h1704
 

  • 教員の多忙化 軽減策議論.26
  • 中学校教諭57%過労死ライン.28
  • 現場に“宿題”教員重荷.29
  • 負担軽減へ勤務時間適性化.30
  • 4月30日 舞鶴市教委 負担軽減へ勤務時間適性化

     長時間勤務が問題となっている教職員の負担軽減のため、舞鶴市教育委員会はこのほど、市立学校の勤務時間適正化に向けた方針を定めた。5月から中学校で部活動を行わない「ノー部活デー」や、できるだけ残業をしない「健康推進日」などを始める。京都府教委などによると、取り組みを方針として定めたのは府内では珍しいという。

     方針は「残る文化から帰る文化への構築に向けて」を掲げる。ノー部活デーは、7校全てで試合前などの例外を除き毎週水曜は部活動を行わない。健康推進日は毎週水曜で、第1水曜は「一斉退勤日」として午後6時までに仕事を終えるとする。ほかに会議時間の1時間半以内の短縮や事務作業の支援システム研修実施などを盛り込む。

     市教委は2014年の2学期から始めた退勤時間の調査を基に16年7月、小中学校の代表者らによるプロジェクトチームを立ち上げ、勤務の在り方について検討を進めてきた。調査では15年度の月平均残業時間は小学校で約44時間半、中学校で約47時間に上った。

     市教委によると、年度始めやテスト前後、学期末は特に忙しく、中学校ではほとんどの教員が部活動の顧問などを務めている。学校教育課の森下敏宏課長は「すぐに残業をなくすのは難しいが、具体的な目標を定めることが大事だ。保護者にも取り組みへの理解をいただきたい」と話している。


    月平均残業時間が44時間〜47時間という数字はやや控えめなものになっているのではという気がするが、行政側からの取り組みということでは評価できる。「一斉退勤日」をも設けても結局は仕事が減らないから無駄。という声が現場から聞こえてきそうな気がするが、やはりこの気運をどう生かして行くかという視点での評価が必要だ。


    4月29日 教員勤務実態調査 現場に“宿題”教員重荷

     文部科学省が28日に公表した教員勤務実態調査で、小中学校の教員が10年前よりさらに厳しい労働環境に置かれている現状が浮かび上がった。国や自治体は改善に向けて知恵を絞るが、学校に課される役割も増加の一途。文科省が進める地域や外部人材との協力強化に活路は見いだせるのか。学校の在り方は転機を迎えている。

     「午後6時以降は留守番電話に設定。職員会議を削減。午後7時までの退勤を目標にする」。静岡県富士市立富士見台小学校が県のモデル事業として昨年度から取り組む多忙化解消策だ。内田新吾校長は「みんなで早く帰ろうという雰囲気ができ始めている」と手応えを語る。留守電の導入は約1年前に保護著会で説明し、現在まで苦情は寄せられていないという。

     ただ、持ち帰り仕事は増加傾向にあり、子どもと接する時間を増やす目標にもまだ遠い。4月からは、水曜日午後の1こま分の授業を分割して他の曜日に振り替え、教材研究に集中できるようにする試みも始めた。

     文科省の音頭で勤務時間削減に取り組む自治体は増えているが、小学校の英語教育やアクティブラーニング、キャリア教育など―学校現場には新たな“宿題”が課されていく。「学力向上対策を求められ、テストや補習が増えた」と感じている教員も多い。

     福岡県の中学教諭は「教育委員会から多忙化解消策のアンケートが回ってきたが、現場任せではなく行政が考えるべきことだ」と憤る。

     他業種との比較でも教員の労働時間は突出している。1月に連合のシンクタンクがまとめた調査では、1週間当たりの労働が60時間以上の教員の割合は公立小で72・9%、公立中で86・9%。一方、医師は40・0%、建設業は13・7%だった。

     公立学校の教員は、学校行事や夏休みなどで勤務時間が一定にならないため、あらかじめ本給の4%が教職調整額として上乗せされ、残業代は支払われないという特殊な給与制度が適用されている。この制度が長時間労働を助長しているとの批判は根強い。

     民間企業で勤務経験のある女性教諭は「会社では昼と夕方にしっかり休憩が取れた。だが、小学校では子どもが学校にいる間はずっと気が抜けない。持ち帰り仕事も多く、完全に休める土日はない」と打ち明ける。

     財政的な制約から教員の大幅な増員は難しく、文科省は外部人材を活用した「チーム学校」で難局を乗り切ろうとしている。地域住民に加え、児童生徒の家庭の相談に乗る社会福祉士、部活動を担う外部指導員などが教員を支える仕組みだ。

     富士見台小は保護者や地域住民約70人をサポーターとして学校に協力してもらう体制を整えた。放課後学習の支援や草むしりを自主的に計画し、教員が調整する手間も省くような運用を目指す。これまでは「学校のことは学校で」という意識が現場に強く、垣根を設けるような風潮があったとも指摘される。特に中学では「部活動が長時間労働の温床だとの批判がある一方で、部活動にやりがいや実績を求めて手放したがらない教員も少なくない。


    部活が勤務時間押し上げ

     公立校教諭の土日1日当たりの学校内勤務時間は、平均で小学校が1時間7分、中学校が3時間22分で、いずれも10年前から増えたことが28日、文部科学省の2016年度教員勤務実態調査結果(速報値)で分かった。特に中学校教諭は1時間49分増で、部活動・クラフ活動の倍増が大きな要因となっていた。小学校教諭は49分増だった。

     部活動に関する教員負担の重さは以前から指摘されており、スポーツ庁は休養日設定のガイドライン策定を進めている。文科省も、4月から外部人材を「部活動支援員」として学校職員に位置付け、指導や大会への引率が可能となるよう制度を改めるなど、負担頭減に取り組んでいる。

     教諭の土日1日の業務内容別勤務時間を平均すると、授業準備が小中とも13分。部活動・クラブ活動は小学校が06年度調査から2分増の4分だったのに対し、中学校では1時間4分増の2時間10分に上った。

     副校長らを含め、部活動顧問を務める中学教員に、週当たり活動日数を聞くと6日が最多の49・1%。5日が19・4%、7日も15・1%あった。

     部活動の過熱への批判を受け、休養日を設ける取り組みが各地で広がりつつある一方、部活動支援員については「探すのに苦労している」(中部地方の公立中教員)との声も出ている。

     今回の調査では、持ち帰り業務の時間も聞いた。教諭の土日1日当たりの平均は小学校で1時間8分(18分減)、中学校で1時間10分(29分減)だった。文科省は「個人情報の扱いが厳重になり、校外に持ち出せない資料が増えた分、減少した」とみているが、出勤しなくても、土日に仕事をしている教諭が多いことがうかがえた。


    部活動の負担はこれまでも指摘されてきたが、改善される傾向には程遠い。その一因として本紙では「部活動にやりがいや実績を求め」る教員の存在を上げている。確かにそうした傾向はあるが、それだけではない。「特色ある学校作り」を柱にする地方教育行政も多く、教育委員会、管理職、保護者の期待もそれを後押ししている。各学校に「〇〇さん、▲▲出場」との横断幕などが掲示されている光景は決して健全なスポーツ振興だとは言えないだろう。


    4月28日 文科省勤務実態調査 中学校教諭57%過労死ライン

     文部科学省は28日、2016年度の教員勤務実態調査結果(速報値)を公表した。学校内勤務時間は10年前より増え週60時間以上の教諭が小学校で33・5%、中学校で57・7%に上った。公立校教員の勤務時間は週38時間45分と規定。週40時間までとする労働基準法に基づいても、これらの教諭は週20時間以上の時間外労働で、おおむね月80時間超が目安の「過労死ライン」を上回っていることになる。

     教員の時間外勤務は法律などで限定されているが有名無実化しており、問題視されていた過重労働の深刻さが改めて浮き彫りになっ た。記者会見した松野博一文科相は「看過できない事態が客観的に裏付けられた」と述べ、中教審に勤務時間短縮に向けた改善策の検討を求める方針を示した。

     調査は全国の公立小中各400校を抽出し、教員計約2万人に16年10〜11月の連続する7日間の勤務状況を聞いた。

     退勤務時間の平均は小学校で教諭57時間25分、副校長・教頭63時間34分、校長54時間59分、中学校で教諭63時間18分、副校長・教頭63時間36分、校長55時間57分で、いずれも06年度調査から増加。特に中学校の教諭は5時間以上増え、週100時間以上もいた。また、若い世代ほど勤務時間が長い傾向が見られた。

     副校長・教頭で週60時間以上だったのは、小学校で62・8%、中学校で57・9%に上った。

     教諭の平日1日の業務内容別勤務時間を平均すると、授業が小学校で4時間25分(06年度調査から27分増)、中学校で3時間26分(同15分増)。清掃など集団指導は小学校で1時間(同17分減)、中学校で1時間2分(同4分減)だった。

     国や教育委員会の調査への回答など学校運営業務は小学校で1時間16分、中学校で1時間11分。保護者ら外部への対応は小学校で10分、中学校で12分だった。

     土日では、持ち帰り業務時間が小中ともに1時間以上あり、中学校の部活動・クラブ活動は2時間10分と、1時間4分増えていた。

     文科省は「学習指導要領の改定で授業時間数が増えた影響がある」と指摘。業務が増える4月や12月は、さらに勤務時間が長い可能 性があるとしている。


    超過密労働、教員悲鳴

     トイレに行く暇もない 。文部科学省が28日に公表した調査結果は、かねて指摘されていた教員の過重労働を改めて示した。ただ、教員の一日を見ると、時間では計れない労働の「密度の濃さ」もうかがえる。目の前の子どもに全力を傾けることをいとわない教員たちだが「人を 増やしてほしい」との訴えは切実だ。

     「おはようございます」。午前7時40分、中国地方の公立小の校門で、30代の女性教諭が集団登校してくる児童らをハイタッチで出迎えた。教諭の自宅は車で約1時間の距離。いつも午前6時半ごろに家を出るという。

     担任クラスの教室に入った瞬間、次々と提出される連絡帳や宿題。「先生、先生」。絶えず話し掛けてくる児童に笑顔で応じつつ、宿題を添削して朝の会に。午前8時50分、1時間目の開始を告げるチャイムが鳴った。

     クラスには発達障害で特別な支援が必要な児童もおり、休み時間を補習などに充てる。午後0時半に4時間目が終わると、すぐに給食の準備。片付けの指導も必要だ。

     昼休みは、児童から集めた算数のノートの添削で消えた。掃除や午後の授業を終え、下校する児童を見送つたのは午後4時ごろ。ここまでトイレに行く余裕もなかった。

     「子どもの成長につながる仕事は、苦とは思わない。ただ、今の教員数は学校を運営する最低限の規模。人を増やす金はないというので、努力で補っている」。放課後、教室の壁に児童が図工で描いた似顔絵を張りながら、教諭はこぼした。

     職員室に戻ってからも仕事は山のようにある。保護者からの電話対応や校外の関係者との連絡調整、残っていたノートやプリントの添削―。退勤は午後9時前で帰宅後も翌日のプリント作成などに1時間ほどを割く。「ブラック職場だとは思うが、やらないといけないことはやらないと」と疲れた表情で話した。

     「1日に学校内で休めるのは1、2分程度が5、6回」。こう話すのは愛知県の公立中に勤める40代の男性教諭だ。ある月の勤務記録では出勤は午前5、6時台、退勤は午後10時以降が目立つ。日付をまたぐ退勤もあり、休みは3日だけだった。

     校務主任として午前7時前から学校の見回りをするのが日課。不登校の生徒の家庭訪問のほか、教育委員会の調査やスクールカウンセラーら専門スタッフとの調整といった校務が多い。運動部の顧問も務め、放課後も遅い時は午後6時半まで練習、土日も練習や大会がある。

     「子どもにとって良いと思うからこそ、仕事は増えても減ることはない」と教諭。「ただ、人を増やしてもらえれば、校務に費やす時間は減るはずだ」


    教育評論家の尾木直樹さんの話 学校も働き方改革を

     尋常ではない長時間労働だ。最低限の仕事だけで本来の勤務時間は終わってしまい、残る仕事を時間外労働でこなすなど善意と努力でカバーしているのが現状で、.教員は疲弊している。長時間労働の問題は、国や企業も本腰を入れ始めた。学校現場も、教員数を倍増させるなど働き方改革を進めないと、次期学習指導要領への対応など今後の新しい教育の成否にも影響が出てくる。国民一人一人がこの事実を深刻に受け止めて、国も抜本的な改善を考える必要がある。


    法政大の上西充子教授(労働問題)の話 業務の外部委託急げ

     教員に時間外手当が支給されないのは、職員会議や学校行事といった、いわゆる「超勤4項目」以外での残業をさせないと法律で定めているためなのに、実態と懸け離れていることが裏付けられた。教員にゆとりがなければ子どもと向き合うのは難しい。部活動の負担も大きく、指導員の外部委託や時間の上限規制といった対策を急ぐべきだ。他にも外部に任せられる業務はあるはずで、国と日教組などの組合が負担軽減を協議する場も必要ではないか。


    すでに現場では知られた事実だが実際に数字に表れるとより説得力がある。この事態を受けて各教育委員会は早急に対策を講じる必要性があるのだが、現状認識にばらつきがあるのも事実。先日のある市議会委員会で「公表されている当局の数字と連合総研の調査の数字の開きが大きいのはなぜか」との議員からの質問に対して、「総研の数字はいわゆる【持ちかえりの仕事】も含まれていると思う」と回答。その公表されている数字とは小・中学校で僅か数パーセントの超勤実態というもの。文科省調査との開きの大きさもさる事ながら、現場の管理職の報告が「数字を抑える」ことに忖度した結果を鵜のみにした結果だとも思える。


    4月26日 府教委 教員の多忙化 軽減策議論

     学校現場での業務改善を図るため、京都府教育委員会は本年度、「教職員の働き方推進本部」を設置し、26日に第1回会議を開く。府内の市町教委や学校現場と連携し、全教職員の残業時間や業務内容を把握した上で、業務改善策や部活動指導の軽減策を考える。

     全国的に教職員の多忙化が課題になる中、府教委の調査でも、1〜10年目の若手教員の勤務時間が長いことや、土曜学習、部活などの負担が大きいことが明らかになっている。

     推進本部は、小橋秀生教育次長を本部長とし、府教委の各課長らで構成。働き方改革・業務改善推進担当と部活動負担軽減担当に分かれ、市町教委の担当者と連携して、学校の実態を把握し、退勤時間や部活動休養日の設定などのルール作りも含めて改善策を探る。 合わせて、一部のモデル校で、大学生による学習支援員や臨床心理士を配置するほか、教員に代わって部活指導し、試合に引率できる「部活動指導員」を配置する体制を取り、効果を検証していくという。

     小橋教育次長は「頑張るほど子どもたちのためになるという『学校文化』への挑戦になる。次期学習指導要領に向け、教職員の意識改革を図りたい」としている。


    連合総研の調査や国会での審議などを含めて学校での「労働管理」(サボタージュを防ぐという従来の労務管理とは異なる)がほとんど行われていない実態が長時間労働を長らく放置されてきたことを明らかになった。それを受けて各地の教委でも「働き方改革」に取り組むところが増えてきたことは喜ばしい。府の方向性もおよそそうした流れに沿ったものだといえる。特筆すべきは、これまで府教委は配下の府立学校のみを対象とする「守りの議論」を行ってきたが、府内の各教委とも議論を重ねるという点。これでかなり現場に即した議論が行われるはず。また、財政の援助も積極的に行うことで促進剤にしてほしい。一方、財源移譲を浮け独立の立場に立った京都市教委は新たな勤務時間記録表を作成し個々の教員に記入を求めるという方式をとったが、これまでに培われた管理職の労働意識の低さがその実効性を疑問視する声もある。市教委は加えて管理職や職員の意識を変革するようなプログラムを現場に示さなければならないだろう。


    4月21日 地方公務員災害補償基金岐阜県支部 講師自殺で公務災害認定

     岐阜県立郡上特別支援学校の講師だった男性=当時(24)=が自殺したのは、上司の叱責(しっせき)によるストレスなどが原因だったとして母親(54)が公務災害認定を申請し、地方公務員災害補償基金岐阜県支部が認定していたことが20日、分かった。認定は3月31日付。

     認定通知書などによると、男性は2012年4月から同校の高等部で生徒の進路支援などを担当。13年5月21日に同僚と食事中、上司から携帯電話で叱責を受けた後、行方不明になり、同25日に同県関市の渓谷で、遺体で発見された。橋から飛び降りたとみられる。

     通知書は「上司が処理能力を超える量の仕事を与え、長時間の時間外勤務や自宅作業を余儀なくされた。採用1、2年目にしては過重意業務をしていた」と指摘。上司らとの人間関係から、男性が13年5月中旬にはうつ病を発症していたとみられ、上司からの電話が強いストレスとなり、自殺に至ったと認定した。


    基金支部は労災認定を積極的に進める方向ではないが「認定」にいたったのは評価できる。岐阜県は教員労働組合の組織率がきわめて低い県でもある。おそらく労働組合活動を経験していない人たちが大勢いることだろう。そうしたなかでの、管理職のコンプライアンス(職員の安全配慮義務)意識が高まっていないのは当然のようにも思えるし、パワハラであるという意識も希薄になるのだろう。また、同僚もそうしたことにたいする注意喚起ができないことも当然なのかもしれない。


    4月19日 全国学力テスト 京都は4万3300人参加

     京都府や滋賀県の多くの小中学校でも18日、全国学力テストが行われた。京都市中京区の北野中では午前8時40分すぎに始まり、中学3年の74人が国語の基礎知識を問う「国語A」の問題に取り組んだ。

     同テストは小学6年生と中学3年生が対象。府内では公立の小中学校や特別、総合両支援学校の小中学部計549校の約4万500人と、国私立の小中学校計30校の約2800人が参加した。

     滋賀県内では、公立の小中学校や特別支援学校計327校の約2万7800人がテストを受け、国私立の小中学校計7校も参加した。


    小学校【国語】
    授業場面の設定多く

     学校の授業など日常で直面する場面を提示して、学んだ知識を実際に活用できる力が身に付いているかを調べる出題が多かった。

     A問題の設問2は、お礼の手紙の書き方を問い、構成や形式の理解力を見た。設問7では「委員会活動の体験のお知らせ」という、実際にありそうな配布物を題材にして、「対象」「希望」といった語句の漢字の読み書きをさせた。

     B問題の設問1は、外国人に折り紙を紹介するスピーチを考えるという問題で、スピーチ練習を収めた動画を見て、グループで改善点を 話し合うという場面を設定した過去の学力テストでも課題があった、目的や意図に応じて伝えたいことを的確に示す力を確認するもので、どんな目的で動画を見たのか、話し合いではどんな助言が出たのか把握できているかがポイントだった。

     1設問2では、植物で教室の日よけをする緑のカーテンを作るために、校内で協力を呼び掛ける文書が題材となった。水やりが大変な理由を説明した上で、多くの人の協力が必要だと訴える文章を30字以上、60字以内で書かせる問題では、卒業生のアドバイスから、必要な内容を整理して取り上げられるかを見た。


    中学校【国語】
    日常生活即した出題

     ニュースや授業内の活動など、日常生活に即した場面からの出題が多かった。

     A問題の設問1は、中学校の入学式の様子を伝えるテレビニュースが題材に。テレビで流れた生徒の音声と、それに対応して画面に表示された字幕から、字幕の役割を尋ねた。話し言葉と、書き言葉の違いを理解しているかを見た。

     設問9では、学級での話し合いとその結果の一覧を見て「今回は結論が出ず、後でもう一度話し合うことになった」状況を示す言葉を漢字3文字以内で書かせた。他の結果の欄にある「可決」や「否決」という言葉を参考にし、正解を導くことが求められる。

     B問題の設問1は、物語文の一部を読み、本の紹介カードを作成する問題。文中から比喩表現を抜き出した上で感想を書くことが条件で、比喩表現を正確に捉え、自分の考えを書くことが必要になる。

     設問3は、必要な情報を集めるための見通しを問う内容で、同様の問題での過去の正答率が約別5〜9%と低かった。太宰治の「走れメロス」を紹介する活動の中で、作品に興味を持ってもらうため、誰にどのようなアンケートを取るか、理由も含めて辱ねた。


    小学校【算数】
    法則性を文章で説明

     基礎知識の定着度合いを見る問題を幅広い分野で出したほか、法則性を文章で説明させる問題もあった。

     A問題は、四則計算や最小公倍数、図形の面積、立体の展開図などを出題。設問9は犬と猫を飼っているかを〇とXで示した資料を、分類して数字を使った表にさせた。

     B問題の設問4でも、ハンカチとティッシュペーパーを持っているかどうかを聞いた内容を、表に分類させ、さらにその内容を示すグラフとして適切なものを選ばせた。

     目常生活の事象を考察、表現する力を調べるもので、過去の学力テストでも課題があったため、改善状況を確認する。

     設問1は、1〜9のカードから2枚選んで2桁の数を作り、1の位と10の位を入れ替えて引き算すると一定の法則性があることを示した上で、その法則性を言葉で記述させるという初めての出題形式だった。

     設問5は、満月の見かけの大きさが、地球との距離の変化に応じて変わるという理科の内容を使った教科横断型の出題。直径が14%長いことを示したグラフを選ばせたり、硬貨の大きさに置き換えて説明させたりして、物事を数学的に解釈し、判断の根拠が説明できるかを問う内容だった。 


    中学校 【数学】
    課題分野 出題目立つ

     A問題では、過去のテストで課題があった分野からの出題が目立ち、B問題は数学的な見方や考え方を問う問題が多かった。

     A問題の設問2では、針金の1メートル当たりの重さを文字式で表すことができるかを見る出題があった。数量の関係を文字式で表す問題は過去のテ ストで正答率が約24〜34%と低い。設問3では、生徒に折り紙を配った枚数と余った枚数を2通り示した上で、生徒の人数を求めるための方程式を書かせた。

     過去のテストで正答率が低かった関数の問題も出題。設問9では図形の辺の長さと面積の関係を説明させ関数の意味を理解しているかを見た。

     B問題の設問1では、万華鏡が題横に。万華鏡で見えた模様の中にある同じ形の二つの図形が、どのような回転移動をすることで重なるかを尋ね、回転移動について数学的な表現を用いて説明することを求めた。ある模様を作る際に必要な正三角形を選ばせる問題もあった。

     設問3は一次関数の問題で、ダムの貯水量について調べたグラフを使い、調査開始日から、ある貯水量になるまでに経過した日数を求める方法を記述させた。問題解決の方法をグラフや式を使って数学的に説明できるかを問う出題だった。


    何度も書く必要があるのは、全国悉皆で実施する必要がないということだろう。


    4月12日 道徳教科書検定 「パン屋」修正 波紋

     小学校の道徳教科書の検定で、読み物教材に登場した「パン屋が「和菓子屋」に変更された。「伝統文化・郷土愛」に触れていないとの指摘を受けた教科書会社側の対応だったが、バン業者の団体が国に申し入れを検討する事態にまで発展、波紋が広がっている。「書き換えさせた」との誤解を受けた文部科学省は打ち消しに躍起だが、“安易な修正"を加速させた一因は、検定制度そのものにもありそうだ。

     問題となっているのは、東京書籍の小1教科書の「にちようびのさんぽみち」と題した読み物教材。祖父と散歩する主人公がいつもと違う道を歩き、町の新たな魅方を発見するとの内容で、最後にバン屋が出てくる。道徳の学習指導要領は、教えるべき項目を「規則の尊重」などのキーワードで明示。低学年の教科書は19の項目を網羅しなければならない。

     東京書籍は「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」に対応させる教材として申請したが、文科省側は「わが国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」との内容を充足していないという理由で修正を求めた。

     文科省の担当者は「日常的な散歩を描いただけで、『わが国や郷土』という部分に触れていなかった。パン屋が悪いのではなく、指導要領の趣旨に沿ってパン屋以外の部分を修正することもできたはずだ」と説明する。

     検定結果が公表された3月24日以降、ネット上では「パンも立派な日本文化」といった批判があふれた。

     「バン屋を和菓子屋に変えたから合格した」との一部報道が一人歩きし、文科省にも約30件の抗議があった。

     だが、この教科書が検定に合格したのは「町や国のどんなところが好きか」という問い掛けを新たに加えるなど、「総合的に見て指導要領の趣旨に合致した」(文科省担当者)のが理由だ。

     個々の記述に検定意見を付ける社会などと異なり、道徳は教科書全体を通じて指導要領や検定基準を満たしているかを判断する。文科省幹部は「直し方は教科書会社の裁量。今回の修正方法は安易だと思うが、基準を満たせば認めざるを得ない」と話す。

     ただ、中小のバン製造業者が加盟する「全日本バン協同組合連合会」の西川隆雄会長(74)は「バン屋が和菓子屋に変わったのは事実。長年学校給食に貢献してきたのに残念だ」と嘆き、当事者たちの怒りは収まりそうにない。

     東京書籍は4年の教科書でも「感謝の項目に当たる「しようほうだんのおじさん」という教材について、「高齢者」の要素が足りないと指摘 され「しようほうだんのおじいさん」に変更した。

     こうした小手先の修正が横行するのは、教科書検定制度にも原因がある。教科書会社は検定意見の通知を受けて35日以内に修正しなければならないが、ページ数を維持するために必要最小限の修正にとどめようとする。検定に不合格になれば多大な損失にもつながるからだ。

     ある教科書会社の編集者は「検定制度そのものに忖度(そんたく)を促す下地がある。小手先の修正かもしれないが、苦肉の策だったのではないか」と同業者をおもんぱかった。



    4月11日 文科省調査 福島避難者いじめ199件

     文部科学省は11日、東京電力福島第1原発事故で福島県から県内外に避難した小中高校生らに対するいじめが、16年度に129件、15年度以前に70件の計199件あったとする初の調査結果を公表した。このうち東日本大震災や原発事故がきっかけ、あるいは関連するいじめは13件だった。

     避難当初の時期を中心に学校側が把握できていないいじめも多いとみられ、実態をどこまで反映しているのか疑問の声も出そうだ。松野博一文科相は記者会見で「いじめが表面化していない可能性も含め、引き続き対応を考えていきたい」と述べた。

     調査は避難している約1万2千人が対象。


    「放射能うつる」人間不信招く

     「おまえらのせいで爆発した」「放射能がうつる」。11日公表のいじめ調査結果からは、東京電力福島第1原発事故で避難した児童生徒らが深刻な被害に遭っていたことがうかがえる。多くはいじめが解消されているが、中には転校を余儀なくされたり、人間不信に陥ったりしたケースもあった。

     2011年度に、避難先の小学校に入学した児童は、面と向かって「福島へ帰れ」と言われたという。児童はその後、別の小学校に転校した。

     中学生の1人は、小学校低学年のころに「おまえらのせいで原発が爆発した」と言われ、別の中学生もやはり小学生の時に「放射能と呼ばれた。いずれも学校が対応し、その後、いじめはなくなったという。

     しかし、もう1人の中学生は、避難先の小学校に転校した際、同級生から「放射能が付くから近づくな」と仲間外れにされるいじめに遭いながら、保護者にも教員にも伝えられなかった。

     小中学校時代に福島県から転校してきたことを理由にいじめを受けた高校生は、人間不信になり人付き合いが苦手に。そのため、高校では震災や原発事故とは直接関係のないいじめに遭ったという。


    今村復興大臣の不見識を改めて持ち出すこともないだろうが、教育における人権意識がかつてにくらべれば低下しているような気がする。民主主義の根幹は他者の自由を擁護する人権意識だとおもうのだが。


    4月11日 教員採用 府310人・市300人

     京都府・京都市の両教育委員会は10日、2018年度に採用する教員の採用試験の要項を発表した。採用規模は、府教委が再任用者が増加していることから前年度比70人減の310人と04年以来の低水準となった一方、市教委は300人と20人減にとどまった。両教委とも、1次の筆記試験は7月1日に行う。

     府教委の主な内訳は小学校が前年度町人減の130人程度、中学校が15人減の45人程度、高校が10人減の75人程度、特別支援学校が前年度並みの45人程度。受験資格年齢は来年4月1日時点で50歳未満。

     市教委は小学校が20人減の150人程度、中学校が前年度並みの70人程度、高校が10人程度、総合支援学校が40人程度。受験資格年齢は特例を除き45歳未満。

     両教委とも高校教員の採用で、国際貢献活動の経験者や理工系出身者、スポーツ選手、英語を母語とする人材の特別選考を引き続き行う。市教委は、小学校の英語教育推進コースの受験資格を英検準1級レベルから2級レベルに下げる。小学校英語は、2級レベルで教えられると判断した。

     志願受け付けは府教委が20日〜5月19日、市教委が18日〜5月18日。冊子配布は府教委が4月10日以降、市教委が14日ごろから。要項はホームページでも公表している。



    4月8日 市教委 「不適切指導」で分限免職

     京都市教育委員会は7日、「指導力不足」とした市教員指導力判定委員会の判断を受け、市立中の男性教諭(54)を分限免職処分にした、と発表した。市教委は1989年以降4人を分限免職(うち1人は最高裁決定で取り消し)にしているが、判定委員会を経て行ったケースは初めて。処分は3月31日付。

     市教委によると、男性教諭は2011年ごろから定期試験の採点をする際、校内で定めた基準通りに行わなかったり、授業で生徒に質問されても無視するなどした。また授業の補助に入った同僚に「邪魔」「帰れ」などと暴言を吐いた、という。

     15年11月に判定委員会の意見を受けた市教委が「教科指導などが不適切」と認定。以降2度、指導方法などの研修を行ったが、改善 が見られなかったという。

     判定委員会は、市教委の諮問機関として03年に設置され、教育学や医学、心理学などの専門家や保護者などが指導力不足かどうか判断する。これまで30人が「指導力不足」と認定されたが、改善が見られたり、自主退職したりしていた。


    「分限免職」という処分は非常に重い。人間的にこの職業にふさわしくないというを意味するからである。しかし、当該の教諭が54歳ということを考えれば任用から処分に至るまで相当の期間があいている。その間に「問題」は発見されなかったのだろうか。あるいは、メンタルへルスに関わる兆候はなかったのだろうかと考える。こうした多角的な視点からの問題解決を「判定員会」は目指したのだろうか。


    4月8日 大津市立中いじめ対応問題 加害止める指導不可欠

     大津市のある市立中で、いじめだと指摘しない方針で加害者を指導した結果、いじめ被害を早期に止めることができなかった。いじめ問題に詳しい支援団体によると、加害者に毅然(きぜん)とした指導がされないことは全国的にも課題となっている。その背景には、「教育的配慮」を過度に重視したり、加害生徒の保護者からの苦情を避けようとしたりする学校側の姿勢があるとされる。

     大津市のいじめ対策は、2011年の市立中生徒自殺事件を受け、いじめ担当教員の配置や相談窓□開設など「被害者に寄り添う」姿勢で進めてきた。一方、加害者への対応は教員個人の経験や力量によるところが大きいとされ、被害者と同様、組織的に対応することが基本とされる。今回の市立中では「いじめとは伝えない」指導方針を組織的に行っていた。

     今回の対応について大津市教委は「さまざまなケースがあり、一律に『いじめ』と伝えれば改善するものではない」とする。例えは、加害生徒が家庭で虐待を受けている場合、「いじめ」だと保護者に伝えると家庭でさらに暴力を受ける恐れがあるとされる。だが根本的には、生徒がいじめを理解し、加害行為を止めなければいじめは解決しない。毅然とした指導をしないことは、加害生徒がいじめに気づいて反省し学ぶ機会も奪うことにもなりかねない。

     被害者支援組織「いじめから子供を守ろうネットワーク」(東京都)の井澤一明代表は「教育現場には『指導ではなく支援』という考えの先生がおり、一部で子どもを叱らない風潮がある」と指摘する。いじめの問題が長引いたり深刻化しているケースでは、先生が加害生徒に向 き合って叱らなかったり、加害者の親からのクレームを恐れたりするケースが多いという。

     今回の中学校長はいじめ防止対策推進法の施行でいじめの定義が広がったことを指摘した上で、「昔ながらの『弱い者への一方的な攻撃』をいじめと考える保護者も多い。加害者の保護者にいじめ行為だと伝えれば、『そんな程度ではいじめではない』と思われ、今後、関係を築けなくなる恐れもある」と打ち明けた。だが同法では、子どもがいじめを行わないよう指導する努力義務を保護者にも課している。学校側がいじめ行為を加害者の保護者に伝えなければ、親は子どもを指導するきっかけを失う。

     同法は、いじめを小さな芽のうちに摘み取るため、大津のいじめ自殺事件の反省に基づき制定された。それだけに、いじめ根絶に向けて教職員が適切に加害生徒とその保護者を指導できるような取り組みが、大津市教委には求められる。

     今回のケースでいじめ被害を受けた女子生徒は3月の卒業式で、加害者グループにいたとされる別の生徒の保護者に謝罪を迫った。その場にはいじめ担当教員が2人いたが、その様子を傍観していたという。女子生徒は「先生はずっと加害者の味方をしているようだった。先生を信じられない私のようないじめ被害者を、二度と出さないようにしてほしい」と話している。


    このようなケースは大津市に限ったことではなくおそらく学校現場での「普遍的」な課題かもしれない。被害者・加害者ともに教育の対象者だという考え方は学校現場的であるともいえる。まずは被害者救済を優先すべきだろうが、加害者への指導を支える組織的な教員支援も不可欠だろう。学校運営への影響を恐れる管理職の姿勢も影響しているかもしれない。


    4月6日 文科省調査 英語力目標到達36%

     文部科学省は5日、全国の公立中学・高校の生徒の英語力を調べた2016年度英語教育実施状況調査の結果を公表した。高3生のうち「英検準2級程度以上」の生徒は、前年度より2・1ポイント増の36・4%。中3生で「英検3級程度以上」は0・5ポイント減の36・1%だった。政府は東京五輪なども見据え、卒業段階での割合を17年度までにそれぞれ50%にすることを目指しているが、達成が困難になりつつある。

     ここ数年、中学、高校ともに英語力は少しずつ上がっていたが、中3で低下に転じた。文科省は「新学習指導要領では小学5、6年で英語が教科化されるなど今後、現場での取り組みも大きく変わる。徐々に計画に近うけていってほしい」としている。

     調査は昨年12月、全公立中高計1万2850校を対象に実施。高校は都道府県、中学は都道府県と政令市をそれぞれ集計した。

     高3では47・3%の冨山県が最も高く、福井県44・8%、兵庫県43・4%と続いた。京都府は36・9%、滋賀県は31・5%。中3は奈良県48・0%、東京都47・1%、千葉市46・6%だった。京都府は35・0%、滋賀県37・1%、京都市42・.9%。

     調査結果には、英検の級を取得していない生徒らについて、授業の様子や定期テストの結果を基に教員の裁量で「相当の力がある」と認めたものも含まれる。

     英語教員の英語力も調査。大学中級程度とされる英検準1級かそれに相当する資格を持つ割合は、高校で前年度比4・9ポイント増の62・2%、中学で1・8ポイント増の32・0%だった。


    「裁量判断」多く統一基準不十分

     文部科学省が5日公表した2016年度英語教育実施状況調査では、英検の級を取得していない生徒らについて、教員の裁量で「相当する力がある」と判断したケースも多い。こうした生徒が大半の地域もあり、英語力を測る統一基準が不十分との指摘もある。教育委員会の担当者からは「英語力が高いか低いかを数字で見る調査ではない」との声も上がる。

     学校単位で外部試験を受ける場合、受験料を県が全額補助する制度を設けている福井県教委。担当者は「中学はほぼ全員が何らかの外部試験を受験しており、高校でも活用が進んでいる。『相当』についても試験のスコアを参考にしている」と説明する。

     だが、こうした補助制度がない地域も多く、「経済的な負担もあるので強制的に受験させるわけにもいかず、教員が普段のテストや授業の様子で判断している」(ある県教委)のが実情だ。

     中3の英語力が最も高かった奈良県では、英検3級取得者の割合は政令市を除く全国で最も低い9・7%。「相当する力」の判断は教員に任せているという。


    いまでも小学校での英語教育に疑問は残るが、中高生に外国語を学ぶためのインセンティブをどのようにして高めるかの議論がなされているのだろうか。兎にも角にもコミュニケーションツール(話すだけではないのだが)としての英語という視点をしっかりさせなければならない。たとえばGoogle翻訳を使って英語向きの日本語を入力するとか?はどうだろうか。


    4月5日 性的少数者 6割いじめ被害

     同性愛やトランスジェンダーなど性的少数者の58・2%が小中高校時代にいじめに遭い、21・1%が不登「校の経験を持つとの調査結果を宝塚大の日高庸晴教授(社会疫学)が公表した。いじめに遭った人のうち、「先生がいじめの解決に役立つた」と答えたのは13・6%にとどまった。

     文部科学省は2015年4月、性的少数者への学校での配慮を求める通知を出したが、日高教授は学校現場での理解が進んでいないと指摘。「性的少数者の現状から目を背けずに、それぞれの立場でできることを進めてほしい」と訴えた。

     調査は昨年7〜10月に実施。インターネットで協力を呼び掛け、自身が性的少数者と認める全国の約1万5千人が答えた。

     同性愛の知識を学校でどう習ったか聞いたところ、「一切習っていない」が68・0%を占めた。「否定的な情報を得た」が17・2%、『異常』なものとして習っつた」が5・4%だった。

     否定的な情報を得たり、「異常」なものと習ったりした人の割合は10代、20代で高く、日高教授は「性的少数者をどう伝えるのか、教員の研修を進め、人権教育の一環として取り上げるなど、よりさめ細やかな施策が大切だ」と指摘している。



    4月5日 教育勅語問題 「戦前回帰」批判と懸念

     教育勅語を学校教材に使うことを容認した政府答弁書が波紋を広げている。文部科学省は勅語そのものは歴史教科書にも載っている事実」と従来通りの立場を強調するが、教育現場では政府のお墨付きが与える影響を心配する声が出ている。野党も「安倍政権の戦前回帰だ」と批判を強めており、「森友学園問題をきっかけに降って湧いた議論は収まりそうにない。

     「積極的に活用する考えは全くない。大いなる勘違いじゃないですか」。4日の記者会見で菅義偉官房長官は、安倍政権が教材活用を勧めているのではないと強調。1948年の衆参両院の排除、失効決議にも言及し「法制上の効力が喪失したというのは現在も全く同様だ。国会決議に反しているという指摘は当たらない」と語気を強めた。

     今回、教育勅語が政治問題化したのは学校法人「森友学園の幼稚園が、園児に教育勅語を暗唱させていたのが発端だ。3月の参院予算委員会では稲田朋美防衛相が「日本が道義国家を目指すべきだという核の部分は取り戻すべきだ」と発言し、質疑が紛糾した。

     菅氏の発言には、こうした動きと現政権の基本姿勢を関連付けさせたくないとの思いがにじむ。だが、教育勅語は2006年に教育基本法改正案が国会提出された際も、何度か議論の俎上(そじよう)に載せられており、当時、官房長官として衆院委員会の答弁に立った安倍晋三首相が親子、兄弟、夫婦の和のくだりを「大変素晴らしい理念が書いてある」と持ち上げた経緯もある。

     改憲の動きとも無縁とは言い難い。自民党は12年にまとめた憲法改正草案に「家族の尊重を盛り込み、党のパンフレットではその理由を「家族の絆が薄くなってきていると言われる」と説明している。この草案について党関係者は「教育勅語のくだりを意識した」と証言する。

     教育勅語の活用を促進も否定もしない慎重な言い回しとなった今回の答弁書。松野博一文科相は「教材自体の性質よりも、その教材で教育がどのように進められるかにポイントを置いた」と、現場の裁量に委ねる姿勢を強調する。

     元文科省官僚の寺脇研・京都造形芸術大教授は「防衛相のように『教育勅語の中身は良い』と言うのは不適切だが、教育で使うなら歴史以外に考えられず、憲法や教育基本法に反する形にはならない」と指摘する。

     だが、行政文書特有の分かりにくさが教育現場で誤解を生むのを心配する声もある。

     西日本の高校で地理歴史を担当する30代の教員は「歴史を多面的に考える材料にするのが問題とは思わない」との立場だが、「今回の政府答弁で教育勅語の内容にお墨付きが与えられたと誤解して、賛美するような教員が現れるかもしれない」と話した。


    野党 
    「国会決議に違反」

     野党は4日、戦後の1948年に衆参両院が排除・失効を決議している教育勅語を巡り、政府が答弁書などで教材使用を否定しないことに対し「国会決議に反する」(民進党の山井和則国対委員長)などと批判を強めた。共産党幹部は「安倍政権の露骨な戦前回帰だ」と訴えた。

     山井氏は「いざというときはお国のために身を差し出そうというのが勅語の本質だ。勅語を持ち出さなくても親孝行を教えることはできる」と記者団に強調した。

     自由党の小沢一郎共同代表は記者会見で「安倍晋三首相の信念に合っているのだろう」と指摘。社民党の又市征治幹事長は「安倍内 閣が国家統制型の政治を求めていることかはっきりした。時代錯誤だ」と語った。

     一方、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「現代語版の教育勅語をつくるべきだ。家庭だけで道徳教育のしつけができる時代ではない」と理解を示した。菅義偉官房長官は「法制上の効力は喪失している。憲法や教育基本法に反しない適切な配慮の下で取り扱うことはあえて否定しない」と重ねて力説した。

     また、松野博一文部科学相は、道徳での教材としての利用について「この部分を使ってはいけないと私が申し上げるべきではない」と述べ、「所轄庁や設置者である教育委員会で適切に対応すべきものと考える」と強調した。



    4月5日 西京の講師 教室封鎖 女児出さず

     京都市西京区の市立小学校で昨年11月、女性常勤講師(51)が、担任していた当時2年の女児(8)を教室から出さないようにするため、同級の児童に机や椅子をバリケードのように並べさせ、出入り口を封鎖していたことが4日、分かった。

     学校などによると、11月上旬の授業中、女児が「帰りたい」と言い、教室から出たがった。講師は女児の体を抱えて静止しながら、クラスの児童に机を動かすよう指示。複数の児童が机や椅子を教室の前後の出入り口に並べて封鎖し、後方のドアは施錠した。担任は校長に対し「帰らせたくなかった」と説明したという。

     別の日には、帰ろうとした児童の上履きを、3・4時間目の授業中に預かり、靴下で過ごさせたという。女児は、別のクラスの男児から悪口を言われるなどのいじめを受けたことも重なり、2月中旬から不登校になっている。

     校長は「行き過ぎた指導で申し訳ない。今後は、児童が学校に復帰しやすい環境をつくりたい」と話している。


    ICE21では基本的に個々の教員の事件を取り上げることはしていない。ただ今回の事例は、当該の教員が非正規である年齢が50歳台ということで取り上げることにした。理由のひとつに非正規職員が1年という期限の中で働かねばならず絶えず「新たな任用」(校長を含めた他者からの評価)を気にしなくてはならいということ。加えて年齢が50代で常勤講師ということは、おそらくこれまでの任用とは違って経験者の扱いとして「教諭職での任用」がなされているのだろうと推測できる。「給与に見合った責任」を自覚させられるということでもある。「期限付き任用」と「重い責任」の狭間でとった行動ではなかったかと想像する。ただ、報道されている事案が許容できるものではない事は当然ではあるのだが。


    4月4日 菅官房長官 教育勅語、教材否定せず

     菅義偉官房長官は3日の記者会見で、教育勅語の学校での取り扱いを巡り、政府が教材としての使用を否定しないとの答弁書を決定 したことについて「憲法や教育基本法に反しないよう適切な配慮の下で取り扱うことまでは否定しない」と強調した。

     教育勅語のについて「憲法や教育基本法の制定により法制上の効力は喪失している。唯一の根本となるような指導は不適切だ」とも語 った。

     政府は、戦前の教育の基本理念を示した教育勅語を学校で取り扱うことに関し「わが国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切だ」とする一方「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を先月末に閣議決定した。

     民進党の初鹿明博衆院議員が、1948年に衆院は教育勅語の排除を、参院は失効をそれぞれ決議したことを踏まえ提出した質問主意書に答えた。

     教育勅語は、大阪市の学校法人「森友学園」が運営する「塚本幼稚園」が、園児に暗唱させていた。国会答弁で内容を是認する見解 を述べた稲田朋美防衛相を、野党が問題視している。


    「朕」が主語になる教育勅語が教育理念になるとの考えは到底受け入れる事はできないのだが、防衛相が意識するのが「一旦緩急あれば…」の箇所であれば尚更受け入れる事はできない。官房長官の説明はそれを糊塗する以外の何物でもない。


    4月4日 府・新教育長 教員資質向上に意欲

     京都府の新しい教育長に1日付で就任した橋本幸三氏(59)が3日、京都市上京区の府庁で記者会見した。小田垣勉前教育長が任期途中で辞任したため、任期は1年4カ月。「すべてやり切ることは難しいが、丹後や口丹の高校再編や、教員の資質向上などで方向性を付けたい」と述べた。

     重要施策として▽3年前に始まった公立高入試の新制度や丹後・口丹の高校再編を含め、前教育長の施策の継承▽次期学習指導要領実施に向けた教育改革▽教職員の働き方改革と資質向上―の三つを挙げた。資質向上については、大学と連携して勳画教材を開発するなどし、多忙な中、短時間で研修を受けられるよう工夫するとした。

     橋本教育長は「次期学習指導要領に向け、各市町村の教委にも、府の考え方を明確に示したい。教育施策の中で、他の自治体で優れている事例があれば積極的に学びたい」と強調した。


    橋本氏の経歴は、教育委員会23年、知事部局16年。知事部局では、財政や観光・商業、議会担当などを経験。


    4月1日 閣議決定 教材に教育勅語「否定せず」

     安倍内閣は31日、戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた教育勅語について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。だが、教育勅語は、一過去に国会で排除・失効決議が出ており、答弁書との整合性や、教育現場でどのように使われるのかが問題になりそうだ。

     民進党の初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。

     教育勅語は、明治天皇が1890年に国民に授ける形で示した「教え」。両親への孝行など一般的な道徳を表す項目がある一方、国民は君主に支配される「臣民」とされ、国に「万一危急の大事が起こったならは、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省図書局の通釈)とも書かれている。

     だが、戦後の1948年、国会が「主権在君並びに神話的国体観に基づいている」ことから、「基本的人権を損」なうなどとして教育勅語の排除・失効の確認を決議した。今回の答弁書では「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導は「不適切」としており、松野博一文部科学相は記者会見で、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば、「教材として用いることは問題としない」など、答弁書と同じ内 容を発言している。

     一方、第1次安倍政権時の2006年の国会で、伊吹文明文科相(当時)は「戦中の教育に対する反省などから、天皇陛下のお言葉を基本に戦後の教育を作ることは、そぐわないということになり、教育基本法が作られ、衆参両院の議決によって教育勅語は実質的に廃止されたと理解している」と述べている。

     教育勅語は、学校法人「森友学園」が運営する幼稚園で園児が暗唱していたことが報道などで取り上げられるようになり、国会でも勅 語をめぐる閣僚の認識が論点になった。


    島薗進・上智大教授(日本宗教史)の話
    使われ方懸念 もっと議論を

     教育勅語の問題は答弁書が言う「教育の唯一の根本」かどうかではない。天皇が国民を臣下とみなして教育勅語を押しつけ、日本が戦争という誤った道に進んだという歴史が批判されている。歴史を学ぶためだけなら必要かもしれないが、権威主義的な使い方をされかねない。未来に関わる判断であり、閣議決定で決めるのではなく、もっと議論が必要だ。


    第2次安倍政権で変化

     教育勅語の廃止後、教育の理念は、47年に定められた教育基本法に移った。同法は、第1次安倍政権の2006年12月に改正されたが、その時点では、教育勅語に対する政府の態度に大きな変更はなかった。

     第1次安倍政権で文部科学相を務めた伊吹文明氏は国会で「一番の問題は、天皇陛下のお言葉という形で出された勅語が、戦前まで の教育のある意味では基本法的役割を果たしてきたことだ」と答弁。「この天皇陛下のお言葉を基本に戦後の教育を作ることは、戦後の日本の政治体制にそぐわないということになった」と答弁している。

     だが、第2次安倍政権での答弁は違った。

     14年4月の参院文教科学委員会。教育勅語についての「排除決議とは関係なく、副読本や学校現場では活用できるという見解でいいか」という質問に、当時の文科省初等中等教育局長だった前川喜平前次官が答弁。「教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれており、これらの点に着目して学校で活用するということは考えられる」と述べた。当時の文科相だった下村博文氏も「教材として使うことは差し支えない」と答弁した。

     稲田朋美防衛相は3月9日の参院外交防衛委員会で「教育勅語の中にある親孝行とか、夫婦仲よくするとか、友達を大切にするとか、日本は世界中から尊敬される道義国家を目指すべきだという考え方が核だと認識している」と述べた。

     だが教育勅語の徳目である家庭愛などは、既に、2018年度から教化化される道徳の学習指導要領に入っている。

     一方、文科省生涯学習政策局政策課は、憲法や教育基本法などで「教育勅語の法的効力はなくなっている」と強調。例えば、歴史的事実として勅語について教えるケースなどが想定されるという。

     ただ、学校法人「森友学園」が運営する幼稚園で園児が教育勅語を暗唱していた例もある。閣議決定という「お墨付き」を得たこと.で、戦前・戦中に近い文脈で勅語が使われる懸念もある。


    識者「両院の決議骨抜きに」

     一方、今回の答弁書をめぐっては、過去に教育勅語を排除・失効とした国会の決議を、閣議決定による答弁書によって乗り越えられるのかという問題もある。

     「現代日本の議会政と憲法」(岩波書店)などの著書がある高見勝利・北海道大学名誉教授(憲法)は、「内閣は行政権の行使で国会に連帯責任を負う、と憲法66条にある。両院がそろって戦後教育の指針として教育基本法を強調し、教育勅語の謄本回収を政府に求めた決議には、内閣に対する政治的・道義的拘束力がある」とする。

     さらに衆院での決議が、教育勅語など「詔勅」が違憲ならば、無効とする憲法98条を根拠として示したことを指摘。今回の答弁書について「両院の決議を骨抜きにしている。教育勅語を否定しきれない安倍内閣の国家観がにじみ出ているように思う」と批判する。(朝日新聞)


    「朕」が主語になっているこの勅語が主権在民に反することは言うまでもないことだが、多数の背景にした安倍内閣の横暴ぶりは目に余る。加えてそれに荷担している公明党は結党精神を思い起こすすべきだ。また、道徳の教材に「江戸しぐさ」なる怪しげな教材が扱われる現場で、教育勅語の部分的な「摘み食い(主語を省いた)」が起こる事を懸念する。ただ、注意を喚起しておきたいのは、この議論(塚本幼稚園児の暗誦など)を教育基本法14条(教育の政治的中立)に違反しているという指摘だ。この条項の主題は第1項にあって2項ではないのだが、従来の政権は2項を盾に「政治的偏向だ」と現場をゆすぶった。「主権者教育」を行う上ではどうしても政治的な課題を教材課せざるを得ないし、そのことに臆することは「主権者教育」を損なう事になる。「森友学園問題」が問題なのは、園児や低学年の子どもたちのように客観的な判断力(批判力)が十分育っていないなかで、教育勅語が使われということである。


    4月1日 府・市教委 教職員異動4226人

     京都府・京都市の両教育委員会は31日、4月1日付で発令する教職員4226人の人事異動を発表した。異動規模は、府教委が前年度比69人減の2334人、市教委が同1人減の1892人だった。

     府教委では、女性管理職の積極的な登用を進めた結果、女性管理職が179人となり、過去最高の21・0%を占めた。管理職が大量退職する中、専門性のある校長2人を新たに再任用し、1人の再任用期間を更新した。

     南陽高の付属中を2018年度に開校するため、同校内に開設準備室を設置した。小中連携を推進するため、管理職で小中間の異動を29人行った。

     市教委では幅広い年齢層から管理職を登用し、主幹諭から17人が教頭に昇任。女性管理職の比率も増加し、小中学校でおよそ4人に1人となった。静原小(左京区)に初の養護教諭出身女性教頭を起用した。

     また、国際協力機構(JICA)で活動経験のある男女2人を新規採用し、ともに高校に配置。学習障害(LD)への支援体制を充実させた。