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  • 府内いじめ14%減.26
  • 「つながらない権利」注目.26
  • 休校期間、生活不規則に.27
  • 児童生徒感染 家庭内目立つ.27
  • 2月27日 文科省 児童生徒感染 家庭内目立つ

     文部科学省は26日、一斉休校がほぼ終わった昨年6月から今年1月までの児童生徒の新型コロナウイルス感染状況を発表した。全国の小中高と特別支援学校で計1万2107人。緊急事態宣言が再発令された1月上旬から中旬にかけ急増していた。

     感染経路は半数超の6812人が家庭内で、学校内は1663人。「家庭・学校以外の活動」は929人、経路不明2652人などとなっている。学校で5人以上のクラスター(感染者集団)が発生した事例は236件だった。文科省の担当者は「学校で感染リスクが高まる傾向は確認されていない」としている。

     学校種別の内訳は、小学校4164人、中学校2874人、高校4897人、特別支援学校172人。

     週ごとに集計した感染者数(幼稚園児を含む)は、昨年末まで最大800人程度だったが、1月4〜10日は1681人、同11〜17日に1590人を記録。その後は減り、1月25〜31日は303人だった。



    2月27日 市教委 休校期間、生活不規則に

     京都市教育委員会は26日、昨春の一斉休校による児童生徒の心身への影響を調べるため、昨年6月に全市立学校を対象にしたアンケートの結果を公表した。休校期間中、中学生は学年が上がるにつれて生活が不規則になる傾向があつた。

     小中高校と総合支援学校のうち2校を除く計242校の9万2562人(98%)が回答した。複数の質問から傾向を点数化する方法で分析した。

     昨年3〜5月の休校期間中の生活の規則正しさについて、小学生は全学年で点数が高かったが、中学生は学年上位になるほど点数が下がり、高校生は中学3年と同程度だった。また休校中に家族と親密な関係を築けたかどうかでは、全学年で点数が高かったが、中学2、3年や高校生では男子より女子の方が高い点数を示したという。

     6月の学校再開時のストレス度合いに関しては、全学年を通じて点数は比較的低く、強くは感じていなかったことがうかがえたが、中には点数が高い児童生徒もいた。学校生活の楽しさでも全学年で高かったが、点数が低い子どもが一定数いた。

     同日、新型コロナウイルス禍における児童生徒の心のケアについて有識者らで話し合うため、中京区で開かれた「市子どもの豊かな心と規範意識を育む関係者会議」で報告された。市教委の担当者は「おおむね良好だったが、心配な子どもも一定数いたため、数字上の結果だけにとらわれず、丁寧な観察が必要と考えている」と述べた。


    最も苦しい家庭に様々な矛盾が集約されることはアンケートをとる以前から一定の想像がつく。まさか「関係者会議」のための資料にするためにアンケートを取ったのではないと思うが、この情勢の中で必要な調査だったのかどうかの検討も必要だろう。今もっとも必要なことは現場に極力負担をかけないことなのだから。


    2月26日「つながらない権利」注目

     緊急事態宣言で在宅勤務が増える中、夜間や休日など勤務時間外に会社からのメールや電話での連絡に応じなくてよい「つながらない権利」に注目が集まっている。テレワークの導入が進み、仕事と私生活の時間が曖昧になりがちなためだ。厚生労働省の検討会が昨年末にまとめた報告書は、企業ごとに労使によるルール作りを促しており、今後対応が進みそうだ。

     この権利は私生活を守るため、緊急時を除き勤務時間以外はメールなどを遮断することを認める。フランスやイタリアでは法律の規制がある。

     日本国内でも、長時間労働抑制の観点から就業規則で連絡を禁止したり、長期休暇中に社用のメールが届かないようにしたりする企業がある。人材サービス会社パソナグループは、原則として午後8時半になるとテレワークでもパソコンの電源が自動的にオフになるシステムを導入している。

     東京・霞が関の中央省庁に勤める30代の男性国家公務員は、1月の緊急事態宣言で週の半分が在宅勤務となった。片道約1時間の通勤は無くなったが、職場からの連絡に頭を悩ませる。他省庁や上司らからの問い合わせが回ってくるといい、「以前は拘束時間こそ長かったが、緊急事態以外に退庁後の電話はほぼ無かった。今は食事中にも連絡が来るので気が休まらない」とこぼす。

     民間企業の社員からも会社の携帯電話やパソコンを持ち帰れるようになり、連絡が増えたとの声が上がる。自動車部品メーカーの20代男性社員は「就業規則で禁止しても守らない管理職がいる。何度も電話されると正直しんどい」とため息をつく。

     昨年、有識者検討会がつながらない権利に関する報告書をまとめた神戸市の調査では、、勤務時間外に緊急性のない電話やメールへの対応を週に1回以上迫られている正社員は、上司からの連絡の場合は14・9%、同僚からの連絡で13・5%に上った。

     長時間労働の懸念は働き方の問題に詳しい弁護士からも上がる。日本労働弁護団は3日にオンライン集会を開催。竹村和也事務局次長は「監視ソフトを導入するなど、プライバシーを守らない企業もある。つながらない権利の立法化も検討すべきだ」と指摘した。


    学校においても、勤務時間のON・OFFが極めて曖昧ないなのは知られている。かつては「連絡帳」なるものだったが今や携帯。そのことで相当なストレスを感じている人もいる。「つながらない権利」を主張することは無責任でも不親切でもないことを知っておく必要がある。


    2月26日 府教委 府内いじめ14%減

     京都府教育委員会は25日、府内(京都市を除く)の全ての公立小中高校と特別支援学校を対象に2学期に実施したいじめ調査の結果を公表した。新型コロナウイルスの影響で、いじめの認知件数は9475件と前年同期より14・0%減少。状況が深刻な重大事態は木津川市で1件あった。

     認知件数の内訳は、小学校が8458件と前年同期比13・1%、中学校が767件と同18・2%、高校は168件と同35・4%、特別支援学校は82件と同3・5%いずれも減少した。府教委は、新型コロナの感染予防のため児童生徒同士の接触機会が減ったことが背景にあるとみている。

     木津川市の重大事態では、昨年7月に同市I立中の生徒の保護者が「ゲームで課金しているようだ」と学校に相談。被害生徒は同級生からオンラインゲームの有料アイテムを譲るよう繰り返し要求されていたという。同市教委は財産に被害が生じた疑いがあることから、いじめ防止対策推進法の重大事態に当たるとみて調査している。

     このほか、いじめの様態では小学校で「パソコンや携帯電話・スマートフォンで誹諧中傷や嫌なことをされる」が190件と前年同期より42件増加していた。

     府教委は「認知件数は減少したが、3学期は新型コロナの緊急事態宣言が府に発令され、子どもたちのストレスがいじめにつながらないようにしたい。ネットいじめは教職員から見えづらいので家庭と連携して対応していく」とした。

     調査は府が独自に年2回、1学期と2学期にしている。



    2月20日 文科省 新型コロナ 学校運営ガイドライン改定

     文部科学省は19日、新型コロナウイルス対応の学校運営ガイドラインを改定し、都道府県教育委員会に通知した。感染への不安から自主的に休んだ児童生徒を欠席ではなく出席停止扱いにする場合について、「同居家族に高齢者や基礎疾患のある人がいるなどの事情」と要件を例示した。

     これまで具体的な判断目安を示しておらず、文科省は「高齢や基礎疾患がリスクを高めるとの知見を反映した。そうした事情がないケースを排除する意図はない」と説明。感染拡大で登校に不安を抱く保護者や児童生徒はおり、これまで通り、合理的な理由があるかどうか校長が判断するとしている。

     改定版では、校内で感染者が確認されてもすぐに臨時休校せず、保健所と相談することを要請。地域の感染状況が悪化しても、地域」斉の臨時休校は「学びの保障や心身への影響の観点から避けるべきである」と明記した。

     また、新型コロナの感染拡大で休校した際にオンライン授業の実施を特例的に認めるとした対応を、4月から他の感染症や災害発生時にも拡大して適用すると各教委に通知。オンライン授業の成果を可視化するため、児童生徒の参加状況などを指導要録に記載することを求めた。



    2月20日 【リポート】 京教大付属 あるべき姿は

     「地域のモデル校」の使命を負った京都教育大(京都市伏見区)の付属学校。京教大は付属の6学校・園の規模縮小と役割の見直しを狙いとした改組計画を昨年10月にまとめた。しかし計画に盛り込んだ京都小中(北区)の特別支援学級廃止案は特別支援教育のニーズの高まりに逆行するとして反対運動が起き、凍結の見込みになった。改組計画が揺れる中、付属校のあるぺき姿について考えた。(大西幹子)

     京教大付属には伏見区に幼稚園や桃山小、桃山中、高校、特別支援学校、北区に京都小中がある。改組計画では幼稚園や高校の学級数の削減などで規模縮小を図る一方、モデル校の機能強化として中高一貫教育や、スムーズな就学に向けた幼稚園と小学校の連携、京都小中の一貫教育を推准するとしている。

     計画の背景には文部科学省が進める国立大学改革と、教員養成系単科大学の厳しい財務状況がある。2004年度の法人化以降、国は国立大の運営費交付金を減額。京教大は収益の多くを同交付金に頼っており、今後も大幅な増加は見込めないという。

     改革の波は付属校にも及ぶ。17年には国の有識者会議が報告書を出し、規模の縮小や役割の見直し、多様な児童生徒の受け入れに向けた選抜方法の改善などを求めた。京教大によると、改組計画を立てる際に文科省との協議で学校数を減らす話も出たという。だが浅井和行副学長は「教育実習先の確保や明治時代創設の歴史を考え、全校を残し学級数減などで対応する方針にした」と話す。

     事業の選択と集中を迫られる中、教育実習の受け入れ先になっていなかった特別支援学級が廃止案の対象になった。ところが計画公表後、卒業生と保護者の有志や市民団体などからの反発で廃止案は凍結を検討せざるを得なくなった。公立学校では支援学級の児童生徒が増加し、文科省も特別支援教育の研究開発を重視する中、時代のニーズに応えていないと捉えられた。

     では「京都のモデル校」の付属校が京都で求められている取り組みは何か。京教大は「改組計画の通り一貫教育などを進めると」とするが、府内の教委員会の幹部は「京都に小中や中高の一貫教育校がすでにたくさんあり、それぞれが地域性に応じた力リキュラムを積み上げている」と指摘する。「もっと先進的な取り組みをしてほしい。例えば障害のある子とない子が共に学ぶ新たな形の『インクルーシブ教育』の導入なら参考にしたい。多様性を尊重した社会の実現に向け、公立校でもさらに進める必要があるからだ」と話す。


    インクルーシブの理念を発信

     京都教育大付属京都小中の特別支援学級廃止案凍結で、特別支援教育が注目された。廃止案が持ち上がった背景には、教育関係者の間でもその重要性が十分に認識されていない現状がある。日本大文理学部の高橋智教授(特別支援教育)に全国の取り組みについて聞いた。

    ―日本の特別支援教育の現状は。

     「全体的に遅れている。国立大付属や私立の学校で目立つが、公立でも自治体や学校間格差が顕著だ」

    ―なぜ遅れているのか。

     「障害のある子どもは長年、質の低い差別的な教育環境に置かれてきたが、国や教育委員会は対応に消極的だった。それを当事者や支援者が声を上げ、徐々に現在の水準まで改善してきた。教育関係者を含め、その重要性が理解されている社会とはまだ言えない」

    ―どうすれば理解が深まるのか。

     「文科省も近年は特別支援やインクルーシブ教育を推進している。教員養成系大学には教員養成や付属学校での実践でその理念を具体化し、社会に発信することが求められている」



    2月19日 4月、改正バリアーフリー法施行

     子どもの学習の場であるとともに、災害時に避難所の役割も果たす地域の公立小中学校は、障害のある生徒が一緒に学ぶためにもバリアフリー化の整備が必要となる。今年4月施行予定の改正バリアフリー法では公立小中学校の施設新設にはエレベーター設置などが義務付けられるが、既存施設は努力義務となっている。

     文部科学省の昨年5月の調査では、校舎にエレベーターがあるか平屋建てで不要の公立小中学校は全体の27・1%にとどまる。設置率96・4%(昨年7月)の大阪市もあり、地域差は大きい。

     文科省は公立小中学校施設のバリアフリー化を検討する専門家会議の提言を基に、2021〜25年のバリアフリー化整備目標を策定。エレベーターは必要とする児童生徒や教職員がいる全校が対象。多目的トイレは災害時に避難所に指定されている全ての学校(全体の約95%)に整備するとした。

     電動車いすを使う静岡県内の中学2年佐野夢果さん(14)は就学の際、教育委員会に特別支援学校を勧められたが、地元の小学校を選んだ。古い校舎でエレベーターの導入は困難と伝えられたが、教員らの働きかけで2年時に設置された。中学では給食配膳用のエレベーターを使う。

     学年ごとに教室は替わり、図書室への移動などでエレベーターは欠かせない。「夢ちゃん」と慕ってくれる友達らが荷物を持ったりボタンを押したりするために一緒に乗ってくれる。「助けてもらうだけじゃなくて、逆に私が助けたりとか、お互いに気付きがある。関わることで生まれるものってきっとありますよね」と声を弾ませる。

     学校のバリアフリー化を国会などで訴えてきたNPO法人ちゅうぷ(大阪市)の尾上浩二代表理事は、既存の施設にも努力目標が示されたことについて、「障害の有無にかかわらず子どもが共に学ぶインクルーシブ教育推進の突破口につなげたい」と期待を寄せる。

     自身も足が不自由で、地元の中学に入る際、「周りに助けを求めない」などの条件を課された苦い思いがあるからだ。

     その上で、「阪神淡路大震災では入り口の段差などのため避難所に入れない人が多くいた」と述べて、防災上の観点からも整備目標を評価した。佐野さんは「学校には地域のお年寄りも来るし、エレベーターは車いすユーザーだけでなくみんなのもの。自然に手を差し伸べ合える場所になればと思う」と話している。


    改めて、障害の「社会モデル」という考え方の大切さを感じた。障害は障害を持つ人の側に問題があるのではなく、それを受け入れられない社会の側にあるという考え方だ。そうした考え方がもっと広がれば確実にインクルーシブな社会が実現できるはずである。古い話になるが、京都市に新設された小学校で当時は珍しかったエレベータが設置されていた。それを知った車いす利用の子どもが入学を希望したのだが、「エレベーターは給食運搬のためです」として入学を拒否したことがあった。果たしてその頃と現在でインクルーシブ教育への目線は変わっているのだろうか。


    2月19日 京都府 太陽光発電 「屋根貸し補助」創設

     再生可能エネルギーの導入拡大に向け、京都府の西脇隆俊知事は18日、居住者が初期投資なしで住宅に太陽光発電を設置できる屋根貸し方式に対する補助制度を創設する方針を府議会代表質問で明らかにした。同方式の普及により、伸び悩んでいる太陽光発電の導入を促し、環境意識の向上につなげる。

     府再生可能エネルギー導入促進プランでは本年度末までの5年間で府内の総電力需要量に対し、再エネ導入量の割合を倍増させて、12%をまかなう目標を掲げている。しかし直近(2019年度末)で9・4%にとどまっており、達成は難しい状況となっている。

     再エネのうち最も普及しているのが太陽光発電で、府はこれまで蓄電池の同時設置に対する補助や低利融資制度などの導入促進策を講じてきた。ただ、初期投資への抵抗感が強く、設置が進まない一因となっているという。

     屋根貸し方式は、住宅の屋根に事業者が太陽光発電設備を設置し、居住者が電気料金かリース料を支払う仕組み。初期投資がゼロ円で済むため、導入のハードルが低いとされ、府は普及させることで再エネの拡大を狙う。補助制度は既に東京都と神奈川県が実施しており、それを参考に府は来年度中の開始に向け補助の対象や条件などを検討する。

     来年度から始まる再エネ促進の次期プランでは、30年度末に再エネ導入量の割合を25%まで引き上げる目標を設定する予定。達成に向け、西脇知事は「建築物への太陽光発電の導入ポテンシャルは今後も十分見込めるものと考えている」と述べた。


    長野県の「おひさまBUN・SUNメガソーラープロジェクト」が先進的に再エネ発電に取り組んでいる。京都府は原発立地県に隣接していることを考えれば早期に取り組むべき課題ではあった。しかし、なにはともあれこうした問題意識をもって取り組むことは、府民意識に対しても影響は大きいはず。NPO法人上田市民エネルギーの相乗りくん事業は市民の取り組みとしては大変意義深いと思える。


    2月17日 大阪地裁判決から 「ブラック校則」見直し論も

     髪の黒染めを強要されたとして大阪府立高の元女子生徒(21)が損害賠償を求めた訴訟の16日の大阪地裁判決は、校則と頭髪指導の違法性を認めなかったが「時代の変遷に伴い茶髪に対する社会認識に変化が生じている」と言及した。髪形や色を厳しく定める「ブラック校則」が問題視される中識者は「子どもたちにも多様性を」と批判する。校則の見直しは進むのか。

     「生徒が心を痛めたことは申し訳ない」。判決後、女子生徒が通っていた府立懐風館高の高橋雅彦校長は大阪市内で記者会見し、神妙な面持ちで語った。一方で「頭髪指導は適切だった」「華美は控えてほしいということ。これからも指導するIとした。

     同校では問題行動を取る生徒が多かったとして頭髪指導に力を注いだ。元生徒は教諭から「(黒染めを)しなかったら学校に来られなくなる」と言われたと訴えていた。

     判決では、校則や頭髪指導は「学校教育の裁量の範囲を逸脱したとは認められない」と指摘。髪色に多様性を認めるべきかどうかに踏み込まなかった。

     大阪府教育委員会は2017年11月、154の府立高の82・5%が「染色や脱色」を禁じる校則や方針を設けていたとするアンケート結果を公表。「身だしなみの一環として必要。就職活動でも有利になる」(府教委関係者)ためだが、一部の高校では地毛の色に戻してから登校させる「再登校指導」などの行き過ぎたルールが廃止された。

     企業も髪形や色の規定を設けていない楯向にある。証券会社の広報担当者は「清潔感や明るさ、機能性が重要。髪色の基準はない」。多様性の観点から身体的特徴の変更を迫ると企業価値を損ないかねないという。

     名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「校則で抑え込むのは管理側の視点で」かない。子どもたちにも多様性は認められるべきだ」と説明。「(何が良くて何が悪いかを)自分で考えて選べるようにするのが教育の使命だ」と、時代や社会の変化に沿った見直しを促している。


    こうした判断を裁判所がするということを避けたのだろうか。むしろ学校現場での基準の在り方を再考することを要請したとの感もある判決。右翼的と目されている戸田 忠雄は『「日本型学校主義」を超えて』で、新自由主義的立場から教育を受ける側の権利を重んずることを主張している。教育において左右の対立という構図は完全に消滅しているが、いまだにそこにとどまっている論も少なくないのも現実。森喜朗会長の女性蔑視発言期に日本のオリンピックやスポーツの在り方が議論されているが、「そこにとどまっている」限り表面的な看板の架け替えにすぎない弥縫策が繰り出されるだけになってしまう。


    2月16日 文科省会議 小中高生自殺、最多479人

     文部科学省は15日、児童生徒の自殺予防について検討する有識者会議を開いた。新型コロナウィルス流行による一斉休校などがあった2020年に自殺した小中高校生は統計のある1980年以降最多の479人(前年比140人増)で、特に8月は前年同月の2倍を超える64人だったとのデータが示され、早急に対策を提言する方針を確認した。

     厚生労働省などの統計を基にしたデータによると、女子高校生の自殺者は138人で、前年より71人増えた。男子高校生は21人増の191人だった。小学生は14人で、中学生は136人。原因や動機は学業不振、進路の悩みが上位で前年と大きな差はなかった。

     文科省は、小中学生1人1台の夕ブレット整備を進めており、委員から「自宅で過ごす子どもの心身の変化を見たり、担任によるアンケートやストレスチェックに使ったりできる。自殺予防でも大きな役割を果たす。」と期待が寄せられた。

     文科省は子どもたちにスマートフォンが普及していることから、会員制交流サイト(SNS)を活用した相談体制の整備を進めている。

     通話無料の「24時間子供SOSダイヤル」(0120)078310でも相談を受け付けている。


    将来に望みがない社会は自殺が増えるという傾向はあるようだ(ジンメルの自殺論)。日本の社会に希望がないというのは20年以上も前から言われている。社会の制度的な改革が必要なのだが、対処療法的にタブレットで個人の心的状況を把握するだけではおそらく「数字」は減っていかないのではないだろうか。


    2月16日 京教大付属小中 支援学級の廃止案凍結へ

     京都教育大付属京都小中(京都市北区)の特別支援学級の廃止案が持ち上がっている問題で、京教大が案の凍結を検討していることが15白までに分かった。卒業生と保護者の有志や、市民団体などが存続を要望していた。京教大は「保護者や地域、文部科学省の意見を聞いて方向性を考えたい」としている。

     廃止案は、京教大が文科省の求めを受けて昨年10月にまとめた付属学校の規模縮小計画に盛り込まれていた。2024年度以降に募集停止の予定だったが、京教大は支援学級の廃止案だけを計画から外し付属幼稚園や付属高の学級数の削減、帰国生徒教育学級の廃止などの案は残す。凍結の理由について「市民から反対の声があったため」と説明する。

     計画の公表後、卒業生や保護者の有志でつくる「廃止撤回を求める会」などが存続の要望書を京教大に提出。元教員らでつくる市民団体も「特別なケアを必要とする子どもたちの学びの環境は『効率化』の圧力から守られるべきだ」として廃止反対の署名活動をしていた。

     付属学校の規模縮小計画の背景には、国からの交付金減額に伴う厳しい財政状況がある。事業の選択と集中を図る中で、支援学級が学生の教育実習先にならず、地域のモデルの役割が果たせていないとして廃止対象になっていた。


    【インサイド】当事者の思いくむ制度に

     近年、児童生徒の多様性を尊重した特別支援教育の重要性が叫ばれ、公立学校では全国的に特別支援学級に在籍する子どもが増加している。なぜ「先進的な取り組みをする地域のモデル校」であるべき国立大付属学校で同学級が廃止の対象となったのか。専門家は「特別支援教育に対する理解が不十分で、子どもや保護者ら当事者の思いをくみ取る制度が整備されていない」と指摘する。

     公立校の場合、特別支援学級は保護者の要望に応じて設置される。在籍児童生徒数は京都市の小中学校では、この10年で約1・7倍に増えた。市教育委員会はその理由を、障害の理解が進み、一人一人に応じた指導の大切さが認識されるようになったためとする。

     このようなニーズの高まりから文部科学省は特別支援教育を現代の教育課題と捉え、国立大付属校に研究協力の役割を求めている。1月の中教審の答申でも、特別支援学級と通常学級の児童生徒が共に学ぶ活動の充実などが強調された。

     それにもかかわらず、財政難を背景とした京都教育大付属校の計画で特別支援学級忙そのしわ寄せが及んだ。国立大付属校の特別支援教育に詳しい日本大文理学部の高橋智教授は「特別支援教育は制度化されて14年。その重要性をまだ教育関係者が十分に認識できていないことの表れではないか」と指摘する。

     高橋教授によると、学校には障害のある児童生徒や保護者の願いを日常的にくみ上げる制度がないため、子どもが困り保護者が泣き寝入りし、担任がはざまで苦しむ状況があるという。「今回も大学が普段から当事者と十分に協議していれば廃止案とはならなかったはずで、大学はモデル校として当事者のニーズを踏まえた特別支援教育を進めるべきだ」と訴える。


    文科省の国立大学支援策(とりわけ文系)削減が続いているなかでの出来事なのだが問題は複雑。支援学校や支援学級の設置が増える傾向にあるのだけれども、なぜその傾向になっているのかが問われなければならない。個々のニーズがあるのは明らかではあるが、分離の上でニーズを満たす方向ではインクルーシヴ社会の実現が見通せない。そうした研究をすることが教育大付属の支援学級であるとするなら存続は意味があるかもしれないが。


    2月11日 府教委 >公立中教員の残業「過労死ライン」超

     京都府教教育委員会は10日までに、京都市を除く府内公立小中学校の教員の2020年度勤務実態調査結果を公表した。中学校教員の時間外勤務(残業)は平均月91時間と前年度より3時間減ったが、依然として「過労死ライン」とされている80時間を超えた。府教委は「厳しい状況であり、引き続き働き方改革を進めたい」としている。

     調査は府内公立学校の教員の1割に当たる約1100人を無作為に抽出し、昨年10月26日〜11月1日と11月9〜15日のそれぞれ1週間の出退勤時刻を分析。そこから1か月間の時間外勤務などを試算した。

     管理職を除く教員の時間外勤務は中学校以外で、小学校が63時間(前年度比5時間減)、高校が76時間(同1時 間減)といずれも微減したが、文部科学省が目標と定めている45時間には届かなかった。特別支援学校は45時間(同1時間減)だった。

     平日の1日当たりの勤務時間は小学校が11時間1分、中学校は11時間19分、高校は10時間34分、特別支援学校は10時間4分。土日曜は小学校が20分、中学校は3時間8分、高校は3時間6分、特別支援学校が27分で、部活動がある中高校が多い傾向が見られた。

     教職員企画課は「新型コロナウイルスの感染拡大で消毒などの作業は増えたが、支援スタッフの配置や行事の見直しなどが進み時間外勤務は減った」と説明。その上で「コロナ禍で慣例的にしていた行事や業務が見直された。今後も続けられるものは続けて時間外勤務を減らしてほしい」としている。


    依然として長い残業時間。「ブラック企業」状態が続いている。これは容認できる数字ではない。一部で「コロナの中で多少なりとも数字が下がっているのは評価できる」とする声もあるが、裏返して言えばコロナがなければ学校行事などの取りやめなどがなく残業が増えた可能性もあるということだろう。事態が変化するたびに授業計画、年間計画の書き直しなどの業務も大きな負担になっていることを改善すべきだろう。


    2月11日 市教委 当初予算 5%減の1020億円

     京都市の2021年度一般会計当初予算案のうち市教育委員会分は、前年度比5・1%減の1020億4200万円を計上した。全ての小中学生がコンピューター端末を活用して学ぶ「GIGAスクール構想」の推進に7億4100万円を配分し、重点施策に位置付けた。

     端末には、習熟度に応じて問題を解く「デジタルドリル」や教員の採点業務を効率化するソフトを導入する。機器の操作やICT(情報通信技術)を使った授業をサポートするICT支援員を、直接雇用や業務委託で市教委事務局に配置する。

     教員の働き方改革に2億1600万円を充てた。授業の準備や片付け、新型コロナウイルス感染対策の消毒作業などを担う校務支援員を増やし、教員の負担を減らす。

     児童生徒数が増えている一部の学校の増改築には1億1700万円を盛り込んだ。下京区の元格致小校舎を活用して北総合支援学校(上京区)の分校を設け、西総合支援学校(西京区)と七条第三小(下京区)で教室棟を増やす。いずれも在籍者数が24年度には20年度の1・2倍以上になる見込み。

     総額が前年度比5・1%減になったのは、今春開校する京都奏和高(伏見区)の工事完了などで施設整備費が大幅に減ったのが主な要因。


    「校務支援員」の増員は超勤対策としては一定の効果があるとみることができる。しかし、どの程度有効であったのかの検証が行われなければならない。現場でそのことがどれだけ有効であったかの声が市教委に届いているのかどうかは疑問。上からの「働き方改革」という傾向が強くなれば、予算が適切に使われているとは言えないだろう。


    2月11日 【インサイド】 大津訴訟で新判例

       兵庫県加古川市の中2女子生徒いじめ自殺で、遺族が市に損害賠償を求める訴訟が10日、始まった。同種訴訟では先月、大津市の事案でいじめが自殺を引き起こすことは一般的に予見可能な「通常損害」と初めて認めた判例が最高裁で確定。原告側の立証のハードルを下げる司法判断といえ、加害者側の賠償責任を問う追い風になりそうだ。  「訴訟は本意ではなかったが、残りの人生をかけて納得いくまでやる。教員や市教育委員会は保身の姿勢を見直してほしい」。神戸地裁姫路支部の第1回口頭弁論後の記者会見。生徒の父親は長い法廷闘争の幕が開けた心境をこう語った。  いじめによる自殺はこれまで、民法上、特別な事情によって生じた「特別損害」と捉えるのが主流だった。訴訟ではいじめと自殺の因果関係に加え、加害者側が自殺を予見できたかどうかも争点となり、原告側の賠償請求が退けられたり、賠償額が減額されたりするケースも多かった。  2012年に兵庫県川西市で高2男子が自殺し遺族が同級生や県などに約8800万円の損害賠償を求めた訴訟では、神戸地裁判決が「ムシ」「汚い」などと言われたことを「人格を傷つける悪質ないじめ」と認定。一方、自殺までは予見できなかったとし、賠償額は生前のいじめの慰謝料計210万円にとどまった。  一方、こうした流れの転機となったのが、大津市で11年に自殺した中2男子の両親が元同級生らに賠償をめた裁判だ。  一審大津地裁判決は、顔面の殴打やハチの死骸を食べさせようとするなどの暴行は「死にたいと願うほどの絶望感を形成した」とし、自殺は一般的に予見できる通常損害に当たるとの初判断を示した。二審大阪高裁判決も全国のいじめ自殺を巡る報道や、学術的研究などを基に「いじめが自殺に結び付くとの認識は広く行き渡っている」として通常損害と認定。今年1月、最高裁で確定した。  大津訴訟の原告代理人を務めた石田達也弁護士は「いじめ自殺の予見可能性を巡る立証のハードルを引き下げ、被害救済にとって画期的だ」と判決確定を評価。その上で「無視や陰口など暴力的ではないいじめでも自殺に追い込む」とし、加害者本人だけでなく、対応を怠った学校側の責任も問えるとみる。  今回の訴訟で加古川市側は答弁書で、生徒の自殺は特別損害に当たるとし、教員らの予見可能性を否定。石田弁護士は「原告側に難しい立証を求める訴訟戦術だろうが、社会通念を無視した反論と言わざるを得ない」と批判している。


    本ホームページ1月26日の最高裁判決に対して、賠償額が過失相殺されたのではとのコメントを記したが、誤りであることを認め訂正します。


    2月6日 府教委 ICT活用教育の環境整備事業重点

     京都府の2021年度一般会計当初予算案のうち府教育委員会分は、前年度とほぼ同額の1281億8700万円を計上した。ICT(情報通信技術)を活用した教育の環境整備事業に力を入れて配分した。

     教育分野でICTを活用する「スマートスクール」の推進には2億4500万円(20年度2月補正予算案を合わせ7億1400万円)を盛り込んだ。一部の府立高でタブレットを活用した授業を先行実施するほか、民間企業や大学などが参画する「ICT利活用官民連携サポートセンタ上との連携を強化し、教員のICTに関わるノウハウ獲得を支援する。

     学力・学習状況調査研究に1200万円を充てた。紙で実施してきた府学力診断テストをコンピューター端末で行い、学力の伸び具合を分析して指導につなげる実証研究をする。  部活動に関しては、地域との連携の在り方を探るための調査や部活動指導員の府立高への配置などに3800万円盛り込んだ。いじめや不登校の対策も強化。不登校児童生徒を学校復帰に向けて支える「教育支援センター」への臨床心理士や社会福祉士の配置を拡充する。


    府立高 自費で1人1台

     京都府教育委員会は2022年度から全ての府立高で新入生に原則自費でタブレット端末を購入させることを5日までに決めた。ICT(情報通信技術)を活用した新しい授業を行う狙いで、21年度は5校で先行実施する。府教委は「小中学校で20年度中に1人1台端末の環境が整備されるため高校でも切れ目なく行いたい」としている。

     高校での1人1台端末は、一部の県は公費で整備しているが、府は家庭学習など私用にも使うことから個人所有の端末を活用する「BYOD(BringYourOwnDevice)」方式での導入を決めた。小中学校のような国費の整備が高校にはなく、府の財政が厳しいことから原則自費にした。

     学校指定品を購入してもらう方針で、自宅にある別の機種などが使えるかは各校で調整する。費用は1台6万〜7万円程度と見込んでおり、低所得世帯には端末や家庭用モバイルルーターを貸し出す。21年度は鴨折、洛北、鳥羽、嵯峨野、峰山の5高校で先行実施する。

     21年度一般会計当初予算案と20年度2月補正予算案に、教員用端末整備なども含めたスマートスクール推進事業で7億1460万円を計上した。

     府教委は「22年度から高校で新学習指導要領が導入されるのに合わせて実施したい。家庭の負担が増えるが、入学時に必要な物を見直すなどして理解を得たい」としている。



    2月6日 京都市など ゼロカーボン協設立

     地球温暖化対策を加速させるため、京都市など全国の130市区町村が5日、2050年の二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボン市区町村協議会」を設立した。府内では宮津市と京丹後市、与謝野町も参加する。各地域の取り組みを共有して国に提言を行う。

     地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、平均気温の上昇を抑える取り組みが世界で広がる中、京都市は2019年5月、CO2排出量の実質ゼロを目指すと宣言盲四した。この後、国内の自治体にも同様の宣言が広がり、協議会の設立に至ったという。

     会長は横浜市長が務め、副会長を京都市長と岡山県真庭市長、栃木県那須塩原市長が担当する。加盟自治体の総人 口は約3300万人に上り、脱炭素社会の実現のため、各自治体の取り組みを共有して政策を作り、3月中をめどに 国に提言する。

     京都市地球温暖化対策室は「ゼロカーボンの実現にはライフスタイルの転換が必要で、住民に身近な市区町村が連携して役割を果たしたい」としている。


    「ゼロカーボン」に自治体が取り組むことの意義は大きいのだが、菅政権は原発容認を前提としていることへの異議は広がっている。関電の株主としての京都市は住民のライフスタイルの変更を求めるよりも、まず原発の再稼働反対を改めて求めるべきだろう。Do You Kyoto!が果たした役割は無視できないが、総合的な地域のエネルギー政策を明確に示す中での市民への要望でなければならない。行政のパフォーマンスであってはならない。  


    2月6日 府・市教委 公立高校入試 前期志願状況

     京都府と京都市の両教育委員会は5日、府内の公立高で行われる前期選抜入試の志願状況を発表した。全日制の平均志願倍率は2・04倍で前年度から0・05ポイント下がった。倍率が最も高かったのは鴨折の普通科A方式1型で6・83倍だった。

     前期選抜は全日制と定時制の計58校が実施し、定員の100〜20%を募集する。一部を除き16、17日に試験、24日に合格発表がある。全日制は募集人員5174人に対して1万575人、定時制は40人に対して24人が志願した。

     全日制の学科別の倍率は、普通科2・63倍、専門学科1・47倍、総合学科0・82倍。倍率の上位5校は、鴨折に続いて山城と洛北の普通科(単位制)A方式1型が6・04倍と5・88倍、桂の同科A方式が5・57倍、亀岡の同科(単位制) A方式1型が5・20倍だった。

     不登校傾向の生徒が遅い登校時間を選べるなど多様な学び方ができる定時制高の特別入学者選抜の状況も発表された。清明(昼間2部制、定員120人)は志望者152人で倍率1・27倍、清新(昼間、同60人)は同57人で0・95倍、4月開校の京都奏和(昼間夜間4剖制、同80人)は同225人で2・81倍だった。

     府教委は前期選抜について「新型コロナウイルスによる目立った影響はない。生徒が目的意識を持って学校を選択するようになっている」とし、特別入学者選抜についても「自分のペースで学べる学校のニーズが高まっている」としている。



    2月5日 日本維新の会 新たな看板政策にBI

     日本維新の会が、次期衆院選に向けた新たな目玉政策として「可処分所得倍増計画」を提起している。消費税や所得税の税率を軽減し、生活に必要な最低限の金額を政府が個人に給付する「ベーシックインカム(BI)」を導入するのが政策の柱だ。昨年11月の住民投票で否決された「大阪都構想」に代わる看板政策として存在感発揮を狙う。  計画は、馬場伸幸幹事長が今年1月の衆院予算委員会で「他の野党みたいに足を引っ張るだけでなく、夢や希望を持てる議論をしたい」と披露した。足立康史幹事長代理が今月5日の衆院予算委でも取り上げ、アピールする予定だ。  馬場氏らは、消費税率などの軽減に伴い不足する財源を補うため、企業の内部留保や、1900兆円あるとされる個人金融資産に課税する案を提起。投資や運用を促し、経済成長の好循環を生み出すと主張している。生活保護や基礎年 金、児童手当などの社会保障制度はBIに一本化する。


    コロナ禍の中BIの必要性は高まっている。政党がこうした問題へ足を踏み入れるのは賛成なのだが、行政のスリム化のなかでの導入にはいささか疑問を禁じ得ない。医療行政を縮小してきたツケが大阪のコロナ対策に影を落としていることを元代表の橋下氏は認めている。福祉の削減のためのBIでは、同じ過ちを犯してしまうことになる。まずは改めてBIの哲学を議論すべきだろう。アニー・ロリー著『みんなにお金を配ったら』は平易な読み物だが面白い。


    2月5日 警察庁 昨年刑法犯17.9%減

     2020年に全国の警察が認知した刑法犯は61万4303件で、19年を17・9%(13万4256件)下回り戦後最少を更新したことが4日、警察庁の統計(暫定値)で分かった。京都は1万1852件、滋賀は6039件だった。ひったくりなど街頭犯罪が大幅に減少しており、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が一因とみられる。

     一方、虐待の疑いで警察が児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子供は10万6960人(前年比8・9%増)で、統計のある04年以降初めて10万人を超えた。ドメスティックバイオレンス(DV)の相談は8万2641件(0・5%増)、サイバー犯罪の摘発は9911件(4・1%増)でいずれも過去最多。

     同庁は「新しい生活様式の定着など社会の変化が今後も犯罪情勢に影響を及ぼす。虐待やDV、ストーカーなどの被害は潜在化している可能性もあり、相談対応などを進める」としている。

     警察庁によると、17・9%の下落率は過去最大。重要犯罪は8934件(9・7%減)で、うち殺人は930件(2・1%減)だった。街頭犯罪は19万9282件(27・0%減)で、自動販売機狙いが3320件(49・8%減)、ひったくり878件(43・5%減)など。街頭犯罪はコロナ禍が本格化した4月以降の減少が顕著で、5月には43・2%減となった。

     通告児童の内訳は、暴言などの心理的虐待が7万8355人で73・3%を占め、暴力による身体的虐待が1万9452人、ネグレクト(育児放棄)などの怠慢・拒否が8858人、性的虐待が295人。DVの摘発は8701件だった。児童虐待事件の摘発は2131件(8・1%増)で過去最多となった。ストーカーの相談は2万189件で、13年から2万件台の高水準で推移している。


    「少年犯罪が増えている」との俗論が長年語られていてそれが道徳の強化や少年法の改正につながっている。コロナ禍中ではあるとしても子どもや女性が被害者となる「虐待」などの増加に対処することが必要となっている。


    2月3日 文科省調査 公立小学校教員倍率過去最低

     都道府県教育委員会などが2019年度に実施した公立小学校の教員採用試験の競争率は、全国平均で2・7倍と過去最低だったことが2日、文部科学省の調査で分かった。最も低い自治体は1・4倍。必要な教員の確保が懸念される状況で、文科省は志望者を増やすための対策を取りまとめ、法改正などを急ぐ考えだ。

     21年度から小学校の35人学級化が始まり、情報通信技術(ICT)の活用も本格化するため、教員確保は喫緊の課題。文科省は小学校教員の裾野を広げるだけでなく、多忙化が人気低迷の一因だとして働き方改革も進める。

     自治体別では、採用試験を合同で行った広島県・広島市を一つと数えて計12自治体が2倍を切った。低いのは順に、佐賀県と長崎県の1・4倍、北九州市の1・5倍、富山県と福岡県の1・6倍。最も高いのは高知県の7・1倍だった。

     小学校の総採用者は前年度より3.36人減の1万6693人。子どもが多い時期に教員になったベテラン世代の退職で採用増が続いてきたが、減少に転じた。

     総受験者は4万4710人で2951人減。新卒者は223人減にとどまった一方、既卒者は2728人減った。大量採用が続いてきたことで、いったん不格となり講師などとして働きながら再チャレンジする人が減ったとみられる。

     文科省は対策として@大学で小中双方の免許を取得する際は特例的に必要単位を減らすA中学免許を持つ教員が小学校免許を取る場合の要件の弾力化−などを打ち出した。特別免許を取得しやすくするなど教育現場以外で働く社会人が教員になることも後押しする。


    「特効薬ない」教委苦悩

     公立小学校の教員採用試験の競争率が過去最低となった。各地の教育委員会はさまざまな対策を打つが、志望者の増加にはつながっていない。手厚い配置が必要な特別支援教育のニーズは増え続け、2021年度からは35人学級化が始まる。教員需要は高まることが見込まれるが、「特効薬は見当たらない」と人材確保に頭を抱える。

     「あの手この手を尽くしているのに改善しない」。19年度に実施した小学校教員の採用試験競争率が全国最低の1・4倍だった佐賀県教委の担当者はため息をついた。年齢制限を撤廃したり、Uターンを希望する他県の教員の優遇策を打ち出したりしたが、志望者は増えていない。全国的にも志望者が減り「限られたパイを各教委が奪い合っている」と指摘する。

     広島県教委は首都圏など大都市での採用説明会に力を入れ、他業種で働く教員免許保有者の特別選考も実施するが、競争率は2倍を切った。担当者は「条件が良い教育関連会社など民間に人が流れている」と分析する。

     大量退職に伴う大量採用が続いた中で、志望者が減少して生じた競争率の低下。大量退職はピークを越え、19年度は採用者数が減少に転じたが、志望者はさらに減った。今後も障害に応じた指導をする特別支援教育を受ける子どもは増えることが予想され、21年度から5年かけて小学校全学年が35人学級となる。採用数が再び増加する可能性があり、志望者の減少が続けば、優秀な教員の確保はますます困難になる。

     人気低迷の一因は多忙化だが、新型コロナウイルスへの対応や情報通信技術(ICT)を活用した授業実践など、新たに求められることは増えている。日本女子体育大の青木純一特任教授(教育政策)は「業務見直しで長時間労働を是正し、人間らしく働ける学校づくりを進めることが欠かせない」と指摘した。


    教職が魅力のある仕事ではなくなった。と表現すればいいのだろうか。競争倍率の低下はこの10年間ほど毎年下降気味だ。原因を求めるのは難しいかもしれないが少なくとも「ブラック職場」として若い人たちに認識されてるのは間違いない。今の学校は例えれば「積みすぎた方舟」なのだろう。学習指導要領が改訂されるたびに「しなければならない仕事」が増えるし、自治体は住民サービスにばかり目をやり「なんでも引きうけてしまう体質」を脱し切れていない。もっと喫緊の課題は「減量」だといえる。


    2月3日 府・市教委 35人学級閣議決定

     政府は2日、公立小学校の1学級当たりの上限人数を35人とする義務教育標準法改正案を閣議決定した。現行は小1のみ35人で、小2〜6は40人。2021年度に小2を35人とし、その後学年ごとに順次引き下げ、25年度に全学年を35人とする。上限の一律引き下げは約40年ぶり。

     20年度中に児童1人1台のデジタル端末配備が完了する見通しで、文部科学省は少人数学級と情報通信技術(ICT)の活用によって、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導や学びが可能になるとしている。

     文科省によると、35人学級化に必要な教職員定数は21〜25年度の5年間で計1万3574人。現在政策的に配置してきた「加配定数」からの振り替えや少子化により、財政支出はほぼ増えない見通しだ。ただ、クラス数が増える学校で教室数に余裕がないケースもあり、文科省には早急な対応が求められる。

     改正案の付則には、35人学級化による教育効果を検証し、教員免許制度の在り方や教員の資質向上策を検討することを盛り込んだ。



    2月1日 府・市教委 23府県部活交通費不支給

     公立高の部活動に携わる教員の実態について共同通信が全国の都道府県教育委員会を対象に調査したところ、土、日の練習試合で生徒を引率した教員に交通費(旅費)を支給していない自治体が滋賀など23府県に上ることが31日、分かった。部活による時間外勤務を認めていない国の法令を不支給の根拠とする回答が相次いだ。土日返上で指導する教員の実態と、法令との隔たりが浮き彫りとなった。

     教員の長時間勤務が社会問題となる中、識者らは「国は法令を見直し学校の実情を反映した制度に改めるべきだ」と指摘。部活も含め教員の働き方改革を進めている文部科学省は法令見直しを「検討する」としている。

     部活の練習試合は土日に多く、遠征することもある。法令は部活による土日の勤務を認めておらず、部活は教員の自発的な活動と整理されている。23府県に不支給の理由を複数回答で尋ねると、法令を踏まえ13府県が「時間外勤務が認められていないため」、11府県が「自発的な活動のため」として、いずれも「引率を出張と見なしていない」と答えた。

     残る24都道府県は「支給する仕組みがある」と回答。うち20都道県は「生徒の安全を確保する責任がある」「部活は学校教育の一環」などとして「引率を出張と見なして支給する」としている。

     文科省は学校数など地域ごとに事情が異なり、支給するかどうかは「自治体が判断すること」と説明している。  部活の問題に詳しい置塩正剛弁護士は「法令が支給を阻む要因になっている。支給したとしても『勤務ではない自発的な活動』に公費を充てることになり、法令の解釈上疑義がある。いびつな制度になっているのが現状だ」と是正を求めた。

     土日の練習試合の引率では昨年10月、鳥取県立高の多くの教員が県教委の規定に違反して車に生徒を乗せたとして処分された。県教委が法令を理由に出張と見なさず、交通費を支給していないことが判明し、1月下旬までに都道府県教委に土日の部活の状況を尋ねた。


    【インサイド】かけ離れる制度と実態

     部活による時間外勤務を認めていない国の法令が、教員に対する交通費の支給を遮る大きな要因になっている。支給されなくても教員は「生徒のために」と身を削って引率を続ける。自治体が支給したとしても「法令の趣旨に反してグレーな状態」との指摘もある。法令と現場の実態との間がねじれている状況を解消して教員の待遇を改善するには、法令をどう是正するかが焦点となる。

     「(交通費の自己負担は)避けられない」。土日の練習試合の引率に交通費が支給されない静岡県立高でバスケットボール部の顧問を務める男性教諭はこう打ち明ける。

     年約30回の練習試合ではボールなどを運ぶためマイカーでの移動が多い。申請すればPTA会費からガソリン代が支給されるが、満額ではない。県教育委員会は3時間以上の指導で2700円の特殊業務手当を支給しているが、食事代や高速道路料金などを支払うと、手当分を超えることも。それでも「強くなりたいという生徒の思いに応えたい」と引率する。

     交通費に関し、県教委は法令に依拠して「教員の自主的な業務」として10年以上、支給していない。関係者は「法令があるのに支給してもいいのか」と戸惑う。

     富山県も不支給。県高校教職員組合は約30年前から支給を求めているが実現していないという。

     予算の壁もある。九州の自治体は「練習試合はいくらでも組める。その全てに交通費を支給すると、予算はいくらあっても足りない」とこぼす。

     支給する仕組みがある自治体では、練習試合のある土日を平日の時間内勤務の扱いに切り替え、校長が出張を命じて支給するとの回答が相次いだ。法令をかいくぐって支給する“裏技”が横行している状況とも言える。

     「検討する」。取材に文部科学省の関係者は、法令の見直しに言及した。どう見直すのかI。働き方改革について審議した2019年11月の国会で「(見直しの)方向性を見定めるのは困難」としたトップの萩生田光一文科相の答弁に触れ「いま決まっていることはない」と歯切れが悪い。

     教育関係の法令に詳しい識者は「国は教員の勤務に関する制度全体を見直す必要がある。交通費も各地で一律の支給ができるよう、自治体の財政の差を考慮し、国が補助金を出すなど支援をするべきだ」と話す。

     早稲田大の中澤篤史准教授(スポーツ社会学)は「自発的な活動とする部活の制度上の位置付けと、教員が土日に事実上働いている実態との間にねじれが生じている」と分析。時間外勤務の実態を把握した上で国は法令を改善し、自治体は業務を削減する取り組みを進め「ねじれを解消するべきだ」と唱える。


    給特法が改正され教員の超過勤務についての決着がはかられたかのような印象があるが、改正給特法は抜本的な解決は何もなされない欠陥法であることを現場は再認識すべきだろう。また、「手当」を支給するかどうかということは些末な問題であることを改めて認識する必要がある。2007年6月、横浜市立中学校教諭の工藤義男さんが過労のために亡くなったことを我がこととして改めて思い起こす必要がるだろう。


    2月1日 府・市教委 教員端末研修に注力

     全ての公立小中学校でタブレット型など教育用コンピューター端末が2020年度中に児童・生徒に1人1台配備されるのを受け、京都市や京都府の教育委員会が本格活用に向けて教員研修に力を入れている。端末を使ったオンライン授業や生徒の意見集約などの方法を教え、授業に取り入れる意識を高める。

     「好きな食べ物を書いてください」と講師が呼び掛けると、パソコン画面に次々と「ラーメン」「おでん」などと書き込まれた。

     昨年12月中旬、京都市教委が下京区で開いた研修会。市立小中の教員約20入が、端末を活用して生徒全員に意見を聞いて画面に映し出す方法などを学んだ。参加した男性教員(41)は「使いこなせば有効だと感じたが、子どもたちや教員によって端末への慣れに差があり、どう埋めていくかが課題だ」と語っ た。

     国は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休校しても学びを継続できるよう端末の整備を決めた。市教委は教育に使える米マイクロソフト社のグラウドサービスを授業で活用する予定で、そのための研修を昨年11月から始めた。

     研修では、端末を使った遠隔授業の進め方や、オンライン上の表にグループで同時にアクセスして数値を入力していく方法などを教えた。市教委の担当者は「研修の受講者を通じて技術を各校で広めていきたい」と意気込む。

     府教委も20年度から府内の各市町につき1人の教員をICT(情報通信技術)活用のリーダーとして研修をしている。各教員が空いた時間に技術を習得できるようホームページにオンライン授業などの説明動画を掲載している。

     府教委の担当者は「端末を一つの道具として、これまでの対面授業の良さと組み合わせて活用してもらいたい」としている。


    クラウドの利用のデメリットはないのだろうか。メリットは様々考えられる。ここの端末でのデータ管理は必要がないし、一応その損失や棄損も防げるのでその面でのトラブルは回避できるだろう。しかし、クラウド内に個人データを管理する「フォルダー」などを毎年作成することやその継続を管理することは、おそらく担任の仕事になってしまう。かつて20年以上も前、PC導入の初期には一部のマニアックな教員だけが対応し、結果的に普及しなかったことを思い出す。端末をどう使うかは教育内容とかかわって議論されるべきで、「使い方」だけが先行してもどうなのだろう。