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  • 文章読解力に懸念.28
  • 登下校見守りは地域委託.29
  • 食費負担軽減 存続を.30
  • 志望者2.5ポイント減.30
  • 「時間外勤務2割減」.30
  • 連載 脱子どもの貧困
    11月30日 府教委、働き方改革 「時間外勤務2割減」

     教職員の負担軽減策を検討する京都府教育委員会の「教職員の働き方改革推進本部」の会議が30日、京都市上京区の府庁旧本館で開かれ、来年度に府教委が取り組む重点事項と学校現場での具体的な業務改善の数値目標を確認した。「3年間で教員の時間外勤務を20%縮減」などを盛り込んだ。

     数値目標は来年度から3年間で段階的に進めて達成することを目指し、年次ごとにも目標を設定した。時間外勤務以外は「残業したとしても原則午後8時までの退勤を100%達成」「休日の部活動指導を20%縮減」などがある。

     重点事項は学校運営や働き方改革、業務改善に関する8テーマを設けた。具体的な「小中学校における共同学校事務室の設置に向けた検討」「スクールカウンセラーの配置充実」「PTAと連携、協働した取り組みの具体化」などの21項目を決めた。

     改革推進本部は今年4月に設置され、有識者らによる会議や各市町の教委との協議を重ねてきた。10月からは府立学校での部活動の休養日について、中学で「土日を含む週2日以上」、高校で「週1日以上」を試行的に始め、来年1月から本格実施する。11月からは府立学校で出退勤の時間を記録するタイムカード方式のシステムを導入した。

     本部長を務める小橋秀生教育次長は「教員は厳しい労働環境にあり、志望者に影響するのではとの危惧(きぐ)がある。国を挙げて取り組む中、全国のモデルになれるように改革を進めたい」と話している。


    府教委の「働き方改革」は従来の教員の仕事を振り分けることで相当議論が進んでいるように思えるが、それらの仕事を担当する人たちの処遇をどうするのかにまで踏み込んだ議論が必要ではないか。PTAや地域住民に負担を「押しつける」形では、個々の家庭や子どものプライバシー保護なども十分守りきれるものではないだろう。また、非正規雇用が増えることにもなれば「学校のブラック化」は逆に進んでしまうことになりかねない。財源的な裏づけを是非とも議論して欲しい。


    11月30日 中3進路調査 志望者2.5ポイント減

     来春の公立高入試を前に、京都府と京都市の両教育委員会は29日、中学3年生を対象として実施した進路希望調査の結果を公表した。全日制公立高の志望者は前年と比べて2・5ポイント減少した一方、私立高は1・9ポイント増加した。

     卒業予定者2万3101人(前年比545人減)のうち、通信制を含めた進学志望率は98・8%を占めた。全日制公立高は58・8%、私立高は31・1%、定時制公立高は1・3%、特別支援学校高等部は2・1%だった。

     全日制公立高では前期選抜の志望者が84・8%で、倍率は鴨折の普通科A方式1(募集人数48人)が6・98倍で最高だった。山城の普通科A方式1(同48人)の6・71倍をはじめ、向陽の普通科A方式(同30人)と亀岡の普通科A方式1(同20人)の5・70倍などが続いた。

     前期選抜の募集人数を下回ったのは、東稜の普通科B方式や農芸の農業学科群A方式など17校1分校26学科だった。

     府期委高校教育課は「中学生のみなさんには、志望者の多い少ないではなく、学校説明会などで得た情報や自分の希望する進路の実現を考えてチャレンジしてほしい」としている。

     調査は2013年から公表している。今年は府内の国公私立中学や義務教育学校、特別支援学校、奈良県の国立中学に通う府内在住者の3年を対象に、11月10日現在の進路希望を聞いた。


    中学校の卒業段階で「志望者の多い少ないではなく、学校説明会などで得た情報や自分の希望する進路の実現」などができるのだろうか?競争(学校医の序列化)を煽る制度を作りながら、競争を否定するく府教委の願望でしかない。教育の無償化が議論になっているだが、適切な競争を逸脱した後期中等教育で子ども達の将来展望が開けるとは思えない。(本文注)選抜方式のうち、A方式は府教委共通か高校独自の学力テストに、中学の成績、面接や作文で合否を決める。クラブやボランティアの活動を記した報告書が必要かどうかで、1、2に分ける場合がある。B方式は学力テストを課さず、C方式は実技テストが加わる。


    11月30日 宇治市障害者施設保護者連絡協議会 “食費負担軽減 存続を

     障害者施設に通う利用者の食費負担を軽減する制度が廃止される可能性が高まっているとして、宇治市障害者施設保護者連絡協議会 は29日、制度の存続を国に求めることを決めた。「このままだと障害者が働いて得る賞金より、給食費が高くなる」など切実な声が上がっている。

     制度は「食事提供体制加算」で、施設が利用者に出す食事を1食650円と計算し、うち300円を公費で補填している。障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で食費は原則として全額自己負担とされたが、激変緩和措置で同制度は延長されてきた。

     延長の期限が来年3月末に迫り、厚生労働省の報酬改定検討チームは27日の会合で「延長しない方向で検討してはどうか」との考え方を示し、廃止の方向性をにじませた。

     しかし宇治市では、障害者施設の利用者が得る賃金は月1万円以下が大半で、全額自己負担した場合の食費約1万4千円を下回る。知的障害者の保護者でつくる同協議会が29日に市内で開いた会合では「弱いものいじめだ」「子どもの将来のための蓄えまで減ってしまう」と、疑問や不安の声が相次いだ。

     国の予算編成が大詰めを迎える中、同協議会は近く保護者の声を集め、与野党の地元国会議員を通して制度存続を厚労省に働き掛け る。


    「1億総活躍」を公約した安倍政権だが、多くの公約は美辞麗句、中身は受益者負担増だ。障害のある人が働く(賃金を得る)ことアイデンティティーを獲得するためには不可欠な事であるが、給食費との相殺で「マイナス」では意味がなくなる。アメリカからの買い物「イージスアショア」が800億円と聞くと、ほとんど役に立たず政権維持だけの出費を無駄使いと言いたくなってしまう。この事例はおそらく日本の現在の縮図であるように思える。


    11月29日 中教審 登下校見守りは地域委託

     長時間労働が深刻な教員の働き方改革の在り方を議論している中教審の特別部会は28日の会合で、方策を示した中間まとめ素案を明らかにした。登下校時の見守り活動といった一部の業務を学校から切り離し、自治体や地域に任せるよう提言。勤務時閭の管理を徹底し、国に対しては勤務時間の上限の数値目標を示したガイドラインの作成も必要とした。来月の次回会合で了承される見込み。

     素案では学習指導だけでなく生徒指導や人格形成などまで担う「日本型学校教育」を評価。その上で社会や経済の変化で複雑化した教員の役割を見直し、次期学習指導要領にも対応できる勤務環境を整備することで子どもの教育にもプラスに働くことを目指すとした。

     そうした観点から、登下校時の対応、放課後の見回り、給食費徴収は自治体や教育委員会、地域住民などが担うべきだとした。教員の業務としつつ「他の人材の協力で負担軽減可態として、授業準備や進路指導、給食時の対応などを挙げた。

     情報通信技術(lOT)やタイムカードの導入で勤務時間の管理を求める一方、時間管理は働き方改革の「手段」であり「目的」ではないとも強調。時間の把握だけが形式化し、うその勤務記録を申告させるような事態は避けるよう指摘した。

     勤務時間の上限の数値目標を設ける必要性にも言及。政府関係者によると、残業の目安は月45時間程度を軸に調整するとみられる。ただ、教員に時間外手当の支給を認めていない教職員給与特別措置法の在り方については「引き続き議論する」とするにとどめた。

     長時間労働の一因となっている部活動は「学校の業務だが、必ずしも教員が担う必要はない」とし、外部人材を積極的に活用するよう求めた。将来、環境が整えば地域単位の取り組みとすることもあり得るとした。


    およその論点はこれまでの提言や提案に盛りこまれているものである。給特法については踏み込んだ議論を展開する必要がある。そこを避けていては「教員の働き方改革」は画餅になってしまう。加えて、登下校の見守りを地域委託としているがここでの議論はより慎重に行う必要がある。確かに学校としての業務負担は大きく減少するが、「地域委託」が一部の人たちに支えられたり「強制」の色合いを濃くしている事実からすれば、新たな「動員体制」を生まないとも限らない。現に交通指導をしている一部の人のうちに特権的な意識が芽生えているということもある。


    11月28日 国立情報学研究所 文章読解力に懸念

     主語と述語の関係といった「係り受け」など、文章の基本的な構造を理解できていない中高生が多くいるとみられることが、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究チームによる調査で27日までに分かった。新井教授は「読解力が不十分だと社会生活を送る上でも大きな影響が出る」と懸念している。

     調査は2016年4月〜17年7月、中高生を中心とした約2万5千人を対象に実施。中高生の教科書や辞典、新聞記事などに掲載された文章を題材に特別な知識がなくても、基礎的な文法を踏まえていれば答えられるようにした問題を出した。

     似た文章の意味を比べた出題では「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」と中学校教科書の一文を引用。「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」と同じ意味かどうかを尋ねた。「同じ」と誤答した中学生は約43%を占め、高校生でも約28%が間違えた。

     ほかの中学校教科書から引用した「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」を読み、オセアニアに広がっている宗教を「キリスト教」と答えられなかった中学生は約38%、高校生は約28%だった。

     調査では、中高生に1カ月に読んだ本の数やスマートフオンの利用時間、1日の勉強時間など生活状況も尋ねたが、読解力との明らかな相関はみられなかった。

     一方、経済的に困難な家庭に学用品などを補助する就学援助を受けている子どもの割合が多い学校の正答率が、相対的に低いことも分かった。

     新井教授は近年、人工知能(AI)の情報処理能力が大きく進歩していることに触れ「将来、仕事を奪われないようにするためにも、子どもたちの読解力の底上げにつながる支援が必要だ」と話している。


    このての調査が目白押しで「子どもの〇〇力」を明らかにするとのこと。しかし、文章の読解にしても子どもの生活の文脈とどう関わっているのかを詳細に調べてものはないような気がする。この調査でも、確かに就学援助と読解力の相関がある事は分かるが、そこから一歩すすめる為に何を見るのかは明らかではない。


    11月22日 PISA調査 チーム解決力日本2位

     経済協力開発機構(OECD)は21日、世界の15歳を対象に2015年に実施した「学習到達度調査(PISA)」の中で、複数人のチームで問題解決に効果的に取り組むための能力を測定した「協同問題解決能力調査」の結果を発表した。参加した52力国・地域のうち日本はシンガポールに次ぐ2位。上位4位までをアジアが占めた。日本はOECD加盟国(32力国)ではトップだった。

     チーム内の関係性を維持しながら一つの目標に取り組む姿勢などが問われた。結果を分析した国立教育政策研究所の担当者は「日本人の特性も好スコアに影響したのではないか」と述べており、「和」を重視する国民性が得点に影響したとも言えそうだ。

     15年のPISAには日本から高校1年の約6600人が参加し、うち約2千人が今回の調査を受けた。

     スコアについてOECDは加盟国平均が500点になるよう設定。首位のシンガポールは561点で、日本は552点だった。3位は香港の541点で、韓国538点、カナダとエストニアが各535点と続いた。

     点数分布を見ると、440点未満の成績下位層の割合は日本が10%で、参加した国・地域で最も小さかった。日本の男女別では、女子が565点、男子が539点。参加した全ての国・地域で女子のスコアが男子を上回った。

     調査はコンピューターで架空の人物とやりとりする中で、効率良く問題解決に向かうためにふさわしい会話を選ぶなどの形式。実在の人物とのやりとりではなく、OECDが「解決に向けて効率的」とみなした会話のみが正答となる。文部科学省は「実在の人物と円滑にコミュニケーションしながら共同作業するスキルを直接測るものではない」とする留意意も示した。

     他者との関わりについての意識とスコアとの関係を分析したところ「人の話をよく聞くか」「異なる意見について考えるのは楽しいか」などの質問に肯定的な回答をした生徒の方が、スコアが高い傾向が参加国全体で見られた。

     12年のPISAで実施された個人の「問題解決能力」では、日本は3位だった。


    異なる意見対応は苦手

    (略)協同問題解決能力調査は、今回初めて行われた。OECDは「グローバル化が進む現代社会では、多数の人の知識や経験を生かし て物事を成し遂げることが重要だ」と背景を説明する。

     調査は、コンピューター上の架空の友人らと協力して課題に取り組む設定で行われた。画面に示された発言を選んで会話を重ねるこ とで、互いの役割を決めたり、友人に適切な助言ができたりする能力を調べた。

     日本は全国の高校1年生ら約2000人が参加。OECD平均の500点に対し、トップのシンガポールは561点、2位の日本は552点だった。香港や韓国など東アジア勢の好成績も目立った。国立教育政策研究所の担当者は「問題解決のために、集団で力を出し合う日本の強みが発揮された」と話している。

     公表された問題の中で日本の正答率の高さが目立ったのは、課題に取り組む時に「とにかく始めよう」と急ぐ友人への対応を尋ねたもの。正答は「はじめにやり方を決めよう」で、OECD平均の55・7%に対し、日本は72・6%だった。

     一方、あらかじめ決めた担当以外の分野に取り組んだ友人への対応では、自分の担当分野に集中するよう注意することが正答とされ た。だが、日本ではこの友人を褒める選択肢を選ぶ割合が高かった。OECDの担当者は「友人を褒める選択肢は、効率的に問題を解決する視点に欠けている」と説明する。

     調査では、課題も浮かんだ。調査と同時に行われたアンケートで「異なる意見について考えるのは楽しい」と答えた日本の生徒は参加国・地域で最低の約67%。OECD平均は約85%で、東京大の白水始教授(学習科学)は「今回の好成績は、人間関係づくりを重視した学校教育の成果でもある。反面、異なる意見を認めることが苦手なことも分かった。今後は、意見は違って当然と思える授業を行うう必要がある」と指摘する。

     一方、この調査で実際協同問題解決能力が測れるのかという疑問の声もある。京都大の松下佳代教(教育方法学)は「他者の気持ちに配慮した言い方など、日常の場面で適切と思われる表現が不正解とされこともある」と語った。(読売新聞)


    読売新聞の記事では、「異なる意見対応は苦手」と表現している。こちらの記事のほうが現在の学校教育の結果をよく現しているように思える。こうした弱点を抱えたまま「道徳科」が教科として実施されるのはいささか寒気を感じる。ただ、OECDの発想がそのままスタンダードではないことも念頭におきながらこうした調査を見なければならないだろう。
    2015年PISA調査の結果は、「日本の平均点は「科学的応用力」が前回12年の4位から2位、「数学的応用力」は7位から5位と改善。「読解力」は4位から8位に、平均点も22点下がった」と報道されている。ちなみに今回の「チーム解決力」調査のトップ10は、シンガポール、日本、香港、韓国、カナダ、エストニア、フィンランド、マカオ、ニュージーランド、オーストラリアでOECD平均は500点。


    11月21日 全教 教職員定数改善で職場環境の整備を

     全教、働き方改革向け提言全日本教職員組合(全教)は20日、長時間労働が深刻な教員の働き方改革実現に向けた提言を発表した。学習指導要領による授業時間の増加や部活動などが負担増につながっているとして、教職員定数の改善や、教員に時間外手当の支給を 認めない教職員給与特別措置法(給特法)の改正を訴えた。

     全教には組合員から「朝6時から夜8時まで仕事が当たり前」「子どもがほしいが今の勤務状況では無理」との声が寄せられているといい、提言では「教職員がゆとりを持って活動できる職場環境が重要」と強調した。

     具体的こま、定数改善で少人数学級を実現させ、教員1人当たりの授業時間数に上限を設定することを提唱。給特法改正で、校長に よる勤務時間管理を制度化した上で法定労働時間を超えた場合は手当を支払う規定を設けることも求めた。

     部活動での休養日確保や、全国学力テストに代表されるような競争をあおる教育政策の転換も訴えた。


    全教もようやく給特法の廃止を求めることになった。すでに日教組は「廃止」の方針を打ち出している。文部科学省も正式ではないにしても給特法の廃止を求めているので、いわばオール教育関係で「廃止」の方向に動き出した形になっている。財務省がどう判断するかという問題だけが残る。ここでひとつだけ想起しておきたいことがあるのだが、給特法が成立する時に日教組(当時は全教関係者も日教組だった)は給特法に批判的な教員の議論を封殺してしまった。今回の「廃止」を求める日教組や全教の方針のなかにはその時の経過は一顧だにされていないのはなぜか?


    11月18日 府調査 「合理的配慮」1割しか知らず

     障害を理由とした不利益な扱いを禁止し、行政や事業者に可能な限り対応する「合理的配慮」を求める京都府条例を知っている府内の障害者は1割に満たず、「合理的配慮を求めたことがない」と答えた人が8割近くに上ることが、府の調査で分かった。昨年4月に府条例と同趣旨の障害者差別解消法も施行されたが、障害者が依然として不利益な扱いを受け入れていることで、合理的配慮が十分に広がっていない可能性がある。

     府は8月、本年度中に策定する次期障害福祉計画の施策に反映させるため、障害者手帳を持つ8千人を対象に調査を実施。3054人から回答を得て、調査結果を集計している。

     府が同法に先行する形で、2015年4月に施行した「障害のある人もない人も共に安心して生き生きと暮らしやすい社会づくり条例」につ いて、「知っている」と答えた人は9・6%にとどまった。「合理的配慮」を事業者に求めたことがある人は13・3%しかなく、求めたことがない人が75・8%と大半を占めた。

     府障害者支援課は「条例の認知度の低さに正直驚いている。障害者が不利益な扱いや合理的配慮について知らないため、こういう結果になったのだろう」と分析。「広報活動に力を入れ、条例を広く知ってもらいたい」としている。

     調査では、たん吸引や胃ろうなどの「医療的ケア」を必要としている障害者の斑53・2%が、短期入所(ショートステイ)を利用したいと回答したのに対し、実際に利用したことがある人は27・4%にとどまることも判明。医療的ケアが可能な短期入所施設が府内で7カ所しかなく、十分なサービスを提供できていないためとみられ、府は拡充に向けた施策を検討する。


    条例の概要には「障害者差別解消法及び障害者雇用促進法で規定された合理的配慮の提供について、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合に、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することがないよう、府は合理的配慮をしなければならないものとし、事業者は合理的配慮をするように努めるものとしています」とある。しかし、具体的に「合理的配慮」とはないかということについては理解しずらい。ここでの事業者は単に民間の事業者にとどまらず行政も含まれるから当然学校もその対象事業となるわけだけれども、分離教育が「合理的配慮」とされているところがほとんどのように思える。これでは、障害者、健常者双方にとって「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり」にはまだ距離があるように思える。


    11月10日 滋賀県教委 教員働き方改革で朝練中止も

     滋賀県教育委員会の第4回働き方改革推進会議が10日、大津市の県庁であり、教員の負担軽減に向け、すでに各学校で改革に取り組む市町教委が実践例などを発表した。

     東近江市教委は「時間外勤務週15時間・月60時間以内」や「部活動の朝練中止、週2日休養日確保」などからなる「五つの実践」を報告。9月には小中学校の保護者に、教員のすみやかな退勤と部活動指導の方針を通知したことを明らかにした。超過勤務の縮減が進み、保護者も前向きに受け止めているという。

     湖南市教委は、パソコンに勤務記録を管理するシステムを導入し、出退勤時間を把握していることを話した。超過勤務が月80時間以上の教員には管理職が面談し、指導しているという。竜王町教委は、テストの採点補助などを行う業務改善アシスタントを小学校に週16時間、中学校に週20時間配置し、学校支援統括マネジャーも活用し、負担軽減を図っていると説明した。

     5月から始まった会議は今回が最後。県教委の担当者は「これまでの議論内容を踏まえ、今後、なるべく早く県としての働き方改革の方針を示したい」としている。


    中教審よりもより具体的な議論が展開されたようだ。結果的には、人的な補助がより大きな効果をもたらしているように見えるが、一方でその人的補助にあたる人たちが「ブラックバイト」的な処遇に甘んじなければならいという事態は避けなければならないはず。

    11月10日 府教委 新昼間定時制高、定員は90人程度

     京都府丹後地域の三つの府立高分校を統合し、峰山高弥栄分校(京丹後市)の校地に2020年度に開校する昼間定時制高校について、府教育委員会は10日の教育委員会議で、総合学科を設置し、募集定員を90人程度とする方向で検討している、と明らかにした。

     統合するのは弥栄分校と宮津高伊根分校(伊根町)、網野高間人分校(京丹後市)。現在、伊根と間人の両分校が昼間定時制の普通科、弥栄分校が全日制の農園芸と家政の両科を設置しており、新校では各校の教育実践を生かしながら、単位制により生徒のニーズに応じて柔軟な教育を行う。

     現在3校の募集定員は各40人程度だが、1年生徒数は3校合計で64人と少子化が進んでおり、新校では募集定員を90人程度とする。学科内に設ける系列やカリキュラム、科目などは今後検討する。府教委高校教育課は「各校でこれまで培われてきた良さを取り込みたい」としている。


    府丹後地域の高校再編は避けられない事態だとは思われるが、地域の活性化と切り離せない問題。しかし南陽高の中高一貫高が府内一円からの応募を可能にするという高校制度とは矛盾はないのだろうか。


    11月6日 南陽高 来春付属中

     南陽高(京都府木津川市兜台)は来年4月に付属中を併設し、府南部で初の公立中高一貫校となる。英語教育や海外留学といった「グローバル教育」と、関西文化学術研究都市の立地企業や研究機関との連携を一貫教育の柱に掲げており、保護者の関心も高い。一方で、近隣中学への影響や受験競争の過熱を懸念する声もある。

     府教育委員会は、2004年に洛北高(京都市左京区)、06年に園部高(南丹市)、15年に福知山高(福知山市)に付属中を開校した。府南部でも進路選択の公平性から検討を進め、昨年7月に木津川市、同9月に精華町からの要望を受け、南陽高への設置を決めた。

     南陽高付属中は定員40人の1クラス。中2で中学の学習内容を終え、中3から高校の内容を先取りして学ぶ。英語は時間数を増やし、中3で英検準2級以上の習得を目標とする。

     高校は、全員がサイエンスリサーチ科に進み、高1で3〜4カ月の留学を奨励する。最終的に「TOEFL iBT」で米州立大に進学できるレベルとされる61点以上を目指す。

     高校受験がない「ゆとり」を生かし、中学からグループで探求学習に取り組む。学研都市の研究者による授業など、情報技術(IT)やライフサイエンスなどの分野で専門性の高い教育を進めるという。

     越野泰徳校長は「個性を多様に発揮し、新たな価値を生み出せる生徒を育てたい」と話す。

     南陽高付属中の通学圏は京都市を除く府内全域で、府南部の保護者の関心は高い。南陽高によると、これまで開いた4回の説明会に各回千〜400人が参加し、6割が同高に近い木津川市、精華町、京田辺市からで、4割が宇治市などだった。

     10月21日の説明会に参加した城陽市の母親(42)は「私学のように多彩な教育が期待できそう。学研都市との関わりが魅力」といい、木津川市の母親(40)は「京都市内の私学も考えるが、費用や通学時間が気がかり。ここなら自転車でも通えるし安心」と話した。

     府教委高校教育課によると、木津川市や精華町は例年、地元の公立中へ進学せず、私学などに行く児童が1割を超え、府内でも多い地域という。京都市内のほか、通学しやすい奈良県や大阪府の国立や私立中に進学する児童も多いとみられる。公立中高一貫校の誕生で、他府県に流出していた児童が地元にとどまることも考えられる。

     一方で、懸念も出ている。精華町は町内3中学のうち、南陽高に最も近い精華南中は近年、生徒数の減少が続いている。2025年度には1年生が1クラスになる予想だが、南陽高付属中に生徒が流れればさらに早くクラスが減る。

     町は、適正な学校規模が維持されることを望む意見を府と府教委への設置要望書に盛り込み、過度な受験競争が生じないよう配慮も求めた。

     町教委は「詰め込むだけが教育ではない。子どもの人間教育やさまざまな活動が十分できなくなるのであれば良くない」と説明する。


    府南部に「中高一貫校」がないというのは機会の平等を損なうという意見も燻りつづけていたのは事実。これまでの「中高一貫校」が競争を激化させて来たし、子どもの能力による選別も行ってきたことも事実。学力観がかつてとは異なりつつある時代に、能力を競わせる「中高一貫校」の新設が果たして適切な教育行政だろうか。


    11月5日 府教委 「部活負担軽減を」67%

     京都府教育委員会は、多忙化する教職員の働き方改革のために府や24市町・広域連合・中学校組合(京都市を除く)の教委が強化す べき取り組みについて、府内の公立学校の全教職員を対象に行つたアンケートの結果をまとめた。部活動指導の負担軽減や職務範囲の 明確化、教員配置の充実を求める意見が目立ち、府教委は調査結果を参考に対策につなげるという。

     調査は現陽のニーズを把握しようと、7月に実施した。休職者や非常勤を除く全教職員1万1260人のうち、約9割にあたる1万129人から回答を得た。

     中学、高校で長時間勤務の大きな要因となっている部活動指導について、中学校の67・7%が部活動に関する指針の策定や休養日の基準の明確化を求め、中高の6割以上が本年度から国が制度化した「部活動指導員」の配置促進を求めた。

     また、放課後の見回りなど学校と地域、家庭との役割分担を意識した「教員の職務の明確化」が重要との意見は61・7%だった。少人数学級での教育を行うための教員配置拡充を求めたのは66・3%。小学5、6年生での英語の教科化などを踏まえ、小学校で特定教科を教える 「専科教員」の配置が必要としたのは81・7%に上った。


    調査結果に特別注目すべき点はなく、これまでの各種調査により解決すべき問題点として上げられた項目が並ぶ。しかし、これまでモデル校など一部の学校を対象にした調査はあったが、全教職員を対象にしたアンケートを実施したという意味は大きい。改善すべき問題点は明確になったのだから実質的にどうしていくかが本気で問われる。京都市はこれをどう見ているのだろうか。


    11月2日 亀岡市 「放課後コピー機前に教員の列」

     京都府亀岡市で桂川孝裕市長と教育委員らが教育課題について意見交換する「市総合教育会議」が1日、市役所で行われた。教職員の長時間労働改善策や学校規模の適正化に関する説明に続き今後の方向性を検討した。

     桂川市長と田中太郎教育長、3人の教育委員らが出席。教育委員から「中学校教員の部活指導もきつい。小学校では放課後にコピー機の前に教員の列ができる。教職員会議が増えると児童のノート点検する時間もない」などの報告があった。

     また、「学校や地域の行事の付き添いが多く土日出勤が多いが、代休もとれず給与補てんもない」「市教委が行うアンケートはかえって現場の負担になる」との意見が出た。

     桂川市長は「専科教員や非常勤講師をうまく活用する方法を考えては」と提案した。

     このほか、放課後児童会(学童保育)を拡大する上で教室と人材が不足していることや、詳徳中で試行実施中の学校給食提供件数(1日10食程度)が報告された。


    府PTA協議会 教職員の働き方支援で声明

     京都府と府内24市町・広域連合・中学校組合(京都市除く)の教育長や教育委員の研修会が2日、京都市上京区のホテルであり、府PTA協議会が、多忙化する教職員の働き方改革を保護者も応援するとする緊急アピール文を発表した。

     アピール文では学校、家庭、地域がそれぞれ責任を持ち、相互の連携協力が重要とした上で、「協議会は教委と緊密に連携して働き方改革を応援」し、各自治体教委に「働き方改革の推進と教育施策の充実を要請する」としている。「国に教職員定数改善など教育条件の整備や充実を求める」との項目も盛り込んだ。

     研修会で、協議会の工藤和之会長が府市町村教育委員会連合会の山本和紀会長にアピール文を手渡した。研修会では、業務効率化や 授業実践で活用が進む情報通信技術(ICT)についても、講演や実践報告などで理解を深めた。


    教職員の働き方についての議論が各界各層で活発になってきたことは大きな前進。これに関して、府と京都市との温度差がますます目立ってくる。京都市の本気度が改めて問われることとなる。