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  • 朝鮮学校に「保健室」.26
  • 不登校小中生の支援 強化.28
  • 政府、残業規制強化.28
  • 「育休取得が低コスト」.28
  • 非正規との格差拡大.29
  • 学テ 下位層底上げ.30
  • 9月30日 学テ 下位層底上げ

     文部科学省は29日、小学6年と中学3年の全員を対象に、4月19日に実施した2016年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。知識の活用力や表現力に依然課題があると指摘。一方、公立校の都道府県別平均正答数を過去の結果と比べると、上位層と下位層の差が縮小したと分析し「学力の底上げは進んでいる」とした。テストは07年度に学年全員を対象として43年ぶりに復活し、10年目。集計ミスで公表が1カ月以上延びていた。

     文科省は、年度ごとの全国平均正答数を100と換算し、都道府県の上位層と下位層の平均正答数の差を比較。小学校国語のA問題では13年度に5ポイント以上あったが、16年度は4ポイント以下になるなど、各教科で差が縮小傾向にあるほか、下位層が全国平均に近ついているとした。担当者は「上位層の授業のやり方を、他の自治体が取り入れる動きが盛んになっているためでは」と説明している。

     都道府県別の平均正答率の上位は秋田や石川、福井などが占める固定化が継続。14年度に小学校の成績が上昇した沖縄は、小学校の国語と算数のA・B問題全てで全国平均を上回った。

     テストと同時に実施した学校への質問紙調査を組み合わせた分析で、就学援助を受けている児童生徒の在籍割合が高い学校は、平均正答率が低い傾向も出た。

     文科省は家庭の経済状況で生じる学力差を解消するため、こうした学校に教員を増員配置するなどの支援を進めたい考えだ。

     16年度テストには国公私立計約2万9千校の小6約103万5千人、中3約103万8千人が参加。地震で4月19日の実施を見送った熊本県の全小中学校と、大分、宮崎両県の一部学校は結果集計に反映していない。

     文科省は都道府県別成績について、詳細資料では従来通り、平均正答率を小数点第1位まで明記。一方、「小数点以下の差は学力の実質的な違いではなく、過度な競争の一因になる」として、概要資料では平均正答率を整数で発表したが、平均正答数は小数点第1位まで記載するという統一さ れない対応となった。


    「主体的学び」で好成績

     全国学力テストと同時に行われた児童生徒への質問調査では、今回初めて、子どもが主体的に学ぶアクティブ・ラーニングの取り組み状況を聞いた。7割以上が取り組んでいると答え、取り組んでいる児童生徒の方がテストの平均正答率が高い傾向にあった。アクティフ・ラーニングは次期学習指導要領で全教科に導入される。

     前年度までの授業で、自分たちで立てるなどした課題に対し「自ら考え、自分から取り組んでいたか」という質問に、小6の77・8%、中3の73・8%が「当てはまる」「どちらかといえは当てはまる」と答えた。

     「当てはまる」と答えた小6児童の算数Bの平均正答率が52・3%だった一方、「当てはまらない」と答えた児童は34・5%にとどまるなど、小中の全教科の平均正答率で「当てはまる」と答えた児童生徒が「当てはまらない」とした児童生徒を上回った。

     学校には昨年に続いて質問。「児童生徒自ら課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動」を取り入れたかを聞いたところ、「よく行った」「どちらかといえば行った」と答えたのは小学校が80・1%(前年度比7・1ポイント増)、中学校が72・8%(同9・2ポイント増)と取り組みが浸透していた。

     


    府、全国平均上回る

     京都府教育委員会は29日、2016年度の全国学力テストについて府内の公立小中学校や特別支度学校の結果を発表した。国語と算数(数学)の平均正答率は、いずれも全国平均を2・3〜0・2ポイント上回った。生活習慣などを聞く質問紙調査では、学校の授業時間以外の勉強時間が全国平均に比べて少ない傾向が明らかになった。

     小6の平均正答率は、基礎知識を問う国語Aが74・2%(全国平均72・9%)、活用問題の国語Bが59・4%(同57・8%)。算数Aは79・9%(同77・6%)、算数Bは48・6%(同47・2%)だった。

     中3は、国語Aが75・8%(同75・6%)、国語Bが67・2%(同66・5%)。数学Aは63・3%(同62・2%)、数学Bは45%(同44・1%)だった。

     府教委学校教育課は「平均正答率が全国平均を上回ったのは、授業の改善や補習授業などの学力向上策が効果を挙げた結果。今後は家庭学習の習慣づけに力を入れる」としている。

     京都市教委は市立学校分を独自に集計して発表した。小中学校とも平均正答率が全国を1・5〜0・3ポイント上回った。中3は全教科で府平均を上回ったが、小6は国語Aと算数Aが0・8〜0・2ポイント下回った。

     質問紙調査では、学校の授業以外の勉強時間が1日あたり30分未満と答えた割合が小6で14・2%(同11・9%)、中3で21・2%(同14・4%)に上った。スマートフォンや携帯電話を使って通話やメール、インターネットをする時間は、中3の35・3%が2時間以上と回答し、全国平均を5・2ポイント上回った。

     就学援助を受けている児童・生徒の割合が20%以上の学校は小6で39・1%(同22・9%)、中3で54・6% (同28・6%)で全国的に見ても高かった。

     


    小学校国語 内容押さえ読む力不足

     平均正答率はA問題73・0%、B問題58・0%。文章の内容を的確に押さえて読んだり、目的に応じて自分の考えを書いたりすることに課題があった。

     ローマ字の読み書きに関するAの問題で、「あさって」を正しく書けたのは42・0%、「hyaku」を正確に読み、「ひゃく」と書けたのは50・9%にとどまった。過去の調査でも類題の正答率は40〜60%台で、ローマ字に苦手意識を持つ児童は依然多いようだ。

     Bでは、「早寝早起き」運動に取り組む学級の児童が書いた報告文が題材になった。休日の就寝時間が遅い児童の割合を示したグラフを基に、指定された文字数で課題を書く問題の正答率は51・5%。課題を捉えることができていない児童が目立った。

     パン職人へのインタビューから、特に心に残ったことを紹介するメモを、三つの条件を満たしてまとめる出願の正答率は53・2%。何らかの条件を満たしていない解答が計25・1%に上ったほか、無回答も11・4%あり、文章の重要な点を把握しきれていなかった。

     


    小学校算数 割合や式の解釈に課題

     平均正答率はA問題77・8%、B問題47・4%。小数の割り算などの計算問題は大多数Hできでいるが、割合や与えられた式の意味を解釈することなどに課題があった。

     Aでは、定員より20%多い60人がバスに乗っているとの設定で、棒グラフから定員と乗客数の割合を百分率で読み取らせたが、正答率は51・2%。定員を80%、60人を100%とする誤答が13・2%に上り、基準量を誤って捉えている児童が多かった。

     Bでは、一番大きな角が120度の二等辺三角形を三つ合わせて正三角形が作れた理由を、角の大きさを基に説明させる問題の正答率が7・0%だった。与えられた「360÷120=3」の式の数字が、それぞれ同を表しているかを論理的に記述できていなかった。

     二つの小学校の図書の貸出冊数の折れ線グラフを見て、問題文中の人物による分析が間違っている理由を説明させる問題の正答率は25・0%だった。グラフは読み取れているが、根拠となる数字を書いていない誤答が13・6%に上った。

     


    中学校国語情報の選択と整理苦手

     平均正答率はA問題76・0%、B問題67・1%。根拠を明確にして自分の考えを具体的に書くことや、目的に応じて情報を選択、整理することに課題が見られた。

     北極点と南極点でどちらの平均気温が低いのか書いた文章を読み返し、一部を書き直した意図を選はせたAの問題の正答率は65・0%。小6時に出された 同様の問題の正答率は23・6%で、意味のつながりを考えながら推敲することへの理解が、まだ不十分だった。

     Bでは、漆を紹介する展示会を開く博物館のチラシの表面と裏面について、表現の工夫やその効果を書かせる問題の正答率は68・4%。工夫や効果を具体的に書けていないなど、条件を満たしていない誤答が22・5%あった。

     地上と宇宙を結ぶ「宇宙エレベーター」の雑誌記事を読み、その要点として適切な選択肢を二つ選ぶ問題の正答率は64・6%。無回答を除く誤答は35・1%で、特に21・6%は記事の複数箇所に書かれた情報を結び付けて答えを導くことができなかったとみられる。

     


    中学校数学図形の理解は改善傾向

     平均正答率はA問題62・8%、B問題44・8%だった。図形の理解については改善が見られた部分があったが、証明や数学的な表現を使っての説明には依然として課題があった。

     Aでは、三角柱のある辺とねじれの位置にある辺を尋ねた問題の正答率が75・9%で、2007年度の同様の問題より5・0ポイント増えた。多角形の外角の和の性質について正しい記述を選ぶ問題も69・8%で、09年度の同一問題から3・1ポイント増。

     図形は性質の理解については改善傾向となったが、証明問題はAもBも正答率が低く、苦手なままだった。

     Bでは、ボウリング場の貸し出し用の靴を全て買い替えるとの設定で、貸し出されたサイズの平均値の靴を最も多く買うことが適切でない理由を記述させる問題が出た。

     正答率は48・1%。サイズ別の貸出回数のグラフから、平均値の靴の回数が少ないことに着目できていても、他のサイズの回数と比較する必要があることを理解していない誤答が16・5%あり、数学的な表現を使った説明に課題が残った。

     


    京都の課題指導への活用 成果は

     29日公表された全国学力テストは本年度で10年目の節目を迎えた。教員が児童や生徒の学習到達度をつかみ、指導に生かすことが目的の一つにあるが、近年はそうした個別の対策だけでなく、学校や校区単位の傾向を分析し、学力の全体的な底上げにつなげる取り組みも活発 になってきた。学校別の点数公表を求める声が根強くある中、教育委員会や学校は具体的な活用の成果を示すことが求められる。

     福知山、亀岡、久御山、井手の4市町の小中学校では今年から、学識者でつくる専門家チームが派遣され、学力テストや生活習慣を尋ねる質問紙調査の結果分析を進めている。低得点層に見られる共通点をつかみ、学力向上策に生かす京都府教委のモデル事業だ。

     これまでの解析で、家庭学習の定着度や読書習慣、規範意識の高さなどが学力と大きな相関関係にあることが明らかになった。府教委の佐古清主席総括指導主事は「今後は分析結果を基に低学力層の児童・生徒に対する補習や保護者への働き掛けを行うなど、具体策を打ちたい」と意気込む。

     京都市教委も、全市の平均正答率や質問紙調査の結果を分析し、学力向上の取り組みとともにホームページで公開している。各学校の正答率 は公開していないが、教科ごとの観点別評価をまとめて学校便りなどで保護者に示している。

     基礎学力の向上が必要な学校には、学力テストや市独自のテストの結果を分析した「総括シート」を提供。指導主事が授業改善や生活指導のノウハウを助言し、問題集購入などの予算措置も行っている。

     こうした取り組みの一方で、活用の成果が一般市民に広く伝わっているとはいい難く、「情報公開が不十分」との不満もくすぶっている。城陽市のNPO法人が学校別成績などの開示を同市に求めた訴訟で今年2月、京都地裁判決は一部を除き開示を命じた。同市が控訴したため、今のところ公表されていないが、裁判の行方次第では他の教委にも影響が波及する可能性がある。

     学力問題に詳しい大阪大の志水宏吉教授は「学力テストの点数は学校と家庭の教育力の両面を反映している。点数を公表しても教員のがんば りが正当に評価されるとは限らない。むしろ学校だけが評判を落とす結果につながりかねない」と開示に慎重な見方を示す。

     一方で教育現場に対しても「学力テストは学年を限定しているため、個々の児童や生徒の経年変化をつかめない。学習指導に生かすには都道 府県や市町村単位で全員を対象にしたテストを毎年実施した方が効果的だ」と工夫を求める。


    毎年「悉皆」であることへの批判を重ねて10年になる。この間生活の質と学力の相関関係が強い事、いわゆる「再生産理論」が検証された結果となった。しかし、それへの対策(格差是正)が十分行われてきたとは思えない。むしろ、学力テストの問題が、どの階層をターゲットにしているのかあるいは理想とするモデルを提示しているのかということはあまり議論になっていない。おそらくOECDのPISAが目指す学力観と同時に示されている生活様式(あるいみではヒドュン・カリキュラム)が下敷きになっているのだろう。とすれば「貧困」状況に在る子どもの学力を測定する段階ですでにハンディーを負っているといえる。そのことは都市型の自治体とその他の自治体の成績の差が示しているのかもしれない。


    9月29日 国税庁 非正規との格差拡大

     民間企業で働く給与所得者が2015年の1年間に受け取った平均給与は、前年を5万4千円上回る420万4千円(前年比1・3%増)で、3年連続で上昇したことが、国税庁の実態統計調査で28日分かった。給与所得者には正社員や非正規社員、役員が含まれる。

     国税庁は「経済が拡大基調にあり、失業率が低いためではないか」と分析。一方、専門家からは「(給与水準の)長期低迷から抜け出せたわけではない。個人消費回復には時間がかかるだろう」との見方がある。

     正社員の平均給与は1・5%増の484万9千円、非正規は0・5%増の170万5千円。差額は314万4千円で、前年の差額308万円からさらに格差は拡大した。

     一年を通じて勤務した給与所得者の数は0・8%増の4794万人、うち正社員は3141万5千人(1・2%増)、非正規は1122万8千人(3・0%増)だっだ。女性は1962万6千人(0・6%増)だった。


    恐らく公務員においても正規と非正規との格差は拡大しているだろうし、任用されている比率も同じ傾向にあるだろう。人事委員会勧告の時期にあるのだが、どうした判断を示すのだろうか。


    9月28日 厚労相 「育休取得が低コスト」

     塩崎恭久厚生労働相は27日、待機児童問題に絡み、0歳児など子どもが小さい時に保育所などに預けるより、親が育児休業を取得した方が「社会的コストが安いのではないか」と述べた。保育の受け皿づくりを進めるべき立場であるだけに、発言は波紋を広げそうだ。

     同日午前に開かれた自治体との対策会議で、東京都杉並区の田中良区長が「自治体に保育所整備の負荷がかかっており、育休制度を充実させた方が、社会的コストが軽減される」と発言。これに対し、塩崎氏は「子どもの発育を考えると、親元での愛着形成などで大事な時期は、育休取得の方が社会的コストは安いのではないか」と応えた。

     会議後の記者会見で、発言の真意を問われた塩崎氏は「男性の育休取得率が極めて低く、こうしたことを直さないと、子育て支援が不十分になると共感するところだと申し上げた」と説明した。


    「男性の育休取得」という苦しい言い訳。自民党の改憲草案が「家族」を強調するのと同じ発想から出てきたのが厚労相発言。安倍政権の新自由主義とネオコンとの矛盾の象徴でもあるだろう。


    9月28日 働き方改革 政府、残業規制強化

     政府は27日「働き方改革」に向け関係閣僚や労使代表ら有識者による「実現会議」(議長・安倍晋三首相)の初会台を首相官邸で開いた。長時間労働を抑制するための残業規制強化やパートなど非正規労働者の処邁改善などが柱。来年3月をめどに実行計画をまとめる。安倍政権が推進するアベノミクスの失速が指摘される中、実効性がある政策を打ち出せるかが焦点だ。労使対立が激しく難航も予想される。

     働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置付ける安倍首相は会合で「大切なことはスピードと実行だ。もはや先送りは許されない。強い意志で取り組まなけれはならない」と強調した。

     長時間労働の抑制は、労働基準法が定めた残業に関する労使協定(三六協定)の見直しが課題となる。現在は労使が合意すれば事実上残業が無制限となるため、上限の設定を検討する。

     自民党内には超過した場合の罰則を求める声もある。

     政府によると、日本で働く人の2014年の労働時間は平均1729時間。ドイツやフランスは300時間前後少ない。

     長時間になりがちな働き方が育児や介護など生活との両立を妨げ、女性や高齢者が働き続けることを阻害したり、少子化や生産性低下につながつたりしているとの指摘がある。政府は1人当たりの生産性の向上が人口減少下での経済成長に不可欠だとしている。

     正社員と非正規との不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現も目指す。厚生労働智は企業向けの指針を年内に策定する。関係法の改正も念頭に置く。柔軟な働き方ができる環境づくりも進める。65歳以上の継続雇用・定年延長に取り組む企業への支援や、ITを活用して在宅勤務をするテレワークの拡大も議論する。


    2度も廃案になった労働時間規制緩和(ホワイトカラーエグゼンプション)を一方で進めることの矛盾についてはどう説明するのだろうか?長時間労働の歯止めの必要性は喫緊の課題ではあるが、「1人当たりの生産性の向上」をベースにした議論が果たして実効性ある結果を生むかどうかは不透明。労働時間6時間制や週休3日制。労働時間インターバルを確保など議論すべきテーマは多い。


    9月28日 フォローアップ 不登校小中生の支援 強化

     京都府内の教育委員会が、不登校の小中学生への支援を強化している。元教員やフリースクールのスタッフが家を訪ねて心のケアに当たったり、背景要因を分析して学校に対応策を助言するなどの取り組みで、成果を上げつつある。ただ、学業への復帰には継続したサポートが必要だが、財源となる国の事業が2017年度に予算化される見通しが立っておらず、各教委は気をもんでいる。(高野英明)

     9月下旬、宇治市教委の支援員小北恵子さんは、市内の小学校を訪問した。学校を休みがちな小学生の兄妹の近況を聴き取るためだった。「兄は来るようになったが、妹は難しい」と担任教員。小北さんは「スクールソーシャルワーカー(SSW)も交えて母親と面談しましょう。妹の話は分析に生かすのでメモにしてください」と依頼した。

     小北さんは元教員で、同市教委の不登校対策の専任者として7月から働き始めた。不登校の背景には学校の人間関係や学業、家庭環境など多様な要因が考えられるため、課題の分析が欠かせない。支援員は学校や保護者から情報を収集して問題点をあぶり出し、対処法をアドバイスする役割がある。自宅に出向いて子どもや保護者の相談に乗ったり、SSWと連携して家庭を支援する福祉サービスにつないだりすることもある。

     市教委教育支援課は「以前は担任の教員にすら会おうとしなかった児童が支援員に心を開き、顔を見せるようになった事例もある」と手応えを語る。

     府内の不登校の小中学生は11年度まで減少傾向だったが、その後増加に転じ、14年度は2402人に上った。このため、各教委が対応に乗り出している。

     京都市教委は、フリースクール運営の「ほっとハウス」(南区)や「安養寺フリースクール」(上京区)と連携し、不登校傾向にある児童・生徒の家庭を訪問する事業を7月に始めた。両団体のスタッフが24世帯を週1回訪れ、子どもたちの話し相手になって信頼関係を築き、前向きな気持ちを引き出そうとしている。

     長岡京市教委は、新たに雇用した臨床心理士2人を休みがちな児童がいる小学校に派遣。教員や保護者と面談して児童が抱える課題を分析し、適応指導教室に通うなどの支援策を提案している。別室登校する児童の学習に付き添う支援員も3人配置しており、家庭訪問を始める計画もある。


    国の予算で運営 来年度見通せず

     各教委の不登校対策は、文部科学省のモデル事業で賄われている。たとえば、ほっとハウスが独自に手がけている家庭訪問ではスタッフの派遣費用1万〜1万5千円と交通費を利用者が負担する必要があるが、京都市教委の事業を使えば無料で利用できる。ほっとハウスの大辻咲子副代表は「経済的に厳しい家庭にとっては大きい。利用者の間ロを広げることにつながっている」と評価する。

     一方で、文科省のモデル事業は来年3月末までの期間限定だ。8月末にまとめられだけ年度概算要求の主要事項には後継事業の費用が盛り込まれているが、同省生徒指導室の担当者は「予算化されるかどうかは財務省との今後の折衝次第だ」と言葉を濁す。

     宇治市教委教育支援課は「取り組みはようやく軌道に乗ったばかり。不登校問題の解決にはとにかく時閭がかかる。途中で打ち切るわけにはいかない」と支援継続を訴えている。



    9月26日 【フォローアップ】  朝鮮学校に「保健室」

     京都の朝鮮初級学校2校で、本年度から 「保健室」が定期的に開設されている。法律上、一般の小学校と同じ扱いでないため、開校当初から保健室がない状態が続いていたが、元養護教諭や看護師が週数回在室し、子どもたちの心身のケアにあたる。全国の朝鮮学校でも珍しい取り組みで、「学習」だけでなく「健康」 も保障する教育環環境の実現に向けた願いがこもる。(辻智也、今野麦)

     京都朝鮮初級学校(京都市伏見区)の「保健室」には、日本の学校と同じくベッドや身体測定の機器、薬品が並ぶ。保健室を訪れた6年生男児は「校庭で転んでも、すぐ診てくれる」といい、1年生の女児は教室をのぞいて「ちょっと遊びに来ただけ」と笑う。

     けがの処置や気分不良だけでなく、家庭や友人関係の相談に訪れる子もいる。児童別の健康カードづくりや歯磨き指導、発達障害児の支援もしている。PTAに当たる「オモニ会」の鄭春代会長(47)は、「専門知識を持った先生が付き添ってくれる安心感ができた。障害のある子が一緒に学べるようになったのも大きい」と喜ぶ。

     同校には、前身の京都七条朝聯国民学院が1946年に開校して以来、保健室がなく、養護教諭もいなかった。学校教育法上は「各種学校」に当たるため、養護教諭配置が義務でなく、公的補助や財政も乏しいからだ。専門的な聴力検査や就学前検診などはできず、教育支援が必要な障害児の入学は閉ざされていた。

     保護者や教員から保健室の必要性を訴える声が上がり、08年から保健室をつくる動きを始めた。活動を知った元高校養護教諭の佐藤友子さん(69))と、同校OGで看護師の沈香福さん(27)が、昨年からほぼ無償で「保健室の先生」として協力し、NPO法人「京都コリアン生活センターエルファ」(南区)の看護師も合わせ、本年度は週3回在室するようになった。

     40年近く高校の養護教諭として勤務した佐藤さんは、保健室の意義を「しんどい、つらいなどと何でも言えて、個が否定されない。安心て授業を受けられる、最低限の教育保障をする場」と強調する。加えて、朝鮮学校の特性として民族のアイデンティティをはぐくむという理念がある。2009年には、南区の朝鮮第一初級学校(当時)が「在日特権を許さない市民の会」によるへイトスピーチ事件の標的となった。自らの出目や差別に向き合うこともある子どもたちにとって、悩みを受け止める場としても保健室は重要だという。

     京都朝鮮第二初級学校(右京区)も「保健室」が月1回開かれ、看護師が巡回する。だが、中学・高校にあたる京都朝鮮中高級学校(左京区) にはない。今後の月標は、3校すべてに養護教諭が常駐する保健室を設けることだ。しかし、資金や人材が不足しており、実現は難しいという。

     支援者らでつくる「朝鮮学と民族教育の発展をめざす会・京滋」は、カンパなど支を受け付けている。問い合せは同会の携帯電話090(5560)50370。


    学校に「保健室」があることは当然だと考えていた。それがそうではなかったことに驚きと不明を恥じた。外国人の子ども達の教育を保障するのは慈善でも恩恵でもなく市民社会として当然の責務だ。「1条校」としての扱いをしていない日本政府の不寛容さが問題である事もあわせて想起した。


    9月9日 OECD調査 教育公的支出日本は低水準

     経済協力開発機構(OECD)は15日、2013年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める、学校など教育機関への公的支出の割合を公表した。日本は3・2%で、比較可能な33カ国中、最下位のハンガリー(3・1%)に次ぐ32位。12年の最下位からは脱したが、依然低い日本の公的支出を示す結果となった。OECD平均は4・5%。

     一方で、公的支出に私費負担を合わせた児童生徒1人当たりの教育機関への支出を見ると、日本はOECD平均を上回っており、OECDは「日本では幼稚園や大学などで私費負担の割合が高く、家計に重い負担となっている」と指摘している。

     公的支出の割合が最も高かったのは12年と同じノルウェーで6・2%。6・1%のデンマーク、5・6%のベルギー、フィンランド、アイスランドが続いた。

     日本の国公立の幼稚園から高校までの教員の凶年の年間勤務時間は1891時間で、OECD平均を約800時間上回った。

     ただ、勤務時間のうち授業時間の割合は中学校で32%にとどまり、平均の45%と比べ、課外活動や事務作業、会議などに多くの時間を割いている実態が改めて浮き彫りとなった。

     また勤続15年の小中高校教員の給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から14年の間に7%減った。OECD担当者は「日本では伝統的に教育を重視してきたが、最近は教員の待遇が悪化している。地位を上げていく努力が必要ではないか」としている。


    目新しい調査結果ではない事が、政府の教育政策への在り様を示している。「1億創活躍」が自助努力をベースにしている事が更なる格差を生むことになっている。「投資」という言葉は好きではないが、やはり「箱もの」よりも「人的投資」が必要だろう。


    9月9日 府教委 南陽高で中高一貫教育導入

     京都雁教育委員会の小田垣勉教育長は15日、南陽高(木津川市)への中高一貫教育の導入を検討する考えを明らかにした。設置時期や学級数は今後詰める。舞鶴市で同日開かれた府議会代表質問で答弁した。小田垣教育長は、山城地域から多くの児童が地域外の中高一貫校こ進学している実態や、地元や周辺の市町から中高一貫校の設置を要望されたことを挙げ、「南陽高に6年間の一貫した教育を構入することで山城地域の教育の充実が期待できる」と設置に前向きな姿勢を示した。府立高では洛北(京都市左京区)、園部(南丹市)、福知山(福知山市)の3校に付属中が設置されている。



    9月16日 府教委調査  「投票した」生徒71.7%%

     選挙権年齢が18歳に引き下げられた7月の参院選について、京都府教育委員会は15日、主権者教育の研究指定校や期日前投票所の設置校だった府立高6校で投票権を得ていた生徒にアンケートしたところ、71・7%が投票したと答えたことを明らかにした。府内全体の18歳の投票率51.12%を大きく上回り、政治への関心を高める教育の効果を裏付けた。

     舞鶴市で同日開かれた府議会代表質問で小田垣勉教育長が答弁した。

     研究指定を受けたのは京都八幡(八幡市)、西乙訓(長岡京市)、大江(福知山市)、園部(南丹市)の4校で、模擬投票や身近な課題をテーマにした政策提言、地方議会の傍聴などに取り組んだ。期日前段票所は木津(木津川市)と南陽(同)に設けられ、生徒が投票立会人や会場案内のボランティアを務めた。

     アンケートは参院選直後に6校の生徒約1200人を対象に行つっ。小田垣教育長は「取り組みの成果が一定見られた。今後は実践研究の事例を加えて(主権者教育の)指導の手引きを改定し、府立高全体に普及を図る」と述べた。


    学校での取組に一定の成果が見えた事は評価すべきこと。これが持続的に発展する必要がある。そのためには高校だけが主権者教育に取り組むのではなく小学校からの政治教育が必要であることを周知させることが大切だ。


    9月15日 埼玉16歳殺害事件 不登校、中退 すさむ心

     埼玉県東松山市の都幾川河川敷で8月、アルバイト井上翼さん(16)の遺体が発見された事件は、逮捕された少年らも井上さんも、高校中退や不登校といった事情を抱えていた。そうした子どもたちにどう目配りをし、支援していくか。専門家は「生活ぶりが把握できない子がたくさんいる。積極的なアプローチが必要だ」と強調する。

     14〜17歳の逮捕少年5人は、2人が高校を中退し、中学生3人のうち2人が不登校状態だった。

     少年らと以前、交友があったという10代後半の男性が9月上旬、取材に応じた。男性によると、少年らは、仲間と一緒に深夜から未明、バイクを乗り回して公園などにたむろすることが多かった。人にナイフを突き付けるような場面もあったという。

     男性は「学校に行っていないような暇そうなやつを引き込んで一緒につるむ。楽しいとかじゃなく、1人よりいいから」と話した。

     「学校をやめていなかったら、悪いグループと関わることはなかったかもしれない」。井上さんの友人男性はそう言って悔しがる。井上さんは昨年11月に県立高を中退。逮捕された少年5人とは、事件の約1週間前から行動を共にしていた。

     この友人男性も同じ県立高を中退している。その経緯を「喫煙などで繰り返し謹慎処分になり、高校から『進路変更』と称して自主退学を勧められた」と明かした。中学ではいじめを受け不登校だったといい「『高校は卒業する』と友達に約束していたのに。学校側は、自分みたいな邪魔な生徒は消したいんだ」と不信感をあらわにした。

     逮捕された中学生の在籍校がある東松山市などの教育委員会によると、長期欠席の生徒宅には月に数回、電話や家庭訪問をする。しかし、毎日様子をうかがうのは難しいのが実情で、県教委も「人員不足もあって、学校側は中退後のフォローまではできない」と話す。

     文部科学省の2014年度の問題行動調査では、30日以上学校へ行っていない不登校の中高生は全国で約15万人、高校中退者は約5 万3千人とされた。「その多くが就学、就労の公的援助を受けられていない」と上智大の酒井朗教授(教育社会学)は指摘する。

     酒井教授は、スクールソーシャルワーカーの増員や、中退者が復学先や仕事を見つけられるような情報提供が積極的になされるべきだとし「問題を抱える子も社会の一員。家庭が経済的に困窮しているケースもみられ、支援体制を充実させるべきだ」としている。


    文科省は「チーム学校」で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員配置するという。そのことは教員の仕事削減の方向では必要な措置なのだが、そのことと定数改善が結びついていないのは政府としての教育方針の問題。また、学校に配置されたそれらの人々をどのように活用するのかということは管理職の力量による。同時に従来の学校の在りかたを転換していくという発想も求められるだろう。


    9月14日 総務省  非正規の職員 自治体64万人

     総務省は13日、全国の地方自治体で働く非正規職員が2016年4月時点で64万4725人となり、前回の12年4月調査から4万5千人余り(7・6%)増えたと発表した。前回は59万8977人だった。15年4月時点で正規職員は約274万人おり、非正規は全体の2割近くに達する。地方の財政難も影響し、立場の不安定な非正規雇用が自治体でも広がつている。

     各地の自治体では、第2次ベビーブームで児童・生徒が増えたのに伴って多く採用された教員が退職時期を迎えたこともあり、正規職員が減少。延長保育などの住民サービス向上や、教員の人手不足を解消するため、非正規雇用を増やしたとみられる。

     調査は不定期で、これまで05年、08年、12年に実施した。非正規職員は最初の05年4月時点が約45万6千人で、その後は増加が続いている。定年後の再雇用制度に基づく採用は含まない。

     職種別では事務補助が最多の約10万1千人。教員・講師が約9万3千人、保育所の保育士が約6万3千人、給食調理員が約3万8千人と続いた。

     勤務時間は、フルタイムが約20万2千人、正規職員の4分の3を超える人も約20万5千人で、正規職員に近い働き方が多い。非正規職員のうち女性は74・8%に当たる約48万2千人だった。


    非正規職員の待遇改善は緊急の課題だが、正規職員の定数を増やさないままでの「自由は働き方」の一つとして非正規を温存するのは間違い。また、地公法での非正規の規定では理解できない職を非正規が担っている事の問題を総務省は認識すべきで、早急の改正が必要。


    9月13日 市教委 究明要請に異例対応

     学校で感染性胃腸炎が集団発生した際に、原因究明のために保健所が求める任意の便検査を、京都市教育委員会が拒否していたことが8日、分かった。「児童がからかわれる恐れがある」という理由だが、他の都道府県や政令市の教委が断ったケースはなく、市教委の対応はきわめて異例。

     専門家は「感染症の拡大防止は原因究明が基本。拒否する対応はありえない」としている。

     市内の小学校で昨年10月、集団感染が1カ月以上続き、全校児童の4割の約200人が、下痢や嘔吐(おうと)などで欠席したことも判明。区保健センターは児童の検便を求めたが、市教委と学校は拒否し、校内の消毒のみにとどめた。

     市教委によると、感染性胃腸炎の集団発生時の検査は依頼があつても長年、拒否してきた。市教委は児童がからかわれたり、保護者から不満が出ることを懸念したという。体育健康教育室は「感染性胃腸炎に特効薬はなく、まん延防止には消毒を徹底する以外にないため、問題ないと考えていた」と説明する。

     市教委は、昨年10月の集団発生を重くみた市学校医会(中京区)の検査協力の申し入れを受け、今夏、感染性胃腸炎の集団発生時には検便する方針にあらためた。近く各市立学校に通知する。

     感染症予防法は、ウイルスや菌による感染性胃腸炎が集団発生した場合でも、食中毒が原因でなければ検便などの行政検査を義務付けていない。しかし、まん延防止の観点からは実施が望ましいとされている。

     京都府立医科大の藤田直久教授(感染制御)は「感梁性胃腸炎には多種の菌やウイルスがあり、潜伏や感染可能期間が異なる。新たな病原体の可能性もある。公衆衛生には感染源以外の人を守る目的があり、適切な対策のために原因は特定するべき」と指摘する。


    全国57教委は保健所に協力

     京都市教育委員会が学校で集団感染が発生した際に、検便を拒否していたことを受け、47都道府県と京都市を除く19政令市の計66教委に京都新聞社が調査したところ、保健所から検査依頼を受けたことがある京都府や滋賀県を含む57教委すべてが「協力している」と答えた。9教委は依頼されたケースがなかった。児童生徒に不利益がでないよう検査時に配慮する教委もあった。

     多くの教委が「原因究明したいのは保健所も学校も同じ。断る理由がない」と回答。うち、さいたま市教委は「原因も分からないまま対策が遅れてはいけない」とし、宮城県教委は「感染力が強い菌だと地域にも広がる危険があり、注意を呼び掛ける必要がある」と説明した。

     京都府教委は「適切な対策を取るために原因究明する」、滋賀県教委は「保健所の指示に従うよう学校に指導している」と答えた。

     配慮をした上で検査を実施する教委もある。川崎市教委は「保護者に理解を得られるよう丁寧に説明している」と述べ、熊本市教委は「担当者に白衣で児童の家に行かないようお願いしている」としている。


    なんとも不可解な市教委の対応?市教委の(一方的な)パターナリズム的な体質はほとんど変わっていない。「共汗(きょうかん)」というスローガンも市民を使えるときだけ使うというもの。住民が参加する学校運営とはほど遠い姿勢を見て取る事が出来る。


    9月9日 府市懇談会 教員「加配」負担結論出ず

     京都府の山田啓二知事と京都市の門川大作市長による8日の懇談会では、公立小中学校で少人数教育を進めるため基準より多く教員を配置する「加配を巡り、2017年度からどちらが給与を負担するか議論された。この日、結論は出なかったが、仮にどちらも負担しないと、来年春からの学級編成に影響が出る可能性もある。

     京都市など政令指定都市は教職員の任命権や人事権は持つものの、給与は道府県が負担してきた。政令市側はこうした「ねじれ」を改めるよう長年求め、17年度からは財源が政令市に移譲され、給与も負担することが決まっている。

     府と市の教育委員会によると、京都市の教職員は約7千人で、14年度決算では給与費は599億円。このうち国庫負担金を除く466億円を府が負担した。今後は市が新たな財源や地方交付税でまかなうことになる。

     一方、府教委は小学3〜6年で30人程度の学級編成を可能にするなど「京都式少人数教育」を行うため、国の基準を超える教員を配置してきた。こうした加配分の給与費は京都市内で7億円に上るが、移譲される財源には含まれていない。

     市教委は7億円について「新たな市民負担になる」と自ら負担することには慎重で、「府全体の教育水準は均一であるべき」と、引き続き市内の加配分も府が持つよう要望。一方、府教委は、給与は政令市の負担と明確に決まったため「経費の負担区分を乱してはならないとする地方財政法に抵触する恐れがある」と主張する。 .

     5月から両教委の担当者同士で協議をしてきたが、まとまらず、この日の懇談会で門川市長があらためて府の継続負担を求めた。山田知事は「難しい問題だ」と述べた上で、全国的に同様の問題が今後明らかになるとみられることから、全国知事会と指定都市市長会による調整を提案した。


    府市どちらが経費負担をするかは、本来国が30人学級への定数改善を行えば問題はなくなるはず。ただ、他市と府県の関係はいざしらず、これまでの経緯を考えれば、府が主張することは理解できる。


    9月9日 府教委調査 「いじめ受けた」12%

     京都府教育委員会は8日、京都市を除く府内の公立小中高校と特別支援学校を対象に独自に行っているいじめ調査の本年度1学期分 の結果を発表した。重大な事案は精華町の中学校で1件あり、現在も解消されていないという。いじめを受けたと報告した全体人数は回答した児童・生徒の12・4%にあたる1万6610人で、昨年度に比べて1割程度増えた。

     精華町教委によると、被害者の中学生は複数の生徒に無視され、心身の不調で医療機関に通院。学校も休みがちになり、1学期の欠席日数が重大事案の目安となる30日を超えたという。生徒の学年や性別、校名は明らかにしていない。

     町教委は「保護者の話では生徒の状態は改善に向かっている。今後も解消に努める」と説明した。

     調査では、被害の程度を3段階に分けており、最も軽微な段階が1万5530人と大半を占めた。特に小学校が1万3603人と昨年1学期に比べて13・8%増えた。府教委学校教育課は「いじめを早期発見するため、きめ細かく拾い上げた結果」としている。

     内容(複数回答)は、からかいや悪口などが9786件と最も多く、軽い暴力が4490件で続いた。

     府教委は、国が義務づける年1回のいじめ調査と別に1、2学期に独自調査を実施している。



    9月6日 取り消し撤回訴訟 控訴審でも敗訴

     県教育委員会の教員採用汚職を巡り、「不正合格者」として採用を取り消された男性(38)が処分の撤回を求めて大分地裁で勝訴(昨年2月)した裁判の控訴審で、福岡高裁は県側の主張を再び退けた。工藤利明・県教育長は5日の判決後、記者団に対して「まだ判決の骨子しか見ていない」としながらも、「取り消し処分を違法と判断されたのは遺憾だ。今後は判決を十分に読んで判断したい」と話し、9日の教育委員会会議で対応を協議する考えを示した。

     また、「事件の全容解明に向けた県教委の努力が不十分」との批判が出ていることに関しては「権限と責任の下でしっかり調査し、報告書を公表した」と説明。再調査は行わない方針を改めて強調した。

     この事件を巡っては採用を取り消された別の男性(30)も提訴したが、今年1月に大分地裁が採用取り消しを「やむを得ない」として男性の撤回請求を棄却。二つの1審判決が「ねじれ」の状態になったため、今回の控訴審で高裁の判断が注目されていた。【池内敬芳】 (毎日新聞)



    9月1日 府教委 部活支援へ専門職員

     京都府教育委員会は31日、学校の部活動を支援する専門職員を2017年度から配置する方針を明らかにした。指導力の向上や多忙な教員の負担軽減に結びつける狙い。学校組織を強化する行動計画に盛り込み、人員を順次拡充する。

     学識者らでつくる「学校の組織力向上プラン検討会議」に、同プランの中間案として提示した。

     配置するのは、国が17年度に制度を創設する「部活動指導員(仮称)」。教員に代わり部活の指導や部員の引率を担う非常勤職員で、公務員の身分とする。任用に際しては指導技術などの研修を受けさせる。

     府教委の調査によると、顧問を務める部活の競技経験がない教員は中学校で半数近く、高校で4割近くに上り、3人に1人が指導に「自信がない」と回答。休日の練習指導や大会への引率が教員の負担になっている面もあるため、府教委は部活動指導員の配置を多忙化対策の一つに位置づける。

     一方、検討会議の委員からは「中途半端な立場で本当に指導できるのか」「教員の増員こそ本来の対策では」と疑問も示された。

     中間案では、スクール力ウンセラーやスクールソーシャルワーカーら専門職員の増員、特別支援教育の充実なども打ち出した。10月 上旬から府教委のホームページで公開し、一般の意見を受け付ける。


    教員の多忙化解消に向けての一つの手立てではある。のだが、部活動のありかた(オリンピックの金メダル至上主義)を再検討されなければ、非常勤職員の身分とされる「指導員」が新たな無定量労働の対象となる可能性がある。また、このことで部活動に従事している教員だけが「多忙」だとされる事に危惧を感じる。行政は最低でも正確な教職員の労時間把握の具体的な対策を急がなければならない。