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  • 夏休み大幅減に不安の声も.21
  • 指導要領解説書を公表.22
  • 教員の「働き方改革」諮問.22
  • 6月22日 中教審 教員の「働き方改革」諮問

     松野博一文部科学相は22日の中教審総会で、学校現場の長時間労働解消に向け、対応の遅れが指摘される教員の勤務時間管理に関する改善策などを検討するよう諮問した。今後の議論で、子どもの教育を巡る学校と家庭、地域の役割分担も含め、学校現場の「働き方改革」への有効な手だてを示せるかが注目される。

     総会で中教審の複数の委員からは、教員に時間外手当の支給を認めていない教職員給与特別措置法(給特法)が「無制限の時間外労働の原因になっている」として、廃止も含めた見直しを検討すべきだとする意見が出た。



    6月22日 文科省 指導要領解説書を公表

     文部科学省は21日、2020年度以降に実施される小中学校の次期学習指導要領の解説書を公表した。小学5、6年で初めて教科となる英語では、授業時間確保のため短時間授業や夏休み、週末を使った授業など弾力的な指導の重要性を明記。社会では中学校で憲法改正の具体的な手続きに初めて触れ、小中で領土の指導も詳述した。小学校では自衛隊の役割に「国の平和と安全を守る」と記載した。

     解説書は児童生徒に教えなければならない学習内容や教育目標を定めた指導要領の中身を詳しく説明するため、教員向けに作成。指導や教科書作成の指針となる。

     小学校の英語では、活字体を学び、簡単な表現でやりとりする能力を身に付けることを目標に設定する一方、授業時間増加に対応するため、短時間授業や夏休み短縮などの実施を提言。10〜15分の授業では、場面を設定した上で、必要な語句を繰り返し学ぶ方法などの授業例を示した。

     中学校社会では、選挙権年齢が18歳以上となったことを踏まえ「主体的に政治に参加することについて自覚を深めること」を掲げた。公民分野では、立憲主義や法の支配の考え方に立って憲法が制定され、憲法改正のための国民投票の具体的な手続きも法律で定めていることを明記。

     小中学校の社会の指導要領で、北方領土に加え、初めて竹島(島根県)と尖閣諸島(沖縄県)が「固有の領土」とされたことを受け、「わが国の固有の領土であることに触れて説明することが大切」とし、日本政府の立場が「歴史的にも国際法上も正当」と指導するよう強調した。


    「選挙権年齢18歳以上」が昨年実施されたが、政治的なリテラシーを育てるシチズンシップ教育への関心はこの1年間持続してきたのだろうか。報道や資料が豊富だというようにはみえないが。そうして観点からみると、「領土問題」については政府見解を「正解」とするような指導を求める内容にはなっていないのだろうか。例えば「共同管理」という視点は、「逸脱」とみなされるのだろうか。学習指導要領が大綱的な基準であるという最高裁判決の意味するところをかみ締めたい。


    6月21日 静岡県吉田町 夏休み大幅減に不安の声も

     教育改革に乗り出した吉田町教育委員会は19日夜、児童・生徒と教員、保護者の「3者共益」を目指す新プランの保護者説明会を、町内の川尻会館を皮切りに始めた。夏休みを中心に児童・生徒の長期休暇が大幅に減るため、不安の声も聞かれた。

     新プランは児童・生徒の学力向上と教員の多忙化解消、とりわけ母親が働きに出やすい環境を整えることを目的に、次期学習指導要領への対応も踏まえて実施する。授業日数を2016年度の206日から17年度に210日、18年度には「220日以上」に増やす。一方、1日当たりの授業時間を減らすことで教員が授業の準備を十分に行える時間を確保し、質の高い教育につなげる狙いがある。

     スポーツのクラブチームなどに通う児童・生徒は、長期休暇が減って授業日になると、クラブか学校のどちらかを休むことになる可能性がある。複数の保護者が「クラブへ行って学校を欠席扱いになると、高校受験に影響するのではないか」などと質問。町教委は取材に「クラブチームに長期休暇中の練習や試合状況を確認し、折り合いをつけられる部分はつけていきたい」としている。

     町教委は、21〜23日にも説明会を開く。これまでに各小中学校のPTA総会などでも説明してきたため、今回は希望者が対象。(静岡新聞)


    一つの考え方として参考とすることもできる。ただ、授業は35週を基本として組まれていることは確認する必要がある。実際1年間は50週であり、長期休暇を5週としても45週で10週の余裕はある。この10週が何に消えているのかを整理し業務の改善を図る事は必須ではないか。また、ここで言う「夏休み」の前後をかつての「短縮授業」とすることで、授業時間数を軽減するというのも考えられる方策だろう。推移を見守りたい。いずれにしても、教員の労働管理は喫緊の課題となってきている。


    6月20日 ベネッセ調査 小学英語、中学で役立ってない?

     小学6年の時には8割の子どもが、小学校での英語の勉強は中学校で役に立つと思っていたのに、中学1年になると、5割しかそう思っていないとの調査結果をベネッセ教育総合研究所がまとめた。研究所は小中の学習のつながりに課題があるとみている。

     調査は2016年3月、中1の1170人に実施。このうち、15年3月の小6の時にも同じ調査を受けた約580人の回答を分析した。

     小6の時に、小学校での英語の勉強が中学校で役に立つと思うか聞いたところ、「とても当てはまる」が50・8%、「まあ当てはまる」が31 ・8%で、合わせて8割以上が肯定的に答えた。

     しかし、中1になって役に立っているか聞くと、「とても当てはまる」19・6%、.「まあ当てはまる」34・3%で合わせて5割超に減っていた。

     英語を勉強する上で大切だと思うことを三つ選ばせたところ、小6で52・7%だった「たくさん会話する」は、中1で46・6%と7・1ポイント減。 「発音をきれいにする」も50・4%から29・0%へ21・4がポンイント下がった。逆に「たくさん聞く」「たくさん読む」「問題をたくさん解く」は5・7〜7・0ポンイント増えた。


    小学校の英語学習に肯定か否定かはとりあえずおくとしても、ベネッセの調査権は興味深いといえるだろう。小学校では英語を一種のコミュニケーションツールと曖昧だがしてとらえているが、中学校では「勉強」として受けとめているという事のように思える。ソシュールやビットゲンシュタインなどを勉強する必要はないになしても、カリキュラムも含め言葉を教える側が言語論的な備えはしておくべきだと改めて思う。


    6月20日 文科省 教員 勤務管理見直し

     学校教員の長時間労働の解消を図るため、おろそかになっているとの指摘のある教員の勤務時間をどう管理するか、文部科学省が中教審に改善策の検討を求める方針であることが19日、同省への取材で分かった。松野博一文科相が22日の中教審総会で諮問書を提出する。

     公立学校教員は仕事に創造性が求められ、勤務の内外を切り分けるのは適当ではないとの理由で、時間外手当を支給しない代わり に、本給に一律4%を上乗せする特殊な給与制度で、無制限の時間外勤務を招いている側面があるとされる。中教審が実効性のある改善策を示せるか注目される。

     諮問では、予測不可能な未来を生きる資質・能力を育てるため、「主体的・対話的で深い学び」を掲げる次期学習指導要領の確実な実施が必要だと指摘。学習指導だけでなく、生徒指導や部活動で多忙となっている教員の働き方改革を進め、勤務環境を整備しなければならないと強調する方針だ。

     文科省は勤務時間の把握、管理だけでなく、勤務時間に応じた代休の取得など処遇面や、校長、副校長らの役割など学校組織の運 営の在り方、情報通信技術(ICT)の活用方法の検討も要請する。

     部活動を巡っては、4月から外部人材を「部活動指導員」として学校職員とし、指導や大会引率を任せられるよう制度を改めている。

     中教審には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを含め、こうした外部の専門スタッフと教員との役割分担や、地域、家庭と学校の連携の在り方についても議論を求めるという。


    教員の働き方についての議論が行われるのは少なくとも40年以上前の話であったことから考えると今回の諮問の意味は大きい。しかし、当時と比較して教育内容が大きく変化し現場への負担もかなり増大している。また、財政も高度経済成長による「右肩上がり」ではなくなっている。こうした状況を中教審はきちんと把握する必要がある。すなわち、チーム学校の建前論ではなく、「教育内容の精選なしには、勤務の改善はあり得ない」という発想ベースに議論する必要がある。


    6月20日 ユニセフ調査 子の貧困撲滅で日本下位

     【ニューヨーク共同】国連児童基金(ユニセフ)は19日までに、先進国中心の経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)に加盟する41カ国の子どもの貧困や不平等の状況を順位付けした報告書を発表した。対象にした10分野のうち、日本は「貧困の撲滅」で23位、家庭の所得格差を比べた「不平等の削減」で32位と下位だった。

      日本は「飢餓の解消と栄養改善」や「働きがいのある人間らしい仕事」の分野でいずれも1位だが、相対的な貧困割合や所得格差に課題を残した。日本のデータを提供した首都大学東京の阿部彩教授は「特に底辺に属する子どもの状況が厳しいことが分かった」と指摘した。

     10分野は国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の17分野の中から、子どもに関連の深い項目を選んだ。ユニセフによると、SDGsに関する先進国の子どもの状況をまとめたのは初めて。

     「貧困の撲滅」はそれぞれの国の世帯収入における中央値の60%に達しない家庭で暮らす子どもの割合などから順位を付けた。「不 平等の削減」は上位層10%の収入が、下位層40%の収入より多ければ多いほど悪くなる。「飢餓の解消と栄養改善」は食料の確保が不安定な世帯の子どもの割合で判断した。

     日本はこのほか大気汚染の状況を基準にした「持続可能な都市と住環境」で33位、15歳の子どもが環境問題をどれだけ認識しているかなどを比べた「責任ある消費と生産」で36位だった。

     総合評価ではノルウェーやドイツの順位が高く、日本は12位だった。

     ユニセフは「先進国の子どもの5人に1人が相対的貧困状態にある。先進国においてさえ進歩は全ての子どもに恩恵を与えているわ けではない」と分析し、各国に対策を促した。


    総合評価の順位が高いノルウェーやドイツはともに自然エネルギーに対して肯定的な国である事が興味深い。脱原発が必ずしも子どもの貧困を救うという根拠はないのだろうが、経済の構造を転換しようとする方向と無縁でハイのだろう。そう考えると日本の社会は旧体然とした構造を維持しながら「成長」のみを求めるという政策の追求だが、果たして未来はあるのか?ちなみに評価は、◆貧困の撲滅・・・ 23◆飢餓の解消と栄養改善・・・ 7◆健康と福祉・・・ 8◆質の高い教育・・・ 70◆働きがし1のある人間らしい仕事・・・ 7◆不平等の削減・・・ 32◆持続可能な都市と住環境・・・33◆責任ある消費と生産・・・ 36と、なっている。


    6月17日 府・市教委 教員志願倍率7・7〜6・8倍

     京都府と京都市の両教育委員会は16日、2018年度教員採用試験の志願状況を発表した。両教委とも採用人数を減らしていることも影響し、全校種合わせて府教委が2374人が志願し7・7倍(前年度6・6倍)、市教委が2049人志願し6・8倍(同6・5倍)と、17年度より高倍率となった。

     主な校種別の志願者数と倍率は、府教委は▽小学校615人、4・7倍▽中学校585人、13・0倍▽高校854人、11・4倍▽特別支援学校179人、4・0倍―だった。市教委は▽小学校782人、4・9倍▽中学校754人、10・8倍▽高校186人、18・6倍▽総合支援学校191人、4・8倍―だっ た。

     両教委とも7月1日に筆記試験を行う。



    6月16日 17学会代表ら声明 教育勅語「扱う余地ない」

     教育関連の17学会代表らは16日、教育勅語を「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」とした政府の答弁を批判し、「普遍的価値を含むものとして肯定的に扱う余地は全くない」とする共同声明を出した。

     記者会見した日本教育学会会長の広田照幸日本大教授は、1948年の国会決議で教育勅語は学校教育から完全に排除されたとし「政府答弁は、使用にグレーゾーンができたとの印象を与える。教育現場で恣意的な解釈や混乱を引き起こす恐れがある」と述べた。

     共同声明は、政府に対して答弁撤回と、教育現場での使用禁止を改めて確認するよう求めた。


    天皇主権の時代を代表する歴史的資料として教育勅語を扱う事はできるが、防衛大臣などが言うような「普遍的価値を含むものとして肯定的に扱う」ことは許される筈はない。「共謀罪」を強行採決した安倍一強政権への市民的抵抗はこうした一つ一つの事象に対して、情念的な反発ではなくきちんと論理的な批判を継続していくことではないだろうか。


    6月15日 国大協 英語民間移行 批判

     国立大学協会は14日、総会を開き、2020年度に大学入試センター試験を衣替えして導入する「大学入学共通テスト(仮称)」について、英語を民間検定試験に全面移行するとした文部科学省案に対し、「現時点で可否の判断は拙速」とする意見書をまとめ、文科省に提出した。

     日本私立大学連盟も共通テストの成績提供時期に問題があるとして再検討を求めている。文科省案は国立と私立の双方の大学団体から批判される形となり、6月中にも決める共通テストの実施方針に影響が出る可能性がある。

     文科省は5月、20年度から検定試験に全面移行するA案と、23年度までは共通テストと検定試験の双方またはどちらかを受け、24年度から全面移行するB案を示していた。

     意見書は、学習指導要領との整合性や受験機会の担保など、英語の試験を検定試験で代替できると判断する情報がないと指摘。共通テストで英語を実施した上で、各大学が検定試験をどう活用したかを検証し、全面移行するかどうかは、その後に判断すべきだとした。

     国大脇として、検定試験の活用方法に関する独自のガイドラインを策定することも検討する。


    公教育に民間事業が参入する事はいまや常識的なものとなっているのだが、「民間検定試験」を全面的に採用するのは問題が多い。一つは実施が特定の業者に限られるにもかかわらず受験生の数が多く、利益の一方的な供与にならないかとに疑問。もう一つは、その影響で「受験対策」の塾が繁盛し教育格差がますます広がる恐れがあること。そしてもうひとつは、各大学が英語教育についての明確な指針を持っていないことが問題ではないか。ということ。


    6月13日 京都市 日本語の特別指導必要な子過去最多

     日常会話や学校の授業を理解するための日本語の力が足りず、授業時間などに特別な指導が必要な外国籍の子どもは、全国の公立小中高校などに3万4335人おり、過去最多だったことが13日、文部科学省の昨年の調査でわかった。

     また、日本国籍を持ち、日本語指導が必要な子どもは9612人で、同様に過去最多となった。海外生活が長かったり、両親が国際結婚のために家族間で日本語以外の言葉を話したりしている例がある。

     今回の調査では2016年5月の状況を調べた。前回(14年度)に比べ、指導が必要な外国籍の子は17・6% (5137人)、日本国籍の子は21・7%(1715人)増えた。一方、このうち実際に指導を受けているのは外国籍の子が76・9%、日本国籍の子が74・3%にとどまった。いずれも前回より6〜4ポイント減っており、指導が必要な子どもの数の増加に、現場の対応が追いついていない現状が浮き彫りになった。指導できない理由を学校に聞くと、「担当できる指導者がいない(足りない)」「教室や時間の確保が困難」との回答が多かった。


    国際化のために早期の英語教育が必要だとして、英語教育を小学校にも導入した文科省。ニューカマーの日本語教育を間違いなく国際化の一貫であるはず。


    6月11日 サッカーチーム「QCバロンタン」 知的障害者、サッカー通じ成長

     京都府京田辺市で児童デイサービスなどの事業を行っている福祉事業所が設立した知的障害者のサッカーチーム「QCバロンタン」が活動を広げている。健常者と一緒のチームでは萎縮して活動しにくいケースがあるといい、スポーツを通じた心身の成長や居場所作り、就労サポートに期待が高まっている。

     事業所は有限会社ライフ・アシスト(井山信久代表)。8年ほど前に始めた運動教室が利用者に好評で、2014年春に府内2番目となるチームを設立した。現在、市内外から高校生から社会人までの20人が参加する。

     練習は、ラダー(はしご)を使ったウオーミングアップや、5対5のミニゲームなど本格的なメニュー。社会人サッカー関西リーグ1部「FC TIAMO」(枚方市)の村島孝史代表(37)や選手らが指導している。

     当初はルールが分からない選手も多かったというが、今年4月の全国障害者スポーツ大会京都代表決定戦で、日本代表を擁する「FCアスカ」を破った。中学でサッカー部だった城陽支援学校高等部3年の前田翔汰さんと翼さんの双子兄弟=ともに17歳、京田辺市=は「このチームでサッカーできて楽しいし、うれしい」と声を合わせる。

     府によると、府内の支援学校にはソフトボール部や卓球部、球技部などがあるが、サッカー部はない。場所や人数の確保、ルールの難しさなどが背景にあるとみられる。一方で日本知的障がい者サッカー連盟によると全国の競技人口は5800人おり、府県の連盟参加も増えているという。

     今年4月、中学生以下のジュニアチームも立ち上げた。年上の選手に憧れる子もおり、井山代表(50)は「これまで支えられていた選手が、年下を教えて支える側になる」と期待する。南山城支援学校中等部3年の木佐貫修司さん(14)の母・亜希さん(44)=京田辺市東=は「いろんなことができるようになり、子どもの世界が広がった」と喜ぶ。

     就労にもつなげようと、毎夏、関西の知的障害者チームを集めて大会も開き、協賛企業に見てもらっている。

     ライフ・アシストは、サッカーに続いて陸上部も設立した。将来は総合スポーツクラブとして企業や住民とつながる理想を描いている。井山代表は「スポーツを通じて、彼らにはこれだけできることがあるんだ、ということを伝えたい」と話した。


    2020年のオリンピックにはいささか疑問を感じるが、同時開催のパラリンピックにはそれないりの意義があるように思える。とりわけ知的障害者がスポーツする事の意義は大きい。国連障害者権利条約は、全ての障害者の権利を擁護することを謳っている。ピープルファーストの活動の成果でもあることが強調されても良いだろう。


    6月10日 最高裁 学テ、不開示確定

     城陽市は9日、2014年度の全国学力テストで、城陽市のNPO法人「行政監視機構」が同市に対し、小中学校別の成績などを開示するよう求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷が原告の上告を8日付で棄却したと発表した。不開示が確定した。

     一審京都地裁は、市に学校別の平均正答数などを開示するよう命じたが、一審大阪高裁は過度な競争が生じる可能性があるなどとして認めなかった。


    再高裁判決は妥当!?学テそのものに疑義はないのか。


    6月3日 政府 子育て財源に保険も

     政府は2日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針「骨太方針」案を提示した。幼児教育と保育の早期無償化、待機児童解 消を優先課題に据え、新保険導入などを選択肢に財源を検討、年内に結論を出す。財政健全化では、基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する目標を維持した上で、同時に国内総生産(GDP)に対する債務残高比率を安定的に引き下げる目標を併記し、経済成長を重視する安倍政権の姿勢を示した。9日に閣議決定する。

     幼児教育無償化などの財源候補には、歳出の効率化、税制、社会保険の三つを挙げた。企業や働く人から保険料を集めて子育て世帯に分配する仕組みとして自民党が提唱している「こども保険」が議論の土台となる。国の借金拡大を避けられるため財務省が理解を示しているが、産業界や働く人の納得を得られるかが課題。政府は夏以降、人材投資の具体策を練る新会議を発足させ、財源議論を本格化さ せる。

     基礎的財政収支は巨額赤字が続き、20年度の黒字化は困難となっている。政権内には、毎年度の歳出にたがをはめる黒字化目標よりも、高成長と低金利の組み合わせで指標が改善する債務残高目標に軸足を移すべきだという声も存在する。

     今後、歳出拡大を求めて黒字化目標の撤廃や先送りの議論に発展する可能性がある。

     安倍晋三首相は会議で「成長と分配の好循環を加速させるには、人材への投質を通じた経済社会の生産性向上が鍵となる」と述べ、 所得格差と人手不足の解消につなげていく考えを強調した。

     低所得世帯の人でも大学に通えるよう給付型奨学金や授業料減免を拡充。他方、教育の質を上げるための大学改革も加速させ、地方大学などの定員倒れ対策として国公私立の枠を超えた連携・統合を促す。私学助成に競争原理を導入し、教育の成果に基づいて配分する方針も打ち出した。

     高齢者に偏りがちな社会保障は全世代型に見直し、子育て支援を強化する。


    「美辞麗句だけを並べる」という言葉通りの安倍政権はもう終わりにすべき。教育の無償化を憲法に明記するというのだが、「保険」を導入するということは結局は新たな増税案でしかない。T・ピケティが語ったように「累進課税」を強化し、富の再配分を行う事が結果的に経済成長を進める(成長する事を前提とする議論には賛成しかねるが)ことになる。


    6月2日 京都の教育関連企業 子どもの英語教室 活気

     京都の教育関連企業が、幼児や小学生を対象にした英語学習に力を入れている。小学校での英語の教科化や大学入試での民間検定の導入などを背景に、ネーティフスピiカーが講師を務める教室や、TOEICなどの民間検定での高得点獲得を目指す教室を相次いで開設。生徒の獲得競争が熱を帯びている。

     京進は、幼児や小学校低学年を主な対象にした英会話教室「ユニバーサルキャンパス」(UC)を運営する。英語を母語とする海外出身者を講師に雇い、教室での学習のほかキャンプやピクニックといったイベントを通して実践的な英語を学ぶのが特徴だ。日常会話だけでなく議論する力を身に付けることも目標に掲げており、スピーチコンテストに参加する生徒も多い。

     英語教育熱の高まりを受けて事業を拡大しており、7月にはゼスト御池(京都市中京区)に16力所目となる教室を開設する。今後は首都圏でも進出先を広げ、大人向け英会話教室も含めて2020年までに40校にまで増やす計画だ。担当者は「英語教育の熱はここ5年ほど高まっている」と手応えを語る。

     長男(4)を通わせる主婦水島すはなさん(34)=伏見区=は「受験のためだけでなく、グローバルな感覚を養ってほしい」と期待する。

     英語教育事業を手がける「FREEMIND EVANカンバニー」(中京区)が運営するのは、主に小学生を対象にした個別指導型の英語教室 「Le pton」。TOEICやTOEFLといった民間の英語検定の高得点獲得を目指すのが特徴だ。7年前からフランチャイズ展開を進め、現在は全国に1100教室を展開し、生徒数も約1万5千人に上る。

     先進的な英語教書が普及している韓国の教育企業と提携し、81種類のテキストを独自開発した。英語の習得レベルに応じて自立学習 ができ、英語でコミュニケーションをとれる能力を育てる。

     国は英語教青の充実に本腰を入れている。20年度以降の次期学習指導要領では、小学5、6年で英語が正式な教科になる。同年度に大学入試センター試験を衣替えして始める「大学入学共通テスト(仮称)」では、英語の試験で従来の「読む・聞く」に加え、「書く・話す」力も評価するため、民間検定試験を活用する方向だ。

     同社は「近年は、園児や小学低学年の生徒が増えており、英語教育のニーズは高まっている。教育が担う部分は大きくなる」と見る。2年以内に2千教室まで伸ばす見込みだ。


    指導「自信ない」 「塾」で模擬授業

     新学習指導要領で、2020年度から小学校の英語教育が3年生に前倒しになり、5、6年生は成積が付く「教科」になる。ただ、指導に不安を抱く教員は多い。専門家は「指導力を付けるには、教えて経験を増やすことが大切。身構えず、先生自身も楽しんでほしい」とアドバイスする。

     Make Pairs(ベアになって)。3月、英会話教室イーオンが東京都内で開催した、小学校教員向けの無料セミナー。45人が参加し、授業でよく使う指示やほめる時に使う英語を学んだ後、教員役と生徒役に分かれ、ベアで模擬授業も体験した。

     同社の講師は「指示は短くシンプルに」「動きを入れて」などとアドバイス、外国人の外国語指導助手とのコミュニケーションに役立つ表現も紹介した。東京都東村山市の女性教諭(41)は「(先生に)苦手意識があると子どもに伝わると思う。堂々と英語で生き生きした授業をしたい」と話した。

     小学校では11年度に5、6年生から、英語に親しむ「外国語活動が必修化された。低・中学年にも拡充している学校や自治体もあるが、ベネッセ教育総合研究所が昨年8〜9月に実施した全国調査では、公立小学校教員の75・6%が指導に「自信がない」と回答。セミナーに参加した男性教諭(45)は「20年近く英語から離れていて、研修や準備のための時間もなかなかとれない。手をこまねいている」と漏らした。

     悩める先生に、指導のこつをつかんでもらおうと、独自の取り組みを始めている自治体もある。

     What is this? (これは何)。5月、神奈川県秦野市立本町小学校4年生の教室。授業は、上智大短期大学部(同市)で児童英語教育を学ぶ学生たちが担当し、魚などが描かれたカードを使い、リズムに乗って英語を発音したり、クイスを楽しんだりした。

     秦野市は同短大と連携して09年度から年数回、各小学校で学生らによる授業を行う。「楽しさと気づきがある授業デザインを先生に提供したい」と短大の狩野晶子唯教授。授業に立ち会った担任の松山剛教諭(44)は「子どもたちが意欲的に取り組める教材の工夫や授業の進め方など、勉強になります」。

     英語の指導案の作成や教員研修に携わる、玉川大大学院の佐藤久美子教授(英語教育)は「英語力に不安を抱いている先生は多いが、それほど気にする必要はない」と指摘。「研修の充実は必須」とした上で、「目標を設定して手法を考えるのは他の教科と同じ。市販の教材などを活用し、学年や地域に応じて教える経験を重ね、子どもたちが喜ぶ教え方に慣れてほしい」と話している。


    予想されたこととは言え英語教育の過熱化は日を追って大きくなっているようだ。恐らくこれに伴う経済効果も相当なものだろう。憲法に「教育の無償化」を書きこむという自・公と維新の会は、こうした動きにどう対処するのだろうか。結局は「再生産論」(P・ブリデュー)を地で行くような教育政策ばかりが目に付く。加えて技術論ばかりが先行する英語教育では、真のグローバル化は求め得ない。言語は思考の道具である事を改めて指摘しなければならない。


    6月2日 ヘイト対策法1年 差別言動ネットで横行

     へイトスピーチ対策法の施行から3日で1年を迎える。部落差別解消推進法も16日で施行半年。法務省によると、昨年1年間のインターネット上の人権侵犯は、調査を始めた2001年以降、過去最悪の1909件(前年比10%増)で、ネット空間で差別が横行する実態が浮き彫りになった。西日本の一部自治体が独自に監視や削除に取り組んでいる。

     「在日とか部落系の会社教えてください」「福山の同和地区はどこ」。広島県福山市の人権・生涯学習課の職員が、ネット掲示板への書き込みを見つけた。高橋雅和課長はこうした質問を放置すると差別を助長する。早めに芽を摘まなければ」。発見次第、掲示板管理者に削除を要請。00年に監視を始め、これまでに402件の削除を求め296件が削除された。

     兵庫県尼崎市もダイバーシティ推進課がネットの監視に当たる。橋本弘幸課長は「都落差別の書き込みは近年減っているが、『朝鮮に帰れ』などのへイトは多い」と明かす。法務局に連絡し削除を要請している。

     大阪市は8月、ヘイトスピーチ禁止条例に基づき、ネット上の勳画3件をへイトと認定した。13年に大阪市内であった在日コリアン排除を呼び掛けるデモや街宣活動の動画で、いずれも削除された。

     ネット事業者も問題を意識している。IT大手ヤフーは、ニュースのコメント欄に差別的な書き込みが多いとたびたび批判を受けている。同社の「禁止事項」に抵触したコメントは削除されるが、コメント数は1日平均22万件ある上に、差別表現と断定できないケースもあり、ヤフー広報は「全て削除するのは難しい」としている。


    ネット上のヘイト文書・動画などを放置しておく訳には行かないのは当然だとしても、必然的にもぐら叩きになってしまう。ネットの世界をまずは肯定した中でどう対処するかであろう。「内なる優生思想」といわれる個人の心性にどう関わるかということが教育の課題であり人権思想構築の課題でもある。


    6月1日 教育再生実行会議 キッズウイークや「教師の日」提言

     政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は1日、家庭や地域社会の教育力を高める方策や教員の負担軽減策を盛り込んだ提言を安倍晋三首相に提出した。子供が家族と過ごせるよう、夏休みなどの一部を別の時期にずらして大型連休とする「キッズウイーク」や、学校と地域の結びつきを強める「教師の日」の創設も求めた。

     安倍首相は「先生方が子供たちと向き合う時間を確保し、一人ひとりに適切な指導ができる環境をつくることは重要」と述べた。

     提言は「学校教育の現場では教師の多忙化が頂点に達しようとしている」と指摘。教員の働き方改革を進めるため、家庭や地域との役割分担が重要とし、部活動への外部指導員の活用や学校業務の情報通信技術(ICT)化を進めるとした。

     家庭教育支援では、家庭の所得などに応じた段階的な無償化を速やかに実現するよう求めた。

     夏休みなどの一部を地域ごとに分散させる「キッズウイーク」の実現に向けては、委員から「保護者も柔軟に休暇を取得できるよう、経済界の協力が必要」との指摘があった。

     いじめ対策ではSNS(交流サイト)などインターネット上のいじめに対応するため、相談窓口の充実や対処方法を学ぶ仕組みづくりを求めた。

     学校と地域の連携強化に向け、学校を地域に開放する活動も推進する。具体的には、保護者や地域住民が補習授業や行事で学校に協力する「学校応援週間」の導入を国や自治体に要請した。

     国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「教師の日」と定めた10月5日に合わせ、日本でも保護者や住民らが参加する各種イベントを催すことで教員の職責への理解を深める有効策になるとした。

     教員の多忙化を巡っては、文部科学省が4月に発表した調査で、教員の平日の平均勤務時間が公立の小中学校で11時間を超えていることが判明。文科省は今月中にも中央教育審議会に働き方改革の検討を諮問し、抜本的な負担軽減を急ぐ。(日本経済新聞)


    「キッズウイーク」や「教師の日」など唐突感を免れないように思える。「プレミアムフライデー」が全くの不評であるように、何とか政権の失敗を糊塗しようとする打ち上げ花火的なキャンペーンはすぐにそっぽを向かれるだろう。だが、「学校応援週間」などによって再び学校に「仕事」が求められるようであれば本末転倒。本質はやはり学校のスリム化であろう。その点に関して日教組の提言は検討に値する。