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4月30日 【社説】 「働かせ放題」枠組みなくせ

 こんな小手先の対策では、教育現場の疲弊は改善されまい。

 公立学校の教員の処遇見直しを進めていた中教審の特別部会は、残業時間と連動する給与体系の導入を見送る素案をまとめた。残業代の代わりに上乗せして支給する「教職調整額」を、月額給与4%から10%以上にする内容だが、勤務実態に見合った引き上げ幅とは言い難い。

 このままでは残業を抑制する動機は働かず、長時間勤務の是正は難しいだろう。

 「定額働かせ放題」と批判され、残業の常態化を招く元凶とされるのが、教職調整額の支給を定めた教員給与特別措置法(給特法)である。1971年の制定当時の残業が月平均8時間だったとする調査を基に、一律4%の調整額が決められた。

 管理職にすれば、残業時間に応じた超過勤務手当を支払わずに、仕事を指示することができる。業務の増加や複雑化が進む学校現場では、半世紀以上前に設けられた同法を廃止し、残業抑制につながる給与体系を求める声が強まっていた。

 今回、特別部会は教員の労働について、職務なのか自発的な活動なのか切り分けが困難だ、として残業代の支給ではなく調整額の引き上げを選択した。

 「先生の心意気」や仕事の特殊性を強調するような旧態依然とした発想に驚く。「サービス残業」の追認と受け取られても仕方がない。労働に応じた対価を払うのは国内外の常識であり、日本の教員だけが、なぜ蚊帳の外なのか。給特法の枠組みは残すべきではない。

 教員の働き方改革は、待ったなしの状況だ。京都府教育委員会が府内公立校の教員を対象に2023年度に実施した勤務実態調査によると、1ヵ月当たりの残業時間は中学校で82時間56分で「過労死ライン」とされる80時間を超え、小学校でも68時間に達した。府教委が目標とする45時間以内はあまりに遠い。

 長時間労働の是正には、膨れ上がった業務を減らす取り組みが要る。土日曜のいずれかをクラブ活動の休養日とする規定の策定や、運動会など定例行事の見直し、事務作業を担う業務支援員の配置などは奏功しつつある。ただ、指導案作成など教育活動の根幹を担う業務に関しては効率化に限度がある。

 抜本策は教員の増員である。少子化を理由に慎重論が政府内に根強いが、学級の少人数化や発達障害の子への対応、産休・育休の取得拡大などで現場の負担は増している。中教審は、公立小中学校の教職員定数を定めた義務標準法の改正に向けた議論に乗り出すべきだ。

 近年、「学校はブラック職場」とのイメージが定着し、教員志望者の減少傾向が加速している。優秀な人材が確保できないと、教育の質の低下に直結する。教員の給与体系と職場環境の一体的な改善を急ぎたい。



4月27日 市教委 60歳校園長 定年前に退職

 2023年度に60歳を迎えた京都市立学校・幼稚園の校園長全38人のうち36人が、新たに61歳に延長された定年を待たずに3月末までに退職していたことが分かった。残る2人は、所属校・園の統廃合などの事務を継続して担うための特例任用だった。定年延長の対象となった校園長のほぼ全員が現場を去った背景には、60歳での役職定年により、長年のブランクを経て再びクラス担任や教科指導を担うことへの戸惑いがあったとみられる。

 公務員の定年延長は2021年に改正された地方公務員法などに盛り込まれ、23年4月に施行された。このため23年度は定年退職者が出ない年度だった。

 京都市教育委員会によると、23年度に60歳を迎えた校園長には、新しく導入される役職定年制を事前に説明していた。同制度では、管理職の上限年齢が60歳に設定され、以降は非管理職となるため、24年度からはクラス担任や教科指導を担ってもらう旨を伝えていた。だが、校園長から教諭への「降任」を受け入れた校園長は1人もいなかった形だ。

 一方、市立学校・幼稚園の教諭は定年延長を受け入れて24年度も現場に残る割合が8割近くに達しており、校園長との違いが目立っている。

 退職した元校園長は、図書館長や児童館長として再就職したり、市教委事務局に再任用されて指導主事などの立場で勤務したりしているという。

 京都教育大の榊原禎宏教授(学校経営論)は「新型コロナウイルス禍で学校のデジタル化が大きく進み、教科書とチョークー本で授業ができる時代ではない。特に小学校では教科担任制が広がってきているとはいえ多くの教科を教えなければならず、元校長が教壇にはもはや戻れないと思っても無理はないだろう」と話している。


【解説】役職定年後、経験生かす仕組みを

 「正直、勘弁してくれと思った」。61歳の定年を待たずに今春、退職した京都市立学校の元校長は、市教育委員会の担当者から役職定年後の働き方について説明を受けた際の感想を振り返った。

 情報教育をはじめとした学習指導要領の内容拡充、児童生徒1人につき1台のタブレット端末の配備…。教育現場の環境が刻一刻と変化する中、役職定年後は一教諭として担任や教科指導をしてもらうと言われたが、「(学校運営や労務管理などの)マネジメント歴が長くなったのに、いまさら務められるわけがない。ほかの校長も同じ思いだったのではないか」と打ち明ける。

 公務員の定年延長は、長年培った技能の発揮や継承が目的とされる。元校園長も若手教員の指導などでの活躍が期待されるが、学校ごとの先生の人数は学級数に応じて厳密に決まっているため、元校長であってもフリーでいいとはならない」との現実もあるようだ。京都市教育委員会の担当者は「元校長のキャリアが一教諭で生きるかというと疑問がないわけではない。ただ(指導役などの)ポジションが現状では十分にない」と内情を語る。

 ただ、京都市以外の府内市町村の学校では、定年延長した元校長約20人が本年度も学校などでの勤務を続けている。府教育委員会によると、初任者指導教員として新採1年目の教員を指導したり、教師力養成講座の講師を務めるなどしているという。

 京都市教委は25年度の新規採用数を24年度比で3割増やす予定で、サポートが必要な若手教員の増加が予想される。多忙な管理職のなり手不足が指摘される学校現場に役職定年制がふさわしいのかも含め、保護者や地域とも向き合ってきた元校長が経験を生かせる仕組みづくりを考えたい。


人それぞによっても異なるだろうが、60歳を超えて教員の仕事ができるかどうか疑問がある。例えば、60歳を過ぎて「水着着用で水泳指導を…」といわれれば二の足を踏んでしまうだろう。まして、デジタル化を考慮に入れなくても管理職となればおそらく「腕」は鈍っているはず。教員の仕事は「現業職」でもある。定年延長に合わせて新たな職の創設も必要だし、そのための定数法の見直しも必要だ。


4月27日 教員志望者増へ各地で対策

 教員不足が深刻化し、採用試験の前倒し以外にも各地の教育委員会が志望者を増やす対策に乗り出している。長めの休日確保や奨学金肩代わり、日常業務の負担軽減といった多岐にわたる取り組みで教職人気を回復させたい考えだ。

 大阪府守口市教育委員会は今年から、市立小中学校の夏休み中に設けている学校閉庁日を5日間から14日間に増やす。夏休みでも平日は出勤が原則だが、この連続した2週間に教員が休日取得できることが明確になり、同僚らに遠慮しなくて済む効果がある。期間中は研修や部活動も基本的に行わない。

 市立小の40代男性教諭は「大手を振って休めるのはありがたい」と本音を漏らす。期間中は市教委が保護者からの連絡を受ける態勢を整える予定で、担当者は「教職を目指す学生にもアピールしたい」と期待を込める。

 若手を取り込もうと、収入面でのサポートも広がる。山梨県教委は2021年度、小学校教員として10年間勤務するとの条件で、学生時代の奨学金の一部を肩代わり返済する制度を導入。岡山市教委は昨年度から、新たに採用した小中の正規教員を対象に「初任給調整手当」として5年間毎月2500円を支給する。

 保護者対応を学校以外が担う取り組みを始めたのは奈良県天理市教委。家庭からの相談や要望を一元的に受けるセンターを今月に開設し、元校長らが常駐している。

 天理市教委の山口忠幸教育次長は「学校の負担を減らし、教員が子どもに向き合うという本来業務に集中しやすくしたい」と話した。


3月27日「教員試験実施時期 さらに前倒し検討」の報道があったときに、教員不足解決の本質は勤務条件の改善だということをコメントした。本記事には妥当な対策もあり参考にすべき事例もある。


4月26日 文科省 教員採用試験 5月実施要請

 文部科学省が、2024年度は6月16日を標準日としている公立小中高校の教員採用試験について、25年度はさらに1ヵ月ほど前倒しし、5月11日を1次試験の標準とするよう都道府県・政令指定都市教育委員会に要請することが25日、分かった。26日に通知する。教員のなり手不足は深刻で、早期化する民間企業の採用に対抗して人材を確保する狙いがある。

 ただ前倒しには教員養成大学のカリキュラム変更や、5〜6月のケースが多い教育実習の時期見直しなどが必要となるため、学生や関係機関の負担も懸念される。

 文科省によると、従来は大学4年時の7〜8月に試験を行い、9〜10月に合格発表する自治体が多かった。だが大手企業の多くは6月までに内々定を出しており、文科省は昨年5月、24年度実施の試験は従来より1ヵ月程度日程を早め6月とする方針を示して各教委に協力を要請。今年は過半数の教委が、標準日の6月16日かそれ以前に試験を行うという。文科省は、採用倍率の低迷を食い止めるためにはさらなる日程の繰ぴ上げが必要と判断。25年度は5月11日を目安にできるだけ前倒しで試験を設定するよう求め、この日に実施できる教委には小学校教員用の試験問題を提供する。

 盛山正仁文科相はこれまで、前倒しについて「他職種に流れていた人たちに受験に向かってもらう流れができるのではないか」と発言。学生が柔軟に教育実習を履修できるよう、教職課程の在ぴ方の見直しも必要だとしていた。


「優秀な人材確保」がどこの自治体においても求められるのは当然。しかしその対策が採用試験日を前倒しすることで前進するとどうして考えられるのだろうか。「やりがい搾取」などといわれる教員の仕事がなぜ敬遠されているのかを是正することがまず第一だろう。教職調整額4%を10%にすることでお茶を濁すような中教審の議論を「尊重」するような姿勢では解決の糸口は見えない。


4月25日 京都府 「ヤングケアラー」漫画に

 京都府は京都精華大と協力し、日常的に家族の世話をしている子ども「ヤングケアラー」を主人公にした漫画を発行した。府ヤングケアラー総合支援センターに相談する子どもは少ないため、相談窓口の利用にっなげる狙いがある。

 府が2021年度に実施したひとぴ親家庭を対象にした調査では、ヤングケアラーの状態にある家庭は母子家庭の9・1%、父子家庭で11・8%と、国の調査(20年度)の4〜6%よりも高い。府は22年度、京都市南区にセンターを設置し、子どもや学校、支援者からの相談をメールや電話、対面で受け付けている。

 相談件数は22年度が約300件、23年度は約480件だったが、子ども本人からの相談はそれぞれ約1割だった。府家庭・青少年支援課は「知らない大人に相談するのはハードルが高い。周囲にいる身近な人が相談しやすい環境をつくる必要がある」とし、漫画を作成することになった。

 漫画「きみが選ぶ物語〜ケアのある日々の中で〜」は、病気の母親を看病する女子高校生が主人公。周囲から「かわいそう」と思われていることを気にして相談できずにいたところ、教員から「一人で抱え込まないで」「自分の気持ちも大事にしてほしい」と声をかけられる。総合支援センターを利用したり、同じ経験を持つ子どもや若者の場に参加したことで、自分の時間を大切にすることに気付く。ヘルパーなどの支援を受けた主人公は、交通事故にあった父親の面倒をみていた別の生徒に手を差し伸べる、という内容。

 冊子はA5判。15万5千部を発行し、学校を通じて府内の中学、高校生に配布する。センターでも無料配布するほか、府のホームページからもダウンロード



4月24日 文科省 教科知識なくても 専門人材教員免許

 文部科学省が、アスリートや博士号取得者ら専門性の高い人材に「特別免許」を与えて教員採用する制度の運用指針を改定し、教科全体に関する専門知識がなくても授与できることを明確化することが23日、分かった。近く都道府県教育委員会に通知し、制度活用を促す。

 特別免許は、多様な人材を学校に呼び込むことを目的に、高い専門知識と技能を持つ社会人に教科を限定した免許を与える制度。授与権限は都道府県教委にある。五輪経験者が体育を、化学分野の博士号を持つ人が理科を、語学力の優れた人が英語を指導することなどが想定されている。

 文科省によると、自治体によっては、一つの競技で実績を収めたアスリートが保健体育全体に関する知識を持っているのか不安に感じて採用をためらうケースもある。

 新たな指針では、教科全体の専門性が必須ではないことや、他の教員と同レベルの指導力を過度に求める必要はないことなどを明記。従来指針と同じく、採用後の計画的な研修が重要だとした。


教員免許が教育実践上必須のものではないことは現場を経験した人なら理解できる話だ。しかし、免許制度を維持しているのは何故かを考えれば、少なくとも教育にかかわる一般的な知識がが必要(もちろん国家が教育を掌握する必要)との認識があるからだろう。「専門性の高い人材」は初めからそうした資質があるとは考えられない。


4月24日 学術会議 新法人移行で声明

 日本学術会議(光石衛会長)は23日、政府が進める新法人への移行に懸念を示す声明を発表した。戦争協力への反省から出発した学術会議の根幹に関わる会員選考や組織運営の独立性・自律性が十分に担保されない可能性があるとして、改めて慎重な議論を求めた。

 内閣府は昨年12月、学術会議を現在の「国の特別機関」から切り離し、独立した新法人に移行させる方針を決定。移行後は外部有識者による「選考助言委員会」(仮称)が会員選考に関与する。予算や中期計画、活動状況も外部の目でチェックする。今月には法制化に向けた作業部会の初会合が開かれた。

 声明は今後の議論に関し、組織・制度面は「政府からの自律性・独立性を担保することが重要」と強調し、会員選考についても「学術会議が自律的・独立的に行う」と明記した。記者会見した光石会長は学術会議として会員選考の対案を出す考えを示し、「お金は出すが口は出さないのが先進国」と日本政府との違いを説明した。

 声明案を検討した総会では、法人化ありきの政府方針に反発する意見が相次いだ。一方、一般市民から理解される学術会議の役割や財政状況、自己改革の姿勢をわかりやすく発信すべきとの声も多く出た。

 今回の組織改編は、4年前に当時の菅義偉首相が学術会議側が推薦した会員候補6人の任命拒否問題に端を発している。この6人には芦名定道京都大名誉教授、松宮孝明立命館教授も含まれる。説明を求める学術会議に対し、政府は任命拒否の理由や経緯を町らかにしていない。

 光石会長は会見で「最重要課題として引き続き解決するよう要望する。任命問題をすり替えて今の在り方を問題にしていて、腹立たしい」と述べた。学術会議は科学者の代表機関で会員は特別職の国家公務員。


任命を拒否された6人は、芦名定道・京都大学教授(キリスト教学)、宇野重規・東京大学教授(政治学)、岡田正則・早稲田大学教授(法学)、小澤隆一・東京慈恵会医科大学教授(法学)、加藤陽子・東京大学教授(歴史学)、松宮孝明・立命館大学教授(法学)。菅義偉首相(当時)による任命拒否は何を根拠に行われたのかの説明は一切行われていない。様々なことが説明もないまま実行されるのは、安倍政権以来の自民党政治の手法として定着している。「裏金問題」も含めてもう終わりにしなければならない。


4月24日 共同親権 「被害に遭うのは子ども」

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案に反対するスタンディングアピールが23日、京都市下京区の四条烏丸交差点で開かれた。離婚を経験した女性や支援者ら約20入がプラカードを手に、参院での慎重な審議や廃案を求めて声を上げた。

 市民団体「京都の男女共同参画を考える会」が呼びかけた。メンバーの大脇美保弁護士は「共同親権になって、子どもが急に体調が悪くなっての手術などで親の意見が分かれて判断が遅れれば、被害に遭うのは子どもだ」と指摘、「(一方の親で判断できる)『急迫の事情』が不明確で、DV(ドメスティックバイオレンス)や虐待があっても子連れでの避難が難しくなる」と改正案を疑問視した。

 離婚を経験した市内の40代女性は「元夫から養育費は一切もらつていない。責任を果たさない親に何の権利があるのか」と話し、子どものころに親が離婚した60代女性は「元夫の暴力を退けて自立しようとするシングルマザーの努力を踏みにじる」と訴えた。

 改正案は、離婚後は父母いずれかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする。父母が折り合えなければ家庭裁判所が親権の在り方を判断する。DVや虐待の恐れがある場合は家裁が単独親権と決めるが、離婚後も被害が継続する恐れがあるとの懸念は根強い。


【インサイド】子どもを守る原点から議論を

 離婚後の共同親権導入について、京都の有識者からも懸念の声が上がっている。暴力を許さない男性たちのアクションを呼びかける「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン」共同代表の伊藤公雄大阪大名誉教授・京都大名誉教授(社会学)は、問題とされている面会交流を巡る争いや養育費などについて「現行制度の中でできることはたくさんある。共同親権の前に、できることを徹底的にやるべきでは」と性急な民法改正の動きにくぎを刺す。

 父親が共同親権を求める背景に、離婚によって男性主導でなくなるとともに、子どもから切り離されたという「剥奪感」の広がりがあるのではないかという。「1970年代にアメリカから始まる父親運動が世界的な潮流になった。父親たちが面会権、養育権を求めたが、子どもが暴力を受け殺人事件に発展することもあった」。女性の社会進出の一方。「失われた」と感じる精神状況の不安定な男性も現れ、暴力に向かうケースも生じた。男性への政策が必要としてスウェーデンでは1986年から行政が「男性のための危機センター」を設置、相談支援体制を整備したという。

 「面会交流の充実は行政による人的支援と予算措置、家庭裁判所の人員確保で可能だ。養育費も強制徴収すればいい」とした上で、現在の議論を「親の権利が強く主張され、子どもに目が向けられていないのでは」と危惧する。「子どもたちをどう守っていくのか。子どものためのインフラ整備、そして暴力をなくすという原点から進めてほしい」と訴える。



4月22日 金融教育 子どもも身近に

 金融の勉強を子どもや若者にも身近に―。高校や中学で金融教育の内容が拡充され、教育現場でお金にまつわる知識の習得が必修になった。証券会社は社員を派遣し、カードゲーム式の体験型授業や無料講座で理解を手助けする。金融リテラシー(知識や判断力)の向上が、より良い暮らしを送ることや主体的に判断し行動する力を養うことにつながると期待する。

 新たな少額投資非課税制度(NISA)が今年1月に始まり、資産運用への関心の高まりも金融教育推進の背景にある。

 「時代や環境、選ぶ行動次第で資産が変わり、人生ゲームみたいで楽しい」と笑顔で話す高校1年の女子生徒。3月、豊島岡女子学園高校(東京)で、三菱UFJモルガンースタンレー証券の社員らが体験型の授業を行った。

 班ごとに級友と相談しながら、カードを駆使して仮想の資産を増やす。天災や不況の発生を想定する場面もあり「むやみに株に投資せず、環境や社会の影響を考えながら手段を選ぶのが重要だと学んだ」。別の女子生徒も「将来、投資を実際にやるハードルが低くなった」と満足げだ。

 幅広い年齢層の顧客を持つ楽天証券は「資産づくりカレッジ」と称し、年代に応じて資産運用に関する無料護座を開催。3月末、大学生向けに東京都内で開いた講座では社員が「投資はばくちではなく、理論立てて行うことが重要」と説明し、統計データで分散投資の重要性を解説した。

 参加した大井亮治さん(20)は2月から新NISAを始めたばかりで「参考になった。円の価値が下がると預金ではお金が減っていく状態なので、運用は続けていく」と語る。就職活動中で大阪市から来た辻本明可さん(21)は「就活や将来に生かしたい」と真剣だ。

 学校側にとっては、従来教えていなかった内容を授業に組み込むのは難題だ。専門家を外部から招くなど人員の手当てを含め試行錯誤を重ねる。豊島岡女子学園高の50代の家庭科教員は「教師の言葉は生徒にとって重く、投資の良しあしは言わず中立の立場に気を付けている」と明かす。詐欺や金銭トラブルに巻き込まれるのを防ぐためにも金融の仕組みを教える授業に意義を感じ「企業の知恵を借りられるのはありがたい」と話す。

 業界は金融教育のさらなる拡充を求める。日本証券業協会が事務局を務める「金融経済教育を推進する研究会」は今春、国に提出した要望書を公表。家計管理や資産形成などに関する学習内容を集約した教科新設を盛り込んだ。専門知識の不足を感じる高校家庭科の教員が多いとの調査結果も紹介。座長の吉野直行慶応大名誉教授は「専門家が映像やオンラインで部分的に教える手法の導入も有効だ」と提案する。


金銭に関する教育が必要との認識も一定理解ができるが、その前になんでも教育が解決するという発想に問題はないかが問れなければならないだろう。そして、「賢い」消費者を作るのではなく、社会の在り方が「金銭」によってどのように左右されているかが理解できる子どもを作るというメタレベルでの(金融教育ではなく)金銭教育が必要だろう。


4月21日 府教委 教員の労働環境、依然厳しく

 京都府教育委員会は、京都市を除く府内公立小中高、特別支援学校教員の2023年度の勤務実態調査の結果(速報値)を公表した。新型コロナウイルス感染症の5類 移行で教育活動が平常時に戻り、月平均の時間外勤務(残業)は前年度より増えたものの、コロナ禍以前と比較すると減少傾向にあるという。ただ、中学校は「過労死ライン」とされる月80時間を上回っており、府教委は「時間外勤務は依然多く、厳しい勤務実態と受け止めている」としている。(生田和史)

 調査では府内公立学校教員の1割に当たる約1100人を無作為に抽出。年度当初に次ぐ繁忙期となる昨年10月23〜29日、11月6〜12日のそれぞれ1週間の出退勤時間や業務記録を分析した。

 一週間当たりの勤務時間は調査開始初年の17年度と比較すると、小学校は4時間18分、中学校は4時間19分、特別支援学校は3時間35分、高校は3分、それぞれ減っ た。

 今回の調査では、業務別の勤務時間および月80時間超の残業を行う教員の割合も調べた。

 平日の業務別勤務時間は、保護者・PTA対応が全校種で17年度調査より2〜4分減った。試験問題の作成や採点、評価、通知表の記入といった成績処理は小学校で14分、中学校で10分、高校が21分減少した。特別支援学校は変化がなかった。給食・栄養指導、清掃、登下校指導といった生徒指導(集団1)は、小学校が3分、中学校が8分、高校が5分、特別支援学校が7分それぞれ減った。

 一方、指導案作成や教材研究などをする授業準備は小中高で9〜21分増加。児童生徒と関わりの深い仕事は業務効率化になじまない実態が浮き彫りとなった。

 土日曜については、授業準備やクラブ活動指導での出勤が多かった。土日曜の1日当たりの平均出勤時間のうち、部活動に関するものは中学校が2時間26分と29分減った一方で、高校は1時間51分で26分増となり、結果が分かれた。府教委担当者は「中学については、部活動指導員の配置や土日のいずれかを休日にするなどの取り組みが進んだことが大きい。高校は部活動を理由に進学する生徒も多く、指導する教員が休みにくい事情があるのではないか」とみている。

 一週間当たりの勤務時間が60時間以上の割合についても調査した。17度と23年度の比較では、小学校は52・4%から33・7%、中学校は72・0%から57・7%、特別支援学校は30・7%から9・7%と大幅に減少したが、高校は38・3%から37・0%と微減だった。

 勤務時間の短縮に向け、府教委教職員企画課は「行事の精選やlCT(情報通信技術)の導入による業務効率化に加兄て、国に対して教員定数や加配の充実を求めたり、外部人材の活用を増やしていきたい」としている。


【総務省集計】自治体退職者10年で2倍(一部)

 安定した収入で人気だった自治体職員の退職が止まらない。総務省集計によると、教員や警察などを除く一般行政職のうち、2022年度に主に自己都合で仕事を辞めたのは1万2501人。13年度は5727人で、約10年で2・2倍となった。待遇への不満や業務量の増加が影響しているとみられる。30代までの若手が全体の3分の2を占め、住民サービス低下や組織弱体化が懸念される。


数字的には1日当たりの在校時間数はわずかに減少していることが『勤務実態調査結果』で確認できる。しかし、実質的な1日の在校時間は、小学校10時間59分(△3時間14分)、中学校10時間55分(△3時間10分)、高等学校10時間13分(△2時間28分)、特別支援学校9時間52分(△2時間7分)となっていて(カッコ内は所定勤務時間7時間45分を超えた時間数)以前長時間勤務は解消されていない。
一方でも「公務員離れ」が進行しているとの総務省の集計では、30歳未満の離職者が13年度比で2・7倍(4244人)、30歳以上40歳未満で3・1倍(4173人)とないて、教員と同じく人材確保状況は厳しいとしている。
双方の問題は待遇(勤務条件や賃金など)への不満が基礎にあるのだが、新自由主義の下での公務が「サービスを買う」という消費行動に陥っていることを示している。
ただ、府教委の取り組みは現場での勤務時間削減のインセンティブを引き出す効果はあるだろう。京都市教委も真摯に勤務時間把握への取り組みを進めるべきだろう。


4月20日 国立大法人化20年 競争原理導入 現場は疲弊

 文部科学省の内部組織だった国立大が2004年4月に法人化してから20年がたった。競争原理の導入が大きな目的で、予算の使い道などで裁量が広がり、特色ある教育・研究に取り組みやすくなったとも評価される。一方、人件費などに充てる交付金は減額が続き、現場は疲弊。「腰を据えた研究ができない」との批判が絶えない。

 国立大は現在、全国に86校ある。「競争的環境の中で世界最高水準の大学を育成する」との政府方針により、03年に国立大学法人法が成立、翌年に新体制がスタートした。教授会中心だった運営は学長を頂点とするトップダウン型に変わった。

 学長経験者によると、「文科省へのお伺い」が必須だった時代に比べ、学生支援センターのような新組織設立の際に自由な教職員配置が可能となった。外部理事らの意見を反映し、独自性のある事業も増えた。

 一方で財政面は不安定になり、運営が厳しくなったとの見方が多い。大学の規模に応じて配分される「運営費交付金」の仕組みが導入されたが、少子化や国の財政難などを理由に縮小が続いた。24年度は総額1兆784億円で、04年度に比べて13%も減っている。

 文科省は、交付金に頼るのではなく自主財源の拡大を要求。研究者らが応募して獲得を競う「競争的資金」や、民間との共同研究による財源確保を挙げる。19年度からは、経営や研究の成果に応じ、交付金の傾斜配分割ふ答高めた。医学部を持つ大学では、臨床研究より診療を重視して付属病院の収入が倍増したとの証言がある。法人化当初、国立大予算における運営費交付金の比率は半分ほどだったが、現在は3割まで低下した。

 同時に、各校はコストカットヘ教職員削減などを進めた。北海道大の教授は「補助金獲得のための書類作成といった事務作業に忙殺され、受け持つ学生数も増えた」と嘆く。研究室の予算は20年間で4割減った。夏場は電気代で予算を使い切る研究者もいる。「『稼げる研究』が最優先になった」とも語り、基礎研究を軽視し独創的な発想が生まれづらいとする。

 国公私立大全体の研究力低下を示す指標がある。科学技術・学術政策研究所によると、国際的注目度の高い論文数で日本は19〜21年の年平均が3767本。約20年前は4位だった国際順位が過去最低の13位になった。

 政府は巻き返しに向け、10兆円規模の基金からトップ層の大学だけに巨額の支援をして世界水準の研究成果を目指す「国際卓越研究大学」制度を創設した。だが関西の国立大教授が「必要なのは全体の底上げだ」と話すように、格差拡大への懸念が強まっている。


【金子元久特命教授】国はバランス取れた支援を

 法人化は自分たちが望んだものではなく、文部科学省と国立大は「大学はどうあるべきか」という明確なビジヨンを持たずに改革を進めてきた。その結果、大学の体力は低下した。国立大には研究だけではなく、学生への教育を充実させるという重要な役割がある。大学が弱体化して教育がおろそかにならないよう、国は、もつとバランスの取れた支援をするべきだ。一方、減額が続いているとはいえ、多額の税金が投入される国立大にも、多様化する社会のニーズに応える義務がある。責任を自覚し、学部構成などの見直しを絶えず進めなけれぱならない。



4月20日 中教審 教員給与 上乗せ分増額

 中教審の特別部会は19日、教員確保に向けた処遇改善と働き方改革の素案を提示した。公立学校教員に残業代の代わりに上乗せ支給する月額給与4%相当の「教職調整額」を、約50年ぷりに10%以上に引き上げることが柱。残業代を支払う制度への転換は見送った。小学5、6年で進めている教科担任制の3、4年への拡大や、学級担任への手当の加算も求めた。

 文部科学省は来年の通常国会に教員給与特別措置法(給特法)の改正案を提出方針で、引き上げられれば1972年の施行以来となる。現行の2・5倍の10%にした場合、公費負担は約2100億円増える見込み。特別部会は5月中にも議論をまとめる。

 教育現場は長時間労働が問題化している。教職調整額を巡っては、割合が現場の勤務実態に見合っていないとの指摘や、管理職に勤務時間を減らす動機が働かないとの批判があり、一部の教育関係者は、労働基準法を適用し残業代を支払う制度への転換を求めている。だが素案は「教員の職務は、自主的な業務と指揮命令に基づく業務が一体で区別が困難」とし、残業代はそぐわないとした。長時間労働是正は、働き方改革の推進や教職員定数の改善などで進めるのが適当だとした。

 働き方改革では、残業時間は「全教員が月45時間以内」を目標とし、将来的に平均20時間程度を目指すべきだとした。研修を通じた管理職のマネジメント能力向上や、教育委員会ごとの在校時間の公表も必要とした。

 学校の指導・運営体制では、授業持ちこま数を減らすため、小学校で一部教科を専門的に受け持つ教科担任制を高学年だけでなく中学年でも推進するよう言及。若手は精神疾患などによる休職率が高いため、新卒教員が負担が重い学級担任ではなく、教科担任を担えるような支援も提案した。

 処遇改善として、学級担任の手当加算や管理職手当の増額が必要と指摘した。


【インサイド】教員収入増も「残業減らぬ」

 教員不足の打開策として、中教審特別部会が19日、公立学校教員の給与引き上げ案を示した。長時間労働の一因ともされる現行制度を維持する内容で、残業時間と連動する給与体系へ転換する抜本改革は見送りに。繁忙状態が恒常化する学校現場からは、収入増を一定評価しつつ、勤務時間削減への実効性を疑問視する声も上がる。

 「意義ある取り組みを織り込んだ一体的な改革案だ」。19日の特別部会で、委員の一人は素案をこう評価した。一方、教員ら有志が東京都内で開いた会見で、岐阜県立高教諭の西村祐二さん(45)は「この方向では10年たっても残業時間は減らない」と批判した。

 文部科学省の2022年度調査では、月45時間の残業上限時間を超える教諭が小学校で64・5%、中学校で77・0%に上った。学習指導要領の内容拡充に伴い授業時間数は増加。保護者や子どもへの対応だけでなく、小学校英語の教科化や学習用端末の活用など、業務量も増えている。文科省は近年、働き方改革に本腰を入れるが道半ばだ。

 精神疾患を理由に休職した公立学校教員は6539人で過去最多となり、各地で欠員も生じている。「休憩時間をフルに取れることなんてない。追い詰められている」。関東地方の30代の女性教諭は、窮状を訴える。

 長時間勤務の元凶とされてきたのが、残業代の代わりに月額給与4%相当の「教職調整額」を支給する教員給与特別措置法(給特法)だ。給特法を廃止し、残業時間に応じた賃金を支払う制度に転換すれば、管理職に勤務時間削減の機運が高まる―。一部の教育関係者らはそう訴えてきた。

 だが特別部会では多くの委員が、残業代ではなく調整額の上乗せを主張。素案は「業務は教員自身の自発性、創造性に委ねるべき部分が大きい」とし、授業準備や教材研究であっても、職務なのか自発的活動なのか「精緻な切り分けが困難」だと指摘した。文科省幹部の一人は「残業代を支払うことになれば負担は膨大だ」として、財源の制約も議論に影響を与えた可能性を指摘する。

 学校現場の受け止めはさまざまだ。東京都内の公立小の50代校長は「教職の魅力向上の面で調整額上乗せはありがたい」と、低迷する採用倍率の回復に期待を寄せる。

 一方、近畿地方の公立小のベテラン男性教諭は「『業務の自発性』と言うなら、教員の裁量で使える時間を確保すべきだ」と語る。今は小5の担任で英語と理科を除ぐ週24こまの授業を受け持つ。勤務時間内に仕事を終えるのは困難で、児童の興味関心に合わせた授業を準備するほど残業時間がかさむのが実情だ。

 特別部会は長時間勤務の是正策として、教科担任や支援スタッフの拡充のほか、教育委員会ごとの在校時間公表という手法も素案に盛り込んだ。省内には「他の自治体を意識すれば、教委や学校の管理職に時間管理を促せる」との思惑がある。

 ただ男性教諭は、現場の過重な勤務実態に教員数が見合っていないことが一番の問題だと指摘。「人を増やさず残業時間の削減を求めても効果はない。むしろ管理が進み、子どもの関心に合ったいい授業ができなくなる」と懸念を示した。


初めから結論ありきの中教審の審議には「働き方改革」の意義は見いだせない。調整額を増額しても結局は「闇残業」がはびこるだけになってしまう。日本の教員文化の根本的な見直しが必要なのだが、それは無視されている。
これに対して教員の労働組合は左右を問わず「NO」を言うべきだろう。労働組合の力が低下している現在、またとない再興のチャンスを無にしてはいけない。
また、「裏金問題」でなんの責任もとらない旧森派の多くの議員が「文教族」であり、日本の教育を采配してきたは記憶しておくべきだろう。最近では、無理矢理導入したGAGAスクール構想も、頓挫した大学入試改革も彼らの意図によるものだった。


4月19日 全国学テ 小6と中3 200万人参加

 小学6年と中学3年の全員を対象にする文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が18日、一斉に行われた。国語と算数・数学の2教科を実施し、国公私立の小中計約2万8千校の約202万人が参加。複数の資料を読み解く出題を重視し、デジタル機器といった身近な題材に引きつけて課題を考察させた。都道府県別平均正答率などの結果は7月末に公表する。

 17日に震度6弱の地震があった愛媛県と高知県では休校などのため公立14校でテストができず、後日実施することを検討している。能登半島地震で被害を受けた石川県輪島市では、子どもの心のケアを優先する必要があるとして市立小中全12校が参加を見送った。

 児童生徒の生活や学習の習慣を尋ねるアンケートは今回から学習端末を通じて答える方式を導入。全員に配られている端末が勉強に役立っているかといった質問項目があった。テストは従来通り紙の問題冊子と解答用紙を使用し、2025年度から一部教科で端末を使った新方式に移行する。

 小学校国語では、2校の児童がメールや端末上の会話で交流する場面を設定し、解答に必要な情報を整理する力を問うた。中学校国語の題材としては、インターネットの閲覧履歴解析によって頻繁に検索する情報が表示されやすくなる「フイルターバブル現象」を取り上げた。

 小学校算数の大間の一つは「桜の開花日」がテーマ。円グラフや折れ線グラフを分析し、過去と現在の数値の違いなどを考えさせた。


【小学国語】目的に応じた書き方問う

 形式の異なる複数の文章を読み解きながら、目的や意図に応じて、自分の考えが伝わるよう書き表し方を工夫する力などが問われた。

 大問1は、小学校2校でそれぞれ取り組んでいる活動をオンライン交流で伝え合うという、目新しい場面が題材。一方の児童の発言が相手にうまく伝わらず、話し言葉 の特質を踏まえて短い文で話すように切り替える流れを取り上げ、その経緯を理解できたかどうかを問うような出題だった。

 大問2は、学校の良さを伝える文章を書くといった内容。「たてわり遊び」の良さを紹介した児童の文章の一部に空欄が設けられ、設定された条件やメモを踏まえて60 字以上100字以内で記述させた。事実と感想、意見を区別して書くことが求められた。

 大問3は、ハエやクモが登場する物語。同じ物語を読んだ2人の話し合いの様子を参考にしながら、心に残った部分やその理由を書かせた。読書の意義を実感させると いう観点から、他人の読書の記録を読み取らせる問いも設けられた。


【小学算数】データ基に論理的説明要求

 各種データから身の回りの出来事を論理立てて説明するため、与えられたグラフや図表を活用する力を問う出題が目立った。

 大問2は2台のトラックで米を700キロ運べるとの前提から、16台なら何キロ運べるかを計算させた上で、どのように解答を導いたのかを文章で説明することも求めた。さらに、1人7キロずつ配る場合と、O・7キロずつ配る場合で、何人に米が行き渡るのかを考えさせる問題も出た。

 大問4では、自宅から自転車に乗り、郵便ポスト経由で1キロ先の図書館に行くのに5分かかったと設定。ポストまでと、その後の速度がいずれも分速200メートルなら、自宅から図書館までの速度も同じであることを答えさせる内容があった。

 大問5は、数十年前から最近までの桜の開花日に関するデータを題材に扱った。年代によって、開花日が3月と4月のどちらが多いのかを折れ線グラフで示した。ここから何が読み取れるのかについて複数の意見を紹介した上で、開花日に関して説明できることを文章で記入させた。


【中学国語】ネット情報の偏り題材に

 インターネットで入手する情報に偏りが生じる現象に関する話し合いや、物語の構想をまとめたノートなど、多様な文章を読みながら、自分の考えをまとめたり表現を工夫したりする力が問われた。

 大問1は、ネットの閲覧履歴が解析されることで、好む情報ばかり表示されるようになる「ヒイルターバブル現象」が取り上げられた。この現象に注意し、読む本をどう選ぶかをテーマに行われた話し合いを踏まえ、自分の意見を話し言葉で書くように求めた。

 大問2は、植物の葉に関する説明文。着目する内容を二つの選択肢から選んで要約させた。

 大問3は、体験を基に、身近なものを登場人物にした物語を書くという内容。ある生徒の構想を記したノートや物語の下書きを読み、自分の考えが伝わるように表現を工夫しながら、物語の最後を締めくくる文章を記述させた。その表現がもたらす効果も説明させた。

 大問4は「月と風景」がテーマの短歌3作品。短歌に詠まれた情景の時間帯の違いを読み取り、順番に並べ替えさせた。


【中学数学】「箱ひげ図」3年連続出題

 イラストを含めた複数の図表や測定値などを示し、それらを根拠にして数学的な説明ができる力を測る出題を重視した。2021年度から実施されている現行の学習指導要領で中学生が学ぶことになった「箱ひげ図」は3年連続で登場した。

 大問7は、障害物との距離を感知して停止するためのセンサーが付いた「車型ロボット」を題材に扱った。速度が遅けれぱほぽ設定距離通りに停止できる一方、速くなるとオーバーランしてしまうことを示した「箱ひげ図」などを読み解き、数値を根拠にした物理現象の説明を要求した。

 大問8では、文化祭で体育館を暖めるために灯油ストーブを使う場面を設定。ストーブのスイッチをF強」にすると「弱」よりも短時間で灯油を消費するといった関数のデータをグラフで提示した。スイッチを切り替えると灯油の減り方が変化することを表した別のグラフも掲載し、「強」から「弱」に替えた結果のグラブであるという解答を導かせた。

 図形や確率などの基礎的な問題もあった。


毎回悉皆テストで約50億円もの費用がかかるという。これだけの費用を投入するだけの意味があるのだろうかといつも思わされる。全国学テの目的は子どもの学力の問題点や特徴を把握し、今後の教育内容改訂の参考とすることではないのだろう。国が想定する学力の方向をソフトな形で示すことに意味がある。つまり、社会で役立つ特定の学力を身に付けることが教育であると示しているということではないか。その結果に右往左往させられるが、保護者、子ども、教育関係者なのだが。


4月19日 オンラインフリースクール 自分のペースで個性伸ばす

 不登校の小中学生が過去最多となる中、子どもたちがインターネットを通じて交流したり、自分のペースで学んだりできるオンラインフリースクールが注目されている。離島など、近くに通える施設がない子でも、自分に合った環境を見つけやすいのが最大の特徴だ。学習内容によっては、学校の出席認定を受けられるケースもあるという。

 3月、ビデオ会議アプリを利用して開かれたオンラインフリースクール3社の合同説明会。不登校の子がいる保護者ら約80人が視聴する中、「夢中教室」「Branch」「SOZOW(ソーゾウ)」の各スクールが、学習のスタイルや利用者の声などを紹介した。

 文部科学省によると、2022年度の全国の小中学咬における不登校者数は、過去最多となる約30万人。説明会を主催したSOZOW代表の小助川将さんは「いじめや人間関係の悩みだけでなく、『みんなで同じ事をする』学校教育そのものが苦痛で登校できなくなる子も多い」と指摘する。

 説明会に参加した九州の女性は、小学生の息子が学校教育になじめず、不登校になった。「5教科の勉強よりも経済の仕組みに強い関心を持っているが、学校ではそこを尊重してもらえなかった。本人の興味を否定せず、伸ばしてくれる場所を探したい」と話した。

 小助川さんは「オンラインフリースクールなら、子どもたちが好きなものを通じて全国の仲間とつながり、自由に活動できる」と話す。SOZOWスクールの小中等部には、現在約600人が在籍。バーチャルキャンパスで交流しながら、動画制作やゲーム大会の企画運営など、さまざまな活動に取り組んでいる。スクールでは、子どもの「好きなこと」を学びにつなげる環境づくりにも力を入れる。5教科だけでなくプログラミングやデザインなどを学べる講座があり「大人顔負けのデジタル技術を身に付けて、オリジナルのアニメを作っている子もいます」。活動内容をまとめたリポートを小中学校に提出すれば、出席認定を受けられる場合もある。

 東京都の離島に住む男子中学生も、スクールで出会った友人とイラスト制作などに打ち込む。父親は「学校には話の合う子がいなくてつらそうだったが、今は北海道や九州にも友達がいて、楽しそうに活動している。息子の世界を広げてもらった」と感謝した。

 スクールでの活動をきっかけに将来の目標が明確になり、通信制高校などへの進学を目指す子も多いという。小助川さんは「みんなと同じことを同じペースでできなくても、大人になって社会に出る時に生かせる力が身に付いていればいい。一人一人の個性に合わせた学びのサポートをしていきたい」と語った。


通信制高校を含めてオンライン教育が、経済活動としても十分にペイできる状況になっていることを伺わせる。民間企業が教育へ参入することがきわめて容易になっているといことだ。もちろんこうした費用は私費で賄われることになるし、教育の目的も必然的に個的なものとなる。「『みんなで同じ事をする』学校教育」との指摘は一定的を得ているのだが、能力や学力を個的なものと考える基盤は首肯しかねる。


4月18日 スポ協 スポハラ相談、過去最多

 日本スポーツ協会は17日、スポーツにおける暴カパワハラ問題で、2023年度の窓口への相談件数が統計開始の14年度以降最多の485件に上ったと発表した。過去最多の373件だった22年度の約1・3倍。同協会は、暴力や暴言などの抑止を目指す「NO!スポハラ」活動の展開や相談窓口の認知度向上が件数増加につながったとして分析している。

 内容の割合は暴言の増加傾向が続き、39%と最も多かった。「ばか」「おまえなんかいらない」などの発言に関する相談があった。15年度に38%だった暴力は減っており、10%だった。

 被害者の内訳は小学生が最多の42%で、中学生は12%、高校生は13%だった。不適切行為を受けても声を上げづらい子どもが被害者になるケースが目立った。相談者の内訳は保護者が62%で、本人は18%だった。

 22年7月に開設された子ども向けの相談窓口には23年度は44件の相談が寄せられた。約6割は保護者に相談していない状況で窓口に連絡しており、アクセス方法はウェブ81%、電話19%だった。窓口を知ったきっかけもウェブが多く、「暴言 助けてほしい」「コーチのパワハラ訴える方法」などのキーワードで検索していた。

 日本スポ協は「これらの結果を踏まえ、今後も引き続き、不適切行為根絶に向け、さまざまな対策を講じ、取り組んでいく」としている。


【インサイド】ウェブ活用 声上げやすく

 日本スポーツ協会が暴力パワハラ問題で統計を取り始めて10年。相談件数は2014年度の23から485に増えた。地道に進める抑止活動の成果といえ、日本スポ協の森岡裕策専務理事は「声を上げやすい環境が構築されつつあるとプラスに捉えている」と語った。

 全体の1割近くに当たる44件が、小中高生を対象にした窓口に寄せられた。その8割超が22年から導入されたウェブ上の専用フォームを通じたもの。立場の弱い子どもたちが直接訴えられる方法が整ったことも、問題の把握を助けている。

 最多の相談内容は10年前の暴力から、暴言へと変わった。明らかな体罰の相談は減ったものの、「愛のむち」が選手の成長を促すとはき違える指導者や保護者はいまだに残る。森岡氏は「誤った意識を覆すのは相当な労力が必要。特効薬はなく、継続的に活動しなければ」と気を引き締めた。

 相談件数の増加とともに弁護士や担当職員の拡充も課題になる。日本スポ協は寄付金を募るなどし、よりきめ細かに対応できるよう体制を強化していく考えという。



4月18日 滋賀県 テスト点数 同級生に共有

 教員がアプリを使ってテストの点数を同級生に共有したのは、プライバシー侵害にあたる―。滋賀県立高校の元男子生徒が、点数を他の生徒に知らされたことで精神的苦痛を受けたとして、県を相手に損害賠償を求める訴えを近く大津簡裁に起こす。生徒側は「テストの点数は個人情報で、学校には最低限の配慮を求めたい」としている。

 訴状などによると、元生徒は県立高に通っていた今年1月、英語の補習テストを受けた。担当の教諭が採点後、教育支援アプリのグループ機能を使って、元生徒を含む5人分の点数を一覧にしたメッセージをそれぞれに共有。名前入りで、個人が特定できる状態だったとしている。

 元生徒は学習に困難を抱えており、これまでも成績を理由に周囲からからかわれることがあった。点数を知られたことで、さらに不安や苦しみを抱えるようになったとして、慰謝料50万円を求めている。

 元生徒の母親は京都新聞社の取材に、「少人数であっても成績を知られたことで本人はショックを受けた。いじめにつながる恐れもあり、学校には情報の取ぴ扱いに緊張感を持ってほしい」と話す。代理人の石川賢治弁護士は「テストの点数は他人に知られたくないプライバシー情報で、成績優秀者のものであっても配慮されるべきだ」と指摘する。

 学校側は母親らの指摘を受け、配慮が足りなかったことを認めた上で、元生徒に謝罪した。「(教諭は)生徒同士で互いに刺激を受けて頑張ってほしいという意図で共有したが、個人情報の取り扱いや、生徒の気持ちを踏まえると不適切だった」としている。


およそ考えられないような事件。「学力向上」だけが教育であるかのような考え方が、学校の文化となってしまったのだろうか。学校で起こる不祥事は後を絶たないのだが、生徒間で学習意欲を高めるためにテストの点数を公表するという「手段」を選んだ感性を理解することは難しい。


4月13日 中教審 教員月給上乗せ「10%以上」調整

 教員の確保策を話し合う中教審の特別部会が、公立学校教員に残業代の代わりに支給している月額給与の4%相当の「教職調整額」について、10%以上に引き上げる案で調整していることが12日、関係者への取材で分かった。近く開かれる会合で提示し、働き方改革などと一体的に、5月中に一定の方向性を示す方針。

 教職調整額は1972年施行の教員給与特別措置法(給特法)に基づく制度で、引き上げられれば約50年ぶり。義務教育段階の公立学校教員の給与は、国が3分の1、自治体が3分の2を負担しており、10%に引き上げた場合、公費負担は約2100億円に上り財源確保が課題となる。

 現行の4%は66年度の調査で平均残業時間が月8時間程度だったことが根拠となっている。一方で文部科学省によると、2022年度に小学校で64・5%、中学校で77・1%の教諭が、残業時間が上限の月45時間を超えており、教職調整額は現在の勤務実態を反映していない。

 学校では長時間勤務が当たり前となり、教職人気低下の一因に挙がる。一部の教育関係者らは、給特法の枠内では管理職が勤務時間を減らそうとする動機につながりにくく、長時間労働の温床だと指摘。抜本的改正となる残業代支払い制度への転換を求めていた。だが特別部会では、教員の仕事は職務と自主的な活動との線引きが難しいなどの理由から、制度自体は維持して教職調整額を増額する意見が強まった。

 教員確保策を巡っては自民党の特命委員会が23年5月、教職調整額を10%以上に増額することを柱とした提言をまとめ、働き方改革を進めることも盛り込んでいた。永岡桂子前文科相は同月、総合的な方策の検討を中教審に諮問した。


想定通りの中教審答申になりそうな気配。給特法廃止が原則にならない議論をいくら積み上げたところで「働き方改革」などできない。72年の制度実施に向けて日教組内でも大きな議論になったが、「労基法の適用除外」に反対して中央委員会が一部の教員によって占拠されたという事件があった。結局日教組と社会党(当時)は政府の案を金額と歯止め条項(指定4業務)を設けることで妥協した。その結果が現在の「やりがい搾取・はたらかせ放題」の状況を生んだ。野党は妥協線を引くのではなく「給特法廃止」の上での「働き方改革」を求めて国会論戦すべきだ。


4月13日 府教育長 教員も働き方改革 理解を

 京都府教育委員会は12日、府公立学校長・園長会議を京都市伏見区の府総合教育センターで開き、現場のトップらに2024年度の重点施策を説明した。

 会議には、京都市立を除く府内の公立幼稚園・認定こども園、小中高、特別支援学校の校長や園長、行政関係者ら約500人が参加した。府教委幹部たちが働き方改革や人権教育、いじめや不登校の対応など本年度に取り組む重点項目を説明し、理解を求めた。

 高校教員を長く務めた前川明範教育長は「私が採用された昭和には、(決められたことしかしない)『サラリーマン教師』という言葉があった。その反省から振り子が逆に振れ、平成では教員が担う本来の仕事以外も積極的に受け入れてきた。そのため、働き方改革が必要になっている。令和ではその振り子をどうするのかを考えるのが私たちの使命だ」と訴えた。


教員に改革の主体となるような発言に取れる記事だが、事務的作業を縮減していくのか、部活動の地域移行をどうするのか、また学力向上ということが不磨の大典となるような教育を現場に求めていないか、など行政が行えることが多くある。自戒の言葉として「その振り子をどうするのかを考えるのが私たちの使命」を聞いておきたい。


4月12日 怒る監督や指導に「×」

 元バレーポール日本代表の益子直美さんらが主催するスポーツ大会「監督が怒ってはいけない大会」が10年目を迎えた。バレーボールからスタートし、現在はバスケットボールやサッカーなど他競技にも広がりつつある状況に「怒る指導は間違っているという意識が浸透してきた」と手応えを感じている。

 「監督、今日は怒ってなかった?」。3月に山口県山陽小野田市で開かれたバレーボール大会で益子さんが子どもたちに問いかけた。「いつもは失敗したら怒るけど、今日は大丈夫!」。そんな返事に監督も苦笑い。和気あいあいとした会場の雰囲気が印象的だった。

 大会は2015年に、益子さんが、福岡県でバレーの小学生チームを率いる北川新二さんと妻の美陽子さんと始めた。中高生時代に厳しい指導を受けた経験から「バレーボールが大嫌い」になった益子さんが「子どもたちが怒られる大会は見たくない」と発案。試合中に怒っている監督は「×(バツ印)」が入ったマスクを着けさせられる。

 大会中、益子さんは監督の隣に座り「あの子の良いところはどこですか」と詳しく尋ねるという。その日一日の良いプレーは益子さんも褒められるが、成長の過程を知っている指導者が認めてあげるのが、子どもには一番効果的だからだ。「褒められたことって大人になっても忘れない」

 一方で、怒る指導がなくならないのは「簡単だから」と新二さんは説明する。「目の前でのミスを怒鳴れば、選手に恐怖心を与え、強制させることができる」。対して、褒めるにはプレーを見て考え、探す手間がいる。アドバイスを伝えるにも技術や語彙が必要だ。

 監督が怒る背景には、保護者ら周囲が短期的に勝利を望んでいることがある。実際、信頼関係をじっくり築いていく怒らない指導法では「チームのこれまでの試合結果は芳しくない」と明かす。

 ただ、子どもたちの取り組み方は大きく変わった。「もっと練習したい」と言ってきたり、アドバイスを求めてきたりと自主性が芽生える。小学校卒業後に伸びる子が多いそうで、益子さんと北川さん夫婦は書籍「監督が怒ってはいけない大会がやってきた」(方丈社)を3月に刊行し、これまでの活動をまとめた。

 当初、批判的なものばかりだった益子さんへのメッセージも、最近は賛同に変わってきた。

 「好きだからチャレンジできるし、壁を乗り越えられる」と益子さん。そして、指導者の言うことを聞かすだけの指導はこれからを生きる子どもたちの育成に合っていないとも。「不安定で多様な時代には臨機応変な対応力が求められる。スポーツも同じです。指示通りに実行するだけでは生き残っていけません」


4月11日の夕刊「現代のことば」で、元ラガーの平尾剛教授が「スポーツハラスメントZERO協会」について書いている。そこで「ハラスメントかそうでないかの線引きをフットボールにおけるオフサイドライン」といい固定された白線ではないと比喩的に論じている。スポーツに限らず教育一般についても含蓄ある考え方のように思える。


4月12日 共同親権法案 4党が修正合意

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案に関し、自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党の実務者は11日、改正案の一部修正に合意した。衆院法務委員会の理事懇談会後、複数の理事が明らかにした。親権の在り方を決める際、父母の力関係の差で不適切な合意とならないよう「真意を確認する措誠を検附する」などと付則に盛り込む。12日にも法務委で採決され、与党などの賛成多数で可決される見通し。

 立民は修正合意を踏まえ、来週にも見込まれる衆院本会議では、党として修正後の改正案に賛成すると決めた。ただ課題も残されているとし、法務委では修正部分を除くもともとの改正案に反対を表明するというぃ

 関係者によると、修正は、ドメスティックバイオレンス(DV)があるケースで、父母が親権について対等な立場で合意できない恐れがあるとの懸念を踏まえた。

 付帯決議で、共同親権下でも一方の親が単独で親権を行使可能な「急迫の事情」がある場合や「日常の行為」について「具体的な類型をガイドラインなどで明らかにする」と求める。DVや虐待に関し「被害者の保護・支援策を適切に措置する」 といった内容も盛り込む。


【安保弁護士】子の利益考えぬ法案

 子どもの権利条約の観点から、子の意見表明権がないことが問題だ。利益の主体の意見を聞かないと、最善の利益は守れない。法案は子の利益をまったく考えていない 構造になっている。

 単独親権のもとでも、子の利益のために協力しあっている元カップルは今もいる。しかし、別居親が親権を共同で行使するには、子の親同士として信頼関係が構築できている必要がある。片方が信頼関係がないと言っているのに、家裁が共同親権を命じることができれば、大変な混乱が起きる。紛争が増えると予想され、家裁の人員や設備の増強は不可欠だ。

 今のままでは、親権や面会交流などで親がもめた時、子が主体的に参加できない。子が利害関係人として参加でき、子をサポートする「子どもの手続き代理人」の選任を国費で可能にしてほしい。

 共同親権はこれまで経験のない状況で、親の教育やサポー卜、子が相談できる場が必要だ。互いに意見を言って調整し、分かりやすい言葉で説明すれば、子の成長につながる。離婚は子にとって悲しいが、その過程があれば、しんどさを乗り越える力が出てくる。


【吉田弁護士】DV被害支援 後退恐れ

 共同親権になれば、子に関することを基本的には全て共同で決めなければいけない。美しい言葉に聞こえるが、実際は別居親に「拒否権」を与える制度だ。子どもが行きたい学校があっフても、別居親が拒否すれば入学できない。進学や治療だけでなく、養子縁組、パスポート取得、奨学金申請など、合意が必要な重要事項は多岐にわたる。高校無償化などの判定で父母の収入が合算され、支援金が受けられなくなる恐れもある。

 家裁に面会を禁止された3歳の娘が心臓手術を受ける際に説明や同意がなかったとして、父親が滋賀医科大に慰謝料の支払いを求めた裁判では、大津地裁は一昨年の判決で父親の主張を認めた。同居親が単独で親権を行使できる「日常行為」の範囲は不明確で、医療機関や学校などは契約に両親の同意書を求めるだろう。もめた場合は裁判所というが、決定までには時間がかかる。裁判はハードルが高く費用も必要だ。「同意」が強制され、立ちすくむ同居親と子が増えるのではないか。

 法務省は単独で親権が行使できる要件の一つ「急迫の事情」について、暴力や虐待があったその時という時間的限定ではなく、広い概念と説明する。しかし、9割が協議離婚である現状では誤解され、子連れ別居などで紛争を激化させる恐れがある。「急迫」が争点になれば、被害者支援が後退してしまう。



4月11日 NPO調査 貧困家庭の1割ネット回線なし

 子育て中の困窮世帯の1割が家庭にインターネット回線がない―。こうした実情が、子どもの貧困対策に取り組むNPO法人キッズドア(東京)の調査で明らかになった。オンライン空間での子どもの居場所づくりに注目が集まる中、所得を問わずデジタル環境にアクセスできるよう支援が必要だと訴える。

 調査は昨年9〜10月、キッズドアのサポートを受けている世帯の保護者916人に実施。主に年収300万円未満で、母子世帯が大半を占める。家庭でのネット回線の有無に関し、85人(9・3%)が「ない」と答えた。通信データ容量が使い放題の回線が「ある」は最多の686人(74・9%)で、容量の制限付きの回線が「ある」は138人(15・1%)だった。所得が低い層ほど回線がない割ふ励高い傾向にあった。

 子どもを参加させてみたいオンラインの居場所を複数回答で尋ねたところ、プログラミング体験教室が51%と最多で、料理教室24%、オンライングーム23%が続いた。

 調査結果を受けキッズドアは、プログラミングや料理といったオンライン体験イベントを試行。参加者から「違う所に住んでいる子どもたちと知り合えて感動した」 「オンラインでお菓子作りができて便利だった」との声が寄せられた。

 政府は、不登校などの子どもたちにとっては児童館や公民館だけでなく、デジタル空間も居場所になるとして整備を進めている。キッズドアの渡辺由美子理事長は「家庭のデジタル格差が広かっているので、オンライン居場所づくりは環境整備とセットでやってほしい」と話す。


4月5日既報「オンライン居場所」で学習支援をを参照。


4月11日 旭川市教委 重大いじめ15件 全て非公開決定

 北海道旭川市の学校で2022年以降、いじめ防止対策推進法に基づき「重大事態」と認定された15件について、共同通信が事案の内容や学校などによる対応の経過が分かる文書類を開示請求したところ、市教育委員会は10日までに全て非公開とする決定をした。「個人情報」を理由とした。専門家から「再発防止のため原則公開するべきだ」との批判が出ている。

 重大事態は児童らが生命や心身、財産に被害を受けたり長期欠席したりした疑いのある事案と定義され、学校などは事態に対処し、同種事案の発生を防ぐため事実関係を調べる。結果について文部科学省は「特段の支障がなければ公表することが望ましい」と指針で明示している。

 市教委は今回の15件に事実関係の調査を終えた事案が含まれることを認めた。一方、非開示の理由を「個人情報に当たらない部分を公開したとしても、意義がないと判断した」と説明した。

 山口県の大島商船高等専門学校で16年に男子学生が自殺した問題など、いじめの調査経験が豊富な池坊短期大(京都市)の桶谷守学長(教育学生徒指導)は、被害者の意思を最大限尊重するべきだとした上で「個人情報を明らかにしなくても何が起き、どう対応したのかは公表できる」と指摘した。

 市は2月の市議会で、15件のうち一部事案について「複数の児童から悪口や仲間外れを受け、学校などに相談したが認知されなかった」と明らかにしている。

 市では21年、いじめを受けた中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が凍死。市教委は今年2月、広瀬さんの件以降に重大事態が15件発生したと公表していた。

 いじめ調査を巡っては、大津市教委が15年に当時小学4年の男児が不登校になった事案で調査報告書を非公表としたほか、札幌市教委も、21年に中1の女子生徒が自殺した問題で大半を黒塗りにして公表。その後、保護者側の要望を受けて一転、公開したことがある。


三木理事長の話】市教委判断に疑問

 旭川市教育委員会が全ての資料を非公開とした判断には疑問が残る。どのような事案を重大事態と認定したかなど、第三者から見て個人が識別されない範囲の情報は公開されるべきだが、何も公開されなければ適切に報告や対応がされているのかが確認できない。いじめを受けた子どもをさらに傷つけないための配慮は必要だが、個人情報を盾に、非公開の範囲をいたずらに広げる対応はあってはならない。


藤川教授の話】被害者の意向なら

 国は原則として重大事態の調査報告書などを公表するよう求めており、全件を一律に公開しないのは説明がつかない。何をどこまで公表するかを1件ずつ決めるべき だ。被害者や保護者が望まない場合、特に長期欠席のケースでは、被害者が同級生らに知られるのではと不安に感じ、再登校や転校などに向けた学校側の支援に消極的になることが考えられ、非公開とすることはあり得る。



4月11日 私大教組連合 初年費用は保護者年収4割

 京都の私立大に2023年に入学した下宿生の初年費用は保護者の年収の4割近くになったとする調査結果を、京滋地区私立大学教職員組合連合がまとめた。近年の物価高騰を反映しているとみられ、進学を巡る費用が家計の重い負担となっていることが明らかになった。

 調査によると、受験費や授業料、家賃、4〜12月の仕送り額など、下宿生の入学年にかかる費用は総額で前年だ8万2千円増の平均約294万5千円だった。下宿生の保護者の平均年収は約807万1千円だったため、年収の36・5%を占める結果となった。前年より6・2ポイント増えており、同連合は物価高や家賃負担の増加などが影響しているとみている。

 保護者からは「大学は学ぶために行くところなのに、バイトばかりでよくない」「給付型奨学金を充実させてほしい」など切実な声も寄せられた。同連合は「教育費負担が年々重くなっている厳しい実情が表れた。保護者の負担を軽減する施策が喫緊の課題」と訴えている。

 調査は毎年実施し、今回は昨年5〜10月、同志社、立命館、龍谷、京都橘、京都先端科学の5大学に通う学生の保護者にオンラインでアンケートを取った。543人から回答を得て、一部、文科省の調査結果も参照した。


首都圏入学・下宿費用過去最高

 首都圏の私大生、入学・下宿費用過去最高 2023年4月に首都圏の私立大と私立短大に入学した下宿生の受験費用や入学金、敷金・礼金といった「受験から入学までの費用」は、前年から4万6801円増え、過去最高の230万2181円だったことが5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査で分かった。同教連は「物価高騰の影響」と分析している。

 東京私大教連中央執行委員の田中雅敏東洋大教授は、記者会見で「多くの学生がアルバイトをしなければ学生生活を送れない状況。学業に専念できるよう国の給付型奨学金制度の拡充が必要だ」と訴えた。


改めて「なぜ大学なのか」が問われないといけないのだろう。学生たちは高い費用(入学金や生活費など)を当然だと考えているのだろうか。確かに、給付型の奨学金の範囲拡充は必要なのだが、こうした費用が搾取されているという状況を認識することも大切だろう。加えて最低賃金並みのアルバイト費用で働かざるを得ないのも「過剰サービス」に対応する外食産業の犠牲だと考えるべきではないのだろうか。


4月10日 高橋さん母 「生きるために働くのよ」

 時間外労働の上限規制に4月から建設など4業種が加わって全業種が対象となり、政府の「働き方改革」が制度面では完成した。改革が進んだきっかけの一つが、2015年に起きた電通新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺。仕事が原因で命を絶つ人をなくそうと活動するまつりさんの母幸美さん(61)に思いを聞いた。

 19年度に罰則付きの上限規制が始まって以降、残業が減ったという話を知人から聞くようになった。ところが、ある会社では、タイムカードで勤務終了と記録した後に働く 「闇残業」をさせていた。社員を安く働かせることしか考えない経営者が多いと痛感する。

 一方、労働者の側が少しでも稼ごうと残業を望むケースが少なくない。私はシングルマザーとして子ども2人を育てた。フルタイムで働いても給料が少なく、苦しんだ時期 がある。残業代がないと生活できない現状はおかしいと思う。

 残業上限規制に加わった業種のうち、トラック運転手は通販の翌日配送などに対応し、長時間労働を続けてきた。規制に伴いサービス低下を懸念する声もあるが、今までが異常だった。労働環境を良くするために消費者が意識を変え、社会全体で協力して取り組まなければならない。

 さらなる法改正も急務だ。現状では、繁忙期などに労使が合意すれば「月100時間未満」の残業が可能になる。過労死ラインを超えた長時間労働を容認する法律は見直してほしい。

 まつりは自ら命を絶つ前、交流サイト(SNS)に「生きるために働いているのか、働くために生きているのか」と悲痛な思いをつづった。私は働き方に悩む人を放っておけない。「生きるために働くんだよ」。がんの治療をして体調が万全ではないが、命より大事な仕事はないと力の限り伝えていきたい。


給特法で働かせ放題になっている教員の「働き方改革」の法的措置はほとんど手つかず。教育をサービスと消費と考える傾向はますます強くなっている。このままでは教員のなかから高橋まつりさんのような人が続かないとは限らない。


4月9日 専門学会 子どもに「rTMS」治療法の実施は不適切

  18歳以上のうつ病患者を対象に公的な保険が適用されている「rTMS」という頭部を磁気で刺激する治療法について、専門の学会は、一部の医療機関が発達障害に有効だとして、子どもに対しても実施しているとして、子どもへの有効性と安全性は確かめられておらず実施は不適切だとする声明を発表しました。

  「rTMS」は、専用の医療機器で頭部に繰り返し磁気的な刺激を与えて脳の特定の活動を変化させる治療法で、薬による治療で十分な効果が認められない18歳以上のうつ病患者に対して公的な保険が適用されています。

  この治療法について、子どもの精神医学の専門家などで作る「日本児童青年精神医学会」は声明を発表し、一部の医療機関が「発達障害に有効」だとして、18歳未満の子どもに対しても保険が適用されない「自由診療」で実施しているとして、「子どもに対する有効性と安全性のエビデンスは不十分であり、発達障害などに、この治療法を実施することは適切ではない」という見解を示しました。

  声明では、この治療法は別の専門学会の指針で、18歳未満には実施すべきではないと明記されているとしたうえで、「まれに、けいれん発作が起きることもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

  そして臨床試験で安全性などを確認しないまま、子どもに対して実施することは「非倫理的で危険性を伴う」としました。

  学会の岡田俊代表理事は「安全性や効果が十分に確認されていない治療法に、子どもをゆだねることは危険にさらすことにもなる。まずは、効果と安全性を検証することが大事だ」と話しています。(NHK)


かつてADHDに対して「リタリン」が使用されることがあった(現在では「コンサータ」という薬に置き換わっている)。脳科学が「発達」していくと様々な知見がえられると同時に十分検証されていない「治療法」がもてはやされる。発達障害と呼ばれるようにこの種の子どもは「障害」を持つ子どもとされるが、確かに医学モデルでみれば治療の対象なのかもしれないが社会モデル・人権モデルの見地から見ればそうした子どもを拒んでいるのは社会の側だといえる。ここの議論がないまま「治療対象」とみることは不適切である。


4月8日 CCS 企業のCO2輸出計画急増

 脱炭素対策の一環で日本企業が二酸化炭素(C02)を東南アジアなどに輸出し地中にためる計画が過去2年ほどで急増し、少なくとも13件に上ることが7日、共同通信のまとめで分かった。電力や製鉄、石油元売りといった排出量の多い企業が参画、早ければ2030年前後の開始を見込む。今後の大幅削減や「排出実質ゼロ」に備え、C02が生じる事業の継続策として海外貯留を有力視している実態が浮かんだ。

 C02の地中貯留は政府も30年の実用化を見据える。国内には適地とされる枯渇したガス田などが少なく、海外でも推進する姿勢を示す。一方、地中貯留は低コスト化が課題で、商業ベースで実用化した例は世界でも限られる。先進国が出したC02の受け入れには現地で反発も出ており、日本政府や企業の思惑通りに進むかどうか見通せない。

 C02が大気中に放出される前に発電所や工場などで回収し、地下深くに封じ込める技術はCCSと呼ばれる。

 三菱商事やENEos(エネオス)など4社は、東京湾周辺の火力発電所や製油所から出るC02を液化し、船でマレーシアに輸送し貯留するCCS事業の検討を進める。年約300万トンの回収を想定し、30年度までに始める。中部電力などは名古屋港周辺の発電所や工場から出るC02をインドネシアで貯留する実現可能性の調査に着手した。

 住友商事やJFEスチールなどは瀬戸内・四国地域からの排出をオーストラリアでためることを目指す。大阪ガスなどは鉄鋼や化学といった産業の国内工場のC02をアジア太平洋地域で貯留することを想定する。

 環境団体FOEマレーシアは3月、日本政府や三菱商事などへの抗議文を公表し「日本がなすべきことは排出削減であり、他国への輸出や投棄ではない」と批判した。三菱商事は「地元の住民の理解をいただいた上で取り組む」としている。


【インサイド】地中活用期待もコスト高

 気候変動への対処を迫られる中、二酸化炭素(C02)を地中にためるCCS活用への期待が官民で急速に高まる。政府は国内事業推進の法案を今国会に提出、海外でも積極展開する構えだ。しかし大規模導入にはハードルが高く、専門家は「まずは脱化石燃料や再生可能エネルギー拡大に注力すべきだ」と訴える。

 「脱炭素化が難しい分野のGx(グリーントランスフォーメーション)を推進する」。2月、CCS事業法案の閣議決定を受け、斎藤健経済産業相が強調した。法案は企業の参画を促すのが狙い。貯留に適した場所を政府が事前に指定し、事業者を募り試掘や貯留を許可する仕組みをつくる。

 国内では北海道苫小牧市で30万トンを注入する大規模な実証試験が行われた。注入は終わり、これまでに漏えいは確認されていないという。政府関係者は「脱炭素社会に向け、CCSは停滞する現状を打破する切り札になる」と意気込む。

 CCSは1970年代から世界で研究や実証が進められてきたが、課題が多い。特にコストは高く、現状では再生エネなど既存技術に太刀打ちできない。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、風力発電と太陽光発電は2030年時点で、1トン当たり20ドルという安いコストで年30億トンを削減できる。CCSは1トン当たり200ドルをつぎ込んでも削減量は年10億トンに届かない。

 想定した量の貯留に結び付かない事業が目立つとの分析もある。

 それでも日本政府は30年までに官民合わせて少なくとも約4兆円をCCSに投資する方針だ。国内で港湾やパイプラインといったインフラを整備するだけでなく、海外での貯留推進を図る。

 東北大の明日香寿川教授(環境エネルギー政策)は「4兆円を再生エネや省工ネに投資すれば、早期のC02大幅削減や化石燃料輸入費の縮減、エネルギー安全保障強化につながる」と指摘。CCSへの支援は国民負担を増やし、脱化石燃料も遅らせると説く。

 日本企業も国内外で事業化の動きを加速させる。だが発展途上国へのC02輸出には厳しい目が注がれる。


環境団体FOEマレーシアは政府のこの計画を「炭素植民地主義」と呼んでいる。かつての農薬輸出や核燃料中間施設問題など根本的な解決(脱原発、再エネ強化)を回避し、企業への利益を税で誘導する政府のエネルギー政策は、国内だけではなく国際的にも批判の的になる。


4月7日 【教育】 生成、教材に生かせるか

 文章や画像を作り出す生成人工知能(AI)を教育の現場で活用しようとする試みが広がっている。京都市立美術工芸高(下京区)と西京高(中京区)は2023年度、生成AIを使った授業に取り組んだ。生成AIが作成した画像を活用してデザイン作品を制作したり、対話型AI「チャットGPT」の注意点を考えたりするなど、教材としての可能性を模索している。(河北健太郎)


【市立美術工芸】環境問題など意見広告をデザイン

 市立美術工芸高では、デザインを学ぶ2年生12人が画像生成AIを使って、環境問題やLGBTQなどの意見広告を作成した。

 井上風真さん(17)は海の生態系に悪影響を及ぼすマイクロプラスチックの危険性を訴える作品を制作した。「プラスチックと魚」「海底都市」などと言葉を打ち込んで画像を生成。薄暗い海底都市を背景にプラスチックが食い込む魚が皿に乗る構図で、「不気味な感じを生成AIを使ってうまく表現できたと思う」と手応えを語った。

 使いこなす上では、気になった点もあったという。ある生徒は、思い描いた画像がなかなか生成されず、エリマキトカゲを作成する際には、学名を入れてもイグアナや、トカゲと人間を組み合わせたような画像しか出なかった。札束などの絵もうまく表現されず、自分で絵を描いたケースもあった。西川俊三教諭一(37)は「イメージする画像を追 い求めることに時間を使いすぎたかもしれない。画像が生成されるまで1分弱必要で、あふれてくるアイデアを形にするには、手で描いたほうが早いと感じる生徒もいた」と振 り返る。

 1月には希望した3年と教職員約50人が、生成AIに詳しいプログラマーの清水亮さんの講演を聞いた。清水さんは人物の画像1枚からダンスする動画を生み出したり、文章から3Dモデルを生成したりするなど、日々進化するAIを紹介し、「作品そのものよりも、作成する過程が価値を持ち、重要になる」と指摘した。

 独創性が求められる芸術分野では、文章から画像や動画を生み出す生成AIの衝撃は大きく、生徒や教員も葛藤をのぞかせる。3年の清水彩花さん(18)は「自分ではたった1枚のキャラクターしか描いていないのに、生成AIを使うとそれが動くのは夢がある。でも、AIで私たちの苦労が失われるのはやるせない」と打ち明け、小田万葉さん(18)』は「私たちが働くころにはAIを使う技術が必須になるかもしれないが、主体は人間という気持ちを大事にしたい」と話した。

 授業を担当した藪内あや 教諭(37)は「『私が作品をつくる意味はなんやろう』との悩みも聞いた」と明かした上で、「生徒たちには実際に手を動かして作品をつくる楽しさを大事にしてもらいたい」と心情を語った。


【西京】チャットGPTでリテラシー磨く

 西京高では1年約280人が、プログラミングや情報リテラシーなどを取り上げる専門科目「情報学基礎」で生成AIを実際に使い、課題を探った。

 「精度が高くなれば、だまされてしまうと思った。今もフェイクニュースがあふれているが、情報をさらに信じられなくなるのでは」。校長が話す動画で顔を別人と入れ替える作業を体験した生徒は、率直な感想を語った。

 チャットGPTを使った生徒は、亀岡市馬路町だけで生産される小豆「馬路大納言」について質問すると、「馬路に特定の意味はない」と回答されたため、地名であることを伝えたが、更新されなかった。ZARDの「負けないで」の歌詞を尋ねると、まったく違う歌詞が出てきたという。

 中村央志教諭が「10年後、どのようなAIがあると思うか」と生徒たちに呼びかけると、「家事代行」「AIを生み出すAI」などと声が上がった。足立玄さん(16)は「AIは思ったより不完全なことが多かった。自分で考えて使うことが大切だと思った」、岡村洋弥さん(16)は「自分の意見をさらに深めるために使えたら、成長にもつながると思う」と語った。

 中村教諭は「生徒にとってはAIを使わない未来はない。仕組みを知っている生徒は少なく、実際に使って考えてもらいたかった」と語り、「AIの仕組みや正しい情報はとてもつかみにくかった。教える側の準備が大変になり、教員の研修が必要かもしれない」と課題を挙げた。


市教委授業活用推進へ予算計上

 市立美術工芸高と西京高は昨秋、文部科学省の「生成AIパイロット校」の指定を受けた。3月まで事業必託費を活用し、チャットGPTや、文章から画像を生成する「ミッドジャーニー」などのアプリを用いて、教材研究を進めてきた。京都市教育委員会は高校での授業活用を推進するため、2024年度当初予算に200万円を計上している。一方で、昨年7月には文科省のガイドラインを基に、夏休みの宿題の文章作成に生成AIを使うことについて注意を呼びかけた。AIによる生成物を自己の成果物として提出することは不適切行為であることや、AIの安易な利用は活動を通じた学びが得られない、などとしている。


チャットGPTなど生成AIの出現(一般使用)で大きな衝撃を受けたのは数年前。ようやくその問題点や限界も見えてきた。使用についての法的な規制もEUでは始まっている。日米はまだその段階には至っていないのだが、学校教育でそれらを学ぶ意味がどこにあるのかを考えることが必要で、「作品」を生成する技術が先行することは好ましいくないだろう。


4月6日 市社会福祉協 子どもの居場所活動 物価高が直撃

 京都市社会福祉協議会が、子ども食堂など「子どもの居場所」づくりを行う市内の運営者に実施した調査で、8割以上が物価高の影響を受けていることが分かった。運営者は持ち出しや食事の提供量を減らすなどして活動を継続している。学校や企業と連携できず困っている状況も浮き彫りになった。

 調査は昨年11〜12月、子ども食堂以外にも不登校支援や学習支援などで活動中の156団体を対象に実施、103団体(66%)が回答した。

 物価高騰に対し「変化を感じる」としたのは84・2%。自由記述では「食材・弁当容器など物価が3年前より3割アップし、油は5割アップ」「以前の予算で同じメニューを作れない」などの訴えが相次ぎ、「しばしば個人の持ち出しになる」との記述もあった。

 運営主体の半分は「市民活動・ボランティア」で、複数回答で運営上の困りごとを尋ねると「運営資金の不足」が最多の57%となった。一方、連携上の困りごととしては「子どもの居場所団体同士の連携」が38%で最多だった。市社協によると、連携が進めば子どもにとって最適な居場所を紹介しあえるほか、運営ノウハウの共有や余った物資の融通もできるという。調査からは、各団体が連携を望みっつも日々の業務で連携を進める余裕のない状況がにじむ。

 「学校・教育委員会の協力が得られない」ことも23%が困りごとに挙げ、「今つながりたいところ」を尋ねると「学校・教育委員会」が54%で最多となった。必要な子に情報を届けるため学校などを通じた紹介を希望しても「営利目的と捉えられ、学校や図書館での広報活動は難しい」と悩む記述もあった。

 回答団体をみると複数回答で62%が子ども食堂を運営するほか、学習支援(48%)や弁当配布(37%)、不登校や特別支援の必要な子や親を支える活動(24%)など、各団体が多方面で地域を下支えしている状況も浮かび上がった。市社協では、寄付・助成をしたい企業との橋渡しや、新たに子どもの居場所づくり活動を始めたい人への支援も行っている。問い合わせは075(354)8732。


ボランティア活動を通しての子ども支援が大きな力になっている。多くが民間の事業(ボランティアや資金拠出)に支えられていることも忘れてはならないだろう。ただ、必要な公的支援の隙間をうめている主体がボランティア活動であることは両義的なのだ。一つは仁平典宏『「ボランティア」の誕生と終焉』で触れられている〈贈与のパラドックス〉という問題であり、もう一つは池田浩士『ボランティアとファシズム』が指摘する 自発性の危うさだろう。ちなみに、池田は日本各地で行われているボランティア活動時間を最低賃金でかけると2兆円を有に超えると試算しているが、これは消費税の1%分に相当する。解釈はそれぞれだろうが。


4月5日 中教審 月給上乗せ増額 意見大半

 教員確保策を話し合う中教審の特別部会は4日、公立学校教員の処遇改善に関する議論を進めた。委員の意見は、残業代を支払わない代わりに月給の4%相当を上乗せ支給している「教職調整額」の増額を求めるものが大半で、残業代を支払う形への転換を求める明確な指摘はなかった。特別部会は今後、働き方改革などと共に方向性を示す。

 教員給与特別措置法(給特法)で定める教職調整額制度を巡っては、管理職に勤務時間を減らす動機が働かず、長時間労働の温床との批判がある。一部の教員らは、民間企業などと同様に残業代を支払う制度への見直しを求めている。

 4日の会議では、残業代を支払う制度への転換について委員から、学校の管理職が教員一人一人の業務を把握して時間外勤務を命じるのは困難で「現場に混乱が生じる」との指摘があった。教育の成果は勤務時間の長さに基づかないとの意見や、教員の仕事の自主性が損なわれるとの懸念の声も上がった。

 このほか委員からは、教員の負担軽減のため、増員や業務見直しへの要望が上がった。


教員一人ひとりの業務を管理することは困難だ、という発想で給特法の廃止が議論にもならなかったようだ。教職調整額4%の増額でお茶を濁そうとする中教審の議論ははなから結論ありきではないのか。医者の給与は教員よりも高いがそれが長時間労働の歯止めには全くなっていないはこの間の実態からも明らか。


4月5日 「オンライン居場所」で学習支援を

 経済的に苦しい家庭の子どもは、体験や学びの機会が限られる傾向がある。そうした機会を提供する「オンライン居場所」について、学習支援のNPO法人キッズドア(東京都中央区)がニーズや課題に関する報告をまとめた。

 昨年9〜10月、キッズドアから食料支援などを受けている全国の困窮家庭の保護者916人と、学習支援などを利用している高校生世代の140人にアンケート調査を実施。参加したい企画や期待する効果について尋ねると、保護者は「学習支援」(43%)が最も多く、高校生は「おしゃべり・社交」(34%)が1位だった。

 これを受け、昨年11月から今年1月にかけ親子を対象に、料理を学ぶ、「推し」を語り合うなど五つのオンライン居場所を試行的に実施した。

 参加者の感想は、「初めてお菓子を作って楽しかった」「子どもと特別な時間を過ごせた」(菓子作り)。「学校でこうした授業がないため勉強になった」「違う場所に住む、同世代の知らない子と知り合え感動した」(プログラミング)など。全般的に高い評価を得た。

 一方、アンケートでインターネット通信回線がない家庭が9%、回線はあるが容量が制限されている家庭が15%存在すること、所得が低いほど回線がない割合が大きいことも判明した。子どもが自由に使えるパソコンがある家庭も限られていた。

 渡辺由美子・キッズドア理事長は「体験格差を埋めるためのオンライン居場所づくりを、環境整備とセットで進めていく必要があります」と話している。


GIGAスクール構想が子ども一人一台の端末を配備したが、家庭での使用は制限されているようだ。インフラに対する使用について「格差」があるとするなら、公的な支援が必要だろう。京都府でもオンライン居場所を確保する施策を行っている。


4月4日 内閣府 孤独感「ある」横ばいの39%

 内閣府は、全国の2万人を対象にした2023年の孤独・孤立の実態調査の結果を公表した。孤独感が「しばしば・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた人は計39・3%に上った。調査は21年から毎年実施し3回目。「ある」の回答は21年は計36・4%、22年は計40・3%だった。ほぼ横ばいで推移しており、より有効な対策が求められそうだ。

 新型コロナウイルス禍では自殺や心身の不調などが問題となり、政府は背景に孤独や孤立があるとみて対策を推進。社会的孤立に悩む人への支援を強化する孤独・孤立対策推進法が今月施行された。内閣府の担当者は「(孤独・孤立を感じる人が)減少するまで息の長い取り組みが必要」として調査結果を分析し、今後の施策に反映したい考えだ。

 23年調査は、無作為で選んだ16歳以上の2万人を対象に郵送で実施。23年12月の状況を尋ね、55・7%の1万1141人から有効回答を得た。「ある」と答え た人の内訳は「しばしば・常に」4・8%、「時々」14・8%、「たまに」19・7%だった。

 「ある」と答えた人に対し「孤独感に影響を与えたと思う出来事」を複数回答で尋ねると「家族との死別」が23・3%で最も多かった。続いて「1人暮らし」19・5%、「心身の重大なトラブル」15・5%の順に多かった。

 23年調査では、困った時に頼れる人の有無を新たに質問し「いない」は7・6%だった。「いる」と答えた人と比べて孤独感が「ある」とする割合が高かった。


3/29日本の幸福度51位に下落

 国連の関連団体がこのほど発表した2024年「世界幸福度報告書」で、日本の幸福度は前年よりも4ランク下がり、51位に下落した。日本の順位低下は4年ぶり。日本は若年層の幸福度が相対的に低く、青少年の生活満足度の向上が社会的な課題に浮上している。

 24年報告書で公表した「世界幸福度ランキング」の対象は143力国・地域。各国・地域のそれぞれ約千人に、生活満足度を0〜10点のい11段階で採点 してもらい、直近3年間の結果を平均して得点とした。

 幸福度首位は得点が7・741点のフィンランド。7年連続でトップを維持した。前年と同様に2位はデンマーク、3位はアイスランドとなり、北欧勢が上位を占める構図に変化はなかった。

 一方、日本は6・060点と、引き続き先進7力国(G7)では最低となり、幸福度は世界で中位クラスから抜け出せていない。アジアではトップのシンガポール(30位)や台湾(31位)にも水をあけられている。(NNA=共同)


【朝日新聞 4/1】孤独・孤立対策推進法が施行 専門家「見えない孤独すくい取れるか」

 孤独・孤立の問題を「社会全体の課題」と位置づける孤独・孤立対策推進法が1日、施行された。孤独を感じる人がおよそ4割に上るという政府の調査もある。(福岡龍一郎、長野佑介)

 2019年に大学の教育学部に進学した男性(23)は、入学翌年に新型コロナウイルスが流行し、順調だった生活が一変した。

 講義はすべてオンラインになり、課題の量は倍以上に。朝から晩までパソコン画面と向き合い、誰とも話さない日もあった。

 食事をしても気分が悪くなり、トイレで吐くようになり、体重は5キロ減った。2年生の夏、電車内で倒れた後、精神科でうつ病と診断された。サークルをやめ、その後に大学も休学した。

 「若いうちにうつ病になると、どこにも居場所がなくなる」

 10〜20代の若いうつ病の当事者らが交流するサークルの運営にボランティアとして携わるようになった。気持ちは前向きになってきたが、今も体調が悪く、1日外に出られない日もあるという。

 長野市の女性(32)は夜、キッチンで皿洗いをしながら、涙が止まらなくなることがあった。

 「今日も誰にも自分の気持ちを話せなかった」

 女性は保険会社で正社員として勤務。メーカー勤務の夫(35)との間に、小学生や保育園児がいる。だが、炊事・掃除・洗濯などの家事や育児はほぼ女性がひとりで担っていた。

 長女が保育園に通っていた頃。雨が降っているのにどんなに止めても公園で遊びたいと言い続けた。無理やり玄関まで連れて行き、「いい加減にしろ」と怒鳴った。「怖い」と大声で泣く長女の姿を見て、我に返った。

 帰宅した夫に相談を持ちかけても「仕事で疲れている」と寝てしまう。家事の分担を提案してもはぐらかされるばかり。「さみしいな。孤独だな」。心からそう思った。

 孤独・孤立対策推進法は、コロナ禍で深刻化した問題がさらに深まる懸念があるとして生まれた。政府の対策を検討した有識者会議で、座長を務める菊池馨実(よしみ)・早稲田大教授(社会保障法)は「経済的な困窮やそれに伴う孤独死、80代の親と50代の引きこもりの子が同居して社会的に孤立する8050問題など、孤独・孤立に関わる問題は多岐にわたる」と指摘する。

 全国の16歳以上の2万人に2023年12月の状況について聞いた政府の調査(有効回答率55・7%)によると、「しばしば・常に」「時々」「たまに」を合わせ「孤独であると感じた」と答えた人は39・3%だった。年齢別でみると、30歳代が46・1%で最も高く、20歳代45・3%、50歳代44・5%、40歳代42・5%と、現役世代での孤立感が全体よりも強い傾向が出ている。

 新法では自治体に対して支援団体で構成する地域協議会を設置する努力義務を課す。また、政府は悩みを抱える人を支える「つながりサポーター」を各地で養成するほか、全国で対策の好事例を共有できるデータベースをつくる施策も進める。

 1万人以上の心の悩みと向き合ってきた精神科医の井上智介さんは「あらゆる孤独に向き合っていくという理念が法律で示された点は大きい」としたうえで、「孤独を感じる要因を一つに絞ることは難しく、子育てや仕事、貧困など複数の分野で問題を抱えていることも多い。一人暮らしといった外形的な部分だけにスポットをあてずに、表面的には見えにくい孤独をどうすくい取れるかという視点からも対策を考えていってほしい」と話す。(朝日新聞 2024/4/1)


日本人の多くが「幸福だ」とは感じておらず、孤立感が深いという実態が浮かび上がっているといえる。子どもの自殺も「高い水準が続いて」いる。加えて経済では「失われた30年」ともいわれる状況にある。おそらく今の生活の在り方(政治や経済も含めて)そのものをどう変えるかが問われているのだろう。


4月2日 市教委 教育政策監を設置

 京都市教育委員会は1日、4月1日(退職者は3月31日)付で発令する事務局の人事異動を発表した。異動件質箭年比4件減の126件だった。

 2028年度の導入方針を掲げる全員制中学校給食や、中学の休日部活の地域移行など重要政策を推進するため、局長級の教育政策監を3年ぶりに設置した。全員制中学校給食の調査を担当する係長と、部活の地域移行の担当課長を増員する。

 校務のデジタル化を進めるため、総務部に学校事務改革を担当する部長と係長を置く。不登校児童生徒を支援する専任の指導主事を生徒指導課に配置する。学校施設整備のため、教育環境整備室の係長を増やす。



4月1日 府・市教委 教職員異動3765人

 京都府と京都市の両教育委員会は31日、4月1日(退職者は3月31日)付で発令する公立学校教職員計3765件の人事異動を発表した。府教委は前年度比で266件減の2078件となり、過去10年間で最小の異動規模となった。2023年度から31年度に定年を65歳まで段階的に引き上げる定年延長の導入で退職者が減少したため。京都市は7件増の1687件と例年並みの規模だった。

 23年度は定年が1年延び61歳となる。60歳を迎えた教員は原則としてそのまま現場で働き、うち管理職は役職定年となる。この影響などで、府の退職者は管理職で前年度比59人減の51人、一般教員で225人少ない189人となった。市は前年度より86人少ない136人だった。

 府教委は役職定年となった校長ら9人を府立高に「人材育成担当教員」として配置。若手教員や講師を支援し、教育実習生らも日常的にサポートする。これまで、若手教員に指導教員がつくのは1年目だけで、講師も正規教員に比べて研修機会が少なかった。

 京都市は、北総合支援学校中央分校(下京区)の開校や小中学校の育成学級・通級指導教室の増加を受け、総合支援学校9校と小中学校との間の異動を増やし、前年度より24件多い44件となった。

 女性管理職では、府教委は新たに40人を登用。管理職全体825人のうち女性が231人となり、過去最高の28・0%に達した。市は小中学校の女性管理職の割合が前年度比1・3%増の25・2%となった。



4月1日 子ども家庭庁 高校生ネット利用 6時間超

 1日当たりのインターネット利用時間(平日)は高校生が6時間超、中学生が4時間半超、小学生が3時間半超で、目的は動画の視聴がトップ―。こども家庭庁の2023年度調査で、こんな実態が浮かんだ。小学4〜5年の10歳で自分専用のスマートフォンを持つ人は約65%。ネット利用時間は全体的に伸びており、低年齢層への浸透がうかがえる。

 調査は昨年11〜12月に実施。無作為抽出したO〜9歳の保護者(2160人)、10〜17歳の子ども(3279人)とその保護者(3322人)の回答を集計した。

 平日のネット利用時間は1日平均で、高校生が6時間14分(22年度から29分増)、中学生が4時間49分(5分増)、小学生(10歳以上)が3時間46分(12分増)だった。

 目的は、ほぼ全ての年齢で動画視聴が90%超と最多。音楽、ゲーム、検索も上位を占めた。この他に「勉強をする」が小学校入学後の7歳で50%を超え、国が1人1台のパソコンやタブレット端末を配備する「GIGAスクール構想」が背景にあるとみられる。

 スマホでネットを利用する人のうち、自分専用の端束を持っている割合は7歳が21・3%、10歳が65・2%、中学入学後の13歳が91・9%、高校入学後に当たる16歳が99・1%だった。

 10歳以上の保護者でスマホの利用を制限していると答えたのは83・4%。具体的には、不適切サイトなどへの接続を防ぐフィルタリングが44・2%で最も多かった。


インターネットの利用については様々な利得や弊害があるのは技術の宿命かもしれない。人間がその技術をどう使うのかは永遠のテーマでもある。映画『オッペンハイマー』はそのことを教えている。
【参考として】京都新聞3月29日版「離島の学び維持 AIに活路」