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  • 「教育」改憲案  必要性、説得力乏しい.23
  • いじめ、認知件数9割超で解消せず.23
  • 「許し難い暴挙」と非難.23
  • 2月23日 朝鮮総連 「許し難い暴挙」と非難

     東京都千代田区の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の門を銃撃したとして、警視庁公安部に右翼活動家ら2人が逮捕された事件で、朝鮮総連の南昇祐副議長は23日、中央本部で記者会見し「許し難い暴挙だ」と非難した。

     南副議長は民族差別やヘイトスピーチといった抗議活動が総連本部前で毎週のように行われていることを挙げた上で「銃撃事件は質の違う問題だ」と指摘。「どんな背後関係や目的があったのか、警察に追及してほしい」と訴えた。

     公安部によると、逮捕された右翼活動家桂田智司容疑者(56)は過去に総連本部への抗議活動を繰り返し、北朝鮮を非難するデモに参加していた。


    コリアNGOセンター 朝鮮総聯中央本部への銃撃事件に対し、日本政府に厳正な対応を求める声明

     報道によれば、2月23日午前4時、東京・千代田区にある在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)中央本部の前に右翼団体の関係者2人が 車で乗りつけ、拳銃の弾を数発撃ち込む事件が発生した。犯人は右翼活動家の桂田智司容疑者(56)と右翼周辺者の川村能教容疑者( 46)であり、二人は警戒にあたっていた機動隊員により建造物損壊容疑で逮捕、容疑を認めているという。

     私たちは今回の事件は、在日コリアンはもちろん南北を問わず朝鮮半島に関わる者すべてに対するヘイト・クライム(テロ)であり、決して許してはならない凶悪犯罪であるとの認識のもと、日本政府に対する厳正な対応を強く求めるものである。

     ここ10年近く、日本国内ではヘイトスピーチの嵐が吹き荒れ、深刻な人権侵害が広がってきた。今回の事件を引き起こした桂田智司容疑者は、その渦中にあった人物であり、2013年には日本最大の在日コリアン集住地域である鶴橋に執拗にヘイトスピーチを繰り広げた団体の顧問として活動を主導してきた人物である。今回の事件の動機に差別・排外主義が横たわっていることは看過してはならないであろう。

     同時に、事件が起こったタイミングについても注視しなければならない。昨年来、朝鮮半島をめぐっては朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発、ミサイル開発をめぐって極めて緊張が高まり、朝鮮半島での軍事衝突が現実的な可能性として語られる情勢であった。しかしその時期ではなく、平昌オリンピックを契機とした南北対話・融和の流れが急激に進み、国際社会もそれを一様に歓迎し、朝鮮半島の平和共存に向けた新しい動きが進み始めたこの時期に、まさに今回の事件はおこされたのである。

     これは、日本の右翼・保守勢力にとって朝鮮半島で軍事緊張が高まることよりも、朝鮮半島で南北対話・融和の動きが進み、それを支持する国内外世論が広がることこそが敵視すべきものであり、否定すべきものと考えていることを図らずも露呈したものであると言えるだろう。

     しかし、朝鮮半島の平和・共存に向けた南北の対話への取り組みは今後も進められ、それを支援する国際社会の期待も寄せられていくことになるだろう。もちろん在日コリアンも南北を超えて互いに平和・共存、統一に向けた努力を積み重ねることに大きな期待と支持を送っていきたいと思う。

     そのような動きを敵視し否定する今回のような動きは、今回の事件を単発的なものとせず、計画的で連続的なものとしてゆく危惧がある。その対象が在日コリアン全体に向けた「ヘイト・クライム」へと拡大していきかねない重大な危機感を私たちは感じている。

     そういう状況をつくらないためにも、今回の事件に対して、日本政府として厳正に対応するとともに、2016年に施行されたヘイトスピーチ解消法の趣旨に則って、こうした事件は決して許されるべきものでないとの明確な立場を表明することを強く求める。

    2018年2月23日 特定非営利活動法人 コリアNGOセンター 代表理事 林範夫 郭辰雄


    この事件をマスコミは今後どのように報道していくのだろうか。ヘイトスピーチ・ヘイトクライムは、民主主義の根幹を揺るがすものであり一過性の事件だとみることは出来ない。また、「声明」が求めるように日本政府はこの時期にどのような姿勢を示すのかも注視しなければならない。


    2月23日 府教委調査 いじめ、認知件数9割超で解消せず

     京都府教育委員会は22日、京都市を除く府内の公立小中高校や特別支援学校を対象に独自に行っているいじめ調査の本年度2学期分の結果を発表した。重大事態は宇治市立小と府立高付属中でそれぞれ1件ずつあり、被害にあった児童生徒は2人とも不登校になっている。国が昨年度末にいじめ解消の目安を示したことを受けて今回調査から集計方法を変更し、解消していないいじめは、小中学校で認知件数の9割を超えた。

     府教委では国が義務づける年1回のいじめ調査と別に1、2学期に独自調査を実施している。昨年度末に国がいじめが解消された状態を「少なくとも3カ月を目安とする相当期間いじめがなく、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていない」と定めたことを受け、被害程度に応じて3段階に分けていた集計方法を今回調査から変更。「認知」と「解消」「未解消」「重大事態」に分類し、さらに未解消については、いじめ行為が止まっておらず被害者が苦痛を感じている「要指導」、行為は止まっている「要支援」、行為が止まり被害者が苦痛を感じていないが相当期間たっていない「見守り」に分けて集計した。

     府教委と宇治市教委によると、重大事態については宇治市立小の6年男子児童が同級生からとおせんぼされたり「あっち行け」と言われたりして昨年7月に約2週間学校に来られなくなり、2学期は10月末から不登校になっている。府立高付属中の被害生徒はかばんに「うざい」と落書きされ、部活動を辞めたことを同級生に非難されたと訴え、10月中旬から登校できていない。ともに欠席日数が重大事態の目安とする年間30日を超過。府教委は中学生の学年や性別を明らかにしておらず、今後はこの中学校内に学識経験者を交えた調査委員会を設置する方針。

     またいじめの認知件数のうち、小学校で91・8%、中学校で95・6%が解消されていないことも明らかになった。このうち「見守り」が小学校で認知件数の7割超、中学校で6割超を占め、「要指導」は小中ともに認知件数の1割を超えた。高校や特別支援学校でも「未解消」が8割超、「要指導」は高校で2割、特別支援学校では3割に及んだ。



    2月23日 【社説】 「教育」改憲案  必要性、説得力乏しい

     自民党憲法改正推進本部が教育に関する改憲条文案を固めた。

     教育を受ける権利などを定めた現行憲法26条1項に「経済的理由によって教育上差別されない」との文言を挿入し、新設する3項に教育環境を整備する努力義務を国に課す内容だ。教育の無償化は、財源難を理由に明記しなかった。

     経済的理由による教育上の差別禁止は、すでに教育基本法に盛り込まれている。無償化について、政府は中等・高等教育への段階的導入を掲げた国際人権規約を承認している。同党は昨年の衆院選で無償化を公約に掲げていた。

     現行法にある内容を改憲項目に加えながら、国際公約や選挙公約である無償化は明記しない−。条文案は一貫性に欠けると言わざるを得ない。本当に改憲が必要なのかどうかの説得力に乏しい。

     無償化に関しては、党内でも慎重論が根強かった。幼児教育から大学など高等教育までの全課程を無償にするには毎年4兆円超の予算が新たに必要との試算もある。

     一方で、日本の教育への公的支出が国内総生産(GDP)に占める割合は、経済協力開発機構(OECD)加盟各国の中で最下位(2014年)だ。多額の奨学金返済に苦しむ学生も少なくない。教育をめぐる格差は拡大している。

     憲法の条文を変えれば、こうした現状を改善できるのだろうか。むしろ健全財政に努め、教育に回す資金をいかに確保するかに国民的な議論が必要ではないか。

     条文案3項に、教育が「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担う」との文言が加えられたことにも違和感がある。こんな「定義」をされては、国家の役に立たないとされた学問や考え方が教育現場から排除されかねない。

     自民が改憲項目に教育を掲げた背景には、改憲の国会発議に向けて教育無償化などを掲げる日本維新の会の協力を得ようとの思惑が垣間見える。

     経済的理由で教育を受ける機会を奪われないことなどを掲げる維新の改憲案の一部を「つまみ食い」する形で多数派形成をしようとするのなら、条文案の趣旨とは裏腹に、教育を重視していないと批判されても仕方ない。

     先日の参院選「合区」解消に向けた案も含め、自民の改憲に向けた議論は粗っぽい印象を受ける。

     国の最高法規を変更しようとするプロセスがこんな調子で進んでいくのは、とても気掛かりだ。 【 2018年02月23日 11時5



    2月20日 【表層深層】 「働く人の視点」疑問

     裁量労働制で働く人の方が一般労働者より労働時間が短いとするデータは不適切なものだったと厚生労働省が認めた。裁量制は企業の労働時間管理が甘くなりがちで、過重労働に苦しむ労働者は多く、野党は政府が狙う対象拡大阻止に向け攻勢を強める構えだ。「働く人の視点に立つ」とうたう政府の働き方改革への疑問が生じかねない事態で、関連法案の行方に暗雲が垂れこめている。

     「厚労省が労働者の命を守れなかったら、誰が守るのか」。19日、国会で開かれた野党合同のヒアリングで、議員の厳しい追及に、厚労省の担当者は釈明に追われた。

     平身低頭の一方で、裁量制の対象者の労働時間が一般労働者に比べて短いのかどうかを改めて問われると「人それぞれだ」と開き直るような態度を見せる場面もあった。

     裁量制は仕事の進め方や働く時間を自ら決められる人が対象とされ、政府や経済界は「多様で柔軟な働き方になる」とメリットを訴える。

     だが、あらかじめ決まった「みなし時間」を超えて働いても原則として残業代が支払われず、長時間労働の温床になっているとの指摘も根強い。

     労働問題に詳しい市橋耕太弁護士は「企業に労働時間を減らす動機づけがなく、時間管理がおろそかになる傾向がある」と説明。そのため過労死遺族からは、裁量制の対象者が過労死や過労自殺した際、遺族側が労災申請しようとしても労働時間を算定するのが難しいとの声が上がる。

     働く現場の現状は厳しい。東京都内の編集プロダクションで雑誌の編集や記事執筆を担当し、裁量制が適用されていた30代女性は、繁忙時は未明まで働き、早朝6時どろには出勤する生活を強いられてきた。多い月の残業は約100時間に上ったが、給料は約18万円の基本給に4万5千円の手当のみで、時給に換算すると東京都の最低賃金に近い額にすぎなかった。

     働き過ぎの末、昨年11月に体調を崩し退職。労働組合「裁量労働制ユニオン」(東京)に加入し、未払い残業代を求めて会社側と交渉した。この時、裁量制で働いていたと初めて知った。「後から裁量制だと知らされるなんて驚いた。業務量が多過ぎて残業せざるを得なかった」と憤る。

     ユニオンの坂倉昇平代表は「特に中小企業で残業代を抑えるために導入されるケースが目立つ」と実情を明かす。

     政府の働き方改革関連法案は、長時間労働是正を目的に残業時間の上限規制を設けることが柱。一方で、裁量制拡大や高度プロフェッ ショナル制度といった労働時間規制の緩和策も含まれ、野党は「抱き合わせだ」と批判の照準を合わせる。

     今回の間題はこうした緩和策が法案のアキレス腱(けん)になりかねないことを示した。厚労省幹部はデータを不適切だったと認め、謝罪したことに「そうしないと持たない」と漏らした。

     野党は法案提出断念を要求、過労死遺族は、まずは裁量制の詳細な実態調査が必要だとする。ただ、自民党の厚労族議員の一人は「党内で労働時間のことを話題にする人は少ない」と話し、法案提出を巡って温度差も残る。法案を提出し、今国会内での成立ができるのか予断は許さない。


    過労死遺族 怒りと批判

     「きちんとした実態調査が必要」「これ以上、悲しむ遺族を増やさないで」。厚生労働省が出した裁量労働制に関するデータが不適切に処理されていたことを受け、過労死遺族から怒りや批判の声が上がった。識者は「政策の信頼が失われる」と指摘した。

     19日に開かれた野党合同ヒアリングで、不適切な処理を認め、謝罪の言葉を繰り返す厚労省幹部。2013年7月に過労死したNHK記者佐戸未和さん=当時(31)=の母恵美子さんは「(娘は)長時間労働が野放しにされ、過労死に至った」と憤った。

     佐戸さんの過労死を受け、NHKは、昨年4月から記者職に裁量労働制を導入している。「(裁量労働で働く人のうち)実際に裁量権を持って働ける人はほんの一握りしかいない。これ以上、対象を広げ、悲しみのどん底に落とされる遺族を増やさないでほしい」と、政府が進める対象拡大に反対の声を上げた。「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表は「本当に残念。厚労省が出すデータに限っては間違いのないものだと信じてきた。誠実な対応をしてほしい」と批判。「きちんと実態調査して納得ができる形で法改正してほしい」と訴えた。

     日大の岩井奉信教授(政治学)は「単に説明を間違えたという話ではない。政府は法案を提出する前に一度立ち止まり、論拠となる 数値やデータを検証し直す必要がある」と話している。


    「働き過ぎ」や「過労死自殺」ということばが間だ一般的ではなかった1991年8月に電通社員大嶋一郎さん(当時24歳)が過労死自殺していることを知って驚いた。30年近くも前に同じような状況に働く者は立たされていたにもかかわらずほとんど対策が打たれなかったのだ。今回の「働き方改革」がそのための施策だと政府は言うが、実際は「労働者不足」を補うための長時間勤務容認法案だととの批判は、その通りだ。


    2月17日 学テ 19年度から新形式

     文部科学省は16日、小学6年と中学3年の全員が対象の全国学力テストに関する専門家会議で、出題教科の国語と算数・数学について、基礎的知識と知識活用力を別々に問う現在の在り方を見直し、双方を一体的に扱う薮形式の問題を検討する考えを示した。2019年度からの適用を目指す。

     20年度以降に全面実施される小中学校の次期学習指導要領が「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」との結びつきを強める学習を掲げており、こうした学びの変化を踏まえ、文科省は出題形式の改善が必要と判断した。

     専門家会議のこれまでの議論でも、07年度のテスト開始から10年が過ぎ、児童生徒の学習課題の把握と学力の底上げが進んだとして「現行の出題方弐は一定の役割を果たした」との意見が出ていた。

     文科省によると、具体的な問題の設計や試験時間などの詳細は固まっておらず、専門家の意見を踏まえて引き続き検討する。3月にも新たな問題のイメージを示したい考えだ。

     全国学力テストで毎回実施されている国語と算数・数学は、主に知識を尋ねる「A問題」と、活用力を見る「B問題」に分けて問題 が作られている。各教科の試験時間は現在、小6は60分(A問題20分、B問題40分、中3は90分(A問題45分、B問題45分)となっているが、会議では子どもや学校現場の負担を考え「問題を一体化させることで、試験時間を集約させることが必要だ」などの意見も出ている。

     これまでの学力テストの結果をみると、都道府県別で得点が下位の県の成績が徐々に全国平均に近づく傾向にあることから、文科省は学力の底上げが進んでいると分析。一方、小6と中3ともにB問題の正答率が低い結果が続いており、知識の活用力や表現力の育成が課題となっている。


    毎年かつ悉皆の学力テストへの批判は強い。果たしてこうしたテストが必要なのかという声は現場からも消えない。こうした声に文科省はこたえてこなかった。こん回の「見直し」はそうした批判をかわすものと受けとめられそう。


    2月17日 大阪地裁 元顧問に半額負担命令

     大阪市立桜宮高バスケットボール部の主将だった男子生徒=当時(17)=が2012年、体罰を受けて自殺した問題を巡り、市が遺族に支払った損害賠償金の半額を負担するよう元顧問の男性(52)に求めた訴訟の判決で、大阪地裁は伍日、請求通り約4300万円の支払いを命じた。

     長谷部幸弥裁判長は判決理由で、元顧問が今年1月の初弁論に出廷せず、反論する書面の提出などもしなかったため、市側の主張に対して争う意思がないとみなし、請求する損害額も妥当と判断した。

     判決によると、生徒は元顧問から暴力や暴言を繰り返され、12年12月に自宅で自殺。元顧問は暴行と傷害の罪に問われ、懲役1年、執行猶予3年の判決が13年10月に確定した。

     遺族が同年12月、市に約1億7千万円の損害賠償を求めて提訴した訴訟では東京地裁が16年2月の判決で元顧問の責任を認め、市に約7500万円の支払いを命じ、双方が控訴せず確定。

     市は遅延損害金を含めて遺族に支払った約8700万円の半額を負担するよう元顧問に求め昨年11月に提訴していた。

     市教育委員会は「市の主張が認められた」とコメントした。


    「国主導で現場意識改革を」

     息子の死を教訓に対策を進めてほしい 。2012年12月、大阪市立桜宮高バスケットボール部の主将だった男子生徒=当時(17)=が顧問による体罰を受け、自ら命を絶って5年余り。両親は教育現場での暴力根絶を求めながら、その難しさも感じている。「国が主導して意識を変えなければ。大きなかじ取りが必要だ」と願う。

     大阪府内から転居した関東地方の自宅。仏壇脇には笑顔の遺影やボールが置かれ、何十枚もの競技中の写真が壁を飾る。16年春、市や元顧問の責任を問うた裁判が終結。さらに1年ほどたち、長く手元にあった遺骨を寺に納めた。のど仏の骨だけは手放せなかった。

     「息子の名誉を守り、同じように苦しむ子どもたちの支えになる」との思いで裁判を闘った。父親(48)は「ずっと気を張っていたが、息子とゆっくり向き合える生活になってきた」と話す。

     生徒の死を受け、文部科学省は全国の教育委員会向けの通知で指導と体罰の線引きを明確化し、部活動指導のガイドラインに「勝利至上主義」の否定を明記した。両親はこうした動きに期待を寄せるが、大阪府内でも体罰のニュースがなお絶えず、心を重くする。

     当事者に反省を迫る思いも強い。大阪市は17年11月、遺族への支払い分の半額を負担するよう元顧問に求め提訴。大阪地裁は16日の判決で請求通りの支払いを命じた。元顧問は法廷に現れなかった。父親は「誠意が感じられない。自分の耳で聞いてほしかった」と悔しさをにじませた。今後も判決が履行されるか、対応を見守る考えだ。


    体罰はいうまでもなく容認する事はできないのだが、「公務」としての部活指導において起こった事件で個々の職員が賠償責任の対象となるのかどうかという疑問がないでもない。個々の職員が直接被告となる場合もあり被告人となる場合もありうる。この場合大阪市教育委員会が、当該の職員を訴えたというレアなケースなのだろうか?


    2月15日 NGO調査 子どもの体罰「容認」国内で6割

     非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は15日、しつけに伴う子どもへの体罰に関し、国内の2万人に意識調査をすると「他に手段がない時」を含めて6割近くの人が容認していたと発表した。世界で初めて全面的に法律で禁止したスウェーデンでは体罰を認める人は1割しかいないといい、対照的な結果となった。

     昨年7月、ネットを通じ、子どもを持つ男女計1万人と、持たない男女計1万人にアンケートを実施。

     しつけのための体罰は「積極的にすべき」が1・2%、「必要に応じて」が16・3%。「他に手段がないと思った時」が39・3%で、容認が合計57%近くに上った。



    2月15日 高校指導要領 「公共」「歴史総合」新設

     文部科学省は14日、2022年度の新入生から順次実施する高校学習指導要領の改定案を公表した。「国家や社会の形成者に必要な資質・能力を育む」として、公民で必修科目「公共」を新設。安全保障などを取り上げ主権者教育にも注力する。地理歴吏では近現代の日本史と世界史を統合した「歴史総合」を設け必修とし、固有の領土も明記した。大学入試改革を踏まえ、英語は「読む・聞く・話す・書く」の4技能育成を重視するなど、55科目中27科目が新設や見直しとなる大幅再編となった。

     改定案は全教科で「主体的・対話的で深い学び」の実践を柱に掲げ、科目ごとに指導内容を詳述。卒業単位は74以上のままで教育内容は削減せず、指導要領の記述の分量は現行の約1・5倍に増えた。文科省は「学びの最低基準を示す指導要領の性格は変わらない」と強 調。高校指導要領は09年以来の全面改定。意見公募を経て17年度中に告示する。

     地理歴史の一部科目では、昨年告示の小中学校の次期指導要領と同様、竹島(島根県)と尖閣議島(沖縄県)を「固有の領土」と初めて明記し、公民の一部でも「竹島・尖閣」を記載。韓国外務省は「不当な主張だ」として在韓日本大使館の総括公使を呼んで抗議。中国も反発しそうだ。


    【表層深層】批判的意見尊重されるか

     文部科学省は、高校の学習指導要領改定案に、新たな必修科目「公共」を盛り込んだ。当初は規範意識を重視した“高校版道徳”になるのではないかともささやかれたが、内容は主権者教育や公民教育といった穏当なものに。主体的な社会参画を高校生に促すなど、多様な学びの可能性は広がった。現状に批判的な意見が、教室でも尊重されるかどうかが新科目の成否を握りそうだ。

     高校の新科目「公共」の創設は、2012年衆院選の自民党政策集で掲げられた。規範意識などの道徳的側面が強調されたが、その後党内でも議論があり、自立して生きる若者を育てる観点から「社会生活の幅広いテーマを学習する」との提言に落ち着いた。

     中教審の論議を踏まえた今回の指導要領案は、暗記中心になりがちだった現行の「現代社会」の内容を取り込みつつ、一人一人が現実的な問題にどう関与するかを考えさせる内容に改まった。

     転機となったのは、18歳が投票できるようになった14年以降の国民投票法改正や公選法改正だ。15年には、文科省がそれまで禁じていた高校生の政治活動を一転して容認するなど、高校生を巡る環境は様変わりした。

     文科省によると、公共は「政治参加と公正な世論の形成・地方自治」「国家主権、領土」といった13項目を、生徒の日常生活と関連づけて指導する。各テーマを討論や模擬選挙などを通じて考察し、生徒に関わる問題としての学習を目指す。

     17年6月。「納得いかん。高校がどんな貢献をしているんだ」。熊本県甲佐町の町議会傍聴席。「教育魅力化事業」として熊本県立甲佐高に支出される約2千万円について、傍聴の男性が同高の3年生に問いただした。生徒たちは政治経済の授業の一環で議会を訪れていた。

     この経験を受けて、前田未宙教諭(41)は町の予算を授業の主題に取り上げた。熊本地震からの復興に取り組む町の予算は約100億円。歳出、歳入に関する資料を見ていた生徒が「魅力化事業は生徒1人当たり17万6千円だ。多すぎではないか」と指摘すると、他の生徒に驚きが広がった。

     生徒たちは、自ら納税者と受益者の関係を学び始め、約2千万円がどのように使われれば納得が得られるかを議論。「路線バスの本数を増やす」「避難場所になる校舎の耐震工事」などの使途が提案された。前田教諭は「自分事として捉え、知識が血肉になりやすくなった」と振り返る。

     文科省の担当者は「身近な課題に問いを見つけ、主体的に学んでいく公共の内容を先取りしたような実践」と評価する。

     文科省は高校生の政治活動を容認する一方で、教員には「政治的中立」の確保を要請している。自民党は16年、教育現場で政治的中立を逸脱する教員がいないかを把握するとして、党のホームページで「不適切な事例」の報告を呼び掛けた。

     専門家の間では「公共には、国家や体制とは切り離された立場で批判的に討論する市民的公共性と、国家や社会に対する義務を前提とした公的な公共性がある」というのが定説だ。

     開智国際大の坂井俊棚教授(社会科教育)は、指導要領案には両者が混在しているとしつつ、13項目は選挙や裁判への参加など公的な公共性に基づいていると指摘。

     「現状の社会制度にどう参加するかではなく、制度の是非も議論する自由が教育現場にあるかどうかが重要だ」と述べた。


    東大の本田由紀教授(教育社会学)の話 政権の意向反映

     高校の学習指導要領改定案で新設科目となった「公共」は主権者教育を重視して政治や経済、法律を学ぶとしているが、政治参加に絡めて国家主権や領土を扱うなど、今の政権の意向を反映している。国語や倫理などでも至る所に日本の文化や伝統を重んじる記述が盛り込まれており、国を愛し、全体に貢献「する「資質」を生徒に持たせようという狙いが顕著だ。ただ教員の創意工夫で、そうした意向を薄める教育もできるのではないか。


    【解説】「大綱」位置付け薄らぐ

     高校の学習指導要領改定案は大幅な科目再編に伴い、記載量が増えた。指導内容や狙いを詳述したためだが、現場の創意工夫を引き出すための最低限の学習内容を示す「大綱」と位置付けられてきた指導要領の特性が薄らぎ、新しい授業のマニュアルと化した感もある。

     「主体的・対話的で深い学び」「大学入試改革への対応」など、大きな目標を掲げつつ「何ができるようになるか」も具体的に記した。丁寧さの背景には、団塊世代教員の退職で指導経験が継承されにくくなった実情があり、若手教員に「学びの地図」を示そうという意図も理解はできる。

     ただ、高校は生徒の進路に応じて多彩なカリキュラムを組めるのが義務教育との大きな違いだ。法的拘束力のある指導要領が詳しくなりすぎると教える側の裁量が狭まり、授業をしにくくなることが懸念される。

     例えば新設の「公共」は「政治参加や公正な世論の形成」を扱うよう記したが、文部科学省は従来、学校の政治的中立も強く求めており、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるように映る。実際、昨年の衆院選に際して主権者教育を進めた教員か らは「どこまで授業で扱えるのか」と悩む声が聞かれた。

     文科省は「具体的な指導方法は縛っていない」と強調する。「主体的な学び」を重視するのであれば、「どう教えるか」という指導上の課題は現場で議論すべきだというメッセージも明確に伝えることが重要だ。


    かつて「ゆとり教育」といわれる指導要領が示されその目玉が「総合的学習」だったことを思い出す。文科省内での議論で「理想」とされたものだっただろうし、現場では戸惑いながらも新しい可能性に希望を持ったものだった。しかし、その時も政治的な思惑から「脱ゆとり」が喧伝され結局換骨堕胎なった。今回も「公共」に新しい主権者(シティズンシップ)教育への可能性を見ることが出来る。しかし、旧教育基本法が改正され「国を愛する心」が重視されるなかでの「公共」や「歴史総合」に期待出来るのだろうか。やはり現場の鋭敏な感覚が政治性を含みつつ中立的な深い議論を保障ということになるのだろう。


    2月14日 小5中2体力テスト 女子の体力、最高更新

     スポーツ庁は13日、小学5年と中学2年の全員を対象に実施した2017年度全国体力テストの結果を公表した。小5女子は4年連続中2女子は3年連続で、いずれも実技8種目の合計点の平均値が08年度の調査開始以降で最高を更新。体育授業を除いた1週間の運動時間を「60分未満」と答えた割合もここ数年で大きく減少した。小5と中2の男子の平均値はおおむね横ばいだった。

     運動習慣が少ない層は女子に多く、各地の学校では、休み時間に全校で外遊びをする活動を自治体と連携して実施したり、生徒会主催でレクリエーション大会を行ったりして、運動時間の確保に努めている。スポーツ庁は「こうした地道な取り組みが女子の結果を底上げし、平均値の上昇にもつながった」と分析している。

     合計点(80点満点)の平均値は、小5女子が55・72点(前年度55・54点)、中2女子が49・80点(同49・41点)。小5男子は54・16点(同53・93点)、中2男子は41・96点(同42・00点)だった。

     運動時間を「60分未満」とした割合は、小5男子が6・4%、中2男子が6・5%だったのに対し、小5女子11・6%、中2女子19・4%で、女子が大きく上回った。ただ、女子はここ数年でこの割合が大きく減少しており、13年度と比べると、小5で9・4ポイント、中2で10・4ポイントそれぞれ改善した。

     種目別の平均値をみると、中2女子は、握力とボール投げの2種目を除きこれまでの記録を更新。小5女子も50メートル走など4種目で過去最高だった。小5男子は上体起こしなど3種目で過去最高だったが、ボール投げは低水準。中2男子は前年度に続き握力とボール 投げが過去最低となった。

     中2生が小5だった3年前の調査結果との比較分析では、中学校への進学に伴い、運動時間が増加する生徒と減少する生徒が二極化し、女子は男子に比べ減少する生徒の割合が高かった。


    部活休養日「なし」11%に半減

     全国の国公私立中学校のうち、運動部活動に休養日を設ける決まりがないのは2017年457月の時点で11・2%で、前年より半減した ことが13日、スポーツ庁の調査で分かった。一方、「週1日」とした学校は60・2%を占め、休養日を設けている学校のうち「土日に設けていない」とした回答は前年より4・2ポイント減の21・7%だった。

     運動部活動のやり過ぎは顧問の負担増や生徒のけがが懸念されており、教員の間からも「週末は部活動で休めず、家族との時間かない」などと切実な声が上がる。そうした中、スポーツ庁は1月一週2日以上を休養日、1日の活動は平日2時間、休日は8時間程度までに抑える」とした中学校都活動のガイドライン骨子案を示した。

     今回の調査では、休養日が「週2日」は20・6%、「週3日以上」は3・8%にとどまった。ただ、静岡市教育委員会など一部の教委は独自に休養日を設けるといった対策を国の動きに先駆けて示している。スポーツ庁は「休養日がない学校は減ってきており、徐々に『休養が必要』との認識は学校現場に浸透しつつある」とみている。

     調査によると、運動部に所属する生徒の平日の平均活動時間は男子約114分、女子約115分で2時間以内に収まったが、土曜日は男子約215分、女子約225分で3時間を超えた。日曜日は男子約161分、女子約158分だった。


    府内小中 全国平均下回る

     スポーツ庁が13日公表した2017年度全国体力テストの結果では、京都府の小学5年男女と中学2年男女の体力合計点が、いずれ も全国平均を下回った。過去5年間で13、14両年度の中2男子を除き、体力合計点は平均以下が続いている。

     調査では、小学生の総運動時間が全国と比べて低い傾向にあることが浮き彫りとなった。京都府教育委員会は幼少期から運動習慣を身に付けてもらおうと、気軽にできる運動を紹介した冊子「運動遊びガイドブック」を昨年に作製し、京都市を除く府内の公立小や幼 稚園に配布している。

     府教委保健体育課は「各学校には、それぞれの児童生徒に合った取り組みを積極的に行うように呼び掛けたい」としている。

     平均身長は小5男子139・05p(全国138・88cm)、同女子140・09cm(同140・08cm)、中2男子160・01cm(同159・98cm)、同女子155 ・02cm(同154・87cm)。平均体重は小5男子33・59kg(全国34・05kg)、同女子33・59kg(同33・95kg)、中2男子47・91kg(同48・58kg)、同女子46・02kg(同46・71kg)。身長はいずれも全国平均を上回ったが、体重は全て下回った。



    2月10日 京都市 労働時間を把握へ

     京都市交通局は、男性職員が2013年10月に過労死ラインの月100時間を超える残業が原因で自殺した問題を受け、職員課の担当者や上司が職員のパソコンの稼働時間を把握するシステムを18年度から導入する方針を決めた。職員の労働時間を正確に知り、サービス残業防止を目指す。

     労働時間を把握する新システム導入の対象は、市バスや地下鉄の運転手らを除く管理部門の約200人。職員は上司に残業時間を報告して承認を受けるが、報告時間以外にもパソコンが稼働していた「サービス残業疑い」のケースがあったという。システム導入で正確な労働時間を把握して、残業抑制を呼びかける。

     市交通局職員課は「再発防止を願う遺族の思いを受け止め、勤務状況の把握と健康管理を進めたい」としている。

     市交通局によると、当時43歳だった職員は13年10月31日に自殺した。14年4月からの消費税増税に伴う市営地下鉄と市バスの運賃改 定を担当し、死亡前1カ月の残業は100時間30分だった。労使協定(三六協定)の残業上限は80時間だが、同局は「公務のため臨時の必要がある」として上限を超える残業を認めた。

     遺族が16年6月、市に安全配慮義務違反があったとして約1億1700万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴。今年1月、市が「勤務状況への配慮が不十分だった」と謝罪し、遺族に5千万円を支払う和解案に合意した。


    5年前には「働き方改革」という言葉はまだ一般的ではなかった。長時間働くのが美徳であるかのような雰囲気がどの職場にもあった?そしてある種の生産性を上げるのが管理職の役割でもあっただろう。学校においても全く例外ではない。そうした中で、「時間管理」が再発防止策のような捉え方をされているが本末転倒で過剰労働を行わない職場作りが管理職の役割であり責務である。改めて労基法違反であることを再認識する必要がある。その上での時間管理(記録)でなければならない。


    2月9日 市教委分当初予算 働き方改革や校舎建設推進

     京都市の18年度当初予算案のうち、教育委員会分は前年度比1・9%増の1094億5600万円を計上した。新設校の校舎建設など施設整備費が前年度から25億3400万円増えた。

     教職員出退勤管理システムの開発、部活動指導員や校務支援員の配置など働き方改革推進に2億4900万円を充てた。18年度から全小中で先行実施する新学習指導要領の実践研究などに6600万円、高校での通級指導実施などに1300万円を盛り込んだ。

    【追記10日分】スクールカウンセラー配置時間拡充などいじめ防止に3億7300万円。明治維新150年のイベント開催に1500万円、国際博物館会議開催にむけたガイドブック改定などに3100万円。


    滋賀県教委 学校「働き方改革」でスタッフ

     滋賀県教育委員会は、学校の働き方改革の一環として、新たに配置する「スクール・サポート・スタッフ」と「部活動指導員」の人件費として、計約2990万円を計上した。

     「スクール・サポート・スタッフ」は約2290万円。教員が授業の準備などに専念できるよう事務作業を手助けする役割で、市町教委への補助金として38人分の予算を計上した。

     部活動指導員は約690万円。外部の指導員が正式に「学校職員」として位置付けられたことに伴う措置で、市町教委への補助金として20人分の予算を計上した。週3回、2時間程度の指導を想定している。

     県教委は教員の長時間労働が社会問題化していることを受け、超過勤務が月45時間以上の教員の割合を減らすことを目標に掲げ、部活動の休養日も設定している。


    市教委の「教職員出退勤管理システムの開発」に予算を充てる必要があるのかどうか?すでに長時間勤務の実態というのは明白であり、必要なのはどれだけ業務を削減するかということだろう。「管理」ということばからは「勤務時間を守らないのは学校現場」という考え方が底にあるのでは、と思ってしまう。


    2月6日 京都・公立高 前期選抜、全日制の志願倍率平均2・2倍

     京都府教育委員会と京都市教育委員会は6日、2018年度公立高入試の前期選抜の志願状況を発表した。全日制の志願倍率は平均2・20倍で、前年度と比べて0・14ポイント減った。最も高かったのは山城高(普通科・A方式1型)の6・29倍だった。

     前期選抜は全日制と定時制の計59校(分校含む)で行い、定員の100〜20%を募集する。全日制は募集人員5407人で志願者は1万1919人だった。定時制は29人(募集人員40人)が志願した。全日制と定時制を合わせて公立中卒業予定者の59・7%が出願した。

     普通科は、募集人員2880人に対して志願者は7700人で倍率2・67倍。上位5校はいずれも普通科で、山城高以下は、鴨沂高A方式1型の6・02倍、日吉ケ丘A方式の5・48倍、鳥羽高A方式1型の5・20倍、亀岡高A方式1型の4・90倍と続いた。

     府教委によると、普通科(一部除く)の募集割合を総定員の20%から30%に引き上げた山城通学圏では全体的に倍率が下がった。前年度に倍率トップだった田辺高A方式は定員を20人から40人に増やしたため、倍率は7・00倍から3・60倍となった。

     通学圏を越えて受験できる全日制の専門学科は募集人員2376人に対して志願者4023人の1・69倍だった。

     試験は16、17日に実施されて22日に合格発表がある。



    2月6日 文科相 大学入学共通テスト複数回検討

     林芳正文部科学相は6日の衆院予算委員会で、2020年度から現行の大学入試センター試験に替えて実施する大学入学共通テストの年複数回実施について「高校教育への影響を考慮し、運営の負担や技術の進展も見据えながら、24年度以降の実現可能性について検討を進めたい」と述べた。

     安倍晋三首相も「高校から大学に行くときに1回の試験だけで全てが決まるというのは、ほかの先進国ではほぼ例がない」と指摘。「大雪に遭ったり、体調が悪かったりしたら、自分の人生が相当決まってしまうということにもなる」とも述べ、複数回実施の検討の必要鮭を強調した。自民党の石崎徹氏への答弁。

     共通テストは大学入試の知識偏重や一発勝負からの脱却を目指して導入が決まった。中教審は14年12月、受験機会を増やすため年複数回の実施を提言。しかし文科省の専門家会議が制度設計を進める中で、夏や秋に日程を確保すると高校の授業や学校行事に影響が出るほか、会場を提供する大学側の体制整備も難しいなどと異論が続出した。


    「一発勝負」というのは受験する側にとっては厳しいとは言える。しかし、「大学入学共通テスト」の複数回実施がそれを解決する方法だろうか。おそらく実施となれば「試験範囲」や英語の4技術もふくめて教育産業がますますその力を発揮するように思える。首相の「耳障りのいいことば」だけでは、問題の解決にはならない。


    2月1日 滋賀県教委 教員の残業減へ数値目標

     教職員の長時間労働が社会問題化していることを受け、滋賀県教育委員会は31日、学校での働き方改革の取り組み方針を発表した。平日の退勤を午後7時までとし、月の超過勤務が45時間超の教員を減らす割合を定めるといった数値目濃を掲げた。教員の負担が大きい部活動も中学校で週2日以上の休養日を設定し、中学、高校とも朝練習を原則実施しない方針を示した。

     教職員が健康で子どもと向き合う時間を確保するため▽業務の見直し、指導体制の充実▽部活動の負担軽減▽専門性を持った多様な人材の活用▽家庭や地域の力を生かす▽教職員の勤務時間費理―を5本柱に掲げた。取り組み期間は2020年度まで。

     超勤を45時間までとしたのは、時間外労働に関する労使協定(三六協定)の基準を参考にした。45時間超の教員は16年度の文部科学省全国調査で小学校が81・9%、中学校が88・9%、県教委調査で県立学校が28・6%に上っていたことから、小学校で40%以下、中学校で50%以下、県立学校で15%以下にする。週1日以上の定時退勤日を設け、16年度で平均10・6日だった有給休暇取得日数も14日以上を目指す。

     高校の部活動は、週1日以上と4週につき2日以上の土日休養日を設定。活動時間は平日の中学校でおおむね2時間、高校で3時間以内とする。

     昨年5月から有識者を交えた会議で方針を議論してきた。会見した青木洋教育長は「複雑化する教育課題に対応しながらの改革で非常に難しいが、絵に描いた餅で終わらないよう、地域の理解を得ながら取り組みを進めたい」と話した。


    「働き方改革」の本気度が問われる中、滋賀県教委は検討の体制も含めて積極的的な姿勢が評価できる。逆に京都市教委は実態調査なども不十分で、問題意識も明確ではない。この違いはなになのだろうか?現場教員への不信感が市教委にあるとすればおのずとその教育の質にも問題が出てくるのではないか。