h1801
 
  • 再生エネ発電 初の原発超え.27
  • 学校に感染症専門医を派遣.28
  • 小学5、6年 教科担任制導入.29
  • 9月29日 中教審 小学5、6年 教科担任制導入

     文部科学省は28日、中教審の分科会を開き、2022年度をめどに小学5、6年で教科担任制を本格導入するため、教員確保策を具体化するべきだと提言する中間まとめ案を示した。新型コロナウイルスによる休校を踏まえて対面と遠隔の指導を組み合わせていくことや、高校の普通科を改革し新学科を設けて魅力を高めることも求めた。

     教科担任制の対象として、20年度から教科化された英語やプログラミング教育が取り入れられた理科、つまずく児童の多い算数を例示。専科教員が系統的に指導し、中学校の学習にスムーズにつなげる狙いがある。専科教員の確保に向けて小中の両方で教えられる教員免許の取得要件を弾力化し、教員養成課程を共通にすることも提案した。

     学習意欲の低下が指摘される高校普通科の改革では、持続可能な開発目標(SDGs)など現代的な課題に対応する学科や、地域社会の課題に取り組む学科を新設することを挙げた。また、小中高など全てで対面と遠隔の指導を併用しやすくするため、パソコンや通信環境項、デジタル教科書の整備を急ぐべきだとした。

     特別支援学校で障害に応じたきめ細かい教育への需要が高まり、児童数が増えていることにも触れた。施設の設置基準を策定し、備えるべき教室や施設を明確にすることを求めた。

     中教審は中間まとめを基に議論を進め、来年初めにも文科相に答申する方針。


    特別支援学校に設置基準 教室不足解消図る

    中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会は28日、将来の小中学校や高校の教育が目指すべき姿について、2019年春から続けてきた議論の中間まとめを公表した。深刻な教室不足に陥っている特別支援学校の設置基準(省令)を新たに定め、生徒数に応じた校舎の大きさや備えるべき施設などを明確化して教育環境の改善を進めることを盛り込んだ。特別支援学校には小中学校や高校で定められている設置基準がなく、過密化が進んでも法令違反にならなかった。

     文部科学省は中教審が示した方向性に従い、設置基準の策定作業を本格化させる。既存校が直ちに法令違反となることを避けるため、経過措置などを設けることも検討している。

     文科省によると、近年は特別支援学校の需要が高まっており、19年度の児童生徒数は約14万4000人と10年間で23%増えた。きめ細かい対応や障害の種別に合わせた専門的な教育を求める保護者が増えたことが背景とみられ、特に知的障害がある子どもの在籍数が伸びている。

     都道府県の教育委員会などは学校の新設や校舎の増築を進めているが、在籍する子どもの増加に追いついておらず、19年5月時点で全国の公立特別支援学校の教室不足数は計3162室に上る。教室を仕切りで二つに分割するなど、苦肉の対応をしている学校もある。

     このため、中教審の分科会は「国として特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定するとともに、新設や増築などの集中的な施設整備を推進することが求められる」と対応を促した。

     中間まとめでは、近年人気を集めている通信制高校の一部で教育内容がずさんなケースがあるとして、教育実施計画の作成や教育活動の情報公開を義務化するなど、規制を強化して教育の質を担保することも求めた。また、教科横断型の学習などに対応するため、小中学校で教科ごとの授業時数配分の弾力的運用を認めることも盛り込んだ。【大久保昂】 中央教育審議会の分科会が示した中間まとめ(骨子) ・教室不足などの解消の必要性が指摘されている特別支援学校について、備えるべき施設を定めた設置基準を策定し、環境改善を図る
    ・教科横断型の学習内容などに対応するため、小中学校の教科ごとの授業時数の配分を弾力的に運用することを認める
    ・通信制高校の教育の質の担保に向け、教育実施計画の作成や教育活動の情報公開を義務化するなどの規制強化に取り組む
    ・2022年度をめどに小学5、6年生で教科担任制を導入する
    ・高校の「普通科」を再編し、教科横断型の学習を重視する学科や地域課題の解決に向けた学びに力を入れる学科などを新設する。(毎日新聞)


    「小学5・6年教科担任」が導入されれば現場の負担はかなり減ることになる。同時に学級王国の壁が多少なりとも崩される可能性があることにも期待できる。ただ、1〜4年という区切りでは担任が指導ということになるが、専科との関係も気になる。また、この区切りは小中一貫校で行われているものと似ていることから、学制の再編につながる可能性も気になるところである。


    9月28日 文科省 学校に感染症専門医を派遣

     文部科学省は27日、小中高校などに感染症専門の医師や看護師を派遣し、新型コロナウイルスの最新の知見や予防策を伝える事業を2021年度から始める方針を固めた。過剰な校内消毒など負担の大きい取り組みを避け、正しい知識に基づく予防策で保護者の不安を解消する狙いもある。21年度予算の概算要求に関連経費13億円を盛り込む。

     対象は国公私立全ての小中高校と特別支援学校。専門家を集め、自治体や学校の要望を取りまとめて派遣を調整する業務は民間業者に委託する。1年間で1校当たり2回まで派遣を依頼できる。

     専門家は、学校で感染予防の責任者になっている校長や養護教諭らに適切な予防策を伝達。科学的根拠のない対策は必要ないことの理解も求める。子どもや保護者向けに講習会を開くことも想定している。

     事業の背景には、一部の学校で消毒作業や子どもの体調管理を必要以上に徹底し負担が重くなっていることがある。「保護者から対策の科学的根拠を尋ねられたが、教職員では答えられない」との声もあり、文科省は正しい知識を踏まえた適切な対策を周知したいとしている。

     文科省は学校向けの衛生管理マニュアルに「消毒でウイルスを全て死滅させることは困難」と明記し、手洗いなど基本的な防衛策を推奨してきた。8月には「感染した児童生徒、学校の対応を責めないで」との萩生田光一文科相のメッセージをホームページに掲載した。


    市教委給食 静かな会話容認

     京都市立小中高校や京都府立中高校で2学期から、新型コロナウイルスの感染対策が一部見直されている。消毒作業の効率化や給食での静かな会話を容認し、部活動の他府県との交流も段階的に緩和している。ただ感染防止に万全を期す姿勢は維持している。

     市教育委員会は8月下旬に小中高校長らに見直し内容を通知した。消毒作業が教職員の負担になっていたことから、1日1回以上という回数は変わりないが「ポイントを絞る」とし、過度な対応は不要との姿勢を示した。児童生徒による家庭用洗剤での拭き掃除を消毒の代替としてもよいことにした。

     給食は机を向かい合わせにしないことは継続するが、「大声での会話を控える」との記述を盛り込んだ。「いただきます」のあいさつや「おいしいね」の会話など隣に聞こえる程度の静かな発声であれば構わないとした。

     またマスクも熱中症対策などの観点から気温が高い日は外すことを認めるようにした。ただ市立学校では2学期に入って生徒や教職員が感染し、休校や学級閉鎖となった事例も出ている。市教委は手探りで少しずつ見直しているが、必要な感染防止策は続ける」としている。

     府教委は府立中高の部活動について9月19日から府外の学校との交流を原則日帰りの条件で認め、宿泊も府内に限って可能としている。10月1日以降は府外での活動は複数日で宿泊を伴ってもできるようになる。ただし、いずれも感染状況に留意し、保護者の理解を得た上で無理をさせることがないよう求めている。

     保健体育課は「全国では部活動を通じたクラスター(感染者集団)も発生している。今回の緩和によって手放しで活動が広がるのではなく、移動や食事中の対策を徹底したり、訪問先の状況を確認したりし、部活動と感染防止を両立させたい」としている。


    2001年に大阪教育大学附属池田小学校起きた殺傷事件を契機に学校に安全を求める声が大きくなり、現在でもなんら変わらない。もちろん子どもの安全は重要であるのだが、それを担保する制度が不十分であり教職員が穴埋めしてきたことは知られるべきである。文科省や府・市教委の対応は歓迎すべきことなのだが、安倍前首相の「一斉休校」の評価を合わせて示す必要はないのだろうか。「あの時点での判断は誤りでした」と。


    9月27日 再生エネ発電 初の原発超え

     世界全体の再生可能エネルギーによる発電量が昨年、初めて原発を上回ったとする報告書をフランス、日本、英国などの国際チームが26日までにまとめた。太陽光や風力が急増する一方、原発は先進国で廃炉の動きが相次ぐなど停滞が目立ち、前年をやや上回る水準にとどまった。

     チームの一員でコンサルタントのマイクル・シュナイダー氏は「原発の発電コストは高く、世界のエネルギー市場で競争力を完全に失っている」と再生可能エネルギーの優位性を指摘した。

     世界原子力産業現状報告2020年版によると、原発は昨年、ロシアで3基、中国で2基、韓国で1基が新たに発電を始めたこともあり、発電量が2657兆ワット時と前年比3・7%増加。それでも東京電力福島第1原発事故前でピークだった06年には及ばなかった。

     今年上半期に発電を開始した原発はなく、フランス、ドイツ、米国などで廃炉が決まり閉鎖されたのが昨年5基、今年上半期に3基あった。

     再生可能エネルギーの発電量は昨年、大型水力発電を除き2806兆ワット時に上った。前年比で風力が12・6%、太陽光が24・3%の大幅な伸びとなった。

     発電コストも原発の1キロワット時当たり15・5セント(約16円)に対し、太陽光や風力は同4セント程度とはるかに安く、巨額の投資が開発に回っていると指摘している。

     日本に関しては、関西電力の金品受領問題や原発の再稼働の遅れなどに言及し「29年末の原発の発電比率は8・4%にとどまる」との予測があることを紹介した。

     報告書は、放射性物質を扱う原発が他の発電方式に比べ、新型コロナウイルスまん延による点検作業の遅れが安全性に与える影響が大きいことも指摘した。


    日本も政策転換急務

     大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長の話 報告書によれば、原発の発電量のピークは2006年で既に過ぎている。原子力は特に高コスト、高リスクの発電技術となり、電力供給の選択肢としては過去のものとなった。加速度的にコストが低下する太陽光や風力といった自然エネルギーに比べ、投資額も7分の1にとどまり、地球温暖化防止のための「脱炭素の選択肢」としても劣る。東京電力福島第1原発事故から10年近くが過ぎ、日本でも、自然エネルギーの発電量が国の30年度の導入目標に迫るなど、足元で変化が見えている。現実を見据えた新しいエネルギーシステムに転換する政策が急務だ。


    脱炭素社会への歩みも遅々としている日本。基本的なエネルギー政策の誤りを認めなければならない状況が、環境問題だけからではなく経済の面からも顕著になっている。「原発ゼロ」を口実に野党の結集に後ろ向きの新国民新党は、電力大手と心中することになる。


    9月26日 日本財団 「子ども基本法」試案作成

     子どもの虐待やいじめ、貧困といった問題を防ぐためには「児童の権利」を保障する包括的な法律が必要だとして、日本財団が設置した有識者会議(座長・日本子ども虐待防止学会の奥山真紀子理事長)が「子ども基本法」の試案を作り25日発表した。日本は十分な法整備がされていないと訴え、立法に向け、国会議員への働き掛けを進める。

     有識者会議によると、日本は国運で採択された「子どもの権利条約」を1994年に批准しているが、政府の取り組みは条約の趣旨に照らすと十分でないと、国連の委員会から数回にわたり指摘されている。昨年3月には、子どもの権利に関する包括的な法律を採択すべきだと勧告を受けた。

     政府は「(児童福祉法など現行法で)必要な法整備はできている」と反論してきたが、複数の有識者が国連の勧告を尊重した法律制定が必要と考え、試案を作った。

     内容は@国や地方自治体での縦割りをなくし、子どもの権利を守る一体的な体制を構築するA子どものSOSを受け止めるため、諸外国や国内一部地方自治体で導入されている「子どもの権利委員会」といった組織を国レベルで設置するB障害の有無やマイノリティーであることなどを理由にした子どもへの全ての差別を禁止する―など。

     奥山座長は「子どもは大人の所有物ではなく、子ども自体が生まれながらにして権利を持ち、守られるべき存在であるという認識を広めていきたい」と述べている。

     有識者会議は、児童虐待防止全国ネットワークの吉田恒雄理事長、「セーブーザーチルドレンージャパン」の川上園子国内事業部長、弁護士、被虐待経験者ら委員13人で構成された。


    子どもの貧困が注目され始めたのは、権利条約批准の1994年から20年後の2014年の厚労省発表からである。国は法的な整備は十分であると言ってきたが実態はそうではなかったことが明らかになった。子どもの貧困率は13.5で%(15年では13.9%)で以前高止まりとなっている。一方、障害を理由にした別学は、インクルーシブの理念とはかけ離れ改善に兆しは見えないと思える。


    9月26日 文科省 デジタル教科書 国負担

     文部科学省は25日、学校現場での活用が進んでいないデジタル教科書の普及に向け、国が購入代金を負担して小学5、6年生と中学生に提供する方針を固めた。希望した教育委員会などが対象で、小学生は1教科分、中学生は2教科分の全額を賄う。2021年度予算の概算要求に関連経費50億円を盛り込む。

     今春の新型コロナウイルスによる一斉休校で、新学年になっても児童生徒が紙の教科書を長期間受け取れない例があった。再び長期休校になっても、学校以外で学習できるようにデジタル教科書の活用を進めたい考えだ。

     文化やスポーツ分野を含めた文科省の概算要求の総額は、感染症対策費などを大幅に拡充し、20年度当初予算比で11・4%増の5兆9118億円となる。

     義務教育では紙の教科書は無償で配布される。デジタル教科書は昨年度から紙の教科書と併用できるようになったが、無償の対象外。学校の情報通信技術(ICT)環境が整っていないことも普及の妨げとなっている。


    GIGAスクール構想と連動した予算なのだろうが、デジタル化が必要なのはどこなのかが明確でなく手っ取り早くデジタル化できるところを探っているように見える。「デジタル庁」構想の露払いだろうか。


    9月25日 教育施策 見えぬ理念 手腕は?

     「教育再生」を重点政策に掲げた安倍晋三前首相が退陣し、路線継承を掲げた菅義偉首相による教育行政のかじ取りに注目が集まっている。道徳の教科化など保守色の強い施策を実行した安倍氏とは打って変わり、菅首相の教育観は見えづらい。新型コロナウイルスによる新たな課題が山積する中、子どもたちの学びはどこへ向かうのか。

     「首相から11点の指示を受けた」。16日深夜の官邸。再任後の記者会見に臨んだ萩生田光一文部科学相は、いじめの撲滅や教育の無償化などに加えて教育のデジタル化を指示されたと説明した。

     文科省関係者は「官房長官時代の菅首相は、官邸で省幹部から教育政策の説明を受けたことはほとんどなかった」と明かす。文科相への指示にはデジタル庁設置の看板施策を教育分野にも波及させたい思惑がにじむが、首相が他のテーマで独自色を打ち出すかどうかは未知数だ。

     新型コロナの収束は見通せず、教育現場はこれまでにない事態に直面している。感染防止策を講じながらの学校運営や大学入試の確実な実施、遠隔授業中心となっている大学や学生への支援など、いずれも早急な対応が求められている。

     特に3密(密閉、密集、密接)を回避するため、最大40人となっている小中学校の1クラスをより少人数にすることが最重要課題に浮上。きめ細かな指導や教員の負担軽減にもつながるとして、多くの教育関係者の悲願になっている。

     萩生田氏は菅政権発足前の今月8日、安倍氏の私的諮問機関である教育再生実行会議から「少人数学級を進める」との合意を引き出した。文科省幹部は「首相の交代によって議論が後退しないよう手を打った」と解説する。

     ただ、教員を大幅に増員するための財政支出を伴い、実現のハードルは高い。文科省内では「菅首相にも『推進する』と明言してほしい」と期待が高まる。

     中嶋哲彦名古屋大名誉教授(教育行政学)は、菅首相の少人数学級推進に期待を寄せる一方、過度なデジタル化推進を懸念。「デジタル教材では学習が『個別化』する。教室で教え合い、学び合う姿がなくなるのではないか」と指摘する。

     安倍政権では、実行会議がトップダウンで教育行政の方向性を示す手法が定着。一方、メンバーに企業関係者らが目立ち「経済界寄りではないか」との批判もつきまとった。菅政権でも実行会議は存続することが決まり、中嶋名誉教授は経済界に有用な人材育成を重視する傾向が続くとみる。


    少人数学級は政権のいかんにかかわらず必要性は高い。防衛費が5兆円を超える規模に膨らんで久しい。いったい何を守ろうとするのか理解できない。


    9月14日 大阪高裁 朝鮮学校ヘイト2審も有罪

     京都朝鮮第一初級学校(京都市南区、閉校)への差別的発言で社会的評価をおとしめたとして、名誉毀損罪に問われた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部西村斉被告(51)の控訴審判決で、大阪高裁(長井秀典裁判長)は14日、西村被告の名誉毀損を認めて罰金刑とした一審京都地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

     判決理由で長井裁判長は「一審判決に誤りはない」などと述べた。一審判決で認定した被告の発言の「公益目的」についての判断は示さなかった。

     昨年11月の京都地裁判決では、2017年4月23日、同校跡地そばの公園で、拡声器を使い「ここに日本人を拉致した朝鮮学校があった」などと発言して動画をネット配信し、同校を運営していた学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして名誉毀損罪の成立を認定。一方、発言は日本人拉致事件に関する事実関係を明らかにするためで「公益を図る目的があった」とし、懲役1年6月の求刑に対し罰金50万円を言い渡した。

     一審判決を受けて西村被告は控訴。学園側も、判決が発言の公益性を認定し差別意図を認めなかったのは不当として反発していたが、検察側は控訴しなかった。

     控訴審で弁護側は、西村被告の「ここに日本人を拉致した朝鮮学校があった」などとする発言について、拉致事件を一般に知らせる公益目的だったと主張。朝鮮学校全般を指した発言であって名誉毀損罪には当たらないとして、一審同様、無罪を主張していた。

     検察側は「京都の朝鮮学校を指した発言であることは明白であり、拉致事件について明らかにする目的だとしても、学校の社会的評価を低下させることは十分にあり得る」として控訴の棄却を求めていた。

     弁護人の徳永信一弁護士は「不当判決であり、上告する」と述べ、学園側も「『公益性』判断を維持する判決で、強い憤りを禁じ得ない」とのコメントを出した。

     西村被告は、2009年に京都朝鮮第一初級学校の校門前で拡声器を使って「日本からたたき出せ」。などと連呼したとして、威力業務妨害罪などで有罪判決を受けたことがある。


    少しわかりにくい裁判ではあるが、そのわかりにくさの原因は検察にある。1審判決を妥当として控訴しなかった点である。「公益性」を盾に被告側がヘイトを正当化していることに対して基本的に異議を申し立てていないことがそれだ。


    9月12日 コロナ長期化 テレワーク、心が疲労

     新型コロナウイルスの感染拡大とともに、多くの職場で導入されたテレワーク。だが、慣れない環境が人々のメンタルヘルスに与える影響は少なくない。感染の再拡大と長期化で社会が揺れる中、改めてテレワークと心の関係を探った。

    東京都内のウェブサービス会社に勤める石山優子さん(32)=仮名=の職場では新型コロナウイルスの感染防止策で3月後半からテレワークが始まった。在宅だと片道50分の通勤時間が省ける。「少し楽できるかな」。当初はそう思っていた。

     上司から頻繁連絡

     だが、2週間ほどたつと、次第に不便を感じるように。低いテーブルに小さな画面のパソコン。脆弱な無線LANなどの通信環境。1人暮らしのアパートはまず仕事場としてストレスが多い。一方、上司からはひっきりなしにメールや無料通信アプリのLINE(ライン)で問い合わせが。すぐ対応しないとサボっていると疑われると思い、パソコンの前から離れられなくなった。

     出社すれば職場の仲間と会話ができ、周囲のスケジュールも把握しやすい。だが、テレワークだと返信一つにも「今大丈夫でしょうか?」などと気を使う。見えない上司、同僚はもっと頑張っているかもと焦り始め、次第に口の渇き、肩こり、頭痛を感じるように。ざらに寝付きが悪くなり、疲れも取れなくなった。

     やがて動悸が頻発し、普段は10分でできる仕事に1時間掛かり、簡単なミスが増えた。思わずつぷやいた。「こんなのいつもの私じゃない。どうしちゃったんだろう…」

     オン-オフ難しく

     東京都千代田区の「パークサイド日比谷クリニック」院長の立川秀樹さんは「とらわれやこだわりが強くなる『過覚醒』に伴う、抑うつ反応が起きている。仕事のオンとオフの切り替えができず、自律神経が乱れて脳が疲労し、うつ状態になってしまう」と石山さんの症状を説明する。

     コロナ禍では、先の見えない不安に慢性的にさらされ、徐々にストレスが蓄積していく。まずは「自分の心と体の不調に耳を傾けてみて」と立川さん。職場の人間関係から意識的に距離を取り、森林浴や座禅などで脳を休ませるのも良い。「自分の考え方の癖を把握し、改めるべき点を変えていくことも重要です」と話す。

     テレワーグを推進する動きは今後も続きそうだ。急激な働き方の変化を経験した人も多いが、「乗り越えた人は、何とかなるという『処理可能感』があり、ストレスは減るはず」と立川さん。

     「コロナうつ」という言葉も生まれるなど、心身の不調が長期化、慢性化する人もいるが「そのつらい気持ちを誰かと共有することも大切です」とアドバイスしている。


    非対面に不安や孤独

     自宅で不慣れなテレワークをする日々に忍び寄るのは、不安感、孤独感だ。パーソル総合研究所(東京)の3月の調査では、テレワークをする会社員の不安(複数回答)の1位は「非対面のやりとりは相手の気持ちが察しにくい」で40%、2位は「仕事をサボっていると思われないか」の38%だった。

     緊急事態宣言で職場の大多数が一斉に在宅勤務をするなど、急激な環境変化が人々の心に与える負荷はもちろん大きい。だが、同研究所の小林祐児上席主任研究員はむしろ、宣言解除後に増えた、出社する人と在宅勤務の人の混在する「まだらテレワーク」の心理的な影響を危ぶむ。

     「一斉在宅の時期は『有事』という意識で、皆で耐えることもできた。6月以降は徐々に社員が職場に戻り、一部が在宅勤務を続ける状態が増え、両者の間に『格差』が生まれています」

     出社する人は職場で同僚と情報や一体感を共有できるが、在宅の人はさらに孤独感を募らせ、「公正に評価してもらえるか」といった不安にさいなまれるという。調査によると、テレワークの人が最も不安を感じるのは職場での比率が「2〜3割」の時だという。

     他の調査では、テレワーク中の家事・育児の負担が女性に偏る傾向も明らかに。小林さんは「その人の属性による偏りがさらにひずみを生む可能性がある。テレワークをし続ける人の丁寧なケアが必要です」と話す。


    一極集中の解決策として注目されているのがテレワークだが、働く人の側に立った視点からの指摘は重要。おそらく今後もこの傾向は続くだろうから、新たな労働者保護の法的な措置が必要だろう。


    9月12日 児童生徒感染、休校どう判断?

     6月の学校再開以降、新型コロナウイルスに児童生徒が感染し臨時休校する事例が京都府や滋賀県でも出ている。休校の実施や期間はどう決めているのか。各教育委員会は一定の基準を設けながらも、濃厚接触者の有無などケースに応じて柔軟に判断していた。

     「初めてのことだったので全ての対応に苦慮した」。7月に生徒の感染が確認され、臨時休校した府立高校の副校長は語る。同校は保健所と連携して生徒の濃厚接触者を特定したところ、校内で感染が広がっている可能性は低いと判断し、休校期間を1日だけにしたという。

     府教委によると、休校期間は基本的に保健所の調査を受けて決めている。生徒の感染が確認されるとまず濃厚接触者の範囲を特定する。熱やせきなど発症した日から2日前までさかのぼって調査しクラスや部活動などで接触した人が特定されれば自宅待機(出席停止)を2週間してもらう。濃厚接触者の特定と校内の消毒が完了すれば感染拡大のリスクは低下するため、保健所の意見の下で学校を再開するという。

     学校が再開した6月から8月末までに府立高では3校で生徒の感染が確認され、臨時休校期間は0〜2日間だった。保健体育課は「夏休み中で濃厚接触者がいなかったため休校しなかったこともある。保健所の指示に従ってケースーバイーケースで決めている」と説明する。

     京都市教委も休校は同様に決めている。市内では6月から8月末までに児童生徒97]人と教職員7人が感染し、最長の臨時休校期間は3日間だった。逆に生徒との接触がほとんどなかった教職員が感染した際は臨時休校としなかった。

     市教委は「学習の継続も大事なので、濃厚接触者や消毒期間が確定すれば学校は開けている」という。

     ただ9月に入って発症した児童 生徒や教員の濃厚接触者がクラス全体に広がったため、学級閉鎖にしたり、全教職員のPCR検査の結果が出るまで休校を3日間延長したりするケースも出ている。

     休校の考え方については文部科学省が8月上旬に出した通知で「臨時休校は濃厚接触者の範囲の特定や検査に必要な日数で行う」と示している。学習の機会を保障することも重要だとして、学校全体に感染が広がる状況でなければこれを超えての臨時休業は基本的に不要としている。

     同省の集計では感染者が出た学校の休校期間(6月1日〜7月21日、延べ84校)では1日間が最も多く16校で、次いで3日間が14校、2日間が13校。同省は「感染者が発生した後、1〜3日の臨時休校を実施してから学校を再開する例が一般的」だとしている。

     ただ当初は自治体も手探りのため経験を積みながら対応を改善してきた。大津市教委は7月に児童の感染が確認された際、独自に作った基準に沿って2週間の臨時休校を決めた。しかし実際には濃厚接触者の特定や消毒などをした結果、5日間の休校で済んだ。  それ以降、市教委では休校から学校再開までの期間は5日間程度とし、濃厚接触者の特定と消毒が終わり次第、保健所と相談の上で再開する方針としている。担当者は「当初は2週間必要と考えたが、実際に経験してそこまで必要ないと分かった」と説明する。  文科省の集計では、全国で6月から8月末までの間に感染した児童生徒は1166人で、感染経路は「家庭内」が56%で、「学校内」は15%。教職員は194人が感染したが、感染経路不明が65%で学校内感染は6%にとどまった。  このため現在は家庭内で感染したウイルスを学校に持ち込まないことが重要視されている。府教委の保健体育課は「体調が悪い場合は学校と連絡を取って無理せず用心して休んだり、病院を受診したりしてほしい」と呼び掛けている。


    差別や中傷 しない、されない

     児童生徒が新型コロナウイルスに感染し臨時休校となった時に、学校が懸念するのは感染した本人や濃厚接触者らへの差別や中傷が起きないかだ。

     生徒が感染した京都府立高では、生徒の人権を守るため臨時休校に入る前にプリントを配って中傷しないよう求めたという。

     8月下旬には2学期の始業にあたって萩生田光一文部科学相が児童生徒に対して「感染した人を責めるのではなく、思いやりの気持ちを持ち(中略)、治って戻ってきた時には温かく迎えてほしい」と差別、偏見の防止に関するメッセージを発表した。

     世界人権問題研究センター(京都市)の坂元茂樹所長は「人は誰でも病気にかかる。病気にかかったからといって差別されてはならない。恐れるぺきはウイルスであって人ではない。正しい知識を持って正しく恐れるべきだ。子どもがSNSを通じた中傷の被害者にも加害者にもならないよう教育を強化する必一要がある」と指摘する。



    9月8日 市教委 端末3万5千台先行配備

     学校で新型コロナウイルスの感染者が出た場合の学級閉鎖などに対応するため、京都市教育委員会は9月末までにオンライン授業・学習用のコンピューター端末3万5千台を配備する。来年4月から全ての市立学校で通常の授業などでも端末を使えるよう、2020年度内に全児童生徒分の10万2千台を用意する計画だ。

     配備されるのはノート型の端末で、キーボードが取り外せる。インターネットで文書や表、発表資料の作成、双方向型学習などができるグラウトサービスを活用する。

     児童生徒1人に端末1台を準備する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」に基づき、市教委は端末を23年度までに用意する予定だった。しかし新型コロナによる臨時休校時の対策で国が補助事業を20年度中に前倒ししたのに合わせ、市教委も予定を変更。進学を控えた小学6年と中学3年、インターネット環境がない家庭の児童生徒数に相当する計3万5千台を先行配備することにした。

     20年度の端末の利用は、主に学級閉鎖や休校時を対象にする。校内通信ネットワークの容量を10倍にする工事を進めており、全ての学校が平時の授業などで活用できるようになるのは来年4月以降になる見込み。

     京都市では感染による学級閉鎖や休校が相次いでいる。学校事務支援室は「子どもたちの学びを止めないようICT(情報通信技術)環境を早急に整えたい」としている。


    ハードの整備はお金でできるが、ソフトはそうはいかない。教員が相当の経験を蓄積する必要があるし、家庭での学習環境をどう整えるかも問題なる。そうした方向を示したうえで進めてもらいたい。


    9月7日 NPO調査 母子家庭18%食事数減

     新型コロナウイルスの感染拡大で、母子家庭の18・2%が食事回数を減らし、14・8%が1回の食事量を減らしていることが6日、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の調査で分かった。勤務先の休廃業や労働時間の短縮で、元から少ない収入がさらに減少。学校給食の停止による食費増などで、支出を切り詰めても困窮状態にあることが浮き彫りとなった。

     ひとり親支援に取り組む同法人の赤石千衣子理事長は「ぎりぎりの生活だったところに新型コロナが追い打ちをかけた。格差を固定化しないためにも、日頃からの政府支援が必要だ」と訴える。

     7月にインターネットを通じてアンケートを実施、シングルマザー約1800人から回答を得た。食事の回数や量が減っただけでなく、20・1%の世帯はお菓子やおやつを食事の代わりにすることが増えたと回答。49・9%が炭水化物だけの食事が増えたとした。

     また10%前後の世帯が家賃や水道代、電気代などを滞納し、36・8%の世帯では、一斉休校に伴う子どものオンライン授業に必要なタブレット端末やパソコンを持っていなかった。

     自由記述では「子どもたちには2食で我慢してもらい、私は1食が当たり前。3ヵ月で体重が激減」(2人の子どもを持つ30代)。「子どもが学校に行けなくなった。タブレット、パソコンが無いため会話に入れずイジメに近い感じ。子どもを守れていない自分が嫌で嫌で死にたい」(3人の子どもを持つ30代)と過酷な体験が並ぶ。

     70・8%が新型コロナで雇用や収入に影響があったとも回答。借金は2月と比べ7月は11・2%の世帯で増え、7月の平均額は約30万円(約4万円増)だった。


    7日の「核心評論」では「働く人あっての企業のもうけのはずだが賃金を通じた「分配」が機能不全に陥っているのが今に日本」と評している。つまり、企業の内部留保は463兆円、株主配当は26兆円。一方で雇用者の平均賃金はリーマンショック以前の32万2621円だという。アベノミクスがどこを向いていた政権かがよくわかる。


    9月5日 日本学術会議提言 弱い立場の子の教育機会確保を

     日本学術会議は4日までに、不登校や外国籍など社会的に弱い立場にある子どもの教育機会を確保するよう政府に求める提言を公表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、さらに教育的に不利な状況となる恐れがあると訴えている。

     提言は、障害児や低所得者層の家庭の子どもを含めたマイノリティーへの公的な学習支援が不十分で、普通教育のシステムから排除されていると強調。こうした子どもの受け皿となっているフリースクールなどを小中学校と同列に扱い、義務教育の在り方を多様化するべきだと要望した。

     きめ細かな教育をする少人数学級の早期実現や、困難を抱える子どもの実態調査も求めた。

     4日に記者会見した東大大学院の小玉重夫教授(教育学)は、社会的弱者の家庭の中には通信環境を整備できず、コロナ禍で導入が進むオンライン学習ができないケースがあると指摘。「一番不利な層にしわ寄せがいっている。全ての子どもを教育制度に包摂していくことが重要だ」と話した。


    府青少年育成協社会全体で子ども支えて

     新型コロナウイルスの影響で子どもたちに学習意欲の低下や生活リズムの乱れが起きているとして、京都府青少年育成協は4日、社会全体で子どもを支えることを訴える緊急メッセージを発表した。役員らが京都市上京区の府庁を訪れ、西脇隆俊知事にメッセージ文を手渡した。

     教育や自治体などの関係機関でつくる同協会は7月、学校休業などが子どもたちに与えた影響について、関係団体にアンケー卜を実施した。学校休業中では「家庭での学習時間が短く、学習意欲が低下」「インターネットやスマホの利用時間が増えた」といった様子が見られたとの回答があった。再開後では「一部の子どもに不登校傾向がみられる」と懸念する声もあった。

     これを受けて緊急メッセージでは、安心して学べる環境の整備を最優先とした上で、「家庭や地域を含めた社会全体で、子どもたちが受けた影響などを共有できる環境づくりが必要不可欠」としている。

     上田静男会長は「子どもたちの心を豊かにはぐくむため、家庭や学校を離れた体験活動の機会を提供する多様なプログラムを作っていきたい」と今後の取り組みを語った。西脇知事は「新型コロナで一番大きな影響を受けているのは子どもたち。できる限り早く日常を戻したい」と応じた。


    コロナがもたらした困難は世界的に見ても弱者である子どもにより多く降りかかっている。経済対策「だけ」といっていいほどの「GOTOトラベル」などの施策が子どもに届くのかという疑問がある。とりわけ「子どもの貧困」状況にある家庭での困難は大きい。新政権?が「安倍政権の継続」であるとしてもここへの目線が必要だといわねばならない。


    9月4日 世界の学校 集団感染続出

     各国の教育現場で、新型コロナウイルスの集団感染が相次いでいる。授業開始から約1週間でクラスター(感染者集団)が発生した例もあり、今月、新学年・新学期を本格的に迎えた世界は手探りの対応を迫られている。10歳以上は大人並みに感染力を持つ恐れがあるとの専門家の見方もあり、現場の警戒感は強い。

     「集団感染を引き起こす究極の環境だ」。5月以降、熱波が到来したイスラエルでは空調のため窓を閉めて授業が進む。熱波対策との二正面作戦を迫られ、マスク着用も免除した政府の判断の甘さを専門家は嘆く。

     全学校の再開から約10日後、クラスターが相次いだ。ある高校では全生徒の13・2%に当たる153人が陽性に。教職員や友人にも広がり、60代の女性教師が死亡した。

     米ノースカロライナ大は授業を始めて約1週間でクラスターが発生した。対面授業の人数を3割に削減したが、学生寮やサークル活動で8月に拡大。校内感染率は2・8%から13・6%に急増した。米国では各地のサマーキャンプでも集団感染が頻発、社会問題化した。

     子どもが重篤化する割合は低いとされる。ただ世界的大流行後、オンライン授業への移行や隔離で感染が抑えられたとの見方もあり、感染実態は不明な点も多い。

     ブラジル・サンパウロの公立学校に通う4歳から14歳の児童生徒ら6千人の血液を8月に調べたところ、16%以上の960人に感染歴があることが判明。うち64・4%は無症状で、水面下の流行を懸念する声がある。

     米小児科学会は「10歳未満がウイルスを広げる可能性が低い一方、10歳以上は大人並みの感染力を持つ恐れがある」と警戒を呼び掛けている。

     各国とも対策を急ぐ。スペイン政府は図書館や学生食堂を教室として活用して社会的距離の確保を推奨、6歳以上のマスク着用を義務化した。英国は全学校に検査キットを配備し、感染者の早期発見につなげる。デンマークでは、教室の机を2メートル離し、少なくとも1時間半ごとに手洗いするよう指導。ドイツは15歳以上にマスク着用を求めることを決めた。

     ただ、学校は集団生活の場で、子ども同士の距離を保ちにくいジレンマも抱える。サウジアラビアでは新学期の対面授業は当面見合わせ、全ての学校でオンラインの遠隔授業に切り替えた。

     米バーモント大医学部のウィリアム・ラシュカ教授は「学校でのリスクをゼロにはできない」と警鐘を鳴らし、社会的距離を保つといった基本ルールの徹底が大切との見方を示した。



    9月3日 ユニセフ 日本の子ども幸福感低く

     国連児童基金(ユニセフ)は3日、先進・新興国38力国に住む子どもの幸福度を調査した報告書を公表、日本の子どもは生活満足度の低さ、自殺率の高さから「精神的な幸福度」が37位と最低レベルだった。「身体的健康」では1位で、経済的にも比較的恵まれていたが、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになった。

     教育評論家の尾木直樹さんは、日本の学校現場を「いじめ地獄」と表現、偏差値偏重による受験競争過熱も相まって「子どもの自己肯定感が低く、幸福感が育たないのは必然的だ」と指摘した。

     報告書は、経済協力開発機構(OECD)と欧州連合(EU)の加盟国を国連などの統計を用いて分析。一定のデータが集まった38力国を「精神的な幸福度」「身体的健康」「学力・社会的スキル」の3分野で指標化した。使われたのは2015〜19年の統計で世界的な新型コロナウイルス流行前。

     総合順位での1位はオランダ、2位デンマーク、3位ノルウェー。日本は20位で、最下位はチリ。米国は36位だった。

     精神的な幸福度は生活満足度と自殺率で指標化。1位がオランダ、最下位がニュージーフンド。具体的には、15歳の子どものうち生活満足度が高い割合はオランダが90%と最も高く、最下位がトルコの53%。日本は62%だった。15〜19歳の10万人当たりの自殺率はギリシヤが1・4人 と最も少なく、日本はその約5倍の7・5人。

     身体的健康では、5〜19歳の肥満 の割合は日本が14%と最も少なく、最も多い米国で42%。

     学力・社会的スキルでは日本は27位。読解と数学力は5位だったが、「すぐに友達ができる」と答えた15歳の割合は最下位クラスの69%だった。

     報告書は新型コロナウイルスの影響にも触れ「健康だけでなく社会経済のあらゆる面まで広がるだろう。子どもたちは長期的に最も負の影響を受ける恐れがある」と強調した。


    「いじめ地獄」なることばで表現した尾木氏の感性には疑問を感じるが、学校が、あるいは学びが楽しいものであることを実感している子どもは少ないかもしれない。コロナ禍のなかでも「学力の遅れ」が話題になっても「学力の質(学ぶ必要があるのかどうか)」が問われたことはないように思う。


    9月2日 文科省 休日の部活動 地域委託

     長時間労働が問題となっている教員の負担を軽減するため、文部科学省は1日、公立中高の休日の部活動を地域や民間団体に委託し、教員による指導は希望者のみとする形式に切り替えることを柱とする改革方針を取りまとめた。大会が部活動過熱の一因になっており、参加する大会を絞り込むことも要請した。

     地域委託は来年度から各都道府県のモデル校で実証実験を始め、2023年度からの段階的な導入を目指す。必要経費を来年度予算の概算要求に計上する。部活動は学校が運営するため教員の長時間労働の一因となっており、将来的には平日も地域主導にしたい考えだ。

     改革方針では、自治体に部活動の監督責任を持たせ、保護者や元教員らでつくる指導グループなどの地域団体、総合型スポーツクラブや芸術文化団体などに業務を委託。スポーツ強豪校などで休日指導を希望する教員は兼職や兼業の許可を得た上で地域活動として従事可能とし、この場合の労働時間管理や手当をどうするかは本年度中に整理する。

     運動系の大会や文化系コンクールは、大多数の学校が関係する地方大会の在り方を整理する必要があるとした。教員や生徒の過度な負担にならないよう、参加する大会を絞ぴ込むことを求めた。


    部活動を地域委託していく方針はこれまでもたびたび要望されてきた。ようやく議論に上ったと思う。いわゆる「勝利至上主義」をどう排して部活動をしていくかということになるだろう。教員の労働過重の解消ということは当然であるが、子どもや親の考え方やアマチュアスポーツとプロスポーツとの接合をどうするかという問題も併せて議論してほしい。


    9月1日 文科省 わいせつ教員 対策強化検討

     教員による児童生徒への性暴力が深刻化していることから、文部科学省が、わいせつ行為で教員免許を失っても3年が経過すれば再取得可能としている教育職員免許法を改正し、制限期間を5年に延長する規制強化案を検討していることが31日、関係者への取材で分かった。    

     萩生田光一文科相は7月の衆院文科委員会で「非常に重要な問題」と述べ、速やかな見直しを表明。憲法が保障する職業選択の自由との兼ね合いから再取得を不可能とするのではなく、制限期間を延長する案としている。被害者や保護者からは、より厳しい規制を求める声が上がることも想定され、国会への法案提出の時期も含めて慎重に検討を進めている。

     文科省は、子どもにわいせつ行為をした教員について、原則として懲戒免職にするよう各教育委員会などに要請している。懲戒免職となれば教員免許を失うが、現行法の規定では3年が経過すれば再取得できる。

     文科省の調査では、2018年度にわいせつや性的言動で処分された教員は過去最多の282人に上った。被害者の49%に当たる138人は勤務先の児童生徒や卒業生だった。過去にわいせつ行為に及んだ教員の中には、以前の職場で性犯罪に絡む処分を受けて退職した経緯を申告せず再び教職に採用されていた例もあった。

     教員と同様に、職務で子どもと関わりを持つ医師については、医師法においてわいせつ行為などで免許取り消しの処分を受けた後に再取得できない期間を5年間と規定している。


    数字がはある。