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  • 7月28日 長岡京市 中小の親子方式で先行実施

     京都府長岡京市は26日、2018年中に開始を目指す中学校給食について、長岡第二中と長岡第十小の親子方式で先行実施する方針を明らかにした。長岡第四中は近隣に調理できる小学校がないため校内で調理する自校方式とする。配膳方式は4校とも食缶方式とする方向で進める。

     26日夜に市役所で開かれた総合教育会議で提示された。長岡中は長岡第六小で、長岡第三中は長岡第八小でそれぞれ給食を作ってもらい、提供を受ける。

     実施時期は18年中に長岡第二中でスタートした後、19年1月に長岡第四中、19年4月に長岡第三中、19年度内に長岡中で始める予定。ただ小学校の給食室増改築には府の建築審査会の許可などが必要で、実施が遅れる可能性もある。

     配膳方式は当初、ご飯やおかずをそれぞれふた付きの食器に盛る弁当箱型方式を検討していた。だが、大容量の容器に料理を入れて教室で各生徒に分配する食缶方式でも、工夫次第で学校運営への影響を抑えられると判断した。

     中小路健吾市長は「敷地や建築規制、学校現場への影響など問題があるが、教委と市長部局が議論し最善の案だと考えている」と述べた。出席した市PTA連絡協議会役員や中学校長からは「実施できる中学校から、早く実施してほしい」「学校現場の細かな意見を聞く機会を設けて欲しい」といった意見が出された。



    7月28日 文科省 中学教員部活手当2割増

     文部科学省は27日、休日に部活動を指導した公立中学校教員に支給する「部活動手当」を来年度から2割増額する方針を固めた。4時間従事した場合の支給額が現在の3千円から3600円となる。必要額を来年度予算の概算要求に計上する。

     現在は時給換算で750円と、最低賃金の全国平均798円を下回る。厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会は27日、全国平均で24円引き上げの目安を公表。全国平均は822円となる見通しだが、部活動手当が増額されれば、それを上回る時給900円となる。

     部活動手当は、教員給与と同様に国が3分の1、都道府県が3分の2を負担する。平日の指導分は、時間外手当の代わりに本給に上乗せされている「教職調整額」の範囲内として支給されない。

     文科省は4時間従事することを支給の目安としているが、自治体によっては2時間でも半額を支給したり、6時間の場合は増額したりしている。

     経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の中学教員の仕事時間は1週間で53・9時間と、参加した34カ国・地域で最長。特に部活動など課外活動の指導は7・7時間で、参加国平均の2・1時間を大きく上回っている。


    簡単な計算をしてみよう。(53・9時間/週―7・75時間/日×5日)×4週=60・6時間/月。つまり一月に60時間を超える超勤になっている。部活の負担が大きいことは以前から指摘されている事だが、TALISの調査を基本に考えると、なにも部活手当を増額したからといって問題が解決するわけではない。構造的に強いられている教員全体の超過勤務をどうするかが問題とされなければならない。ちなみに、京都の最低賃金は807円となる。


    7月23日 文科省専門家会議 「道徳」相対評価せず

     文部科学省の専門家会議は22日、小学校で2018年度から、中学校で19年度から教科に格上げされる「特別の教科 道徳」の評価の在り方を示す報告書案を大筋でまとめた。評価は5段層などの数値ではなく記述式とし、子どもの成長を積極的に受け止め、励ますよう求めた。ほかの子どもと比べる相対評価を否定。入試に使わないようにする必要があるとした。

     評価は子どもの指導要録に設ける専用の記述欄に記載する。学習指導要領は「友情」「社会正義」「国や郷土を愛する態度」などの学 習内容を示しているが、これらの項目ごとではなく、全体として評価。子どもが他者の意見に触れたり、議論したりする中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方に発展しているかを長期的視点でみる。

     授業中の会話や感想文、教材の登場人物を自分に置き換えて問題を理解しようとする姿勢などを判断材料とする。発言や文章を書く のが苦手な子どもについては、他者の話に聞き入り考えを深めようとする姿への着目が重要だと指摘。発達障害のある子どもにも、一人一人の状況を踏まえた配慮と評価方法が求められるとした。

     道徳教育は子どもの人格に関わるものだとして、入試の合否判定に使う調査書に評価を書かないこととし、進学に影響しないようくぎを刺した。

     文科省は今後、報告書の内容を教育委員会などに通知する。


    おそらくほとんどまともに実行されないような内容の「報告書」。「専門家」の人たちは、道徳を評価するかどうかの問題よりも、評価のために先生がどれだけの評価材料を集めなければいけないかを考えてみたことがあるのかと思えてくる。そのために、道徳の授業は「子どもの観察」中心の授業になり、評価例文集ののっている書物が売れるだけとはお寒い道徳である。


    7月21日 警察庁 刑法犯 戦後最少ペース

     今年1〜6月に全国の警察が認知した刑法犯の件数は48万8900件(昨年同期比9・3%減)で、上半期ベースの統計が残る1989年以降で最少だったことが21日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。年間で42年ぶりに戦後最少を更新した昨年の109万8969件を下回るベース。 京都府は1万202件(同14・5%減)、滋賀県は4850件(同15・3%減)だった。

     人口千人当たりの認知件数でも、戦後最少だった昨年(8・6件)の上半期(4・2件)を下回る3・8件だった。警察庁の金高雅仁長官は同日の記者会見で「官民一体の幅広い犯罪抑止対策などが効果を上げていると思われる」と話した。

     罪種別では、知能犯だけは詐欺やカード偽造が増えたため昨年同期より1061件(5・1%)多い2万1747件となったが、凶悪犯や窃盗犯などは軒並み減少した。昨年、戦後最少だった殺人や重要窃盗犯も上半期ベースでさらに減少、それぞれ435件(強件減)、4万7778件(6428件減)だった。

     摘発件数は16万5779件(6392件減)、摘発人数は11万1152人(4891人減)で、摘発率は1・9ポイント増の33・9%だった。殺人や強盗など重要犯罪に限ると75・9%で、5・7ポイント上昇した。

     摘発人数のうち、14〜19歳は1万5716人で3885人減った一方、65歳以上は2万3540人で89人減少と横は、。高齢者による犯罪が依然として目立つ結果となった。


    教育改革を論じるとき必ずいわゆる「触法少年の増加」や「凶悪化」と噂されることの内実は、俗論に過ぎない事が毎年のように明らかになる。にもかかわらずあいも変わらず「戦後教育」の負の遺産としてたびたび保守派から語られる。ただ、「また人殺しが」と思ってしまうのはマスコミの取り上げ方の問題があるように思える。一方、高齢者の犯罪は「介護疲れ」に起因するものも多くはないのだろうか?個人を罰するという刑法の考え方だけで裁くことが出来るのだろうか?


    7月17日 府内学校・教委 教員労働時間 減らせ

     国際的にも突出している教員の長時間労働を是正するため、京都府内の公立学校や教育委員会が対策に乗り出した。週1日は部活動を全面的に休んだり、夏季にまとまった業務休止日を設けるなどして勤務時間の縮減に結びつける。国も教員の業務改善策をまとめたが、教員の数そのものを増やさない限り根本的な解決にはほど遠いという意見もある。

     7月6日、京都市南区の八条中。午後2時に終業のチャイムが鳴ると、普段は部活に向かう生徒たちが次々に下校した。教員も急ぎの仕事を抱える数人を除き、大半が午後7時台に仕事を切り上げた。4月から毎週水曜に設けている「ノー部活デー」と教員の早期帰宅を促す「エコデー」だ。

     生徒に休養を与えて運動障害を防ぐ目的に加え、教員の労働時間を短くする狙いで導入した。柔道部顧問の藤井豊康教諭は「水曜に早く帰るために仕事の進め方を見直した。残業が少し減ったと思う」と話す。

     勤務時間の短縮化を図る試みは市内の中学校全体で進められている。市立中校長会は昨年11月、毎週水曜は「統一閉鎖時刻日」とし、教員に午後7時までの帰宅を促す方針を決めた。当初は学校ごとの努力目標だったが、4月からは原則、全校で実施することにした。会長を務める東山泉中(東山区)の村岡徹校長は「浸透には時間がかかるだろうが、教員には仕事を効率化するきっかけにしてほしい」と期待する。

     市教委なども2月に「中学校運動部活動における留意事項について(試案)」と題する通知を出し、休養日や適切な練習時間の設定を求めた。体育健康教育室は「教員と生徒双方にとって負担にならないよう、部活動を見直してほしいという意図だ」と説明する。

     府教委は4月、府立学校に教員の総勤務時間の短縮を求める通達を出した。夏休みに学校の業務休止日を連続7日間設けるほか、休日出勤を命じた場合の振り替え休日の確保、ノー部活デーの設定を促した。同様の内容は小中学校を所管する市町教委にも伝えた。

     7月には教員の負担軽減を狙いの一つとする「学校の組織力向上プラン」の策定に着手した。いじめや家庭問題などに対応する専門職員の増員配置や部活指導を支援するスタッフの派遣などが柱になる予定だ。


    【フォローアップ】 根本原因に人員不足

     教員の長時間労働は全国的な課題になっている。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の教員の1週間あたり勤務時間は53・9時間と参加国平均の38・3時間を大きく上回り、最長だ。他国に比べて課外活動の指導や事務に取られる時間が長い一方、肝心の授業に使う時間は17・7時間と参加国平均19・3時間を下回る。

     こうした実態を踏まえ、文部科学省は6月に「学校現場における業務の適正化に向けて」と題する報告をまとめた。教員が担う事務の見直しや支援体制の整備、給食費を徴収する業務の自治体への移管、部活休養日の徹底、部活の指導や引率を担うスタッフの配置などが盛り込まれた。

     一方、発達障害のある児童への対応や授業の高度化など学校現場に求められる役割が増す中で、教員数は少子化に伴い機械的に減らされ続けている。児童・生徒数に基づく学級数などで算定する「基礎定数」は本年度に4千人減らされた。学校現場の課題に応じて政策的に配分する「加配定数」は525人増えたが、このうち、ニーズが高まっている特別支援教育の加配は50人増にとどまった。

     京都教職員組合の中久保弘志書記長は「長時間労働の根本的な問題には現場の人員不足がある。教員の総数を増やさないと解決は難しい」と指摘している。


    定員増は言うまでもないことなのだが、教員の時間感覚がどういった学校文化の中で育てられてきたかという側面からの問題提起も必要に思う。つまり、「なぜ超勤をするのか?」と問うことでもある。


    7月16日 府教委 学力底上げに効果

     京都府教育委員会は15日、京都市を除く府内の小学4年と中学1年を対象にした独自の学力診断テストの結果を発表した。低得点層が減り、学力の底上げ効果が見られたとしている。

     国語と算数(中1は数学)の2教科で、基礎・基本問題20問、活用問題5問の計25問で構成。4月に実施し、計約2万人が受けた。

     予想正答率65%に対し、小4は国語67・3%、算数72・7%、中1は国語66・5%、数学64%だった。いずれの教科も基礎・基本問題に限ると65%以上だったが、活用問題は中1の国語で47・8%、数学で52・6%にとどまった。

     問題に占める平均正答数は小4の国語が前年度比1ポイント増の16・8問、算数が同0・6ポイント増の18・2問と増加し、高得点層が増えた。中1の国語も同0・7ポイント増の16・6問で中位層の押し上げが見られた。算数は同0・6ポイント減の16問と下がったが、低得点層が減った。

     府教委学校教育課は「授業内容の改善などの地道な取り組みが効果を上げた」と分析している。

     学習時間や生活習慣などを聞く調査も実施。学校の授業時間以外の1日当たり勉強時間が30分より少ない児童・生徒は小4で19・8%、中1で14・5%と前年度から増え、課題が見られた。



    7月12日 市教委 大文字駅伝 走り過ぎに注意

     京都市教育委員会は、小学校の部活動や運動活動を適切に管理するためのガイドライン案をこのほど策定し、市立小に通達した。毎年2月の市小学校大文字駅伝での好成績を目指す中で過度な練習が一部で行われ、故障につながっている可能性を踏まえ、1週間や1日の活動量に上限を設けた。市教委は今後、学校や専門家の意見を聴き、本年度中に正式にとりまとめる。夏休み前からすでに練習を始めている小学校もあり、規定の順守が求められる。

     案では部活動の指導にあたる心構えとして「勝利至上主義に陥ることなく、適正な教育活動として意義あるものとすること」と明記。学力向上や家庭生活とのバランス、児童一人一人の健康維持に留意するよう促している。

     活動日は週3日までを上限に設定し、休日練習の常態化も戒めた。1日あたりの活動時間は1時間半程度に制限し、午後5時までの活動終了や登校時間前の早朝練習の禁止も規定した。

     大文字駅伝や中長距離走における練習ガイドライン案も併せて作成した。大文字駅伝は児童の体力向上や運動に親しむための教育活動であると強調。1日の総走行距離は5キロまで、1週間の総練習時間は4・5時間までを上限とし、長距離練習に偏らず体の各部位を動かすトレーニングを盛り込むことも求めた。熱中症予防を心がけるほか、児童が痛みや違和感を訴えた時は専門の医療機関を受診させることも義務づけた。

     案は市教委や市小学校長会などが昨秋から検討会議を重ねて作成し、今春に全市立小166校に通達した。


    児童の3割 体に痛み

     京都市教育委員会が小学校の運動活動を適切に管理するためのガイドライン案を出した背景には、市小学校大文字駅伝の過熱ぶりがある。好成績を得ようと教員が指導に力を入れるあまり、練習の長時間化や休日練習の常態化につながる事例があり、一部で「やり過ぎ」との声も上がっていた。駅伝本番前の健康診断では例年、体に何らかの痛みがある児童が3割に上るという。市教委は「駅伝練習が一因とみられるため、沈静化する必要があった」と打ち明ける。

     小室整形外科医院(右京区)の小室元院長は、大文字駅伝に出場予定の児童や過去に出場した中高生を数多く診察した。毎日6キロ走っていた児童がスポーツ障害の一種である初期の腰椎分離症だった例もあり、「成長期に大人並みの負荷をかければ壊れて当然。教員の理解不足が大きい」と指摘する。ガイドライン案は妥当としつつも「学校現場が本当に守るかどうかか問題。子どもの健康を第一にする文化が根づいているのだろうか」と懸念する。

     同医院は今春、学童期の運動器障害をテーマにしたフォーラムを開き、学校医や市教委、養護教員らと防止策を議論した。そこで出たのが、心疾患や腎疾患がある子どもの運動面の配慮を主治医が教員に伝える「学校生活費理指導表」をスポーツ障害に適用するアイデアだ。小室院長は「教員が医師の指示を守る枠組みが必要。過度な運動がスポーツ障害につながる危険性も講習で教えるべきだ」と訴え る。


    ガイドラインが出されたことは一定の意義のあること。しかし、大文字駅伝の過熱化は教育委員会・学校、親、マスコミの三位一体で行ってきたということを再認識する必要がある。でなければ、「親からの意見に押されて」という言い訳がいくらでもとおる。また、文科省が部活見直しの方針を打ち出した事をきっかけに、ガイドライン作成になったのなら行政的な責任は不明確なまま。加えて、テレビ中継や一面の記事にしてきたマスコミも加熱を煽った責任はある。


    7月9日 自民党木原稔文部科学部会長 教育現場の調査呼び掛け

     自民党が、教育現場で政治的中立性を逸脱する教諭の事例がなかったかを把握する実態調査への協力を、ホームページ上で募っていたことが9日、分かった。当初、中立性逸脱の例として「子供たちを戦場に送るな」と主張する教諭がいると挙げていたが、この内容を削除した。民進党の枝野幸男幹事長は調査に関し「自民党は子どもたちを戦場に送ろうとしていることが、証明されたのではないか」と批判した。

     インターネット上では「密告社会の到来だ」と批判が出ていた。9日午前は該当するページにアクセスできない状態だったが、午後に復旧。再び調査への協力を求めた。

     自民党の木原稔文部科学部会長は7日、選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げを踏まえ「中立性を逸脱した先生がいる。高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれることを危惧している」と自身のツイッターで情報提供を呼び掛けた。

     実態調査は、学校名や連絡先に加え、政治的中立性を逸脱する「不適切な事例」を具体的に記入して投稿するよう要請した。


    まったく馬鹿げている発言。18歳選挙権引き下げは若い人たちの政治参加を求めるためのものではなかったのか。教育現場での政治教育(シティズンシップ教育)は、「中立性」の考え方にも一石を投じたものであるはずにもかかわらず、政治家自らが歴史の針を逆戻りさせるとは情けない。秘密保護法の成立もそうだが、戦前「聞くな話すな」という標語があったことを思い出させる。


    7月8日 東京五輪の森会長 国歌「独唱」に疑問

     2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜郎会長は7日、リオデジャネイロ五輪日本選手団壮行会 (8日)のあいさつで「どうしてみんなそろって国歌を歌わないんでしょうか」などと苦言を呈した理由を、主催の日本オリンピック委員会(JOC)が「国歌斉唱」でなく「独唱」の形式で実施したことに疑問を感じたからと説明した。「(斉唱を)お願いしたつもりで、文句を言ったわけじゃない」とも述べた。

     国内競技団体を集めた組織委の会合で、日本体操協会の渡辺守成専務理事から発言の趣旨を聞かれた森会長は、こうした式典では国歌は斉唱すべきだとの持論を展開。当初届いた案内状に「斉唱」と記載されていたにもかかわらず、独唱に変更されていたことを「非常に疑問に感じた」と主張した。JOCの日本選手団行動規範に「結団式やメダルセレモニー等、公式行事では脱帽し、姿勢を正し、日の丸を直視し、君が代を斉唱すること」と明記されていると指摘し「なぜ(斉唱を)やらないのか」と語った。


    「忍び寄るファシズム」というのはこうしたことを言うのだろうか?政治学者の中島岳志氏は、日本のNHKを含めてマスコミが「政権の意向を忖度していることが問題」と指摘している。強制や指示がなくても「疑問を呈する」ことが最大の政治手法であると言うのだ。学校での「忖度」はすでに八〇年代から始まっていた。


    7月8日 【記者の視点】 「音楽に政治を持ち込むなよ」

     ビートルズ来日50周年の今年、音楽について考えさせられる出来事が起きた。安全保障関連法に反対する「SEALDs(シールズ)」の音楽イベント出演に対し、インターネット上にあふれた「音楽に政治を持ち込むなよ」の批判だ。

     出演自体に賛成、反対意見があるのは理解できる。ただ「音楽に―」のフレーズには激しい違和感を覚えた。政治を題材にした曲はジャンルを問わず無数にあるし、ジョン・レノンを持ち出すまでもなく、 政治的主張をする音楽家は多い。

     しばらく考えて、事の本質は、音楽と政治の関係性にあるわけではないと気づいた。社会に漂う、政治的な活動や主張に対して「ややこしくなると因るから距離を置こう」という空気こそが、批判の源にあると。

     参院選取材でも、似た空気を感じた。政党関係者を招いた集会で、会場となった大学の広報担当者に「誤解を招かぬよう、大学名か出席政党名を伏せてほしい」といわれた時だ。

     参加した政党は限定的だったが、呼び掛けは公平で、欠席は政党側の判断だ。なのに「政治的な肩よりを指摘されたくない」という消極的な思惑が透けて見え、気分が重くなつた。

     参院選では「18歳選挙権」に注目が集まる。高校や大学は主権者教育に力を入れ、候補者も若者向けの政策を打ち出す。

     ただ、政治を遠ざける社会の中でいくら投票の意義を訴えても、説得力に欠ける。若者の低投票率を嘆く前に、まず大人が、このおかしな社会の空気を変えなければいけない。(笹井勇佑)



    7月5日 南丹の高校 工学系列1期生、就職準備早くも本格化

     京都府亀岡市馬路町の南丹高が2015年度に新設した工業系専門コース「テクニカル工学系列」で、来年度卒業する1期生の就職準備が早くも本格化してきた。地元経済界からものづくりの担い手として期待を集めているため、同高は企業ニーズに対応した人材の育成に本腰を入れる。

     同コースは、近年の人材不足に危機感を募らせる地元経済界の要望を受けて誕生した。電気や機械工学の基礎を指導し、ものづくりを支える人材を養成する。現在は2年生が17人、1年生が18人。

     同高によると、2年生の8割以上が卒業後に就職を希望している。溶接や旋盤の技術を生かして建築業界などを目指す生徒もいるため、学校側は幅広い業種で就職先を探しているという。今秋以降は地元企業の協力を受け、実習やインターンシップも始める。

     一方、企業側も若い人材を確保する好機と見ている。仕事内容や職場の雰囲気をまとめたポスターを作り、校内に掲示するなどアピールを強めている。

     同高は製造現場で必要とされる人材を把握するため、地元企業の声を聞く場を設けた。丹波に工場などを置く機械や繊維、食品などのメーカー16社の幹部らが出席し「技術よりもものづくりの楽しさを知っている生徒がほしい」などと採用したい人物像を語った。生産の自動化が進んでいるため「オペレーション(操作)が社員の仕事」として、技能に偏らない教育の重要性を訴える意見も出た。

     幅広い技能を求める企業が多いことを踏まえ、同高は今後、国家資格の取得などを含めて必要な指導を進め、専門分野で長く活躍できる人材を送り出す考えだ。同コースの野村善之教諭は「生徒と企業のニーズを一致させることが大切で、職場実習など進路を考える上で役に立つ場を増やしたい」と話している。