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1月30日 厚労省 小中高生自殺 最多527人

  2024年の小中高生の自殺者数は暫定値で527人(前年比14人増)となり、統計のある1980年以降で最多となったことが29日、警察庁の自殺統計に基づく厚生労働省のまとめで分かった。女子中高生の増加が目立ち、新型コロナウイルス禍後も高止まりがみられる。自殺者全体の数は2万268人で1569人減だった。政府は31日、こども家庭庁で省庁連絡会議を開き、対策の状況を確認する。

 これまで小中高生で最も多かったのは22年の514人だった。橘慶一郎官房副長官は29日の記者会見で「大変重く受け止めている。対策を進め、誰も自殺に追い込まれない社会の実現を目指す」と述べた。

 小中高生の内訳は小学生15人(2人増)、中学生163人(10人増)、高校生349人(2人増)。男女別は男性239人(20人減)、女性288人(34人増)だった。

 女子中学生(99人で19人増)と女子高校生(183人で17人増)の増加幅が大きい。19歳以下の女性の原因・動機を見ると、病気の悩みや影響などの「健康問題」190人、学友との不和などの「学校問題」178人、親子関係の不和などの「家庭問題」73人の順に多かった。

 24年の自殺者総数は2万268人で、78年の統計開始以降2番目に少ない。男性は1万3763人(1099人減)で3年ぶり減。女性も2年連続で減り6505人(470入減)だった。

 全体の原因・動機は、「健康問題」が最多の1万1986人で、「経済・生活問題」5075人、「家庭問題」4334人と続いた。「学校問題」は578人だった。

 人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は16・3人(1・3人減)となった。都道府県別で高かったのは、岩手22・9人、山梨21・9人、新潟21・2人。低かったのは鳥取12・1人、石川13・4人、京都13・9人。滋賀は17・6人だった。


【インサイド】「前兆」分析 支援を強化

 2024年の自殺者数の統計(暫定値)で小中高生が過去最多の527人となった。近年の増加を受け、自殺未遂や自傷行為など自殺の「前兆」を分析し、実態把握と支援強化に生かす取り組みが進む。相談対応の団体には悩みを抱える子どもたちから「死にたい」「自分は必要な いのでは」といったSOSが多く寄せられており、実効性ある対策が急務だ。

    一緒に考える

 「生きている意味ってあるのかな」「リストカットやオーバードーズ(薬の過剰摂取)で入院したことがある。死にたい」。18歳以下の子どもを対象にしたNPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京)は23年度、相談を電話やオンラインチャットで5万件近く受けたとい う。

 勉強や部活、いじめや親子関係。内容はさまざまだが、死にたいとの気持ちを抱えた相談の割合は増えている。16年は電話相談のうち1%未満だったが、24年(速報値)は約2%になった。

 向井晶子事務局長は「社会の閉塞感が影響しているのではないか。相談してくる子どもは息が詰まるような生きづらさを抱えている」とみる。支援に特効薬はないとし「相手がどうしたいのか一緒になって考えている。あなたはかけがえのない存在だ、と伝える」と話す。

 未遂や自傷行為を繰り返す子どもたちの対応も鍵だ。インターネットを活用し子ども・若者の自殺予防に取り組むNPO法人「OVA(オーヴア)」(東京)に来る相談では、相談者の半数に自殺未遂経験があり、相談時に6割が自殺の意向を示すという。

 伊藤次郎代表理事は「悩みから意識を変えるため、生きるための本人なりの対処行動だ」と説明する。頭ごなしにやめさせるのではなく、どういう時に自分を傷つけたくなるのかを確認し、音楽や運動など別の行為に置き換えることを共に探る。「死ぬ意図がなくても、繰り返すう ちに本当に死ぬこともあり得る。現状を深刻に受け止める必要がある」と指摘する。

   知見蓄積開始

 自殺と密接な関係がある未遂や自傷行為に関しては、世界保健機関(WHO)が実態把握を各国に要請。日本では22年、関連の救急搬送症例を登録、分析する「自傷・自殺未遂レジストリ」の運用が始まった。

 この取り組みの構築に関わった三宅康史帝京大病院高度救命救急センター長は「欧米では当然のように運用されていたが、国内にはなかった。自殺者の背後に何倍、何十倍と存在する未遂者や自傷のデータを分析することで、自殺対策や救命救急の現場に生かされる知見が得られる」と話す。

 約1年間で集まった2千件近くの症例では、20代が570件と最多で、退院時も2割が「死にたい」という気持ちを抱えていたという。

 政府は23年に子どもの自殺防止に向けた対策緊急強化プランを策定し、学校で1人に1台配布するタブレット端末で自殺リスクを把握する施策などを進める。精神科医や心理士が学校、自治体に助百する「こども・若者の自殺危機対応チーム」を都道府県などに設置する事業も展開しており、厚生労働省担当者は「『支援者支援』の取り組みを広げたい」と話す。



1月27日 京都府 発達障害の子 診療強化へ

 京都府は来年度以降、発達障害の疑いがある子どもの診療体制を強化する。府立の専門医療機関では申し込みから初診までに最長9ヵ月の待機期間が発生している。発達障害を診療できる医療機関の実態を把握し、診療レベルに応じて3区分して横の連携を図ることで、府内全体で診療を受けやすい体制を構築する。

 自閉症や学習障害など発達障害の診断・診療を行っている専門医療機関は府内でも少なく、府立では舞鶴こども療育センター(舞鶴市)とこども発達支援センター(京田辺市)のみ。2023年度末現在で舞鶴では9ヵ月、京田辺では3・4ヵ月の初診待機期間が発生している。

 背景には患者数の急増がある。両センターの患者数は16年度末で計1万4469人だったが、23年度末は1万9934人に増えた。発達障害の認知度が高まり、不安を抱える保護者が増えていることが要因とみられ、専門医不足とも相まって診療体制に支障をきたしている。

 民間医療機関でも発達障害の診療が行われているが、府は数や診療体制を把握していない。府内全域で診療できるようにするため、来年度から府立医科大(京都市上京区)に司令塔となる医師と臨床心理士各1人を配置し、府内で発達障害の診察・診療に取り組む医療機関の実態調査を行う。医療機関を診療レベルに応じて「専門」「診療」「一般」(いずれも仮称)の三つに分類し、患者の状態に応じて連携するほか、「診療」「一般」の医療機関を対象にした研修も行う。実態調査などは25年度から開始し、27年度の本格運用を目指す。

 25年度一般会計当初予算案に関連経費を計上する予定。府の子育て環境日本一推進戦略では、発達に課題のある子どもを保育、学校、医療などの関係機関が連携して支える体制づくりを目標に掲げており、府は「発達障害ではないかと不安を抱える保護者と子どもが安心して医療機関を受診でき、地域で支える体制をつくっていきたい」としている。


発達障害の当事者研究者として知られる綾屋紗月さん 「おとえもじて」は、「「コミュニケーション障害の人」と「ふつうの人」がいるのではなく、多くの人が共有している文化やルールにあてはまる身体的特徴を持った人たち(多数派)と、あてはまりにくい身体的特徴を持った人たち(少数派)のあいだに「コミュニケーション障害」が生じると考えています」と診療の在り方の新たな方向を示している。発達障害という概念の再検討が求められている。


1月24日 府教委 AIで英会話「千本ノック」

 京都府教育委員会は本年度から、AI(人工知能)技術を活用した英会話学習アプリを使った授業を一部の公立中で試行している。アプリを使うと、ネーティブに近い音声でさまざまな質問が繰り出され、まるで外国人と対話するような感覚が得られる。授業では、生徒の英語での発話量が増えるなどの成果が表れ始めているという。

 府教委が導入しているのは、日本料理や観光スポット、伝統文化など約140の場面やテーマに沿った英会話が練習できるアプリ「テラトーク」。タブレット端末を通じて流れる質問の音声に答えると、適切かどうかをAIが判断。模範解答でなくても、正解にするなど柔軟な対応をする一方、誤りがある場合は、次の質問に進めない。多様な質問が用意されており「千本ノック」のように語学力を訓練できる。

 京都市左京区の洛北高付属中で昨年12月に行われた2年の英語の授業では、ヘッドホンを付けた生徒たちが、テラトークの質問に対して身に付けた語彙や文法を駆使しながら懸命に答えていた。

 授業を受けていた金森凌貴さん(14)は「英会話が苦手だったが、得意になってきた。ネーティブに近い発音なので、耳が慣れて自分の発音もよくなってきた」。英会話のほかに語彙や英文の発音練習にも使え、荒瀬昊さん(14)は「発音が正しくなければ、間違った語彙や英文の箇所を画面上に赤字で示すので、発音が修正しやすい」と手応えを語った。同中では、台湾の中学生とのオンライン交流も続けており、伊藤椿さん(14)は「テラトークは、台湾の中学生と英語で対話するためのいい練習になっている」と話す。

 府教委がアプリを導入した背景には、英会話が苦手な府内の中学生の姿がある。英語が課された2023年度の全国学力テストでは、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能のうち、3技能は全国バの平均正答率を上回る一方、「話す]は全国の平均を若干下回った。現在、洛北を含む府立高付属中4校をはじめ、特別支援学校含む全10校の約300人の2年生がアプリで学んでいる。

 府教委学校教育課は、アプリの利点について「英会話は対人だと気恥ずかしさがあるが、機械相手なので思うように表現できる」とした上で、「自宅でも使えるので、アプリを導入した中学では英語の発話量や会話の種類が増え、質問に早く返答ができるようになった」と成果を強調する。来年度は、対象を3倍の千人規模に拡大して実施する予定だという。


AIの進化はめざましい。学習教材への導入も含め文字通り日進月歩だ。ただ「ネーティブに近い」ことや「約140の場面」などすでに設定されたものへの対応はいかにもAIらしい。話したいことは何なのかを問わない語学教育に限界があるようなきがする。ある人が「話が面白くない人の話は何語でも面白くない」と語っていたことを思い出す。


1月24日 フッ化物洗口 子の虫歯予防 分かれる対応

 京都府が府内全域で実施を目指している小学校などでの虫歯予防「フツ化物洗口」の導入を巡り、市町村間で対応が分かれている。26市町村中、導入しているのは17市町村。残りの9市町は、学校現場への負担などを理由に見送っている。歯の健康は全身の病気のリスク軽減にもつながることから、早期全面導入を求める識者からは「府は情報提供や連携強化の面で市町を支援すべきだ」との声があがっている。

 フツ化物洗口の実施主体は市町村で、予算は府と折半する。1人当たりのコストは年間200円程度で、本年度は長岡京市と南山城村が導入した。

 一方、向日、大山崎、京田辺、井手、宇治田原、木津川、精華、宮津、与謝野の各市町が実施に踏み切っていない。薬剤の保管や洗口液を作る手間、子どもたちへの指導などが教員の新たな業務負担となることや、フツ素は一度に大量摂取すると中毒を起こす可能性があるため、不安に思う保護者へ理解を求める手間がかかることなどがあるという。

 ただ、府によると、22年度の府内12歳の虫歯割合は、フツ化物洗口の実施市町は16・2%だったのに対し、未実施市町は20・5%。府健康対策課は「歯磨きの精度は個人差が大きく、磨き残しが出てしまう子どももいるため、集団で一斉に実施する利点も大きい」と実施を呼びかけている。

 学校歯科医を長年務め、フッ素を使った虫歯予防法の効果を検証する調査も行った歯科医師高屋毅史さん(68)=南丹市=は「共働き家庭が増え、虫歯予防を子どもの自主性に任せるのは限界がある。結果が出るまで時間がかかるが、長い目で見れば医療費が下がるので自治体にとっても大きなプラスだ」と指摘。財政難を理由に渋る自治体も多いことから、制度普及のため府が全額補助するなど、踏み込んだ対策を求めている。


【インサイド】「公か示されず」府の説明不足一因?

 昨年12月中旬の平日朝、長岡京市の長法寺小では授業が始まる前に、子どもたちが持参したコップに洗口液を入れてもらい、一斉にうがいを始めた。「右、左」と担任のかけ声に合わせて交互に頬を膨らませ、1分間口を動かした後、コップにはき出した。2年の飯尾海さん(8)は「虫歯にならないためにやっている。シナモンの匂いがするけど、味は薬よりまし」と笑顔で話した。

 長岡京市では全ての公立小で本年度の2学期から、希望者を対象に毎週1回、フッ化物洗口を始めた。長法寺小の寺尾裕美子校長は「最初は嫌そうな児童もいたが、今は慣れて日常の一部になり、落ち着いてやっている」と話す。ただ、「味が苦い」と感じたり、保護者が薬を口に含むことに抵抗を抱いたりと、一部の児童は参加していない。

 洗口に用いる薬剤は劇薬指定医薬品で、職員室の鍵のかかる薬品庫に保管し、実施日前日に教員が粉末を水道水に溶かして調製する。市学校教育課の担当者は「完全にプラスアルファの業務で学校現場の理解や協力があってこそ。教員研修や保護者説明会も実施し、丁寧に進めてきた」と説明する。

 一方、導入を見送る自治体は、学校現場の多忙さや効果の不透明さを理由に挙げる。向日市では「朝の授業前は健康観察や読書を実施しており、新たに組み込む時間的余裕がない上、教員の業務をこれ以上増やしたくない」と、保健だよりや学校への歯科医の巡回指導を重視するという。また、ある自治体の担当者は「かける労力に対しどの程度の効果があるのか。はっきりした数値などが示されないので決断できない」と、府 や国の説明不足を指摘する。

 府健康対策課は「納得してもらうため具体的なデータを使って逐一働き掛けるなどは十分にできていない部分もある」とし、「各市町村の担当者が財政当局と戦いやすくする武器を提供できるよう、もう少し踏み込んで工夫していきたい」としている。


フッ素洗口については様々な議論がある。2014年には日本消費者連盟が中止の要望書を厚生大臣に提出している。市町村側の導入メリットは「16・2%VS20・5%」なのだろうか。京都市はこの数字から虫歯治療費が約1億円削減できるとして長年フッ素洗口を行っているがその後の経過観察は発表されていない。


  • 学校85%使用不能.24
  • 1月24日 ガザ 学校85%使用不能

    【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの教育当局は22日、2023年10月から始まった戦闘で学校や教育施設が破壊され、うち85%が使用不能な状態だと明らかにした。教育分野の損失は推計30億ドル(約4690億円)以上としており、15ヵ月以上続いた戦闘が深刻な影響を与えたことが浮き彫りとなった。

     停戦中のガザでは散発的な戦闘が起きている。イスラエル軍は22日、イスラム組織ハマスと共闘する過激派「イスラム聖戦」の戦闘員を殺害したと発表。パレスチナ通信によると、最南部ラフアで22日、がれきとなった自宅の片付けをしていた民間人への無人機攻撃があり、1人が死亡、4人が負傷した。

     ガザ保健当局は23日、新たに120遺体が収容されるなどし、戦闘開始後のガザ側死者が4万7283人になったと発表した。

     ガザで食料や燃料、医療施設を備える学校は避難場所に指定され、多くの住民が身を寄せた。イスラエル軍は「ハマスが活動している」として学校も繰り返し攻撃。教育当局は学校施設95%が損害を受けたと指摘した。

     初期の統計によると、学齢期の子ども1万5千人以上が死亡し、教育関係者も800人以上が犠牲となった。負傷した児童や生徒は5万人を超える。


    イスラエル西岸で「新たな戦闘目標」

    【エルサレム共同】イスラエル軍がヨルダン川西岸ジェニンで大規模な掃討作戦を始めた。パレスチナ自治区ガザが19日に停戦に入ったばかりだが、今度は西岸で攻勢を強めた。イスラエルのネタニヤフ首相はガザ停戦に強く反対する極右政党に配慮したとみられ、極右は西岸が「戦闘の目標に新たに加わった」と主張。今後、民間人も巻き込んだ被害が拡大する恐れがある。

     「大規模で重要な意味を持つ」。ネタニヤフ氏は声明で、21日にジェニンでの作戦を開始したと発表した。イスラエル軍は23日、西岸で6日にイスラエル人3人が死亡した銃撃事件の容疑者2人をジェニン近郊で殺害したと表明。パレスチナ通信によると、多数の住宅を焼き払うなどし、作戦の死者はこれまでに12人となった。国連人道問題調整室(OCHA)によると、医療従事者にも死傷者が出たとし「極めて憂慮している」と訴えた。

     西岸では2023年10月からのガザ戦闘を受けてイスラム組織ハマスの存在感が高まり、イランからの武器流入も指摘されてきた。作戦は武装勢力の掃討が表向きの理由だが、背後に二つの極右政党が見え隠れする。

     いずれもガザ戦闘継続を求め、うち一つ「ユダヤの力」は停戦発効当日にネタニヤフ連立政権から離脱。別の政党「宗教シオニズム」も離脱すれば政権崩壊の可能性があり、ネタニヤフ氏は党首スモトリッチ財務相の引き留めを図っている。

     米ワシントン・ポスト紙によると、ネタニヤフ氏はガザ停戦前の会談でスモトリッチ氏に、西岸でのイスラエルの主権を確立すると約束した。スモトリッチ氏は21日、X(旧ツイッター)に、西岸での作戦は「われわれの党が要求した新たな目標だ」と書き込んだ。

     西岸のユダヤ人入植者には西岸のイスラエル併合を求める極右が少なくない。ネタニヤフ政権の後ろ盾トランプ米大統領は就任日の20日、バイテン前政権が科していた入植者への制裁を解除。トランプ政権発足により極右が勢いづけば、パレスチナ人の反発や、反発を抑える軍の取り締まりの連鎖で、情勢が不安定化する恐れが高まっている。


    トランプ大統領は「ばかげた戦争をやめろ」とロシアに迫った。同じ人間がイスラエルの「戦争」にはお墨付きを与える。政界の覇権を握るアメリカの一人の人間が戦争を取引(ディール)などと考えることが馬鹿げたことなのか、戦争の本質なのか。世界は沈黙してはいけない。


    1月22日 宇治市議会 中学生提出請願 不採択

     宇治市議会に、市立中学校の校則を明文化・公開し、生徒が校則づくりに関与できるよう求める請願を提出した市内の中学生が21日、同市議会の文教福祉常任委員会に出席し、「子どもの意見を受け入れる寛容な雰囲気を市全体でつくつてもらいたい」と訴えた。ただ、委員会は賛成少数で不採択に決した。

     請願を出したのは市立中学3年の湯浅六花さん(15)。参考人として考えを聞かれ、「あらゆる子どもたちの意見を聞いて、ルールづくりができるようになれば社会全体が生きやすくなる」と主張した。

     委員らは中学生が意見を表明することに敬意を示しつつ、「市全体より、自分が住む地域から土壌をつくることが大事」「議会で論じ、各校に働きかけるのは政治的介入と取られかねない」などと反対意見を述べた。

     採決では、旧民主系のうじ未来、自民党市議団、公明党市議団の4人が反対。


    宇治市議会の委員会は大事なチャンスを自らの手で葬ったのではないか。子どもが政治に目を向けそれが実現されることはもっとも確かなシティズンシップ教育に他ならない。「自分が住む地域」や「政治的介入」などの反対理由は旧態然とした政治的判断。大人がここを見直すきっかけになったはずなのに悔やまれる。


    1月22日 中教審 教科書 デジタルも正式

     中教審作業部会は21日、現在は紙の教科書の代替教材とされているデジタル教科書を、紙と同様に検定や無償配布の対象となる正式な教科書に位置付ける方向性を示した。どちらを使うかは、各教育委員会が選択できるよう検討する。次期学習指導要領が小学校で全面実施される見通しの2030年度からの導入を想定し、今年3月末までに中間まとめをする予定。

     ただ紙とデジタルのいずれにもメリットとデメリットがあり、学校現場には併用を望む声も根強い。

     現行のデジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をタブレット端末で読めるようにしたもの。音声、動画の再生や立体図形の表示といった機能があり、文部科学省は紙と併用の形で、小学5年〜中学3年の英語と算数・数学で24年度から段階的に導入している。

     作業部会では今後、@教科書の内容の一部を紙で学習し、残りを端末で学ぶ「八イブリッド教科書」も認めるかA2次元コード(QRコード)の先のデジタルコンテンツを、どの程度まで教科書として認めるかBデジタル教科書で学ぶ学年や教科を法令で規定するかどうか―などについて議論を進める。

     21日の作業部会では、委員から「紙とデジタルそれぞれの利点を十分生かす最適化を議論すべきだ」「デジタル教科書を使った授業実践ができる教師の力をしっかりとつけることが重要だ」などの意見が出た。

     紙の教科書もほとんどがQRコードを掲載している。ただその先のコンテンツは「教材」との位置付けで、検定の対象外。デジタルが正式な教科書となった場合、そこからつながるドリルや資料も一定程度検定の対象になる可能性がある。


    この時世では「八イブリッド教科書」はいわば常識の範囲ではないか。また、ICT環境が大きく変化する中でリンク先の「コンテンツ」をどこまで許容するかのかという議論もあまり意味がないように思える。もともと学習指導要領の法的拘束力を強めたことが、無用の教科書検定につながっていることを考えれば「大綱化」の方向で議論すべきだろう。また、「主体的な学び」を目指すこととの矛盾もみなければならない。


    1月21日 大阪高裁 聴覚障害 逸失利益減額せず

     聴覚障害のある女児が交通事故で死亡し、将来得られたはずの「逸失利益」が争われた損害賠償請求訴訟の控訴審で、大阪高裁は20日、判決を言い渡した。「健常者と同じ職場で同等に働くことが十分可能であった」として、逸失利益を全労働者の賃金平均から減額せず、運転手側に計約4365万円の支払いを命じた。平均の85%とした一審大阪地裁判決を変更した。

     弁護団によると、障害がある未成年者を巡り、全労働者の賃金平均と同等の逸失利益を認めた判決は初とみられる。判決は合理的配慮により障害者が健常者と同等に働ける環境の構築が進んでいることや、社会情勢や意識の変化を判断理由に挙げた。

     事故で亡くなった井出安優香さん=当時(11)=の遺族側が、障害を理由に減額すべきではないとして控訴していた。判決後の記者会見で父努さん(52)は「差別だと思って訴えてきた。当然の判決だと思う」と喜びをかみしめた。

     徳岡由美子裁判長は判決理由で、未成年者の逸失利益を減額するのは、全労働者の賃金平均を基礎収入として認めることへの顕著な妨げとなる事由が存在する場合に限られる」との判断枠組みを示した。

     その上で、安優香さんが学年相応の言語力と学力を身に付けていたと認定。近年のデジタル機器の進歩や社会変化も相まって「合理的配慮がされる就労環境を獲得し、健常者と同じ条件で働くことができたと予測できる」と判断した。

     事故は2018年2月、大阪市生野区でショベルカーの運転手がてんかん発作で意識を失い歩道を暴走。聴覚支援学校から下校中だった安優香さんが死亡、4人がけがをした。運転手は自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などで懲役7年の実刑が確定した。20年1月、遺族が運転手側に賠償を求めて提訴した。


    摂南大・城内教授画期的な判決

     障害がある未成年者の逸失利益は、減額されて当然だとする考え方があった。大阪高裁判決は、全労働者の賃金平均からの減額が許されるのは「顕著な妨げがある場合に限る」との枠組みを示しており、画期的だ。その上で、今回の事例の証拠に基づいて女児の障害の特性や、能力を正確に判断して結論を導いている。聴覚障害者の就労環境についても、合理的配慮の提供義務を踏まえた判断を示しており、今後の同種訴訟に影響を与えると考えられる。


    父親会見「娘の人生認められた」

     「娘の人生が認められた」。大阪高裁が20日、聴覚障害のある女児が将来得られるはずだった「逸失利益」を健常者と同等に認めた。亡くなった井出安優香さんは障害を苦にせず、何でも頑張って取り組んでいた。父努さんと母さつ美さんは、判決後の記者会見で安優香さんの思い出を振り返り、障害者が生きやすい社会になってほしいと願いを口にした。

     大阪市内で開いた会見で、さつ美さんは「障害者だから仕方ない」という固定観念や偏見に対し「そうでないと言いたい」と強調。努さんは「差別だと思って訴え続けてきた」と振り返り、判決を受けて「もうこれで娘のことで泣くのはやめようと思う」と話した。

     ひょうきんで明るく、人とコミュニケーションをとることが大好きだった安優香さん。バスの中で補聴器を着けたお年寄りを見かけると筆談で話しかけ、学習塾では健常者の子どもたちと一緒に学び、自主勉強も欠かさなかった。訴訟をきっかけに、両親のもとには安優香さんを知 る人から応援の声が寄せられた。

     20日の高裁判決は「聴覚障害者の就労の障壁は、ささやかな合理的配慮をすることで取り除くことができる」とした。会見で弁護団は「これまでと一線を画すものだ」と評価。さつ美さんは「人が好きだった安優香の願い」として、こう強調した。「全ての障害者が生きやすい社会になってほしい」


    判決は画期的なものだ。これまで障害を持つ人はそうでない人よりも価値が引くと裁判上規定されていたからだ。合理的配慮についての理解もすすできた社会情勢を反映した判決だ。しかし、裁判という制度上仕方がないのかもしれないが、ぬぐいがたい能力観は依然と存在するように思える。これを機会に、松波めぐみ『「「社会モデルで考える」ためのレッスン』を改めて読んでみることもいいかもしれない。


    1月21日 教育無償化 自民、私立高校除外を主張

     自民、公明両党と日本維新の会は20日、教育無償化に関する4回目の政策協議を国会内で開いた。維新は前回、今年4月から所得制限のない高校授業料の無償化実施を求めたが、自民は今回の協議で「私立も含めた無償化に国民の納得を得られるのか」と回答し、除外を求めた。4月の開始についても「実務の混乱」を理由に難色を示した。

     協議後、自民実務者の柴山昌彦元文部科学相は記者団に、私立の無償化を巡り「塾代に使うなど高額所得者に有利に働くのではないか」と指摘した。維新が無償化の財源約6千億円を行財政改革などで捻出するとした点にも「恒久的な財源が必要だ。行革だけでなく、現実的な提案を検討してほしい」と強調した。

     維新実務者の金子道仁参院議員は「意見交換を踏まえて論点整理し、与党に提案する」と説明した。財源に関し「財務省にも知恵を出してほしい」と語った。

     3党は、2月中旬をめどに一定の結論を得るとしており、今月中にも再度協議する見通し。


    維新が主張する所得制限なしの無償化は原則正しい。また、自民の高額所得者の有利との認識も正しい。いずれにも欠けるのは経済成長を超えた教育の持つ必要性についての議論だろう。また、予算の組み換えにも言及していないところだ。政権へのすり寄りと取り込みが交錯する国会運営になっている。


    1月22日 ガザ停戦発効 家族失い 心の痛み消えず

    【エルサレム共同】15ヵ月以上、住民が切望した停戦がやっと始まった。イスラエルとイスラム組織ハマスの激しい戦闘が続いたパレスチナ自治区ガザ。19日の予定時間を過ぎても一時、停戦が発効されなかったが、絶え間ない爆撃が止まることになり住民は安堵。「恒久停戦につながってほしい」と訴える。だが、犠牲になった家族らは戻らない。心の痛みは消えない。

     「うれしいが、戦闘はガザの全ての人に深い傷を残した」。英語教師ユセフ・ジャワドさん(27)は、共同通信の電話取材に複雑な思いを吐露した。2023年10月に自宅があるガザ北部ジャバリヤを離れ、南部ハンユニスで避難生活を送っている。

     食料や医薬品の不足で人道危機は深刻化。24年7月、テントで母親が死んだ。猛暑や生活環境の悪化で脳卒中を起こしたのが原因とみられるが、戦闘により病院に連れていけなかった。「助けることができなかった」と悔やむ。イスラエル軍はガザを徹底的に破壊したため「当面は自宅に戻れない」と嘆いた。シャフトさんは18日前に結婚したばかり。「ハマスや国際社会はこの合意を成功させ、恒久停戦を実現しなければならない」と訴えた。

     「誰もが自分が殺される番を待っているところだった。生き延びることができ、うれしい」。理学療法士アラ・アユブさん(24)が打 ち明けた。

     ガザには戦闘により負傷した人や障害が残った人が数多い。アユブさんは医療従事者として「これまで以上に努力するのが義務だ」と決意も示した。


    停戦の第1段階として6週間の停戦が合意された。とりあえず喜ばしいこと。だが、この合意がどこまで持続するのかは不透明だとされている。5万人とも10万人ともされる死者。この死者の屍を超えて世界は平和を構築しなければならないのだが、私たち庶民にできることは何なのかを考えることが始まる。


    1月22日 共通テスト「情報」 国立大で必須 対策手探り

     大学入学共通テストは19日、理科と数学のほか、現行の新学習指導要領対応に伴う教科・科目の再編で初めて導入された情報の試験が行われ、2日間の日程を終えた。。出願者49万5171人のうち、情報を受けたのは61・0%に当たる30万1934人だった。

     大学入試センターによると、試験終了後にマークシートに記入するなどの不正行為により、2日間で北海道、福井県、大阪府、高知県の試験会場の計4人が失格になった。

     「数学A」は、試験時間がこれまでより10分延び、70分となった。

     大学入試センターによると、監督者のミスなどにより、2日間で5試験場の計128人が再試験の対象となった。希望を確認している。

     浪人生向けに、数学、情報では旧課程に対応した問題も出題。新課程と旧課程の平均点の差が20点以上あった場合などは、得点調整を行う。調整の有無は24日に発表される。

     平均点の中間発表は22日、最終発表は2月6日。体調不良で欠席した受験生らへの追試験は1月25、26日に東京農工大(東京都小金井市)、東京外国語大(府中市)、大阪教育大(大阪府柏原市)、大阪大(吹田市)で行う。

     大学入学共通テストで「情報I」が初めて実施された。学習指導要領改定で現高3生から必修化されたことに伴うもので、国立大受験にはほぼ必須となり、受験生は手探りで対策した。生成人工知能(AI)の時代に欠かせない力の育成に必要な科目だが、専門家はプログラミングといった技術だけでなく、社会課題の発見・解決につながる「情報活用能力」をみる試験の必要性を訴える。

     情報Iは、情報技術を活用して情報社会に主体的に参画する能力の育成を目指し、プログラミングやデータ活用を学ぶ。今回の共通テストでは、複数人で作業を分担するためのプログラミングを考えさせたり、日本国内の旅行者数のデータを分析したりといった問題が出た。

       異なる配点比率

     国立大学協会は2022年1月、国立大入試で課す共通テストの教科・科目は、情報を含む「6教科8科目」を原則にすると決定。大手予備校河合塾によると、必須とした国立大は97%に上る。

     ただ、合否判定に当たっての配点比率は各国立大で異なる。6教科8科目の総合点は千点で、情報(100点満点)は10%を占めるが、河合塾によると、国立大募集区分の70%が「10%未満」に圧縮し、北海道大は情報Iの受験を必須としつつも得点化は見送るという対応を取った。

     こうした背景には、情報科の教育環境が整っていなかったことへの不安もあったとみられる。必修化当初の22年5月時点では、公立高で情報科を担当する教員のうち、16・7%が正規の免許を持っていなかった。

       成長分野

     文部科学省が各教育委員会に免許所有者の採用を促すなどして、23年5月時点で4・4%に改善したものの、「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大教授は昨年11月の記者会見で「免許取得だけで全国同水準の教育ができたのかは疑問」と述べ、「受験生の負担が増えただけで、テスト導入は拙速だった」と批判した。

     ただ、情報技術の進展はめざましく、政府はデジタルなどの成長分野の人材育成に注力。大学がAIやデータサイエンスを扱う情報系学部を新設する動きも活発だ。

     京都精華大の鹿野利春教授(情報教育)は「プログラミングやデータ活用の分野が注目されがちだが、これらの大部分は将来的にAIで代替できる」と指摘。「受け手に分かりやすく、正確に情報を伝える方法を考える『情報デザイン』といった、今は目立っていない分野こそが求められており、そうした力を測る出題の割合を増やすべきだ」と話した。


    日ごとに変わっていくICT環境だが、そんななかで「情報」を受験科目にしなければならない理由がよくわからない。大学に入学してからそれぞれの学問領域で必要なものを学べば問題はないと思える。社会学での統計処理などは情報が必須化される前から独自に利用されていることからもそういえないだろうか。


    1月17日 ガザ 9割避難 凍死や餓死も

    【エルサレム共同】イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった2023年10月以降、中東最強の軍事力を誇るイスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザを激しく攻撃した。ガザ保健当局や国連人道問題調整室(OCHA)などによると、人口の2%ほどに当たる4万6千人以 上が死亡、9割が避難者となった。人道危機は深刻で、凍死や餓死も報告された。

     ガザの広さは365平方キロ。ハマスの奇襲をきっかけに、イスラエル軍は空爆に加え、地上侵攻した。行方不明者やがれきの下敷きになっている人は1万人以上、負傷者は11万人以上とされる。死傷者には多くの子どもや女性が含まれている。

     精神的なサポートを必要とする子どもも多数いる。国連パレスチナ難民救済事業機関(RUNRWA)職員や記者、支援団体関係者も亡くなった。

     ハマス戦闘員が関係していると判断された病院や学校施設も攻撃を受けた。部分的に機能している病院は半分にとどまる。9割を超える住宅が破壊されるか損傷し、6割超の道路網がダメージを受けた。

     多数が深刻な食料危機に直面。60%を超える耕作地が損傷し、多くの家畜が死んだ。

     米オレゴン州立大のジャモン・バンデンホーク氏らによる地球観測衛星の画像データ分析によると、今月い11日までにガザ地区にある 建物約28万7千棟のうち推定約60%が損壊した。北部ガザ市に限ると約74%が破壊され、最南部ラフアも約49%に上った 


    停戦合意がなされ19日から6週間の停戦に入るという。アメリカの介入によって停戦が合意されたと言われている。しかし、ヨルダン川西岸でのイスラエル入植を認めるというお墨付きを与えたとの観測もある。まずは停戦を歓迎すべきだが、問題解決の道筋は不透明。


    1月17日 【戦後80年】 核なき世界へ 若者の決意

     広島出身の京都の大学生が核廃絶を訴える複数の団体に加わり、被爆者との交流や交流サイト(SNS)での発信を続けている。戦後80年に合わせて2月に開かれる国際市民フォーラムの準備にも携わり、「未来を担う若者世代と一緒に、核のない世界を築きたい」と決意を語る。

     立命館大3年の倉本芽美さん(22)=京都市中京区=は、広島県世羅町で育ち、原爆ドームに近い広島市内の高校に通った。家族に被爆者はいないが、80年前の悲惨な歴史は人並みに学んだ。「大勢を殺した原爆は『絶対悪』で、世界に存在してはいけない」と信じて疑わなかった。

     大学1年だった2022年春、「平和学入門」の授業で核抑止論を知った。核保有国や日本などの同盟国が掲げる安全保障の理屈に「核兵器と平和は対極にあるはずなのに」と嫌悪感が湧いた。核問題を発信する若者の団体「KNOWNUKES TOKYO」に入り、昨年夏には、広島で原爆に遭った花垣ルミさん(84)=右京区=ら被爆者と市民が語り合うイベントを京都市内で企画した。

     他にも、核兵器禁止条約に対する国会議員や都道府県知事の賛否の状況を明らかにする団体「議員ウォッチ」や、日本の同条約参加を目指す一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」に参加。講演したり、核を巡る国際的な情報をSNSで発信したりしてきた。

     日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞し、今年は広島、長崎の被爆から80年を迎える。「核廃絶の気運を高めるには今しかない」と同キャンペーンが2月8、9日に東京都内で開く「核兵器をなくす国際市民フォーラム」に携わる。被爆者が高齢化する中、若者の力を世界の平和に結びつけたいと願う。

     倉本さんは講演の際、必ずこう伝えているという。「核兵器の犠牲になるのは私たち市民です。政治家や専門家に委ねるのではなく、自分の手で核のない世界を作っていきましょう」


    今年は戦後80年にあたる。人口のおよそ8割が「戦争知らない子どもたち」になった。そうした中で、「Z世代」と呼ばれる人たちが戦争について語ることは意義深い。「核」についても、オブザーバーでの参加すら躊躇する自民党政治は次世代を担う人たちへの責任を果たそうとしているのだろうか。


    1月17日 府内私立中 倍率3・9倍

     京都府私立中学高等学校連合会16日、府内の私立中24校の2025年度入試の中間志願状況(同日午前10時現在)を発表した。平均志願倍率は3・9倍で、前年度に比べて0・1ポイント減少した。

     総募集人数は、前年度比の10人増の2439人。京都国際が定員を増やしたため。総志願者は156人減の9477人。出願締め切り前の中学が9校あり、最終的に志願倍率が変わる可能性がある。

     志願者数が最も多かったのは東山の1418人(定員174人)で、洛南の931人(同190人)、京都女子738人(同180人)、 同志社女子662人(同240人)、立命館636人(同120人)と続いた。学校別の倍率は、同志社国際の11・9倍が最も高く、東山8・1倍、京都橘6・3倍、立命館5・3倍、京都産業大付属5・2倍など。

     校種別では、共学校(16校)は定員1430人に対して、前年度比5人減の5481人。男子校(2校)は定員339人に対して1881人が志願して88人増えた一方、女子校(6校)は定員670人に対して230人減の2115人にとどまった。

     入試は18日から始まり、合格発表は同日から順次行う。



    1月16日 文科省 就学援助率11年連続減

     全国の小中学生のうち、経済状況が厳しい家庭に学用品代や修学旅行費などを補助する就学援助制度の対象者の割合が11年連続で減少し、2023年度は前年度より0・24ポイント減の13・66%だったことが15日、文部科学省の調査で分かった。人数は3万8963人減の121万8340人と12年連続で減った。

     就学援助は、生活保護を受給する「要保護」世帯と、自治体が生活保護に近い状態と認定した「準要保護」世帯が対象。23年度は要保護8万955人(22年度比3926人減)、準要保護113万7385人(同3万5037人減)だった。このうち、給食費の全額または一部の補助を受けている児童生徒は109万1644人だった。

     文科省によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は低下傾向にあることが厚生労働省の調査で分かっており、就学援助率の減少につながっているとみられる。

     都道府県別の就学援助率は、高知県の25・51%が最も高く、次が沖縄県の23・57%。低いのは山形県7・00%、茨城県8・17%など。京都府16・00%、滋賀県11・44%だった。


    「11年連続減」という言葉から貧困問題が減少しているような印象を受けるが実態を正確に反映した言葉ではないようにみえる。OECD加盟国39か国中日本は8位となっている。一定の成果があるといえるが依然として「公的現金給付の貧困率削減機能は、他国に比べ大幅に小さい」の現状とされている。


    1月16日 パレスチナ 停戦合意 6週間休止、人質解放へ

    【エルサレム、ワシントン共同】イスラエルとイスラム組織ハマスはパレスチナ自治区ガザの停戦に合意した。仲介国カタールと米国が15日発表した。履行開始は19日。6週間戦闘を休止し、ハマスは人質33人を解放する。20日のトランプ次期米大統領就任直前の妥結となった。2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲から15カ月以上経過し、ガザ側での死者は4万6千人を超えた。停戦維持と人質解放が順調に進み、恒久停戦につながるかどうかが焦点だ。

     カタールのムハンマド首相兼外相やバイデン米大統領が明らかにした合意内容によると、第1段階は6週間でハマスは人質のうち女性や高齢者、負傷者を解放。イスラエルは拘束するパレスチナ人数百人を釈放する。ガザへの人道支援も大幅に拡大。ガザ住民は避難先から全域に帰還できる。イスラエル軍はガザの人口密集地から撤収する。

     第1段階の期間中に、それ以降の停戦継続を協議。恒久停戦につながる第2段階の履行が始まれば、ハマスは男性兵士を含む人質を追加で解放し、イスラエル軍はさらにガザからの撤収を進める。イスラエルとハマスは恒久停戦で合意に至るまで交渉を続ける。(共同)


    カタール発表ガザ地区でイスラエルとハマス 停戦合意

     カタール政府は15日、ガザ地区で戦闘を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスが今月19日から6週間、停戦し、ハマスが33人の人質を解放することで合意したと発表しました。

     ガザ地区では1年3か月以上にわたる戦闘で4万6000人以上が死亡していて、停戦が守られ、人道状況の改善につながるかが焦点です。

     停戦が守られ 人道状況の改善につながるかが焦点

     ガザ地区で戦闘を続けるイスラエルとハマスの間の停戦と人質の解放に向けた協議をめぐり、仲介国のカタールのムハンマド首相兼外相は、今月19日から6週間、停戦することで合意したと発表しました。

     停戦の期間中にハマスが33人の人質を解放し、イスラエル側は刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放するとしています。

     また、イスラエル軍はガザ地区の人口が密集する地域から撤退し、住民が帰還できるようにするほか、人道支援物資の搬入と配布を拡大するとしています。さらにこの間、協議を続け、恒久的な停戦を目指すとしています。

     協議をめぐってはイスラエルが、停戦後もガザ地区の戦略的要衝への駐留を主張してきた一方、ハマスはイスラエル軍の完全な撤退を繰り返し求め、協議は難航してきました。

     ただ、去年10月には、イスラエル軍がハマスのシンワル最高幹部を殺害し、去年11月にはハマスに連帯を示しイスラエルへの攻撃を続けてきたレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが停戦に応じたことなどで、ハマスが孤立を深め、これまでより譲歩する姿勢を示していると報じられていました。 また、アメリカのトランプ次期大統領もみずからが就任する今月20日までに停戦合意を実現するようハマスへの圧力とイスラエルへの働きかけを強めていました。カタールでの協議にはバイデン政権の高官に加えてトランプ次期政権の中東担当の特使も参加するなどアメリカの政権交代を前に関係国が合意の実現を目指していました。

     ガザ地区ではおととし10月に戦闘が始まってからこれまでに4万6000人以上が死亡していて、停戦が守られ、人道状況の改善につながるかが焦点です。

     カタール発表の停戦合意内容は

     カタールのムハンマド首相兼外相は15日、首都ドーハで会見を行い、イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦と人質解放で合意したと発表しました。

     それによりますと、停戦と人質解放は今後、3段階に分かれて行われ、第1段階は、今月19日から始まり、6週間にわたって停戦するとしています。

     停戦期間中にハマスは33人の人質を解放する一方、イスラエルは刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放します。また、イスラエル軍はガザ地区の人口が密集する地域から撤退し、住民がそれぞれの地域に帰還できるようにするとしています。

     さらにこの間、住民が必要としている人道支援物資の搬入と配布を拡大し、ガザ地区にある医療施設の改修なども行うとしています。

     そして、第2段階と第3段階について協議を続け、恒久的な停戦を目指すとしています。

     また、双方に対し、これ以上の犠牲を出さないためにも、合意を履行することを強く求めた上で、履行を監視する拠点をエジプトの首都カイロに設置し、仲介役を担ったカタールとエジプト、それにアメリカの合同チームが監視にあたると説明しました。

      イスラエル大統領“すべての人質が帰国するまで全力尽くす”

     停戦合意の発表を受けてイスラエルのヘルツォグ大統領は15日、会見を開き「私たちはいま重大な局面にいる。イスラエルの議会と内閣に停戦合意を受け入れ、承認するよう求める」と述べました。

     そのうえで「安全保障上の利益とイスラエル国民全員の安全を守るためには、あらゆる外交や安全保障の手段を活用しなければならないことは明らかだ。最後の1人まで早急に帰国させる」と述べ、すべての人質が帰国するまで全力を尽くす考えを示しました。

     一方、仲介国のカタールとエジプト、それにアメリカなどに感謝するとしていて「トランプ次期大統領と政権の考えの中に、イスラエル国家の安全と人質問題が常にあるとわかっている。トランプ氏のこの考えに感謝し新政権での成功を祈る」と述べました。

     ハマス「たくましさと勇ましい抵抗の結果だ」

     イスラム組織ハマスは15日、SNSに「停戦の合意は15か月以上にわたるガザ地区での偉大なパレスチナの人々のたくましさと勇ましい抵抗の結果だ。解放と帰還というわが民族の目標を達成するための敵との戦いにおける節目となるものだ」と投稿しました。

     そのうえで「ガザ地区の人々との連帯を表明し、侵略を止めるのに貢献したすべての関係者に感謝している」として、仲介国のカタールやエジプトに謝意を示しました。

     バイデン大統領「最も厳しい交渉の1つだった」

     アメリカのバイデン大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、イスラエルとハマスが6週間、停戦することなどで合意したことについて「これは、私がこれまで経験した中で最も厳しい交渉の1つだった。ガザ地区での戦闘は停止し、まもなく人質は家族のもとに戻る」と述べて歓迎しました。

     そして今後6週間のうちに、恒久的な停戦に向けて必要な協議が行われるとして期待感を示した上で、協議に6週間以上かかる場合、停戦は継続すると説明しました。

     また、「今回の交渉は私の政権のもとで進展したものだが、合意の大部分は次の政権が実現することになる。ここ数日、われわれは1つのチームとして話してきた」と述べて来週20日に発足するトランプ次期政権のチームと連携してきたと明らかにしました。

     その上で「われわれは次のチームに、中東のよりよい未来のための真のチャンスを引き継ぐことになる。私は彼らがそれを受け止めることを願っている」と述べました。

     ドイツ首相「戦争の恒久的終結 人道状況改善への扉開くものだ」

     ドイツのショルツ首相は15日、SNSに「よいニュースだ」と投稿して歓迎した上で、合意が着実に履行されるよう期待感を示しました。その上で、「この停戦は戦争の恒久的な終結とガザ地区の劣悪な人道状況の改善への扉を開くものだ」として、ガザ地区での戦闘の終結と人道状況の改善のための取り組みを続ける考えを強調しました。

     英首相「切実に待ち望んでいたニュース」

     イギリスのスターマー首相は声明を出し「何か月にもわたる流血、そして数え切れないほどの命が失われた末に、これはイスラエルとパレスチナの人々が長い間、切実に待ち望んでいたニュースだ」として、人質の解放に期待を示すとともに、この停戦をガザ地区への人道支援の大幅な増加につなげる必要があると強調しました。

     その上で「われわれはイスラエルとパレスチナの人々にとって永続的な、よりよい未来をいかに確保するか、注視しなければならない。その基盤となるのはイスラエルの安全・安定とともに、パレスチナ国家の主権と発展を保証する、2国家共存による解決だ」と呼びかけました。

     国連事務総長「最優先事項は苦しみを和らげること」

     停戦合意の発表を受けて国連のグテーレス事務総長は15日、国連本部で会見し「私たちの最優先事項はこの紛争によって引き起こされた途方もない苦しみを和らげることだ」と述べ、ガザ地区への人道支援の拡大を急ぐ考えを示しました。

     そのためには「この合意によりガザ地区での支援物資の輸送を妨げている安全保障上や政治的な障害が取り除かれることが不可欠だ」と述べ、すべての当事者に停戦合意の完全な履行を求めました。

     また「今回の合意は重要な第一歩だ」としながらも「占領を終わらせ、イスラエルとパレスチナが平和と安全のうちに共存する2国家解決を実現することは、依然として緊急の優先事項だ」と強調しました。

     トランプ氏 成果を強調「強さを通じた平和を進めていく」

     アメリカのトランプ次期大統領は15日、SNSに、去年11月の大統領選挙での自身の勝利が合意に結びついたという認識を示した上で「私の政権が平和を求め、すべてのアメリカ人と同盟国の安全を確保するために交渉することを全世界に示した」と投稿し、自身の成果だと強調しました。

     そして「この合意を受けて、私の国家安全保障チームは、イスラエルや同盟国と緊密に協力し、ガザ地区が2度とテロリストにとっての安全な避難場所にならないよう引き続き、取り組む。われわれはこの地域全体で強さを通じた平和を進めていく。これは、アメリカ、そして世界にとって、すばらしいことの始まりにすぎない」としました。

     複数メディアが停戦合意を伝える

     イスラエルとハマスの間の停戦と人質の解放に向けた協議をめぐり、ロイター通信やAP通信など欧米の複数のメディアは、イスラエルとハマスが6週間の停戦と人質の解放で合意したと伝えました。

     また、アメリカのトランプ次期大統領は15日、自身のSNSに「中東の人質のための交渉がまとまった。人質はまもなく解放されるだろう。ありがとう」と投稿しました。

     協議をめぐっては、イスラエルが、停戦後もガザ地区の戦略的要衝への駐留を主張してきた一方、ハマスはイスラエル軍の完全な撤退を繰り返し求め、協議は難航していました。

     ただ、去年10月、イスラエル軍がハマスのシンワル最高幹部を殺害したほか、去年11月にはハマスに連帯を示しイスラエルへの攻撃を続けてきたレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが停戦に応じたことなどで、ハマスが孤立を深め、これまでより譲歩する姿勢を示していると報じられていました。

     また、アメリカのトランプ次期大統領もみずからが就任する今月20日までに停戦合意を実現するようハマスへの圧力とイスラエルへの働きかけを強めていました。

     仲介国のカタールでの協議にはバイデン政権の高官に加えてトランプ次期政権の中東担当の特使も参加するなどアメリカの政権交代を前に関係国が合意の実現を目指していました。

     ガザ地区ではこれまでに4万6000人以上が死亡していて、停戦が守られ、人道状況の改善につながるかが焦点です。

     ガザ地区南部のハンユニスでは大きな歓喜の声

     ガザ地区南部のハンユニスでは、15日夜電気が通っているテントに大勢の人たちが集まり、停戦協議のニュースを伝える中東のテレビ局の放送を固唾をのんで見守っていました。

     NHKガザ事務所のカメラマンが撮影した映像では、イスラエルとハマスが停戦と人質の解放で合意したと伝えられると、人々が大きな歓喜の声を上げたり指笛を鳴らしたりして、喜ぶ様子が見られました。

     エジプトに避難の住民からも喜びの声

     エジプトに避難しているガザ地区の住民からは喜びの声が聞かれました。ガザ地区と境界を接するエジプトにはおととし10月にイスラエルとハマスの戦闘が始まって以降、10万人近い人が避難しているとされています。

     停戦合意の発表直後の15日夜、首都カイロにある避難者が多く集まるレストランを訪れると、お祝いとしてお菓子がふるまわれていたほか、客や店員が音楽にあわせて拍手をするなどして喜ぶ様子が見られました。

     ガザ地区に夫などが残っているという女性は「どれだけ平和がうれしいか言い表すことができないくらい幸せです。家族に再会し、自宅に戻り、ふるさとの風を感じたいです」と話していました。

     また、現在はカイロでレストランの経営に携わる男性は「ガザ地区にいる家族が生きているかどうか毎日、不安でいっぱいでした」と停戦合意を歓迎する一方、ガザ地区への帰還については「何も残っていないガザに戻るのは難しいです」と話していました。(NHK)


    ガザ地区での戦闘停止が合意されたことは素直に喜びだ。しかし、そのことでパレスチナ問題が解決したことにはならないだろう。世界がこの問題をいままで見捨ててきたきた結果なのだから。引き続き注視していかなければならない。


    1月14日 文科省 被災地の学び止めない

     文部科学省は、地震などの被災地で学校運営や子どもの心のケアに当たる「学校支援チーム」の普及を促進し、各自治体との連携体制を構築する取り組みを進 めている。各地で大規模災害が後を絶たない中、非常時でも子どもの学びを止めないよう、現地の教員らをサポートする。 学校支援チームは、教職員やスクールカウンセラーらで構成。先駆けになった兵庫県の「震災・学校支援チーム」(EARTH)は阪神大震災を契機として2000年に発足し、これまで東日本大震災など全国の被災地で活助してきた。

     文科省担当者は「災害発生当初は教職員も避難所運営などに従事せざるを得ず、学校再開に向けた本来業務のサポートが求められる」と話す。

     こうしたチームは兵庫のほか、宮城、三重、岡山、熊本の計5県で運用されており、北海道でも昨年10月に発足した。京都府は早期設置に向けて準備を進め、 福島県も立ち上げを決めている。

     ただ、各自治体の自主的な取り組みのため、横の連携が取りにくいのが課題だった。昨年1月の能登半島地震では5県がチームを派遣したものの、活動状況や被災地のニーズなどについて、国も含めた情報共有が十分ではなかったという。

     そのため文科省は、既にチームがある自治体とのネットワークを構築。平時から連携を強化し、大規模災害発生時は必要に応じて派遣を調整する。さらにチー ム立上げのノウハウや過去の活動を発信して他の都府県にも設置を促し、アドバイザー派遣や研修に関する経費を支援する。

     昨年9月に石川県能登地方を襲った豪雨うでは、この取り組みの。一環として輪島市と珠洲市に文科省職員2人を派遣。学校の被災状況や支援ニーズを聞き取り、チームがある5県と共有した。

     阿部俊子文科相は昨年末の閣議後記者会見で「災害が頻発化・激甚化する中、子どもたちの学びを確保するため、平時から備えを強化していくことが重要だ」 と述べた。


    「災害と教育」というよりも「災害と学校」がより重要なテーマとなりはしないだろうか。COVID−19 (新型コロナ)の流行時にも各家庭の子どもの処遇が問題となった。学校という公的施設が地域コミュニティーの拠点となることが改めて認識された。学校の統廃合で小中一貫校への改編が進む中、学校という施設の在り方を「学び」と同時に議論すべきではないか。


    1月14日 京都商工会議所 参加児童8万人超に

     京都商工会議所の会員企業が京都市内の小学校で環境保全やエネルギー問題を教える「小学生への環境学習事業」の参加者が、本年度で累計8万人を超えた。なじみのある企業から取り組みを聞き、児童が環境問題に関心を寄せている。

     12月17日に翔鸞小(上京区)では、6年生がオムロン社員からSDGs(持続可能な開発目標)の授業を受けた。国連が掲げる17の目標をクイズ形式で学んだあと、省力化や温室効果ガス排出削減につながる同社製品の説明を受けた。同社の木村明日香さん(24)が「世界で何が起きているかを知り、自分にできることを考えることが社会を変える大きな一歩になる」を語りかけ、吉村水希さん(12)は「目標を達成するには、一人一人の心がけが大事と思った」と話していた。

     事業は2002年度から始まり、22年目。本年度は26企業・団体の協力を受け、62校約5060人が授業を受ける。累計参加児童は8万人、参加校も延べ1100校を数えた。

     協力企業として関西電力京都支社(下京区)、日新電機(右京区)、村田製作所(長岡京市)が通算20年を迎えた。京都商工会議所は「優れた環境技術を持つ京都企業がCSR(企業の社会的責任)の一環として継続的に携わってくれている。児童のキャリア教育につながるとの評価もあり、今後も続けていきたい」としている。


    企業が社会的責任を意識し環境保全事業を行うことは意義のあること。しかし、子どもが「こころがけ」を中心とした感想を抱くような環境授業はすでに賞味期限切れだと言える。例えば、原発に依存しないような環境保全というテーマを取り上げる必要がある。「環境学習事業」の受け入れを学校現場がどう理解しているのかは疑問。


    1月12日 市教育長 稲田新吾さん 専門学科、独自検査を継続

     公立高の新入試制度導入にあたり、京滋の教育行政トップに高校の将来像を問う3回シリーズの2回目は、京都市教育委員会の稲田新吾教育長に聞いた。

     −2027年度から導入される、京都市を含む京都府の新入試制度でこだわったポイントは。

     「中学校も設置する京都市は、高校だけでなく、中学校現場のニーズも踏まえて制度改革に生かすことが重要な役割だ。新制度は中学生や保護者の負担軽減などを目指しているが、(前・中期選抜を一本化すると)試験から卒業式までの期間が延びることなど、当初、中学校現場からは不安の声も上がっていた。中・高の学校長にも参画いただき議論を重ねる中で双方の理解を深め、今回の見直しに至っている」

     ―今の前期選抜で実施している専門学科の試験内容も変わるのか。

     「各高校の独自学力検査や面接などができなくなるわけではない。見直し案では、現在の前期選抜と中期選抜を一本化した新、『前期選抜』に独自枠と共通枠を設け、1日目に5教科の『共通学力試験』、2日目に独自学力検査や面接、作文などの『学校独自検査』を実施する。ただ、独自の問題を作るのは学校に負担もあるため、学校が特にこだわりたい教科で独自学力検査を行い、その他の教科は共通学力検査を活用するなどの組み立て方も考えることができるだろう。検査項目は今後、各学校で考えていく」

     ―本年度、全日制の公立高を志望した府内の中学3年生は52%と過去最低を更新した。私学助成の拡充で高校の選択肢が広がる中、公立高の役割は。

     「いわゆる難関大学に挑戦しようとする生徒もいれば、不登校を経験して高校で学び直そうとする生徒もいる。公立校はこうした生徒の多様で幅広いニーズに応えることが求められている」

     「授業料の補助が拡大したとはいえ、私立高はある程度の費用負担がある。経済的に厳しい状況でも、公立高でチャレンジングなことができる選択肢を用意することも必要だろう。主体的に学び、常に自分をアップデートする力が今の時代には必要だ。最先端の学びを公立が先導し、実践していく」

     ―隣の大阪府では私立を含めか授業料無償化が段階的に進んでいる。

     「京都府内でもすでに就学支援金制度で世帯年収910万円未満の生徒は授業料が無償になっている。年収要件をなくして全ての生徒を無償化した場合、京都市立高では2億円程度の経費が必要。市内の府立高に通う生徒もおり、市立高だけの無償化は難しい。保護者の負担軽減は大事だが、教育にかかるコストだけでなくクオリティーにも注目していただければと思う」

     ―市立高の強みは。

     「戦前からある工業や美術、音楽に関する高校は、京都の伝統を踏まえた非常に貴重な学校だ。高い進学実績がある堀川高や西京高、『新しい普通科』として注目されている開建高、不登校経験のある生徒へのサポートを充実させた京都奏和高を含め、市立高9校それぞれに特色がある。探究的な学びを重視する共通性も備えており、意欲的な学校経営ができている」

     ―少子化を受け、京都府は学校の再編を含めて今後の高校の在り方を検討している。市立でもさらなる再編はあるのか。

     「平成の時代から始まった市立高校改革は、2023年度の開建高の新設、美術工芸高の移転開校で集大成を迎えている。一方で少子化は着実に進んでおり、少し前まで1学年1万人程度いた児童生徒は近年、8千〜9千人台に減少している。少子化か進んでも専門的な学びの選択肢は残していかないといけない」

     「普通科は一定の生徒数がいたほうが学校教育の活力につながる。まだ具体的な計画などがあるわけではないが、生徒の増加時は府と市で連携して学校数や受入数の増加を図ってきた。減少時も府と同じテーブルで検討していかなければならないだろう」

          (聞き手・岡本早苗)



    1月11日 自・公・維協議 高校無償化「4月開始を」

     自民、公明両党と日本維新の会は10日、教育無償化に関する3回目の政策協議を国会内で開いた。維新は今年4月から所得制限のない高校授業料の無償化を実施するよう要求。必要な財源約6千億円は行財政改革などで捻出するとした。3党は、2月中旬をめどに一定の結論を得ると申し合わせており、一致点を見いだせるかどうかが焦点となる。

     自公は協議を通じて維新との関係を深め、今月召集の通常国会で審議する2025年度予算案への協力を得る狙いがある。維新は、高校授業料の無償化実現を予算案への賛否を決める判断材料の一つに位置付けている。

     この他、維新は協議で、幼児教育・保育と学校給食の無償化は来年4月から実施するよう要請。大学を含む高等教育の無償化については早期の実現を求めた。

     協議後、自民実務者の柴山昌彦元文部科学相は記者団に「持ち帰って検討するが、ハードルは高いと感じている」と説明した。維新実務者の金子道仁参院議員は真摯に協議を続け、着地点を模索する考えを示した。


    教育の無償化は今後も必要なベーシックサービス。住民に反対を押し切って建設を進める辺野古の米軍基地は10年後に完成、現時点で総事業費9300億円とされているが2兆円を超えるとの推測もある中、「6千億円」は予算全体とすればわずかな額。しかし、これを持参金に野党間の結束を乱すという与党側の思惑も透けて見える。


    1月10日 京都地裁 「ばい菌」扱い違法

     京都市立小学校でいじめを受けて不登校になったとして、現在中学生の女子生徒が元同級生の男子3人を相手に、300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日までに京都地裁であった。

     松山昇平裁判長は訴えを一部認め、3人に計30万円の慰謝料を支払うよう命じた。

     判決によると、元同級生3人は小学5年生だった2020年、女子生徒に対し、授業中にやじを飛ばしたり、避けたりした。女子生徒は5年生の冬以降、登校できなくなった。市教委は昨年7月、いじめ防止対策推進法の「重大事態」と認定した。

     松山裁判長は、3人が「○○(女子生徒の名前)エキス」と言いながらタッチをし合ったり、女子生徒が触ったプリントの箇所を避けたりした行為は「他者をばい菌のごとく扱うに等しく、尊厳を著しく損ない人格権を侵害する言動」と指摘。当時の年齢を考慮しても許される程度を超え。違法とした。

     一方、別に不登校の要因があったとも考えられるとし、心身の不調や不登校との因果関係は認めなかった。

     3人のうち2人については、京都地裁が昨年6月、市立小時代に別の児童の持ち物を壊すなどしたとして、慰謝料計15万円の支払いを命じていた。


    いじめにかかわっての訴訟が増えてきている。 被害の側としては当然のこととして「防止」への一手段になる。かつて、いじめが原因で転居を余儀なくされたということで費用を弁済させる(京都地裁平成17年2月22日判決など)ことがあった。しかし、そのことでもいじめ問題が解決したのだろうか。今回の地裁の判決でも複雑なおもいは変わらない。ひとつは、事件当時からすでに5年(市教委が重大事案と認定したのも4年後)が経過している。通常であれば加害(被告)の側は高校生になっているはず。彼らが現在いじめにどう向き合っているのかは判決からは出てこない。また、いじめが被害(原告)の側にも一因があるとする過失相殺の考え方を判決がとっていることも民事訴訟の常識ではあるのだろうが、腑に落ちない。いじめ問題の解決は訴訟にはなじまないのではないだろうか。では解決策はと問われると答えに窮するが、やはり学校(教育の在り方)が議論される必要がある。


    1月10日 GSユアサ 「半ジョブ型」導入

     蓄電池大手GSユアサ(京都市南区)は、仕事内容や役割に応じて給与を変える新たな人事処遇制度を4月に導入する。管理職約900人から始め、将来は全社に広げる方針。欧米流のジョブ型雇用を独自に改変した「半ジョブ型」と位置付け、長く続いた年功序列型制度を転換する。

     柔軟な人材登用やキャリア採用の拡大につなげるのが狙い。阿部貴志社長は取材に対し、「能力ややる気のある人に新たな仕事に挑戦してもらう。自分で考えて動く自律型の人材を育てていく」と動機を語った。

     従来は職務の経験年数や役職に応じた資格・等級に沿って昇格や昇給を実施してきた。当初は部長と課長が対象。全ての職務を内容や役割で3段階の等級に分け、それぞれベース賃金を設定する。実績に対する評価は賞与などに反映する。処遇改定に伴う賃金の激変緩和措置も講じる。

     職務を明確にし、成果を基に処遇するジョブ型雇用は、専門人材の確保や士気向上を図る目的で日本の大手企業を中心に広がる。GSユアサは社員のリスキリング(学び直し)も後押しし、採用の競争力や人材定着を高めたい考えだ。阿部社長は「会社が変わる大きな一歩となる。能動的な人材が増えることを期待したい」と述べた。


    年功序列・定年制・新卒一括採用という雇用の形を「日本型雇用」と呼ばれている。戦後日本の経済成長を支えてきたが、「失われた30年」と呼ばれる時期にはそれが企業の足かせになっているとの指摘が相次いでいる。そこで注目されてきたのが欧米流の「ジョブ型雇用」(濱口桂一郎著『ジョブ型雇用社会とは何か』 )だ。企業への忠誠心よりも仕事の内容へと重心を移すということなのだろう。しかし、「ジョブ型」であれ「半ジョブ型」であれ、問題にされなければならいのは労働者にとっての意味である。企業への忠誠心と仕事への忠誠心(?)の両方を求められるとすればそれは一層過酷な労働環境を招く。労働者からの反応はどうなのだろう。労働組合はどう考えているのだろう。


    1月9日 核禁条約会議 首相ゼロ回答

     ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員が石破茂首相に、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を直接迫った。だが、米国との同盟関係や核による抑止力を重んじる首相は応じず、ゼロ回答。被爆80年の節目を迎え、受賞を追い風に核廃絶機運を高めたい被爆者は、条約に背を向ける政府にいらだちを募らせる。

     「首相はうんともすんとも言わなかった。何のために東京に来たのか」。被団協代表委員箕牧智之さん(82)=広島県=は怒りをあらわにした。

     8日の面会は約30分。役員7人が核廃絶や原爆被害の国家補償などについて要望した。日本が批准していない核禁止条約に関し、箕牧さんは3月に米国で開かれる第3回締約国会議へのオブザーバー参加を求めた。安全保障環境の厳しさを強調した首相は、参加の是非は語らなかった。

     同席した自民党議員によると、首相側は「今日は議論はしない」と前置きしたという。平和賞授賞式で演説した代表委員田中煕已さん(92)=埼玉県=は「首相の考えに反論する時間は設けられていなかった。首相の独壇場みたいになってしまった」と悔しさをにじませた。

     首相は締約国会議参加を巡り、板挟み状態にある。連立を組む公明党からも決断を促される一方、政府として米国が核を含む戦力で防衛に関与する「拡大抑止」の強化を図っているためだ。是非を明言しないのは「首相の難しい立場の表れ」(官邸筋)というわけだ。

     首相は判断の前に、日本と同様に「核の傘」の提供を受けているドイツなどの参加により「会議の流れがどうなったか検証する」とする。しかし、政権幹部は32力国体制の北大西洋条約機構(NATO)の一加盟国であるドイツと、米国が唯一の同盟国である日本の事情は異なると指摘。「米国の信頼を損ねるリスクは取れない」として、オブザーバー参加は困難が伴うと強調する。

     林芳正官房長官は8日の記者会見で、安保上の脅威に適切に対処することが大前提とし「唯一の戦争被爆国としての歴史的責務をどのように果たしていくべきかは難しい課題だ」と話した。

     「戦争の拡大と核使用の危機が迫り、被爆者にとっても人類にとっても決定的に重要な年になる」。被団協は受賞決定前、戦後80年に向けたアピールを採択。田中さんはノーベル賞委員会関係者から、授賞の背景には世界の世論を盛り上げようとの思いがあったと聞いたといい「証言の大運動をしたい」と意欲を語る。

     非政府組織(NGO)ピースボートの川崎哲共同代表は、8日の面会は政府にとっても会議参加ヘー歩を踏み出すチャンスだとみていた。会議は2カ月後に迫り「受賞に水を差す判断はしないでほしい」とくぎを刺す。

     同志社大の三牧聖子准教授(米国政治外交史)は米国ではトランプ次期大統領が国際協調を軽視し、対外的な関与を薄めていく姿勢がある点を踏まえ「不確かさが増し、いつまでも米国の『核の傘』に頼っていくのは危険だ」と指摘する。

     被団協の活動が世界的に評価されたにもかかわらず、米国との関係を重視し、オブザーバー参加すらかなわなければ「国際協調や平和の追求に背を向ける国になってしまう」と懸念した。


    2度目のトランプ政権誕生はひょっとして「日米同盟の賞味期限切れ」ではないのか。NATO各国の防衛費の引き上げやグリーンランド買取、カナダの併合、パナマ運河の運営、ウクライナ・ロシア戦争の終結延期などなど。世界はたった一人の人間に引き回されているという感じがする。これを機会に米大陸の西端からアジアの東端への転換が必然となるのだろうか。


    1月7日 【現論】 記憶継承が招来の紛争防ぐ

     12月10日、オスロで行われた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞授賞式に参列させていただいた。被団協の方々は、1945年8月から今までのさまざまな出来事、多くの人々のことを心に浮かべ感無量で式に臨まれたと思う。

     悪化する国際安全保障環境の下で、核兵器を二度と使わない「核のタブー」を必ず守り、この受賞を軍拡から対話・外交・軍縮に舵を切り直すための機会にすべきことは既に何度も発信してきた。本稿では、少し掘り下げて今回の平和賞を歴史認識、記憶継承や和解という大きな文脈から考えてみたい。

       傷を癒やす努力

     実は和解や記憶継承という概念が平和への努力の中で重要になったのは比較的最近だ。現在の国際法秩序の起点とも言えるウエストファリア条約(1648年)の第2条では、一切の戦争被害について「互いに永久に忘却、大赦、赦免」されると合意された。戦争は戦場で行われ、一般市民が攻撃対象となり大きな被害に遭う状況ではなかったからでもある。

     毒ガス弾や機関銃といった新兵器や航空機の利用などで、未曽有の犠牲者を出した第1次大戦はこの状況を一転させた。忘却や恩赦ではなく戦争責任を追及し、責任者を処罰する考え方が出現、第2次大戦後のニュルンベルク法廷や東京裁判を経て、今の国際刑事裁判所に引き継がれている。

     これは紛争解決の中での法的責任に関わることで、市民レベルでの記憶の継承、共有や和解に必ずしも直結するとは言えない。国家間の合意と被害を受けた市民の間の隙間を埋め、被害者の戦争の傷を癒やす努力がなされるようになった。

     謝罪や遺憾の意の表明は、国内での多大な政治的努力を要する公式の謝罪から、犠牲者慰霊碑などへの献花により哀悼を示す行動まで、いくつもの形で示される。先の大戦で大きな過ちを犯した日本にとって、長年にわたり特に重要な課題だ。

     賠償や補償も重要な行為だが、戦争の被害者への実質的な損害補填というより、戦争の国家責任や被害者への連帯の表示など象徴的な意味合いが強いことが多い。

     記憶の継承は過去の悲劇を正確に伝え、将来の紛争や人権侵害を防ぐため、記念日の制定から記念碑建立まで世界各地でさまざまな形で行われている。以前は戦勝記念碑など「偉業」の記憶が多かったが、現在はホロコーストの博物館やルワンダのジェノサイド博物館のように「負の歴史」の展示が重視されるようになった。言うまでもなく広島と長崎の原爆資料館の果たす役割は大きい。

     実務者として紛争現場で暴力の被害を受けた人々と直接向き合った経験から、被害者に安易に赦しや和解を求めるのがいかに理不尽であるかを目の当たりにしてきた。

     暴力の傷を癒やし和解に至るには当事国間の行為を超えて、双方の市民の間で怒りや不信感を乗り越えるための幅広く長い交流、歩み寄りと対話の積み重ねが必要となる。双方が人類共通の悲劇として捉え、両者の間で共有される記憶をより良い将来をつくるための基盤とすることが重要だと、和解を研究する専門家は指摘する。

       変化する原爆観

     長年の被爆体験の共有により、米国での原爆投下への評価も変化している。米ローパーセンターの世論調査によれば、1945年11月に53・5%の人が広島、長崎への原爆投下は正しかったとしたが、2015年には28・5%、24年には19・4%に下がった。

     デモンストレーションを目的とした海上などでの投下を含め、一切の原爆投下をすべきでなかったとする人の割合はこの間、4・3%から14・4%、36・7%に上がった。近年は特にZ世代の若者層に原爆投下を間違いだったと考える人が増えているという。被爆者はその活動により被害者からサバイバー、そして平和の構築者となった。

     田中煕巳代表委員は受賞スピーチで「戦争であってもこんな殺し方はしてはならない」「誰でも加害者にも被害者にもなり得る」と述べた。人類が核兵器という究極の大量破壊兵器を持ち、「自衛」の名の下で国際人道法違反が続く今こそ、心に刻むべきメッセージである。未来に向けて平和への行動を引き継ぐ私たちがいま一度真剣に、誠実に向き合うべき「戦争と平和」の課題が多々あるのだと痛感した日であった。(中満 泉 国連事務次長)


    「戦争を記憶する」ことはとても大切だが同時にその難しさも感じる。人はとても忘れやすいものでもあり、自分に側に引き付けて考える傾向を持っている。被害の経験をどのように加害の経験に向けて構築していくのかも重要な課題だろう。WANN(we are not numbers)/a>の活動も戦争を考えるための一つの切り口だろう。


    1月46日 日本学力振興会 大学入試前に予備校が突然教室閉鎖

    東京・新宿区で大学受験予備校を運営する会社が4日、事業を停止し、近く自己破産を申し立てる方針であることが代理人の弁護士への取材でわかりました。大学入学共通テストを目前に控えた時期に突然、教室を閉鎖した形で、受験生の間で戸惑いが広がっています。

    事業を停止したのは、東京・新宿区で大学受験予備校の「ニチガク」を運営する「日本学力振興会」です。

    予備校のホームページによりますと、少人数制の授業を展開して40年以上の指導実績があり、昨年度に受験した165人の受講生のうち93.9%が第二志望までに合格したとしています。

    運営会社の代理人の弁護士によりますと、ここ数年で受講生の数が減少したうえ、校舎とは別に借りていた自習室の賃料の支払いなどで資金繰りが難しくなったため、4日付けで事業を停止し、今月中旬までに裁判所に自己破産を申し立てる方針だということです。

    民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、4日の時点で在籍していた受講生はおよそ130人で、負債総額は1億円を超える見込みだということです。

    予備校の入り口には「関係者の皆様方にはご迷惑をおかけすることになり深くおわび申し上げます」などと書かれた紙が貼られていて、大学入学共通テストを目前に控えた時期の突然の閉鎖に受験生の間で戸惑いが広がっています。

    代理人の弁護士はNHKの取材に対し「運営会社では生徒がほかの予備校に受け入れてもらえないか声かけをしているようだが、具体的な対応はまだ決まっていない」と話していました。

    受験生「いきなり閉鎖 ショック」

    予備校の入り口には「現在、債務の支払いに窮する状態にあるため、破産申立てを視野に入れ、債務を整理する予定です」などと書かれた紙が貼られていました。

    また、教室に置いていた私物を持ち帰るよう促す紙も貼られていて、6日は受講生や保護者が次々に訪れていました。

    大学入学共通テストを控えている高校3年の男子生徒は「年末に通っていた時は破産という雰囲気は全然なかったし、授業には満足していたのでいきなり閉鎖してしまいショックです。テストを控えているので不安はありますが、仕方がないので気持ちを切り替えて試験日まで自分で勉強を頑張ります」と話していました。

    また、高校2年の男子生徒は「通い始めてから成績が伸びてきていたのに急にこういうことになってとても残念です。生徒に対しては貼り紙での通知しかないのでまずは予備校側からきちんと説明してもらいたい。授業料は年間払いで親に負担をかけているのでお金を返してほしい」と話していました。

    予備校講師「受験直前 生徒がかわいそうすぎる」

    予備校で6年間、世界史の講師を務めていた森川晶雄さんはNHKの取材に対し「今月4日にことし最初の授業があったので予備校を訪れたところ、『破産したので授業はなくなった』と言われた。突然のことで驚いたし、授業を受けに訪れていた生徒たちも動揺した様子だった」と述べました。

    去年7月ごろから給与の支払いが遅れるようになり、11月分の給与は支払われていないということで「予備校側からは『給料は払えない』と言われた。経営状態が良くないのかもしれないとは感じていたが、受験直前に全てを投げ出すなんて生徒がかわいそうすぎる。まずは生徒に対してきちんと謝罪と説明をしてほしい」と話していました。

    学習塾の倒産 去年53件 最多更新

    民間の信用調査会社、東京商工リサーチによりますと、大学受験予備校を含む「学習塾」の倒産は、去年1年間の速報値で53件に達しました。おととしの45件を上回り、統計が確認できる2000年以降で最多を更新したということです。

    また、去年の負債総額は117億4400万円で、おととしの12億6600万円の9倍以上となり、同じく最多となったということです。(NHK NEWS WEB)


    AIの発達で教育産業は隆盛かと思われたが、大手予備校が倒産の憂き目に。「教育に民間の活力を」との掛け声の一つの結果でもある。少子化での需要者数の減少は、中小私立大学の経営も揺さぶる。「高校教育無償化」はおよそ600億円と言われているが、これを手土産に政権にすり寄る政党はどこまで教育の議論を進めているのだろうか。


    1月5日 京都府公立高新入試 4校4学科の出願も

      京都府内の公立高入試は、2027年度入学の選抜から、2月中旬と3月上旬に別々に実施していた各選抜を一本化して、2月中下旬に実施する。学校選択の自由度や多元的な評価といった現行制度の利点は生かしつつ、一本化による受験期間の短縮で、さまざまな受験生の負担軽減を図る。

     現在の入試は、学力検査や面接、作文などの結果を多様な評価尺度で判断する「前期選抜」を2月上旬に、5教科の学力検査が中心の「中斯選抜」を3月上旬に実施。定員割れが著しい学校を対象に限定的に実施する「後期選抜」を3月下旬に行っている。最大で3回の選抜により受験機会を増やす利点がある一方で、進路を早く決めたいという受験生やその保護者が多く、定員枠の少ない前期選抜に 集中し、過度な競争を生み出す弊害もあった。

     制度改革により、新「前期選抜」では、『独自枠』と『共通枠』を 設ける。

     独自枠は、現在の前期選抜に相当する。独自学力試験や中学からの報告書、面接、作文、実技試験などを課す。1校1学科のみの受験ができる。共通枠は、中期選抜の内容を引き継いでおり、5教科の筆記試験と報告書で選抜して、最大で3校3学科を選べる。独自 枠と共通枠の両枠、一方だけでも受験が可能。最大で4校4学科に出願できる。


    府教育庁 前川明範さん中学生や保護者の負担減に

     通信制高の台頭や急激な少子化で、公立高の役割が改めて問われている中、京都府は2027年度から、滋賀県は26年度から、公立高の入試制度を大幅に見直す。改革に込めた狙いや、公立高を取り巻く課題について京都府、京都市、滋賀県の教育長3人に尋ねる。1回目は、京都府の前川明範教育長に聞いた。

     ―京都の公立高の入試制度を見直しする背景や狙いは何か。

     「高校入試は私立から順に始まり、―力月以上にわたって続く。その間、中学生やその保護者の負担が重い。前期選抜と中期選抜の両選抜を一本化し、受験期間の短縮を図ることで早く進路を決定したいと願う中学生とその保護者のニーズに応えたい。また、入試に対応する中学、高校側の負担軽減も配慮した。今回の見直しで、こうした課題はほぼ解消できる。中学側から要望の多かったセーフティーネットも現行制度に引き続きしっかり取り入れた。中学生自身が行きたい高校を選択できることが重要でありこの根源は変わらない」

     ―年度末に成案を公表する予定だが、新たに加える視点はあるか。

     「現在、新しい制度案に対する意見募集期間中であり、意見の中で、制度案に見落としている視点があれば検討する」

     ―魅力ある府立高校づくり推進基本計画の公表を受けて、今後、新しい高校の姿や学校の再編を含んだ実施計画が公表される。その 際に、再び入試制度を変えることになるのか。

     「教育内容や特色が変わるのであれば、その部分を改善することはあるが、新しい制度案には、独自枠を設けることにしており、制 度の根本を変えなくても対応できる。質問があった中身であれば、制度を変える必要はない。一方、選抜制度は不変のものではなく、その時の社会情勢やニーズなどに応じて、常によりよい制度を求めていく」

     ―少子化の影響は大きい。府内公立中3年生の人数は、府教委推計では2022年度約1万9100人に対して、34年度には約1万 4900人と約4200人減で、減少数は公立高のクラス数にすると55〜60学級に相当するとの推計を公表している。府教委は望ましい1学年当たりの規模を6〜8学級(南部基準)としており、単純計算では7〜10校分の定員を減らすことになると思うが、学校再編の規模はどのくらいになるのか。

     「高校をいくつ減らすなどという目標は設定していない。統廃合はできることならしたくない。他府県の学校や私学にも行く生徒が いる中、より多くの生徒に、府立高校を選んでもらえたら、統廃合する高校を少しでも減らせる。そのためにも高校の魅力化が不可欠だ」

     ―北桑田高と農芸高の京都府立大系属校になる。府内の農林業に従事する人材を育成するという理念は共感するが、少子化の影響も 強く、2校とも定員割れの厳しい状況にある。系属校にする以上施設設備の整備など特別なことを考えているのか。

     「高校の魅力化を図るために施設設備などは整えたいと思っている。ただ、施設整備は府立高校全体を見通した中で進めていく」

     ―8割を超える生徒が在籍する普通科についても多様な学びが求められている。例えば、難関大への進学に今以上に力を入れるなどてこ入れ策はあるのか。

     「特定の学力層の教育だけに責任を持っているわけではない。勉強を頑張りたい子もいれば、部活動に励みたい子もいる。公立高はそうした生徒の幅広いニーズに対応しており、全ての高校で魅力化を図る」

     ―難関大へ進学を目指す京都市立高の勢いがある。市立高へ京都市以外の生徒が流れているのではないか。

     「府立高と市立高という区切りでは考えていない。京都市在住の生徒の多くは府立高にも来ている。生徒を取り合うという発想に立っていない。公立高として、京都府の子どもたちに、どういう教育を提供できるのかを京都市教委と一緒に考えていきたい」


    入試改革についても府教委と市教委の微妙な意識のずれがあるように見える。府立高校への入学希望者が市立高校へと流れているという噂は常にある。


    1月5日 文科省 「いじめ対策マスター」専門家チーム

     いじめの認知件数が過去最多となる中、文部科学省は警察OBや保護司ら複数の専門家によるチームを教育委員会に設置し、学校と連携して個別のいじめ事案や加害児童生徒への対処に当たる新たな取り組みを始める。複雑・多様化する事案を学校だけで抱え込まず、早期にきめ細かな対応につなげることで「重大事態」を減らす。

     都道府県と市町村の計20教委でのモデル事業実施に向けて今月以降、公募手続きを始める予定。文科省の担当者は「重大事態の減少に向け、自治体と連携して対応したい」と話している。

     文科省調査によると、2023年度に小中高などが認知したいじめは前年度比7・4%増の73万2568件。このうち身体的被害や 長期欠席などが生じた重大事態は1306件で、いずれも過去最多を更新した。

     インターネット上でのいじめや、犯罪に該当する恐れのある事案など、学校だけでの対応が難しい事案も増えている。

     そのため文科省は各教委に、校長経験者や大学教授ら「いじめ対策マイスター」を配置。学校側からの要請を受け、個別のいじめに直 接対応するほか、加害者側が抱える背景事情に応じて特別な配慮が必要な場合は支援に当たる。学校側の再発防止体制の整備に向けた助言も行う。

     またこの事業とは別に、児童生徒にいじめについてより深ぐ考えてもらう未然防止教育の実施に向け、実践研究に基づき指導教材を作成する。

     いじめを巡っては、学校や教委の初期対応に問題があり、事態が深刻化するケースも多い。そのため文科省は24年8月、重大事態に関する調査指針を改定。初動や保護者対応の在り方など全般的な考え方を整理し直した。


    いじめへの対応は早急に実施しなければならないのは当然としても、「いじめ対策防止法」ができてもいじめは減少していな。文科省の教育方針は明確な哲学を持たないまま場当たり的な対処ばかりが目に付く。確かに現場の負担を減らすことは必要でそのために「学校だけで抱え込ま」ないことは分かる。しかしビルド・アンド・ビルドを続けている限り根本的な解決はやってこない。


    1月1日 久石譲さん 僕はもう戦後ではなくて、「戦前」だと感じます。

     スタジオジブリ作品などの映画音楽や斬新な現代音楽で知られる作曲家の久石譲さん(74)。指揮者として世界を飛び回る一方、戦争をテーマにした楽曲も手がける。戦後80年、その音楽は私たちに何を問いかけるのか。平和への思いを聞いた。

     戦後80年と言いますが、僕はもう戦後ではなくて「戦前」だと感じます。ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ、他にも世界では多くの争いが起きています。次の大きな戦争がすぐそこまで来ているのではないか、と心配しています。

     自分の考えを持って

     コンサートで世界中を回りながら感じるのは、人々がお互いの「違い」ばかりを言うようになってしまったということです。特に2001年の米中枢同時テロ以降、「違いはあるけど一緒にやろう」という風潮はなくなってしまった。今では想像以上に世界はぎくしやくし、あらゆるところで分断が起きています。

     24年夏、日本で戦争に関する曲を組み合わせたオーケストラのコンサートを開きました。一つは、僕が米同時テロをテーマに作曲した「ジ・エンド・オブ・ザーワールド」。二ユーヨークの光景やアラブ世界をイメージし、終楽章では同名のスタンダードナンバーをアレンジしました。もう一つは米作曲家スティーブ・ライヒの「砂漠の音楽」で、米国での核実験を題材にした曲です。

     ただ、僕は「反戦コンサート」にはしたくなかった。そうすると、みんなの賛同を得るための運動になってしまう。それよりも、音楽を通して一人一人に「僕は戦争は良くないと思うけど、どう思う?」と問いかける方法を選びました。

     同じプログラムを海外で演奏したい気持ちもあります。戦後80年をどう捉えるかは、決して日本だけの問題ではありません。世界中できな臭い雰囲気が漂っている今こそ、「みんな自分の考えをちゃんと持たないとまずいよね」と伝えたい。

     音楽にできること

     若い頃は、過去の価値観を否定して新しいものを作ってきました。20世紀を生きた作曲家も多くがそうだったと思います。でも、米同時テロで世界貿易センタービルに旅客機が突っ込み、崩壊したのを見て発想を変えました。破壊がもたらすのは分断でしかない。だからこそ、僕はクラシック音楽という過去を受け入れた上で今あるべき音楽を追求し、未来につながりたいと思ったのです。ベートーベンやマーラーの延長にある「王道」を歩むのだ、と。

     大切なのは「つながり」です。海外のオーケストラを指揮して気付いたのは、年齢も能力も違うさまざまな人がいるからこそ、自分たちのサウンドが作れるということです。お互いの「違い」を認め、周りとつながっていく。そのための努力をしていくことが今の社会に必要だと思います。

     音楽は世界を変えられるわけではないし、戦争を止めることもできません。ただ、音楽には人間を人間たらしめる重要な価値があり、(平和のために)できることがある。僕はそう信じています。


    アレクシエーヴィッチさん人類はなぜ争いを繰り返すのか

     人類はなぜ争いを繰り返すのか。第2次大戦終結から80年を迎える今年、重い問いかけが世界にのしかかる。私たちはどう歩むべきか。戦争やチェルノブイリ原発事故に関する著作でノーベル文学賞を受賞した作家スベトラーナ・アレクシエーヴィッチさんに聞いた。

     ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの間で戦争が続いている。なぜ人々は殺し合うのか。人類はいまだに「暴力の文化」に支配されており、「非暴力の文化」を見いだせていないからだと思う。

     私の父はベラルーシ人、母はウクライナ人で、ロシアが中心のソ連で育った私にとって、三つの国はいずれも祖国だ。ロシアがウクライナに戦争を仕掛けるなど信じられなかった。

     ソ連が崩壊し、共産主義の独裁から解放された私たち旧ソ連市民は、民主主義や人道主義、平和主義などの価値観が支配する、それまで私たちに閉ざされていた新しい世界に入ったと信じた。

     しかし、私たちがこれらの価値観を理解し、受け入れるにはあまりに時間が足りなかった。1990年代にロシアは民主主義を目指したが、人々はそれが何であるか、どうすればいいのか分からなかった。宗教に救いを求めても何の答えも見いだせなかった。

     逆戻りしたロシア

     ロシアの人々は変わることができなかった。ソ連の独裁者スターリンをたたえる声が後を絶たず、スターリンによる国民の大粛清を実行した秘密警察出身のプーチンがロシアの最高権力者となった。プーチンは当初は民主主義を目指すそぷりを見せたが、結局、米欧で育まれた新たな価値観を理解できなかった。

     ロシアの人々が目標を見いだせずにいる隙に、プーチンは「暗黒のロシア」を築いた。ナチス・ドイツに対する戦勝を祝う軍事パレードをいまだに大々的に行うのは、ロシアに軍事、全体主義以外の価値観がないことの表れだ。「暴力の文化」しか知らないロシアの人々は自分ができること、つまり戦争を始めた。

     ロシアの人々はなぜ未来に向かわず、簡単に過去に逆戻りしたのか。過去の苦しみはなぜ、自由へと生まれ変わらないのか。彼らは抑圧、暴力に従順で、簡単に戦争にかり出されている。

     核使用ちらつかせ

     ロシア人が、兄弟であるウクライナ人を殺す理由などない。プーチンは「ロシアは米欧にだまされ、侮辱され続けてきた」とのおなじみの主張を繰り返し「祖国を守らなければならない」と危機をでっち上げた。巨額のカネで「自国」を、「自国民」を買収し、戦争に送り込み、滅ぼしている。

     ウクライナに投入されたロシア軍兵士の母親は、息子が死亡してもプーチン体制を批判しない。息子の戦死に対し高額の手当が支払われるからだ。

     プーチンは繰り返し核兵器の使用をちらつかせどう喝している。ウクライナでは原発が砲撃され、火災が起きている。

     ロシア軍がウクライナ北部に侵攻直後、チェルノブイリ原発を占拠し、周辺に塹壕を掘って立てこもった。兵士らは大量の放射線を浴びて被ばくし病院に収容された。

     チェルノブイリの悲劇、核の危険について全ぐ無知、無教養であることにあぜんとした。事故の後には遠ぐ離れた世界各地で「チェルノブイリの雨」が降った。大規模な核爆発が起きれば、地球上に逃げる場所はないのだ。プーチンが核爆弾を投下すれば、最悪の場合、世界を滅ぼしかねない。

     日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞は、「核なき世界」に向けた私たちの重要な一歩だ。人類は当面は平和的な原子力とは共存せざるを得ないが、核兵器は廃絶しなければならない。世界は核兵器から解放されなければならない。別の選択肢はない。

     東西冷戦終結後、私たちは世界で軍事対立が終わり、兵器は無用な過去の遺物となり、人類は別の道を歩み出すと考えた。戦争放棄と軍隊の不保持をうたった日本の憲法に私は強い敬意を抱いている。私か現在住むドイツの憲法も軍備に多くの制限を課している。

     しかし、ウクライナ戦争を仕掛け、核のどう喝を繰り返すプーチンは、世界を恐怖に陥れた。現在の国際情勢下で、日本もドイツも自国防衛の必要に迫られ軍備を強化している。世界中で平和主義が後退してしまった。

     為政者に巨大な権力を与えてはならず、権力は厳しく制限、監視されなければならない。ロシアの人々はプーチンに無制限の権力を与えた結果、ウクライナ戦争を許してしまった。戦争は多くの生命を奪い、あらゆる物を滅ぼす。人類はその無意味さを理解できない。

     新たな制度確立を

     現在の世界はいまだに暴力、核兵器を崇拝している。平和主義、非暴力主義が支配する新しい世界につくり直さなければならない。日本国憲法の精神もそうした世界を目指しているはずだ。

     機能不全の国連に代わり、国際社会が世界中の出来事を監視、監督する新たな制度を確立することが急務だ。第3次世界大戦を防ぐために。

     幸いなことに独裁者の支配は永遠ではない。時は新たな思想や価値観、新しい世界をつくり出し、人類は時とともに変わっていく。それを独裁者は阻止できない。私は時が勝利することを信じる。それが希望だ。(敬称略)


    今も続く二つの戦争。それが始まったときは多くの人が「すぐに終わる」と思っていたが、そうはならなかった。新しい年のはじめに改めて「戦争」を考えなければならない。大切なことだけれども悲し事でもある。