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  • 地域スポーツクラブ創設方針.21
  • 図書館へ異例要請.21
  • 教委の9割が半旗依頼せず.24
  • 9月24日 「国葬」教委の9割が半旗依頼せず

     27日に営まれる安倍晋三元首相の国葬で、47都道府県と20政令指定都市の教育委員会のうち、設置する公立学校など教育現場に半旗掲揚の協力を依頼するのは安倍氏の地元山口県のみで、9割近くの60教委が依頼しないことが分かった。23日までの共同通信の取材に回答した。未定なのは6教委。また、教育委員会として博物館などの管轄施設で半旗を掲揚するのは3教委だった。

     政府は、自治体や教委に弔意表明の協力を求めない方針を示している。教育基本法は、特定政党の支持など学校の政治的活動を禁じており、弔意表明に慎重な教委が多かったとみられる。

     学校への依頼をしない教委に理由を尋ねると「文部科学省から弔意を求める通知が来ていない」(鹿児島県)、「内心の自由に関わるため一切行わない」(大分県)、「知事が教委に弔意表明などを求めないと述べたため」(山形県)などがあった。7月に行われた安倍氏の家族葬の際、仙台市教委は市立学校に半旗掲揚を依頼したが、今回は要請しないとした。

     山口県教委は20日付の通知で県立学校などに半旗掲揚を求めた。取材に「組織として哀悼の意を表するため」としている。県内の市町教委には「参考」として、こうした対応を伝えた。

     静岡市や福岡市など6教委が「検討中または未定」だった。

     出先機関や博物館など管理施設で半旗を掲揚するのは山口県、広島県、仙台市の各教委。こうした施設で掲揚しないと答えたのは北海道や京都府など54教委で、「検討中または未定」は9教委。福井県教委は「出先機関は別の組織のため、指示しない」と回答した。


    そもそも「国葬」の意義が問われているのだから、弔意の表明要請は筋違い。「文科省から要請がない」ことを理由として挙げるのは自治体の主体性をないがしろにするもの。同時に、「要請しない」としているのに首長が公費で参加するのは疑義が残る。住民監査請求の対象となる可能性も大きいだろう。


    9月21日 文科省 図書館へ異例要請

     文部科学省が8月、北朝鮮拉致問題に関する図書館の蔵書を充実させるよう協力を依頼する事務連絡を、各都道府県の教育委員会などに宛てて出したことが20日、分かった。文科省が特定のテーマの本の充実を図書館に求めるのは異例。国民の「知る自由」を保障するため、権力の介入や圧力に左右されず資料を収集・提供することを理念として掲げてきた図書館には波紋や反発が広がる。

     文科省によるとい事務連絡は8月30日付で、公立図書館や学校図書館などで拉致問題に関する本の充実を図るといった協力を要請。若い世代に拉致問題への理解を深めてもらおうと、内閣官房拉致問題対策本部から協力を依頼されたという。

     日本図書館協会が採択する「図書館の自由に関する宣言」は「知る自由」の保障を掲げ、権力の介入や社会的圧力に左右されることなく、自らの責任で資料を収集・提供するとうたっている。

     文科省の担当者は、事務連絡に法的拘束力はなく「選書は各図書館がそれぞれの基準で判断すること。『図書館の自由に関する宣言』を逸脱する趣旨ではない」とした。

     図書館の現場からはこれまでも拉致問題に絡む展示や蔵書充実に取り組んできたと反発の声が上がる。

     全国の図書館員や市民らでつくる図書館問題研究会の中沢孝之委員長は「図書館は自発的に資料を収集し、多様な考え方や議論を支える民主主義のとりでだ。国が特定の資料の収集を求めることは、国の都合の良い資料だけを扱って自由な考えを封じ込めた戦前・戦中の図書館を思い起こさせる」と危機感を示した。

     全日本教職員組合も「子ども、国民の思想を縛るきわめて危険なこと」と批判し、事務連絡の撤回を求めている。


    【インサイド】現場は圧力に発展懸念

     全国の図書館などに拉致問題に関する蔵書の充実などを求めた文部科学省。誰もが認める重要課題での協力要請に図書館の現場が懸念を深めるのは、特定の本を選ぶよう求めたり、逆に特定の本を除外するよう求めたりする圧力や介入につながりかねないためだ。

     日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」は、戦前・戦中の図書館が国の検閲制度と連動して国民の「知る自由」を妨げてきた反省に立ち、権力の介入や圧力を排することを盛り込む。だが蔵書の取り扱いを巡る問題は後を絶たない。岐阜県御嵩町の町立図書館では今年3月、町長が内容を批判する本を約1年間貸し出さなかったことが発覚したばかり。

     拉致問題を啓発する必要性は図書館側も認識する一方で、「そもそも拉致問題に関する本は住民のリクエストも多く、図書館にはすでに十分そろっている」(日図協関係者)との声も。

     「図書館が拉致問題という基本的人権に関わる問題を知る権利を保障することは大切で、テーマ展示や資料の重点的な収集は不自然ではない」と語るのは沖縄国際大の山口真也教授(図書館情報学)。「ただし地域の状況や利用者のニーズを踏まえて各館が自発的、主体的に取り組むべきで、国から一律に要請されることではない。国の求めで資料を集め、展示を行った前例ができると、歯止めが利かなくなる怖さもある」と指摘した。


    「図書館の自由に関する宣言」には、「図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、…収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである」とされている。図書館が社会教育の重要な施設であることは論を俟たない。また、図書館の整備は地方自治に属するものなのだが、それへの国の介入は大きな問題。日本学術会議への介入など、安倍政権以降の権力の肥大に危機を感じる。議論抜きの「安部国葬」についても同様。


    9月21日 京都府 地域スポーツクラブ創設方針

     京都府は20日、子どもたちがさまざまな種目に取り組める地域スポーツクラブ「京のジュニアスポーツアカデミー」(仮称)を、来年度に創設する方針を明らかにした。

     この日始まった府議会一般質問で、平井斉己議員(府民クラブ)に対し、浅山尚紀文化スポーツ部長が答弁した。

     浅山部長は少子化の影響で中学高校の部活動や地域のスポーツ少年団が継続困難となり、教員にとっても競技経験のない種目の指導が大きな負担となっていると課題を指摘。アカデミーについて「府内各地において、子どもたちがやりたいスポーツができる環境を将来にわたって持続可能とするための新たな仕組み」と説明した。

     府は、6月の補正予算で創設に向けた調査費150万円を計上し、京都市を除いた府域で部活動やスポーツ団体の活動状況を聞き取っている。

     浅山部長は「指導者や活動場所の確保、子どもたちの送迎などの課題を整理し、来年度の創設を目指したい」と述べた。当初はサッカーやバスケットボールなどチームスポーツについて、子どもの人数が少ない地域で取り組みを進めるという。

     西脇隆俊知事は再選を果たした4月の知事選で、子どもたちが地域でスポーツに挑戦できる環境の提供を目指し、アカデミーの設置を公約に掲げていた。


    地域スポーツの振興は、学校の部活動に頼ってきた日本のスポーツの在り方を変革する方向へと向かう可能性を秘めている。京都新聞が連載してきた『ブカツのゆくえ』は、これまでの経過を知る上でも優れた取材。


    9月16日 府調査 ひとり親家庭 収入減

     京都府がひとぴ親家庭を対象に行った調査で、母子の約3割、父子の約半数の世帯が新型コロナウイルスの影響で収入が減少していることが分かった。子どもが家族の世話をする「ヤングケアラー」もそれぞれ約1割を占めた。府は厳しい経済状況に陥るひとり親世帯の支援策について専門家らと協議と進める。

     調査は昨年10月、京都市を除く府内のひとぴ親家庭計6556世帯を対象に実施。約3割にあたる2210世帯(母子2100世帯、父子110世帯)から回答を得た。

     このうち、母子家庭の30・4%(639世帯)、父子家庭の46・4%(51世帯)がコロナ禍で「収入が減った」と回答。理由は「出 勤回数・勤務時間の減少」が最も多かった。子どもに関する悩みでは「教育・進学」がいずれも半数を超え、経済的理由から子の進学準備が難しいとした家庭は母子で8割超、父子は6割近くとなった。

     子どもが日常的に家事や家族の世話をする「ヤングケアラー」の状態にあると回答した割合は、母子で9・1%(192世帯)、父子で11・8%(13世帯)に上った。国の調査(2020年度)では、中高生全体で4〜6%との結果が出ており、府は「単純に比較はできないが、ひとぴ親世帯の方が割合が高い傾向にある」と注視する。

     調査結果は、8日に上京区のホテルであった府の「子どもの貧困対策検討会」で報告された。教育や貧困家庭に携わる委員からは、支援の在り方や制度の周知方法の見直しを求める声が上がった。

     府私立中学高等学校連合会の佐々井宏平会長は「コロナ禍で対面の家庭訪問ができない中、どういった形でケアしていくか協議する場が必要だ」と指摘。NPO法人亀岡人権交流センターの杜恵美子理事長は「支援や制度の情報が届いていない貧困世帯がある」と強調し、LINEなど交流サイト(SNS)を通じた情報発信を提案した。

     府は20年から「子ども貧困対策推進計画」を5年計画で策定し、支援の実施状況を確認している。家庭支援課は「調査や専門家の意見を踏まえ、コロナ禍でより厳しい状況にあるひとり親家庭を、必要な支援につなげたい」とする。


    新型コロナの流行感染拡大は、社会に様々な議論をもたらした。政府の対策は場当たり的な対応が目立ったが、いわゆるセフティーネットがあまり機能しなかったことが貧困層に対して大きな負担を強いる結果になった。改めてBI(ベーシック・インカム)の議論を展開すれ必要がありそうだ。BIに対する批判の大部は「財源問題」とされるが、おそらくそうした議論はほぼ収束しているように見える。マイナバーカード促進事業に大きな予算が使われているが、BIと関連付けて給付の窓口とする方向は必要。『ベーシックインカムから考える 幸福のための安全保障』 (幻冬舎ルネッサンス新書)で西野卓郎が提起しているBIポイントは検討の余地があるだろう。それにしても防衛費のGDP2%議論は、何を守ろうとしているのか。


    9月16日 土曜授業 再び消えゆく

     京都府内の一部の府立高や小中学校で行われていた「土曜日の授業」が消えつつある。府内では2002年に土曜授業がいったん姿を消して完全週休2日制となったが、10年ほど前から一部の学校で再開していた。しかし、働き方改革や学びの変化などを理由に府立高が本年度の入学生から実施を取りやめるなど、一度は復活させた土曜授業をやめる動きが相次いでいる。

     府立高では2013年度から、希望校が土曜授業に取り組み、昨年度までは、8〜12校が月2回程度、土曜日の午前中に授業や探究活動などを行ってきた。

     土曜授業復活の背景には府内公立高の入試制度の変更があった。以前は受験生の居住地で合格校を割り振る『総合選抜』だったが、14年度に高校ごとで合否を決める「単独選抜」へ完全移行したため、各校とも受験生の志願先に選ばれるには特色化か求められるようになった。そこで、学校独自の学力向上策として土曜授業が注目を集め、希望校が「教育課程特例校」として実施するようになった。

     しかし、教員が土曜日に出勤しても振り替え休日を平日にとるのは難しく、夏休みにまとめて取得する例もあった。高校で本年度から導入された新学習指導要領は、教えるばかりでなく主体的な学びを目指していることもあり、府教委は、教員の負担軽減や 生徒の自主活動時間の確保に土曜授業を取りやめた。今や、府内ではわずか3校が2年生に実施するのみだ。

     小中学校でも土曜授業はなくなりつつある。府教委は学力向上や体験活動の充実を狙って、京都市を除く府内の小中学校を対象に土曜日に授業や行事を行う研究事業を13年度から進めてきた。しかし、習い事に通うなど児童生徒の土曜日の過ごし方が変わってきたことや、働き方改革を理由に20年度で終了した。京都市教委も体験活動や補習を行う「土曜学習」を08年度から行ってきたが、同様の理由から19年度でやめた。

     他府県でも佐賀市教委は16年度から全小中学校で行っていた土曜授業を21年度で廃止している。

     ある府立高の副校長は「土曜授業では探究活動に外部講師を招きやすかったが、教職員の負担も大きかった」と明かす。本年度は土曜授業がない分、平日の7こまの日が増えたが、「土曜は趣味や部活などやりたいことに充てる方が今の時代に合っているのでは」と分析する。


    土曜授業が必要かどうかの議論は、<1992年に公立小中学校などで毎月第2土曜日が休業日になった>時からである。当時は、世界から「働きすぎの日本」といわれ労働時間短縮が国策となった。公務員の週休二日制に合わせる形で、学校も週休二日制になった。ということから考えてもまずは労働時間の短縮が課題であったにもかかわらず、「子どもにとって」との議論が先行したことが極めて日本的だといえる。部活もそうだが、学校と切り離した形での議論を当時からすすめていれば現在のような問題は起こり得なかっただろう。教員の働き方改革も労働時間削減と「子どものため」を切り離して考えることが如何に大切かをこの30年の経過から読み取らなければならない。


    9月16日 デジタル教科書 急拡大

     パソコンやタブレット端末で使うデジタル教科書について、全ての公立の小中高校などで導入した市区町村が、3月時点で292に上ることが15日、文部科学省の公開データで分かった。昨年3月の31から急増している。急速な普及の一方、活用法に悩む教員が多いことも判明。読解力向上には紙の教科書が適切との意見も強く、併用しながらどう学習効果を高めるか今後の活用が期待される。

     文科省は2024年度に小学5年〜中学3年の英語でデジタル教科書を導入する方針。全国の小中学生にパソコンやタブレット端末を1人1台配備する計画は既にほぼ完了しており、教育のデジタル化は一層進展する。

     共同通信が集計したところ、導入率100%の市区町村は滋賀県を除く46都道府県の292。全1741市区町村の16・8%に当たる。学校数で見ると3万2732校中1万1737校で、35・9%に上った。京都府内では、城陽市、向日市、八幡市と宇治田原町が導入率100%。

     青森市や松山市、福岡市といった県庁所在地のほか、千葉県柏市や東京都江東区など人口の多い自治体でも普及した。

     端末配備も進んだ。公立小中高校などの端末1台当たりの児童生徒数は16年までは6人台だったが、全小中学生に端末を配備する「GIGAスクール構想」を政府が19年12月に打ち出した後に急増し、22年3月時点ではO・9人となった。

     デジタル教科書は図や字を拡大し、音声や動画視聴できるのが特徴。読み上げ機能やタッチペンによる書き込みもでき、学習方法の広がりが期待される。一方、視力低下など健康への影響が懸念され、活用法を模索している。

     文科省の調査によると、教員が困ったことは「デタル教科書を活用した教科指導方法の検討」が54・4%で最多。「紙とデジタの使い分けが分からない」は40・4%だった。


    【表層深層】長所と短所 模索する現場

     デジタル教材が浸透している。タブレット端末やデジタル教科書を使えば遠隔授業を受けられ、動画や音声で理解を補える。学校統廃合が進む中、救世主となり得るのか。視力や姿勢の悪化、インターネット依存が懸念され「子供にじっくり考えさせたいなら紙の教科書がいい」(研究者)との声も。長所と短所を見極めながら、教育現場は模索を続けている。

     愛知県北東部の豊根村は、山間地にありながら「デジタル推進村」として知られる。村唯一の中学校の豊根中(原田基寛校長、生徒22人)では、国の施策に先駆けて2016年からタブレット端末を独自に導入し、デジタル対応を進めてきた。今年3月時点の配備率は100% だ。

     「技術」の授業中、机に置いた端末に生徒たちがタッチペンで書き込みをしていた。電気自動車(EV)のメリットとデメリットのまとめに取り組んでいる最中だった。

     人口約千人の村がいち早くデジタル化にかじを切った背景には「都市部と地方の教育格差拡大への懸念があった」(山本明弘教育長)。デジタル化を進めれば、山間部の学校でも多様な学習機会を確保しやすくなる上、反復学習も容易になる。

     政府も教育のデジタル化を推進し、小中学生への端末配備はほぼ実現した。8月には中央教育審議会の作業部会が、24年度から英語でデジタル教科書を導入する方針を了承した。遠隔授業にデジタル教材を活用する過疎地の学校も出始めた。

     政府がデジタル化を急ぐ背景には、学校での機器活用の遅れに対する危機感があったとされる。

     文部科学省によると、韓国では15年から全校でデジタル教科書使用が解禁された。聴覚障害のある児童生徒向けには指文字や手話の映像、視覚障害のある場合には電子点字資料などを備えた「マルチメディアブック」の開発にも着手。オーストラリアでは13年までに14〜17歳の全生徒に1人1台の教育用パソコンを整備した。

     有用性の一方で懸念もつきま とう。紙とデジタル端末の比較研究をしている群馬大の柴田博仁教授(認知科学)は、即時に反応するデジタル端末は子供に集中して考えさせたい場面では不向きだとして、優位性があるのは「現状では紙だ」と指摘する。検索機能に慣れてしまう危険性にも言及し「紙とデジタル の利便性は異なり、それぞれの特性を理解することが大切だ」と述べた。

     教育現場では工夫と実践が続く。豊根中の高森彦輝教諭は、タブレット端末には英語の発音チェックや読み上げ機能があり、生徒が関心を持ちやすいと説明。「端末を導入しただけでは学力は上がらない。子供が高めたい力こそ高めてあげたい」と強調した。


    府・市教委別の教科でも

     京都府と京都市の両教育委員会によると、デジタル教科書は、国の実証事業で本年度、全ての小中学校の小学5年〜中学3年の英語で導入され、8割程度の学校でさらに1つの教科に導入されているという。府教委学校教育課は「国の議論の様子を見ながら、効果的な活用が進むよう努めたい」としている。


    障害を持つ子どもたちにとってデジタルの技術は、これまで障害としてあったものを大きく乗り越えることになった部分も多い。視覚・聴覚あるいはアスペルガーなどの障害を持つ人にとっては大きな力となった。ただ、すべての子どもにとってメリットがあるかと言えば必ずしもそうではないらしい。国際学習到達度調査(PISA)の調査委員会は「OECD29か国のデータを分析すると、学校でコンピューターの使用が長くなればなるほど、数学の成績も文章読解力も下がっていた」という報告もあるらしい。


    9月10日 文科省 小学校教員 競争率最低

     都道府県や政令指定都市の教育委員会などが2021年度に実施した公立小学校の教員採用試験の競争率は、全国平均で20年度より0・1ポイント低い2・5倍となり4年連続で過去最低になったことが9日、文部科学省の調査で分かった。

     文科省は「団塊世代の大量退職に伴い、採用者数が増えたことが競争率低下の主な要因」と説明する。ただ、多くの学校関係者が、長時間労働などの改善が進まず職業としての人気が下がったと指摘しており、働き方改革が急務となっている。

     こうした事態を受け、中教審の特別部会は9日、教育委員会に試験日程を早めるよう求める提言を大筋で了承。早めに内定の出る民間企業の採用に対抗し、優れた人材を確保する狙いがある。

     調査によると、小学校の総採用者は1万6152人。18年度試験まで大量退職に伴う採用者の増加が続き、その後もおおむね維持している。

     一方、総受験者は4万636人となり、近年のピークだった11年度に比べて3割ほど減った。受験者の内訳では、新卒が20年度より256人増加し、既卒が3068人減少。競争率低下により新卒で合格するケースが増え、不合格となり働きながら再チャレンジする人が減ったとみられる。

     自治体別に競争率が最も低いのは秋田県と福岡県の1・3倍。2倍を切ったのは、採用試験を一緒にした広島県・広島市を一つと数えて計17だった。最高は高知県で9・2倍に上った。京都府は3・2倍、滋賀県は2・8倍だった。

     高校教員の競争率は1・2ポイント減の5・4倍。受験者数も新卒、既卒ともに減った。担当者は「高校は教員養成課程以外の大学生らが教員になる割合が高く、従来より多くが民間企業へ流れた可能性がある」と分析する。

     中学校教員の競争率は0・3ポイント増の4・7倍だった。


    学校現場の労働条件が極めて劣悪だということは「学校はブラック職場」という言葉に表されている。「教採不合格者=非正規教員への登録」というこれまでの構図が大きく崩れているのは、4月時点で「担任が決まらない」事態となって表れている。「定数」という考え方を改めなければ問題は解決しないだろう。財務省への文科省の積極的な働きが必要で、政治的な決断も必要。


    9月10日 文科省 日 国連 障害児分離教育中止を

     国連の障害者権利委員会は9日、8月に実施した日本政府への審査を踏まえ、政策の改善点について勧告を発表した。障害見を分離した特別支援教育の中止を要請したほか、精神科の強制入院を可能にしている法令の廃止を求めた。勧告に拘束力はないが、尊重することが求められる。ただ実現には教育現場の人手不足や病院団体の反発といったハードルがあり、政府の対応が問われる。

     勧告は障害者権利条約に基づいており、日本への勧告は2014年の条約締結後、初めて。

     特別支援教育を巡っては、通常教育に加われない障害児がおり、分けられた状態が長く続いていることに懸念を表明。分離教育の中止に向け、障害の有無にかかわらず共に学ぶ「インクルーシブ教育」に関する国の行動計画を作るよう求めた。

     通常学校が障害児の入学を拒めないようにする措置も要請した。

     精神科医療については、強制入院は障害に基づく差別だと指摘。強制入院による自由の剥奪を認めている全ての法的規定を廃止するよう求めた。精神科の全ての入院患者について、必要性をチェックすることも盛り込んだ。

     このほか、入所施設で暮らす障害者が依然として多いことから、地域社会で自立した生活ができるよう政府の予算配分を変えることも求めた。

     16年に起きた相模原市の障害者施設殺傷事件にも言及。日本社会の優生思想や能力主義に起因しているとして、事件を検証するよう求めた。


    国連の勧告内容は今までにも多くの障害者、障害者団体などからも要望のあったもので、政府の対応の遅れが指摘されていた。今回の勧告は日本の遅れを世界基準で認めた形。本紙には「ただ実現には教育現場の人手不足」とあるが、人手不足が主な要因ではなく「哲学」の欠如が大きい。かつて、45人学級でも障害児を普通学級で受け入れてきた実績は多数ある。それを行政がどう評価してきたかが問われるのだ。


    9月10日 厚労省 児童虐待 最多20.7万件

     全国の児童相談所が2021年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数が最多の20万7659件(速報値)に上ったことが9日、厚生労働省のまとめで分かった。前年度比で2615件(1・3%)増え1990年度の統計開始から31年連続増。子どもの前で家族に暴力を振るう面前DVなどの心理的虐待の増加が目立ち、初めて全体の6割を超えた。厚労省の担当者は「増加幅は鈍化したが、引き続き状況を注視する必要がある」と説明。新型コロナウイルス流行の影響については「増える要素も減る要素もあり、分析が難しい」としている。

     心理的虐待は、親らが子どもに暑言を浴びせることのほか、無視する、冷たい態度を取る、きょうだい間で差別をするといったことも該当する。

     全体を内容別にみると心理的虐待が12万4722件(60・1%)で最多。次いで身体的虐待4万9238件(23・7%)、ネグレクト(育児放棄)3万1452件(15・1%)、性的虐待2247件(1・1%)の順だった。心理的虐待は前年度から3388件増加した一方、身体的虐待は797件減った。

     虐待の相談経路は警察が10万3104件で全体のほぼ半数を占めた。児相との連携強化に伴い警察からの相談は近年増加傾向にあったが、今回は前年度比521件減となった。近隣・知人(2万8075件)や家族・親戚(1万7344件)は増加した。

     都道府県別では、東京が2万6047件で最も多く、鳥取県が135件で最少だった。京都府は2505件、滋賀県は2264件だった。



    9月10日 私立学校事業団 私大47.5%定員割れ

     今春入学者が定員割れした四年制の私立大は47・5%に当たる284校で、前年度より1・1ポイント(7校)増えたことが9日、日本私立学校振興・共済事業団の2022年度調査で分かった。1999年度の調査開始以来最多。私立大の定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は、過去最低だった前年度より1・03ポイント増え、100・84%だった。

     18歳人口の減少に伴い総受験者は2万844人減ったが、総入学者は7991人増えた。事業団は、大規模校が選抜方法を見直して積極的に学生を受け入れたことで全体の充足率が上がったものの、小規模校は学生集めに苦労していることが定員割れ拡大につながったと分析している。

     規模別の集計では、定員が3千人以上の大学の充足率は前年度から4・17ポイント上昇して104・07%。一方で「300人以上400人 未満」が3・57ポイント低下して91・63%となるなど、規模が小さくなるほど充足率が下がる傾向が出た。

     地域別では、東京や大阪とその周辺、愛知を合わせた三大都市圈の充足率が102・06%だったが、その他の地域は96・73%にとどまった。調査は募集停止中などを除く全国の大学598校の5月1日時点でのデータを集計した。


    地方の中小大学をどう活性化させるは問題。地方分権的な視点から「私学助成」の在り方を考える必要があるのではないだろうか。


    9月9日 府知事 府庁や振興局で半旗

     安倍晋三元首相の国葬を巡り、京都府の西脇隆俊知事は8日の定例記者会見で、国葬が行われる27日に府庁や府内4ヵ所の広域振興局などに半旗を掲げ、弔意を示す考えを表明した。自身も公務として参列するとした。

     西脇知事によると、2020年10月にあった中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬の際も府庁と各振興局などで半旗を掲揚したといい、先例にならう。国旗を掲げている他の府施設でも半旗掲揚を予定しているが、府は箇所数について「把握していない」(総務調整課)という。

     西脇知事は、政府が都道府県知事に参列の案内状を出すことを踏まえ「知事という立場で公務として参列する」と説明した。このため交通費などは「公費負担するものだと考えている」とし、府の公金を充てる方針を示した。

     一方、府内市町村への対応については[(弔意表明を)働きかけるつもりはない」としヽ学校現場にも「府教委から府立学校に通知するつもりはないと聞いている」と述べた。


    8日の衆・参両議院運営委員会での岸田首相の「丁寧な説明」が不発だったにもかかわらず、「国葬」にする理由は全く定かにならなかった。一層「統一教会」と安倍政権との密接な関係が透けて見える。にもかかわらず、「公務として出席」するということは府民を代表して弔意を示すことになる。おそらく府民の6割も「国葬」反対だろうに。


    9月9日 府教委 1学期 いじめ1万14件

     京都府教育委員会は8日。京都市立を除く府内の小中高校、特別支援学校を対象に実施したいじめ調査の2022年度1学期分の結果を発表した。認知件数は前年度同期より3・4%少ない1万14件だった。欠席が30日以上続く「重大事態」が高校で1件あった。

     認知件数の内訳は、小学校8813件(前年度同期比3・2%減)、中学校930件(2・5%減)、高校199件(7・4%減)、特別支援学校72件(20・9%減)だった。

     重大事態は、高校生が同級生から通学途中や授業中、部活中に嫌なことを言われたり、仲間はずれにされたりしたほか、授業中に背中をたたかれたという。6月上旬から欠席が続いているため、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態として対応している。

     いじめの内容は、小中学校で最も多いのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」で4698件、次いで「軽くぷつかられたり、遊ぷふりしてたたかれたり、蹴られたりする」が2400件、「仲間外れ、集団による無視をされる」が1545件だった。

     府教委は認知件数が喊少した背景として「新型コロナウイルス禍で子どもたち同士の接触機会が減ったこともあるのでは」とし、「いじめが潜在化している可能性もあるため、見落とさないよう丁寧に把握していきたい」としている。


    いじめの実数が減少しているのは望ましいことだが、コロナによって子どもの接触機会が減ったことが「原因」との分析。学校の構造的な問題への言及は現時点ではない。


    9月8日 連合総研 教員の残業、月123時間

     連合のシンクタンク、連合総合生活開発研究所(連合総研)は7日、公立小中高校などに勤める教員の労働時間に関するアンケート結果を公表した。残業は月平均123時間16分で、2015年の前回調査より6時間ほど減ったが、厚生労働省が示す「過労死ライン」の80時間を大幅に超える状況が続いた。

     連合総研の平川則男副所長は「働き方改革の考えが少しずつ浸透してきたが、まだ道半ばだ」と話し、長時間労働の改善を求めていくとした。

     調査結果によると、平日の残業は4時間22分で前回より5分減少。そのうち、持ち帰りによる自宅での残業が46分で3分増えた。休日の仕事は全て残業とカウントして1日3時間24分となり、32分減少した。平日の休憩時間を初めて尋ねて9・7分だったが、「O分」が半数を超えた。

     また、管理職による労働時間の把握が進むとともに、有給休暇の取得も増えたとの傾向が出た。負担軽減に必要な対策として、登下校指導などの「教員業務の見直し」や、「支援スタッフの活用」を求める意見が目立った。調査は日教組を通じて今年5、6月ころにインターネットで行い、全国の9214人から有効回答を得た。


    現場の管理職は在校時間をできるだけ短縮し、出退勤記録にあとが残らないように努力しているが、結果的に「持ち帰り仕事」が増えている。これではなんのための「働き方改革」なのか。必要なことは、教員の業務をどう削減していくかということだろう。諸外国の業務と比較しながら問題を解決する志向を持たないといつまでたっても同じ状況が続く。「(1)授業や生徒指導に費やす時間の長さは国際的に見て標準的である一方で,子どもと直接接しない時間における事務的な業務や学校運営に関する業務,さらに中学校の部活動について特に業務量が多く,世界最長の仕事時間につながっていること、(2)授業の内容の決定や学習教材の選択等について自律性が低いこと、(3)多忙のため,職能開発に費やす時間が世界最低であること、(4)他の多くの国と同様に,事務的な業務が多すぎることを最もストレスに感じていること等が浮き彫りになった」と、杉浦健太郎(国立教育政策研究所総括研究官)さんは指摘している。


    9月8日 市教委 学校HPで校則公開へ

     京都市教育委員会は7日、学校ホームページ(HP)などによる校則の公開に向けて校長会と調整していることを明らかにした。不合理な校則「ブラック校則」が社会問題になる中、文部科学省の生徒指導の手引き「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂されることを踏まえた。

     改訂版の手引きでは、在校生以外も参照できるよう校則をHPに掲載し、制定した背景も示すのが適切だとしている。また学校が意義を説明できない校則は見直し、児童生徒や保護者らの意見を聴いた上で定めるよう求めている。

     市教委の対応はこれを受けたもので、この日開かれた市議会教育福祉委員会で明らかにした。清水康一指導部担当部長はHP公開について、市教委から学校に一律の指示を出すかどうかは決めていないとしたものの、「公開の重要性は理解しており、校長会と共有している。公開を推奨する方向で調整している」と述べた。

     公開に向けたスケジュールについては、「校則の見直しの期間をどれくらい設けるか、どのように児童生徒らから意見を聴取するかというのもあり現段階では言えないが、すみやかに調整したい」と答えた。生徒指導提要は9月中をめどに文科省HPで公開される予定。


    いわゆる「ブラック校則」が改訂されることは望ましいのだが、大人サイドの問題として片づけられるとしたらそれはあまり意味のないもになってしまう。子ども自身が不合理だと考え、なぜ改定するのかを議論するきっかけにすべきだろう。また、「ルールは変えられる」という意識を子どもが持つことにこそ、シチズンシップ教育前進への機会にすべきだろう。


    9月8日 京都市 京都市本庁舎に半旗

     安倍晋三元首相の国葬を巡り、京都市の門川大作市長は7日の定例記者会見で、国葬当日の27日は市役所本庁舎に半旗を掲げ、弔意を示す考えを示した。京都新聞社の取材に対し、参列の意思があることも明らかにした。

     門川市長は会見で「元総理の葬儀に際しては、市の本庁舎に半旗を掲げて弔意を示している」と説明した。安倍氏の家族葬が営まれた7月12日も本庁舎の市旗と国旗を半旗とし、哀悼の意を示していたという。

     一方、学校現場については「教育委員会からは特別な連絡をすることは考えていないと聞いている」と述べた。区役所や支所など出先期間の対応を問われると「本庁舎に京都市を代表して半旗を掲げて弔意を表したい」と話した。

     自身の国葬参列については、取材に「(参列に向けて)調整したい」と答えた。

     政府は国葬について、地方自治体や教育委員会などに弔意表明の協力を求めない方針を示している。


    「国葬」をめぐっては各新聞社の世論調査が軒並み「反対」が「賛成」を上回っている。また、自治体からの首長らの参加に対する「公金差し止め」の請求も起こっている。そした中、京都市として強引に「弔意」を示すことに意味はなんだろうか。2024年に予定されている市長選挙を見越しての話かと邪推せざるを得ない。


    9月7日 仙台 廃校をフリースクールに

     2015年に廃校となった仙台市太白区の坪沼小学校が今月、不登校の小中学生対象のフリースクールに生まれ変わる。小学生向けは来春「不登校特例校」に移行を予定。運営する学校法人「ろりぽっぷ学園」の加茂光孝学園長(46)は「学びの選択肢として、ここも居場所だよと伝えたい」と意気込む。

     田んぼや山に囲まれ、セミやカエルの鳴き声が聞こえる校舎では「地域の温かい人とさまざまな交流ができる」という。子どもの主体性と多様性を重視した欧州発祥の「イエナプラン教育」を導入。異なる学年同士でグループをつくり、対話や遊びを通じた探求活動などを行う。

     同法人は仙台市内で複数の保育園を運営する。卒園後、不登校となった子どもや保護者の悩む姿に直面した加茂さんは「同学年同士のクラス編成ではお互いに自然と比較、同調するため、負担を感じてしまう」と原因を分析。個人を尊重する幼児教育のノウハウを生かせないかと考えた。

     8月の開校プレイベントには、5日間で延べ35人の小中学生が参加した。ヘビを捕まえたり、ビーズや輪ゴムで染め物を作ったりする一方、図書スペースで休憩する子どもも。加茂さんは「同じ空間にいるだけでいい。その子のタイミングでいい」と見守った。

     小4の不登校の息子と参加した太白区の主婦(50)は「久しぶりに子どもの生き生きした姿を見られた」と目に涙を浮かべた。

     特例校移行に伴い、小学生向けのフリースクールは来年3月までの予定。中学生向けも、将来的に特例校化の計画がある。東北では、宮城県の富谷市立富谷中学校西成田教室が今年4月、特例校として開校した。


    【用語】不登校特例校

     不登校の児童、生徒を対象に、少人数指導や個々の習熟度に合わせた柔軟な学習機会を提供する学校。文部科学相が指定する民間施設のフリースクールに対し、学校教育法に基づく「学校」として子どもの在籍校となり、進路や卒業に関する書類を発行できる。2005年から全国で開校可能となった。今年4月時点で10都道府県の公私立小中高21校が指定されている。文科省は6月、有識者会議のまとめた提言を全国の教育委員会に通知、設置を促した。


    少子化に伴って学校の統廃合がどの自治体でも課題になっている。そして「廃校」の跡地利用については様々な議論がある。大都市と地方都市との違いはあるものの、自治体の財政のために売却を決定するのは愚策というより他はない。きょうとでも、夜間中学校設置の要望は強くあるなかで、一つの利用の方法として考えてみることは可能だろう。


    9月3日 京都市 伏見・向島中跡地売却へ

     京都市伏見区の向島ニュータウン内にある中学校跡地の活用に向け、京都市は売却を前提に民間から活用策を募る方針を決めた。若年層向けの分譲住宅の整備や働<場の創出など地域の活性化につながる提案を求める。跡地をまちづくり拠点として利用してきた住民からは代替施設の確保を求める声も出ている。

     向島中の跡地で、広さは約1万6千平方メートルある。近鉄向島駅から約500メートルと近い。同中は、児童数が減少した周辺の3小学校とともに小中一貫校「向島秀蓮小中」に統合され、2019年3月末で閉校した。

     跡地は事業者の計画を審査し、校舎を含め一括して売却する方針。多文化・多世代共生のまちづくりを進める拠点▽子育て世帯の受け皿となる分譲住宅▽地域内雇用の場の創出―など住民参加でまとめたまちづくりビジョンに沿った提案を求める。

     8月26日に事業者選定委員会が開かれ、募集要項や11月末まで提案を受け付けることを確認した。12月以降に事業者を決定し、契約の可否を市議会に諮る。

     現在、跡地は「むかちゅうセンター」として福祉や文化、まちづくりなど約30の住民団体が利用している。利用団体は「住民が交流する貴重な場所」として継続利用や代替施設の確保を求める陳情も行い、委員会でも「企業には集会場所の併設という地元の願いも生かしてほしい」との意見が出た。

     9月末の退去を求める市は「市営住宅の空き部屋など、できるだけ代替場所を確保できるように協議していきたい」としている。


    京都市の学校統廃合が急速に進んでいる。跡地利用についても当初は住民の意向を尊重するような形で議論されていたが、結果的には売却の方向に話は進んでいく。旧市街の跡地の多くは「ホテル」が建築されている。「竈金の精神」と持ち上げられた番組小学校の末路に見える。観光に頼る町づくりから住民のための街づくりを強く打ち出す必要があるだろ。


    9月3日 日本財団 「子らの人生 選択肢広げたい」

     京都市伏見区のショートステイ(子どもの一時預かり)施設「メリーアティツクボンド」に、地域の子どもたちへの学習支援などを行う場「メリーアティツクホープ」が開所した。プログラミングなども学べるといい、代表者は「学習や多様な体験を通じて、子どもたちの人生の選択肢を広げたい」と話す。

     日本財団が全国で展開する「子ども第三の居場所づくり」事業の一環。居場所事業とは、学校と家庭以外で過ごせる所を子どもに提供する取り組みだ。

     「メリーアティツクホープ」は、ボンドを運営する一般社団法人メリーアティツクと同財団、京都市が実施する。家庭環境にかかわらず、あらゆる子どもが学びと体験の機会を得られることを目的に立ち上げた。一軒家であるボンドの施設を、ホープの活動の場としても活用する。

     7月に福祉関係者らが集まった開所式があり、メリーアティツクの代表がホープの活動内容について説明した。子どもたちはプログラミングのほかに、菓子作りや理科実験、工作などを体験でき、開所は週3回で、午後3時〜7時。今後、利用できる曜日や時間を広げていく。ショートステイを利用する子どもも申し込めば参加できる。参加費無料。ホープ080(3837)2869


    「子どもの居場所」が必要なことは、コロナ拡大で一層明らかになった。そうした場づくりが行われていることは朗報。こうした事業に行政がかかわることも重要だが、将来的な展望と「情報弱者」にどう知らせるのかということも必要。


    9月2日 京都市 部活動地域移行 検討組織設置へ

     京都市の教育課題について門川大作市長と教育委員らが話し合う「市総合教育会議」が1日、市役所で開かれた。来年度から公立中学校で始まる休日部活動の地域移行について、門川市長は実現に向けて課題を議論する検討組織を設ける意向を示した。

     地域移行は、教員の負担軽減などのため休日の部活を地域団体や民間事業者に委ねる取り組み。国は来年度から3年間を改革集中期間と位置付けている。

     会議では教育委員の奥野史子氏が「地域に委ねても子どもの様子を見ることが大事で、学校と地域をつなぐコーディネーターの役割が重要」と指摘。市中学校長会会長の長谷川正己洛北中校長は「部活に熱い思いを持つ教員の気持ちも大事にしなければならず、難しい」と語った。

     門川市長は「(検討組織で)全庁挙げて課題を出し、解決策を考え、方向性を決めたい」と述べた。

     このほか会議では「子どもの『学びたい』『〜したい』という意欲を育てることが最も大事」「ICT(情報通信技術)端末の活用も重要だが、刺激をなくし、自分を内省する時間も設けるべきだ」との意見も出された。


    なんでも「日本一」を好む京都市が果たして「勝利至上主義」を脱して、余暇や楽しみとしてのスポーツに転換できるかが課題。しかし、議論は現在の部活が子どものためにあるとの考えから抜け出ていないように思える。高松平藏・著『ドイツの学校にはなぜ「部活」がないのか』は、日本と社会的な基盤が大きく異なるドイツのスポーツについての著作だが学ぶべき点は多い。