ども食堂」とは違った取り組み。行政の隙間を民間が埋めるという構図の「宅食」。子どもの貧困率が横ばいの状況下での役割は大きい。「充実しているが、届いていない」との市長発言は何を意味するのだろう。届いていなければそれは充実しているとは言わないように思うが。ただ、必ずしも現物支給が必要というわけはなく現金給付との兼ね合いをどうするのかという基本的な福祉の考え方が必要なのもいうまでもないだろう。


    7月27日 ICAN試算 「武器買うお金を医療へ」

     ノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲国際運営委員が、日本の防衛費の一部を新型コロナウイルス対策に使えば、多くの人工呼吸器などを確保できると試算した。政府のコロナ対応を振り返り「もし核兵器が使われたら対処できない」と指摘。「武器を買うお金」を医療に回し、核兵器禁止条約に参加するよう求めている。

     2020年度当初予算の防衛費5・3兆円のうち、本年度の契約に基づき装備品購入などに支払われる一般物件費1・1兆円を医療に充てた場合を想定。1年間で集中治療室(ICU)のベッドー万5千床と人工呼吸器2万台を整備した上、医師1万人と看護師7万人の給与を賄えるという。

     20年度の防衛費の各項目にも注目。海上自衛隊の護衛艦「いずも」を「空母化」する改修費と同艦に搭載するF35B戦闘機6機の取得費の計824億円は、PCR検査センター130ヵ所以上を設置する額に相当する。政府が計画を断念した地上配備型迎撃システム「イージスーアショア」の関連経費129億円があれば、介護ヘルパーを4千人増員できる。

     川崎氏は「政府は『国を守り抜く』と言うが、非常時にマスクすらまともに配れないのが現実。戦争や核爆発が起きたら私たちを守ってくれないだろう」と指摘。「武器を買い、米国の核兵器の抑止力で国を守るというのも怪しい話。本当に人を守るため、何にお金を使うべきかを考えなければならない」と話す。

     自民党内で高まる敵基地攻撃能力保有論に関しては「専守防衛を大きく逸脱する事実上の先制攻撃の議論。歴史上、多くの国々が戦争の大義名分で『自衛』を掲げていたことを肝に銘じる必要がある」と警戒する。

     こうした能力を保有すれば、日本が攻撃能力を高めたと周辺国は受け止め「軍拡競争につながり危険」と強調。日本政府に対し、核兵器の保有や使用を全面的に禁止する核禁止条約への署名と批准や、「ミサイルを管理する条約や枠組み」を中国や北朝鮮を巻き込む形で作ることが必要だと主張している。


    「軍事費を減らして福祉へ」とは共産党の専売特許のようなスローガンであることはだれでも知っている。ICAN試算の試算はこの間誰もが思っていたが、口に出せなかったことではないだろうか。3億円の負債を抱えて倒産した病院が出た。高額医療(利益優先)を進めてきたこともあるだろうが、なんの責任もない患者(医療消費者)が医療から排除される事態になってくる。こんな時に戦闘機や空母ではないと思うのは一般的な庶民感覚。


    7月28日 関西医大 朝鮮学校生の受験を認めず

     京都朝鮮中高級学校(京都市)の生徒が2018年、関西医科大(大阪府枚方市)を受験するための入学資格審査を申し込んだ際、要領に記載がないのに「各種学校は要件を満たさない」として、朝鮮学校生としての受験を門前払いされていたことが27日までに分かった。

     朝鮮学校は学校教育法の「各種学校」扱いで、以前は高校卒業程度認定試験(旧大検)に合格しないと受験できなかった。在日本朝鮮人人権協会によると、現在は各大学が個別に審査した上で入学資格を判断できるようになり、認定されることがほとんどという。’

     生徒の代理人の豊福誠二弁護士によると、生徒は高卒認定試験の合格を経て18年10月、医学部のセンター試験利用入試を受験しようと大学に資格審査の書類を送付。後日、大学から自宅に「各種学校は要件を満たさず、認定できない」と電話があり、返却しないとされていた書類が着払いで学校に届いた。

     生徒は昨年3月に中高級学校を卒業し、別の大学に進学。生徒側が同9月以降、大学に「門前払いするのではなく、広く優秀な学生を募集することが大学にとって良いことではないか」と記した質問状を送付するなどして経緯の説明を求めていた。

     大学側は、書類返却前に生徒宅へ電話した際に「高卒認定試験に合格していることは分かったので、入学資格は認められる」という趣旨の説明をしていると、昨年11月に生徒側へ回答した。大学の担当者は共同通信の取材に「弁護士同士でやりとりしているので、コメントできない」としている。豊福弁護士は、今年6月に大学側の代理人弁護士に面談を求めたが、拒まれたと主張。「生徒の人権に関わる深刻な問題。大学は門前払いした理由をしっかり説明し、受験生が不利益を被らないよう運用を見直すべきだ」と話している。


    ほとんどの大学が朝鮮学校卒業生を受け入れているにもかかわらず、いまどき拒否する大学があるのかと驚いてしまう。関西医大は私学なのだから最も柔軟に対応できるはずなのだが。日本の古い感覚が生きていた東京医大での女性排除問題と同じ構図のようにも見える。


    7月28日 京の児童休み時間“新様式”

     新型コロナウイルスの影響を受け、京都市内の小学校で児童の休み時間の過ごし方が変化している。感染予防に向けて密集状況の回避などが求められるため、児童は運動場をグループごとに使ったり、教室での遊びを増やしたりして友だちとの時間を楽しんでいる。

     右京区の太秦小は中間休みや昼休みの運動場利用について、児童を2グループに分け毎日交互に割り当てている。全員一斉に運動場に出ると靴箱の周辺で密集が生じるため、対応策を考えたという。ただ児童からは「別のクラスの友だちと一緒に遊べないので、早く通常に戻ってほしい」(6年生男子)との声も漏れ、同小は「子どもたぢが自ら距離を保てるようになっているかや社会の感染状況などを見て元に戻すか考えたい」とする。

     グループに分ける方式を採る学校は多い。御所南小(中京区)は運動場を利用する20分間を、中学年は午前9時40分から、低学年は同10時20分から、高学年は同11時からとずらして設定。「密集状況を分散するため」といい、本年度中は続ける予定という。

     遊び方も変わってきた。各学校に尋ねると、子ども同士で接触する遊びは感染リスクが高いため、6月の再開後は鬼ごっこが禁止され、影踏み遊びなどが増えたという。現在は鬼ごっこを解禁した学校もあるが、遊具の使用は毎年4月に行う使い方の指導が休校でできていないことから、禁止している学校もある。

     一方、感染予防の制約の中でも休み時間を有意義に過ごせるようにと工夫する動きもある。市内のある小学校は教室にトランプやあやとり用の糸、色紙などを置いた。高倉小(中京区)では休み時間にクイズやゲームを児童や教員らが企画しているといい「安全に配慮しながら、子どもたちが主体的に遊びを考える機会にしたい」としている。


    コロナ情報1経ケ岬の米軍人 コロナ感染

     京都府は27日、米軍経ケ岬通信所(京丹後市)に所属する米軍人の30代男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。軽症で感染経路は不明という。府と同市は米側に対し、感染防止策の徹底や情報開示、入国時の検疫措置の実施などを要請した。

     府によると、男性は23日に発熱や味覚異常などを訴えたが、24日まで勤務し、26日に陽性が判明した。観光で12日に兵庫県内を、19日には神戸市を日帰りで複数人と訪れた。京丹後市内で1人暮らしという。

     同通信所には最大160人が勤務している。府は男性が5、6人で集団通勤していた車の同乗者や一緒にオフィス作業をしていた13人の同僚らを含む濃厚接触者を調査している。

     市役所を訪れて市に状況を説明し、会見した近畿中部防衛局の桝賀政浩局長は「(感染者が)京丹後市で誰一人出ていなかったことから、非常に申し訳ないと思っている」と述べた。中山泰市長は情報開示をはじめ、入国時の検査や一定期間の隔離など国内法に基づく検疫の徹底を求めた。

     西脇隆俊知事は京都市上京区の府庁で報道関係者の取材に対し「(米側は)保健所の調査や助言には積極的に協力してほしい」と訴え、同日付で通信所の司令官らに感染防止策の徹底などを強く申し入れたことを明らかにした。

     同通信所を管轄する在日米陸軍キャンプ座間(神奈川県)は「当該者は症状が出た後に行動制限下に置かれた。現時点で地域社会に対するリスクに影響はなく、日本政府と緊密に協力している」(広報室)としている。


    コロナ情報2京都20人感染 1人死亡

     京都府と京都市は27日、新たに男女20人が新型コロナウイルスに感染し、入院中だったI人が死亡したと発表した。府内の死者は20人、感染者は677人になった。  京都市によると、死亡したのは市内の60代の男性で基礎疾患があった。11日に入院し、その後発熱、22日に陽性が確認され26日に死亡したという。

     新規感染者について市が発表した感染者は市内の10〜80代の男女15人。うち3人はクラスター(感染者集団)が発生した市立病院(中京区)の入院患者らで80代女性は酸素吸入が必要な中等症。残る14人は軽症か無症状で、40代女性だけ感染経路が分かっていない。

     府が発表した5人は、いずれも軽症や無症状。京田辺市の70代男性は24日に感染が判明した亀岡市の男性の知人。八幡市の50代会社員男性や木津川市の70代アルバイト男性、向日市の30代女性と5歳未満の娘は感染経路が不明という。


    コロナ情報3鳥羽高生1人感染

     京都府教育委員会は27日、府立鳥羽高(京都市南区)の全日制の女子生徒1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。

     府教委によると、生徒は市内在住で25日夜に家族の陽性が分かった。濃厚接触者としてPCR検査を受け、27日に陽性が判明したという。全日制の全学年を28日に休業にして消毒作業などを行い、その後については状況に応じて判断するという。


    コロナ情報4八条中生もI人

     京都市教育委員会は27日、八条中(南区)の女子生徒1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。

     市教委によると、家族の陽性が判明したことから26日にPCR検査を受け、陽性が分かった。生徒は23〜25日、別の市立中3校と実施した部活動の練習試合に参加しており、市教委は参加者を濃厚接触者として自宅待機にしている。連休中で部活動以外の接触がなかったため、休校などの措置は取らないという。


    ほとんど明確な情報が発表されず、国民(市民)に対策を押し付ける現政権。果たして統治能力があるのか。感染拡大によって児童・生徒への感染(家庭内感染)も見られるようになってきた。今後、「安全のために投稿させない」との選択も頻発するかもしれない。その時の教育保障をどうするのかの対策も急務。


    7月24日 文科省 無償化除外で支援検討

     文部科学省が、昨年10月開始の幼児教育・保育の無償化措置から除外された施設への支援策を検討するため、全国の44施設を対象に2020年度中に運営実態などを調査することを決定、この中に少なくとも13の朝鮮幼稚園が含まれていることが23日までに共同通信の調べで分かった。

     調査事業では、保護者の考えや施設の設備、教育態勢を確認する。文科省は、結果を基に策定する新規支援事業を21年度に始める方針。在日朝鮮人の父母らは、排除は幼児期からの民族差別政策で、教育内容を確認し判断してほしいと訴えてきており、支援につながるよう期待を強めている。

     13の朝鮮幼稚園は埼玉、東京、神奈川、長野、愛知、滋賀、兵庫の7都県にある。文科省や関係者によると、調査対象施設には@外国人らか対象の朝鮮幼稚園など14施設A自然体験活動を中心にした17施設B無認可で団地など住民の必要性に基づき運営されている7施設−などが含まれる。

     文科省の調査事業は、無償化の対象外施設に通う世帯があり、これら施設や保護者に独自の支援を既に行っている自治体に委託する。同省は44施設に通う子どもがいる23自治体を委託先に選定し、19日に通知した。

     文科省は自治体名を明らかにしていないが、さいたま市、東京都大田区、川崎市、愛知県と滋賀県など少なくとも計13の朝鮮幼稚園に通う世帯がある13自治体が、取材に対し委託先に決まったとの通知を受けたと答えた。

     政府は、学校教育法上「各種学校」に分類される全国40の朝鮮幼稚園を含む外国人学校を、個別の教育に関する基準がなく「多種多様な教育」を行っていることを理由に無償化措置の対象から除外した。在日朝鮮人の父母らは6月、外国人学校への無償化適用を求める約46万人分の署名を政府に提出した。


    朝鮮学校に差別的な処遇があることは問題が多い。朝鮮幼稚園を無償化適用除外したこともその一つ。一方で、「一斉休校」にかかわって夏休みを短縮決めている学校が多い。もちろん暑さ対策としてエアコンの設置が必須である。京都府の公立小中学校普通教室での設置率は96.5%、滋賀県は100%の状況の中、京都と滋賀のそれぞれ一つの学校でエアコン設備がないことで、クラウドファンディングの運動が起こっている。


    7月23日 「主体性評価」サイト 運営許可取り消しへ

     萩生田光一文部科学相は22日の衆院文科委員会で、高校生活の記録を入力し、大学入試に活用するデータベースサイト「JAPAN e-Portfolio」(JeP)について、『一般社団法人教育情報管理機構』への運営許可を取り消す方向で調整していると明らかにした。財務状況の悪化が理由。

     JePは「主体性を持って学ぶ態度」を評価しようと導入が決まり、大学入試改革の目玉の一つだった。頓挫すれば、大学入学共通テストへの英語民間検定試験と記述式問題導入の見送りに続き、大きな柱を失う。

     高校、大学関係者らを集めた省内の会議が許可を取り消すべきだとの意見をまとめたことを受けた。入試で活用を決めている大学もあり、影響が心配される。文科省は登録済みのデータの取り扱いを調整している。

     サイトでは、生徒が高校3年間の部活動やボランティア、資格取得状況などを記録。データをまとめて大学に提出する。文科省の委託事業として、関西学院大などが受け皿となり、2017年にサービスが始まった。事業終了後の昨年4月以降、機構が文科省の許可を受けて運営していた。

     システム運営は、教育大手ベネッセコーポレーションが担っている。。JePの利用にはベネッセのIDが必要で、特定業者への利益誘導につながるとの批判が起こり、機構は新IDを導入すると発表。参加する大学が当初の見込みよりも少なかったことなどから、19年度決算は約5300万円の赤字だった。野党などは「受験生に一律に課すのは問題だ」などと訴え、「主体性評価」の廃止を主張していた。


    そもそも「主体性」を評価することは、「意欲・関心・態度」を評価することの難しさと不評からもわかる通り意味のないことだろう。ここにきて大学共通テストの目玉がほとんど壊滅的なダメージを受けていることは、日本の文教政策の誤りを示している。くわえて、規制緩和路線をとってきてベネッセなどの民間企業による関与が正しかったのかどうかも再点検する必要がある。


    7月21日 教育再生会議 少人数学級の推進を確認

     新型コロナウイルス感染症拡大による長期休校を踏まえ、政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫前早稲田大総長)は20日、首相官邸での会合で、「ポストコロナ」の学びをテーマに検討を進めることを確認した。

     終了後の記者会見で萩生田光一文部科学相はオンラインでの遠隔教育や秋入学に加え、「3密」対策として、上限が40人(小学1年は35人)となっている小中学校の学級をより小規模とすることも取り上げる考えを示した。

     実行会議の開催は昨年5月以来、約1年ぶり。来年5月をめどに一定の提言をとりまとめる。文科省内では、小中学校での学級の上限を30人規模とする案も浮上し、慎重な検討が進んでいる。

     委員からは、学校を再開する際、少人数による分散登校を経て、段階的に通常の学級規模に戻したところ、「密」が避けられない状況になったとの報告があったった。

     会見で萩生田氏は「40人が座って授業を続けるのは感染症対策上、無理があると理解されるだろう」と語った。


    コロナが収束してもすべてが元に戻ることはない。というのがほぼ常識。だとすれば教育も例外ではない。では課題は何か。コロナ以前は成績至上主義と教育投資論だったといえるなら、それらを議論することが教育再生会議の眼目にならないといけない。当然、30人学級実現の上にであることはいうまでもない。


    7月18日 厚労省 子どもの貧困率13・5%

     厚生労働省17日公表した2019年国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は、18年時点で13・5%だった。前回15年の13・9%から大きな改善は見られず、依然として子どもの7人に1人が貧困状態にある。世帯類型別では、母子家庭など大人1人で子どもを育てる世帯の貧困率は48・1%に上り、生活が苦しい実態が浮かんだ。

     政府は昨年11月、貧困家庭の子どもへの支援方針をまとめた「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定した。生まれ育った環境で子どもの現在と将来が左右されないよう、早期の対策や自治体の取り組みを充実させる方針。貧困解消は待ったなしの課題で実効性が問われる。

     子どもの貧困率は00年以降13〜16%台で推移し、抜本的な改善には至っていない。先進7力国(G7)の中で高水準だ。

     18年の世帯当たりの平均所得額を見ると、母子世帯は15年から35万9千円増えて306万円。母子世帯の86・7%が「生活が苦しい」と回答した。子育てに追われ、生活費や教育費にお金がかかる苦しい台所事情がうかがえる。

     一方、全世帯の平均所得額は6万9千円増の552万3千円で、61・1%がこれ以下だった。高齢者世帯は4万5千円増の312万6千円だった。

     高齢者世帯数は1487万8千、全世帯に占める割合は28・7%でいずれも過去最高だった。

     調査は昨年6〜7月に実施。今回は3年に1回の大規模な調査で質問を増やした。世帯に関する調査は約21万7千世帯、所得は約2万2千世帯から有効回答を得た。


    子どもの貧困率が下がらない理由はおそらく日本の福祉制度を必要としている人のニーズにあっていないからだろう。コロナ禍の中でもそうした点が指摘されているが、改めて制度をどうすべきか(現金給付と現物給付、そしてミーンズテスト)考えなければならない。


    7月17日 部活動 「新価値観、自主性育む好機」とも

    (一部略)平時とは異なる環境下で部活動をする意義とは何か。「このピンチが、部活動に『勝ち負け』以外の新たな価値観を生むチャンスにもなり得る」と答えるのは関西大の神谷拓教授(スポーツ教育学)だ。部活動では競技成績より、部員が主体的に活動の自治や問題解決に取り組むプロセスを重要視すべきだと考える。

     もちろん感染予防の責任は大人が負うが、部員たちが立ちはだかる壁を共有し「今できること」を一つずつ実現することが成長につながると指摘。「全国大会など大人が作った既存の評価に縛られず、自分の頭で考え、目的を見つける転機にしてほしい。部活動の真価が今、問われています」


    部員の創意工夫、大人は見守って

     関西大の神谷拓教授は、部活動とは自由に選ぺる課外活動の一つであり「本来は部員の意思決定で自由にデザインできる活動」と語る。休校や全国大会中止などの不運が続き、学校側や保護者は「何とか助けてあげたい」と思うことも。だが神谷教授は「大人は『ちょっとだけ待ってあげて』。新しいアイデアを見つけようとする子どもの自主性を、時間をかけて見守ることも大事」とアドバイスする。

     部員たちの創意工夫は小さなことから始まっている。明秀学園日立高校の吹奏楽部では、休校中やミーティングができない期間に、部員同士で「部活ノート」を自発的に読み合い、情報共有したことが役立ったという。1人1冊ずつ、個人練習の課題や反省点を書くノートで「一緒に練習できなくても、ノートを通して皆の状況や考え方が分かった」`と部員は話す。

     実は、ノートは顧問と副顧問への提出用として生徒に書かせていた。顧問の瓦吹弘樹さんは「生徒が読んで役立てていたとは知らなかった」と部員の工夫に驚いた。



    7月16日 文科省 中高生英語力 向上傾向

     文部科学省は15日、全国の公立小中高校を対象にした2019年度英語教育実施状況調査の結果を公表した。「英検3級」以上の力がある中学3年は44・O%、「英検準2級」以上の力がある高校3年は43・6%だった。それぞれ前年度より1・4ポイントと3・4ポイント増えたが、50%としている政府目標には届かなかった。  調査は19年12月時点で実施。中3で英検3級程度以上を取得していた生徒は25・1%。学校の成績などを基に教員の裁量で「相当する力がある」と判断した生徒は18・9%だった。  高3で英検準2級程度以上を取得していた生徒は26・7%。教員の判断で認めたケースが16・9%。普通科は56・2%、英語や国際関係の学科が91・2%だった一方、工業や商業など専門学科は15・8%にとどまった。  中3の状況を都道府県・政令指定都市別に見ると、目標を達成した割合が最も高いのはさいたま市の77・0%で、福井県61・4%、岐阜県58・1%が続いた。京滋では、京都市48・5%、京都府39・8%、滋賀38・0%。高3は都道府県別に調べ、福井県58・4%、富山県57・5%、秋田 県53・6%の順。京都府は45・6%、滋賀県は41・8%だった。  小学5、6年では、学級担任が外国語の授業を担当する割合が70・5%で、前年度より10ポイント減り、「専科教員」らが教える学級が29.5%となった。  小学校の英語は今年4月から5、6年で教科となり、外国語活動が小3からに前倒しされている。文科省の担当者は「専科が望ましいというわけではなく、学級担任には日常生活に結びつけた英語指導ができる強みもある。英語指導が得意な先生を全体として増やしたい」と話した。



    7月15日 文科省 高校普通科3科再編案

     文部科学省が現在の高校普通科を再編し、早ければ2022年春にも普通科に加えて「学際融合学科」と「地域探究学科」(ともに仮称)の2学科を設ける案をまとめたことが15日、関係者への取材で分かった。全ての高校に、教育方針を示す「スクールポリシよの策定を義務付ける案も検討。中教審の特別部会などで、両案の検討を進める。普通科の再編が実現すれば、1948年に新制高校が発足以降、初めてとなる。

     高校には普通科、商業や工業など専門教育を担う専門学科、双方を合わせた総合学科がある。約7割の生徒が普通科に在籍ずる。しかし、一部の学校を除いて、大学を目指す生徒だけではないのに、進学を目指した画一的な指導が目立つなど、教育が地域の幅広い二ーズに合っていないといった指摘が出ていた。

     文科省は昨年夏、高校改革について有識者会議を設置。議論を踏まえて、普通科の枠組みの中に、持続可能な開発目標(SDGS)など現代的な課題に対応するため教科の枠を超えた学びに取り組む「学際融合」、地域社会の課題に取り組む「地域探究」の学科を設ける案を打ち出す。

     「学際融合」学科には大学や国際機関との連携体制を、「地域探究」学科には自治体や地元企業との協力体制や高校と地域をつなぐコーディネーター配置などを要件とすることを検討している。

     公立高校は都道府県教育委員会などが所管している。2学科の他に、教委などの判断で特色ある学科の設置も認める。専門学科や総合学科との役割分担を含め、文科相の諮問機関である中教審でさらに議論を進める。

     スクールポリシーに関しては、@どのような力を身に付ければ卒業を認めるかAどう教育課程を編成・実施し、学習内容を評価するかBどのような生徒を入学させるか―の3点のポリシー作りを求めることを検討している。


    画一的な教育に危機感

     文部科学省が高校普通科を再編し、従来の「普通科」に加え、新たに「学際融合学科」と「地域探究学科」の設置も認める案をまとめた。普通科には高校生の7割が在籍し、多様なニーズがあるはずなのに、画一的な教育で一人一人の能力を十分に伸ばせていないとの危機感が背景にある。

     「普通科は多くが偏差値で輪切りされ、生徒の能力や個性に十分に対応できていない」  昨年5月、自民党の教育再生実行本部がまとめた提言は、厳しい表現で高校の普通科改革の必要性を強調した。各校のカリキュラムに大差がなく、在籍する生徒の学力の程度が主な特色となっているとの現状認識に基づくものだ。政府の教育再生実行会議も同様に改革を求めてい る。

     文科省などの調査では、中3から高1に進んだ段階で生徒の学習意欲が大きく下がっていた。特に卒業後、就職したり、専門学校に進んだりする生徒が多い高校を中心に深刻な状況だとされる。大学進学する生徒が大部分の高校でも、受験対策のために早い時期に文系と理系が分けられ、幅広い分野を学べていないとの指摘がある。

     普通科の再編を実現することで、地域に密着して課題を解決したり、大学と連携して幅広い学問分野にまたがる現代的な課題に取り組んだりする高校が増える。学校ごとの個性が生まれれば、生徒は偏差値よりも「何を学びたいか」という観点から選択し、関心や意欲を持って学 び、これからの時代を生き抜く力を伸ばすことにもつながるー。文科省はそんな青写真を描いている。

     ただ、普通科に代わる新たな看板を掛けただけでは実現は難しい。教育再生実行会議の高校改革ワーキングーグループに有識者として参加した「地域・教育魅力化プラットフォーム」の水谷智之会長は「高校側と地域や大学がチームとなって取り組めるかどうかが鍵になる。両者 をつなぐコーディネーターの確保が重要だ」と話す。

     水谷氏は、普通科再編で各校独自のカリキュラムを構築しやすくなると評価。その上で「高校を飛び出し、社会課題の宝庫である地域などで学ぶことには大きな意義がある」と期待感を示した。


    かつての大学進学を支えていた「普通科」が制度疲労を起こしているとの指摘はこれまでからもあった。実際旧帝大への進学実績を持つ学校は、有名私学と国「特色」のある学科からであった。また、地方の高校の存続が危ぶまれるなかでの「普通学科」の存在意義は希薄になっていた。そこへのテコ入れということだろうが、企業のための即戦力を養成するというほうこうではなく、「学び」をどうつくるかという視点でのカリキュラム編成が望まれる。


    7月15日 市教委 組織的解決怠り校長ら処分

     京都市立中学校の元男子生徒に暴言などを繰り返し、不登校になった後も適切に対応しなかったとして、市教育委員会が当時の部活動顧問の教諭や校長ら3人を3月に処分していたことが14日分かった。生徒は自殺しようとするほど追い詰められ、保護者は何度も学校に助けを求めたが教員らは誠実に対応しなかった。市教委が調査を基に処分を下したのは、問題が表面化してから約4年後だった。

     顧問(44)が教育長厳重文書訓戒、校長(60)が教育長文書訓戒、学年主任(51)が指導部長文書訓戒。いずれも男性で、処分は懲戒ではない。

     市教委の調査報告書や説明によると、顧問は2015年から男子生徒を部活動で指導し「やめろ」「はよしろぼけ」などの暴言を繰り返した。男子生徒が2年生の時の16年5月には、生徒間トラブルがあった際に加害者と思い込み、保護者を学校に呼び出した。直後に男子生徒は「(顧問は)嫌なことばかりする」と言って自宅2階から飛び降りようとし、顧問は母親からその状況の訴えを受けても、学年主任に報告しただけで特に対応しなかった。男子生徒は7月から不登校になった。

     校長は保護者からの面談の申し入れを受けて12月に男子生徒が飛び降りようとしたことを知ったが、その後の対応も担任任せにするなど組織的に問題を解決しようとしなかった。学年主任は飛び降りの件を管理職に報告せず、登校復帰に向けて学年をまとめる職務を怠った。

     男子生徒が3年生だった17年11月に、不登校は顧問の指導が関係しているとして市教委の担当者同席で謝罪会が行われた。しかし原因究明が不十分で保護者が納得しなかったため、市教委は男子生徒の卒業後の18年4月から約1年かけて関係者に聞き取りを実施。顧問の暴言や校長らの不誠実な対応があったと結論付け、処分を決めた。

     母親は「どうして先生たちは一度も、息子に歩み寄ろうとしてくれなかったのか。憤りの気持ちでいっぱいだ」と話す。


    市教委調査報告書 詳細曖昧

     「不適切かつ不合理な指導」「生徒の人権を著しく侵害」―。京都市立中の教員3人の処分理由を示した文書(処分書)には厳しい言葉が並ぶが、処分の基となった調査報告書には不適切指導などの詳細は明らかでなく、事実関係も曖昧な部分が多い。専門家は「保護者の求めに応じて通りいっぺんの対応をした印象。反省点を明確にしなければ、同じ問題が繰り返される」と危惧する。

     調査報告書は元男子生徒への聞き取りが困難で関係者の記憶も薄れているとして、保護者らの証言から本人の心の動きを推測する形で当時の状況を記す。処分書には「不適切かつ不合理な指導」とあるが、顧問と部員との関係性や顧問が部活動でどのような指導をしていたかについて報告書は具体的に触れていない。さらに学校体制に落ち度があるとするが、なぜ教職員が連携しなかったのか、不登校になる前に誰もケアできなかったのかまでは言及していない。

     生徒指導を背景とした自殺や不登校は全国的に後を絶たない。学校での事件事故を調査研究する一般社団法人「ここから未来」(東京都)によると、生徒指導に関連する子どもの自殺(未遂を含む)は1989年以降、裁判や報道などを通じ把握できるだけで92件に上り、うち2017年からの3年間で18件起きている。

     繰り返される大きな要因は何か。文部科学省は11年、再発防止には子どもの自殺の背景を丁寧に調べる必要があるとして調査の指針を出した。しかし、ここから未来の大貫隆志代表は「生徒指導をきっかけに自殺などが起きても、教育委員会は本人の受け止めの問題として調査しないか、しても不十分な場合がほとんど。調査結果の公表や教員の処分もルール化されていない。不登校になった場合は文科省の調査指針からも漏れている」と実態を語る。

     体罰問題などに取り組む日本体育大の南部さおり教授(スポーツ危機管理学)も京都市立中の調査報告書について「問題点が明らかでなく、再発防止の役には立たない」と指摘。「教師の『権威』が子どもに与える影響について教育現場が事例から真摯に学び、生徒の事情や言い分を生徒目線で理解することが重要だ」と強調する。


    昨年神戸で「激辛カレー教員いじめ事件」があったことを彷彿とさせる。学校内で部活指導と生徒指導が重視されていてその担当者が校内で大きな権力を持つことがままあるという事実だ。この件についてもおそらく「顧問」の判断(被害を受けた子どもへの評価)の独善性を批判できる体制にはなっていなかったのではないだろうか。加えて、関係者らの処分が「懲戒処分」でないことは、身内に甘い(被処分者の行為を是認)という誹りは免れないだろう。


    7月11日 文科省 教員の障害者雇用1.27%

     文部科学省は10日、各都道府県教育委員会の教員に占める障害者の割合が昨年6月1日時点で1・27%だったとの調査結果を発表した。教委の事務職員では7・39%で、学校現場での障害者雇用が進んでいない実態が浮き彫りになった。同省が教員と事務職員を分けて障害置雇用率を調べたのは初めて。

     障害者雇用促進法に基づき一定割合を雇うよう義務付ける法定雇用率は、都道府県教委の場合、2・4%。

     だが教員に限った実際の雇用率は、都道府県別で最も高い宮崎でも2・05%で、宮城2・03%、沖縄1・91%と続いた。兵庫のO・82%、青森O・90%、岐阜O・98%が低かった。京都は1・08%、滋賀は1・30%だった。学校種別では小学校がO・69%、中学校1・00%、高校1・33%、特別支援学校は4・23%だった。

     各教委は雇用率を上げるため事務職員の採用を強化している。しかし事務職員を含めても法定率に達していたのは2・64%の岩手、2・55%の高知など6県だけだった。

     文科省は、障害のある教員が担任となったため、教室を1階にした愛媛県教委の事例などを紹介。教委の職員全体の90・2%が教員で、同省は「情報通信技術(ICT)の活用なども進め、障害のある教員が働きやすい学校施設整備を支援したい」としている。


    かつて脳性麻痺者の八木下浩一さんが保育所で保育士をしていたことがあったそうだ。かなり衝撃的な事実だ。それから40年以上もたったけれどもあまり事情は変わっていない。障害者雇用率を高めるために事務職の雇用を進めている教委は多い。しかし、教員はそれほど増えていない。車いすの障害者が教室で子どもを教えることをイメージできるかどうかという想像力の問題なのかもしれない。同時に障害を持つ子どもが同じ教室で学ぶというインクルーシヴ教育のイメージの貧困さも指摘しなければならないだろう。


    7月9日 大学入試の新システム 運営許可取り消す方向で調整

     高校生に、学習した内容や部活動の実績を記録してもらい、大学入試で活用する新たなシステムについて、文部科学省は、これを運営する一般社団法人への許可を取り消す方向で調整していることが関係者への取材でわかりました。このシステムは、およそ18万人の生徒が利用していることなどから影響が懸念されます。

     文部科学省は、高校生に学習した内容や、部活動の実績、さらに、ボランティアなどの活動を、ポータルサイトに記録してもらい大学入試などに活用する、「JAPAN e−Portfolio」と呼ばれるシステムの開発を進めてきました。

     このシステムは、去年から一般社団法人の「教育情報管理機構」に運営が任され、今年度の入試から本格的に導入される予定でしたが、関係者によりますと、入試に利用する大学が少なく、財政上の安定が見込めないことなどから、文部科学省が運営許可を取り消す方向で調整していることがわかりました。

     すでに、全国およそ18万人の生徒がこのシステムを利用していることなどから影響が懸念されます。

     このシステムをめぐっては、生徒がポータルサイトを利用する時に、教育産業大手の「ベネッセコーポレーション」のIDを取得する必要があることが明らかになり、萩生田文部科学大臣も、ことし2月、運用の見直しに言及していました。

     国が進めてきた大学入試改革は、大きな柱だった英語の民間試験と記述式問題の導入が、すでに見送られるなど、混乱が続いています。


    運営許可された事業とは

     「JAPAN e−Portfolio」というシステムは、国が大学入試改革の一環として、主導して開発を進めました。このシステムはこれまでの筆記試験では、測定が困難とされた生徒の「主体性」を評価することが目的でした。その運営は、去年から一般社団法人、「教育情報管理機構」に任されました。この機構は、東京駅に隣接するビルに事務所を構えていて、会長は、金沢大学の山崎光悦学長が務め、国立大学協会の会長となっている永田恭介筑波大学学長らが、役員となっています。機構のシステムの運用は、教育産業大手の「ベネッセコーポレーション」が担っていますが、生徒が学習内容などを記録する時に、ベネッセが発行するIDを取得する必要があったことから、教育現場から、「企業への利益誘導につながるのではないか」などと懸念する声があがっていました。

     萩生田文部科学大臣も、ことし2月、運用の見直しについて言及し、文部科学省が、機構に是正を要請していました。


    受験生は制度の変更や中止に翻弄

     大学入試に詳しい東京大学大学院教育学研究科の中村高康教授は、「『主体性』を測ることは、部分的には可能かもしれないが、生徒のあらゆる活動が入試を意識した高校生活になってしまう懸念が生じる。そういったシステムが本当によいのか、生徒の大事な個人情報を適切に管理できるか、議論が甘かったのではないか」と指摘しました。

     そのうえで、「生徒の秘匿性の高い情報を入試で扱うという公共性の高い仕事を、民間に運営させるのであれば厳しい審査があってしかるべきだ。入試改革の柱と言われた制度が中止や延期になったことを、文科省は検証しなければいけない。今の受験生はその制度の変更や中止に翻弄されてきた。できるかぎり、丁寧に説明することが必要だ」と話しています。(NHK)


    文科省とベネッセの関係は相当深いものがあるように思ってきたが、文科省の政策のあらゆる分野で関係が明らかなりつつある。また、一般財団法人を抜け道として巧妙に使われていることがコロナ対策の「給付」でも明らかになった。税金をうまく吸い上げるシステムが出来上がってしまっていることに怒りを覚える。


    7月9日 公立高入試 5教科で出題範囲1〜2割削減

     新型コロナウイルスの影響で中学校の休校が長期化したことを受け、京都府と京都市の両教育委員会は8日、来年2、3月に実施される府内公立高校入試の出題範囲について、5教科それぞれで学習内容の1〜2割を除外すると発表した。「生徒によって学習の定着度に濃淡が出るため配慮する」としている。

     除外するのは中学3年の最後に習う内容などで、国語は「書写に関する事項」、社会は公民的分野の「私たちと国際社会の諸課題」、数学は「三平方の定理」と「標本調査」、理科は第1分野の「科学技術と人間」、第2分野の「自然と人間」。英語は関係代名詞に関することは出題しないが、本文の読み取りやリスニングの聞き取りなど検査問題中で使用することはある。

     対象は前期入試(2月中旬)や中期入試(3月上旬)など全ての公立高入試。多くの中学校は4、5月に休校し夏休みの短縮などで学習の遅れを取り戻そうとしているが、休校期間は府北部と南部で差があり、府公立中学校長会から入試範囲の縮小が要望されていたという。府教委は「休校の影響で入試時には例年と同じ深さで学べておらず、生徒の安心感につなげるために決めた」と説明。その上で「除外される内容は入試に出なくてもきちんと学んで卒業してほしい」としている。


    この措置によってどこまで未習部分をカバーできるかどうか、また採点にどれだけの影響があるのかはわからない。が、受験生に対する一定の安心感を与えるという面では評価できる。


    7月8日 政府 少人数・遠隔教育整備へ

     政府が経済財政運営の指針として今月中旬に決定する「骨太方針」の教育分野に関する原案が7日、関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス感染症による休校長期化で学習の遅れが生じたことを踏まえ、デジタル教科書や教材などを使って、効果的な遠隔・オンライン教育を早期に実現すると明記。感染拡大を防ぎつつ学びを保障するため、少人数でのきめ細かな教育体制の整備を検討するとしている。

     義務教育標準法は、小中学校―学級当たりの児童生徒数の上限を小1で35人、小2以上で40人と規定。文部科学省は感染拡大を防ぐ対策として学校では子ども同士の距離を1メートル以上確保するよう要請しており、学校現場は学級を分割して分散登校させたり、授業に取り組んだりしていた。通常人数の授業では子ども同士の距離を十分確保することは難しいため、教育の質向上を図ることも目指し、少人数教育の検討を進める。

     デジタル教科書に関しては現在、紙の教科書に代えて使う場合は「授業時間数の半分に満たない」との制限があり、この基準の緩和を検討。一人一人に合った教育を提供するため、学習履歴など教育データの効果的な活用も促進する。

     大学など高等教育については、地域に貢献する公立大への地方財政措置を充実させ、手厚く支援する。今年4月には、低所得世帯を対象に授業料を減免し、返済不要の給付型奨学金を支給する高等教育修学支援制度が始まった。運用状況を検証し、中所得世帯への支援が手薄になり、修学機会を失っていないかどうかを注視していく考えも示している。


    コロナ後の政策をどうするのかは今後の日本の在り方を見定めていくうえで重要だといえる。これまで、OECD諸国の中で教育予算の少なさが指摘されていた。その改善が目指されているのはグッドニュースだろう。とりわけ定数改善は教員増に直接つながることから早急の実現が求められる。ただ、コロナ以前のような「成長型」の経済は望めないということを覚悟しなければならないのではないか。


    7月4日 岐阜市 いじめ加害者 出席停止も

     昨年7月に岐阜市立中3年の男子生徒=当時(14)=が同級生によるいじめを苦に自殺した問題で、市は3日までに、市長が加害児童や生徒の出席停止などを市教育委員会に勧告できる規定を盛り込んだいじめ防止等対策推進条例の改正案をまとめた。市によると、同様の規定を設けた条例は大阪府寝屋川市で例があるが全国的に珍しいという。男子生徒の自殺から3日で1年となった。

     改正案では、被害児童や生徒の見守りのほか、いじめ防止のための学内の環境整備や児童生徒への指導についても、市長が勧告できると規定。市長の権限を強化する内容に、専門家からは「迅速な対応が期待できる」との声が上がる一方。「現場の自律性を損なうのでは」と懐疑的な声も上がる。9月市議会で関連議案の提出を目指す。

     男子生徒の自殺を調査した市教委の第三者委員会は昨年12月、報告書で教員の情報共有や連携不足がいじめ拡大を招いたと指摘。「多忙化か個々の生徒を見る余裕をなくしている」としていた。

     これを踏まえ、改正案では学校に組織的対応を義務付けるとともに、市長の勧告権などを加え、体制強化を図る内容とした。担当者は「市全体で取り組む強い姿勢を示す意味合いもある」と強調する。

     ただ具体的な運用は未定で、教員の繁忙解消につながるかは不明だ。岐阜県南西部の小学校に勤める非常勤講師の女性は「仲良く見えても、いじめと感じている子はいる。細かく観察するべきだが、忙しくて見落とすことがある。何よりも人手がほしい」と明かした。


    いじめ加害者を出席停止にすることはすでに校長権限として認められているのだが、市長(義務教育学校設置者)に再び権限を付与する理由がわからない。現場で「出席停止」措置をとれないのは、いじめの実態が見えにくいが故に加害、被害が峻別できないことによるのではないか。今回の条例がこれまでのいじめをどのように検証してきたのかは不明だが、多くの蓄積(知見)を考慮していないのではないかと思える。市はいじめの根絶という方向でしか動いていないように見える。


    7月3日 大阪高裁控訴審 ヘイトの「公益目的」どう判断

     京都市南区の京都朝鮮第一初級学校跡地近くでヘイトスピーチをし、学校を運営していた学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして名誉毀損罪に問われ、一審で罰金刑とされた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部西村斉被告(51)の控訴審が7月13日、大阪高裁で始まる。

     昨年11月の一審京都地裁判決は同罪の成立を認める一方、日本人拉致という公共性の高い事柄を明らかにする意図で「公益を図る目的があった」と判断した。これに対し、学園側は「拉致を理由にした人種差別につながりかねず、差別に基づいた行為だ」と反発。一審判決に対する弁護士有志の抗議声明を大阪高検へ提出し、控訴審で反論するよう求める予定だ。

     一審判決などによると、西村被告は2017年4月23日、同校跡地近くの公園で拡声器を使い「この朝鮮学校は日本人を拉致した」「校長は国際指名手配されている」などと発言。その様子をインターネット上で配信し学園の名誉を傷つけた。被告は過去にもヘイトスピーチを繰り返し、別の事件で実刑判決を受け、出所から1年もたたずに行為に及んでいた。

     一審判決は、京都の朝鮮学校が拉致したとの被告の発言について「真実性の証明も、真実であると信じた相当な理由も認められない」と名誉棄損を認定。他方、発言が公益目的だったことも考慮すべきだとし、懲役1年6月の求刑に対し、より軽い罰金50万円を言い渡した。被告側は「表現の自由を萎縮させる」と控訴したが、検察側は控訴を見送った。

     一審判決を受け、同校の卒業生らからは「被害者がいることを忘れないで」などと強い憂慮の声が上がっている。

     OGの大学4年女性(21)は、11年前にもあった在特会による別のヘイト街宣が脳裏に浮かぶ。当日は何が起きたか分からず、後日インターネット上に並んだ在特会を称賛するコメントに言葉を失った。「私たちって駄目な存在なの?」。当時5年生だった女性は母親に尋ねた。思春期は「日本人として生きていった方が楽なのか」と葛藤を感じてきた。「高裁は在日コリアンを攻撃する目的のヘイトクライム(憎悪犯罪)だったと明確に認定してほしい」。同志社大4年の李宗海さん(21)も「このままではネット上でのヘイトが活気づく可能性がある」と危機感を募らせる。

     在特会のヘイトスピーチを巡っては、四国朝鮮初中級学校(松山市)に資金支援をした徳島県教職員組合側が、拡声器で罵声を浴びせられたとして損害賠償を求めた訴訟で、16年の高松高裁判決は「支援活動を萎縮させる目的と効果があり、人種差別的思想に基づく攻撃だ」とし、差別行為と認める判断を示した。

     今回の公判で学園側弁護団を務める富増四季弁護士(43)=京都弁護士会=は一審判決について「公益目的を肯定する論理展開が強引で公平な判断とは言い難い」と批判。「再犯加害者に対し論理をゆがめてまで温情的な判断をするのは、裁判所自体が差別に加担しているのも同然だ」と強調した。

     弁護団は一審判決への抗議の賛同を求める電子署名もネット上で呼び掛けており、6月28日時点で2500人以上の署名が集まった。


    検察VS裁判所という構図。朝鮮学園側が直接反論できないもどかしさがあるが、その分日本の国がヘイトをどうとらえているかという大きなメルクマールでもある。「黒川検事長の問題」で検察の体制が問われる中、大阪高検がどのような論理展開をするのかに注目が集まる。