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  • 大学進学率 最高60.3%.24
  • 高校教科書に「足し算」「九九」.24
  • 「GIGAスクール」開始.30
  • 大学受験費用にも事欠く実態.30
  • 4月30日 コロナ禍 大学受験費用にも事欠く実態

     新型コロナウイルス感染拡大が続く中、大きな影響を受けているのが大学受験生を抱える生活困窮家庭だ。費用が出せず受験校を1校に絞ったり、進学が確実な指定校推薦に切り替えたりと、ぎりぎりの状況で今春何とか進学できた厳しい実態がある。

     子どもの貧困問題に取り組むNPO法人「キッズドア」(東京都中央区)は2020年度、コロナ禍で家計が厳しい中で大学進学を目指す高校生を支援するため、企業や個人から寄付を募り、高校2年生に3万円、3年生に5万円を「受験サポート奨学金」として計554人に給付した。

     奨学金を受けた高校3年生(119人)と保護者(193人)に対するアンケート調査によると、83%が一人親世帯。世帯年収は200万円未満が58%、200〜300万円が24%だった。卒業後の進路では、「進学」が77%、「浪人」が14%だった。進学が決まった生徒のうち、複数回答で58%が「受験する大学を減らした」と答えた。「予備校、塾に通えなかった」「進学を諦めようと考えたことがある」も共に51%に上った。

     オンラインで開いた調査結果報告会で、給付金を受けたシングルマザーは「困っていたときに頂き、とてもありがたかった」と感謝。自分の母親や他の子どもが病気になり、自身も交通事故で手術、入院などと出費がかさんだ。事故で20年間フルタイムで勤めた仕事をパートにせざるを得ない中、コロナ禍と受験が重なった。「奨学金で楽をしているとか、遊んでいると思う人がいるかもしれないが、全くの誤解。現実を知っていただけたらと思う」と訴えた。

     キッズドア理事長の渡辺由美子さんは「大学に行くことが全てとは決して思わないが、お金がないから進学を諦めるのはさみしい社会ではないか。しっかり学び、しっかり働きたいなら応援したい」と語る。

     今年度も状況は変わらないと予想され、キッズドアは引き続き、大学受験関連の費用を出せない家庭の支援を続ける。今後、困窮家庭に対し、大学共通テスト受験料の無償化、中学3年までとなっている児童手当を高校卒業まで延長することなどを国に要望していくという。


    無策としかいいようのない政府のコロナ対策。要請に見合わない補償。すべてが経済中心に発想されているが、本当に必要な支援が行き届いていない。「オリンッピクに使うお金があるなら…」と言いたくもなる。


    4月30日 市教委 「GIGAスクール」開始

     全ての小中学生にコンピューター端末を配布し、ICT(情報通信技術)を授業や学習で活用する新たな取り組みが、4月から全国で始まった。プリントなど紙による学びを中心にしてきた教育現場は大きな転換期を迎えた。「令和の文房具」とも言われる端末をどのように指導に生かすか、教員は試行錯誤している。

     京都市中京区の朱雀中で14日、1年生が記録写真の撮影と保存の方法を学ぶ授業を受けていた。授業で端末を使うのはまだ2度目。「人を撮る際は相手許可を取ってください。皆さんには肖像権があります」。担任は情報モラルの教育を織り交ぜ、教室前方の大画面に操作手順を映し出して指導する。つまずいている生徒がいないか手順ごとに確認し、サポートに入った複数の教員が教室内を回ってネットワークや機器のトラブルに対応した。使い終わった後は、生徒が充電プラグ付きの大型保管庫にしまった。

     授業後、1年の古谷環菜さん(12)は「スムーズに操作できた。将来役に立つと思うとうれしいし、授業に興味もわくと思う」。担任の生瀬有沙教諭は「今年の中学1年は去年の端末の先行導入ですでに使った経験があり、慣れていると感じた。ただ予想に反して手間取っていた操作もあるので、指導の方法は手探りだった」と振り返った。

     文部科学省は2019年、他国に後れを取っている教育の情報化を推進するため、小中学生に1人1台の端末を配備する「GIGA(ギガ)スクール構想」を打ち出した。人工知能による学習状況の分析を一人一人に応じた指導に生かしたり、情報を扱う技術を身に付けさせたりすることが狙いだ。構想では23年度までに配備する計画だったが、新型コロナウイルス感染拡大でオンライン授業の環境整備が急務となったため前倒しに。20年度内に一部自治体を除いて全国で端末整備完了させた。

     ただ急ピッチで準備を進めたこともあり、デジタル分野に不慣れな教員から戸惑いの声もある。そのため京都市教育委員会は、授業での活用の進め方を具体的に示した指導計画などを各校に提示。また学校全体でデジタル化に取り組めるよう、教員でつくる「教育情報化促進チーム」を各校に設け、そのリーダーに「GIGAスクール推淮主任」を置いた。

     朱雀中で同主任を務める合田智栄教諭は今後について、「端末を扱うスキルが生徒で異なることへの対応や、教科指導でどう使えば学習の定着につなげられるかを考えなければならない。初めてのことなので、やってみて見えてくる課題も多いだろう」と指摘する。


    「GIGAスクール構想」の前倒しを改めて考えてみると、昨年のエビデンスなしの「一斉休校」でリモート授業が公立学校でほとんど取り組めなかったことへの反省?からだ。逆に言えば現場でほとんどその体制がないままハードの整備だけが進んだ格好。端末を「使いこなす」までには相当の時間が必要だと思われる。「atama+(アタマプラス)」というAI(?)を使った学習プログラムがあるが、これは一言で言えば自動化された電子ドリルとでもいうべきもの。端末の使用がこれだけに終わらないような地道な取り組みが要請されるが、現場での活用報告の強要は控えてほしいもの。


    4月24日 高校教科書に「足し算」「九九」

     「3×8=」「36+42=」…。来春から主に高校1年生が使う「数学I」のある教科書には、2桁同士の足し算や引き算、九九といった演習問題が並ぶ。さまざまな事情で基礎学力が身に付かないまま高校に進学した生徒のために編集され、文部科学省の検定に合格。学習指導要領にも記載された「学び直し」のニーズの高まりに応えたものだ。

     作ったのは東京書籍。数学Iは難易度が異なる4種類があり、その中で最も易しいものに盛り込んだ。数学編集部の提橋正一部長が高校を訪れた際、教員が小学2年生用の算数教科書を使って教えているのを見て、必要性を強く感じた。

     「これまでは大学入試の方ばかりを向いて作っていた」と振り返る。

     約170ページのうち、冒頭の約30ページが主に小学校の復習だ。整数の足し算と引き算から始まり、「37+28=65」などを筆算で解く方法を示す。九九では「7×5」を「7+7+7+7+7」と、7を五つ足したものだと丁寧にに解説している。

     続けて割り算、小数、分数、速さの求め方などを説明し、最後に中学1年で習う負の数を紹介する。項目ごとに演習問題があり、教科書に直接書き込めるよう余白を確保した。

     高校の学習範囲も基礎的なものに絞り、漢字には極カルビを振った。提橋部長によると、小中学校を休みがちだった生徒も含め、多様な学力層が在籍する通信制高校などでの採用を見込む。

     2022年度からの高校の新指導要領は「義務教育段階での学習内容の確実な定着を図る」ことを掲げる。学び直しを支援する表現は現行の指導要領から盛り込まれ、数学以外の教科書にも反映されつつある。

     三省堂の「英語コミュニケーションT」の教科書で最も易しいものは、現行本と同様、復習ページを充実させた。アルファベットを「なぞって書いてみよう」と促し、街のイラストの中から医者(doctor)先生(teacher)を探して単語をつづらせる。

     子どもの教育支援に取り組むNPO法人「カタリバ」の今村久美代表理事は、こうした教科書の登場を歓迎する。「義務教育の内容でも、高校の教科書に載ると正当な学びと見なされ、子どもが『学び直すのは恥ずかしい』と思わなくなる」からだ。近年は学校でも民間でも、学び直しを積極的にサポートする動きが広がっていると指摘。「できるようになると自信が付き、勉強以外にも積極的に取り組める。いつでもやり直せる社会にすることが大切だ」と話した。


    学習指導要領に「学び直し」が記載されていることはあまり知られていない。学力の実態が無視できないものとなってきたことの証明かもしれない。義務教育の段階での学びの在り方が改めて考え直されなかければならないのではないか。


    4月24日 府・市教委 大学進学率 最高60.3%

     京都府教育委員会は23日、3月に卒業した府立高生の進路結果を発表した。4年制大学への進学率は60・3%(前年度比4・Oポイント増)で、1987年3月卒業生以来過去最高となった。府教委は「英語の民間検定試験の導入断念など大学入試改革にほんろうされた学年だったが、よく努力した」としている。

     卒業者数(全日制)は前年度比450人減の9919人で、4年制大学への進学者は同144人増の5978人だった。国公立大の合格者実数は同13人増の1271人で、卒業生に対する割合は12・8%と過去最高だった。合格者延べ数は東京大1人、京都大41人、大阪大51人、神戸大61人、京都府立大125人、府立医科大33人、国公立大医学科8人など。

     私立大の合格者延べ数は1万3873人と前年度に比べて2285人増と大幅に増加した。府教委は各私立大が合格者数を増やした可能性もあるとみて分析をしている。主な合格延べ数は同志社大436人、立命館大1177人、関西大571人、関西学院大161人、龍谷大1783人、京都産業大1201人、佛教大1162人など。

     京都市教委も同日、進路結果を発表した。市立高の卒業者は1707人(全日制・定時制)で、4年制大学への進学率は前年度比1・0ポイント減の68・6%だった。堀川高(中京区)は東大に2人、京大に33人、西京高(同)では京大に過去最多の33人が合格した。


    この数字の裏にあるのは、明らかな高校の序列化がある。多様な進路指導が必要とされる中でも、依然として東大・京大合格数が高校の質のメルクマールになっているように見える。


    4月20日 自民党 週休3日で育児・副業支援

     希望に応じて週休3日を選べる「選択的週休3日制」の普及を目指す自民党1億総活躍推進本部(猪口邦子本部長)の提言案が19日、判明した。休日の増加は育児・介護との両立や、地方での副業など多様な勤務形態の後押しになると指摘。「能力を本業で生かすとともに、多元的な自己実現が可能な仕組みが必要だ」と訴えた。提言案は20日の本部会合で議論し、近く政府に提出する。

     週休3日制を巡っては加藤勝信官房長官が5日の記者会見で「党の提言を踏まえ、政府として検討したい」と表明。13日の経済財政諮問会議でも民間議員が活用を提起しており、政府は6月ごろに策定する「骨太方針」に盛り込む考えだ。ただ週休3日を選べば給料が減るのが一般的で、人件費抑制を目的とした導入をどう防止できるかが課題となりそうだ。

     提言案は週休3日の利用例として、子育てや介護、病気療養のほか、副業や兼業、大学院での学び直し、ボランティア活動への参加を挙げた。新型コロナウイルス下でテレワークが拡大したことから「日本には柔軟な就労への対応力が内在している」と分析、週休3日は実現可能とした。

     利点として、日常とは異なる経験が個人の活躍や能力発揮に役立つと提唱。週休3日制を安定した雇用と組み合わせることで「幸福感や所得の向上が可能となり、社会の安定につながる」と強調した。


    労働時間の短縮は今後必要になる。しかし、「浮いた時間」を副業や育児・介護にあてるという選択肢を示すことは現政権の「自助」を推進するということに他ならない。学びなおしについても同じ。必要な事は就労と休暇の間を自由に移動できる社会的な保障の制度である。その上で「週休3日」あるいは長期の学びなおしやボランティア活動、そして(家庭内での不払い労働とされている)介護・育児などの選択が可能になる。子ども庁と同じく目先の選挙対策として議論されてはならない。


    4月19日 文科省 小中生の近視 初の全国調査

     小中学生の近視の現状を把握するため、文部科学省が初の大規模実態調査を実施することが19日、同省への取材で分かった。対象は9千人。小中学校ではパソコンやタブレットといったデジタル端末を活用した授業が4月から本格化するため、視力への影響を懸念する声がある。近視は将来的に眼病になるリスクが高まるとされ、文科省は分析結果を視力保護の対策に生かす。

     文科省によると、国公私立の小中高校などが対象の2019年度学校保健統計調査では、裸眼視力が1・O未満だった小学生は34・57%、中学生は57・47%に上り、いずれも過去最多。多くが近視とみられているが、学校では詳細な検査が難しかった。

     研究者の調査では、東京都内の小学生の70%以上が近視とのデータがある。成人してから緑内障や網膜剥離など失明につながる病気になりやすいとの指摘もあり、文科省は日本眼科医会の協力を得て、全国的な実態把握に乗り出すことにした。調査は5〜6月、小1〜中3の計9千人を対象に実施。医療機関から派遣された検査技師が専用の機器で、近視により長くなるとされる角膜から網膜までの長さ「眼軸長」を測る。スマートフォンの使用時間や外遊びの頻度など生活習慣に関するアンケートも行い、視力への影響を分析する。

     小中学生に1人1台のデジタル端末を配備する「GIGAスクール構想」をほぼ完了し、各学校では4月から授業で使う場面が増加。デジタル教科書の利用促進も見込まれており、文科省の担当者は「適切な使用ルールの作成や屋外活動を増加させるなど、調査結果を基に子どもの目を守る対策を進めたい」と話した。


    「デジタル化社会」を推進するという方向と子どもの健康との関連がどの程度あるのかは未知だが、経験的に言えばコンピュータゲームが大流行した時にも同じような危惧が表明された。いわゆるデジタルネイティブと呼ばれる世代の子どもたちへの影響がどれほどあるのか、調査に期待したい。ただ、デジタル端末を使用すれば学びの質が高まるということではなく、身体(からだ)を通した学びの必要性はいささかも減じてはいないことは明記すべきだろう。


    4月18日 【教育】端末 自費購入は「家計圧迫」

     京都府立高で2022年度の入学生から6万〜7万円程度するタブレット端末の自費購入が決まったことに「怒りしか感じない。新型コロナウイルスによる不況下でどこにそんなお金があるというのか」との意見が府内の保護者から京都新聞社の双方向報道「読者に応える」に寄せられた。高校でのコンピューター端末の1人1台整備は全国で進むが、自治体によって公費を使うか保護者負担にするか対応が分かれている。府立高が保護者負担になった背景や費用の内訳などを探った。(三村智哉)  意見を寄せたのは公立高2年と公立中2年の子どもがいる40代の母親。高校での端末整備については「コロナ禍で学校に行けない場合でも学習できる。また端末を使えば世界中の情報を取得でき、家庭環境に左右されずより良い学習ができる」と理解を示した。  しかし費用負担に話が及ぶと「夫の30万円前後の給料に私のパート代が5万円前後。子ども2人の塾代もあり青息吐息。高校入学時には制服や教科書、通学バッグや定期券などで20万〜30万円は必要と言われる。さらに6万〜7万円もする端末を買う余力はない」と不安を吐露。「自己負担を2万円弱までにするか、すでに持つ製品でも対応可能にしてほしい」と要望した。  公立高での1人1台端末の整備は20年度中に配備が終わった小中学校と違い国の予篁措置がないため、自治体ごとに対応が異なっている。文部科学省が1〜2月に行った調査では和歌山県など12自治体は公費で20年度中に整備し、15自治体は保護者負担での導入を検討している。  府教委は保護者負担での導入に決めた理由を「高校は端末を家庭学習で利用する場合が多く、『文房具』として使うには生徒の所有にする方が適している。また3年間の蓄積を卒業後も活用できる」(高校教育課)と説明し、公費で整備するには府の財政が厳しいことも理由に挙げた。  一方、負担軽減策に関しては「例えば電子辞書を買わずに代替のソフトを端末に入れれば出費が抑えられる。3年間のトータルで学校生活にかかる経費を見直していきたい」とし、低所得世帯には無利子貸し付け制度や端末の貸し出しなどを用意するとした。  端末の整備には府議会でも懸念が表明された。3月の予算特別委員会などで複数の府議が「導入の方向は賛同するが入学時の負担増は厳しい」「学校現場で格差が出ないようにすべきだ」などと指摘した。  そもそも端末費は「6万〜7万円程度」と説明されるが、どういった内訳なのか。府教委は21年度から府立高5校で端末購入を先行実施しており、新入生に配布された案内には次のように記載されている。  @基本セットiPad 第8世代wi-fi32G 10・2インチ 3万4760円Aキーボード付きケース9790円Bアプリなどの設定費用8470円C故障補償(年額)4400円D端末管理(同)1980円Eタッチペン8690円。これを全て合計すると6万8090円になる。  国は20年度補正予算で、高校で低所得世帯に貸し出す端末の調達費を計上し、1台当たり4万5千円を上限とした。府の場合は本体が3万円台だが、学習に必須とされるキーボードや学校で使うためのセキュリティー設定費などが費用を押し上げていた。  自宅で所有する端末の持ち込みも可能だが、ハードルは高い。先行実施校では、基本ソフト(OS)がiOS▽画面サイズが10インチ以上▽校内WI−FIは使えず、自費でネット接続する▽授業で活用するアプリは自分でインストールする―などを承諾した場合に認めるとした。  全国でも多くの自治体が保護者負担による端末整備を進めるが、家計を圧迫しない工夫も模索している。  広島県教委は21年度から全県立高で端末の購入を進める一方で、低所得世帯を対象に返済不要の給付型奨学金を創設した。全日制では3年間で最大10万5千円が受給でき、公立高では本年度2700人の申請を見込んで予算計上した。  東京都は22年度から都立高で端末の自費購入を実施する方針で、機種は教委が複数を提示し、学校が一つを選ぶ方式を検討中という。担当者は「負担軽減策もセットで必要だ。制度設計している」と話す。  滋賀県教委は県立高で22年度から端末の自費購入を検討中で、負担を抑える方法も詰めている。京都府教委も「費用負担の増加は大きな問題ととえている」とし、継続的に負担軽越を打ち出して保護者の理解を得る考を示した。


    府教委がデジタル化社会ということに理解があるようには思えない。デバイスあるいはOSを制限してしまってはデジタル化社会とは言えない。とりわけiOSに限定するのは理解できない。LinaxのOSがオープンソースであったことから世界的な開発が無償で可能となったことをどう考えるのか。また、Androidのアプリ開発が無償で行える環境にあることをどう考えるのか。そして、ハードは数年で陳腐化してしまうのこ6000円もの管理・保障費が必要なのかということ。などの問題は検討されたのだろうか。


    4月14日 政府 「子ども庁」小中所管案

     菅義偉首相が創設に意欲を示す「こども庁」を巡り、政府内で検討されている3案が13日、関係者への取材で判明した。このうち1案は、こども庁を内閣府に設置し、現在は文部科学省が所管する小学校、中学校の義務教育を移管するとしている。  自民党は同日、総裁直属機関を新設し、党内議論を開始。一方、子ども関連の施策を受け持つ内閣府や文科省、厚生労働省が水面下で組織案を検討してきた。

     これらの案を基に、今後、政府、与党で具体的な組織の在り方を検討する。

     3案のうちの一つは、こども総合政策大臣(仮称)を置き、こども庁を各省から独立した組織として内閣府に新設する。「就学前から義務教育段階まで一貫して一体的に推進する」としており、文科省から自治体への指導権限も移管する。

     その他の2案は義務教育を文科省の所管のままとした上で@幼稚園、保育所、認定こども園の所管をこども庁に一元化するA内閣官房に「こども政策戦略会議(仮称)」を新設し、その下に担当室を設置する―との内容。

     3案はいずれも虐待や貧困の問題をこども庁が受け持つとしている。


    「こども庁」を内閣府に設置するということらしい。おまけに小中学校を所管する権限を待たせるという案。文科省が常に政府の文教政策をチェックしてきたとは言えないが、少なくとも「義務教育」を意識した政策を維持しよとしてきたことは認める必要がある。しかし、「子ども庁」がその義務教育にかかわるとなる問題は大きい。小学校での英語の必修・プログラミング学習の必修などが内閣府の主導で導入され文科省はそれを後付ける役割に回ってしまった。そんな経過を見るとこの「子ども庁」創設はさらなる議論が必要。次期総選挙に向けた火事場泥棒的な議論が先行してはいけない。


    4月14日 府・市教委教員採用 府「小中連携推進枠」

     府教委の予定数は、小学校が前年度比20人減の120人、中学校は35入減の75人、高校は60人増の150人、特別支援学校は20人増の65人など。高校は教員の大量退職を補うため人数を増やした。

     小中連携推進枠は、中教審が小学校高学年に教科担任制を22年度をめどに導入する方針を示したため設定した。小学校で10人以内、中学校で5人以内を募集する。小学校と中学校(数学、理科、英語、技術)の両方の免許所持が条件で、小・中学校どちらにも赴任して専門性の高い教育を進める。

     民間出身者らを募る「スペシャリスト特別選考」について、新たに農業、工業も対象に加えたほか、保健体育では選手だけでなく指導者も応募可能にした。

     市教委の予定数は小学校が前年度比20人減の150人、中学校が10人減の90人、高校が前年度並みの15人、総合支援学校も同じく60人など。小学校は国施策により3年生で35人学級化が始まるため新たに30人を確保する必要があるが、児童数の減少や退職者数を考慮して予定数を減らした。

     総合支援学校でたん吸引などを行いながら自立活動を指導する医療的ケア担当の教員採用も前年度に続いて実施する。看護師免許の所持など条件があり、若干名を募集する。

     出願期間は府教委が22日〜5月21日、市教委が26日〜5月17日。1次試験(筆記)は両教委とも6月26日。医療的ケア担当の採用は別の試験日程で行う。



    4月13日 府・市教委 部活2時間以内

     新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ「まん延防止等重点措置」が京都府に適用されたことを受け、府と京都市の両教育委員会は12日までに、部活動は2時間以内とし、宿泊は禁止するなど教育活動を一部制限する通知を出した。ただ公式大会への出場や修学旅行は教育的な意義が大きいため認めることにした。

     府は当分の間、市は5月5日までの措置として、それぞれ所管する小中局校、特別(総合)支援学校などに通知を出した。

     部活動は自校の生徒のみで行い、活動場所は原則校内とした。活動時間は平日、休日とも2時間以内とし大きな発声や身体接触など感染リスクが高い行動は控える。公式の大会や発表会への出場は、主催者が指示する対策を順守すれば可能とした。

     遠足などの校外活動について、府は「実施しないこと」としたが、少人数など感染リスクが低い場合は行っても構わないとした。市は市内(高校は府内)での活動に限定して容認し、感染状況に応じて見直しや中止を検討するよう求めた。

     宿泊を伴う教育活動は原則禁止する。修学旅行(研修旅行)は、感染拡大地域に行かないことや保護者の同意を前提に実施できる。市は野外活動施設「花背山の家」(左京区)での宿泊も認めた。


    以前から指摘されていることだが、これを機会に部活を趣味的な活動として「勝利至上主義」(当事者・保護者・指導者・関係者らの)からの脱却を図るような意識改革が進むことを希望する。


    4月11日 【リポート】 論理的に考える力を育む

     2020年年度から小学校で新学習指導要領が全面実施され、目玉施策の一つとしてプログラミング教育が必修化された。各校は新型コロナウイルスへの対応に追われる中、プログラミング教育にも時間を確保した。ただ初年度は手探りで本格的な導入はこれからとみられる。コロナ禍を受けた状況の変化もあり、新しく位置付け直す必要性も生まれている。(三村智哉)

     「いろいろな正多角形を描く方法を考えよう」。3月18日、御所東小(京都市上京区)であった5年生の算数の授業でプログラミング教育が行われた。クラスの全員にノート型パソコンが渡され、プログラミング学習ソフト「スクラッチ」を用いて画面上でネコのキャラクターを動かし、その経路で正三角形や正六角形を描くことに挑戦した。

     児童たちはで歩動かす」「〜度回す」「〜回繰り返す」といった簡単なプログラムに数値を打ち込み、ネコが思い通りの方向に動くかを試した。正三角形であれば角の内側の角度は60度だが、ネコを動かす時には120度回転させなければならず、児童たちは悪戦苦闘しながらプログラムを完成させた。佐藤遼太郎君介)は「いろいろな形を描けて良かった。将来、機械を使って仕事をする時などに生かせると思う」と楽しげに語った。

     担任の重松賢太教諭一(36)は「多角形など身近にあるものがプログラミングに関係すると気付かせることを心掛けた。端末を使う意味をよく考えて授業を行いたい」と強調した。

    算数や理科の中で

     プログラミング教育は第2次安倍政権発足直後の2013年に発表された政府の成長戦略の中でIT人材の確保に向けて導入方針が盛り込まれた。その後、中教審が「将来、情報技術を活用する力は必要になる」などとして必修化を決定。小学校では教科とせず、算数や理科など既存の授業の中で教えることになった。

     プログラミング教育について文部科学省はプログラムの言語や技能を教えることではなく、「プログラミング的思考を育むこと」などと定義する。「プログラミング的思考」の意味は「自分が意図する活動を実現するためにどのような動きの組み合わせが必要かと論理的に考える力」とし、コンピューターを使わなくても教えることはできるとした。

     京都市教育委員会は導入に当たり、年間で必ずプログラミング教育を行う単元を5年生の算数の「円と多角形」と、6年生の理科の「私たちの生活と電気」に設定。1〜4年では生活や音楽、社会、総合的な学習の時間などの授業で柔軟に取り入れることにした。

     授業の方法は、スクラッチを使ったり、電子キットを用いたりする方法を提示。また紙のカードを利用して物事を分けて考え、試行錯誤しながら再構築してポスターにまとめる活動なども「プログラミング的思考」になるとした。市教委の担当者は「この思考法はさまざまな場所で生かすことができると教えている」と説明する。 休校の回復で後手

     ただ、20年度の学校現場は一斉休校で遅れた授業の回復に懸命だったため、プログラミング教育は後手に回った感もある。市立小で2年を担当する50代教諭は「国語、算数など通常の授業を行うだけで精いっぱいで、プログラミング教育は教材研究に手が回らなかった」。別の市立小1年担当の50代教諭も『2ヵ月授業が遅れ、ヲログラミング教育をやりましょう』と言える雰囲気ではなかった」と明かす。市の担当者も「必須の単元は全校で実施されたと思うが、それ以外は学校によって温度差がある¨と打ち明ける。

     プログラミング教育に大きな影響を及ぼしているのが、児童―人に1台のコンピューター端末を配備する政府の「GIGAスクール構想」だ。新やコロナの影響で20年度中の全小中学校での配備が決まり、21年度から本格的に授業への活用が始まる。

     市教委の担当者は「コロナ禍の前までプログラミング教育はコンピューター教室で行う想定だった。今後は配備された端末を使って広く情報活用能力を育成する中で、プログラミング教育をどう位置づけるか各校で考えていかなければならない」とし、新しい教育の在ぴ方を学校全体で考える重要性を強調した。


    【虫めがね】端末狂騒曲

     「恐らく3年は混乱するだろう」。京都府内のある教育委員会の幹部は苦笑交じりに言った。学校現場で1人1台、コンピューター端末が配備されたことへの見解を尋ねた時だった。

     端末は新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校しても学びを止めないよう、政府が急きよ全公立小中での導入を決めた。昨年度中に配備が完了し、府立高も2022年度から新入生全員にタブレット端末を購入させる。各校では突然、配られた端末をどう活用するかが目下の最大の懸案となっている。

     「新1年生はアルファベットすら知らないのにIDとパスワードの入力を教えなければならず、それだけで3こまかかる」「社会の調べ学習では文献のコピーばかりになり学びを深められないのでは」「まだ練習や準備が不十分なのに、端末を使った授業計画の提出を学校から求められる」…。小学校教諭らに感想を聞くと不安や不満が次々と出てきた。

     端末を使った授業の取材に行くと必ずといっていいほど、「先生、画面が動かない」と声が上がり、教員が対応に追われる場面に出くわす。授業をサポートする体制の整備などが急務になっている。またICT(情報通信技術)を導入すればすぐに教育が充実するとも限らない。ある進学系の高校では「読書感想文を求めるとインターネット上からコピーして提出する生徒が数人はいる。見ればすぐに分かる」との話を聞いた。端末は使い方によって功罪あるもろ刃の剣なのだろう。

     ある中学校長は「今の時代、端末の活用はリスクがあるからといって逃げられない」と言い切る。混乱の末に何が生まれるのか。子どもたちの可能性が広がり、今よりも伸び伸びと自分らしさを発揮できる学校が生まれると信じたい。 (三村智哉)


    プログラミング教育については経論よりも安倍政権の「新三本の矢」の経済優先策から出てきたもの。ICTツールが十分浸透しない原因は、日本の学校における「学び方」にあると思える。だから現場では木で鼻を括ったような取り組みにしかなっていない。また、文字入力もキーボードからが主流のようで思考が古いようにも思える。そして何よりも、ハードのメンテナンスはどうするのかという問題が明らかになっていない。それを担任に任せるのは無理筋というもの。


    4月7日 文科省 教員不足の実態 来月全国調査

     文部科学省は6日、公立小中高校と特別支援学校での教員不足の実態を把握するため、初の全国調査を5月に実施すると明らかにした。2025年度までに公立小の全学年で「35人学級」が実現することも踏まえ、不足しがちな教員を計画的に確保する施策に反映させる。調査結果がまとまり次第、公表する。

     文科省によると、特に年度初めは内定者の辞退や精神疾患による病欠、育休や産休などの理由で教員が不足するケースが少なくない。臨時で確保しようとしても非正規の講師らがすぐに見つからず、教頭が担任を務めることがある。長時間勤務を敬遠して志望者が減少傾向にあることも一因だと指摘される。

     調査対象は、教員の採用権限を持つ47都道府県と20政令市の教育委員会など。4月の始業日時点での不足数と、5月1日時点での改善状況を調べる。足りなくなった理由や、解消に向けた取り組みについても尋ねる。

     3月末に改正義務教育標準法が成立し、公立小の1学級当たりの上限人数は、これまでの40人から5年かけて35入に引き下げることが決定。必要な教員数も増えるため、文科省は質の高い教員の確保を重要施策と位置付け、中教審に検討を諮問している。

     文科省が17年春の状況について自治体を対象に行った抽出調査では、小学校で316人、中学校で254人が不足していた。18年には広島県呉市の中学などで、教員が足りずに一部の授業が実施できなかった問題も発覚した。

     萩生田光一文科相は6日の閣議後記者会見で「新年度が始まって担任の先生がいない事態を生まないために検討を進める」と述べた。


    教員の確保が困難だということはここにきて常態化している。退職教員にも声をかけているが十分に確保できていない。財源は必要だがそれ以上に勤務条件の改善が「ブラックな職場」という評判を払拭する最大の条件だろう。


    4月7日 GIGAスクール構想 「新たな学び」始動へ

     パソコンやタブレットなどのデジタル端末を全国の小中学生にI人1台配備し、学校の通信環境も整備する「GIGAスクール構想」がほぼ完了し、4月から情報通信技術(ICT)を使った新たな学びが本格的に始まる。学校現場では急ピッチで準備が進むが、教員のスキルにばらつきがあるといった課題は解消されておらず、国や自治体の支援が求められる。

     文部科学省の2020年3月時点の調査では、公立小は5・5人に1台、公立中は4・8人に1台(義務教育学校と中等教育学校を除く)にとどまり、普通教室の無線LAN整備率も50%前後にすぎなかった。

     そこに直撃したのが新型コロナウイルス。文科省は当初、23年度までに1人1台を配備する計画だったが、休校の長期化などを受け、20年度中を目指すと大幅に前倒しした。同省調査の速報値では、小中学校や特別支援学校を設置する1812自治体のうち、97・6%に当たる1769自治体で3月末までに完了し、残る43自治体の多くも年内には配備できる見通しとなった。

     ただ、整備を急いだため、ある教育委員会の職員が「端茉を用意するので精いっぱい」と漏らすように、研修や具体的な活用方法の検討にまで手が回っていない学校も多い。

     15歳が対象の経済協力開発機構(OECD)の18年学習到達度調査(PISA)で、日本の高1の8割超が国語や数学の授業でデジタル端末を「利用しない」と答えた。小中学校も状況はあまり変わらないとみられる。

     「GIGAスクール元年」を迎えるのに当たり、文科省は3月、都道府県教委などに端末の積極的な活用を呼び掛ける通知を出しており、学校現場の対応が注目される。


    ハードの整備は資金を投ずれば満たすことができるが、(指導面も含めて)ソフトの整備には時間が必要だ。「1人1台」が整ったのだから使わないといけないような空気が生まれてはあまり意味がないようにおもえる。デジタル端末をノートや鉛筆と同じような一つのツールである考える柔軟な姿勢が現場には必要だろう。


    4月6日 稲田教育長 コロナ対応「現状見て」

     1日付で就任した京都市教育委員会の稲田新吾教育長(58)が5日、記者会見を中京区で行った。新型コロナウイルスの感染対策が学校の授業や行事に影響を及ぼしていることについて「できるだけ早く元に戻したいが保護者の安心感がないとできない」とし、感染状況を見ながら判断する考えを示した。’

     稲田氏はコロナ禍と児童生徒との関わりについて「マスクのために特に新入生の子は友達の顔を半分しか知らず、どうコミュニケーションを保つか考えないといけない」と指摘。「学力テストの結果は(以前と)それほど変わらないが、互いに学び合う力などテストで測れない力もある」として教員らに課題を聞いて対応するとした。

     また児童生徒に1人1台配備されるコンピューター端末の活用に向けては「中教審がいう個別最適な学びにつなげたいが、孤立した学びにならないようにしたい」と強調。子ども同士で学び合う「協働的な学び」などにも生かし教育内容を充実させていくとした。

     一方、中学校での全員給食に関しては「200億円はかかり、進められない」と否定。PTAの在り方にも触れ「行事ごとに手を挙げて実施する方式(を取る団体)が増えており奨励したい」と述べ、時代に合った組織に変わることを期待した。


    教育長は市の教育をリードするの役割があることは明らかだろう。もちろん子どもの教育をどう保障していくのかは重要課題。その教育を支えるのは現場の教職員。どちらの比重を置くのかという問題ではなく、車の両輪であるとの認識を持って任に当たってほしい。


    4月4日 文科省 わいせつ教員 官報で明示

     教員による児童生徒らへのわいせつ行為が後を絶たない中、文部科学省が新年度から対策を強化した。懲戒免職となった教員の処分理由を官報に明示できるよう省令を改正。採用する教育委員会が理由を確認できれば、再び教職に就くことは難しくなる。加害行為の未然防止につながると教委から歓迎の声が上がる一方、情報公開に慎重さを求める意見もある。

     懲戒免職になると教員免許を失効するが、3年後には再取得が可能。文科省は昨年度、わいせつ教員の免許再取得を規制する法改正を検討したが、職業選択の自由の侵害につながるなどとして見送った経緯がある。

     再取得した教員が処分歴を明かさないまま、他教委や私立学校に採用される問題もあり、文科省は2018年度、処分が告示される官報の情報検索システムを導入。当初は直近3年分だった閲覧期間を、昨年度に40年分に大幅延長した。ただ、官報に理由の記載は義務付けられておらず、処分した教委に問い合わせる必要があった。

     文科省は官報の記載方法を定めた教育職員免許法施行規則を改正し、1日に施行。今後は処分理由を@18歳未満の子どもか自校に在籍する児童生徒に対するわいせつ行為やセクハラAそれ以外の人へのわいせつ行為などB交通違反や交通事故C職務上の不正行為Dその他−に分けて示す。

     ある県教委の人事担当者は「一目瞭然となり、見逃しがなくなるはずだ」と評価。教委間の情報共有は、個人情報保護との兼ね合いで円滑にできない面があったという。

     一方、改正に先立つ意見公募では「具体的な理由の公表は(教員の)権利侵害に当たり、将来への影響も大きいのではないか」と危ぶむ声が寄せられた。文科省は犯罪歴ではなく行政処分の公表で問題ないとの立場。担当者は「バランスを取りながら対策を前に進めていきたい」と話した。


    わいせつ行為は許されるものではないが、行政処分が確定したから刑事罰が確定したわけではない。とりわけ「その他」にないにが含まれているのかが曖昧になる。行政が予防的に「不採用」とすることになればやはり職業選択の自由を侵害するおそれがある。慎重な運用が求められるだろう。


    4月4日 共通テスト 記述式の断念濃厚

     大学入試の在り方を議論する文部科学省の有識者会議は2日、記述式の出題は大学の個別入試で促す方向でおおむね一致した。大学入学共通テストでの実施は、採点の正確性や公平性といった課題の解決が容易ではなく、現実的ではないとの意見が大勢を占めた。2022年度からの高校の新学習指導要領で学んだ高校生が受ける25年1月以降の共通テストでの記述式導入は断念が濃厚となった。

     文科省は、新指導要領に対応した出題教科・科目の再編などとともに、今夏までに正式決定する見通し。

     2日の会合では、大阪大高等教育・入試研究開発センター長の川嶋太津夫座長代理がこれまでの議論を集約して提示。「共通テストで一律に記述式を行う必要はない」「個別試験での出題を促す以外に選択肢はあり得ないのではないか」との指摘が出た。

     文科省は今後、個別入試で記述式問題が充実するよう、作問・採点の負担軽減につながるガイドラインを策定したり、大学間でのノウハウを共有したりすることを検討する。

     大学入試改革の目玉として21年1月にスタートした共通テストは、英語の民間検定試験と記述式問題を導入する予定だったが、公平性が担保されていないなどの批判が上がり、文科省は19年11〜12月にいずれも実施を見送った。

     文科省が国公私立大の学 部ごとに尋ねた調査では、共通テストの記述式に否定的な回答が8割を占めた。


    「記述式」で「主体的・対話的で深い学び」をけん引しようとしたが、「公平性」の前に頓挫した感がある。実施となれば膨大な数の採点をセンターが行うことになるが、方策としては外部への業務委託しかない。教育産業との癒着が起こりかねない懸念も生じてくる。結局各大学が自校の目指す学生像に合わせて「記述式」問題を課すことが合理的なのかもしれない。しかし、これではセンター試験との違いがまるで見えてこない。


    4月2日 首相 子ども庁新設指示

     自民党の少子化対策に取り組む国会議員有志は1日、菅義偉首相を官邸に訪ね、子ども関連政策の司令塔となる子ども庁の新設を求める提言を手渡した。首相はその後、二階俊博幹事長と官邸で会談し、子ども庁に関する党総裁直属機関を設置して検討を進めるよう指示した。二階氏は「子どもは国の宝だ。しっかり取り組みたい」と応じた。

     自民党は次期衆院選の公約に盛り込む方向で議論を進める。複数の党幹部によると、二階氏が機関のトップに就く案が出ている。

     提言は、専任の子ども担当相の下に、医療や教育、警察などの関連政策の調整を担う子ども庁を新設するのが柱。子どもに関する課題として虐待や不登校、教育格差などを挙げ、政府による一元的な情報の把握が必要と指摘。不妊治療を含めた妊娠や出産に関する費用助成の拡充も求めた。

     首相は議員有志との面会で「大変重く受け止める。強い決意で取り組む」と述べた。呼び掛け人の自見英子参院議員は記者団に、子どもや女性が置かれている現状を指摘し「一刻の猶予もない。首相には行政の縦割りを打破してほしいと強く申し上げた」と語った。

     これとは別に、自民党行政改革推進本部(棚橋泰文本部長)は同日の役員会で、子ども関連政策を担う子ども家庭庁の創設に向けたプロジェクトチームを設置する方針を決めた。


    「子ども庁」新設の必要性は強い。ただ子どもを経済的な対象としてみるという視点が強い自民党の思惑が次期衆議院選挙にあるのでは心もとない。これまで積極的に子どもの貧困率などの数字を公表しなかった政府の姿勢も改めて見直してほしい。


    4月1日 文科省 企画SNS“炎上”

     学校現場の働き方改革などの好事例を会員制交流サイト(SNS)で現職教員が発信する文部科学省の「#教師のバトン」プロジェクトに賛否が飛び交い、「炎上」を招いている。魅力を伝えたいとの企画意図とは反対に「やりがい搾取」など過酷な実態の訴えが目立つ。専門家は「現場と温度差がある。文科省はネガティブな声を受け止めるべきだ」と話す。

     企画は、長時間労働の改善例や情報通信技術(ICT)を活用した授業実践例など前向きな内容を投稿するよう呼び掛けるもの。「ブラック」とのレッテルが貼られ、志望者が減少していると指摘される学校の仕事だが、魅力も多いと学生らに伝えるのが狙いだ。だが、3月26日のスタート直後から、ツイッターでは「『教える仕事』以外に忙殺されている」「小手先の策で魅力が増すと思っているなら、そんなめでたいことはない」などと深刻な労働環境を指摘する投稿であふれた。文科省には、現場の訴えに耳を傾けて改革を後押しするよう求める意見が出た。

     文科省は投稿例として「校内の先生自慢」「業務改善のためのちょっと一工夫」などを提示。実際に「週に1回は昼から帰れるように時間割を組んでもらった」といった前向きな報告もあった。

     学校現場に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「文科省の投稿例は『キラキラ感』が満載で違和感がある。部活動の縮小など国として仕事を減らす方法を考えるのが先だ」と指摘した。


    給特法が改正されたが教員の長時間勤務の解消にはまったく効果がなく、数字的に超過勤務が減少したようにするだけのものだったことは記憶に新しい。必要なことは、積みすぎた課題をどう削減するかなのだが、文科行政はそこに目が行っていない(?)のが根本原因だろう。


    4月1日 府・市教委 教職員異動3921人

     京都府と京都市の両教育委員会は31日、4月1日(退職者は3月31日付で発令する教職員3921人の人事異動を発表した。異動規模は府が265人減の2242人、市が62人減の1679人となった。

     府教委は前年度より校長など管理職の退職者が減った。教員配置では、昼間定時制の清新高(京丹後市)や学舎制を導入した宮津天橋高(宮津市、与謝野町)など開校2年目となる3高校の体制整備を図った。22年度に井手町で特別支援学校を新設するための配置も継続した。

     経験豊富なベテランの活用に向け、退職した小中高校と特別支援学校の校長から過去最多の17人を再任用する。女性管理職も202人と積極登用し、割合は前年比1・2ポイント増の24・2%と過去になった。

     市教委は校長・園長の転任を20年度の半分程度に抑えた。同年度は新型コロナウイルスの影響で学校行事の見直しなど教育活動が大きく変更したため、継続性や安定性を重視して必要最小限にとどめた。

     また児童生徒に1人1台のコンピューター端末を配布する「GIGAスクール構想」が21年度から始まるのに伴い、学校内に管理職や研究主任らで構成する「教育情報化促進チーム」を設置し、そのリーダーとして「GIGAスクール推進主任」のポストを設ける。このほか少人数教育や働き方改革の推進に向け、小学校で高学年を中心に専科教員の配置を拡大する。