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  • 【新連載完結】高校のゆくえ
  • コロナ禍 ネットいじめ増.23
  • 市立校393学級閉鎖.26
  • 児童の自宅待機増.27
  • 基本法案、調整難航も.28
  • 「望む進路選択できる社会に」.28
  • タブレット本体費一部支援.29
  • 1月29日 府教委 タブレット本体費一部支援

     京都府教育委員会は、2022年度から府立高の新入生全員にタブレット端末を購入させるのに伴い、端末事体購入費の3分の1(上限1万円)を支援することを決めた。府教委は「保護者の経済的負担を軽減したい」としている。

     小中学校では20年度中に国が児童生徒1人に1台のコンピューター端末を配備したが高校は未整備のため、府は生徒に端末を購入してもらい、授業で活用することにした。ただ制服代など必要経費が多い入学時にさらに出費がかさむと家庭の負担が増えるため支援制度の創設を決めた。

     端末は各学校が指定するが、iPad(アイパッド)を推奨する予定。本体は3万円強、キーボード付きケースや設定費を含めると6万円前後(タッチペンを除く)になる見込み。年収472万円未満の雄作は支援額を3分の2(上限2万円)に引き上げる。22年度の府一般会計当初予算案に事業費1億9600万円を計上した。

     昨年8月に文部科学省が都道府県に行った調査では、大阪など18府県が公費で端末を購入し、公立高の生徒に貸し出す方針と回答した。一方、京都や滋賀など21都道府県は保護者負担としており、対応が割れている。京都府教委は「端末は家庭での学習にも使うため自費購入にした。他にも学校でのさまざまな経費を圧縮し、家庭の負担を抑えたい」としている。

     府は府内の私立高の新入生がタブレット端末を購入する際にも支援をするため、4700万円を同予算案に計上した。支援額は府立高と同程度を見込むが、学校によって状況が異なるため詳細は今後詰める。


    自費購入は「家庭での学習にも使う」ということなのだがどのような使い方を想定しているのだろうか。「情報T」が必修化され共通テストでも試験科目に追加されることになるという流れの中なのだろう。しかし、仮にプログラミング教育のためであるとするならiPadのOSであるiOSはandroidアプリの開発には全く役に立たないし、逆もまた然り。汎用性のあるLinuxの開発ではタブレットは適していない、などなどの意見がある。つまり家庭での学習に使うとすると、検索エンジンか電子化されたドリルといったものが思い浮かぶだけだ。そのために購入する必要があるのだろうか、貸与にするのがいいと思える。


    1月28日 Crono 「望む進路選択できる社会に」

     大学4年間で数百万円に及ぶ学費。大学生の2人に1人がなんらかの奨学金を借りているとされ、社会人になってからも返済に苦しんでいる人は少なくない。

     返済する必要がない給付型奨学金の紹介サイトを運営する「Crono(クロノ)」(東京都千代田区)の高温龍社長(33)は「生まれた環境に関係なく、望む進路が選択できる社会を作りたい」と語る。

     給付型奨学金の探し方は、まず通信アプリ「LINE」でクロノの公式アカウントを追加して登録。学年や出身地、親の所得など基本情報を入力すると、条件に合う奨学金を無料で検索できるシステムだ。

     同社は2020年にサービスを始め、これまで約1万人に財団や企業、地方自治体の奨学金情報を提供した。給付型は全国で4000件ほどあるとされ、うち約2000件をクロノのサイトで紹介している。毎月、奨学金に関する勉強会も開いているが、参加者の8〜9割は給付型の存在を知らないという。「貸与型も返済を肩代わりする企業や自治体があり、返済猶予制度もあります。多様な制度を知ることが重要だと思います」と高さん。

     自身も中国出身で親の収入だけでは進学資金を賄えず、貸与型を利用して慶応大に進学。「奨学金がなければ大学に進学できなかった。ありかたかった」と振り返るが、語学を学ぶための留学は資金面で実現できなかった。借りた総額は約800万円に上り、現在も毎月6万円ずつ返済している。

     卒業後、外資系コンサルタント会社を経て、18年に起業。社会貢献的な会社を作りたくて、「自分も苦労し、課題に感じていた」奨学金の紹介業を思い付いた。

     最近、課題と感じるのは、大半の奨学金が外国人を対象外としていることだ。家族滞在ビザで来日した子どもには定住権がないことを理由に除外されている現状に心を痛めている。「教育の機会を得られないのは本人だけでなく、社会にも損失です」と、外国人も使える奨学金を増やす方法を考えている。

     高さんが目指すのは、子どもが親を選べない「親ガチヤ」と呼ばれる環境を変え、家庭の経済状況に関係なく進学できる社会。「お金がないから進学を諦めるのではなく、奨学金を借りて進学してから、次のステップを考えることもできます」と結んだ。


    大学の授業料がそもそも高すぎないだろうか。国立大学が独立行政法人となり資金の自己調達に迫られることや私学が教育・研究を進めることよりも経営重視に傾いていることに問題はないのだろうか。政府予算にかかわっては、教育への投資は未来への投資だという議論もあるが依然としてOECD参加国の中でも最低の教育支出は、家計の負担によってのみ教育制度が維持されていることを示している。


    1月28日 与党 基本法案、調整難航も

     与党が今国会への提出を検討している子ども政策の基本法案に、子どもの権利擁護を目的とする第三者機関「子どもコミッショナー」設立を盛り込む案が出ている。国への勧告権を持たせることを想定。積極的な公明党に対し、自民党内では慎重論があり、調整は難航しそうだ。

     コミッショナーは、ノルウェーやイギリスで設置され、行政から独立した立場でいじめや貧困問題の対策に活用されている。国内では北海道士別市や兵庫県尼崎市など一部自治体が、第三者機関を設けて子どもの権利擁護に取り組んでいる例がある。

     与党は、政府が今国会に提出する、子ども政策の司令塔「こども家庭庁」設置法案と併せ、理念を定めた基本法案の提出を目指している。コミッショナーを証券取引等監視委員会のような組織とする案を検討しており、国への調査や勧告を行う権限を持たせる。

     公明党の竹内譲政調会長は26日の記者会見で、児童虐待の相談件数が増加していることに触れ「現場で起きていることをつぶさに掌握し、子どもの人権を守るために(基本法案に)盛り込んでもらいたい」と強調。強い権限を持つ組織が必要との考えを示した。

     一方、自民党の会合では「権限が強すぎる」と疑問視する意見が出ており、公明党との温度差があらわになっている。


    与党内部で隙間風がふいているとの報道にしばしば出会う。昨年の総選挙結果で「改憲勢力」の構造に変化があったことなのかもしない。それはそれとして、「こども家庭庁」(家庭が挿入されている点も注意しておこう)設置が単なる選挙公約でなかったのならより機能的に働くことができる省庁として発足させるべきである。


    1月27日 京都市 児童の自宅待機増

     新型コロナウイルスの感染急拡大で、京都市内でも学校や、小学生か放課後を過ごす学童クラブなどに影響が広がっている。児童生徒の感染確認で学級閉鎖や休所が相次ぎ、自宅待機を余儀なくされる子どもが急増。保護者らは子どもの世話や出勤自粛を迫られて負担が膨らんでいる。

     「保護者から問い合わせもあるが、こちらも連絡待ちで心苦しい」。京都市内のある小学校長は明かす。

     この学校は今週に入って一部クラスを学級閉鎖とした。児童たちの行動履歴を市教育委員会に送り、濃厚接触者の特定を待っているが連絡がなく、保護者に説明したくてもできないという。

     学習面でも授業が遅れてしまう。校長は「残りの少ない日数の中、どう回復させるか」と頭を悩ませつつ、「子どもたちもしんどい思いをしているかもしれず、気持ちをくみ取ってあげたい」と話す。

     市教委によると、3学期(6〜23日)に学級閉鎖となった小中高校は163校の393学級。全235校の約7割で学級閉鎖が発生したことになる。

     市全体でPCR検査業務が逼迫しているため、市教委は、学級閉鎖時はクラス全員に行っていたPCR検査の対象を濃厚接触者などに絞るよう方針を変更。検査をしなくても、学級閉鎖後7日間がたち問題がなければ登校を再開することにした。市教委は「あらかじめ期間を示すことで、家族に見通しを持って対処いただけるようにしたい」とする。

     市内の学童クラブも、感染者が出たため休所となったのは今月に入って54力所と、全163ヵ所の約3割に上る。感染者が発症日から2日前までの間に利用していた場合、最終利用日から10日間休所にする方針としており、担当者は「安全のため理解していただきたい」と求める。

     相次ぐ学級閉鎖や学童クラブ休所の影響は、家族にも及んでいる。

     40代女性は、小学2年の娘が通う学童クラブで今月中旬に感染者が出たため5日間の登校自粛となり、急に世話をすることになった。女性は「私の仕事はたまたま在宅でできたので助かったが、困る人も多いだろう」と推し量る。

     40代男性は今月中旬、小学5年の息子のクラスが学級閉鎖になり、自身も職場から自宅待機を求められた。3日後、息子が濃厚接触者でないと分かって出勤できたが、「学校からの連絡待ちで見通しが立てにくかった」と振り返る。

     今週から小学2年の娘のクラスが学級閉鎖となった30代女性は「学校からの情報が少なく不安」と漏らす。娘は自宅で課題をこなす日々のため、「オンライン授業をしてほしい」と訴える。

     学級閉鎖中の児童生徒へのPCR検査を絞った上で、原則7日間で登校を再開させるとする市教委の方針には、「先が見えやすくなったのはいいが、健康面で本当に大丈夫なのか不安もある」と話した。


    京都府検査なし感染診断導入

     新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大で抗原検査キットが不足する地域について、京都府は26日、医師の判断 で検査なしでも感染したかどうか診断できるように運用を変更したと発表した。

     24日付の厚生労働省通知に基づく対応で、感染者の同居家族などが濃厚接触者となり、発熱やせきなどコロナの症状がみられること が要件。京都市を除ぐ府内を対象地域とする。

     府によると、特に感染者が増えている中丹西保健所(福知山市)管内の医療機関で抗原定性検査キットが足りず、診断が遅れる事態 が生じているという。

     府健康対策課は「今後、他の地域でも同様にキットが少なくなると見込まれる。何とかこれ以上、状況が悪化しないようにしたい」としている。検査キットが充足している地域は、これまで通り検査を実施する。


    オミクロン株の出現でコロナ対策が新しい局面になっている。その一つが「濃厚接触者」の認定で保健所のマンパワー不足による運用変更だ。しかし、これまでの5波の経験の蓄積も生かされなければならない。特に、親や子どもにとって必要なのは正確な情報だろう。「濃厚接触者の特定を待っている」が連絡がないという事態がなぜ起こっているのかを市教委は明らかにする責任があり、理解を求める必要があるだろう。


    1月26日 京都市 市立校393学級閉鎖

     京都市教育委員会は25日、3学期開始後の市立学校の新型コロナウイルス感染状況をまとめた。今月6日から23日までの小中高校の学級閉鎖数は393学級(163校)と、市内全4002学級の約1割に上り、既に2学期全体(188学級)の2倍を超えた。爆発的な感染拡大でPCR検査が追いついていない状況を受け、学級閉鎖時のPCR検査の対象を絞り、原則7日間の閉鎖期間終了後に登校を再開する方針に切り替えた。

     幼稚園や総合支援学校も含めた感染者数は児童生徒らが945人(2学期は648人)、教職員が112人(同15人)で、合計は1057人(同663人)となった。2人以上の児童生徒の感染が確認されたのは86校145学級で、このうち22校27学級では5人以上の陽性者が確認された。

     市教委は、陽性が確認された児童生徒が感染可能期間(発症日から2日前まで)に登校していた場合に学級閉鎖を実施している。従来は、学級閉鎖となったクラスの全児童生徒にPCR検査を行い、検査結果を基に登校を再開していた。

     ところが、PCR検査や疫学調査の業務ひっ迫が深刻化していることから、複数の児童生徒の感染が同時に確認されたり教職員が感染したりするケースに絞って、クラス全員への検査を実施することにした。その上で、健康観察などを通して感染が抑えられていると判断した場合は、7日後に登校を再開させることにした。

     濃厚接触者の特定などの疫学調査は、児童生徒の行動履歴を基に保健所と市教委で行ってきたが、20日から市教委のみで担っている。  


    文科省コロナ休校状況 公立学校調査へ

     末松信介文部科学相は25日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの「オミクロン株」の急拡大により各地で小中高校などの休校が相次いでいることを受け、全国の公立学校の休校状況を調査すると明らかにした。文科省が新型コロナに関連して、学校単位の休校状況を調べるのは初めてとしている。

     文科省によると、公立の幼稚園や小中高校などの26日時点の休校の有無を調べ、学級閉鎖についての報告も求める。都道府県教育委員会がまとめ、31日を回答期限にする。


    オミクロン株の感染力の強さは相当なものだが、その毒性がどこまで強いのかは未知。こうした中で、自治体によって対応は大きく異なっている。果たしてどれが正解なのかは感染流行が収束してからでないと分からないだろう。これに伴って現場での右往左往は日ごとに大きくなっている。学校での「疫学調査」を市教委単独で行うことになったことで現場の対応は一層煩雑になている。いたし方がないことなのかもしれないのだが、それにともなう超過勤務について一切手当は保障されていないことを改めて肝に銘じておくべきだろう。労使ともに。


    1月23日 コロナ禍 ネットいじめ増

     京都府と滋賀県の公立、私立高校生のうちインターネットで嫌がらせや中傷を受ける「ネットいじめ」を2020年に経験した割合は8・7%と、前回調査(15年)から3・5ポイント上昇したことが生徒約6万4千人が協力した大規模調査で分かった。オンライングームでの被害が最も多く、実施した大学研究者のクループは「新型コロナウイルスの影響で生徒の在宅時間が増えたことが背景にあるのではないか」とみている。

     ネットいじめは、単発の経験が6.・2%、複数回の経験が2・5%で、合わせて8・7%となった。

     使用されたツール(複数回答)は、前回は項目になかった「オンライングーム」が40・7%と最多。複数の人が同時にインターネット上で遊ぶゲームでチャット(文字による同時会話)機能を通じて中傷を受けるなどしていた。次は「ツイッター」の22・8%だったが前回(51・8%)から大幅に低下し、「LINE」も前回の39・7%から20・8%に下がった。

     加害者を「ほぼ特定できた」のは45・8%と前回の67・5%から減った。一方で、「まったく特定できなかった」は31・7%と前回の7・9%から4倍超になり、匿名性が高まっていることをうかがわせた。

     調査を主導した佛教大の原清治教授は「ネットいじめの4割にもオンライングームが介在していたのは驚いた。コロナ禍の中、ゲームを通してコミュニケーションを取っていたと言える。ただゲームの世界は中で何が起きているか保護者も教員も分から ない。家庭でのリアルな会話が大切になる」と話した。

     調査は20年11月〜21年3月に行い、京滋の132校(京都82校、滋賀50校)が参加した。初回の前回は約6万6千人が協力した。



    1月22日 オミクロン株 学び保障へ分かれる判断

     新型コロナウイルスの急拡大で「まん延防止等重点措置」の適用地域が増え、学校の休校が相次いでいる。全小中学生に1人1台の学習端末が配布されたことで、早々にオンライン授業に切り替える学校がある一方、対面授業を維持する判断も。文部科 学省は極力休校を避けたいとの立場で、地域の状況に応じた厳密な判断を求めている。子どもの学びをどのように保障するのか。ボールが投げられた形の教育委員会や学校で模索が続く。

     「みんな集合しとるか」。20日午前、東京都西東京市立田無第二中学校の理科室で、松井喜祐教諭(50)がタブレット端末の画面を通して3年B組の約30人に呼び掛けた。生徒が生物の生態系に関する手元のプリントを埋めていく形式で授業が進み、チャット機能で「わかんないです」と疑問点を送信してきた生徒もいた。

     西東京市教委は19〜28日、市立中学9校全ての3年生の授業を遠隔で実施。高校入試直前のため、生徒の不安を解消するのが狙いだ。今後、小中学校の全学年に広げることも予定する。

     「黒板に解説を書きながらカメラに向かって話すと生徒は眠くなりにくい。今はチヤツトで多くの反応をくれる」。対面授業が重要と考える松井教諭だが、昨秋もオンライン授業を経験してこつをつかんできた。

     21日時点で、糸満市や豊見城市など6市町村で全ての公立小中が休校になった沖縄県。那覇市では分散登校を取り入れるなど、対応は分かれる。浦添市内の学校はオンライン授業を導入しており、市立宮城小の嘉陽健教頭は「急に通信トラブルが起きないか不安もある。早く直接児童の顔を見たい」と話す。

     昨年4月ごろの「第4波」では、小中学生について原則オンラインを活用した家庭学習とした大阪市教委。今回は「児童生徒の健康や保護者のためにも対面授業を原則とした」(担当者)と説明する。ただ、今月21日正午時点で、市立小中高校の14%に当たる62校が休校しており、休校時はオンラインを活用できる。

     ある大阪市立小の教頭は、全児童への端末配布などでオンライン環境が整いつつあると感じており「どの学年でも使える教材の作成など工夫していきたい」と意気込む。

     熊本県教委は、県立高校などで教室内の人数を20人程度に絞る分散登校の方針を表明している。

     2020年春の一斉休校は、保護者の負担が大きく批判も起きた。文科省はこうした反省や学習機会の保障の面から、一律の休校を避けるための対策を講じてきた。昨年8月、学校で感染者が発生した場合は、複数の学年に広がってから休校を判断するとの指針も定めた。

     ただ、実際は感染者が少数でも休校に踏み切る教育委員会がある。同省幹部は「自治体任せの面は否めないが、一斉休校を要請しない以上は仕方がない。適切に判断し、乗り切ってもらうしかない」と説明した。


    感染拡大防止策から一斉休校が除外されているのは一昨年の「愚策」の反省からといえばいいのか。しかし、その「愚策」についての総括は未だに正式に行われた気配はない。無謬主義で政治が行われてきたという反省があっての各教委の「適切な判断」であろう。それぞれの自治体での対応が異なることはそれで正しいことだ。ただ、教育のデジタル化ということと「オンライン授業」とはほとんど関係のないことで、対面授業の補完にしか過ぎないことを認識しておくことは大事なこと。


    1月22日 京都市 教職員3回目接種前倒し

     新型コロナウイルスの感染拡大により、臨時休校や学級閉鎖が相次いでいることを受け、京都市は21日、市立の学校と幼稚園の教職員に対する新型コロナワクチンの3回目接種を当初の「3月以降」から前倒しし、2月上旬に開始することを決めた。

     市教委によると、6〜18日までの市立学校の学級閉鎖数は計134学級に上る。19日以降も学級閉鎖は相次いでいるが集計が追いつかない状態という。また、府立学校では、向日市の向陽高が21日まで休校となったほか、これまでに5校が学級閉鎖となっている。

     教育現場での感染急拡大に対し、京都市は市立の小中学校や高校、幼稚園に勤める教職員への早期の追加接種が必要と判断。昨年7月に接種を終えた約13400人から順次、市役所(中京区)とみやこめっせ(左京区)を会場に3回目接種を始める。

     同市では、救急隊員や保健所職員らの3回目接種も前倒しで進めており、2月中旬までに市民の健康に関わる業務に就く職員計2100人の接種が完了する見通し。


    いわゆるブースター接種を前倒しでエッセンシャルワーカーに実施するということ。同時にPCR検査(簡易検査も含めて)をどれだけ実施するのかということが必須の事柄になるだろう。ブースター接種だけで蔓延が防止できるのではなく、早期発見が欠かせないことはこれまでの教訓だろう。昨年夏の反省をどう生かせるかが問題になる。


    1月22日 京都市 濃厚接触者特定 施設側に委ねる

     京都市は21日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、これまで保健所が小中学校や幼稚園などで実施していた濃厚接触者の特定などの積極的疫学調査を施設側に委ねたと発表した。今後、保育園なども同様の方式に切り替え、保健所が担う同調査は感染リスクが高い高齢者や障害者の入所施設に絞ぴ、効率化を図る。

     感染者の急増で保健所職員の手が回らず、市は1月に入り、すでに濃厚接触者の特定を感染者本人や勤務先などに委ねている。今後さらなる感染拡大が予想されるため、市は保健所による疫学調査の対象範囲をさらに狭め、高齢者や障害者の入所施設以外は事業所側に検査対象者のリストアップなどを任せるという。

     市保健所は現在380人態勢で業務に当たっているが、24日から434人態勢に増強する。さらに、1週間当たり1万人の感染者に対応できるよう、来週後半には562人態勢まで引き上げる。また、民間の協力を得て、かかりつけ医による自宅療養者の診療や、訪問看護ステーションと連携した健康観察業務なども進める方針。


    オミクロン株感染の拡大スピードの早さは尋常ではないのだろう。こうした中での濃厚接触者特定作業を保健所が担うことは物理的な限界とも言えるようだ。ただそれで特定作業ができたとしてもその後の治療やケアを誰がどう担うのかは不明。結局自宅待機者だけが増える事になっては、各施設側での作業は無意味なものになってしまわないのだろうか。


    1月21日 厚労省 自殺者なお2万人超

     2021年の自殺者数が2万830人となったことが21日、警察庁の自殺統計(速報値)に基づく厚生労働省の発表で分かった。2年ぶりの減少。新型コロナウイルスの国内流行などが影響し09年以来の増加となった20年の確定値と比べ251人減った。ただコロナ禍前の19年と比べると661人増えた。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は0・2人減り、16・5人だった。

     毎年3月に発表される確定値は速報値から200人前後増える傾向にあり、21年は20年と同水準になる可能性がある。厚労省は「20年はコロナ禍や著名人の自殺の影響で月別の増減などが不規則だったが、21年は従前の傾向に戻った」とみている。

     男女別では、男性が20年比240入減の1万3815人で、12年連続の減少。女性は同11人減で2年ぶりに減り7015人となったが、19年より924人多い。自殺死亡率は、男性が22・5人(同0・4人減)、女性が10・8人(増減なし)。

     都道府県別で自殺死亡率が最も高かったのは山梨(23・7人)で、青森(23・6人)、新潟(21・2人)が続いた。低かったのは神奈川(12・8人)、石川(13・2人)、京都(14・5人)。

     原因・動機などについては11月までの暫定値として公表。健康問題が最も多い8808人だったが前年同期比では618人減。一方、経済・生活問題は3038人で114人増え、うち生活苦が理由だった人が約1割増の990人に上った。20年に過去最多となった小中高生の自殺は、暫定値で前年同期比40人減の460人だった。


    悩み相談を24時間受け付けるNPO法人「あなたのいばしょ」の大空幸星理事長の話状況は依然深刻

     今回の自殺者数を新型コロナウイルスの影響などで特別な状況だった2020年と比較しても意味がない。コロナ禍前の19年 と比べると女性は900人ほど増え、子どもも増加しており、依然深刻な状況であることに変わりはない。私たちの団体には21年に20万件の悩み相談があり、件数が増え続けている。新しい対策だけでなく、これまでの取り組みの問題点を洗い出していくことも重要だ。



    1月21日 府 「ヤングケアラー」支援センター設置

     京都府が、家族の介護や世話を日常的に担う18歳未満の「ヤングケアラーを早期に発見して支援するセンターを2022年度に設置することが20日、分かった。家庭内の問題として実態把握が難しい中、センターに相談窓口や専門員を置いて支援にっなげていく。

     障害や病気のある親、きょうだい、祖父母などを世話するヤングケアラーを巡っては、国が昨年4月に初の実態調査の結果を公表した。中学生が約17人に1人、高校生が約24人に1人の割合で存在することが判明した。学業や進路への影響が懸念される上、同世代から孤立する問題も指摘されている。府は国の調査結果を受け、22年度から本格的な支援に乗り出すと決めた。

     ヤングケアラーは自身の立場や環境を自覚していないケースが多いため、府はまず若い世代にヤングケアラーの認知度を高める。府教育委員会と連携し、小中高校の児童生徒向けに事例を周知する啓発を行う。SNSを使った広報キヤンペーンも展開し、相談のきっかけを作る。

     新たなセンターでは支援の枠細みを整える。対象者の把握が必要なことから気軽に電話で相談できる窓口を設けるほか、家族介護の中で関わる保育士や介護職員、ケースワーカーなどを通じてヤングケアラーの存在を伝えてもらうネツトワークを作る。

     センター内には社会福祉士などの専門員を配置し、困りごとの解決や適切な支援機関に結び付ける。当事者同士の悩みを共有するオンライン上の交流会も企画する。22年度の当初予算案に関連する費用約2700万円を盛り込む方針。

     府家庭支援課は「まだ社会で十分に知られていないヤングケアラーへの理解を広げるとともに、困っている子どもたちの相談に乗り、支援する体制を整えたい」としている。


    様々な困難を抱える多数の子どものなかで「ヤングケアラー」とい呼ばれる子どもがいることが近年にわかに焦点が当たっている。このセンターの役割はそうした子どもへの支援だが、具体的な方策は今後の課題となっているようだ。子どもたちが自身の苦境を他の人に話すことが問題解決に欠かすことができない。そうした環境をどうつくるのかが必要。国が進めようとしている「子ども家庭庁」の取り組みともパラレルに進めることになるのだろう。


    1月19日 府・市教委 部活動原則中止

     新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け、京都府と京都市の両教育委員会は18日、学校での部活動や教育活動を一部制限する方針を発表した。部活動について京都市立小中学校は原則中止、府立と京都市立の高校は2時間以内とする。

     部活動について、市立小中は中止だが、近畿・全国大会やそれにつながる公式大会に参加する場合は、会期初日の4週前から練習を認める。高校は府立も市立も校内に限って自校生徒のみで行い、他府県との交流や宿泊は禁止する。ただし、公式の全国大会や近畿大会やそれにつながる大会への参加はできる。

     市教委は、高校を除く市立学校では校外活動を市内に限定し、宿泊学習は修学旅行と花背山の家(左京区)での活動のみ感染対策を講じた上で実施可能とした。学習発表会などもできるが保護者の参観は不可とし、オンラインでの公開など工夫するよう求めた。他学年、他学級との交流活動は控える。

     府教委も、校外活動や宿泊を伴う活動は教育課程内の活動に限って感染対策をした上で実施することにした。「入試など重要な時期のため、まん延防止等重点措置の適用時に相当する対応を取る」とした。


    第六波をしのぐ勢いのコロナの拡大の中でのこの措置は致し方がないだろう。ただ、こうしたケースでの「例外」が常に存在するのだが、その基準と対策が明確ではない。大きな大会に向けての練習は可能なのだが、スポーツ人口の少ない競技とバランスは?「自校生徒のみ」なら可能の根拠は?事前のPCR検査の実施は?など疑問が残る。従来株とはことなるオミクロン株への知見をどう生かしているのだるか、学校でのクラスター発生も起きている。


    1月17日 文科省調査 外国人学校の保健室「なし」25%

     日本で暮らす外国人の子どもたちが通う外国人学校の保健衛生環境に関する文部科学省のアンケートの結果、回答校の25%で保健室が設置されておらず、21%で健康診断が行われていないことが分かった。背景について予算や情報の不足を指摘する声が上がっており、文科省は2022年度当初予算案に関連費として6300万円を盛り込み、環境改善に乗り出す。

     外国人学校の多くは学校教育法上の「各種学校」に該当。小中学校や高校などのように学校保健安全法で保健室や学校医の設置や健診の実施が義務ではなく、取り組みが各校の判断に委ねられているのが実情だ。

     調査は、文科省が把握する各地の外国人学校161校を対象に昨年4〜5月に実施、80校から回答があった。調査項目では、ほかに養護教諭の配置について「未実施」との回答が65%を占め、学校医が配置されていない学校も44%に上った。

     昨秋、一部に追加調査を行い、現在の課題や政府への要望などを尋ねたところ「保健室設置や健診は必要と認識しているが場所、人員、予算が足りない」「多言語に対応した医療機関の情報が届かない」といった意見が目立った。

     新型コロナウイルス下の外国人学校の保健衛生対策を議論する文科省の有識者会議でも「国による情報提供とサポートが不可欠」との声が上がる。文科省は22年度、学校側からの相談を一元的に受け付ける窓口を設置するほか、学校現場でのコロナ対策を四つの言語で伝えるメールマガジンの。発行などに取り組む。


    日本の市民社会で暮らす外国人の母語教育を保障することは国の責務であることを改めて確認しておく必要がある。高校無償化などの政策から意図的に「朝鮮学校」を除外するということを菅・安倍政権は行った来た。そうした誤った認識を現政権が持たないことを希望する。


    1月14日 文科省 教員免許更新制7月廃止

     教員免許に10年の有効期限を設ける教員免許更新制について、文部科学省が7月に廃止する方針であることが14日、分かった。17日召集の通常国会に、更新制の規定を削除して施行日を7月1日とする教育職員免許法改正案を提出する。成立すれば、この日以降に期限を迎える教員は、更新講習などの手続きが不要になる。

     文科省は制度廃止後、教育委員会や校長が教員の研修の受講状況を把握し、履歴として管理する新しい仕組みを導入する。こうした規定も法案に盛り込み、2023年度の開始を目指す。

     教員免許更新制は、第1次安倍政権だった07年の法改正により、09年から導入された。期限前の2年間のうちに30時間以上の講習を受けて修了する必要があり教員の多忙化の一因だった。人材確保に影響を与えて教員不足につながっているとの指摘もあることから、文科省が廃止を決めた。


    不評だった免許更新制が廃止されるのは歓迎だが、それとて問題は大きい。一つは、7月1日以前に更新後10年目を迎える免許保持者の処遇はどうなるのか。二つ目は、各教員の研修履歴をポートフォリオとして管理するということになるのだが、「更新時」の講義以上に無味乾燥な研修が行われる可能性が強いこと。一部の教育産業のみがそれにかかわるという問題もある。そして、これまでの安倍政権下での教育改革、教育基本法の改革をはじめとして教育改革はほとんど現場の教育を活性化することに役立っていなかったことを改めて知ることになるということだろう。


    1月14日 入学共通テスト 京滋大学困惑

     新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が広がる中、15日から全国で大学入学共通テストが始まる。新型コロナ対策として国は急きよ11日になって、共通テストを受けられなかった受験生を個別試験だけで合否判定するなどの救済策を講じるよう大学側に要請した。京都府内や滋賀県内の大学からは、急な展開に困惑や不満の声も聞かれる。

     共通テストは、大学入試センター試験の後継として2021年に導入された。今年は1月15、16日に本試験を実施し、新型コロナに感染して受けられなかった受験生などには同29、30日の追試験を予定している。

     オミクロン株の急拡大を受けて文部科学省は11日、新型コロナの影響で共通テストの本試験も追試験も受けられなかった受験生への救済策を講じるよう各大学に通知。昨年末にオミクロン株の濃厚接触者の扱いで批判を浴びただけに「最大限のセーフティーネットを張った」と、受験生への手厚い配慮を強調した。

     しかし突然の要請に京滋の大学では混乱が広がる。京都府立大の担当者は「そもそも共通テストを前提にした試験になっている。あまりに唐突でどうすればいいのか…」と戸惑った。同志社大も「今からできることは限られている。(試験を)変えることで受験生に不利益が出る事態だけは避けたい」と話した。滋賀県立大も「想定していなかったことなので、対応に苦慮している」などとした。

     昨年の共通テストは、コロナ禍に伴う休校などの学習の遅れやコロナ感染した受験生に配慮して2回の本試験を実施。ところが文科省によると、本試験を受けられずに追試験に回った受験生は全国でわずか1人だった。

     今年の場合も、コロナ感染などで本試験と追試験ともに受けられないケースは「極めて限定的」(文科省大学振興課)とみる。それだけにある大学関係者は「政権のパフォーマンスではないか」といぶかる。

     今年の全国の志願者数は53万367人(前年比4878人減)。京都は1万302人(同157入減)、滋賀は5927人(同46人増)が志願し、京滋では22大学が会場となる。

     共通テストを巡って突然生じた混乱のなか、会場となる各大学では感染予防策を徹底する。府内最多の2251人が受験する予定の京都大では13日、マスク着用やアルコール消毒などの留意事項を記した看板をキャンパスに設置。大学によっては試験後の退室時間を分散させるなどの工夫も凝らして受験生を迎える。


    教育が政権の思惑で翻弄されるという事態はこれまでもたびたびあった。中曽根総理大臣時代の臨時教育審議会に始まって、安倍政権の一斉休校や英語4技能検定もんだいなどである。これは政権に限ったことではなくマスコミや雑誌編集もテーマが見つからないときには「教育特集」が組まれる傾向にある。実は問題が大きいのにもかかわらず受験生の利害という少数者の問題としてのみ世間の関心を集めるということなのか。


    1月14日 広がる“ジェンダーレス制服”

     全国の学校で、生徒の性自認や防寒などの機能性に配慮し、スラックスやスカートの着用を男女別指定から選択制にして“ジェンダーレス制服”を採用する動きが拡大している。

     若者世代と政治・社会をつなぐ「学校総選挙プロジェクト」が2021年6〜9月に行った調査によると、「女子スラックス制服」を選べる高校は、47都道府呈立の制服がある全日制3073校のうち1365校で、44・4%に上る。

     都道府県別では長野が87・8%でトップ。滋賀(86・4%)、神奈川(84・3%)、千葉(77・3%)、大阪(75・2%)、新潟(70・0%)と続く。一方で青森、愛媛、岩手は10%未満だった。

     学生服メーカーのトンボ(岡山市)によると、文部科学省が2015年、性的少数者の児童生徒へのきめ細かな対応を求める通知を出して以後、性の多様性に配慮する学校が増加。同社製の女子スラックス制服の採用校は、19年には約450校だったが、20年に約750校、21年には約千校と急増している。。

     同社デザイナー室の森下あゆみさんによると、ジェンダーレス制服のデザインの主なポイントは、@生徒の選択肢を増やすA性差を感じさせないB多様な性を受け入れる環境づくり―の三つ。「性的少数者の生徒がスラックス制服を着用する際、カミンクアウト強制」の状況になり、つらい思いをする懸念がある」と指摘。「学校にはジェンダーレスの側面より、防寒や自転車通学時の利便性など機能面の向上をアピールするよう配慮を求めています」と話す。

     福岡、北九州の両市は20年度から全市立中学でブレザーとスラックスの組み合わせを採用した。兵庫県姫路市立山陽中は生徒の要望を受けて保護者らを交えて協議を進め、21年度からカミングアウト強制のような状況が生じないよう、男女ともにブレザーとスラックスを標準の制服に。各地で独自の取り組みも進む。

     理不尽な校則の強要など、学校を巡る問題に揚言を続ける名古屋大の内田良准教授は、ジェンダーレス制服について「生徒の選択肢を広め、学習環境の改善につながる点は評価したい」と言う。

     しかし「学校で制服を着るのが本当に当たり前なのかも考えてほしい」とも。制服がない学校が比較的多い長野県では、教師や保護者が懸念しがちな生活や規律の乱れが特に起きていないことを指摘。「例えば、私服と制服を自由に選択できるようにルール化すれば、カミングアウト強制のようなリスクは低減するし、学校がより生徒本位の環境になる可能性が高い」と話している。


    理不尽な校則などが問題となるなかでの「ジェンダーレス制服」は、一歩前進。確かに「制服が必要なのか?」との問いに一挙に迫ることが必要なのかもしれないが、実に教育とは保守的なものであるとの印象を持つ。けれどもこの「一歩」が意味を持つのだろう。ただ「トンボ」のHPの画像では、「髪型」はどれほど意識されていたのだろうかとちょっと気になる。


    1月14日 外国語指導助手の事態続出

     全国の小中高校の外国語指導助手などを世界各国から招く自治体事業で、新型コロナウイルスの水際対策が始まって以降、参加予定者の来日辞退が相次いでいることが分かった。長期にわたり日本への入国の見通しが立たないことが主因とみられ、共同通信の調査では300人を超える。母国で待機を続けて生活苦に陥る事例も目立ち、関係者は「日本政府は入国の方策を検討してほしい」と訴えている。

     辞退が相次いでいるのは、自治体が総務省や外務省などの協力を受けて実施している「外国青年招致事業(JETプログラム)」。1987年から続いており、総務省によると2019年度(同年7月時点の参加者数は全国で5761人だった。新型コロナが流行した20年度以降については「流動的な状況で正確に伝えられない」 (総務省)として参加者数などを公表していない。

     共同通信が都道府県や政令市、海外の振興団体に昨年末時点での参加状況を取材したところ、現在までに全国で300人超が辞退し、未回答の自治体も合わせれば辞退者はさらに多いとみられる。自治体側は辞退理由を把握していないケースが目立つものの、複数県が「コロナや水際対策の影響」とした。

     21年度の参加者総数は、昨年末時点で再任者も含め4千人強に落ち込んだもようだ。来日予定者のうち600人近くが入国できておらず、現在の規制強化で辞退者がさらに増えれば、国際交流や教育機会の縮小につながるとの懸念が出ている。

     特に、新たな変異株「オミクロン株」発生に伴う外国人の新規入国禁止措置を受け21年12月や22年1月の赴任予定者らは急きよ、渡航を中止。出発当日に渡航中止を告げられた例もあった。

     参加者は原則最長5年滞在し、小中学校などで勤務している。来日に備えて母国での仕事を辞めて家などを引き払った人も多く「渡航時期が分からず再就職活動を始めるわけにもいかない」 (米国の参加予定者)と困惑が広かっている。


    【解説】政府の説明欠如不安広がる

     辞退者が相次ぐ外国青年招致事業で深刻な問題となっているのが、入国できないまま待機を強いられている参加予定者の処遇だ。日本で教育に携わりたいという熱意を持つ青年らに対して、日本政府の説明は著しく欠如し、参加予定者に不安を広げている。

     新型コロナウイルスの感染拡大で入国が一時停止したことは、感染予防の観点からやむを得ない面もある。しかし、その後2年間にわたり不安定な受け入れが続き、新たな変異株「オミクロン株」に伴う水際対策強化以降は、全く見通しが立たなくなっている。

     参加予定者らは、精神的にも経済面でも限界を迎えている。どういった条件が整えば入国が認められるのかなどを政府は早急に示す必要がある。

     長年にわたる招致事業では、多くの親日家を輩出してきた。経験者たちは母国で行政やメディアなど幅広い分野で活躍しており、同窓会活動も活発だ。問題を後回しにすれば、日本の国益を害することにも直結する。(ワシントン共同)



    1月14日 府教委 教諭2人停職

     京都府教育委員会は13日、酒気帯び運転の疑いで逮捕された舞鶴市立小の男性教諭(25)を停職6ヵ月、女子生徒に会員制交流サイト(SNS)を通じて下着姿の画像を送信させた府南部の府立高の男性教諭(31)を停職3ヵ月の懲戒処分にしたと発表した。

     府教委によると、舞鶴市立小教諭は昨年12月、店で同僚の教諭とビールやチューハイを飲んだ後、車を運転し電柱に衝突、舞鶴署に道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。教諭は「翌日に仕事があり車で帰ってしまった」と話したという。

     府立高の男性教諭は昨年10月から11月にかけて同じ学校の女子生徒とSNSでメッセージや画像のやりとりをする中で、「もっと頑張れ」などと求めて2回で計5、6枚の下着姿を送信させたという。生徒が怖くなって担任に相談し発覚した。

     府教委は生徒とのSNSの個人的なやりとりを禁止している。男性教諭は「生徒から連絡が来るので時間つぷしでやってしまった」と話したといい、13日付で退職した。

     府教委は「公教育に寄せる期待と信頼を損なうことになり、大変申し訳ない。再発防止に向け、服務規律の確保を徹底する」としている。


    通信手段(携帯電話やSNSなど)の公私混同の問題はそれを使用した職員の側だけいあるとは思えない。処分を受けた当該教員よ擁護するつもりは全くないのだが、フランスで法制化されている「つながらない権利」を保障するために、職員と子ども・親との連絡を同様に整理していくのかとことが必要。私的な電話番号やアドレスを公表することへの注意喚起も必要だ。また、すべてを教員が受け入れてしまうという「日本型学校教育」という文化の中で、連絡手段を職場に限るという風習・文化も育てなければならない。


    1月12日 文科相 小中高の一斉休校 「要請せず」

        末松信介文部科学相は11日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスのオミクロン株が急拡大する中での小中高校の対応について「国から全国一斉の休校は求めない」と述べた。パソコンを活用した遠隔授業や分散登校などの対策を組み合わせ、児童生徒の学習機会を保障することが重要だと指摘した。  文科省は昨年8月、学校の休校を判断する指針を示し、校内感染の状況に応じて学級閉鎖や学年閉鎖を段階的に拡大し、最終的に休校を実施するとしていた。  小中学生に1人1台配備したパソコン端末を遠隔授業に活用する体制を整備するため、文科省は月内に全国の公立小中学校の指導体制などを点検し、課題の改善に取り組むとしている。



    1月11日 文科省 共通テなし合否判定要請

     文部科学省は11日、新型コロナウイルスの影響で大学入学共通テストを受けられなくなった受験生について、個別試験のみで合否判定を可能にするよう全国の国公私立大に要請すると決めた。さらに、個別入試が受験できない場合に備え、追試験で4月以降の入学ができるような柔軟な対応も求める。

     「オミクロン株」の急拡大を受けた異例の要請で、受験機会の確保に万全を期すため、12日に各大学へ通知する。中学や高校の入試でも新型コロナの影響に備え、各地の教育委員会に書類選考のみでの選抜などを推奨する。

     共通テストは今月15、16日に実施され、同29、30日に追試験を予定。新型コロナに感染したり、濃厚接触者になったりして、いずれも受験できないケースが発生する可能性がある。文科省は、国公立大の2次試験など共通テストが必須の入試で救済措置を取り、共通テストを利用する私立大でも同様の対応とする。

     2月以降に本格化する大学の個別入試でも新型コロナの影響で受験できず、大学が事前に設定した追試を受けられない受験生向けに、面接や書類選考が中心の「総合型選抜」を新たに設けるべきだとした。その際は、合否判定や入学手続きが遅れても、入学を認めるようにする。


    【インサイダー】入試直前 大学戸惑い 続報(12日)

     本格的な大学入試シーズンを目前に、文部科学省が新型コロナウイルス感染者らへの救済策をまとめた。大学入学共通テストを受けられなくても2次試験などの個別試験のみでの合否判定を認めるのが柱。昨年末にオミクロン株の濃厚接触者の扱いで批判を浴びた文科省は従来より手厚い対応で失地回復を狙うが、既存ルールで準備を進めてきた大学側には戸惑いが広がる。

     「最大限のセーフティーネットを張った。絶対に受験機会を確保したい」。11日の閣議後記者会見で救済策を公表した末松信介文科相はそう意気込んだ。

     新型コロナ感染者らは共通テストなしでも国公立大の2次試験など個別試験のみで選抜するのを認め、それらの試験や追試も受けられなかった受験生を対象に書類や面接による選抜を設けるとの内容になった。

     文科省の思いとは裏腹に、共通テスト本番まで1週間を切る中での突然のルール変更に大学側は困惑する。「ニュースで文科省の方針を知って驚いた。まだどんな対応を取るか決まっていない」と明かすのは、名古屋大入試課。共通テスト未受験者について、高校の調査書のみで判断するのか、追加で学力を測れる書類提出を要求するのかといった基準を明確にする必要があるという。

     「レアケースと想定していたとしても事前準備が必要。急には対応できない」とも話した。

     1月の共通テストを利用した選抜を予定するのは、国公私立の大学と短大の計864校。特に国公立大は、共通テストと2次試験の結果を総合して合否を決める方式が原則だ。志願者数が募集定員を大幅に上回る国公立大では、共通テストの結果で門前払いする「二段階選抜」を行う大学も。新潟大の担当者は「共通テストを受けた受験生との公平性確保などの検討が必要」と指摘し、国際教養大(秋田市)の担当者も「共通テスト受験を前提にした試験を作っている。対応は簡単ではない」と語る。

     私立では、共通テストだけで判定する入試を設定する大学が少なくない。広島経済大もその一つで、キャンパスに来る必要がない受験しやすい方式を用意していた。担当者は「共通テストのみの受験生に『(救済策として)追試をします』と言っても広島まで来てもらえるだろうか」と声を落とす。

     文科省が対応に躍起となる背景には昨年末の「失策」がある。オミクロン株の濃厚接触者について一律に受験を認めないとする方針を公表すると、受験生らに不安が広がり、岸田文雄首相の指示で3日後に撤回した。

     「受験生の心情に配慮できていなかった。例外規定を設けるよう関連機関と交渉する努力が必要だった」と、同省幹部は振り返る。昨季以上に手厚い救済策を講じることについて、末松氏は「文科省も学習しており今年はより受験生に配慮していく」と強調した。


    新型コロナによる社会的な影響が大きいのはこの2年間でよくわかった。加えて、それぞれの問題が抱えている本質も明らかになってしまう。そうした観点から言えば「共通テスト」そのものが必要かどうかというところにまで行きつく。最終的には「総合型選抜」を行えという文科省の要請は、以前のような各大学ごとの選抜制度を設けよということになるだろう。そのことに各大学は耐えられるのだろうか?東大は「総合型選抜」に基準をどう設定するのか?疑問は尽きない。


    1月11日 NHK調査 保護者の費用負担 都道府県で大きな差

     小中学校に続き、高校でも1人1台端末を整備するよう、国は自治体に促していますが、保護者の端末費用の負担が無償から5万円以上と都道府県により大きな差が生じているほか、整備の見通しがたっていない自治体もあることが、NHKの調査でわかりました。

     学習用のパソコンやタブレット端末は、小中学生に1人1台整備されていますが、高校でも継続して学ぶ必要があることや、新年度からプログラミングなどを学ぶ新たな必修科目「情報1」が始まることから、文部科学省はすべての高校生への端末整備を自治体に促しています。

     NHKが各都道府県に、この春高校に入学する生徒への端末の整備方針を聞いたところ、 ▼全額公費で負担して貸与すると答えたのが21府県、 ▼一定程度公費で補いつつ保護者にも負担を求めるのが2都県、 ▼原則、全額保護者に負担を求めるとしたのが18道府県でした。

     保護者に負担を求める自治体は、困窮世帯に支援策を講じるとしていますが、保護者の負担額は5万円前後になるところが多く、中には9万円台になる端末が推奨されている高校もあり、公費負担で無償となる自治体との間で大きな差が生じています。

     一方、パソコンなどでなくスマートフォンによる代替を認める県もあったほか、今月6日の時点では検討中で、新1年生全員の端末整備の見通しがたっていない自治体も6県ありました。

     文部科学省は、公費で整備する場合や保護者の負担軽減策に、感染対策のための「地方創生臨時交付金」の活用を促していますが、自治体からは「国の交付金が続く保証はなく、途中で保護者負担に切り替えるのは難しい」といった声も聞かれました。


    【鳴門教育大学大学院藤村裕一教授】「自治体は価格抑える工夫 国も支援を」

     地域によって対応が分かれている現状について、教育の情報化が専門の鳴門教育大学大学院の藤村裕一教授は「保護者の目線でいえば、無償から何万円と大きな差がある現状は納得できない面もあるだろう。変化が予測できないこれからの時代を生きていくうえで、端末は『文房具』のように絶対に必要な学習ツールで、住んでいる場所や保護者の経済状況で教育に差が生じてはいけない。自治体は共同で調達するなど端末の価格を抑える工夫をするとともに、国も自治体で差が出ないよう強力に支援していく必要がある」と指摘しています。(NHK NEWS WEB)


    GIGASchool構想でハードの整備が、ソフト(何を教育するか)の議論より先行している。小学校ではとにかく「起動する、入力する」ことが先行し、高校では「どのPCがいいか」という指導する側の「趣味」のようなものが先行している。入力一つにしてもPC派とスマホ派とでは全く感覚がことなっている。必要なことは、「何を教育するか」だろう。なぜ海外との交流が必要なのか、なぜデータベースの利用が必要なのかを深める議論が欲しい。


    1月10日 内閣府 教委管理職 女性15%

     全国の都道府県教育委員会事務局で管理職に占める女性の割合が平均15・8%にとどまることが9日、内閣府の2021年度調査で明らかになった。女性管理職の割合が30%近くを占める県がある一方、10%に満たない自治体もあり、地域差も浮き彫りになった。

     教委は、学校で起こったいじめや性暴力の対応や教員研修を担う。子どもにわいせつ行為をした教員への対策法が昨年5月に成立し、教育現場でのジェンダーバランスの重要性は増している。各自治体は女性登用に取り組むが道半ばだ。

     調査は、47都道府県に女性登用状況などを尋ねる形で毎年実施。21年4月時点の最新結果では、都道府県教委における課長級以上の管理職計3066人のうち、女性は484人。割合が最も高いのは29・9%の岐阜で、静岡29・6%、奈良28・6%と続き、計14都県が20%台。滋賀は23・1%、京都は17・1%。最も低いのは秋田でゼロ、千葉2・6%、群馬3・3%だった。

     岐阜は87人中26人が女性だが、うち19人は県立高校などの現場で学校の運営管理に当たる管理職(事務長)に就いており、残業時間は少ない傾向にある。2位の静岡は積極的に女性を登用。男女比に配慮したメンバーで性暴力の防止策を検討し、20年度から教員によるハラスメントについて児童生徒へのアンケートを始めた。

     4位の鳥取、5位の青森の担当者は「女性を幅広い部署で登用する取り組みを10年以上続けてきた蓄積だ」と説明した。

     最下位の秋田は事務長を管理職から除いており、他県同様に事務長を計上すると女性割合は10%になる。子育てや介護を理由に、地元を離れての本庁勤務を望まない女性が多いという。性別で偏りがちな役割分担の見直しとともに、子育てや介護と仕事を両立できる働き方が求められている。

     千葉は20年度の4人が1人に減り、10・8%から2・6‰に下滞した。女性管理職の層が薄く実数が少ないため、わずかな人事異動で割合が大きく動く傾向もある。


    山形大 河野銀子教授多様経歴 生かす仕組みを

     都道府県によって教育委員会事務局の組織編成や管理職の位置付けは異なるので一概には言えないものの、女性管理職が15%というのは少なすぎる。数の不均衡だけではなく、キャリア形成や多様な教育の在り方といった点でも問題と言える。

     教委で働くことは、子どもたちに接する日常の行為がどんな文脈にあるのかを俯瞰し、都道府県の教育行政を考える機会になる。教員の経験の積み方は自治体や学校種ごとに方針が異なるが、教委を経て教頭や校長職に就くケースは多い。こうした経験が男性に偏ると女性のキャリア形成を閉ざしてしまうだろう。

     学校外の出来事への危機管理など教育現場は多くの仕事を求められる。長時間労働を美徳とする文化は見直されつつあるが、介護や子育ての負担が重い女性は管理職を避けざるを得ない。働きにくい構造を本質的に変えなければならない。

     学校の管理職登用では、推薦制を用いると女性割合が高くなることがこれまでの調査で分かっている。候補を2人にすれば男女各1人を選ぶ例も増える。多様な経歴を持つ人が管理職になれる仕組みが必要で、その仕掛けは工夫できる。


    【インサイダー】登用拒む長時間労働

     教育委員会事務局の管理職に女性の登用が進んでいない。女性管理職の割合は、公立小中高校などは2021年度にようやく20%を超えた一方、都道府県教委事務局は15・8%。地域の教育の「司令塔」と言える教委は長時間労働になりがちで、それが壁となっている。教員による児童生徒への性暴力防止対策などジェンダー平等が鍵となる施策も多く、登用促進は喫緊の課題だ。

     「男ばかりで、深夜まで働くこともざら。性別に関係なく力を発揮できる仕組みになっていないのは大きな問題」。西日本の教委に勤務経験がある文部科学省の男性中堅職員はこう話す。教委事務局は各学校への指導やいじめ対策などを行うため、長時間労働が常態化せざるを得ない。

     教委の管理職はいわば「出世コース」で、学校で主任を務めた教員らが出向し、いずれ現場に戻って校長などに就く。21年度の政府の男女共同参画白書は、女性が管理職選考を受けやすい環境整備を求めている。

     ただ、子育てや介護の負担が女性に片寄っている現状では、意欲があってもハードルは高い。福岡市教委の担当者は「管理職になるタイミングと子育てが重なり、避けられる傾向がある」と説明する。

     そうした中でも静岡県教委は「ロールモデル」となることを期待して女性を積極的に登用し、29・6%だった。

     女子を不利に扱う医学部の不正入試問題や男女別の髪形規制といった不合理な校則など、ジェンダー平等は教育現場の課題そのものだ。東京都教委は全国で唯一、都立高全日制普通科で男女別定員を設けていたが、批判の高まりを受けて段階的廃止を決めた。

     育児中の福岡県立高の40代女性教諭は「管理職の人材が偏っていれば、現場や時代に合わせた柔軟な対応ができないのではないか」と指摘する。

     静岡県教委は、女子が被害に遭うことが多い性暴力の防止策を議論する際、「メンバーが男性に偏らないようにした」(担当者)という。その結果、教員や臨床心理士らで構成したチームは過去の事例を検証して早期発見の必要性を確認し、児童生徒を対象としたアンケートの実施につながった。

     日本大の末冨芳教授(教育行政学)は、教育現場でジェンダー平等を実現し、性差別や性暴力をなくすことは「人間の尊厳に関わる問題」で、対策を急ぐべきだと指摘。制度設計を行う教委の方針は、学校の意思決定や子どもの意識形成にも「影響は大きい」と話す。「教委だけでなく、学校現場でもジェンダーバランスを考慮し、管理職を男女両方にするといった登用策を進めていくことが重要だ」としている。


    小学校では女性管理職がここでの数字よりも多いのは実感。であるが、教委事務局は圧倒的に男性が多い。このアンバランスの中で指導・助言が「強制」となる傾向が強い。また、数字だけではなく女性管理職が男性的発想でもってでないと職務遂行に支障をきたす(?)とする考え方も改めなければ。


    1月8日 【京都どう変わる?】 子育て環境

     小学生が放課後を過ごす「学童クラブ」は所得(世帯年収)に応じた料金が、原則、利用時間や曜日によって決まる制度に変わる。加えて、現行制度では午後6時まで延長料金なしに利用可能だったのに、午後5時から追加料金がかかる。

    (略)

     試算では、総じて所得が高くなるほど値下げされ、所得が低くなるほど値上げになる結果となった。生活保護や就学援助世帯は減免になるが、市民が支払う利用料は約1・6億円増える。市は、子3人目からは無料になるとメリットを強調するが、クラブは低学年中心で、3人同時にクラブを利用する家庭は珍しいのではないか。


    「日本一」って言える?

     京都市が掲げる「子育て環境日本一」。この文言は、門川市長が再選を果たした12年市長選の公約だ。今年は行財政改革の一環で学童クラブ利用料が改定され、保育料の値上げの可能性もある中、市長は今後も「日本一」と言い続けるのだろうか。

     市長はどれくらい「日本一」をアピールしてきたのか。市会ホームページの議事録で「子育て 日本一」と検索すると、市長就任以降の発言で54件ヒット。最多は15年の12件。近年は19年8件、20年4件と減り、21年は更新途中ながらゼロ。自信があるはずの「日本一」だが、最近は発言回数が減っているようだ。

     「日本一」なのに市の子育て世代人口も減っている。住民基本台帳では、25〜44歳は32万930人(21年10月)で、前年同月比8781人減。0〜14歳は15万4476人と同3535人減。20年の出生数も前年対比244人減の9251人と、3年連続で1万人を下回った。大阪や滋賀、府南部への転出が目立ち、地価高騰で住宅購入を諦めた人もいるとみられる。

     昨年末、京都新聞社は「日本一」について門川市長に尋ねた。市長は「子育て環境は後退しない」と強調しつつ、「京都はランキングの文化ではなく、一流が二つあってもいい」「『子育て環境日本一』の表現がいいのか悪いのか、市民に議論してもらえばいい」と、やや弱気とも感じられる発言。

     ところが、新年1月4日の会見で再び見解を聞くと、手厚い保育士配置や給与のほか、小中学生の学力の高さなどを例に「子育て環境日本一は間違っていない。市民ぐるみで子どもを育てる機運も含め、最高水準であると理解いただきたい」と誇った。今年「日本一」に、市民の理解はどれほど得られるだろう。


    市長の「日本一」は教育長時代からのアピールポイント。このことばに教育現場はどれほど振り回されたことか。とりわけ管理職はそのために必要もない仕事(今流行りのプルシットジョブ)を強いられたことだろうか。「日本一」を振りかざさなくても市民にアピールすることはいくらでもできたはずなのだが。


    1月5日 公立夜間中 各地に続々

     家庭の事情で学校に通えなかった人や不登校経験者、外国人らか学べる公立夜間中学校を設置する動きが、各地で相次いでいる。これまでなかった九州や東北、中部地方で2021年、自治体が開校を表明した。ただ、入学者数の予測が難しいことなどから二の足を踏む自治体も。国が掲げる「全都道府県と政令市での設置」との目標にはまだ遠く、教育関係者は、学びの機会を提供するため行政の積極的な取り組みを求めている。

     22年4月に「福岡きぼう中」で授業が始まる福岡市。21年11月の説明会には、真剣な表情で話を聞く女性(81)の姿があった。複雑な家庭環境で、9歳から働きづめ。中学には通えず、字が書けないことで何度も悔しい思いをした。学び直したい気持ちは消えることがなく、21年3月からは民間の自主夜間中に通っている。公立夜間中では「若い生徒と交流したい」と意気込む。

     この日の説明会の参加者は約70人。21年春に実施した市民向けアンケートでは約190人が入学を希望し、市は「ニーズがある」と設置を決めた。市内の15歳以上が対象で、不登校経験者や外国人も受け入れる。九州では初めてだ。

     文部科学省によると、公立夜間中は21年4月時点で京都府など12都府県に36校。地域ごとに差があり、静岡県は21年2月に中部で初めて、23年度の設置を発表。福島市も24年度の開校方針を示した。こうした動きは、21年1月に当時の菅義偉首相が国会で「今後5年間で全都道府県と政令市での設置を目指す」と言明し、議論が活発化したことも背景にありそうだ。

     一方、設置に踏み切れない自治体にも事情がある。岩手県教育委員会は16年度から、入学希望者がいないかどうか市町村へ調査を続けているが、これまでに条件に沿う希望者はいない。

     三重県は21年10月、2ヵ所で夜間中の「体験教室」を始めた。生徒は約2ヵ月の模擬授業を受け、県は生徒に実際に通うことができるかなどを聞き取った上で、開校するかどうかを判断する。担当者は「税金を使う以上、具体的な見通しを示さず設置するのは難しい」と明かす。

     文科省は、どれぐらいの人数が入学するのか悩む自治体の声を受け、住民アンケートでニーズを十分にくみ取るポイントなどをまとめ、公表している。アンケートには国の補助も活用できる。「知事会や市長会とも連携し、開校の必要性を訴えていきたい」とする。

     公立夜間中の元校長で基礎教育保障学会の岡田敏之会長は「行政が積極的にニーズを掘り起こすことが大切だ。学習機会の不平等があってはならない」と指摘している。


    京都府でも南部で夜間中学設置を求める声がある。平成30年の「夜間中学の設置に係る検討会議報告書」で府教委は実施したアンケート結果において明確なニーズを把握するには至っていないと判断し設置を一時保留している。岡田会長が言うように「ニーズは掘り起こすもの」だし、教育全般にわたって必要な時に必要な教育を受けるのは国民(市民)の権利であることを改めて認識しておきたい。