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6月29日 ガザ 配給拠点死者500人超

【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの保健当局は28日までに、米国とイスラエル主導で設立した「ガザ人道財団」の物資配給拠点周辺での攻撃による死者が549人に上ったと発表した。負傷者は4千人以上。イスラエル紙ハーレツは27日、イスラエル軍が配給拠点に集まる群衆を追い払うため、意図的に住民に向け発砲するよう部隊に命令していたと伝えた。軍将校ら複数人の証言とし、ある兵士は「殺りくの場」だと語った。

 軍は報道を否定し、拠点近くで住民が負傷した事案を調査していると表明した。イスラエルのネタニヤフ首相とガッツ国防相は共同声明を出し「軍の名誉を傷つけるためのうそ」だと批判した。

 トランプ米大統領は27日、ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘について「1週間以内に停戦が成立すると考えている」と主張した。停戦実現に向けて取り組んでいるとしたが、詳細には踏み込まなかった。

 イスラエル軍のザミール参謀総長は27日、ガザの部隊を視察し「近い将来、現作戦で定めた地点に到達する」と述べ、軍事作戦の目標達成が近いとの認 識を示した。その先の選択肢を政府に提示するとも表明した。

 パレスチナ通信は28日、イスラエル軍がガザ北部ガザ市を無人機で攻撃し市民3人が死亡したと報じた。最南部ラフアでも軍の発砲で死者が出たとした。


「ガザ人道財団」の「人道」という名前が最も醜い言葉として登場している。トランプ大統領の登場以来言葉に対する重みはほとんど感じられなくなった。言葉への信頼がなくなる世界はまさに荒廃としたものになることは、悲しい。


6月29日 【インサイド】 盗撮から児童守る対策を

 女子児童の盗撮画像や動画を交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとして、愛知県警が小学校教諭2人を逮捕した。チャットには校内で撮 影した可能性があるものも含まれていた。教員とみられる約10人が参加し、画像を称賛し合う投稿も。どうすれば子どもを守れるのか。識者は「どこでも起 こり得ることを前提に、盗撮させない環境づくりが重要だ」と指摘する。

 1月下旬の朝、名古屋市内の駅で15歳の少女が背負うリュックサックに体液がかけられた。県警は3月、同市立小教諭の水藤翔太被告(34)=器物損壊罪などで起訴=を逮捕。携帯電話を解析した捜査員の目に留まったのは、女子児童の着替えなどを収めた画像や動画約70点が投稿されたグループチャットだっ た。

 捜査を進めた県警は今月24日までに、性的姿態撮影処罰法違反(撮影など)の疑いで、名古屋市立小の主幹教諭森山勇二容野者(49)と横浜市立小の教諭小瀬村史也容疑者(37)を逮捕した。

 捜査関係者によると、森山容疑者は自分がチャットを開設したと説明。3人を含むメンバーは匿名でやりとりし、面識がなかった可能性がある。

 関係者によると、小瀬村容騒者はクラス担任と学年主任を務め、勤務態度に問題はなかった。森山容疑者は教頭に次ぐ立場だったといい「人気があり、子どもたちからよく声をかけられていた」と話す同僚もいた。

 逮捕を受け、名古屋、横浜両市の教育委員会が謝罪会見。阿部俊子文部科学相は27日の閣議後記者会見で「被害を受けた子どものことを思うと怒りを覚え る」と憤りを隠さなかった。

 森山容疑者が勤務していた小学校で開かれた説明会に参加した保護者からは「安心して預けていたのでショック」「気持ち悪いし、信用できなくなる。子 どもが安心して通えるようになってほしい」との声が聞かれた。

 教育現場では子どものプライバシーを守るため、保護者らに対し行事での撮影ルールを設けSNSへの投稿を禁じるなどの取り組みが進む。ただ、今回の 事件では、行事などの撮影を担当していた森山容疑者が立場を利用し、学校備品のカメラで盗撮した疑いがある。

 信頼を寄せる先生による盗撮容疑という想定外の事態について、NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長は「校内に不審物やカメラがないかなど普段から積極的に点検する姿を見せることが大切で、ここでは盗撮ができないと思いとどまらせることができる」とし「一部の教員の取り組みだけでは抑止力に欠ける。学校全体で対策を進めることが重要だ」と話した。


教員による性的な犯罪は一定数存在する。それを根絶することはおそらく不可能だろうが、被害を受けた子どものことを考えると言葉がない。宮田美恵子理事長が言うように「学校全体で対策を進める」とは何を意味するのだろうか。教員集団が相互監視の集団となることもそら恐ろしいことではある。


6月28日 名古屋市盗撮事件 「学校のデジカメ使った」

 小学校教諭が女子児童を盗撮し交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとされる事件で、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕された名古屋市立小の主幹教諭森山勇二容疑者(42)が、撮影に「学校のデジタルカメラを使った」との趣旨の供述をしていることが27日、捜査関係者への取材で分かった。このカメラは自宅の家宅捜索で見つかっているという。

 森山容疑者は授業や学校行事などで児童を日常的に撮影する役割を担っていたといい、愛知県警は、立場を悪用した上、学校の備品を利用していたとみて詳しく調べる。

 県警は24日、昨年9月ごろ、愛知県内の施設で女子児童の下着をデジタルカメラで盗撮し画像を共有した疑いで森山容疑者を逮捕。今年1月ごろ神奈川県内の施設で別の女子児童の下着を盗撮し動画を共有した疑いで23日に、横浜市立小の教諭小瀬村史也容疑者(37)を逮捕した。

 捜査関係者によると、森山容疑者はグループチャットを自分が開設したと説明している。小中学校の教員とみられる約10人が参加し、女子児童の着替えを撮影したものや学校行事で撮られたような写真など約70点の画像や動画が共有されていた。メンバーは匿名でやりとりし、互いの素性は知らなかった可能性がある。県警は他のメンバーの特定も進める。

 勤務校によると、森山容疑者は校内の様子を保護者に伝える月1回程度発行の学校だよりの制作を担当。備品のデジカメを使用し、写真は専用のフォルダーに保存していた。名古屋市教育委員会は27日、記者会見し「深くおわび申し上げる」と謝罪した。一方、捜査関係者によると、小瀬村容疑者は「自分のスマートフォンで撮影した」との趣旨の供述をしているという。


文科相教員の服務規律の徹底を

 名古屋市内の教員らが女子児童を盗撮し、SNSのグループで共有して逮捕された事件を受け、文部科学省の阿部俊子大臣は全国の教育委員会に対して教員の服務規律の徹底を求めました。

阿部俊子文部科学大臣:

 「被害を受けた子どもたち、日々頑張っている教師の皆さんのことを思うと、本当に怒りを覚えるところでございます。断じて許せません」

 阿部大臣は会見の中で、再発防止のために全国の教育委員会に対し、教員の服務規律の徹底を促す文書を通達し、全国の教育長を集めたオンライン会議で説明するとしています。

 容疑者が勤めていた小学校

 名古屋市教育委員会事務局人事部 中川朝晶部長:

 「深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」

 6月27日に記者会見を開いた名古屋市教育委員会は、逮捕された森山勇次容疑者が勤務していた名古屋市内の小学校の児童全員に対して、1学期中にスクールカウンセラーによる面談を実施するほか、校内に隠しカメラが設置されていないか、第三者による捜索を行うということです。

 一方、森山容疑者が務めていた小学校では26日夜、保護者説明会が開かれました。説明会で保護者からの指摘を受けて、学校は27日、着替えをともなう体育について中止しました。 (愛知テレビ)


盗撮を受けていた子ども達の学校に対する不信感は想像を超える。これまでの「危機」とは質的に異なる問題であるような気がする。「通知」などで解決するようには思えない。日本の教育の構造的な欠陥が露呈しているのかもしれない。


6月28日 最高裁 国の強行に「歯止め」

 全国の生活保護受給者が立ち上がり、「いのちのとりで裁判」と銘打った訴訟で、最高裁は27日、国による引き下げ処分の強行を許さない判断を示した。政策プロセスを重視すべきだとする近年の司法の流れに沿い、厚生労働省が専門の部会に諮らなかったことを違法と認定。政治への忖度ともささやかれた行政 の決定が、12年を経てようやく是正に向かう。早急に「救済」を進めることが国の責務となる。

 きっかけは世間の激しいバッシングだった。人気お笑い芸人の母親が約15年間、生活保護を受給していることが明らかになり、制度の在り方が問題視された。当時野党だった自民党は2012年12月の衆院選で「10%引き下げ」を公約に掲げ、政権復帰を果たした。

 国の動きは早く、翌月には減額を明言。さらに約半年後には引き下げが始まった。反発する受給者側が起こした訴訟は29都道府県に拡大。過去最大の減額が「政治的思惑によるものだ」と批判した。

 最高裁はこうした経緯について触れなかったが、国の責任を否定した地裁や高裁の判決ですら「自民党の政策の影響を受けていた可能性を否定できない」 「政治的判断が契機の一部だった」と言及していた。

 原告団によると、引き下げを巡る今回の訴訟とは別に、生活保護の基準自体の違法性が争われた裁判で過去に受給者側が勝訴したのは2例だけ。いずれもその後覆され「行政の広い裁量」に阻まれてきた。

 そうした状況で、今回受給者側勝訴の下地となったのが、12年の最高裁判決だ。生活保護の老齢加算廃止が争われた訴訟で「判断の過程と手続きに過誤や欠落があるかどうか」という枠組みを示した。「行政訴訟における到達点」(原告団)とも評価される。

 国側は上告審弁論で、12年判決に依拠すべきではないと主張したが、27日の最高裁判決はこの枠組みを踏襲し、違法との判断を導いた。ある民事裁判官は「判断枠組みを否定しなければならないほど、国側は追い込まれていたのではないか」と推測した。

 「重く受け止めるしかない」「ぼろ負けだ」。厚労省幹部らは最高同裁判決の衝撃を口にした。引き下げが違法と認定された以上、原告だけでなく受給者全体への対応を迫られるとみられる。当時の記録の確認や、既に死亡した人の扱いなどを決めなければならず、記録の不備などがあれば「救済」からこぼれ落ちる人が出かねない。

 さらに、低所得者支援の対象になるかどうかの線引きに生活保護基準が使われているため、中国残留孤児への給付金など国の47制度にも波及する可能性がある。“清算”は広範に及びそうで、厚労省幹部は「途方もない作業を現場に強いることになる」と漏らした。

 13年の引き下げ当時、専門部会で部会長代理を務めた日本女子大の岩田正美名誉教授(社会福柾学)は「政治主導で、社会保障全体が削減ありきで進められた」と振り返る。行政裁量に歯止めをかけた今回の判決を評価した上で「専門的な議論をする際は客観的な根拠に基づいて決めるべきだ」と、今後の行政の在り方に注文を付けた。


南山大 豊島明子教授基準変更は根拠必要

生活保護基準の変更には、正当化するに足りる根拠が必要だと明言した意義のある判断だ。最高裁は物価下落を反映する「デフレ調整」を引き下げの根拠とするには「専門的知見に基づいた十分な説明が必要」とした上で、国は合理的な主張をしてこなかったと指摘した。今後、国は生活保護基準を決める際には根拠とする指標について判決が示した客観的な合理性や専門性を意識せざるを得ず、決定過程においてもより透明性が求められるだろう。


花園大 吉永純教授社会保障政策に影響

引き下げの根拠に物価のみを用いたことを断罪しており、今後の社会保障の在り方に多大な影響を与える判決だ。生活保護は、社会保障政策の根幹を担う。正しい算定基準に基づいた保護費を受け取れなかった人に対し、国は謝罪の上、さかのぼって差額を支給するべきだ。厚生労働相の判断が間違った原因につ いて検証委員会などを立ち上げて究明し、当事者の声を聞きながらあるべき基準を決めることが求められる。


小田原市で「福祉なめんなよ」のジャンパーが作られた時のことが蘇る。安倍政権が新自由主義的な方向を打ち出し民生への施策を削減する方向に舵を切ったことの影響は大きい。国の在り方を改める機会に参議院選は絶好の機会を与えているはず。


6月28日 柏崎刈羽原発 再稼働に前のめり

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の住民避難計画が了承され、再稼働に向けた国の手続きは事実上、終了した。政府は原発を最大限活用する方針の下、避難道路の拡充や財政支援をちらつかせ、唯一のハードルとなった地元同意を迫る。東電も6、7号機への核燃料装填を終え、足場固めを急ぐが、地元では避難計画の実効性を懸念する声が根強く、再稼働に前のめりな政府や東電への不満がくすぶる。

 「新潟県は豪雪地帯。除雪作業など地域固有の課題に対応する必要がある」。石破茂首相は27日午前、官邸で開いた原子力防災会議で強調した。

 内閣府や新潟県などは2015年、柏崎刈羽原発の避難計画策定に向けた作業部会を初めて開催。計20回の会合を重ね、今年5月に最終案を取りまとめた。政府と東電は1基を再稼働すると年間約1千億円の収支改善が見込めるため、再稼働を経営再建の柱に据える。地元の要望に応える形で「アメ」となる施策を次々と打ち出し、同意を促す狙いだ。

 政府は昨年9月、柏崎刈羽原発の半径30キロ圏外に延びる6方向の道路の拡幅や橋梁の耐震化などを国の負担で進めることを決めた。与党の自民、公明両党は今月、原発周辺自治体への財政支援について、現行の原発半径10キロから30キロに広げる方針で一致。東電は、除排雪体制の強化や、原発事故時の避難所運営で国や地元自治体を支援すると表明した。

 ただ東電は、11年3月に福島第1原発事故を起こし、21年には柏崎刈羽原発でテロ対策不備が発覚し事実上の運転禁止命令を受けた。地元では東電が再び原発を運転ずることへの不安が根強い。

 県が今月開いた避難計画に関する住民説明会では、複合災害時に自衛隊などの支援が本当に来るのかどうかを疑問視する意見が出た。「なぜ再稼働を急ぐのか。住民の安全をないがしろにしている」と国の姿勢を批判する声も上がった。

 重大事故時に住民避難の一翼を担うバスについて、避難計画に示された必要台数の確保が見通せないことも判明している。今年1〜4月に県内のバス事業者を対象に実施した共同通信の調査では、回答した事業者が保有するバスのうち、事故時に稼働できる台数は1割強にとどまる見通しだ。

 地元同意は花角英世新潟県知事の判断が焦点となる。花角氏は27日午後、都内で取材に応じ、豪雪対応などを盛り込んだ避難計画に一定の理解を示しつつ「これで終わりではない。新しい知見が出れば見直す不断の取り組みを続けてほしい」と注文を付けた。


原発の再稼働にかかわる避難計画はおよそ机上の空論。仮に核施設への攻撃があったとすればほとんど非難すことはできないだろう。にもかかわらず、敵基地攻撃など「戦争の準備」をすすめる政府の姿勢は理解しがたい。


6月27日 官房長官 原爆発言の評価避ける

 林芳正官房長官は26日の記者会見で、トランプ米大統領が広島、長崎への原爆投下と米軍によるイランの核施設攻撃を並べて戦争を終結させた点で「本質的に同じ」と発言したことに関し、評価を避けた。一方、公明党の斉藤鉄夫代表はX(旧ツイッター)で「原爆投下を正当化する発言であり、極めて遺憾だ」と反発した。

 林氏は、米国で原爆投下が第2次大戦を終わらせたとする見方があることへの見解を問われ「歴史的な事実に閥する評価は専門家によって議論されるべきものだ」と述べるにとどめた。

 斉藤氏は日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の活動に触れ「『核兵器と人類の共存はできない』との言葉の重みを訴えていきかい」とも書き込んだ。


トランプ米大統領の思い付き発言にいちいち付き合ってはいられないとの思いが強い今日でる。しかし、原爆の投下が第2次大戦を早期に終結させたとする見解は無視できないであろう。戦争終結の機会はそれ以前にもさまざまあったはず、例えば沖縄戦の事実上の終結(これとて遅すぎるのだが)の機会も。しかし、日本側の事情だけではなく連合国側の思惑の中で終結が遅れていたこともある。いずれにしろ「原爆投下」に意義を見出すことは非人道的であり、イスラエルのガザ攻撃の理不尽と同じ。政府は、トランプ米大統領の発言訂正を求めるべきだ。


6月27日 【スマホ越しの民意】動画収益化 制限が必要

水嶋一憲大阪産業大教授(メディア文化論)

 切り抜き動画は視覚的に分かりやすく、受け手側が「面白い」や「許せない」といった、いっときの感情を抱きやすい。その結果、単一的な見方が急速に広まり、社会問題の複雑な背景が見えにくくなる傾向がある。

 投稿者が受け手の感情を刺激し、収入を得るような「アテンション・エコノミー」では「誤解させた者勝ち」や「バズらせた(注目を集めた)者勝ち」が 常態化し、事実でなくても関心を引くストーリーが利益につながる構造となっている。

 こうした傾向が顕著に表れているのが、排外主義やマイノリティー差別に関する発言だ。世界的な現象でもあり、多様な立場や価値観が重なり合う現実を 過度に単純化し、社会の分断や二極化を助長している。各地の選挙では、排外主義的な政党が議席を獲得しており、強い危機感を抱かざるを得ない。

 アテンション・エコノミーにはうわさや陰謀論の拡散を加速させる側面がある。SNS上でのコミュニケーションが活発になるほど、社会的なつながりが 解体していくという逆説的な現象すら起きている。

 選挙期間中の対応として、動画の収益化を一時的に制限する措置が必要ではないか。SNSや動画配信を担う巨大プラットフォーマーは、アテンション・ エコノミーを通じて膨大な広告収入を得ている。しかし、SNSはすでに社会インフラで、営利目的で私企業が運営し続けることには根本的な矛盾がある。

 政治について考えるのは選挙期間中だけに限られない。単一的な視点に支配されがちなSNSを、多様な視点が共存できる公共インフラに変換する粘ぴ強 い取り組みが求めらる。プラットフォームを公共財として再構築する想像力が今こそ必要ではないか。


宇沢弘文は『社会的共通資本』で、水道や電気、公共交通などのインフラを社会的共通資本として位置付けた。そして、それを私的に利用することの制限を求めた。1970年代のことである。それから50年以上たつが、社会的なインフラの概念も大きく変化している。電脳空間、あるいは巨大プラットフォームも明らかに社会的共通資本として考察されなければならない。かつてハーディングの『コモンズの悲劇』が共有財の荒廃をとりあげ、公有か私有かのいずれかで問題を解決しようとした。その後このコモンズのガバナンスについて様々な議論が成熟しているはず。SNSをコモンズのガバナンス論として考える必要がある。


6月27日 京都勤労者学園 仕事と育児「両立」49%

 京都勤労者学園(ラポール学園、京都市中京区)が実施した仕事と子育ての両立に関する意識調査で、双方とも妥協したくないと考える「完全両立」志向 の労働者が半数を占めた。子どもの就学や進学とともに両立の意識が強まるのが特徴。両立に対する意識の男女差も浮かび上がった。

 京都府内の連合、総評傘下の労働組合員などを対象に実施し、1080人が回答した。製造業従事者が5割を超え、正社員が92・7%を占める。共働きの比率は58・9%。

 両立について「仕事の量は減らさず、子育てもする」と答えた人が49・3%と最多だった。「仕事を減らし、できるだけ子育てに時間を使う」も45・1%と高く、「仕事に集中し、子育ては家族や施設に頼る」は2・9%にとどまった。

 ただ、子どもの年齢によって両立の意識は変わる。―歳未満、3歳未満、就学前の子どもを持つ労働者は、子育てに時間を割きたいと考える割合が5割を 超え、小学生以上からは完全両立派が子育て重視を上回った。

 子どもがいる女性は7割超が育児休業を取得し、このうち1割がパートナーも取得していた。男性の取得率は12・3%、うち4割が2週間未満だった。

 仕事と子育ての両立で不安に思う点では、「子どもと一緒にいる時間の減少」が53・1%で最多だった。男女別では女性の59・O%が選んだのに対し、男性の最多は「経済的負担が大きい」の52・1%となり、意識の男女差が見られた。

 同学園の担当者は「多くの職場は依然として子育てや介護などケアの責任を抱えていない労働者像(ケアレスマン)が基軸になっている」と指摘。「調 査から男女ともに在宅ワークや時短勤務を望んでいるのが読み取れる。多様な働き方に向けた抜本的な刷新が求められている」としている。


アンケートに答えた人はおおむね労働組合が組織している人だろう。労組の男女共同参画、時短などキャンペーンが一定浸透している層とみるべきだろう。おそらく未組織労働者の実態はこれよりも低い水準にならざるを得ないだろう。子育てだけではなく家事が未払い労働であることの意識は鮮明でないのではないだろうか。


6月27日 文科省 博士課程の留学生 文科省「支援限定」

 文部科学省は26日、大学院博士課程の学生に生活費や研究費を年に最大290万円支給する制度について、生活費の支援対象を日本人に限定する方針を固めた。これまでは支援内容に国籍による差を設けていなかったが、昨年度の受給者の4割が中国出身者を中心とする留学生だったことが国会で問題視され、有識者会議で対応を議論していた。

 文科省はこの日の会議で「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の変更案を提示。「日本人学生の経済的不安を除き、博士課程に進学してもらう事業の趣旨を踏まえた。留学生は私費留学も多い」と説明した。研究費は引き続き留学生にも支給し、安定的な収入を得ている社会人学生も新たに対象 とする。上部の委員会で了承を得た上で2027年度にも実施する。

 制度は21年度に導入した。生活費として年180万〜240万円を支給し、研究費などと合わせて計290万円を受け取れる。文科省によると24年度の受給者は1万564人で、留学生は39%に当たる4125人。中国籍の学生は3151人で留学生の76%を占めた。

 自民党の有村治子議員が今年3月の参院外交防衛委員会で、日本の学生を支援する原則を明確にし、留学生は優秀なごく一部に限定しなければ「国民の理解は得られない」などと指摘していた。


「科学・政策と社会研究室」榎木英介代表非常につたない制度設計

 トランプ米政権による留学生受け入れの取り消しを背景に、政府は海外の優秀な研究者を受け入れる施策を進めている。その一方で留学生への支援を限定するのは方向性がちぐはぐで、制度設計として非常につたない。留学生を切ることで日本人が増える根拠もなく、ただ中国人留学生を入れたくないという排外主義的な世論に押されたと感じる。実質的にトランプ政権と似たような排除の思想は、中国だけでなく各国の学生や研究者に印象が悪い。優秀な人材が入ってこず、研究力がさらに沈んでいくのではと懸念している。