ロシアのウクライナ侵攻7(4/15〜) ロシアのウクライナ侵攻1(3/14〜4/19)へ  ロシアのウクライナ侵攻2(4/20〜5/21)へ ロシアのウクライナ侵攻3(5/22〜7/16)へ ロシアのウクライナ侵攻4(7/19〜10/9)へ ロシアのウクライナ侵攻5(10/10〜1/6)へ ロシアのウクライナ侵攻6(1/7〜4/6)へ ロシアのウクライナ侵攻8(7/13〜)へ ロシアのウクライナ侵攻9(4/15〜)

中国 武器提供せず明言(4/15)

習氏「停戦と平和 努力」(4/27)

国防相「反攻で全土奪還」(4/30)

大規模反攻「近く開始」(5/2)

ロシア大統領府に無人機攻撃(5/5)

【インサイド】ロシア 侵攻強化正当化か(5/5)

ゼレンスキー大統領 G7広島入り(5/20)

米、F16供与容認か(5/20)

【インサイド】精力的に会談 話題さらう(5/22)

【インサイド】軍事支援巡り 日本ジレンマ(5/22)

ロ西部国境州で銃撃、死傷(5/24)

NATO諸国 国防費急増(5/25)

ロ戦術核移転「始まった」(5/27)

半島先住民指導者 「クリミアを年内に完全解放」(5/28)

ウクライナ 反攻で原発事故懸念(5/29)

モスクワに無人機攻撃(5/31)

ウクライナ反攻開始か(6/6)

ゼレンスキー氏「映画とは違う」(6/6)

原発給水ダム決壊(6/7)

ロシア国防相「大規模反攻始まった」(6/7)

「敵の破壊工作」両国主張(6/8)

洪水 ロシア占領地深刻(6/9)

飲料水や農業に打撃(6/9)

ウクライナの「反攻を撃退」(6/10)

絶えない砲撃 救援活動妨害(6/11)

劣化ウラン弾 米が供与か(6/14)

ロシアの戦術核 ベラルーシ搬入(6/18)

ロシア、ベラルーシに戦術核(6/18)

ロ、ウクライナ和平に懐疑(6/19)

米大統領 ロシアの戦術核「使用は現実的」(6/21)

ウクライナ復興 民間参画議論(6/22)

クリミア北部の橋攻撃(6/23)

反乱ワグネル、進軍停止(6/26)

ベラルーシに宿営地か(6/28)

ワグネル 存続不透明に(7/1)

ザポロジェ原発 職員退避(7/1)

原子炉建屋に「爆発物」(7/6)

米、クラスター弾供与へ(7/8)

弾薬枯渇 米、苦渋の決断(7/9)

日本、米の収束弾供与追認(7/11)

収束弾、NATO一部反対(7/11)

ウクライナ 環境破壊進む(7/12)


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中国 武器提供せず明言(2023/4/15 京都新聞)

【北京、ベルリン共同】中国の秦剛国務委員兼外相と中国を初めて訪問したドイツのペーアボック外相は14日、外交安全戦略対話を行った。ロシアによるウクライナ侵攻に関し、秦氏は対話後の記者会見で「紛争当事者に武器を提供することはない」と明言した。米国は中国がロシアへの武器提供を検討しているとして懸念を表明していた。

 中国外務省によると、戦略対話で中国はウクライナ情勢を巡り「和平に向けて努力を続けたい」と表明し、対話を通じて解決すべきだと強調。台湾問題では中国の立場を明確に伝えたという。

 ベーアボック氏は記者会見で「中国ほどロシアに影響力を持つ国はない。影響力をどう使うかは欧州の利益にも直結する」と述べ、中国は積極的に役割を果かすべきだとの考えを示した。台湾情勢を巡っては、緊張が高まり軍事衝突が起きることを「恐怖のシナリオ」と警告。「不安定化は全ての国、世界経済に影響を与えるだろう」と述べた。

 中国外務省の汪文斌副報道局長は14日の記者会見で、両国は戦略対話で相互信頼を高め、あらゆる分野で協力聚瑠進することで一致したと明らかにした。


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習氏「停戦と平和 努力」(2023/4/27 京都新聞)

【北京、キーウ共同】中国の習近平国家主席とウクライナのゼレンスキー大統領は26日、電話会談し、両国関係やロシアによるウクライナ侵攻を巡り意見交換した。習氏は「中国は速やかな停戦と平和回復のために努力する」と述べ、ウクライナに中国政府の特別代表を派遣し、関係国と意思疎通を図ると表明した。中国国営中央テレビが伝えた。

 両首脳の電話会談は昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻以降で初めて。習氏はこれまでロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢を巡り協議していた。ゼレンスキー氏とも対話したことで、和平実現に向けた仲介に乗り出した形だ。

 ゼレンスキー氏は習氏と「長く有意義な電話会談」を行ったとツイッターに投稿し、両国関係の発展に力強い弾みを与えると述べた。ウクライナ大統領報道官によると、会談は約1時間行われた。

 ウクライナ情勢を巡り中国は2月、「全面的停戦」「和平対話の開始」など12項目の提案を発表した。習氏は3月に訪ロしてプーチン氏と会談し「建設的役割を果たしたい」と発言。仲介役に意欲を表明した。

 しかし、同提案の中には、ゼレンスキー氏が求めるウクライナ領からのロシア軍の完全撤退は盛り込まれていないなどロシア寄りだとみられており、中国が公正な仲介ができるかどうかは不透明だ。

 習氏は、今月6日にはフランスのマクロン大統領と会談し、和平実現に向けた方策を探った。

 中国はイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介するなど、最近は外交で存在感を高めている。


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国防相「反攻で全土奪還」(2023/4/30 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナのレズニコフ国防相は28日、首都キーウ(キエフ)で共同通信の単独インタビューに応じた。ロシアに対する大規模な反転攻勢を「準備している」とし、クリミア半島を含む全領土奪還に意欲を示した。ロシアによる核威嚇は国際社会への「虚勢」だと切り捨て、5月の先進7力国首竪謳(G7広島サミット)では「言葉だけではなく実際の成果」を期待した。

 対ロ反攻は5月にも始まるとみられているが、欧米からの武器供与が頼みの綱。ロシアも防衛を強化しており、成功するかどうかは不透明だ。レズニコフ氏は開始時期や方面、地点などは「最高機密」として明らかにしなかった。

 レズニコフ氏は、日本が殺傷能力のある武器を提供できない状況を「理解する」とする一方、日本は「電子戦において非常に近代的な国だ」と指摘。民間施設を攻撃するイラン製無人機(ドローン)への対策は電波妨害(ジャミング)が最も有効だとして機材支援を求めた。

 G7広島サミットでは、ウクライナ情勢が主要議題の一つ。レズニコフ氏は、ロシアのプーチン政権を裁くために国際法廷を設置する必要があると強調。「クレムリンの戦争犯罪者は罰せられると理解しなければならない」と述べ、支持を呼びかけた。対ロシア制裁の議論も求めた。

 ロシアが核威嚇を繰り返していることに対し、レズニコフ氏は、日本や欧米など「文明社会を脅すために虚勢を張ろうとしている」と述べ、ウクライナへの人道支援や武器供与をやめさせることなどが狙いと主張した。

 中国による和平仲介については「交渉はウクライナの勝利の後の議題だ」と消極的な見解を示した。一方で「隣国との共存は次世代のために重要になる」と述べ、将来の安全保障の枠組み構築に意欲を示した。

 ロシアは欧州最大のザポロジエ原発も占拠。周辺での攻撃で大事故が起きることが懸念されている。レズニコフ氏はチェルノブイリ原発事故に触れ、ザポロジエ原発に関しては全てのリスクを理解しているので慎重に行動するとし、事故回避に努める考えを強調した。

 欧米の武器供与の水準について、レズニコフ氏は「防衛と反攻の準備」を同時にする必要があるため、さらなる供与が必要だと訴えた。さらに防空システムの強化やF16戦闘機などを要望した。


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大規模反攻「近く開始」(2023/5/2 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は4月30日、国境警備隊の式典で演説し「重要な戦いが控えている」と述べ、ロシアが実効支配する領土奪還に向けた大規模な反転攻勢が近く行われると示唆した。「私たちの土地や国民をロシアの支配から解放し、陸と海の国境を取り戻さなければならない」とも訴えた。ウクライナ大統領府が発表した。ヽ

 反転攻勢は5月にも始まるとみられる。北大西洋条約機碍(NATO)加盟国と友好国はウクライナにこれまで、ドイツ製の主力戦車レオパルト2など1700両超の戦闘車両を供与した。各国が約束した98%以上が引き渡されたことになる。

 ただ、ウクライナ側は砲弾などの不足が指摘されるほか、ロシア側も反攻への警戒を強めており、戦闘が思惑通りに進むかどうか見通せない。

 成果が乏しければ、ウクライナに停戦交渉を求める欧米からの圧力が強まるとの見方も浮上。攻勢の行方は戦局全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 ウクライナ軍のフメニュク報道官は30日、ロシアが実効支配するクリミア半島セバストポリで29日に石油備蓄施設で起きた火災は無人機(ドローン)を使った攻撃で、反転攻勢の「準備の一環」だと地元メディアに語った。

 また、ウクライナに対する防空装備の供与も進み、ウクライナ空軍報道官は米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」の一部が配備されたと明らかにした。


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ロシア大統領府に無人機攻撃(2023/5/5 京都新聞)

【キーウ共同】モスクワのクレムリン(大統領府)がウクライナの無人機に攻撃されたとロシアが発表したことに関し、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、「プーチン(大統領)もモスクワも攻撃していない」と関与を否定した。ロシアはプーチン大統領を狙った「暗殺未遂」と主張。米国は事実関係を注視している。米シンクタンクはロシアによる自作自演の可能性を指摘した。

 ロシアは3日未明に無人機2機がクレムリンを攻撃したが、プーチン氏は無事だと説明した。事実ならモスクワ中心部への攻撃は、昨年2月にウクライナ侵攻が始まって以来初めて。ロシア連邦捜査委員会はテロ事件として捜査を開始した。

 ゼレンスキー氏はフィンランドでの北欧5力国首脳との共同記者会見で「われわれは自国領土で戦っている」と述べた。

 米国のブリンケン国務長官はワシントンーポスト紙主催の会合で、何か起きたかは「全く分からないIとし、事実関係を確認すると表明。「ロシアの言うことをうのみにはしない」とも述べ、ロシアの主張に懐疑的な見方を示した。

 米戦争研究所は3日、クレムリンへの無人機攻撃はロシアによる自作自演の可能性が高いとする分析を発表した。ロシアは防空システムを増強しており、2機の無人機が防空網を突破することは「極めて考えにくい」と指摘。より幅広い動員を可能とする環境づくりの一環で、ロシアが仕組んだとみられるとの見方を示した。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、クレムリンへの無入機攻撃は米国政府の決定に基づくものだと主張、ウクライナを軍事支援するバイテン米政権を名指しで批判した。ロシア領内への攻撃に米国が直接関与するのは極めて危険だとも指摘。ウクライナ側への報復は「最も広範なものになる」と警告した。

 ロシアは、同国最大の祝日である今月9日の対ドイツ戦勝記念日を前にウクライナがプーチン氏の殺害を狙ったと訴え「対抗措置を取る権利を留保する」として報復を示唆している。


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【インサイド】ロシア 侵攻強化正当化か(2023/5/5 京都新聞)

 ロシア大統領府が「プーチン大統領の殺害を図ったウクライナのテロ行為」と発表した3日の無人機攻撃は、政権中枢のクレムリンがドローン2機で狙われた前代未聞の事態だった。政権幹部は一斉に反発し、報復を呼びかけるが、ウクライナ側は関与を否定。事件には不自然な点も多く、今月中ともされるウクライナの大規模反攻を視野に、侵攻作戦強化を正当化するプーチン政権の思惑もちらついている。

 最初の無人機が飛来したのは3日午前2時半(日本時間同8時半)前後。約16分後に2機目が飛来し、いずれも迎撃システムで破壊 された。交流サイト(SNS)では闇夜に大統領官邸があるクレムリンの円天井付近で爆発が起きる場面の映像が出回った。

 クレムリンは帝政時代から皇帝が執務する「権力の館」だ。ソ連崩壊後の大統領府も置かれ、屋上には権力の象徴である紋章入りの大 統領旗が掲げられている。

 ウォロジン下院議長は3日夜「(ウクライナの)ゼレンスキー政権は国際テロ組織と同じだ。ロシアや欧州、世界全体を脅威にさらしている」と非難。政権打倒に必要な武器を使うべきだと訴えた。メドベーシェフ前大統領も「もはやゼレンスキーを物理的に排除するしかない」と通信アプリに投稿した。

 だがプーチン氏は攻撃前日に第2の都市サンクトペテルブルグに出張し不在。プーチン氏がモスクワ郊外の大統領公邸で寝起きし大半の執務をこなしていることは周知の事実で、未明の攻撃が大統領本人を狙ったものとの説明には無理がある。

 攻撃があったとの発表は半日もたった3日午後2時半。暗闇の中で撮影された映像が一斉に出回ったのも発表直後からだった。

 ロシア紙コメルサントによると、使用されたのは大きさ3〜5メートルの無人機で、数キロの爆発物を搭載した場合の航続距離は約500キロ。ウクライナ国境からモスクワまでの最短距離は約450キロだ。ロシアは度重なる無人機攻撃を受け防空態勢を強化してもいる。同紙はウクライナから飛来したとは考えにくいとの当局者の話を伝えた。

 軍事作戦が長引くロシアでは、ウクライナに長距離砲や戦車を供与する欧米への反感と、ウクライナの大規模反転攻勢への懸念が拡大。軍事専門家らの間では、首都キーウなどをじゅうたん爆撃しウクライナを敗北に追い込む必要があるとの強硬論が出始めている。

 3日にフィンランドで北欧首脳らと会談したゼレンスキー氏は関与を全面否定。ウクライナのポドリヤク大統領府長官顧問は「ロシアは大規模攻撃の口実を探している」と主張した。(共同)


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ゼレンスキー大統領 G7広島入り(2023/5/5 京都新聞)

 「核の脅し」を受けるウクライナのセレンスキー大統領が被爆地・広島入りする。ロシアの侵攻から間もなく1年3ヵ月。和平の兆しはなく、ウクライナは大規模な反転攻勢を準備中だ。ゼレンスキー氏は今月、異例のペースで外遊を重ねている。主要国が一堂に会する先進7力国首脳会議(G7広島サミット)を反攻前の外交の総仕上げと位置付け、世界に支援の継続を訴える。

 「われわれの兵士と国家は強くなり続けている」。ゼレンスキー氏は15日のビデオ声明でこう誇った。この日までにG7メンバーのイタリア、ドイツ、フランス、英国のほか、新たに北大西洋条約機構(NATO)に加盟したフィンランドを訪問。攻撃用無人機(ドローン)や装甲車の追加供与を取り付けた。

 戦争当事国の最高指揮官が国を留守にするリスクは残る。それでもゼレンスキー氏は国際社会の支持拡大を図り、精力的に外遊をこなし、19日にはアラブ連盟首脳会議に出席するため、サウジアラビアを電撃訪問した。

 戦況は膠着状態が続いてきた。だが、供与されたドイツ製主力戦車レオパルト2の運用訓練も進み、英国からはこれまでより射程が長い巡航ミサイル「ストームシャドー」の提供を受けた。反攻開始は間近だとされる。生命線の欧米からの軍事支援をより確固にする最終段階が広島サミットだ。

 19日のサミット開幕が近づくにつれ、オンライン出席でなく、本人が訪日するとの観測が流れ始め、ウクライナ政府高官も否定しなかった。

 核威嚇を続けるロシアに抵抗する国のトップとして、広島からの発信は強力なメッセージとなる。また、ロシアと友好関係を維持するインドやブラジルも拡大会合に招待されており、ゼレンスキー氏はこうした国に直接接触できる。

 米政府は訪日計画を事前に把握し支持した。G7は「ロシアに対する結束の中心」(米政権高官)だ。祖国を防衛するゼレンスキー氏と、支える側のG7首脳のそろい踏みは、強固な絆を示すこれ以上ない機会となる。

 「18日夜に公表した通り、ゼレンスキー大統領はオンラインで参加する予定です」。19日午後、松野博一宣房長官は記者会見で説明した。既に国内外のメディアが訪日を報じていたが、しらを切り通した。

 「18日の公表」とは、ゼレンスキー氏が21日のサミットセッションにオンライン参加するとした日本外務省の発表を指す。岸田文雄首相は18日夜、記者団に「当初19日の予定だったが、ウクライナ側の事情で21日午前にオンラインで参加する形に変更する」と語り、公式発表の線にとどめ、19日夜の取材にも説明を変えようとしなかった。

 政権幹部は「戦況にも左右される。ゼレンスキー氏の身の安全を優先すれば、ぎりぎりまで発表できない」と推し量った。

 首相が3月にウクライナを訪問した際も同様の対応だった。訪問先のインドを極秘裏に出発。同行を少人数に絞り、ポーランドから鉄路へ。日本で速報が伝えられても、外務省が正式発表したのは入国のため国境を越えた後だった。

 今回もけむに巻く日本政府。官邸幹部は「外交には最後まで言えないことがある」と話した。キーウ、広島共同)


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米、F16供与容認か(2023/5/5 京都新聞)

【ワシントン、ロンドン共同】米CNNテレビは18日、当局者の話として、米国が米国製F16戦闘機を保有する欧州諸国に、ウクライナへの供与容認を示唆したと報じた。ウクライナは供与を強く求めており、オランダが前向きな意向を示している。F16には米国の機密技術が含まれ、欧州側が供与するには米国の承認が必要。事実ならロシアの反発は必至だ。

 また、ウォレス英国防相は18日、英国がウクライナに供与した空中発射型巡航ミサイル「ストームシャドー」が既に使われたと明らかにした。

 F16はウクライナ軍が運用中のミグ29など旧ソ連製戦闘機の性能を大幅に上回るとされる。CNNによると、欧州側から米国への正式な承認要請はないという。

 ロシアが支配するクリミア半島の中心都市シンフェロポリと黒海艦隊の拠点セバストポリを結ぶ鉄道で18日、脱線があり、鉄道当局は「外部からの干渉」によるものと発表した。英国防省は19日、クリミアの他の重要インフラを守れるかどうかロシアが懸念を強めることになるとの分析を公表した。

 インタファクス通信によると、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は18日、ウクライナ側からの州内村落への砲撃で、住民2人が死亡したと明らかにした。     `

 ウクライナメディアによると、19日未明にゼレンスキー大統領の出身地南部クリブイリフでロシア軍の空爆があり、64歳の女性が負傷した。

 米国防総省のシン副報道官は18日の定例記者会見で、ウクライナに供与後、ロシア軍による攻撃で損傷した米国製地対空ミサイルシステム「パトリオット」について「修理は完了し、完全に稼働している」と明らかにした。損傷の程度について「一時的なもので軽微だった」と述べた。シン氏は米国が修理を支援したと説明したが、詳しい方法については言及を避けた。


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【インサイド】精力的に会談 話題さらう(2023/5/22 京都新聞)

 ウクライナのゼレンスキー大統領の来日は先進7力国首脳会議(G7広島サミット)の話題をさらった。新興・途上国の首脳を含め精力的に個別会談をこなし、米国からは新たな軍事支援を引き出し、悲願の米国製F16戦闘機供与にめどを付けた。来日は大きな成果を上げ、準備中の反転攻勢に向け士気は高まる。ただ、ロシアも防御を固めているとされ、戦闘の長斯化も見据えている。

 「われわれは戦場で強い立場にいられる」。ゼレンスキー氏は21日、バイテン米大統領との会談冒頭にこう謝意を述べた。バイテン氏は3億7500万/(約517億円)の追加の軍事支援を表明。欧州諸国によるF16の供与を容認すると伝えた。

 歴史的

 ゼレンスキー氏は広島に到着した20日、ロシアと友好関係を維持するインドのモディ首相と、21日にはインドネシアのジョコ大統領とそれぞれ会談。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国に直接支持を訴えた。

 G7首脳はこうしたゼレンスキー氏の動きをこぞって称賛。スナク英首相は「歴史的」と述べ、フランスのマクロン大統領はサミットに対面出席したことこそが、ロシアに対抗する上で「ゲームチェンジャー」になったと評価した。

 防御固め

 ゼレンスキー氏のサミット出席は、反攻開始前に国際社会の支援を固める目的があったと指摘される。反攻は間近とみられ、シンクタンク「欧州外交評議会」のグスタフ・グレッセル氏は、ロシア黒海艦隊の基地があるクリミア半島方面を狙うのが「危険だが見返りも大きい」と分析する。

 ただロシアは占領地に地雷を敷設したり、塹壕を掘ったりして防御固めを急いでいる。ウクライナ側は否定したが、21日にはウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトを完全に制圧したと発表した。戦闘が長期化するとの見方も強い。、

 サンタ

 そうした中、米国のF16供与容認はウクライナにとり大きな意味を持つ。「サンタクロースは存在したようだ。新しい戦闘機連合が生まれた」。ウクライナのレズニコフ国防相はツイッターに喜びをつづった。

 機動性が高く、対地上攻撃忙も優れたF16が配備されれば、制空権の確保で優位に立ち戦況を大きく変えるとみられている。ロシアのグルシコ外務次官は「状況をエスカレートさせる」と猛反発した。

 F16を操縦するには長時間の訓練が必要になる。フランスは戦闘機パイロット養成を受け入れると表明したが、大統領府筋は数力月から数年かかり「将来を準備し、持続的に支援するということだ」と説明する。

 これまでF16供与容認に否定的だった米側も将来的な空軍力の強化が目的だと主張する。サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は20日の記者会見で「戦況次第で提供する兵器も変わる」と強調した。(キーウ、広島共同)


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【インサイド】軍事支援巡り 日本ジレンマ(2023/5/22 京都新聞)

 広島サミットでG7各国は、ロシアの侵攻を受けるウクライナとの連帯を確認した。米国製F16戦闘機の供与にかじを切るなど、欧米は軍事支援に傾斜。一方日本は殺傷能力がある武器を供与できない。足並みをそろえられず、G7議長国としてジレンマを抱える。

 岸田文雄首相は21日の議長国記者会見で「サミットではG7とウクライナの揺るぎない連帯を示した」と胸を張った。ウクライナに関する首脳声明には、軍事分野を含め「必要とされる限り支援を提供する」と明記した。

 欧米による軍事支援は戦車、長射程砲、戦闘機と徐々に高性能化している。これに対し日本は、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針により、殺傷能力がある武器供与を認めていない。これまでは防弾チョッキや防護マスク、小型ドローンなどに限定。21日に首相がトラックなど自衛隊車両の提供を伝えた。

 力を入れるのは軍事と一線を画した、インフラ復旧や地雷、がれき処理などの復興支援だ。大規模災害の経験を生かす。だが侵攻終結の気配はなく、ウクライナやG7各国から今後、武器供与を要望される可能性はある。

 政府、与党は三原則の運用指針見直しへ動き始めた。武器輸出が「重要な政策的手段になる」(首相)ほか、国内の防衛産業育成も視野に入る。ただ与党の実務者協議に加わる公明党には抵抗感が強く、議論の行方は見通せていない。

 輸出を認める場合も、装備品の種頚選定、目的外使用を防ぐ管理方法など解決すべき課題は多い。政府高官は「日本にできる支援を継続しつつ、丁寧に検討を進めるしかない」と困難さを認めた。


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ロ西部国境州で銃撃、死傷(2023/5/24 京都新聞)

 ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州で22日、ウクライナの破壊工作グループが侵入して国境付近の町で住宅や工場など数力所を銃撃した。グラトコフ州知事によると避難の最中に80代の女性1人が死亡、23日までに12人が負傷した。「自由ロシア軍」と名乗る集団が22日、通信アプリで同州の一部を「解放した」と主張した。

 ウクライナのポドリヤク大統領府長官顧問はツイッターで、ロシア人で構成される「地下のゲリラ集団」との見方を示した。「状況を注視しているが、ウクライナとは関係がない」と政府の関与を否定した。

 ロシア軍や連邦保安局(FSB)が合同で掃討作戦を実施。国防省は23日、70人以上を殺害、装甲車やトラック計9台を破壊して撃退したと発表した。連邦捜査委員会はテロ容疑で捜査を開始したと発表。グラトコフ氏は州内にテロ対策特別態勢を導入した。

 治安情報に詳しいロシアのメディア「SHOT」は23日、消息筋の話として、22日にウクライナ側から装甲車約10台で100人近い部隊が侵入。ロシア側の反撃で少なくとも39人が殺害されたと伝えた。ロシア当局は確認していない。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は23日、「事態は深刻だ」として再発防止の努力が必要だと述べた。侵入したのは民族や国籍に関係なく(ウクライナ側の武装勢力だ一と強調した。(共同)


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NATO諸国 国防費急増(2023/5/25 京都新聞)

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、北大西洋条約機構(NATO、31力国)加盟国が国防費の急増を相次いで表明している。NATOは国内総生産(GDP)比2%以上の国防支出を目標に掲げる。昨年達成したのは7力国だったが、東欧や新規加盟のフィンランドなどロシアに近い国々を中心に、約半数の加盟国が2024年までに達成する見通しを示した。岸田政権も、27年度の防衛費と関連予算の2%への引き上げを決めている。

 「欧州最強の陸軍をつくる」。ポーランドのブワシュチャク国防相は2月、強い決意を表明した。陸軍を16万人から30万人超へ増員する計画で、米主力戦車エーブラムス360両と韓国のK2戦車千両の購入を決めた。

 歴史的にロシアの領土拡張の脅威を受けてきたポーランドは昨年の侵攻以降、ウクライナに武器を送る反ロシアの急先鋒となった。「次はわが身」と身構え、国防買を昨年のGDP比2・4%から今年は4%に引き上げた。

 ロシアと近接するバルト3国も軍備増強を図る。リトアニアは今年2・5%超を見込むほか、エストニアのガラス首相は3%への引き上げを訴える。東欧ではチェコやブルガリアも24年までの達成見通しを表明した。

 東西冷戦下の1980年代末まで、西欧のNATO主要加盟国ではGDP比3〜5%の支出が目立った。冷戦後は国防費を縮小し、軍をコンパクト化する動きが続いたが、昨年のウクライナ侵攻で状況は一変。ドイツも冷戦後に軍を縮小し、国防費をGDP比1%台前半に据え置いていたが、慎重姿勢を転換し、ウクライナへの主要な武器供与国となった。23年国防費は1・6%にとどまる見通しだが、ドイツのピストリウス国防相は今後「2%以上に すべきだ」と意気込む。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は今年7月のNATO首脳会議を前に「2%は上限ではなく最低限とすべきだ」と発言、各国に負担を呼びかけた。

 ただ専門家は、予算増だけでは解決されない課題があると話す。慶応大の鶴岡路人准教授(国際安全保障論)は、ドイツ軍などは数十年に及ぶ予篁削減で兵器の稼働率やメーカーの生産力が低下しており「装備調達を決めても納入には時間がかかる問題がある」と指摘する。

 防衛費をGDP比1%前後に抑えてきた日本も防衛産業の弱体化が懸念され、装備調達の課題に直面する可能性がある。鶴岡氏は、日本は軍拡を進める中国や北朝鮮の脅威に直面するが、必要な装備は不足していると強調。脅威に応じ装備を積み上げれば「防衛費はGDP比2%では収まらない」と予測する。(共同)


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ロ戦術核移転「始まった」(2023/5/27 京都新聞)

 ロシアの戦術核兵器を配備することに正式合意したベラルーシのルカシェンコ大統領は25日、自国の準備を整えたとし「移転が始まった」と明らかにした。訪問先のモスクワでロシアメディアに話した。戦術核が既にベラルーシ領内にあるのかとの質問には「可能性はある」と答え、明言を避けた。

 配備される核兵器の数や場所についてもプーチン大統領と合意したと述べたが、具体的には明かさなかった。保管上の安全については「われわれが責任を負う」とし、管理に自信を示した。

 ロシアのショイグ国防相とベラルーシのフレニン国防相は25日、ベラルーシの首都ミンスクでロシアの戦術核をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名した。ショイグ氏は、ロシアが引き続き核兵器運用の決定を行うと述べ、核拡散防止条約(NPT)に抵触しないと強調した。

 プーチン氏は3月、欧米の軍事支援強化に対抗し、国家統合を進めるベラルーシへの戦術核配備を決めたと表明。7月1日までに保管施設が完成すると述べた。フレニン氏は4月、既存施設での受け入れ準備を始めたと述べていた。

 ロシアは既に核兵器使用司能な弾道ミサイルシステム「イスカンデルM」をベラルーシに供与し、空軍機の改造も支援した。

 戦車や巡航ミサイル供与に続いて、米国は欧州からのウクライナ向けF16戦闘機供与を容認。欧米が主力兵器の供与を拡大する動きにロシアは反発し、ロシア外務省のザハロフ情報局長は24日、F16供与について「状況を悪化させるだけ」と欧米を批判した。(共同)


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半島先住民指導者 「クリミアを年内に完全解放」(2023/5/28 京都新聞)

【キーウ共同】ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島の先住民クリミア・タタール大の指導者で、ゼレンスキー大統領による今月のサウジアラビア訪問に同行したムスタフアージェミレフ氏(79)が26日、共同通信と単独会見した。ウクライナ軍が目指す反転攻勢について「第1日標の一つは(ロシア本土と結ぶ)クリミア橋の破壊だと思う」と分析、「年内にクリミアを完全に解放する」と自信を見せた。

 ジェミレフ氏は「近い将来、軍の攻撃が始まる」と予想。橋の破壊後、南東部マリウポリと南部メリトポリの間の陸路を遮断すれば「クリミアのロシア軍は降伏するか破滅する」と主張した。

 和平交渉は、ロシアがクリミアを自国領と主張し「議論の余地がない」と突っぱねたため頓挫したと非難。プーチン大統領との交渉を拒否し徹底抗戦するゼレンスキー氏を支持した。

 ジェミレフ氏は19年にセレンスキー氏が当選した際、「喜劇役者が大統領になってどうなるんだ」と落胆したが、ロシアの侵攻後は行動力に感嘆し「今では誇りに思う」と訴えた。

 ゼレンスキー氏が訪日する前の19日にサウジ入りしたことを「とても有益だった」と評価。ロシアの影響が強いアラブ連盟の首脳会議で、爆撃や市民の殺害のほか、イスラム教徒であるクリミア・タタール人が苦しんでいる客観的事実を伝えた意義は大きいとした。大統領府から同行するよう18日に依頼され断ったが、最終的に本人から電話で説得されたという。

 ジェミレフ氏はゼレンスキー氏に、クリミアをロシア領とみなすシリアのアサド大統領との同席は避け、自ら演説した後に立ち去るよう助言したとも明かした。「演説には皆が傾聴したが、アサド氏だけは聴きたくないかのようにアラビア語通訳のイヤホンを外した」と批判した。


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ウクライナ 反攻で原発事故懸念(2023/5/29 京都新聞)

【キーウ共同】ロシアの侵攻に対するウクライナの大規模な反転攻勢開始が予想される中、ロシアが占拠する南部ザポロジエ原発周辺でも戦闘が 激化し、事故につながることへの懸念が高まっている。欧州外交筋は28日までに、原発周辺で両軍が交戦すれば「大惨事につながる」として、反攻 の際にウクライナ軍が原発を直接攻撃しないよう求めた。

 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が「われわれは原子力事故の危険を避けるために直ちに行動しないといけない」と強調する中、ウクライナ原子力企業エネルゴアトムは22日、ザポロジエ原発が外部電源を一時喪失し、非常用ディーゼル発電機が作動したと発表した。

 外部電源喪失は侵攻開始以降7回目。ロシアの攻撃で送電線が損傷し、その後復旧したという。しかし同外交筋は「8回目や9回目も修復できるかどうかは誰にも分からない」と危惧する。領土奪還を狙うウクライナの反攻の対象は、ロシア占領下の東部や南部とみられ、ロシア側も原発周辺で塹壕を掘るなど防衛準備を進めているのは確実。ウクライナ国防省情報総局は26日、ロシア軍が故意にザポロジエ原発を砲撃し、放射能漏れが起きたと訴える計画を立てていると主張した。

 別の欧州外交筋は、原発が損傷した場合、戦闘中には修復が困難になる恐れがあると指摘。両国が「危険をよく理解し原発周辺での戦闘を控えることを望む」と述べ、IAEAや国連がまとめる形で原発の安全を確保するための合意が必要だと訴えた。


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モスクワに無人機攻撃(2023/5/31 京都新聞)

 ロシア国防省は30日、モスクワに同日朝、ウクライナの無人機8機による攻撃があり、全て撃墜したと発表した。ソビヤニン・モスクワ市長は集合住宅が軽微な損傷を受け、市民2人が軽傷を負ったと明らかにした。

 昨年2月のウクライナ侵攻開始以降、モスクワで無人機攻撃による市民の負傷者が伝えられたのは初めて。今月3日にはモスクワ中心部のクレムリン(大統領府)がウクライナによるとみられる無人機攻撃を受けた。ウクライナは大規模反攻を予告しており、ロシア当局は自国領内の防衛強化を迫られている。

 ロシアのプーチン大統領は30日、無人機攻撃は「明らかなテロ行為だ」と述べ、ウクライナを非難。数日前にウクライナ軍の情報機関本部を攻撃したと明らかにし、モスクワへの無人機攻撃はこれに対する報復だとの見方を示した。

 一方で、ウクライナのポドリヤク大統領府長官顧問は30日、「直接的には関与していない」とラジオ番組で述べ、無入機攻撃を否定した。

 ロシア主要メディアによると、無人機は早朝、主にモスクワ南西部郊外に飛来。国防省は対空システムなどで破壊したとしているが、モスクワ市内の少なくとも3ヵ所で高層住宅などが被害を受けた。住民が一時避難した。

 ロシア紙RBK電子版は治安筋の話として、飛来した無人機は10機以上だったと報じた。多くは郊外のモスクワ州上空で破壊されたとみられ、大きな爆発音が響いた。航空当局によるとモスクワの空港は通常通りの稼働を続けた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は29日のビデオ声明で、ロシア軍に対する反転攻勢の時期に関し「決定が下された」と述べた。ゼレンスキー氏は軍幹部から弾薬供給や新規部隊の訓練、戦術について報告を受けたとし「前進する」と語ったが、具体的な時期は明言しなかった。

 またウクライナ当局によると、29日夜から30日にかけてロシアによるイラン製無人機を使った攻撃があり、ウクライナ軍は31機中29機を撃墜した。キーウと近郊で1人が死亡、13人が負傷した。(共同)


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ウクライナ反攻開始か(2023/6/6 京都新聞)

【キーウ共同】ロシア国防省は5日、ウクライナ東部ドネツク州付近の戦線で4日にウクライナ軍が5ヵ所から大規模攻撃を仕掛けたが、撃退したと発表した。ウクライナ軍は攻撃について発表していないが、米欧の軍事支援を受けて準備してきた反転攻勢が本格的に始まった可能性がある。ウクライナ国防省は4日、反転攻勢の開始は公表しないと宣言し、国民にも口外しないよう呼びかけた。

 南部ザポロジエ州のロシア側幹部ロゴフ氏は5日同州とドネツク州との境界付近で攻撃が強まっていると指摘。アゾフ海まで進軍し、ロシア陣地の陸路を遮断するのが狙いだと推測した。

 ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は5日午後の戦況説明で、機械化歩兵6個と戦車2個の大隊が確認され、ドネツク州南西部とザポロジエ州北東部ノボダロフカの周辺で空爆や砲撃により応戦した結果、戦車16両を破壊し兵員約300人を殺害したと述べた。

 ウクライナ軍のシルスキー陸軍司令官は5日、ドネツク州の激戦地バフムト付近でウクライナ軍がロシア軍を攻撃し前進していると述べた。

 ウクライナは情報管理を徹底。マリャル国防次官は「計画は沈黙を愛する」としウクライナ兵らが口元に人さし指を立てて口止めする動画を公表。レズニコフ国防相も「言葉は不要。害悪しかない」とツイートした。


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ゼレンスキー氏「映画とは違う」(2023/6/6 京都新聞)

 反転攻勢で勝利を目指すウクライナのゼレンスキー大統領は、国内外の期待を背負い「映画とは違う」と楽観論を戒める。だが米大統領選が来年に迫る中、占領地を早期に奪還して決着に持ち込めるかどうかが鍵となる。戦況打開に失敗すれば、米欧が軍事支援を絞る恐れもある。国家の命運を懸けた総力戦の行方に世界の注目が集まる。

 民主党のバイテン米大統領に対抗し出馬表明した共和党のトランプ前大統領はウクライナ支援に消極的だ。ロシアに勝てなければ、ウクライナに肩入れするハイテン氏批判のトーンを上げるのは確実。再登板を果たせば両国首脳を仲介し「戦争を24時間で終わらせる」とも主張する。

 ゼレンスキー氏は、この発言を「理解できない」と一蹴。5月の英BBC放送の番組では米大統領選前に「勝利しているはずだ」と強調した。

 ウォレス英国防相は、ロシアが2014年に併合したクリミア半島も年内に奪還できる可能性があると発言。ウクライナ国内では期待が膨らむ。

 戦線は長らく膠着してきた。反攻の「切り札」とされるドイツ製レオパルト2など欧米供与の主力戦車が実戦投入されたとの公式情報はない。ロシア軍が戦線に造った塹壕や地雷原を突破するための装備調達や偵察に時間をかけてきたとの見方もある。

 一方、ウクライナ軍は戦線の背後にあるロシア軍の拠点や補給路を空爆し、抗戦能力をそぐ準備を着々と進めてきた。

 ロシア領内でも5月に首都モスクワが無人機(ドローン)で攻なされたほか、反プーチン政権の武装集団が西部ベルゴロド州にウクライナ側から越境作戦を繰ぴ返している。ウクライナ政府は直接の関与を否定しているが、ロシア軍を引きつけ、かく乱する作戦とみられる。(キーウ共同)


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原発給水ダム決壊(2023/6/7 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ南部ヘルソン州でドニエプル川のカホフカ水力発電所の巨大ダムが6日決壊し、洪水が発生、住民が大規模避難を強いられた。ゼレンスキー大統領はロシア軍がダムを破壊したと非難し、国土の安全を回復するには戦勝が必要だと訴えた。

 欧州最大のザポロジエ原発はダムから冷却水を貯水池に取水している。ウクライナ原子力企業エネルゴアトムは6日、貯水池の水位は現時点で十分で、原発は「制御下にある」としつつも、ダム水位低下はロシア軍の占領に加えて「さらなる脅威になった」と訴えた。

 ダムヘの攻撃は戦時国際法違反。ヘルソン州のプロクジン知事は、ウクライナ側か支配する川の北側だけで住民約1万6千人が洪水で危険にさらされると警告した。ロシア通信によると、ロシア支配の南側では約2万2千人が被災する見通し。

 ウクライナ側は、ダムは補修不能と判断。広範囲の洪水が予想されている。ダムの面積は琵琶湖の3倍超。ウクライナが昨年11月に奪還した州都ヘルソンも浸水が始まり、同市からの避難列車が用意された。ダムは水道水に使われており、政府は周辺住民の飲用水の確保策にも着手した。

 一方で、ロシアのペスコフ大統領報道官は6日、ダム決壊は「ウクライナ側による故意の破壊行為だ」と主張した。水位低下でロシアが併合したクリミア半島に水を送る運河の流量を減らすのが目的だと述べた。

 ウクライナ軍は洪水で川を渡ってロシア陣地に攻め込むのが難しくなるが、軍幹部は国営通信社ウクルインフォルムに対し、ダム爆破の可能性は考慮していたとして、作戦への影響を否定した。


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ロシア国防相「大規模反攻始まった」(2023/6/7 京都新聞)

 ロシアのショイグ国防相は6日、ウクライナが予告してきた大規模な反転攻勢が始まったとの認識を示した。国営テレビが放送した。

 ショイグ氏は、大規模反攻は今月4日から各方面で既に3日間続いていると指摘し、いずれも撃退したと述べた。反撃の過程でロシア軍の計71人が死亡し、210人が負傷、戦車15両などを失ったとも明らかにした。また、3日間でウクライナ軍の計3715人を殺害し、戦車52両と装甲車200台以上を破壊と強調。破壊した中にはドイツ軍の主力戦車レオパルト8両のほか、欧米が供与した79の兵器が含まれると説明した。


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「敵の破壊工作」両国主張(2023/6/8 京都新聞)

 ウクライナ南部ヘルソン州の巨大ダム決壊は、ウクライナ軍が大規模反転攻勢に着手したとの見方が広がる中で起きた。広範囲に及ぶ浸水でロシア占領地域への渡河が困難になり、戦略の練り直しを迫られるのは必至だ。ウクライナとロシアは互いの破壊工作だと主張。米欧はロシアの関与を疑うが、真相は明らかになりそうにない。

 「水位がどんどん上がり混乱が広がっている」。州都ヘルソンに住むミハイローネステロフさん(44)が嘆いた。車は通行できず、救助隊員は膝まで水に漬かって住民をボートに乗せている。

 州都は昨年11月、ウクライナ軍が奪還した。ダムがあるカホフカ水力発電所は、対岸上流のロシア支配地域にある。米紙ニューヨークータイムズによると、ウクライナ国営水力発電会社幹部は「原爆にも耐えられる」ほどの頑強な構造だと指摘。セレンスキー大統領は「外部からの砲撃で破壊することは不可能だ」として、ロシアが内部から爆破したと非難した。

 ダムは決壊前、大雨で水位が上昇していたといい、別の政府高官は大洪水を引き起こすタイミングを見計らっていたと断じた。ただ明確な根拠は示していない。

 「論理的に考えれば、なぜウクライナ政府が自国民と領土にこんなことをする必要があるんだ」。ウッド米国連次席大使は6日の国連安全保障理事会の直前、記者団にこう述べた。ロシア側の関与を疑っているのは明らかだった。

 しかし、ロシアの当局者は「ウクライナの攻撃」と口をそろえる。

 ダムの下流域では、ロシア側支配地域であるドニエプル川の南側に低湿地が広がり、決壊すれば北のウクライナ側より甚大な被害が出ると予想された。ロシアがわざわざ支配地域に大災害を引き起こす動機は見当たらず、ウクライナ軍による反攻の一環との見方がロシアでは一般的だ。

 また、ダムはロシアが併合したクリミア半島の水源で、水不足が深刻化しかねない。外務省のザハロワ情報局長は7日のラジオ番組で「欧米の反応は分かりきつている。何が起きてもロシアのせいだと決め付けるだけだ」と怒りをぶちまけた。

 ウクライナ軍の今回の反攻では、ドニエプル川を渡って南進するシナリオも想定されていた。だが川幅が広かって渡河に時間がかかり、ロシア側の攻撃にさらされやすくなった。ぬかるみで当面は戦車をはじめ重装備の投入も難しい。南部の反攻は「チェス盤をひっくり返す」(英BBC放送)ような計画の見直しを迫られる。

 米シンクタンク、戦争研究所は決壊の原因は特定できないとしながらも、ロシアが人為的な洪水を利用する可能性はこれまでも取り沙汰されていたと指摘。欧州の安全保障専門家はロシアが関与したのなら「ロシア軍が従来のやり方で戦う能力を失いつつあることを示している。国際法を破ったとしても、いかなる手段も使う構えだ」と分析した。(キーウ、ニューヨーク共同)


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洪水 ロシア占領地深刻(2023/6/9 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ南部カホフカ水力発電所の巨大ダム決壊により、ドニエプル川の南側のロシア軍占領地で、ウクライナ統治下の北側より深刻な洪水被害が起きた実態が8日、明らかになった。発電所があるノバカホフカ市のロシア側当局によると、5人が溺死。ウクライナ側でも、南部ミコライウ州で避難を拒んだ男性1人(53)が死亡し、犠牲者は計6人となった。

 ロシア占領下のヘルソン州オレシキ市から避難しているリシチュク市長は8日、共同通信の電話取材に対し、住民120人が低体温症で市の病院に運ばれたと述べた。病院には水死体を見たとの複数の電話があった。水位は下がり始めており、相当数の死者が見つかる恐れがあると指摘。市は9割が冠水したが、ロシア側か住民を避難させることはなかったと述べた。占領下に残った住民からの情報という。

 ゼレンスキー大統領は7日、ロシア側は住民の避難に「完全に失敗した」と非難。ロシア軍からの砲撃にもかかわらず、住民を救助していると説明し、赤十字国際委員会(ICRC)や国際機関に対し水や食料、医療の支援を呼びかけた。

 両軍はドニエプル川を挟んで対峙。ウクライナ軍は7日、無入機で偵察中にオレシキで屋根の上にいる母子3人を発見、警察は危険を冒して救助することに成功したと発表した。

 ヘルソン州のプロクジン知事によると、浸水面積は川の南側が北側の倍以上。ロシア側は州内で約1万5千戸、ウクライナ側は3329戸が浸水したとした。避難者はロシア側が4千人以上、ウクライナ側が1894人という。ゼレンスキー氏は8日、同州に入り対策会議を開いた。

 ロシア軍は洪水の結果、部隊の後退を迫られ、地雷などの防衛線も失った可能性もある。ウクライナ政府は地雷が流され、予想外の場所で爆発する危険があるとして住民に警戒を促している。

 ロシアとウクライナはダム決壊を巡り、相手が破壊したと非難し合っている。トルコのエルドアン大統領は7日、両国首脳と電話会談し、国際調査委員会の設置を提案した。ウクライナ検察当局は6日、「戦争犯罪」を裁くのに必要な情報を国際刑事裁判所(ICC)に提供すると発表した。


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飲料水や農業に打撃(2023/6/9 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ南部ヘルソン州でドニエプル川のカホフカ水力発電所の巨大ダムが決壊したことを受け、地域の飲料水確保や世界有数の規模を誇る農業への影響が懸念されている。ゼレンスキー大統領は7日、「数十万人が飲料水がない状態だ」と通信アプリで指摘。ウクライナの農業団体は、総農産物輸出の14%を失う可能性があると予測している。

 ウクライナ農業食料省は7日、ダム決壊により、ヘルソン州と東部ドニエプロペトロフスク、南部ザポロジエ両州にある31のかんがいシステムの水の供給が止まると指摘。このかんがいシステムは、2021年時点で三重県の面積に相当する58万ヘクタールの農地に水を供給し、15億ドル(約2100億円)に相当する約400万トンの穀物生産に寄与していた。

 同省は、かんがいシステムが打撃を受けることにより、来年は南部の農地が「砂漠化」する可能性があるとも推測した。

 ダムはロシアが実効支配するクリミア半島だけでなく、南部の住民の水源ともなってきた。南部ミコライウ州のキム知事は「現時点では飲料水はある。しかしミコライウが水不足に陥る危険は残る」と地元メディアに述べた。


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ウクライナの「反攻を撃退」(2023/6/10 京都新聞)

 ロシアのプーチン大統領は9日、ウクライナ軍の大規模な反転攻勢が「間違いなく始まった」と指摘した。ロシア側の応戦によりウクライナ側は「どの戦線でも目標を達成できていない」と強調し、撃退に自信を見せた。ウクライナが予備兵力を投入しているとの見方を示し、反攻が続くとみて兵器増産を急ぐと表明した。訪問先の南部ソチで国営テレビに語った。

 プーチン氏は、激しい戦闘が既に5日間続き、特に最近2日間は一層激化していると指摘。攻勢をかけるウクライナ側に、ロシア側の3倍を上回る「著しい損失」を与えたと主張した。こうした「悲劇」を招いた原因はゼレンスキー政権にあると批判。ウクライナ軍が攻撃能力を依然保持していると警戒感も示した。

 ロシアでは「軍産複合体が急速に発展している。防衛部門の全ての課題達成に向け、最新兵器の集中的な増産が進んでいる」と強調した。ショイグ国防相らは、頻繁に軍需工場を視察して発破をかけている。

 ウクライナ軍はロシアが占領する領土奪還に向け、東部ドネツク州や南部ザポロジエ州の各方面で進軍を図っている。ロシア国防省は、ドイツ製戦車レオパルトの破壊など撃退について連日発表している。(共同)


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絶えない砲撃 救援活動妨害(2023/6/11 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ南部ヘルソン州カホフカ水力発電所のダム決壊による洪水で、避難できた被災者は10日の当局集計で8千人以上となった。しかし、避難が必要な人がまだ多く取り残されているとみられ、救援活動は絶え間ない砲撃で妨げられている。

 国連人道問題調整室(OCHA)のグリフィス室長(事務次長)は9日、AP通信に対し、被災地域で「70万人が飲料水を必要としている」と述べ、人道状況の一層の悪化を訴えた。特にドニエプル川の南側のロシア占領地で救援活動ができていないとして、ロシア側に許可を求めた。

 州都ヘルソンに水や食料、医薬品などの支援物資を持ち込んだOCHA救援チーム代表は10日、砲撃で救暖ボランティア2人が同日負傷したと明らかにし、「洪水地域からの避難活動が妨げられている」と動画声明で非難。「国際人道法に従い、市民は戦争に巻き込まれるべきではない」と強調した。ウクライナはロシアが砲撃していると訴えている。

 ダム下流域は川を境に南側がロシアの占領地、北側がウクライナの統治下。低地のロシア側の方が浸水面積が広く、被害も深刻だ。タス通信によると、ロシア側は川の南側で6千人以上が避難したと発表。ウクライナ側の避難者は2620人としている。川の水位は徐々に低下している。

 洪水の直接の死者は両岸で少なくとも計19人に上っている。

 ロシアは9日、被災地救援のための政府委員会を設置した。


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劣化ウラン弾 米が供与か(2023/6/14 京都新聞)

【キーウ共同】米紙ウォールストリート・ジヤーナル電子版は13日、米政府高官の話として、米国がウクライナに対し、健康や環境の面で懸念がある劣化ウラン弾を供与する見通しだと報じた。秋までに引き渡す予定の米主力戦車エーブラムス31両への装備を想定しており、承認手続きに大きな障害はないという。


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ロシアの戦術核 ベラルーシ搬入(2023/6/18 京都新聞)

 ロシアのプーチン大統領は16日、隣国で同盟国のベラルーシに戦術核兵器の第1弾を既に搬入したと明かした。配備は「年内に完了する」とし、抑止力としての配備だと主張した。「われわれは北大西洋条約機構(NATO)より多くの核兵器を保有している」とも述べ、欧米に対する核の優位性を強調した。ロシア北西部サンクトペテルブルクでの国済フォーラム全体会合で語った。

 1991年に崩壊した旧ソ連を継承するロシアが国外に核兵器を移転するのは初めてで、NATOは警戒を強めている。プリンケン米国務長官は16日の記者会見でロシアの核兵器に関し「使用準備の兆候はない」と話り、監視を続けるとした。

 プーチン氏はベラルーシへの配備について「ロシアの戦略的敗北を考える人々を抑えるためだ」と説明。ベラルーシと国境を接するNATO内の対ロ最強硬派ポーランドなどをけん制する意図があるとみられる。

 ロシア軍はウクライナ侵攻で優勢に戦っているとも強調し、核兵器使用については「必要性がない」と否定。ただ、ロシアの存立が脅かされた場合は「理論上可能だ」と話した。

 プーチン氏は「世界で唯一、核を使った国が広島と長崎を攻撃した米国であることを思い出してほしい」とも語り「米国はそうする権利があると考え、前例を作った」と批判した。

 また、ウクライナが供与を強く求める米国製F16戦闘機が「ウクライナ国外の空軍基地に配備され、戦闘に使われた場合、どこでどう破壊するか検討が必要だ」とし、NATO加盟図の基地を攻撃せざるを得かくなるとの考えを示唆した。(共同)


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ロシア、ベラルーシに戦術核(2023/6/18 京都新聞)

【表層深層】ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が隣国の同盟国ベラルーシへの戦術核兵器搬入を表明した。伝統的に反ロ感情が強く、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中で対ロ最強硬派として知られるポーランドやバルト3国へのけん制が狙いとみられる。米国は核兵器使用に向けた兆候はないとして当面状況を注視する構えだが、米国内では対抗措置として欧州への核移転を求める声も上がる。

 「米大統領はNATO加盟国の領土を隅々まで守ると約束している」

 ブリンケン米国務長官は16日、中国出発前に加盟国防衛への米国の決意を表明した。

 ホワイトハウスのダルトン副報道官も16日、大統領専用機内でプーチン氏の発言について記者団に「核のレトリックを使うのは非常に無責任だ」と非 難し、NATO加盟国の集団防衛に対する米国の関与を強調した。

 米国内ではベラルーシへの戦術核搬入に対し、ポーランドやバルト3国などへ「米国は核弾頭の一部を移動させるべきだ」(ブルームパーク通信)と の意見も浮上。伝統的な抑止力強化で対抗すべきだとの考えだ。

 「深刻に受け止めている」。NATOのストルテンベルグ事務総長は16日、ブリュッセルでの国防相会揚の記者会見で、ベラルーシへの戦術核配備に懸念を示した。

 ストルテンベルグ氏は今回の動きについて「ロシアがNATO加盟国との国境近くに核兵器を配備するという長年示してきたパターンの一部(に過ぎ ない)」と指摘。NATOは既にロシア国境付近での部隊や監視の強化で対応していると述べた。ブリンケン氏もダルトン氏も「米国の核態勢を変えるべき理由はない」と口をそろえる。

 ロシアにとってベラルーシへの戦術核配備はポーランドヘのけん制が第1の目的だ。冷戦時代にソ連の支配下に置かれたポーランドでは反ロ感情が強 く、ウクライナへの戦車や戦闘機供与で主導的な役割を果たしてきた。射程の短い戦術核がベラルーシ西部国境に置かれれば、ポーランドにとって安全保障上の重大な脅威になる。

 現状でNATO加盟のベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコに米国の戦術核計約200発が存在する一方、ロシアは約2千の戦術核を保有。その多くが欧州に近い西部国境付近に配備しているとされる。プーチン氏は16日、戦術核保有数に関する欧米への優位性を指摘しつつ「彼らはそれをよ く知っている。だから常に削減交渉を迫ってくる。庶民の言葉で言えば『くそったれめ』ということだ」と言い、政権高官らの拍手を浴びた。

 ウクライナ侵攻を巡る対立激化を背景に、ロシアは2月、米ロ間に唯一残る核軍縮合意「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行を一方的に停止した。2026年の新START期限切れ後の新たな核軍縮条約締結交渉は全く見通しが立たない状態だ。

 「今後の核軍縮交渉は拒否するという意味か」。16日のプーチン氏の晋言後、会場で記者団に取り囲まれたペスコフ大統領報道官は「ロシアは交渉に 応じる用意がある」と答え、沈静化に努めた。(ブリュッセル、ワシントン共同)


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ロ、ウクライナ和平に懐疑(2023/6/19 京都新聞)

 ロシアのプーチン大統領は17い日、北西部サンクトペテルブルグで南アフリカのラマポーザ大統領、セネガルのサル大統領らアフリカ諸国の首脳と会談した。ウクライナ侵攻を巡って早期停戦と外交的解決を求めるアフリカ側に対し、プーチン氏は「交渉を拒んでいるのはロシアではなくウクライナだ」と述べて和平交渉に懐疑的な見方を明らかにした。

 食料価格の高騰に苦しむアフリカ側は、ウクライナ産穀物の黒海を通じた輸出に関するロシア、ウクライナ、トルコ、国連の4者合意の延長を要請。プーチン氏は「貧困国に届いたのは約3%で、問題解決にならない」とし、7月中旬以降の延長に否定的な考えを示した。

 また、昨年3月にトルコのイスタンブールで行われた停戦交渉でウクライナ側代表団と和平条約に仮調印していたと明らかにし、ロシア軍が首都キーウ(キエフ)周辺から撤退した後でウクライナは合意を一方的に破棄したと非難した。

 ラマポーザ氏は、話し合いによる紛争解決や戦地から移送された子どもや捕虜の引き渡しなど10項目を提示。16日に行ったウクライナのゼレンスキー大統領との会談でも説明したとし「早く戦争を終わらせてほしい」と求めた。

 アフリカ連合(AU)議長国コモロのアザリ大統領は「戦争は悲惨な結果を残す。アフリカだけでなく世界に悪影響が出ている」と述べ、早期和平を促した。

 タス通信によると、プーチン氏は17日、ラマポーザ氏と個別会談も実施。ラマポーザ氏はアフリカ側和平提案について、7月のロシア・アフリカ首脳会議でも協議する意向を表明した。両者は8月に南アが主催する中国、ロシア、インドなど新興5力国(BRICS)の首脳会議についても話し合った。 (共同)


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米大統領 ロシアの戦術核「使用は現実的」(2023/6/21 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ軍が反転攻勢を続ける中、バイテン米大統領は19日、ロシアのプーチン大統領が戦術核兵器を使用する可能性について「現実的だ」と述べた。ロイター通信が伝えた。プーチン氏が16日、隣国ベラルーシに戦術核の第1弾を搬入したと明かし、年内に配備を終える考えを示したことを念頭に置いた発言とみられる。

 プーチン氏は、ロシア軍がウクライナで優勢だと見なし、核兵器使用の必要性は否定。ただ、ロシアの存立が脅かされた場合は「理論上可能だ」と述べていた。

 ウクライナは進軍速度が落ちている。マリヤル国防次官は19日、ロシアが全軍を投入し激しく抗戦し、進軍が非常に困難になっていると認めたが、任務は予定通り果たしていると強調した。戦果への期待や焦りが国民に広がる中、現時点での集落奪還や進軍距離で軍の作戦が評価されるべきではないと訴えた。

 マリヤル氏は12日、反転攻勢1週間の戦果として計7集落、90平方キロの領土を奪還したと発表した。しかし19日に2週間の戦果として追加できた奪還集落は八つ目の南部ザポロジエ州ピヤチハトキだけ。取り戻したとする領土も合計で113平方キロにとどまった。セレンスキー大統領は19日の動画声明で「彼ら(ロシア)は陣地を失うばかりだが、私たちは失っておらず、解放しているだけだ」と述べ、国民に理解を求めた。


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ウクライナ復興 民間参画議論(2023/6/22 京都新聞)

【ロンドン共同】ロシアの侵攻で甚大な被害を受けたウクライナの支援策を話し合う「ウクライナ復興会議」が21日、ロンドンで開かれた。ウクライナのシュミハリ首相は演説で、今後1年間の復興資金として60億ドル(約8500億円)以上の追加支援が必要だと訴えた。会議には日米欧など約60力国が参加。林芳正外相は今年末か来年初めに日本で「日ウクライナ経済復興推心会議」を開くと述べた。

 会期は22日まで。戦闘終結後までを見据えた長期的な復興に向け、民間企業などの参画促進を議論する。経済再建のための初期資金として、ウクライナが最大400億ドルを求めているとの報道もある。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ビデオ声明を寄せ「今回の会議で復興について合意しなければならない」と強調。「合意から現実の計画に移行すべきだ」と取り組みの加速を訴えた。シユミハリ氏は「ロシアは破壊の代償を支払わなければならない」と語った。

 林氏も演説で、復興に向け官民を挙げて支援を続けると強調。ブリンケン米国務長官は復興とエネルギー供給網の整備のため、13億ドル以上の追加支援を拠出すると表明した。

 米CNNテレビは21日、米国や英国、韓国などの企業400社以上がウクライナ復興への支援を表明したと報じた。電機大手や製薬大手などが含まれている。

 昨年2月に始まった侵攻は1年4ヵ月に及び、今月6日にはウクライナ南部ヘルソン州の巨大ダムが決壊するなど、インフラも深刻な被害を受けている。

 復興会議は国際社会のウクライナ支援を強化するとともに、インフラ再建やデジタル化、再生可能エネルギーなどを焦点に投資を促進させるための方策を議論。復興の足かせとなる地雷除去についても話し合う。

 会議は、2014年のロシアによるクリミア半島併合を受け、ウクライナの将来的な欧州連合(EU)加盟を視野に入れた改革を後押しするため「ウクライナ改革会議」として17年から始まった。侵攻後、初めての開催となった昨年から名称を変更した。

年末にも日本で復興会議

【ロンドン共同】林芳正外相は21日(日本時間同)、ロンドンで開催された国際会議「ウクライナ復興会議」で演説した。ロシアによる侵攻で甚大な被害を受けたウクライナの復興へ官民を挙げて支援を続けると強調。今年末か来年初めに日本で「日ウクライナ経済復興推進会議」を開催すると表明した。

 政府は5月、復興支援を協議する省庁会議を立ち上げた。ここでの議論を土台に、経済復興推進会議ではウクライナ政府の関係者を交えてインフラや農業再建、産業振興などの分野で民間企業と連携した支援策について協議する方向だ。

 林氏は演説で「唯一の戦争被爆国である日本は奇跡的な発展を遂げ、阪神大震災や東日本大震災からの復興も成し遂げた」と指摘。「培った経験や知見を生かし、日本ならではの支援を力強く実施していく」と語った。

 これまでに総額約76億ドル(約1兆円)以上のウクライナ支援を表明したと言及。中長期的な復旧・復興支援として「地雷対策やがれき除去、電力など基礎インフラ整備、農業生産回復、ガバナンス強化を中心に実施する」と説明した。


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クリミア北部の橋攻撃(2023/6/23 京都新聞)

 ロシアがウクライナ南部クリミア半島の併合後に創設した「クリミア共和国」のアクショーノフ首長は22日、クリミア北部と本土側のヘルソン州を結ぶチョンガル橋が同日未明に攻撃を受け、交通が中断したと明らかにした。死傷者は出ていないという。タス通信が伝えた。

 ヘルソン州のロシア側行政府トップ、サリド氏は、英国が供与した空中発射型巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われたとみられると述べ、「民間インフラへの野蛮な攻撃だ」とウクライナ側を非難した。

 ロシアのショイグ国防相は今月20日の国防省幹部らとの会議で、ウクライナ軍がクリミアを含むロシア領内に対してストームシャドーなど欧米が供与した長距離攻撃兵器の使用を計画していると指摘。ロシア領が攻撃されればウクライナ側の意思決定中枢を即時に攻撃すると述べていた。ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)などへの攻撃を強める可能性がある。

 ロシア通信は治安当局者の話として、橋には4発のミサイルが撃ち込まれたと伝えた。

 橋はクリミアからヘルソン州のゲニチェスク、南部ザポロジエ州のメリトポリ、東部ドネツク州などロシア軍が制圧した地域につながる重要交通路。サリド氏は橋の修復に数日かかるとの見通しを示した。自動車通は別の橋に振り向けられ本土との物流に大きな支障は出ていない。ウクライナ軍は大規模反転攻勢でザポロジエ州方面への攻撃を強化。ロシアの軍事専門家らはクリミアと本土の分断が狙いと指摘している。

 英国防省は21日の戦況分析で、ロシア軍がヘルソン州に通じるクリミア北部アルミヤンスクの北3・5キロの一帯に、9キロにわたって防衛線を構築したと指摘。ウクライナの反転攻勢を受け、将来の地上戦も想定しているとみられる。(共同)


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反乱ワグネル、進軍停止(2023/6/26 京都新聞)

 ロシアで武装反乱を起こした民間軍更覆ワグネルの創設者プリゴジン氏は24日、首都モスクワへの進軍停止を表明した。インタファクス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官はプリゴジン氏について、武装反乱を呼びかけた容疑での捜査を打ち切り、隣国ベラルーシに出国すると明らかにした。事実上の亡命とみられる。懸念されていたワグネル部隊とロシア軍のモスクワでの衝突は回避された。

 ペスコフ氏によると、ウクライナの前線での功績を考慮し、ワグネルの戦闘員は刑事責任を問われず、希望者はロシア国防省と契約できるという。プーチン大統領は24日の演説でワグネルの武装反乱を「裏切りと反逆」と非難し刑罰を科すと明言していたが、方針転換し、収拾を図った形だ。プーチン氏はプリゴジン氏のベラルーシへの安全な移動を保証した。

 プリゴジン氏は「ロシア人の血が流れることに対する責任を自覚し、部隊を方向転換させている」と通信アプリに投稿した。地元メディアによるとワグネル部隊は24日夜、制圧していたロシア南部ロストフナドヌーにある南部軍管区司令部から宿営地へ撤収を始めた。

 ベラルーシ大統領府は24日夜、ルカシェンコ大統領がプーチン氏との電話会談を受けてプリゴジン氏と協議し、ワグネルが進軍をやめて緊張緩和の措置を講じることで合意したと発表。事態打開のために仲介役を担ったと強調した。ペスコフ氏によると、プリゴジン氏と20年以上の知人関係にあるルカシェンコ氏が仲介を名乗り出たという。

 プリゴジン氏は23日、ウクライナ侵攻に参加するワグネル部隊をロシア軍が攻撃したと非難し「正義の行進」をすると宣言。ワグネルは南部軍管区司令部を掌握後、首都モスクワに向けて北上。プリゴジン氏によると、モスクワから200キロの地点に迫っていた。

 プリゴジン氏がベラルーシに出国した後、ワグネルの指揮系統や組織存続の先行きは不透明だ。(共同)


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ベラルーシに宿営地か(2023/6/28 京都新聞)

 ロシアのプーチン大統領は26日の演説で、民間軍事会社ワグネルの反乱を改めて非難した。ただ矛先は創設者のプリゴジン氏に向けられ、戦闘員の大半は「愛国者」だと謝意すら口にし、隣国ベラルーシへの出国も可能だとした。同国では戦闘員用の宿営地が建設中との報道もある。ベラルーシに配置して、ウクライナ侵攻で「再利用」するとの見方も出る。

 「明日の昼までに建てなければならない」。ベラルーシ東部モギリョフ州の林業関係者は、ロシアの独立系メディアにこう明かした。宿営地の面積は2万4千平方メートルで、8千人を収容可能だ。

 宿営地はウクライナ国境から約200キロの同州オシポビチに位置する。州政府筋も当局から建設の指示があったことを認めたという。戦闘員用の施設は他にも複数あるとされる。

 プーチン氏は26日の演説で「国に対する裏切りだ」と語気を強めた。旧国家保安委員会(KGB)出身の同氏にとって最大級の非難の言葉だ。一方、戦闘員は国防省と契約して任務を続けられ、希望者はベラルーシに行くこともできると述べた。

 ワグネルはウクライナ侵攻で、激戦地となった東部バフムトに戦闘員を大量に投入。肉弾戦をいとわず、甚大な犠牲を払って制圧した。今回の反乱ではロシア南部ロストフナドヌーで市民から歓迎される動画も流れ、一部では英雄視されている。

 プリゴジン氏はプーチン氏の演説に先立ち、通信アプリに音声を投稿し、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「ワグネルが今後、法的管轄下で任務を行うため解決策を模索すると申し出てくれた」と発言した。

 ワグネルは2万5千人の戦闘員を擁すると主張。このうちどれほどがベラルーシに向かうかは不明だが、仮に部隊配置が実現すれば、南方戦線の正面突破を目指すウクライナ軍は北部国境の守りを固める必要にも迫られる。

 英メディアによると、ダナット元英陸軍参謀総長は、ロシアがワグネルを利用してキーウ(キエフ)を再び攻撃しようとする可能性は「十分ある」と懸念を示した。一方、米戦争研究所は宿営地はウクライナ国境から離れており「直ちに脅威とはならない」と分析した。(共同)


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ワグネル 存続不透明に(2023/7/1 京都新聞)

 ロシアの民間軍事会社ワグネルの軍事反乱から7月1日で1週間。反乱を主導したワグネル創設者プリゴジン氏は隣国ベラルーシに事実上亡命、プーチン大統領は同氏の企業グループの資金使途を捜査すると述べ、国内での存続は不透明さを増す。欧米メディアは、ワグネルに近いとされウクライナ侵攻の副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官の拘束情報を相次ぎ伝え、事件は軍中枢のスキャンダルに発展する可能性も出てきた。

 ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの攻略で中心的役割を果たしたワグネル部隊が突如反旗を翻し、6月24日朝までに南部ロストフナドヌーの軍管区司令部を制圧。プリゴジン氏は非難を続けてきたショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長との面会を求め、約千キロ離れた首都モスクワに向け進軍を開始した。

 プリゴジン氏は撤収表明の声明で、部隊がモスクワまで200キロの地点に迫ったと明かした。ソ連末期1991年8月のクーデター未遂以来の体制危機が現実となった。

 プーチン氏は、首謀者は「裏切り者」だと断罪。ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介役を務め、同日中に部隊は撤収した。ルカシェンコ氏によるとプリゴジン氏は出国し、27日に空路ベラルーシ入りした。

 事態収拾に成功したプーチン政権はワグネルヘの包囲網を狭めているもようだ。ワグネル戦闘員らへの捜査は中止したが、組織の今後の法的扱いについてベスコフ大統領報道官は28日「現時点で明確な立場はない。議論が続く」とした。

 米紙ニユーヨークータイムズは、スロビキン氏が反乱の動きを事前に把握していたと報道。米CNNテレビは29日、スロビキン氏がワグネルの秘密のVIPメンバーだったと報じた。英シンクタンク、ドシエセンターが入手した文書で、スロビキン氏を含む30人以上の軍や情報当局の高官が、VIP登録されていたことが判明したという。

 CNNはVIPメンバーに対する利益供与の有無や特別な権限を持つかどうかは不明だとした。英紙フィナンシャルータイムズ(FT)や米ブルームパーク通信は、スロビキン氏が拘束され、ロシア軍の捜査部門に数日にわたり事情聴取さcdr4れたと伝えた。(共同)


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ザポロジェ原発 職員退避(2023/7/1 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ国防省情報総局は30日、ロシア軍が占拠する南部のザポロジエ原発から、ロシア国営原子力企業ロスアトムの職員が退避を始めたとの情報を公表した。ウクライナ人従業員も7月5日までにクリミア半島へ退避するよう勧告されたという。退避の理由は明らかにしていないが、ゼレンスキー大統領はロシアが同原発でテロを準備しているとの見方を示している。

 一方でロスアトムの総裁顧問はタス通信に対し「監視を減らしておらず、活動を続けている」と述べ、ウクライナ側の主張を否定した。

 英国防省は29日、民間軍事会社ワグネルの部隊が、空中での司令部機能や無線中継を担うロシア軍機イリューシン22Mを24日に撃墜していた可能性を指摘した。侵攻を続けるロシア軍で同機が「重要な役割を果たしてきた」とし「空と陸の作戦に悪影響を及ぼす」と分析した。

 多くの乗組員が失われ、ロシア軍の「士気を下げることは間違いない」とした。長期的な影響として、残った機体の安全を確保するために侵攻作戦の水準を下げざるを得なくなる可能性も指摘した。

 英BBC放送はイリューシン22Mのほか、輸送機やヘリコプターなども撃ち落とされたとの見方も示した。また、米シンクタンク、戦争研究所は30日までに、ウクライナ軍が南部ヘルソン州でロシアが支配するドニエプル川南岸への渡河作戦を実施したと分析した。昨年破壊されたアントノフ大橋の付近で、ウクライナ軍が塹壕を築き、ロシア軍の後退が確認されたという。


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原子炉建屋に「爆発物」(2023/7/6 京都新聞)

【キーウ、ウィーン共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は4日演説し、ロシアが占拠する欧州最大の南部ザポロジエ原発で、複数の原子炉建屋の屋上に爆発物のような物体が置かれたとの情報があるとして「世界は見ている」とロシアをけん制した。報道によると、ウクライナ軍はロシア側の工作の可能性を指摘。爆発物が破裂しても原子炉を損傷させる威力はない一方、ウクライナ軍が砲撃したような印象を与えると主張した。

 原発には6基の原子炉があり、昨年2月の侵攻後ロシア軍に占拠された。米メディアによると。5基は占領後、安定的に停止した冷温停止状態となり、残る1基も先月、冷温停止状態となった。問題の物体は4日、2基の建屋の屋上に置かれたという。

 原発の状況について、米シンクタンクの戦争研究所は4日、ウクライナの仕業に見せかけようとするロシアの「偽旗作戦」の可能性があると説明。原子炉は非常に頑丈に設計されており、ロシアが現時点で事故を引き起こす恐れは低いとの見方を示した。

 一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、原発を巡り「ウクライナ政権による破壊工作の大きな脅威がある。破滅的な結果を招きかねない」と述べた。

 来日中の国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は5日、原発に爆発物のような物体が置かれたとの情報について「現時点では確認していないが、そのような危険はあるだろうと十分認識している」と述べた。

 IAEAは4日の声明で、同日午前1時21分に原発で主要な外部電源への接続が切れたと明らかにした。原子力安全のために必要な電力をバックアップの送電線に頼る状態になったという。


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米、クラスター弾供与へ(2023/7/8 京都新聞)

【ワシントン共同】バイデン米政権は、ロシアの侵攻を受けるウクライナ軍の反転攻勢を支援するため、殺傷能力の高いクラスター(集束)弾を供与す る方針を固めた。AP通信が6日、米政府関係者の話として報じた。追加軍事支援の一環として、7日にも発表する。非人道性が強く指摘される兵器で、供与を実行すれば批判が広がる可能性がある。

 民間人に犠牲をもたらす恐れがあり米政府内にも反対意見があったが、ロシア軍の塹壕に対する攻撃に有効と判断したとみられる。

 国際人権団体ヒューマン・ライツーウオッチ(HRW)は6日、ウクライナ侵攻でのクラスター弾投下に関する報告書を発表し「民間人への危険性や禁止に向けた国際的な努力を軽視するものだ」として、米国に供与中止を求めた。

 オースティン米国防長官は6日、ウクライナのレズニコフ国防相と電話会談した。クラスター弾の供与について協議した可能性がある。

 クラスター弾は1発の爆弾から多数の子爆弾をまき散らす。非人道性が問題視され、オスロ条約で開発、製造、貯蔵などが全面禁止されているが、米 国とロシア、ウクライナは加盟していない。ロシア軍は昨年2月の侵攻当初から多用し、ウクライナ軍も使用しているとされる。

 米政権はロシアが投入してきたクラスター弾と比べ、使用後に残留する不発弾の発生率が低い点を強調し、国際社会の批判をかわしたい考えだ。

 米シンクタンク「軍備管理協会」は6日、米政権のクラスター弾の供与方針を受け「戦闘地域に残された民間人や、避難先から将来帰還する地元住民への危険を増加させるだけだ」と非難した。

 ロシア軍が塹壕を掘ってウクライナ軍の反転攻勢に対する守りを固める中、ウクライナが米国に提供を求めていた。


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【インサイド】弾薬枯渇 米、苦渋の決断(2023/7/9 京都新聞)

 バイテン米政権が殺傷能力の高いクラスター(集束)弾をウクライナに供与する方針に転じた。非人道的な兵器の供与に慎重姿勢を取り続けてきたが、ロシア軍に対するウクライナの反転攻勢が弾薬の枯渇で思うように進まず、苦渋の決断を余儀なくされた。強力な武器として戦場で期待されるが、民間人の犠牲が拡大する恐れがあり人道軽視との批判も出ている。

 「簡単な決断ではなかった」。バイテン大統領は7日、CNNテレビのインタビューに供与を決めるのに時間がかかったと厳しい表情で語った。

 サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)によると、ウクライナでは「弾薬が戦争の鍵を握る」と言われるほどの消耗戦となっている。米国の通常弾薬の在庫もこれまでの支援で不足が顕在化し、生産が追いつくまでの供給継続が最大の懸案になっている。

 米政府はこれまでロシア軍によるクラスター弾使用を問題視。「戦場で使われてはならない」(国連大使)「戦争犯罪の可能性がある」(前大統領報道官)と非難してきた経緯がある。

 サリバン氏は7日の記者会見で「ウクライナを無防備にはしない」と強調。ロシアが投入してきたクラスター弾の不発率は30〜40%なのに対し、米国が提供するのは2・5%以下だとして国際社会の理解を求めた。

 ニューヨークータイムズ紙によると、深刻化する弾薬不足を補うため供与を推進しようとする国防総省と、外交担当で非人道性を懸念する国務省で意見が割れた。供与を巡り政権内では激しい議論が続いた。

 民間人に危険をもたらすリスクは否定できない。だがロシア軍の侵攻が続けばウクライナ人の犠牲は増えるばかりだ―。ロシア軍の抵抗で反転攻勢の「鈍化」(ゼレンスキー大統領)が鮮明になる中、供与容認論が高まった。最近になって、人権の旗振り役を務めてきたブリンケン国務長官が賛同に回り、政権の方針が固まった。

 バイテン氏が最も懸念したのが、対ロ圧力の中核と位置付ける北大西洋条約機構(NATO)の連携にひびが入ることだった。NATOには、クラスター弾の生産や貯蔵などを全面禁止するオスロ条約の加盟国も多い。同盟国の首脳とも事前に協議を重ねた。

 サリバン氏はオスロ条約加盟国であるドイツの一部から異論が出ていると記者に指摘されると「NATOの結束にはいかなる亀裂もない」と反論。加盟国からは理解を示され、ほかの国からは「心から歓迎され、正しいことだとも言われた」と語気を強めた。(ワシントン共同)


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日本、米の収束弾供与追認(2023/7/9 京都新聞)

 政府は、米国からウクライナへのクラスター(集束)弾供与を事実上追認する構えだ。松野博一官房長官は10日の記者会見で、明確な賛否表明を避けつつ、米国の対ウクライナ支援の意義を強調した。供与への反対姿勢をにじませる英国、ドイツ、カナダ、イタリアとの温度差を印象付けた形。日本が加盟するクラスター弾禁止条約(オスロ条約)との整合性を巡り、議論を呼ぶ可能性がある。

 米国によるウクライナへのクラスター弾供与に関し、松野氏は「2国間のやりとりであり、コメントは差し控える」と述べるにとどめた。その上で、民間人への被害を最小限に抑える方策を確認したとする米政府の発表に言及。「(米国は)ウクライナから確約を得ているものと承知している」と強調した。

 米国のこれまでのウクライナ支援にも触れ「果たしてきた役割は重要だ」と評価。「ロシアの侵略に対し、国際社会が結束して強力な支援を継続することが重要だ」と指摘し、クラスター弾供与を黙認する考えを示唆した。

 理由に関し、外務省幹部は「日本は他国のように殺傷性がある兵器を供与していない。自分は何もしないのに、あれは駄目だなどと言えない」と説明する。ロシア軍によるウクライナへのクラスター弾使用が伝えられる中、日本政府内には、今回の供与に異を唱えるのは理屈に合わないとする見方もくすぶる。

 問われるのは、オスロ条約との整合性だ。松野氏は会見で、条約の関連規定を念頭に「引き続き非締約国に対する働きかけを行っていく」と表明した。米国とウクライナはいずれも非加盟国。政府が難しい対応を迫られる展開も予想される。

禁止条約に日本は加盟

 クラスター弾禁止条約(オスロ条約)

 非人道的と指摘されるクラスター(集束)弾に関する国際条約。加盟国による使用、開発、輸出入を全面禁止するとともに、非加盟国に対して不使用を働きかけるよう努力義務を定める。ノルウェーなどの有志国が議論を主導し、2010年に発効。日本を含む110力国超が加盟する。米中ロ3力国とウクライナは加わっていない。日本が08年12月にオスロで署名した際、当時の麻生太郎首相は「歴史的にすごいことだ」と評価している。


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収束弾、NATO一部反対(2023/7/9 京都新聞)

【キーウ、ロンドン共同】ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援で、米国が殺傷能力の高いクラスター(集束)弾の供与を決めたことについて、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部は10日までに、使用や供与自体に反対する立場を表明した。11〜12日にリトアニアで開かれるNATO首脳会議を前に、加盟国間の温度差が浮き彫りになった。

 バイテン米大統領は10日、訪問先の英国でスナク首相と会談した。米国の決定は弾薬不足を補うために必要だとして理解を求めたとみられる。

 ウクライナの反転攻勢は弾薬の枯渇などで進軍ペースが遅れており、バイテン氏はNATO首脳会議で供与の必要性を訴える方針。会議を対ウクライナ支援での結束をアピールする場と位置付けており、クラスター弾を巡る足並みの乱れは避けたい考えだ。

 民間人を無差別に殺傷する危険があるクラスター弾はオスロ条約で使用や生産が禁止されている。米国やロシア、ウクライナは加盟していない。

 ウクライナのレズニコフ国防相はツイッターで「ロシア軍が集中した戦場で、敵の防衛線を破るために使う」と主張。サリバン米大統領補佐官は9日、ウクライナ政府がクラスター弾をロシア領では使わないと確約したと記者団に説明にた。

 スナク氏は8日、英国はオスロ条約に加盟していると述べ、米国の供与決定には追随しない立場を表明。イタリアのメローニ首相も声明で「イタリアは条約を順守している。条約の普遍的な適用を望む」と強調した。

 スペイン通信などによると、同国のロブレス国防相は供与に反対する考えを示した。カナダ政府もクラスター弾の「使用を支持しない」とする声明を発表した。


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ウクライナ 環境破壊進む(2023/7/12 京都新聞)

【ウィーン共同】ウクライナのストリレツ環境保護・天然資源相は11日までに共同通信と会見し、ロシアの侵攻によって「ウクライナの森林の3分の1が燃えたり損傷したりした」と訴えた。昨年2月の侵攻以降、土壌や大気の汚染などの環境破壊による損失額は513億ユーロ(約8兆円)超の規模に上ると主張。環境分野での日本の支援に期待を表明した。

 6月6日に起きた南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所の巨大ダム決壊については「ロシアの攻撃」だと指摘。少なくとも150トンの油がドニエプル川に流れ込んだなどとして、多数の野生動物や鳥類に悪影響を及ぼしていると述べた。

 ダムの復旧には2〜3年かかり、貯水池の回復にはさらに少なくとも2年を要すると見通した。

 ロシア軍は膨大な数の地雷をウクライナ各地に敷設しているとして、地雷撤去が将来の国土復興に向けた「難題になる」との考えを示した。地雷は市街地や電力インフラに加え、農耕地にも置かれているという。穀物輸送の主要ルートとなっている黒海などには機雷が敷設されており、海洋汚染を引き起こしていると訴えた。

 ソ連時代の1986年のチェルノブイリ原発事故にも言及し、35年後の2021年時点でも汚染地域は「完全に活用できる」水準にまでは改善されていなかったと説明。

 ウクライナ南部にあり、ロシアが占拠する欧州最大のザポロジエ原発で事故が起きれば、放射性物質の飛散による環境被害はチェルノブイリ事故よりも甚大になる恐れがあり、影響は周辺のブルガリアやルーマニア、モルドバなどにも及びかねないと指摘した。

 ストリレツ氏は7月7日、訪問先のオーストリアーウィーンで取材に応じた。