h1801
 
  • 就学援助」対象を拡大.27
  • 4億6000万人「教育危機」.28
  • 教員の性暴力18年度過去最多.28
  • 「側近政治」の弊害露呈.29
  • 8月29日 検証・安倍政権 「側近政治」の弊害露呈

    ●一橋大大学院教授 中北浩爾 

     安倍晋三首相は8年近く政権を担って退陣を表明したが、それまでの次々と内閣が代わってきた時代に比べ、政治を安定させたという点では評価できる。一方、その長期化の最大の源泉は、民主党政権に対する世論の失望を折に触れてよみがえらせる対決姿勢だったことは見逃せない。民主党政権を『悪夢』と繰り返し呼び、それよりましとアピールすることで、自らの正当性を示してきた。

     つまり、野党の弱さが安倍政権を支えてきたと言える。この政治手法は小泉純一郎政権と比較すると、かなり色彩が異なる。小泉首相は「自民党をぷっ壊す」などと言い切り、国民の多くが熱狂した。ところが、安倍首相の場合は官邸を側近で固め、自民党の派閥のバランスも考慮して、政権を運営してきた。中央省庁は内閣人事局で幹部人事を決める制度をつくり、いわゆる「安倍―強」体制を確立した。

     それゆえ、保守派など一部の強固な支持基盤に加え、民主党政権に失望して安倍政権を消極的に支持する人たち、そして連立相手の公明党支持者によって、政権を堅持してきた。無党派層の支持が厚かった小泉氏と大きく違う点である。

     この結果、長期政権と背中合わせの形で、弊害や問題も相次いで露呈した。例えば、身内の重用は、森友、加計学園や「桜を見る会」の問題を生み出した。しかも、国民が納得できる説明もないまま、これらの問題は闇に葬られようとしている。安倍首相は新型コロナウイルス感染症を巡り、自らの言葉で対策をしっかり説明してこなかったと批判されてきたが、他の政策でも説明が十分だったとは言えない。

     多くの国民や憲法学者、野党の強い反対を押し切って、集団的自衛権行使の一部容認を柱とする安全保障関連法を成立させた。2017年7月の東京都議選の際、「安倍やめろ」と連呼する聴衆の一部に対して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放ったのも、国民を分断する政治の象徴だった。

     安倍政権は「地方創生」「女性が輝く社会」「1億総活躍社会」などを相次いで打ち出してきたのも特徴だ。しかし、いずれも十分な成果が上がらず、結果として政権の長期化を図るためのキャッチフレーズだったとの批判は免れない。

     首相の宿願と言われた憲法改正もおそらく、予見しうる将来にわたり、実現が難しくなった。北朝鮮による日本人拉致事件や北方領土問題も全く前進せず、首相にとって無念の退陣表明だったに違いない。アベノミクスもコロナ禍で色あせてしまった。

     それでも首相は在任中、消費税率を2度引き上げ、社会保障改革で一定の道筋を付けたと思う。だが、急速な少子高齢化と地方の衰退で日本が今、大きな曲がり角に立っていることを踏まえれば、決して十分な対応とは言えない。

     本来なら、こうした問題をどう解決していくのか、国民の将来不安や国力へのダメージをいかに軽減していくのか、野党も巻き込んでしっかり議論すべきだった。対決姿勢を前面に打ち出してきたがゆえに、現在の日本が抱える最も重要な課題に真正面から取り組めなかった。果たして、次の政権はどう対処するのか。

     安倍政権への歴史的な評価は後世に委ねられるが、もしかすると「歴代最長政権だったのに日本の重大な曲がり角で必要な改革を実行しなかった内閣」と評されるかもしれない。(談)


    橋下徹元大阪府知事が記者に対して「お疲れさまでしたぐらいは言えないのか」と言ったそうだが、そうした気分にはなれない人は大勢いるだろう。もちろん持病に対してそれを揶揄するような野党議員のツイートなどは論外なのだが。一番恐れるのは首相が交代することで「民主主義の崩壊」とされてきた多くの課題に蓋をしてしまうことである。自・公の政治に対抗できる「まっとうな」野党の成立が望まれる。また、左派・右派というような一次元的な切り分けではなく、再分配と多様性を二次元とする構図(中島岳志)で議論することに有権者も慣れなくてはいけないおではないか。


    8月28日 文科省調査 教員の性暴力18年度過去最多

     学校教員による性暴力が増加している。わいせつや性的言動で処分された教員は2018年度、過去最多の282人で被害者の49%に当たる138人は勤務校の児童生徒や卒業生。専門家は「先生と子どもで圧倒的な力の差があり、性暴力のリスクを常にはらむ」と指摘する。処分情報が共有されず、他地域で再び教壇に立てる点も疑問視されている。

     東京都のフォトグラファー石田郁子さん(42)は15歳の時、中学の教員から被害に遭った。高校受験の指導を受ける中、教員宅に連れて行かれてキスされた。卒業後、行為はエスカレートし、19歳まで続けられた。

     「先生が自分を性的な対象と見ていると全く思わなかった。嫌かどうかなんて考えられず、行為の際は『電気のブレーカーが落ちたような感覚』でいた」。約20年後、少女を暴行した児童養護施設職員の裁判を傍聴したことで、性暴力被害ったと初めて認識。当時の感覚がよみがえるフラッシュバックも体験した。

     教育委員会に調査を依頼したが、教員に事実を否定され、賠償を求め提訴。東京地裁判決は「提訴が遅すぎる」と棄却したが、石田さんは「被害者は何も悪くない」と自分の実名を公表して被害を訴えた。7月には刑法の性犯罪規定見直しを議論する法務省の検討会に呼ばれ、体験を語った。

     石田さんはインターネット上でアンケートも実施。回答者約730人中約300人が教員からの性被害を経験していた。授業や部活動といった指導の延長での被害が多い。検討会後の記者会見で「子どもは違和感や不快感を覚えても声を上げるのは困難。国が実態把握を」と訴えた。

     わいせつによる処分は増加傾向で、文部科学省は各地の教委に対し、被害者が児童生徒の場合、免職を求めている。ただ3年経過すれば教員免許を再取得できる上、処分内容も自治体間で共有されていない。児童ポルノで逮捕された教員が別地域で採用され、子どもに加害する例もあった。

     京都教育大の榊原禎宏教授(公教育経営論)らによると、2000年から16年間の推計値で、わいせつ行為の発生率は教員が一般に比べ平均1・4倍高かった。榊原教授は『教員は個人の裁量が大きく、教室の『王様』になりやすい。多忙によるストレスも問題」と話す。業務を見直し、教員同士が批判的な内容も含め意見しやすい環境をつくるなど「組織で対応するという発想が、より求められる」と説明する。

     性暴力被害に詳しい上谷さくら弁護士は「処分情報を自治体間で共有できるようにするなど、国が関与すべきだ」と指摘。被害生徒の中には、教員に抱く尊敬や親しみを「恋愛」にすり替えられ、成人後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するケースもある。「学校関係者は、学校は性暴力が起こりやすい構造であることを自覚すべきだ」と話している。


    すべての教員が清廉潔白であると考えることはできないが、「わいせつ行為の発生率は教員が一般に比べ平均1・4倍高かった」というのは深刻。これを個々の教員の問題という形での解決策を求めるのは間違っている。精神疾患の罹患率も一般に比べて高いのは常識になっている。教育という仕事の再検討を、働き方改革として徹底していくことが必要だろう。「変形労働時間制」でお茶を濁すようなことではいけない。


    8月28日 ユニセフ 4億6000万人「教育危機」

     国連児童基金(ユニセフ)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校閉鎖中にインターネットなどを通じた遠隔学習を利用できない子どもたちが、日本の幼稚園から高校に当たる世界の児童・生徒のうち少なくとも31%の約4億6300万人に上ると27日付報告書で明らかにした。実態はより悪い可能性が高いとも指摘している。

     フォア事務局長は「地球規模の教育危機だ。今後数十年にわたり経済、社会に影響しかねない」と警告。ユニセフは各国政府に対し、学校を再開できない間は埋め合わせとなる教育方法を実行するよう呼び掛けた。

     ユニぜフによると、学校閉鎖の影響を受けている子どもは15億人近く。テレビやラジオ、ネットを通じた遠隔学習を利用できない子どもは、サハラ以南のアフリカが少なくとも50%近く、東アジア・太平洋地域では20%だった。年齢層が低いほど比率が高く、幼稚園に相当する子どもたちでは約70%に達した。

     報告書は、ネットなどの環境が整っていても家庭の事情から手伝いや仕事を強いられたり利用支援がないため遠隔学習ができなかったりする場合があると警鐘を鳴らした。

     日本では長期休校を踏まえ、政府の教育再生実行会議が7月「ポストコロナ」の学びをテーマに検討を進めることを確認。オンラインでの遠隔教育も取り上げ、来年5月をめどに一定の提言をとりまとめるとしている。


    日本においてもオンライン教育を推進していく議論があるが、個々の家庭での事情が大きく影響することを考慮しなければあらない。例えば、子ども一人で家庭でオンラインに向き合えるかを考えれば明らかである。


    8月27日 市教委 「就学援助」対象を拡大

     京都市教育委員会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が急減した家庭が増えていることから、児童生徒の就学を経済的に支える「就学援助」の対象を広げた。新たな審査方法を採用し、従来より速やかに認定できるようにしたという。

     就学援助は、自治体が定めた所得基準額を下回る家庭に対し、学用品費や修学旅行費を支給したり給食費の保護者負担をなくしたりする制度。市教委によると、収入の激減を理由に制度を利用する「家計急変世帯」は例年10件に満たないが、今年は7月末で申請が約50件と急増した。コロナ禍の影響とみられる。

     新たな審査方法では前年度所得ではなく、今年1月以降で収入が減少した3ヵ月を基に算出した世帯のの合計所得で、就学援助が利用できるかどうかを判定する。また自営業はシーズンごとに収入の増減があることが多いため家計急変世帯の対象外としていたが、観光業を中心に経済難が広がっていることを受け、対象に含めることにした。

     従来の審査方法では不認定でも、新たに認定される可能性があるという。市教委は「家計が苦しくなったと感じたら、ひとまず学校に相談してほしい」と呼び掛けている。12月末までに申請すれば、4月にさかのぼって認定する。家計急変での申請の場合は、収入が減少した3ヵ月分の給与明細の写しなど、世帯の収入状況が分かる書類が必要。


    就学援助の対象が拡大されることは望ましいことである。本来は国が準備すべきものだが毎年の予算では実態お大きく下回った数字が示されてきた。自治体が拡大を実施すれば「持ち出す」ことになるのはいささか問題であろう。


    8月26日 学校基本調査 府内小学生過去最少

     京都府が25日に公表した学校基本調査の府内分によると、5月1日現在の小学校の在学者数は12万1712人(前年比1781人減)と12年連続で減少し、1948年度の調査開始以来、過去最少を更新した。一方、幼保連携型認定こども園の在園者は5年連続で増加した。

     小学校は校数が371校で、1校が新設され10校が廃校となった。児童数の減少率が最も大きかったのは南山城村の16・7%減で、72人から60人に減った。次いで久御山町が8・4%減で、761人から697人になった。京都市は704人減って6万2100人と1・1%の減少。伊根町は12・1%増で、66人から74人に増えた。

     中学校の在学者数は6万5443人(108人減)と7年連続の減少で、過去最少。校数は190校で1校が廃校した。高校も6万7884人(1153人減)と4年連続の減少だが、校数は5校新設され110校となった。特別支援学校の在学者は2886人(48人増)で3年連続で増加した。

     幼保連携型認定こども園の在園者は1万6413人で1576人増えた。園数も2園が廃園したが、16園が新設されて122園に。一方で、幼稚園の在園者は2万2094人(1033人減)と16年連続の減少。園数は4園が廃園し197園となった。


    子どもの数が減ったから学校が減ったと考えもあるが、実態は学校が減ったから子どもが減ったというほうが正しい。コロナでの保健所機能がマヒに近い状態だとの指摘があるが、行政のスリム化を唱えてきた安倍政権(中曽根政権以来の新自由主義路線も)が少子化対策をスローガンに上げつつ学校統廃合を推進してきたことにも原因がある。


    8月25日 学び確保 現場苦慮

     2学期が始まった学校現場で、校内で新型コロナウイルス感染者が出て教員が濃厚接触者となった場合の対応に、教育委員会が頭を悩ませている。PCR検査で陰性でも2週間の出勤停止となり、授業に支障が出るためだ。子どもの学びを途切れさせないよう、講師の確保に奔走したりオンライン授業への取り組みに力を入れたりしている。

     京都市のある中学校では1学期、感染した生徒6人の部活動顧問や授業を受け持った教員14人が同時期に濃厚接触者となるケースがあった。8月1日から始まる夏休み直前の時期だったため、7月29日から3日間の臨時休校とした。

     一つの学校で濃厚接触の教員が相次いで出勤停止となれば、授業を続けるのが難しくなる。特に中学校では教科担任制で部活動もあるため、複数の学年に影響が及ぶ可能性がある。

     このような状況も見込み、市教委は27月から学校、幼稚園で学習支援に当たる非常勤講師の採用などを進めてきた。約260校全校への配置を目指すが年度途中の人材確保は難しく、新規で約80人にとどまる。すでに学校で働く非常勤講師の勤務時間延長を含めると20校へ配置できる見込みだが、一部の時間しか対応できていない学校もあり不十分という。

     市教委は「教員を目指す学生など教員免許を持っていない人も募集の対象に広げることを考えている。またオンライン授業に向けICT(情報通信技術)環境の整備に力入れる」と今後の対応を説明する。

     他都市でも同じ課題を抱える。横浜市では7月、が学校の教員が感染し、近くにいた教員4人が2週間の自宅待機になった。教員不足による休校措置には至らなかったものの、横浜市教委は「教科担任制の中学校で生徒が感染すれば、より多くの教員が出勤停止になる可能性がある。感染は予断を許さない状況で、子どもの学びをどう保障していくかは頭の痛い問題だ」と話す。


    府内小中学校密集避け2学期スタート

     京都府内の多くの小中学校で24日、2学期の始業式があった。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の休校の影響で、例年より短い夏休みだった。子どもたちは感染対策を取りながら、学校生活をスタートさせた。

     宇治市など南部地域や京都市の小学校で主に行われた。北部や洛西地域では一部を除き、すでに2単期が始まっている。

     2週間ほど短縮された夏休みを終えた京都市伏見区の深草小では、密集を避けるため式は教室で実施。オンラインで各kラスをつなぎ、児童はテレビ画面越しに校長の話や6年生の発表を聞いた。

     続いて手洗いなど感染防止の指導を担任から受け、夏休みの宿題を提出した後、通常の授業に取り組んだ。1年の宮永紅愛さん(6)は夏休みを「短く感じた。川遊びをしたのが楽しかった」と振り返っていた。



    .25
    8月25日 府教委 ICT推進議論

     京都府の西脇隆俊知事と府教育委員が課題を話し合う総合教育会議が24日、京都市下京区の京都産業大むすびわざ館で開かれた。新型コロナウィルスの感染予防と学びの両立について意見交換し、情報通信技術(ICT)を活用したオンライン学習の必要性や課題を共有した。

     橋本幸三教育長は教育課題として「感染予防の面では、教室で生徒の間隔が1メートル程度しか確保できない」とし、「オンライン授業は学校や生徒間で温度差がある。高速大容量の通信ネットワークの整備も必要だ」と述ぺた。西脇知事は「コロナの影響で地元での体験学習や海外研修などが中止となっており影響が心配だ」と懸念を伝え、代わりとなるような取り組みを、ICTの活用によりできないかと問い掛けた。

     教育委員5人からはICT教育に関して「対面の授業とどう組み合わせて効果を高めるかが重要だ」「機器を使いこなす外部人材を積極的に登用すべき」との意見が出された。一方で、「中学生の多くが塾に行っているが、ICTを言う前に学校で基礎学力を付けさせることが大事だ」といった指摘もあった。

     西脇知事はICTを活用した教育について「環境が飛躍的に進むが、教育格差が広がるのは良くない。何の学習に向いているか仕分けすることも重要だ」と述べた。


    【24日夕刊】コロナ禍、情報格差拡大

     新型コロナウイルス感染対策の外出制限に伴いインターネット利用が急増する中、IT活用能力の格差「デジタルディバイド」(情報格差)が世界で拡大している。ネット環境が整った先進国と未整備の途上国の差が特に深刻で、教育や医療への影響も大きく、国連は「死活問題」と警鐘を鳴らす。日本政府もIT基本法を改正し対策を拡充する方針だ。  世界経済フォーラム(WEF)が7月に発表した報告書によると、感染防止対策で外出を控える動きや在宅勤務が広がったため、今年4月末までのネット利用が前年と比べ世界で7割増加した。高所得国では9割近い家庭でブロードバンド回線の通信設備が整っているのに対し、中所得国では7割、低所得国は1割未満にとどまっている。  ネット活用はコロナ対策を含む基本的な生活情報の収集のほか、テレワークやオンライン診察・授業といった「新しい生活様式」に不可欠で、情報格差が「不平等性を増幅」(WEF)させる主な原因となっている。  英誌エコノミストの調査部門が100力国・地域のネット環境を評価した今年の国別ランキングでは1位がスウェーデン、米国3位、日本17位、中国36位。下位の大半をアフリカ諸国が占めた。  途上国だけでなく、米国など先進国内でも市民間の情報格差が顕在化している。米連邦通信委員会(FCC)によると、米国内では推定2100万人がブロードバンド回線を利用できておらず、実際の人数はもっと多いとの情報もある。  日本政府は情報格差の防止対策を拡充するため来年の通常国会への改正法案提出を目指す。  国連のグテレス事務総長は「あらゆるコロナ対応においてITは重要であり、情報格差は必要不可欠な医療保健情報にアクセスできない人にとって死活的な問題だ」と述べ、各国に早急な対応を求めている。


    オンライン学習の評価についてはプラス・マイナスがあることは十分認識をしておく必要がある。とりわけ、格差が鮮明になりやすい分野であり、「一斉オンライン」ということが万能薬ではないことも知っておく必要がある。


    8月25日 公立高 定員1万2615人

     京都府と京都市の両教育委員会は24日、公立高の2021年度入試の募集定員や日程を発表した。府立の西乙訓、京都八幡、南陽の3校でそれぞれ募集定員を40人減らす。新型コロナウイルスの影響で部活動の大会などが中止となっているため、前期選抜で使う活動実績報告書では大会の実績は評価の対象としないことにした。

     入試募集定員は1万2615人で前年度より120人の減少。西乙訓、京都八幡は地元の中学生数の減少や過去の進路実績などを考慮して決めた。南陽高は初めて付属中から40人が内部進学するため高校入試の募集定員を40人減らした。

     定時制の募集定員は720人、通信制は280人でいずれも前年度と同じ。定時制では、来年4月に新設する市立京都奏和は80人とし、統合する西京(前年度50人)と伏見工業(同30人)は募集を停止する。

     活動実績報告書は、部活動や生徒会活動などを記載するもので前期選抜では高校ごとに30点分などに評価される。21年度入試では中学1、2年生時の大会実績や3年間の活動状況、努力などを評価するという。

     丹後緑風(網野学舎)ではレスリング部入学を条件とする全国募集枠を設ける。全国募集するのは北桑田、須知に続き3校目。来年3月の府内公立中の卒業見込み者数は83人減の1万9085人。



    8月24日 朝鮮学校に支援の輪

     新型コロナウイルス感染症の影響で資金難に苦しむ日本の朝鮮学校を応援する募金の輪が広かっている。日本政府はコロナ対策の教育支援の対象から朝鮮学校を排除しており、こうした態度への怒りも後押ししている。

     「朝鮮学校の窮状は日本の学校とは決定的に違う。カンパを渡すと『これで学校が回る』と喜ばれた。非常に切ない」

     7月、朝鮮学校への公的支援を求め東京・霞が関の文部科学省前で開かれた集会。千葉県内で朝鮮学校と交流してきた「千葉ハッキョの会」の呼び掛け人で高校教師の堀川久司さん(63)は、2ヵ月間で目標の100万円を超える寄付が集まったと報告し、支援の継続を訴えた。

     朝鮮学校は運営資金を父母らがバザーなどで集め不足分を賄ってきたが、コロナ禍で行事が開けない状態が続いている。

     政府は高校や幼児教育・保育の無償化施策の対象から朝鮮学校を除外してきた。さらにコロナ対策事業でも最大500万円の学校への感染防止支援や、学生への緊急給付金支給の対象外とした。

     東京都多摩地域で活動する「ウリの会基金」の共同代表、松野哲二さん(71)は「学校と子どもたちに本当に渡したいのはお金ではなく、差別のない公的支援と日本社会だ」と話す。会の活動を知った72歳の女性は「なぜ同じ日本に住む子どもが蚊帳の外に追いやられるのか」’と憤り、特別定額給付金で受け取った10万円を全額託したという。

     3人の子を朝鮮学校に通わせた在日朝鮮人の女性(52)は「全ての教育課程で差別する政府は残酷すぎる。金銭的に追い詰められ、親は疲れ果てている」と口にしたが、「日本の市民が一緒に闘ってくれることは、私たちの大きな力になる」とも話した。


    7年以上に及ぶ長期の安倍政権。「レガシーは何か」の議論が急に喧しくなった。その一つというならば、外交問題での韓国・朝鮮への敵視を強めたことだと皮肉めかして言うことができる。朝鮮学校へ排除の政策はいまだに日本の社会がまっとうな市民社会でないことを鮮明にしている。


    8月24日 府・市教委 18歳以下、水面下で拡大恐れ

     新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、18歳以下の子どもの間でクラスター(感染者集団)の報告が相次いでいる。松江市の高校で約100人が感染、米国では300人に迫る大規模クラスターも発生した。水面下で感染が広がる恐れがあり、新学期を迎え、専門家は3密回避などの対策を徹底するよう呼び掛けている。

     国内ではこれまで、子どもの感染は家庭内で親などからうつされる例が多く、子どもの集団感染は比較的少ないとされていた。だが6月下旬以降の「第2波」の流行ではクラスターの発生が目立つ。内閣官房のまとめによると、7月に学校や教育関連施設で集団感染とみられる事例が35件確認された。そのうち約6割が小里局や幼稚園、保育園だった。

     松江市の私立立正大湘南高では8月9日、学校関連では最大規模のクラスターが見つかった。関連する感染者は約100人に上る。大半は高校の寮で生活をしていたサッカー部の部員で、多くは症状が軽いか無症状だったという。東京都文京区の認可保育園では7月、園児と職員の集団感染が発生。神奈川県や沖縄県の小学校でも児童らの感染が確認されている。東京都では今月、学習塾で講師からとみられる小中学生7人の感染も報告された。そのほか、奈艮県の天理大など大学運動部での事例も相次いでいる。

     自治医大の田村大輔准教授は「子どもは新型コロナにかかっても比較的軽く済む。一方で子ども同士は普段から密接することが多く、集団生活では気づかないまま感染が広まるリスクがある」と指摘している。


    未だに明確な対応策が打ち出されていないなかで、新学期が始まる。感染者が教育機関内で見つかった場合どうするのかは個別の自治体の判断ということになるのだろうが、不安の払しょくから考えれば一定の数値基準と対応策が示されることが必要だろう。


    8月22日 教員意識調査 「子どもの話聞けず」3割

     教職員の3人に1人は、疲労から子どもの話に十分耳を傾けられていない―。新型コロナウイルスの感染拡大が教育活動に与えた影響を探ろうと、NPO法人「共育の杜」(東京)がインターネットでアンケートを実施したところ、こんな実態が浮かんだ。21日に結果を公表した。

     アンケートは7月に実施。政府が4月に緊急事態宣言を出した7都府県の小学校などで勤務する校長や教頭、教員、学校事務員に協力を求め、1203人が回答した。

     結果によると、新型コロナ感染拡大の影響では、全体の半数超となる684人が「職場で体調不良を訴える人が増えた」とした。業務別に負担の重さを聞いた。質問では「校内の消毒作業」や「学習遅れの取り戻し」が上位に挙がった。

     こうした中、33・7%を占める405人が、「疲労やストレスを感じた時、子どもの話をしっかり聞けなくなったか」という質問に対し、「とても思う」「まあまあ思う」と回答。子どもとの関係に変化を実感していた。゛

     同様に「必要以上に子どもを叱ってしまう」と感じたのは23・7%の285人で、「いいかげんな授業をしてしまう」も18・1%の218人だった。


    予想されていた結果ではあるが、数字を見るとやはり現場へのしわ寄せが見える。これまでも学校の最も重要なテーマは「安全・安心」であったが、どこまでやればいいのかがわからない。国も行政も消費者(親・保護者)目線だけの対応ではなく、現場目線で問題を解決する方向を提示すべきではないか。


    8月21日 中教審 理科・英語・算数 教科担任を導入

     文部科学省は20日、中教審の特別部会を開き、2022年度をめどに小学5・6年生で本格導入を目指す教科担任制について、優先して導入すべき教科として既に専科教員が教えることが広まっている理科に加え、英語と算数を例示した中間まとめの骨子案を示した。より高度になる中学校での学習を見通して、系統立てて教える重要性や、指導する際に必要な専門性を踏まえ、これら3教科を選んだ。

     小学校では全ての教科を受け持つ学級担任が中心だが、文科省が実施した調査で、18年度に6年生で教科担任を取り入れるとした全国の公立小は、音楽で55・6%、理科で47・8%と、実技や実験のある教科で専科教員の配置が進む一方、国語では3・5%、篁数7・2%、外国語活動19・3%にとどまっていた。

     小学校高学年への教科担任制の在り方については、柴山昌彦文科相(当時)が19年4月に中教審へ諮問。中教審は特別部会や関係する部会で、対象教科などを議論してきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、答申は当初予定の年内からずれ込み、年明けを見込んでいる。

     小学校高学年では、本年度から英語が教科化し、教育現場では専科教員のニーズが高まっている。文科省はプログラミング教育を取り入れた理科のほか、学年が上がるにつれてつまずく子どもが増える算数でも、専科教員が教える有用性が高いとみている。

     骨子案は、教科担任制拡大により、教育の質向上や過重労働が問題となっている教員の負担軽減につながると指摘した。


    小学校での教科担任制は現場の悲願と言ってもいいだろう。小学校での指導はオールマイティ―さが要求されると聞かされてきた。確かにこうした教員の資質は重要なのだがすべての教員にそれを求めることはできない。それぞれの専門領域が生かされることが必要だろう。ただ、その「専門性」が果たして小学校教育に必要なのかは問われてしかるべき問題だ。


    8月18日 NPO法人「3keys」 学校つらい子責めないで

     新型コロナウイルス感染拡大で生じた学習の遅れを取り戻すため、一部の地域の学校は17日から新学期が始まったり、授業を再開したりした。異例の長期休校に続き、いつもより短い夏休み。慣れない環境に翻弄される子どもの中には、家庭でも、学校でも居場所が見つからない姿も浮かぶ。支援に取り組む団体や弁護士は「学校に行くのがつらいと感じる子を責めないで」と呼び掛ける。

     「学校に居場所がない。親にも愛されていない」。インターネットで子どもの悩みに応じ、適切な支援団体の情報を紹介してくれるサイト「Mex(ミークス)」には昨年度、延ぺ約100万人の利用があった。匿名で書き込める投稿欄には「死にたい」といった切実な声も寄せられる。

     安倍晋三首相の要請で全国一斉休校となった3月以降で顕著になったのは、親から暴力を受けたり、無視されたりという虐待被害。望まない妊娠の相談も目立った。休校で家庭に閉じこもるうちに親子関係が悪化し、外に逃げ場を求めると性被害などのリスクにさらされる実態がうかがえた。

     各地で学校再開が本格化した6月以降は、いじめや友人関係の悩みが増えた。「クラスの男子全員で菌扱いしてくる」といった訴えのほか、「勉強が難しくて授業についていけるか不安。この気持ちを分かってくれる人がいない」と一人で苦しむ言葉もあった。  ミークスを運営する認定NPO法人「3keys」(東京)の森山誉恵代表理事は「いじめに遭っても親が受け止めてくれないなど、学校と家庭の問題は関連しあっている」と話す。

     学習遅れを取り戻そうと、授業が過密化することへも懸念がある。2011年に起きた大津市の中2男子いじめ自殺で市の第三者委員会副委員長を務め、多くのいじめ相談に乗る渡部吉泰弁護士は「子どもにストレスが蓄積している。水面下でいじめが進む一方、教員は多忙で気付けない恐れがある」と指摘する。

     子どもを追い詰めないためには、どうすれば良いのか。森山さんは「大人が『学校にいくべきだ』などとプレッシャーを与えないようにすべきだ。安心できる居場所を用意できないのは大人の責任。『だから、自分が悪いと責めないで』と、子どもに伝えていくことが大切」と語る。

     ミークスのURLはhttps://me-x.jp


    第二東京弁護士会L−NEでSOS受け付け

     第二東京弁護士会は17日、新型コロナウイルス感染拡大で例年と違う夏休みを過ごしている子どもたちからのSOSを受け止めようと、LINE(ライン)での相談受け付けを始めた10月16日まで水曜、土曜を除く週5日受け付ける。

     ラインのIDは「@439hitrs」。第二東京弁護士会のホームページに掲載したQRコードからもアクセスできる。対応時間は日、木曜が午後5〜7時、月、`火、金曜が午後5〜6時半。約50人の弁護士が交代で対応する。


    夏休み明けはいつも子供の問題が多発するといわれている。極端に短い夏休みはどのように影響するのだろうか、予測がつかない。「学習の遅れ」をどこの教委も問題にするが果たして本当に遅れがあるのだろうか?おそらくそれにも「格差」が生じているはず。全体的な「遅れ」よりもその「格差」にどう対応するかが知恵に出しどころだろう。地方への丸投げではなしに、一斉休校の責任として文科省は少なくとも一定の指針を示さなくてはいけない。


    8月16日 8・15関連 行き詰る「未来志向」

     終戦から75年を迎え、安倍晋三首相の近隣外交が行き詰まりつつある。戦後70年談話で「未来志向」の関係構築をうたってから5年。中国は尖閣諸島周辺への進出を繰り返し、韓国は元徴用工問題で日本批判を続けるなど、戦後和解の実現は遠い。第2次安倍内閣発足以降、最多の4閣僚による靖国神社参拝も影を落とす。首脳間の直接対話を阻む新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、平和国家としての地歩を固められずにいる。

     「今を生きる世代、明日を生きる世代のために、この国の未来を切り開いていく」。首柏は15日の全国戦没者追悼式でそう宣言した。

     昨年の式辞にあった「歴史の教訓を深く胸に刻み」は消え、代わりに初めて入ったのが「積極的平和主義」という言葉だ。外交、安全保障面で国際社会に貢献する政権の基本指針で、戦後70年談話でも掲げた。首相は周囲に「未来志向の意味合いを込めた」と話す。

     ただ積極的平和主義の背景には「米軍などと連携した自衛隊による海外への積極展開の狙いがある」(野党幹部)のは間違いない。自民党ベテランは「敵基地攻撃能力保有も見据えた発言ではないか」との見方を示す。

     首相は戦後70年談話で将来世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と未来志向の姿勢を言明。「侵略」「おわび」のキーワードはちりばめたが、その行為の当事者となる主語をぼかす間接的な表現が目立った。こうした「巧妙さ」が歴史に真摯に向き合っていないと見透かされたのか、東アジア外交で十分な成果を上げられていないと見る向きがある。

     日中関係は改善の兆しもあったが、中国は今春以降、沖縄県・尖閣諸島周辺での活動を活発化。中国当局の船の確認は8月2日に111日連続となり、2012年の国有化以降で最長となった。官邸幹部は「それでも経済大国の中国とは付き合っていくしかない」と語る。ただ中国は香港情勢を巡り国際社会での孤立を強めており、延期中の習近平国家主席の国賓来日には逆風が吹く。

     首相は立ち位置の微妙な変化を探っているようだ。7月末に台湾の李登輝元総統が死去した際には「自由と民主主義、人権の普遍的な価値を築いた」と功績をたたえた。外務省が事前に準備した応答要領にはなかった表現で、中国を刺激しかねない文言をあえて自ら盛り込んだ。第2次内閣発足直後に展開した価値観外交への回帰が透ける。

     韓国では元徴用工訴訟を巡り日本企業の資産を現金化する動きが進む。日本政府は「制裁発動も辞さない」(高官)と強気の構えで緊張緩和は程遠い。閣僚として4年ぶりに終戦の日に参拝した萩生田光一文部科学相らは首相に近く、中韓両国からの一定の反発は必至だ。

     首相はこれまで国際会議を利用した個別の首脳会談を局面打開の舞台としてきた。しかしコロナ禍で封印され、今月末に見込まれた先進7力国首脳会議(G7サミット)も先送りされた。官邸筋は「首脳間で対話できれば、中韓との歴史認識の差を埋める糸口も探れるのに」と唇をかんだ。


    過去顧みぬ姿勢 鮮明に

     安倍晋三首相が15日の全国戦没者追悼式で述べた式辞には「歴史と向き合う」という趣旨の言葉がなかった。一方、首相が掲げる「積極的平和主義」が初登場。日本の加害責任には今年も言及せず、過去を顧みない姿勢が一段と鮮明になった。

     安倍首相は第2次安倍政権発足後の2013〜19年の式辞で、毎年「歴史と謙虚に向き合い」「歴史の教訓を胸に刻み」などと述べていたが、消えたのは初めてだ。6年連続で「戦争の惨禍を繰り返さない」と誓ったが、歴代首相が述べてきたアジア諸国への加害責任や反省は8年間、一貫して言及しなかった。

     今年は「積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、世界が直面しているさまざまな課題の解決にこれまで以上に役割を果たす決意だ」と宣言。こだわりの外交・安全保障指針を8年目で初めて盛り込み、集団的自衛権の行使容認などを推し進めてきた「安部カラーをにじませた。新型コロナウイルス感染症を「乗り越える」と強調し「明日を生きる世代のために、この国の未来を切り開く」と例年通りの言葉で締めた。

     戦没者への敬意と感謝を述べた式辞の前半部分は昨年とほとんど変わらない。「私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の皆さまの尊い犠牲の上に築かれたものであることを忘れない」など、文面は似通っていた。


    白井 聡 京都精華大講師「敗戦」否認し、ごまかす「終戦」

     生まれてすぐ相模原市に移り住んだ。神奈川県は米軍基地が多く、自宅は米軍機の飛行ルート下にあった。

     低空を飛ぶ機体を日常的に目にし、ちょっと足を延ばせば米軍施設があったが、これらがどういう意味を持つのか、深く考えさせる教育は不思議となかった。

     頭の中で整理されてきたのは、研究者としてのキャリアを築いてきた最近のことだ。日本は戦争に負けて対米従属となった。ただ、この意味はきちんと考えられてこなかった。というか、考えなくてもいいような状況を戦後の時空間がつくり上げてきた。

     それを示すのが「終戦」という言葉だ。これは「敗戦」を否認し、ごまかしている。あの戦争は人為なのに、巨大な地震や台風といった天災のように扱うことで、多くの同胞を悲惨極まる形で死に追いやり、諸外国に大変な被害を強いた責任を、国家として主体的に追及してこなかった。戦後復興で経済大国化したことも敗戦を打ち消した。

     対米従属が長年続き、戦後の日本人は精神が奇形化してしまった。7月にトランプ米大統領が米国による人類史上初の核実験から75年を迎え「素晴らしい偉業」とたたえる声明を発表したが、日本は被爆者団体しか批判の声を上げていない。

     日本人のこの反応は何なのか。対米従属を続けたいあまり、被害の記憶を語ることすら無意識のうちに抑圧し始めている。敗戦の否認は「何も被っていない」という被害の否認に行き着く恐れがある。

     加害の記憶も忘れず、反省しなければならないが、政治的に成熟していないと不可能で、日本はその水準に達していない。焼夷弾で焼き殺された同胞の苦しみを想像することすらできなくなった国民が、出征した父や息子が中国で性的暴行をしていた事実を受け入れられるわけがない。

     この国は主体的にあの戦争を総括しなければならない。いかにして戦争に入り、拡大し、負けたのか。どこに責任があるのか。でなければ、あの戦争をいいかげんに忘れていってしまうだろう。


    NHKFM「クラシックの迷宮」で「戦後75年によせて」が放送されていた。取り上げた作曲家は橋本國彦である。戦前と戦後の作品の対比が興味深かった。例えば「勝ちぬく僕等少国民」(戦前)と「アカシヤの花」(戦後)だった。古関裕而もそうだけれども、戦時下での活動は見事に国策に順応している。戦後はこれも見事に「平和」に順応している。「長崎の鐘」の歌詞には「召されて妻は天国へ」というのがある。ここから感じ取れるのは、戦争も原爆も天然災害のように表現することが日本人の情緒に受け入れられているということではないだろうか。戦争や原爆は明らかに政治の問題でありそれへの批判と国家におる謝罪・賠償は厳しく指摘されなければならい。


    8月11日 【現論】 首相の休校要請根拠は?

     この春、全国のほとんどの学校が休校になった。子どもたちも保護者も学校も、さぞかし難儀なことだったと思う。筆者にも小学生、中学生、高校生の孫が何人もいるので、その動向が気掛かりでならなかった。  学校が再開しても問題は終わらない。学習の遅れを取り戻すには夏休みを短くせざるを得ないなど、当事者や関係者の気苦労はまだまだ続く。

     一斉休校のきっかけは2月27日の安倍晋三首相による突然の要請だった。ただ、冷静に考えると、首相に休校を決める権限も要請する権限もない。休校にするかどうかは、公立学校であれば学校を管理・運営する教育委員会の権限である。

     いったい、全国の教育委員会はどのような議論や検討を経て、休校を決めたのか。最近それが徐々に明らかになってきた。休校を決めた際の教育委員会の会議録が公開される時期になったからである。

    ▲  思考停止の教委

     驚いたことに、ほとんどの教育委員会は休校を決めるにあたって、まともな議論をした形跡がない。例えば、中部地方のある県庁所在都市では、3月3日から15日まで市立学校を休校とした。経緯は11日の教育委員会臨時会における教育長の報告で知ることができる。

     それによると、「内閣総理大臣から学校における全国一斉の臨時休業を要請する方針が示された」ことにより、「臨時休業を決定した」とある。続けて、「本来ならば教育委員会会議を開催」した上で決めるべき案件だが、「会議を招集する時間的余裕がなかった」ため、教育長 が「専決処分」したと説明している。

     教育長は報道によって首相発言を知り、それで一も二もなく休校にしなければと思い込んだのだろう。それなら思考停止と言うほかない。しかも、休校措置は教育委員会の会議で決めなければならないのに、その手続きも無視した。

     会議を開く時間的余裕が本当になかったか。津波が襲ってくるとか、敵が上陸したなど、寸刻を争う事態ではなかった。首相の要請があった以上、形式的な会議を開いてあれこれ議論する意味などない、というのが本音だったのではないか。

     本当はこんな時にこそ会議を開かなければならない。教育委員会の存在意義は、とかく上意下達になりがちな教育長やその配下の事務局を常識的な目線でたしなめたり、教育長が独断に陥らないようにチェックしたりするところにあるからだ。

     そもそも首相の休校要請はどんな法的根拠や権限に基づくのか。首相になんらの権限もないことは明らかである。慌てて要請に従うことはない。

     ただ、せっかくの機会を生かし、市独自の判断で休校にする必要があるかとうかを検討することはあっていい。それには地域の新型コロナウイルス感染状況を把握し、できれば地元大学の感染症の専門家などから、休校の必要性について意見を聴くのがいい。

    ▲  現場の声に耳を

     休校にした場合に子どもたちに与える影響は必ず知っておくべきだ。それには校長など教育現場の声に耳を傾ける必要がある。さらに、普段子どもが学校に通っていることを前提に仕事をしている親たちの事情も聴いておくべきである。いざ休校となったら企業などに親の勤務形態を柔軟にしてもらうよう協力要請するのが望ましいからだ。

     これが教育委員会の常識的対応だと思うが、現実にはこの市のように首相の一言やそれに続く文部科学省からの要請で金縛り状態になった教育委員会が多かったようだ。そこでは休校が子どもたちの教育権を奪うことや、学校、家庭や社会に甚大な影響を与えることの認識は実に希薄である。

     その一方で、中部地方のある市のように、会議を開いて委員から問題点や課題を指摘され、それを踏まえて対応したことが分かる例外的なケースもある。

     皆さんも、自分の自治体の教育委員会が休校を決めるにあたってどんな議論や検討をしたのか、この際点検してみてはどうか。子どもたちの教育をあずかる教育委員会の力量や見識を確かめるにはいい機会だと思う。 (早稲田大大学院政治学研究科教授 片山善博 )


    ここで書かれているように様々な教育委員会の対応はあったのだろう。当初は休校措置を取らなかった自治体も少数ではあるがあった。緊急事態宣言後は法的な裏付けはないままそうした対応は見られなくなった。今後検討していくべきことであることは間違いない。同時に、政府は先駆けて「一斉休校」の検証を行わなくてはならない。今の政府は、対策は地方に丸投げ、市民の意識だけに頼るという無策。まるで幕末の統制が利かなくなった幕府のように見える。そのなかで様々な民衆の無秩序な、利己的な行動が頻発したこともよく似ている。


    8月9日 【リポート京滋から】「主体的・対話的で深い学び」各校模索

     中学校で2021年度から「主体的・対話的で深い学び」を重視した新学習指導要領が実施される。自分で課題を見つけ出し、仲間と考えを共有しながら解決方法を探る力を育むという。今後、授業はどのように変わっていくのだろうか。京都府内の中学校でも新たな学びの在り方が模索されている。(大西幹子)

     京都市伏見区の京都教育大付属桃山中で7月にあった2年生の国語の授業。生徒が4人程度のグループに分かれ向かい合って座り、三浦哲郎の小説「盆土産」について1人ずつ発言した。盆土産は祖母と暮らす子どもの元に、東京で働く父が土産を手にお盆に帰省した際のやりとりを描いた作品。「私たちの班では登場人物の父と僕は複雑でもどかしい微妙な関係だと読み取りました」。他の生徒は「そういう考えもあるのか」とうなずきメモを取った。

     生徒はこれまでに5時間分の授業を使って、この日のグループとは異なるメンバーで3人1組の班になり、作品を読み込んできた。教員は教壇から読み解き方を一斉指導しない。生徒が「作者から読者へのメッセージとは」など作品に対する問いを立て、描写を丁寧に解釈しながら自分たちなりの答えを導き出した。

     この日はその答えをクループの中で他の班の生徒に発表し合い、考えを共有する授業だった。中山莉麻教諭(29)はその様子を見て回りながら「じやあどうして作者はこういう表現をしたんだろう」などと深い議論を促した。

     同中は19年度から、子どもや教員が互いに学び合う学校づくりを研究する学習院大の佐藤学特任教授(教育学)を外部講師に招き、対話で考えを深める授業スタイルに取り組んできた。中山教諭は「生徒たちの学習意欲が高まり、難しい課題に協力して取り組むことを楽しむようになった」と成果を強調する。

     新学習指導要領が主体性など重視した教育を掲げる背景には、科学技術の急速な進歩や価値観の多様化などがある。めまぐるしく変化する社会を柔軟に生き抜く思考を身に付け、複雑化する社会問題に対し自分なりの視点で解決策を提示するといった姿を、文部科学省は学校教育の先に思い描いている。

     公立学校でも主体的な学びに向けた授業改善の模索が続く。京都市教育委員会は中学校4校、小学校6校を研究校に指定し、自ら調べて考えプレゼンテーションする力を養う「パフォーマンス課題」と呼ばれる指導手法を取り入れるなど工夫を重ねてきた。

     ただこれらは子どもの興味を引き出す仕掛けづくりなどが重要で教員の手間がかかり、多様な視点による評価も必要だという。市教委の担当者は「実践を積み重ねてより取り入れやすい指導方法に磨くことで、多くの学校に広げていきたい」と話す。


    これからの時代の学びを文科省は思い描くとあるが、それを即戦力(時代の対応する能力)とみるのではなく、「学び」のパラダイム変換ととらえるべきであろう。そうすれば、指導する側がどれほど「自らの学び」を実感できているか、実感してきたが重要となる。「実践を積み重ねてより取り入れやすい指導方法に磨く」という従来の指導ではおそらく対応できないだろう。教員の労働の在り方そのものを新学習指導要領が実現可能なものにするかということが必須だろう。


    8月9日 京都最低賃金据え置き

     京都地方最低賃金審議会は7日、京都府内の最低賃金(時給)を現行の909円のまま据え置くよう、金刺義行京都労働局長に答申した。今後異議申立期間を経て決定する。据え置きとなれば、2003年度以来17年ぶりとなる。  京都府では近年3%前後の引き上げが続いていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が縮小し、先行きが不透明となる中で、雇用の維持が最優先と判断した。

     関係者によると、審議会では「非常事態」として維持を主張する使用者側と、「非正規雇用の生活が特に厳しい」として引き上げを訴える労働者側の意見が対立。答申を延期する異例の展開となったが、議論は平行線となり、最後は「現状維持が妥当」とした中央最低賃金審議会の答申に沿った形の決着となった。

     答申を受け、労働者代表委員の連合京都の赤瀬史・副事務局長は「前回の03年度に比べて非正規労働者や学生の暮らしは厳しく、影響は大きい」と懸念した。

     使用者代表委員で京都北都信用金庫(宮津市)の京崎操専務理事は「現行賃金は京都市内に合わせた額。コロナ禍の影響が深刻な京都府北部では引き下げを望む企業も多いはずだ」と窮状を訴えた。答申では、引き上げの議論の継続を付帯決議に盛り込んだ。

     政府は17年3月に決定した「働き方改革実行計画」の中で、最低賃金を年率3%程度引き上げ、全国加重平均1千円を目指すとしている。この流れを受け、京都府では17年度から3年連続で3%を超す引き上げを実施。前年の19年度は現行制度で過去最大となる27円の引き上げだった。


    ここ数年、最低賃金を含めていわゆる春闘に政治が深くかかわってきたが、コロナ禍の下では政治は静観(?)。アベノミクスが崩壊してる中でこそ政治がかかわるべきである。連合は最低賃金を1500円を求めてきたが据え置きはその議論を封じてしまった。子供の貧困が教育での大きな課題となっているが、最低賃金との関連は大きい。


    8月7日 文科省 コロナマニュアル更新

     文部科学省は6日、新型コロナウイルス感染拡大を防止する学校の衛生管理マニュアルを更新し、全国の都道府県教育委員会などに通知した。教員の負担が大きいと指摘されている学校施設の予防的な消毒作業について、大勢が手を触れるドアノブや手すり、スイッチに対象を絞れば十分だと示し、業務量の軽減を図った。

     常時着用が望ましいとしていた子どものマスクについては、絶対に外してはいけないとの誤解を招きかねないとして「身体的距離が十分取れない場合は着用するべき」と表現を改めた。熱中症の恐れがある時や、体育の授業では外すというこれまでの基準に加え、環境省が示す「暑さ指数」にも注意するように促した。

     マニュアルでは、感染予防には校内での拭き掃除など、従来の清掃の徹底が重要だと明記。子どもの机や椅子、床、トイレは、清掃をしていれば特別な消毒は必要ないと説明した。

     その上で、手すりなどの消毒作業については「1日1回、消毒液を浸した布巾などで拭く」と目安を提示。刺激の少ない家庭用洗剤を使い、教員の代わりに、子どもが作業することも認める。外部への業務受託も活用するよう求める。

     文科省によると、一部の学校では教員らが床全体や子どもの上履きの靴底を毎日消毒し、負担が過剰になっているとの声があった。マニュアルの更新は複数の感染症の専門家から助言を得た。


    コロナ対応を迫られる現場では、「消毒」に追われる毎日。COVID-19の性質がどのようなものであるのかが明らかでない中ではいたし方がないのかもしれないが、学校でのマニュアルだけではなくGoToトラベルについてもほとんどエビデンスなしでの「方針」。市民は疲れがたまるだけ。政府の無責任さが浮き彫りになる。今更!?


    8月7日 文科省 6から7月 児童生徒242人感染

     文部科学省は6日、新型コロナウイルスの影響による長期休校後、各地で本格的に学校が再開した6〜7月にコロナ感染した児童生徒は242人で、このうち学校内感染は11人と発表した。教職員の感染者は51人で、学校内感染は確認されなかった。児童生徒57人と教職員35人は経路不明。

     高校段階までの学校を設置する全国の教育委員会などに報告を求めた。感染経路が判明した児童生徒の状況を見ると、家庭内が137人ともっとも多く、家庭や学校以外の活動・交流が31人で続いた。

     学校内感染は4件11人で、いずれも中学・高校で起き、部活動やクラスが同じだった。感染者のうち症状があったのは計120人で、重症者はいない。高校生に関しては、校外での私的な活動を通じて感染が広がった例が目立っており注意して行動するよう担当者が呼び掛けた。

     教職員の家庭内感染は7人、家庭や学校以外の活動・交流での感染は9人だった。感染者が出たことに伴う臨時休校も調査。公立校で感染者が出たのは延べ84校で、このうち47校が1〜3日間だった。


    学校内感染者数5%。単純には言えないが、この数字からも「一斉休校」が正解だったかどうかを考えることができる。政府の無策は経験からは何も学ばないことに原因がある、し誤りを認めないこともそれを助長している。


    8月7日 感染休校 校名公表 各教委で対応違い

     新型コロナウイルスに小中高校の児童生徒が感染して休校した場合に校名を公表するかについて、京都府や滋賀県の自治体で対応が分かれている。保護者や住民の不安解消と子どもの人権保護のバランスをどう取るか。各自治体の教育委員会は地域事情なども考慮して慎重に判断している。

     児童生徒の感染による休校は7月以降、京都府、滋賀県内で相次いでいる。京都市教委は校名を公表しており「学校は公共の施設であり、感染者のプライバシー保護と市民の不安解消、感染拡大のリスクなどを総合的に考え個別に判断している」と説明する。京都府教委も同様で「保護者の不安感の払拭のため」とする。また甲良町教委は「町民の不安に対する配慮」として公表した。

     公表する自治体の多くは、校名を非公表にすると住民らが不安に陥り、会員制交流サイト(SNS)などで校名を特定しようとする動きが起きて地域が混乱する恐れがあると考えている。亀岡市教委の神先宏彰教育長は「懸念したのはよからぬデマや情報が流れること。学校で感染者が出た際に(保護者らから)心配する連絡があったが、校名を公表したらピタッと止まった。ある意味、正しい情報を出すのは大切だ」と強調する。

     一方、校名を公表しなかった自治体もある。宇治市教委は「陽性が判明した生徒が不特定多数から非難されることが考えられ、他の生徒も同じ学校という理由で影響を受けることがあり得るから」と説明。井手町教委は「町内に小学校は2校しかなく、府が自治体名や年代、性別を明らかにすれば個人が特定される恐れがあり、校名は出せない」と地域事情に言及する。大津市教委は「個人のプライバシーを守るため」だが、集団感染などが発生した場合は公表も検討するという。滋賀県教委も非公表の考えを示している。

     校名の公表は全国でもばらつきがある。大阪市は「社会的な影響が大きいため」と原則公表。一方、さいたま市は非公表を貫いており「公表すれば個人が特定され、差別につながる恐れがある。該当する学校の保護者や濃厚接触者など必要な人には情報が伝わっている」とする。

     文部科学省は校名の公表に関する基準を定めていない。健康教育・食育課は「感染状況や情報公開への姿勢は自治体ごとに異なる。国としては一律に基準は示さず、各自治体によって判断してもらっている」という。

     情報公開に詳しい同志社大の佐伯彰洋教授(行政法)は「感染拡大防止と人権保護のバランスをどう取るかが問題だ。公表するのであれば基準となるガイドラインを設けるべきだ。ただ夏休みで児童生徒が登校していないなど公表が不要な場合もあり、最終的にはケース・バイ・ケースで考えるべきだ」と話す。

     世界人権問題研究センター(京都市中京区)の所長を務める坂元茂樹同志社大教授(国際法)は「人は誰でも病気になるのに、今の社会には新型コロナの感染者を犯人のように扱う人もいる。いじめにつながる恐れがあり、感染者が特定されないよう配慮する必要がある。地域事情に応じて各自治体が慎重に考えるべきで、風評被害が想定される場合は公表を控えた方がよいだろう。子どもに対するネットのリテラシー(読解力)教育を強化する必要もある」と指摘する



    8月4日 人事院 勧告 10月以降に

     国家公務員の給与改定に関して例年8月に行う人事院の勧告が、10月以降にずれ込む見通しとなったことが3日、関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、勧告の根拠となる民間企業の月給に関する調査日程が大幅に遅れているため。人事院勧告が10月以降となるのは、1960年からの現行制度下で初めて。

     勧告は都道府県人事委員会などが参考にするため、地方公務員の給与改定に関する自治体の動きにも遅れが出そうだ。

     関係者によると、今年の月給調査は今月17日〜9月30日の日程で最終調整している。例年は、ボーナス調査と併せて4月下旬から6月中旬にかけて従業員50人以上の約1万2500事業所に対し訪問形式で実施していたが、新型コロナを受けて延期していた。

     今年の月給調査の対象は、新型コロナ対応に当たっている病院などを除いた約1万2千ヵ所となる見通し。訪問形式で行うが、感染拡大の状況によってはさらに日程を見直す場合もあるという。