2014年度の全国学力テストで、城陽市のNPO法人「行政監視機構」が同市に対し、小中学校別の成績などを開示するよう求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は28日、一審京都地裁判決を変更、学校別の成績の開示を認めなかった。 2月の一審京都地裁は、城陽市に学校別の平均正答数などを開示するよう命じたが、大阪高裁の田川直之裁判長は判決理由で「何の 配慮もなしに公表された場合には数値が独り歩きする。学校が格付けされ、過度の競争が生じる具体的な可能性がある」と指摘した。 城陽市が「学校間の序列化が生まれる」などとして控訴していた。判決については「書面が届いておらずコメントは控えたい」としている。 |
障害がある生徒の就労を後押しするため、京都府教育委員会は来年度から、実技試験に基づく独自の検定制度を導入する。できる作用が増えたことを評価する仕組みで、本年度は「清掃検定」を試行した。 就労に向けた教育の技能を競う大会としてアビリンピック(高齢・障害・求職者雇用支援機構主催)があ レベルが高く、22種目に出場できるのはごく限られた生徒のみだ。府教委は1〜10級に分けた独自検定制度で、生徒の技能を企業に示しやすくし、生徒の意欲向上を狙う。 「できない」といった観点ではなく、希望者を対象に、できた頃目数が増えるほど級が高くなる仕組み。11月に府内の特別支援学校6校が参加した「清掃検定」では「雑巾やモップを安全に扱えるか」「壁にあてずにほうきで掃けるか」など35項目に生徒が挑んだ。 職業学科を来年度に新設する城陽支援学校(城陽市)では2年生17人が受検。3級だった越智涼太さん(17)は「思ったより厳しい評価だったが、練習の成果が出せた。上級を目指して来年も受けたい」と話す。 府教委はほかに、「接客検定」や「パソコン実技検定」などの導入を鹸討している。特別支援教育課は「企業と連携しながら、検定内容を決め、認知度、信用度を上げたい」としている。 ![]() |
電通の過労自殺問題で、政府は悪質な企業名公表などの社会的制裁を強めた長時間労働緊急対策をまとめた。「上」からの締め付けを優先させた背景には、働き方改革の成果がなかなか見えない現状への焦りがある。ムチを強めるだけで過労死ゼロの目標は近づくのか。遺族からは「企業と働き手の意識を変える取り組みこそ必要」と指摘する声が上がっている。 「省を挙げ、見せかけでない改革をする必要がある」。26日、厚生労働省幹部を集めた会議で、塩崎恭久厚労相がげきを飛ばした。 電通の新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺が注目を集めたのは10月。政府の働き方改革実現会議の議論が進む最中だ った。厚労省は事態を重く受け止め緊急対策策定に着手した。 スピード重視 今回まとめた対策は、企業にサービス残業をなくすための調査を行う責務を負わせ、過労死が発生した場合に企業名を公表するなど、厳しい内容にも映る。 ただ、企業名公表については@違法な残業による過労死・過労自殺が複数の事業所で確認された場合A過労死・過労自殺が1件だけでも他の事業所で違法な残業が確認された場合―などのただし書きが多く、実効性には疑問符が付く。 厚労省の担当者は「法改正には時間がかかるため、行政の運用で何かできないか検討した」とスピード重視だったことを明かす。 少しずつ変化 立ち入り調査など行政による「積極的関与」の効果が露骨に表れたのが他でもない電通だ。10月下旬からは、深夜残業をなくすため午後10時から東京・汐留の本社ビルを全館消灯にした。 消灯はあくまで表面上の変化だが「『何となく、帰らずに職場にいなければ』というプレッシャーがなくなった」(女性社員)と意識の変化も見え始めているという。 もっとも企業の間では「仕事の内容や時期によっては長時間働かなくてはならない」(日用品メーカー)など、働き過ぎを必要悪として容認する声がまだ根強い。強制捜査などの荒療治以外で長時間労働解消を目指すには、地道な取り組みが必要なようだ。 ある大手化学メーカーは昨年からフレックスタイム制を導入。残業する際には、上司への事前報告を求めるようにした。担当者は「導入前と比べ、残業を抑える雰囲気が広がった」と話す。 絵に描いた餅 終業と始業との間に、11時間など一定時間の休息取得を義務付ける勤務間インターバル規制も長時間労働の抑制策として注目されている。欧州では既に導入されているが、国内では経営者側から「業務に支障が出る」との異論があり、導入企業はまだ少数。今後の広がりも見通せない。 労働問題に詳しい棗一郎弁護土は、過労死防止にはこのインターバル規制と残業時間の上限設定がセットで必要だと主張する。緊急対策への評価は「過労死や過労自殺を予防するための具体的な対策が書かれていない。これで過労死が防げるのか極めて疑問だ」と辛口だ。 夫を過労自殺で亡くした「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表(67)は「働き過ぎを改め、過労死をなくそうという意識がなければ、絵に描いた餅。労使間で労働時間の見直しを進め、意識をもっと高めていくべきだ」とくぎを刺した。 ![]() |
京都市教育委員会は、右京区京北地域の全4小中学校を統合して2020年度の開校を目指している小中一貫校の校舎イメージ図案を、21日にあった市議会教育福祉委員会で示した。住民が会合などを開く際に使える図書室を玄関口近くに設けるなど使いやすい配置にしているという。 京北地域の住民や3保育所、4小中学校の保護者らでつくる小中一貫教育校検討協議会の施設整備検討部会が9月以降、計4回議論してきた。ほかにも、児童が気軽に体を動かせるよるにサブグラウンドも設け、教室は校舎の南側に配置して開放感を持たせている。住民らから寄せられる意見を受け、修正を加える。 協議会では今後、バス通学や通学路の安全についても考える。市教委ではこれまでの議論の摘録を公開する予定で、来年1月下旬〜2月上旬には住民対象の説明会を開く。この日の委員会では「内容を住民にしっかり説明してほしい」「学校がなくなる地域の振興について住民の声を十分聞いてほしい」などの意見も出された。 ![]() |
中教審が21日、答申した次期学習指導要領の改定案には、小学校での英語教育の充実や、高校で「公共」の新設などが盛り込まれて いる。京都府内の各教育委員会も、教員の指導力向上や授業時間数の確保について今後、対応を迫られることになる。 南丹市教委は英語教育について2018年度から先行実施する計画だ。現在は、拠点の2小で、英語活動を1・2年で2週に1回程度、3・4年で週1時間、英語科を5・6年で週2時間実施している。基本は担任が教えるが、加配の教員や中学教員が補助に入り、担任の指導力向上を図っている。 授業時間数は特例で、総合的な学習の時間を活用している。18年度からは、週の授業時間を1こま純増するか、土瞳日を活用するかなどを想定しているが、学校によって校区の広さなどが異なるため、一律には決めないという。市教委は「子どもの負担は今より増えるが、英語教育を充実させていく」としている。 高校の「公共」では、京都府教委が、新設を見据え、15年3月に「法やルールに関する教育」を学ぶハンドブックを作成。翌月から、公民や総合学習で実施している。主権者教育に関する手引きも作った。「文科省の方針を見て、今後も検討を進める」としている。 京都市教委は、18年度から小・中学校で全面的に次期指導要領を先行実施する方針だが、具体的な進め方については今後検討していく。高校については、「歴史総合」などで横断的に教える指導力を育成するため、研修を実施する予定という。 ![]() |
中教審(北山禎介会長)は21日、小中高校で2020年度から順次全面実施する次期学習指導要領の改定案を松野博一文部科学相に答申した。高校では18歳以上への選挙権年齢引き下げを受け、公民に必修科目「公共」を新設するなど大幅再編。小学校は5、6年で英語を教科化し、中学校の英語の授業は原則英語で行う。小中学校は18年度からの移行期間中、各校の判断で次期指導要領を全て、または一部を先行実施できるとした。 答申を受け、文科相は小中学校の指導要領を16年度中、高校の指導要領を17年度に告示する。移行期間中に先行実施せず、現行指導 要領で学ぶ小中学校向けに、最低限の追加学習内容も17年度に告示し、円滑な全面実施につなげる。全面実施は小学校が20年度、中学校が21年度で、高校は22年度の新入生から学年ごとに順次実施する予定。 答申は「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」などの視点で指導要領を見直すべきだと指摘。育成する力の明示や、児童生徒が主体的に授業に参加する「アクティブ・ラーニング」の全教科での導入を求めた。 高校の「公共」は政治参加や労働問題を取り上げる。日本と世界の近現代史が中心の「歴史総合」と国際理解や防災などを扱う「地理総合」の必修科目を地理歴史に新設し、国語や外国語の科目も再編する。20年度から大学入試センター試験に替わる新テストなど、大学入試と高校教育を一体的に改革することが「成功の鍵」とした。小学校は英語の「聞く・話す」が中心の外国語活動を5、6年で週1こま(45分)実施しているが3、4年に前倒しする。5、6年の英語は週2こまで、教科書を使い「読む・書く」の要素も学び、成績を評価する。移行期間中に使う新教材を早く示すべきだとした。 他教科の学習内容や授業時間数は削減せず、3〜6年は英語と外国語活動で週1こま増となる。英語を10〜15分の短時間学習で実施するなど弾力的な時間割編成を求めたが、各校は対応に苦慮しそうだ。文科省は「16年度中に工夫例を示す」としている。 次期指導要領の実施に向け、教職員定数の拡充など環境整備が重要だとした。
小学校で教科化される英語について、移行期間中の対応や教員研修の在り方などに、細かく言及した点は評価できる。教科化がうまくいけば、小学校から高校まで、全体的な英語力の底上げにつながるだろう。ただ、既に先行して積極的に英語に取り組んでいる小学校と、そうでない学校との差は確実に出ている。全面実施に向けてこうした差を埋めるには、教員が前向きに取り組むことが重要だ。 中教審の答申で2022年度から高校の「現代社会」がなくなり、新たな必修科目「公共」が加わることになった。主体的な社会参加を促す主権者教育に重点を置くが、「国家の形成者を育む」との目標には、人材育成に期待する経済界の意向もにじむ。教育関係者からは「個人や人権を尊重する姿義が弱まる恐れがある」と心配する声が上がっている。 「規範意識や社会のルール、マナーなどを学ぶ道徳教育や消費者教育等の推進を図る」。12年衆院選の自民党政策集に、「公共」創設の目的が書き込まれた。文教族議員のプロジェクトチームも13年の提言で「責任ある行動がとれない若者が多い」と指摘。安倍政権が小中学校の道徳教育重視を鮮明にする中、「高校生向け道徳」ともいえる新科目の原案が固まっていった。 だが、14年以降の国民投票法改正や公選法改正で、18歳の高校生でも投票できるように制度が変わると、多くの教育関係者が「現実の政治課題を学校で扱う機会が少なすぎる」と問題提起。この弱点をカバーするため新科目では主権者教育の充実が優先されるべきだとの声が強まり、中教審の議論でも道徳的な色合いは薄まっていった。 文部科学省内でも「高校では規範意識より、個人が社会にどう関わるかを重視する」(同省幹部)という意見が主流に。ある中教審委員は「答申に『規範を教え込む』という視点はあまりない。文科省が議論の流れをつくってバランスを取った」と振り返る。 21日にまとまった答申は、公共の目標を「自立した主体として他者と協働しつつ国家・社会の形成に参画する」と表現した。文科省は入試対策で語句の暗記中心に陥りがちだった過去の反省から、世論形成や地方自治、経済や労働の問題、国際協力などを考える授業にしたい意向だ。 兵庫県上郡町の県立上郡高校は11年度から独自に「公共」の授業を設け、現在は「社会人基礎」と名称を変えて継続している。1、2年生が自分の意見を発表する方法を学んで企業での就業体験も実施し、3年で町おこしのために具体的に何ができるのかを話し合う。 あるグループは、地元の城跡や川をドローンで空撮し、動画サイトに投箱ずる観光振興策を計画。必要な予算も調べ、現実的なプランとして年明けに町役場に提言する。 指導する松崎和則講師(61)は「地域に溶け込む喜びを知り、手話などボランティアに参加する生徒が増えた」と話す。経済産業省は06年、「前に踏み出す力」や「チームで働く力」なとが仕事に必要な「社会人基礎力」だと提唱した。新科目が求めている資質や能力にはこれと重なる部 分が多い。 中教審では「グローバル化が進み、労働力の質の向上と量の拡大が求められている」との意見も出た。元聖心女子大教授の鶴田敦子さん(73)は「公共は企業が期待する能力育成の側面が強い。企業がすべき人材育成を、どこまで学校に担わせるかという議論が足りない」と指摘する。 また、政治経済の基礎を教える「現代社会」の廃止で、憲法や人権とは何かを学ぶ機会が減ることを心配する現役教員もいる。教員のかじ取り次第で多様な展開が可能になる新科目。千葉県の高校教諭は「社会に人権侵害がないか、現状にどんな問題があるのか考えていくのが重要。解決のために社会を変えていける主権者を育てる授業にしたい」と展望を語った。 ![]() |
通常学級に在籍している発達障害のある児童生徒らが一部授業を受ける「通級指導」の担当教員について、政府は19日、公立小中学校で対象の児童生徒13人につき教員1人を充てる算定基準を決めた。現状より増員となる。文部科学省は、基準を盛り込んだ義務教育標準法の改正案を来年の通常国会に提出する。 教職員定数は児童生徒数などに応じて決まる「基礎定数」と、現場の課題に応じて各学校に配置される「加配定数」からなる。通級指導担当教員は、加配定数の枠組みで配置されているが、毎年度の予算折衝で人数が決まるため、計画的な配置が難しく、年々増える対象者に対し、教員が不足していた。 問題解消のため、政府は2017年度から、担当教員を加配定数から基礎定数の枠組みに移すことを決定。松野博一文科相と麻生太郎財務相が19日の折衝で算定基準に合意した。 16年度の担当教員は5775人で、児童生徒16・5人につき教員1人の割合だった。児童生徒13人に教員1人という新たな基準などにより、17年度は担当教員が6377人となる。 また、同じく加配定数から基礎定数の枠組みに移す、日本語指導が必要な外国人児童生徒の担当教員の算定基準は、児童生徒18人に対し教員1人と決めた。21・5人に1人の割合だった16年度より47人増える。 ![]() |
貧困状態にある家庭だけでなく、高所得世帯の子どもも、標準的な所得の家庭に比べて不安を感じている割合が高い 。こんな調査結果を日本医科大の可知悠子助教らの研究チームがまとめた。 調査によると、世帯の所得が高い場合には学業にストレスを感じる傾向が強い。可知助教は「貧困が子どもの心に影響することは想定しやすいが、高所得の子どもも勉強のプレッシャーなどがあり、見逃さないようにすべきだ」と指摘。世帯の所得に応じた子どもへの支援が必要だとしている。 調査は2007、10、13年の3年分の国民生活基礎調査に参加した12〜18歳、計9491人のデータを分析した。 調査では、子どもを世帯の所得水準によって五つの層に区切った。質問票の記入内容から、不安を抱えていると判定した子どもの割合を各層で比較。所得が真ん中の層にいる不安な子どもの割合を1とすると、最も低い貧困層は1・6倍、最も所得が高い層は1・3倍だった。 ストレスを感じていると答えた子どもは全体で41%。原因を聞くと、人間関係や家庭の経済状況を挙げる割合が貧困層で最も高かった。一方、学業が原因としたのは高所得層が75%と最も高い割合だった。 ![]() |
京都府内の公立校の小5、中2の男女とも体力合計点が全国平均を下回り、特に小5女子は全国平均より1・7ポイントも低かった。府 教育委員会は「大きな課題があると受け止めている」としている。 競技別では、小5で敏しょう性を測る反復横跳びで全国平均を50(T得点)とすると、男子で47・1、女子で46・4と大きく下回った。握力は男女とも1ポイント以上低かった。中2では握力と柔軟性を測る長座体前屈が、男女とも1ポイント以上下回った。 一方50メートル走は小中とも全国平均を上回り、中2では男女とも、20メートルシャトルランも合わせて1ポイント以上高く、走力と持久力に優れいた。 保健体育課は「具体的運動法を各学校に示し、善につなげたい」としてる。 |
政府は15日、私立小中学校に通う子どもがいる年収400万円未満の世帯の授業料負担を軽減するため、2017年度から年10万円を支給することを決めた。対象は小学生約2千人、中学生約9千人の計約1万1千人を見込んでいる。低所得世帯への効果的な経済支援を検討する実証事業として、17年度予算案に約12億円を盛り込む。 政府保護者が学校側に申請し、授業料と相殺する。私立校は年収が比較的高い世帯の子どもが通うケースが多いが、地元の公立校でいじめを受けて転校したり、宗教上の事情で入学したりするケースもある。 また経済的理由で中途退学する子どもも少なくないため、文部科学省は私立校に進学した理由や経済的支援の効果を分析して今後の負担軽減策に生かす方針。 文科省によると、私立校の平均年間授業料は、小学校約43万円、中学校約41万円。全国の私立小学生約7万8千人のうち、年収40 0万円未満世帯の子どもが占める割合は3・4%、私立中学生約25万人のうちでは4・1%と推計している。 子どもが私立高校に通う低所得世帯に対しては、年収に応じて就学支援金を加算している。 ![]() |
正社員と非正規労働者の不合理な待遇の格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現のため、政府が作成した指針案が15日判明した。通勤手当や出張旅費、食事手当、慶弔休暇は非正規を対象外とする格差を認めず、正社員と「同一の支給をしなければならない」と明記。基本給やボーナスは仕事を進める能力や成果などが同じなら同水準の支給を原則とし、職業経験や成果に応じて支給内容に差を設けることも容認した。 非正規の待遇を巡っては、正社員との給与で差のほか手当や福利厚生で大きな差がある。手当や福利厚生に関して企業側は具体的な改善を迫られそうだが、基本給などは正社員との差を容認しているため、どの程度格差是正につながるかは見通せない。 政府は20日に開く働き方改革実現会議で指針案を示す。早ければ来年の臨時国会に関連法改正案を提出する方針で、指針は法改正後に施行される。 厚生労働省の調査では、通勤手当を正社員に支給している事業所の割合は85・6%で、パートへの支給は65・1%で、慶弔休暇があるのは正社員が82・7%に対し、パートは42・2%にとどまる。 指針案は「基本給」「手当」「福利厚生」「教育訓練」などについて、それぞれの原則を明記した。 深夜・休日手当や時間外労働手当に加え、休暇や施設利用などの福利厚生も正社員と同一にするよう促した。一方で基本給やボーナスは、能力や業績への貢献、勤続年数が同じなら正社員と同水準の支給を原則とした。ただ経験や成果に違いがあるなら「相違に応じて支給」とし差を設けることを許容した。 派遣労働者の待遇は、派遣先の企業で同じ仕事をしている社員と同じにするべきだと示した。労働者側は、待遇の差がある場合の立証や説明を企業側に義務付けるよう求めていたが今回の指針案では触れなかった。 ![]() |
スポーツ庁は15日、初めて全国全ての中学校と2年生を対象に部活動の状況を聞いた調査結果を公表した。決まりとして部活休養日を遮1日設けている学校が64・2%で最も多く、設けていない学校は22・4%だった。週2日は14・1%、週3日以上は2・9%。運動部に所属する生徒の1週間の平協活動時間は男子935・1分、女子948・6分で15時間を超え、4割を土日の活動が占めた。 運動部活動はスポーツに親しむなど教育的意義が高い一方、過度な運動や顧問の教員の負担が課題。多くの中学校が土日も部活をしている状況が明らかになり、専門家から「もっと休養が必要だ」との指摘が出ている。 文部科学省の省内チームは今年6月、「行き過ぎた活動は弊害を生む」と指摘する報告をまとめている。同省とスポーツ庁は、今回の結果や活動の具体的内容の追加調査などを踏まえ、休養日設定のガイドラインを策定したい考え。 運動部の1週間の平均活動時間は、休養日が週3日以上の学校では男女とも510分台だが、週1日では男女とも960分合と7時間以上多い。 中学校の学習指導要領で「学校教育の一環」と位置付けられる部活動。中でも運動部の活動は体力増進のほか、友だちづくりや精神 力、協調性の向上も促すとして、生徒や教員だけでなく、保護者の支持も根強い。一方、成長期での過度な運動や、教員の負担が課題として指摘されてきた。 1996年の文部省(当時)の抽出調査では、身体の使いすぎでどこかを痛めるスポーツ障害により、1週間以上練習を休んだ中学生の運動部員が12・6%いた。 同省の専門家会議は97年の報告で、けがの予防やバランスの取れた生活の確保の観点などから、一例として週2日以上の休養日を設定するとの考え方を示したが、今回の調査結果では週2日以上の学校は17・0%にとどまった。 教員の負担も重い。土日にある試合の引率や運営は、主に顧問の教員が務め、手当も乏しい。今回の調査では、教員全員が顧問に当たるとする学校が大半を占めたが、自身に経験のない運動種目の顧問になるケースも多く、ミスマッチの解消が課題だ。 週2日以上休養を 名古屋大の内田良准教授(教育社会学)の話 国による全国調査で、中学校部活動の実態の一片が明らかになった意義は大きい。土日も多くの学校で休んでいないという結果は予想通りで、9割近い学校で教員全員が部活動の顧問に当たっているのも問題だ。本来、部活動は自主的に指導するものなのに、ほとんど義務になってしまっている。部活動は子どもにスポーツや文化に触れる機会を保障する貴重な仕組みだが、あまり過熱するのはどうか。週2日以上の休養日を設ければ生徒も教員もより意欲を持って取り組めるはずで、外部の人材を招く予算も少なく済むだろう。 スポーツ庁が15日公表した中学校部活動の状況に関する調査結果で、京都府内で部活動の休養日を週1日以上設けている中学校は回答した110校のうち66・3%にあたる73校だった。部活動の顧問は全教員が当たることを原則としている学校は95・5%だった。 文科省が今年5月に行った別の調査では、府内の24市町・広域連合教育委員会のうち、定期的に休養日を設けているのは、京都市、向日市、綾部市、与謝野町教委の4教委にとどまり、今回も府内の半数近くの学校が回答しなかった。このため、部活動の休養日の設定に関して府全体の状況を反映しているかは不透明だ。 ただ、京都府、京都市両委員会とも休養日の重要性を認識しており、京都市教委では教員の負担軽減などのため、今年3月、週1回「ノー部活デー」を設けるよう全校に通知した。外部指導者の活用も進めており、本年度はのべ120人が指導にあたり、昨年度より倍増した。 府教委は、休養日の意義について強調するため、部活動に関するハンドブックの改訂作業を進めている。 ![]() |
東京電力福島第1原発事故による京都府内への避難者ら58世帯が東電と国に損害賠償を求めた集団訴訟の第20回口頭弁論が14日、京都地裁(浅見宣義裁判長)であり、原告4人の本人尋問が行われた。原告は家族と別居を強いられる避難生活の葛藤や、避難先の京都 で子どもが受けたいじめを吐露した。 同訴訟で原告の本人尋問は初めてで、地裁は全世帯への本人尋問を行う予定。 福島県南相馬市から木津川市に避難している福島敦子さん(44)と、福島市から宇治市に避難している菅野千景さん(51)は、子どもの受けたいじめについて言及した。 福島さんは次女が小学校と中学校で「福島原発」と呼ばれてからかわれ、菅野さんも次女が小学校で「福島弁でしゃべってみろ」などと同級生らに何回か蹴られたという経験を語った。いずれも学校などが適切に対応したという。 茨城県北茨城市から京都市に子ども2人と避難している川崎安弥子さん(49)と、妻子が山科区に避難し自身は仕事のため福島市で 暮らす吉野裕之さん(48)は、原発によって家族が分断され、一緒に暮らすことがかなわない悲しみを伝えた。 弁論終了後、中京区で記者会見した原告4人は、原発事故が風化する懸念や賠償問題での東電の姿勢などを批判。福島さんは「命と 本気で向き合ってほしい」と訴えた。 ![]() |
学校の運動部の指導に外部人材の活用を進めて質を向上させるため、スポーツ指導者の新たな国家資格制度を創設する構想が浮上していることが12日、関係者の話で分かった。実現すれば、教員の負担増や少子化が問題となつている中学校や高校の部活動が、民間クラブのコーチの参加促進によって活性化することが期待される。制度が定着すれば、現役を引退したトップ選手が資格を取得して指導できるとの声も出ている。 今後、自民党が2020年東京五輪を見据えた国民のスポーツ振興策の一つとして法整備の検討に入り、来秋にも議員立法で「地域スポーツ活性化法案(仮称)」として国会提出を目指す。 運動部の活動では、競技の専門知識を持たない教員が顧問を務めるケースが多く、教員の長時間労働の原因にもなっている。こうした状況を解決するため、資格制度の制定構想が浮上。住民が主体となって運営する「総合型地域スポーツクラブ」や、学校近隣にある水泳や体操などの民間スポーツクラブの指導者を想定し、公的な資格を与えることで指導力や責任が明確になり、保護者の安心感にもつながることが期待される。学校の部活動は少子化の影響で行き詰まるケースが目立つため、学校単位の活動から脱却し、総合型クラブを実質的な活動の拠点とすることも検討される。 自民党のスポーツ立国調査会は14日に小委員会を立ち上げ、年明けから本格的な議論に入る。 教育の視点忘れず 教育評論家の尾木直樹法政大教授の話 国際的な調査でも日本の中学校教員の労働時間は多いとされ、特に部活動は断トツの状況にある。保護者対応や授業準備の時間が割かれ、メスを入れなければいけない問題だ。資格制度は負担軽減につながり、賛成したい。ただ、金メダリストであればいい指導者かといえばそうではない。安全対策を含め、生徒との付き合い方を身に付けさせるような研修の実施は不可欠。部活動は教育の一環という視点を忘れてはいけない。 部活動活性化のための新たな国家資格制定の構想が浮上した背景には、専門知識や技術を持ったスポーツ指導者不足が深刻化している現状がある。 日本体協が2014年に全国の中学校600校、高校400校を対象に実施した実態調査によると、担当教科が保健体育以外で、競技経験がない部の指導を担当している教員の割合は、中学校で45・9%、高校で40・9%に上った。このうち4割近くの教員が「自分自身の専門的指導力の不足」を認識している。 教員以外の外部の指導者の導入は依然、進んでいない。学校側にとっては人材確保や財源などがハードルとなっているほか、保護者 が安全管理や責任体制に不安を感じるといった問題もある。 文部科学省も中教審の答申も踏まえ、教員の負担軽減策として外部指導者の制度化に取り組む方針を打ち出しており、自民党での議 論とともに今後の対応が注目される。 ![]() |
国としての同和対策事業が2002年に終了してから14年。部落差別について議論する機会が少なくなる中、滋賀県湖東地域のある小学校区では、学校や地域で子どもたちに工夫を重ねながら差別の歴史を正面から教え続けている。長年続く取り組みを取材した。 ■草履作り、体験談を聞く合宿 10月初旬、この学校の5年生と保護者が授業を兼ねたPTAの親子活動で、校区内にある隣保館が前身の交流施設を訪れた。この日の先生は70〜90代の女性13人。貧しかったこの地域の女性たちが家計を助けるため昭和の中頃まで作ったという竹皮の草履作りを体験した。 校長は冒頭、「差別にあらがって生きてきた一端を学んでもらい、差別を許さない児童を育成できれば」とあいさつ。施設長が「当時は男は土木関係の肉体労働をし、女の人は草履を作ってお金や食べ物と換えていた」と説明した。 参加した親子はおばあさんたちを手本に草履を編んでいった。この地域は田んぼが少なくわらが手に入らないことから、竹林で集めた竹の皮を草履の材料にしたという。講師の女性(82)は「中学卒業までは学校から帰ってから母親を手伝い草履を作った」と振り返った。 かつての同和地区とそうでない地域が校区内に混在するこの小学校では、3〜6年生が地域の歴史を題材に部落差別について総合学習で学ぶ。同小を長年知る教頭によると、草履作りを通じた学習は20年ほど前から全児童を対象に行っている。 さらに、同小の教職員十数人や住民でつくる任意団体「子どもを守り育てる会」は毎年、5、6年生と中学3年生を対象に「部落解放合宿」を開く。合宿は学校行事でなく自由参加だが、6年生には全員に声をかけ、事前に保護者説明会を開いて開催の意図を知ってもらうという。 11月にあった1泊2日の6年生の合宿では国の同和対策事業で設置された公園や、解放運動を指導した地元出身議員の銅像などを子どもたちが訪ね歩くフィールドワークを行った。被差別部落を攻撃する言葉が書かれた「差別はがき」を03年に自宅に送りつけられた男性の体験談も聞いた。 ■「ちゃんと知ってほしい」 障害者差別や学校でのいじめ問題など、人権問題全般についても劇やグループ討論を通して考えた。今年の合宿に参加した子どもたちは「今も差別が残っていると知り怖くなった」「しんどくなった時に自分より下だと思う人を見つけて安心する気持ちがいけない」と感想文に記した。 合宿の指導者には、地元出身の高校生や20代の若者もいる。小学校教諭の女性(27)は大人になってから、飲み会の席で同世代の知人が被差別部落をおとしめる言葉を遊び半分に使う場面に出合い、ショックを受けた。体験を話し「何げない言葉の中に差別的な要素があり、傷つく人がいることを知って」と児童らに訴えた。 差別解消の施策を講じる責務を国や自治体に課す部落差別解消推進法案が11月17日に衆院を通過した。差別解消のため「教育や啓発に努めること」とする一方で「現在も部落差別が存在する」「部落差別の実態調査を行う」と明記しており、かえって差別を固定化するとの批判もある。この小学校の教頭は「部落差別についてあえて教えない方がよいのでは、という意見の保護者もゼロではない」としつつ「間違った知識を覚えるくらいならちゃんと知ってほしい。障害者や外国人への差別などと共通する部分があり、学習は子どもたちが『自分は差別をしていないか』と問う力になっていると思う」と話す。 |
経済協力開発機構(OECD)は6日、72力国・地域の15歳約54万人が参加した2015年の「生徒の学習到達度調査」(PISA)結果を発表した。日本の高校1年生は科学的応用力が2位、数学的応用力が5位で、前回12年調査からさらに順位を上げ、トップレベルを維持。逆に読解力は平均得点が22点下がり、順位も4位から8位に落ちた。 算数・数学、理科を中心に学習内容を増やした現行学習指導要領は、今回参加した生徒が小学4年の時に一部先行実施、6年で完全 実施された。文部科学省は、科学と数学の好成績を「指導要領に加え、実験や観察に力を注いだ授業の効果が大きい」と分析している。 今年11月に結果が公表された国際教育到達度評価学会の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)でも日本は小中学生の平均得点 が上がっており、理数系学力の上昇傾向が改めて裏付けられた。 PISAは今回から一部の国・地域を除き、筆記からコンピューターを使って出題、解答する形式に移行。文科省は読解力低下を「読み取りに手間取ったのが一因の可能性がある」とみているほか、読書量や新聞を読む機会が減り、長文に触れることが少なくなった影響も考えられるとした。 科学的応用力と数学的応用力は、状況に合わせて知識を活用し、課題を理解、解決する力を、読解力は文章やグラフから必要な情報 を読み取り、説明する力をみる。 日本は198校、約6600人が参加。科学的応用力の平均点は538点(前回547点)で順位は4位から2位に上昇。数学的応用力は632点 (同536点)で7位から5位に上がった。読解力は516点(同538点)で22点下がった。 3分野のうち、今回は科学的応用力を詳細に分析した。「科学が将来自分の就きたい仕事で役立つ」と考える割合は61%。比較可能な06年調査と比べは15ポイント近く伸びたが、OECD平均の69%には届かなかった。「科学は楽しい」「科学に関する雑誌や新聞の記事を読む」などの項目もOECD平均を下回った。 中国のようなOECD非加盟国には地域単位の参加も認めている。 経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)で、日本の子どもたちは科学、数学の分野と比べ、読解を苦手とすることがあらためて明確になった。2003年調査で大幅に読解力が低下した「PISAショック」以降、文部科学省は文学偏重の国語教育を転換してきたが、期待したほどの効果は上がっていない。真の課題はどこに潜んでいるのか。 「下がったというよりも、今回ぐらいのレベルが日本の読解力の実力なのだろう」。文科省幹部の受け止め方は、意外なほど冷静だった。順位低下とはいえ、点数だけ見れば国際的に上位に位置した00年、09年の調査と同程度だったからだ。 00年調査で522点だった読解力は03年、06年にOECD平均レベルの498点まで急落。国は向上プロクラムや言語活動の充実を打ち出し、09年520点、12年538点とV字回復させた。 PISAの読解力問題では図表が多用され、文章以外にもさまざまな資料から情報を諦み取り、表現することが求められる。文科省は対策として、子どもが不慣れな問題形式に対応できるように、同種の資料を授業で使うよう促し、全国学力テストでも出題してきた。 ある幹部は「対症療法的ではあったが、子どもたちが出題パターンに慣れ、成績向上にはつながった」と振り返る。 日本の国語教育は伝統的に「文章を正確に理解する力」を読解力と解釈してきた。中学の国語教員だった横浜市立上星川小の清見克明校長は「主人公の心情把握に力点を置いた文学鑑賞型の授業が育成の中心で、対象となるのは文字情報だけだった」と指摘する。 文科省はPISAショック以降、論理的思考力や言語運用能力を育成するため、狙いを文学偏重の改善に定め、国語の教科書には多様な題材が登場するようになった。 しかし、郡千寿子弘前大副学長(日本語学)は「PISAの読解力は国語の枠に収まるものではなく、むしろ他教科や実生活の中で育成するもの。国語ではむしろ文章を読む技術を教えるべきだ」と主張。この間の国語に特化した読解力育成の方向性に、疑問を投げ掛ける識者は少なくない。 付け焼き刃ではない育成方法はあるのか。数理論理学の視点から課題を探る動きもある。人工知能の研究で知られる国立情報学研究所の新井紀子教授は、読解を複数のプロセスに分け、中高生が解答の過程でつまずく箇所を把握 ためのテストに取り組でいる。 テストでは「語の係り受け」や「指示語の対象を把握する」などの文章の表面的な理解ができていない中学生が2割程度おり、PISAのように文章とグラフを対応させる問題ではさらに正答率が低かった。 例えば「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ以外の出身であるが、その出身国を見るとドミニカが最も多く35%」という文章に合致する円グラフを選ぶ問題。提示された四つの選択肢の中で、米国出身を72%とする正しい円グラフは一つしかないが、中学生の正答率は13%だった。 新井教授は「単にキーワードを拾うような読み方をしていると簡単に引っかかってしまう。論理的な読解には何が必要か、さらに解明していきたい」と話している。 ![]() |
大津市が市内の小中学生を対象に行ったいじめ調査では、いじめの多くが教室で起きていることや、子どもたちの中にいじめ容認に つながる本音が見え隠れしていることも明らかになった。市教育委員会と市いじめ対策推進室は調査結果を深刻に受け止め、対策拡充 の検討を始めた。 学校現場が問題視するのは、「いじめをいつ受けたか」に対する回答で、「授業中」が小学生13・1%、中学生15・3%に上ったことだ。教諭が教室内にいるのにいじめが発生していることになる。授業中の発言を笑われたりしたことなどが考えられるが、市教委は「こんなに多いとは思わなかった。学校側が把握できていなければ問題だ」とする。いじめを受けた時間帯で最も多かったのは「休み時間」で、「見回り強化な ど、対策に反映させたい」とした。 子どもたちの意識についても懸念材料がある。「どんな理由があってもいじめは絶対にいけないと思うか」との問いには大半が「そう思う」と答える一方、「いじめられる人にも原因があると思うか」と聞くと6割が「そう思う」「ややそう思う」と回答した。原因があればいじめられても仕方ないと考えてしまえば、いじめを見ても教諭に報告しないなど、いじめを防ぐ行動にブレーキがかかる恐れがある。市教委は「これが子どもの本音かもしれず、指導方法や内容を検討する必要がある」としている。 一方、親や教諭に相談できない場合でも悩みを打ち明けられる窓口として「おおつつこほっとダイヤル」を設けている市いじめ対策推進室は、いじめを受けた子どもの3割が相談していないことを課題とする。窓口の認知度は年々高まっているが、相談につながてしないとも考えられる。 同室は「初対面の相談調査専門員に相談するのはハードルが高い面もある」と分析。専門員が学校や児童館などで子どもたちに接す る機会を増やすなど、相談しやすい環境づくりを検討している。 ![]() |
政府の2017年度予算案は防衛費を増やすあおりで公共事業や教育、農業といった経費が圧迫されることになりそうだ。財務省は財政再建計画に基づき一般歳出の伸びを前年度比で5300億円程度に抑える方針で、このうち5千億円程度は高齢化で膨らむ社会保障費に回す。残り300億円ほどを防衛費が独り占めする勢いで、他の経費は横ばい前後の厳しいやりくりを強いられる。 一般歳出は政策経費から地方交付税を除いたもので、16年度予算では約57兆8千億円だった。17年度も各省庁や関係業界からの増額要求は強いが財源は限られ、公共事業費は横ばい前後にとどまる見込み。農業予算は16年度第2次補正予算で積み増した上、国内農家の脅威となる環太平洋連携協定(TPP)がトランプ次期米大統領の脱退方針で風前のともしびとなったこともあり、抑制気味の査定となる。 教育分野で与党は17年度から、一部の学生に返済不要の給付型奨学金を支給する方針。安定財源は見つかっておらず、財務省と文部科学省が他の経費を圧縮して財源を工面するかどうかの攻防を続けている。 ![]() |
2020年度に大学入試センター試験から替える「大学入学希望者学力評価テスト」の国語記述式問題について、解答文字数が80字を超えるものは実施不要との考えを、国立大学協会の入試委員会がまとめたことが1日、分かった。文部科学省は80字超と80字以下の2種類を各1問程度出題する案を国大協に示していたが、異論が出たことで見直しを余儀なくされそうだ。 記述式問題の導入は、受験生の思考力や表現力をみるのが目的で、新テストの目玉だったが、短文の記述問題だけでは測れる力が限られることになる。入試委は、国立大が2次試験で全ての受験生に難易度の高い己述式問題を課す代替案を示した。国大脇は役員会などで検討を続ける。 文科省は11月、80字超の難易度の高い問題と80字以下の難易度が下がる問題を出し、受験生は志望大学の要件に従い、両方かいずれかを解答するとの案を提示。80字超は大学側が採点するが、80字以下は大学入試センターが採点することで、人手に余裕がない私立を含む多くの大学の利用を促すとした。 80字以下の文科省案については、入試委は「国立大の一般入試の全受験生に課すことを検討したい」と評価した。 |
来春の公立高入試を控え、京都府教育委員会と京都市教委は1日、中学3年生を対象にした進路希望調査の結果を公表した。公立高の前期選抜で志望者の倍率が、山城(京都市北区)普通科で初めて7倍を超えた。6倍を超えたのも鳥羽(南区)や桂(西京区)などの普通科で7校に上っ た。府内全体で、第1志望者数が定員を下回る全日制高校は23校あった。 卒業予定者2万3629人のうち高校進学志望者は98・8%。全日制公立高の志望は61・3%、私立高は29・2%をそれぞれ占め、いずれも昨年から横ばいだった。定時制公立高は1・1%、特別支援学校高等部は2・0%だった。 全日制公立高志望者に対し、前期選抜の志望が全体の8割を占め、倍率は山城の普通科A方式(募集人員48人)が7・13倍で最も高く、鳥羽の普通科A方式1(同30人)の6・43倍が続いた。 受験校を選べる単独選抜に移行して4年目の京都市・乙訓通学圏の普通科で第1志望者数が定員を下回ったのは、洛北(左京区)や朱雀(中京区)、嵯峨野(右京区)、洛西(西京区)、東稜(伏見区)、西乙訓(長岡京市)、堀川(中京区)と7校で、昨年の8校より減らした。 本年度初めての募集となる鳥羽グローバル科は、定員80人の1・5倍の120人が志望。昨年開校した昼間定時制の清明(北区)は、初年度入試で定員120人を大きく超える268人が志望したが、今年は141人に激減した。 府教委高校教育課は「前期選抜を受験する生徒の割合が昨年度より高いため、人気校は倍率が高い傾向が出ている。中期選抜もあるので、今回の数字だけに左右されず進路を選択してほしい」としている。 調査は府内の国公私立中学や特別支援学校、奈良県の国立中学に通う府内在住の3年生を対象に、11月15日時点の進路希望を聞いた。 ![]() |
過労による脳内出血で公務災害の認定を受けたものの京都市教委などの手続きが遅く補償を受けられないとして、旧六条院小(下京区)の元校長の女性(62)が30日、市教委と地方公務員災害補償基金を相手に500万円の慰謝料を求めて提訴した。 訴状などによると、元校長は同小を下京渉成小に統合する業務に伴い、過重労働で2009年12月に左脳内出血を発症。右半身不随で言語障害もあったという。発症前の2カ月は残業時間が月90時間を超えたことなどから、2011年に公務災害を申請。市教委は適切な事務処理をせず、認定まで約4年かかった。このため、今年10月に払われた療養費の一部をのぞき、休業補償や障害補償はいまだ給付されていないという。 地方公務員災害補償基金京都支部は、同様のケースで認定までの標準処理期間を約6カ月と定めている。 市教委の清水康一総務課長は「訴状の内容を確認した上、対応を検討する」とコメントした。 ![]() |
京都市教育委員会は、2020年度以降に全面実施される次期学習指導要領の内容について、18年度から市立小中学校で先行実施することを決めた。30日にあった市議会代表質問の答弁で、在田正秀教育長が表明した。 同要領をめぐっては、小学校の3、4年で「外国語活動を実施し、5、6年から英語を教科化する方向で議論が進む。授業方法についても、全教科を通じて児童生徒が主体的に参加できるよう、改善を目指す。 本年度中に要領が告示される見込みで、市教委は来年度、授業の指針となる移行措置要領を定め、学校現場に周知を図る。 ![]() |
政府は30日、大学進学者らを対象とした返還不要の給付型奨学金制度を、2018年度から本格的に導入することを決めた。対象者は1学年当たり2万人規模で、月額3万円を基準に私立大の下宿生などの場合は上乗せする方針。児童養護施設出身など経済的に特に厳しい学生については17年度から先行的に実施する。 自民、公明両党が同日制度設計案を安倍晋三首相に提言し、大筋で了承された。提言は「財源は政府予算全体の中で捻出することが必要」としたが、めどは付いておらず、政府内の調整が難航することも予想される。 先行実施分の規模や給付額は12月の17年度予算の編成過程で決める。18年度からの本格実施分は、経済的負担が少ない国立大の自宅生と、負担が大きい私立大の下宿生でどの程度の差をつけるかなどを文部科学省が詰め、17年3月までに制度設計する方針。 提言では、対象は住民税非課税世帯の進学者で、各高校が推薦。全国約5千校ある高校で少なくとも各1人は給付を受けられるようにする。ほかに好成績の進学希望者らを加えて、全体で2万人規模と算定した。 各校で推薦基準を設定するが、好成績の生徒だけでなく、部活動や課外活動で成果を上げた場合も対象とする。進学目的や進学後の人生設計をリポートで提出することも求め、意欲などを見る。 各校が推薦基準を作るためのガイドラインは文科省と日本学生支援機構が今後策定。進学後も毎年、学業の状況などを確認した上で給付するとした。 ![]() |
日教組は30日、10月に週刊新潮で女性問題などが報じられた岡本泰良委員長(56)が、社会的責任を重く受け止めているとして29日付で辞任したと発表した。当面は岡島真砂樹副委員長(57)を委員長代理とする。 報道では不適切なタクシーチケットの使用も指摘。日教組によると、岡本氏はこれを認めて返納したという。日教組はほかに組合費の私的流用などの不透明な支出は確認されなかったと強調しているが、タクシーチケットを巡る岡本氏からの返納額は明らかにしなかった。 ![]() |