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アフリカ貧困国 危機感(7/18)

ウクライナ入港認めず(7/21)

黒海封鎖 日本余波も(7/21)

ウクライナ、入港禁止対抗(7/22)

ウクライナ、集束弾使用(7/22)

正恩氏、ロシアに兵器紹介(7/27)

アフリカ、ロに平和共存訴え(7/28)

早期停戦は「非現実的」(7/31)

【インサイド】動乱の背後 ロシアの影(8/2)

ロシア6港は危険地域(8/7)

徴兵逃れと汚職 政権荒療治(8/23)

ウクライナ 戦線膠着(8/24)

【表層深層】和平交渉、高いハードル(8/24)

【表層深層】裏切り代償「公開処刑」か(8/25)

教育に戦時色一層濃く(8/30)

米、劣化ウラン弾供与か(9/3)

停戦交渉は「降伏と同義」(9/4)

ウクライナ、東欧と対立(9/20)

ウクライナに武器供与せず(9/21)

敗戦言及も兵器えられず(9/23)

全領土奪還まで交渉せず(10/22)

ガザに関心集中 支援先細り懸念(10/30)

ウクライナ政権内不和か(11/4)

ウクライナ勝利に懐疑論(11/14)

ロシア式典攻撃 25人死亡(11/24)

反転攻勢半年、膠着続く(12/4)

人気作家の作品出版停止く(12/18)

ロ兵器部品 米国製74% 日本製もく(12/18)

クリスマスも「欧米式」く(12/24)

スターリン容認が拡大く(12/24)

ロシア空爆 開戦後最大(12/31)

ロシア西部砲撃 24人死亡(2024/1/1)

プーチン氏、報復継続明言(2024/1/3)

北朝鮮ミサイルで攻撃(2024/1/6)

ロシア 軍事部品3兆円輸入(2024/1/19)

ロシア軍輸送機 墜落(2024/1/25)

ロ軍機墜落で国際調査要請(2024/1/26)

ウクライナ軍総司令官解任(2024/2/10)

ロシア野党代表「早く停戦を」(2024/2/15)


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アフリカ貧困国 危機感(2023/7/18 京都新聞)

 黒海を通じたウクライナ産穀物輸出に関する同国とロシア、トルコ、国連の4者合意が17日、期限を迎えたが、ロシアは延長に同意せず合意を事実上離脱。「(合意の)仕組みが破綻し、世界の食料価格が上昇すれば弱い立場にある人々が最も打撃を受ける」 国連のグテレス事務総長)。貧困国を多く抱えるアフリカでも危機感が広がる。

 グテレス氏はロシアによるウクライナ侵攻を「国連憲章違反」と批判しながら、輸出継続に向けてロシアと交渉を重ねてきた。世界有数の穀物生産国ウクライナからの輸出は、昨年7月に4者で結ばれた合意によって同8月に再開した。

 約1年間で約3280万トンが輸出され、国連食糧農業機構(FAO)の食料価格指数は昨年3月の過去最高値から、侵攻前よりも低い水準に下がった。国連は穀物合意が価格の押し下げにつながったとしている。

 合意延長交渉に影を落としたのが、ロシア産の食料と肥料の輸出促進を約束した国連とロシアの覚書の存在だ。

 ロシア農業銀行が、国際決済のネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除され、同銀行を通じた決済ができなくなっていることが輸出の支障になっている。ロシアは「約束が果たされていない」(ラブロフ外相)と繰り返し批判してきた。

 アフリカ諸国を中心とした貧困国にとって、合意延長の成否は死活問題だ。国連などによると、世界食糧計画(WFP)は昨年、食料援助用の小麦の半数超をウクライナから調達。WFP幹部は、合意の更新がなければ、ソマリアやエチオピアといったアフリカ東部での活動が「甚大な打撃を受ける」と警告する。

 「穀物と肥料の物流網は開かれているべきだ」。ウクライナ和平の仲介を目指すアフリカ代表団を率いた南アフリカのラマギーザ大統領は6月中旬、ウクライナ首都キーウ(キエフ)での会見で強調した。合意離脱をほのめかすロシアに再考を求めていた。

 一般的に収入水準が低いアフリカでは、家計の支出のうち食料の占める割合が平均約42%と高く、米国(6%)やフランス(13%)のような欧米諸国と比べて生活に余裕がない。世界の穀物市場への供給不足で食料価格が高騰すれば、人道支援までは必要としない市民も、大きな影響を受けることが避けられない。

 新型コロナウイルス禍から続く経済低迷で人々の不満は蓄積している。7月12日にはケニアで発生した増税反対のデモが警官隊と衝突し、少なくとも参加者6人が死亡した。さらなる食料価格の高騰はアフリカ各国で抗議活動の過激化に拍車をかけ、政情の混乱を招く恐れがある。(ニューヨーク、ナイロビ共同)


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ウクライナ入港認めず(2023/7/21 京都新聞)

 ロシア国防省は19日、モスクワ時間の20日午前O時(日本時間同6時)以降、黒海経由でウクライナの港に向かう全ての船舶は軍事関連物資を積んでいる可能性があるとみなすと表明、黒海を通じたウクライナ産穀物の輸出合意離脱を受け、ウクライナヘの船舶入港を原則認めない強硬姿勢を示した。黒海の北西部と南東部の公海上は「時限的に船舶航行の危険地帯とされる」と宣言し、ロシア軍の攻撃対象になる可能性を 示唆した。

 ウクライナが模索するロシア抜きでの穀物輸出継続は困難になった。世界有数の穀物輸出国ウクライナからの輸出は大幅な減少が避けられず、19日の米国市場では小麦の相場が急上昇した。

 国防省の声明は、黒海からウクライナに入港する船舶に国旗を掲げた国は「ウクライナ側に立つ紛争当事国とみなす」と警告。米国はロシアによる民間船舶への攻撃や、機雷敷設の可能性があるとして警戒を強めた。

 一方、ウクライナ国防省は20日、黒海経由でロシアやロシア支配地域の港に向かう全ての船舶は21日から軍事関連物資を積んでいるとみなすと発表。ロシアの船舶は攻撃対象との見方を示した。ロシアへの対抗措置。

 ウクライナ当局によると、ロシアは20日未明、穀物の積み出し港がある南部オデッサ州を3日連続で攻撃し、行政施設や倉庫が破壊され1人が死亡した。隣接するミコライウ州でも1人が死亡し、子どもを含む約20人が負傷した。(共同)


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黒海封鎖 日本余波も(2023/7/21 京都新聞)

 ロシアが20日、世界有数の穀倉地帯ウクライナからの穀物輸出の主要ルート、黒海を再び封鎖する強硬策を発動した。輸出停滞を見越して 小麦相場が一時急騰、貧困国で食料危機再燃の恐れが高まり、日本への余波も懸念される。機能を停止した穀物輸出合意の再建は有力な仲介役もおらず、いばらの道となった。

 ロシアが2022年7月に穀物合意に応じたのは、ソ連時代からの友好国が多い中東やアフリカで食料危機が起き、批判の矛先がロシアに向くのを避けるためだった。だが、見返りに求めたロシア産穀物や肥料の輸出正常化は進んでいないと不満を募らせていた。

 元軍人や強硬派の間では「政権と軍の戦争への対応は中途半端だ」との見方が根強く、合意は「敵に塩を送る愚策」と映る。不満が爆発したのが先月の民間軍事会社ワグネルの反乱だった。危機を乗り切ったが、プーチン大統領は外交的配慮を優先する余裕を失った。

 合意成立後もウクライナは、ロシア支配地クリミア半島を水上ドローンで繰り返し攻撃。ロシア本土につながるクリミア橋は今月、2度目の急襲を受けた。攻撃を防ぐには、全船舶を潜在的な敵と見なすしかないと判断したとみられる。

 米政府は「ロシアが民間船を攻撃する恐れがある」と警戒。欧米の戦車や戦闘機の投入が本格化する今後、プーチン氏は一層の強硬手段に訴えるとみられている。

 ロシアの航行制限発表後、小麦価格は急騰した。19日のシカゴ穀物市場では、小麦先物市場で取引量の多い中心限月の価格が1ブッシェル=7・27ドル台となり、前日比8%超上昇。1日の相場上昇率としては侵攻直後の22年2月28日以来の大きさだった。

 侵攻直後はウクライナの港湾が閉鎖されるなどし、13ドル台にまで跳ね上がった。現在の価格はそれに比べればまだ低水準だが、日本は小麦の8割以上を輸入に頼る。コメに次ぐ主食で政府が国家貿易として計画的に輸入し製粉会社に売り渡している。国際取引価格の高騰がパンや麺類の値上げにつながる可能性がある。

 各社は相場動向を注視する。「小麦価格がさらに上昇すればまた値上げせざるを得ない」(ファストフード関係者)。懸念は深い。

 ロシアを合意に引き戻せるのか。注目は、国連と共に合意を仲介したトルコのエルドアン大統領の動きだ。プーチン氏との信頼関係を生かして事態打開を狙うが、両国の間にはすきま風が吹く。

 「友人のプーチン氏が『人道の架け橋』の継続を望んでいると信じている」。ロシアが離脱を発表した今月17日、エルドアン氏はプー チン氏と直談判する考えを示した。8月にトルコに招く考えだが、ロシアの反応は鈍い。トルコは欧米の対ロ制裁に加わらず、ロシア寄りと批判されてきたが、最近は欧米重視、親ウクライナの言動が目立つ。捕虜交換でトルコが身柄を引き取ったウクライナ軍事組織の元指揮官を帰国させたほか、対ロ包囲網強化につながるスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を容認した。

 イルハン・ウズゲル元アンカラ大教授(トルコ外交)は「エルドアン氏の仲介役としての能力は大きく低下した」と分析する。合意再建は至難の業だ。(ニューヨーク、イスタンブール共同)


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ウクライナ、入港禁止対抗(2023/7/22 京都新聞)

【キーウ共同】黒海を通じた全船舶のウクライナ入港を認めないと表明したロシアに対抗し、黒海経由でロシア支配地域やロシアの港に向かう船舶は全て軍事関連物資を積んでいると見なすウクライナ国防省の措置が21日午前O時(日本時間同6時)に始まった。ロシア船舶は攻撃対象とするが、民間船舶への攻撃は国際社会の批判を招きかねず、措置の運用方法は不透明だ。

 ロシア国防省は21日、黒海を経由したウクライナ産穀物輸出合意からの離脱を受けて時限的な「危険地帯」と宣言した黒海北西部で軍事演習を行い、海上の標的を巡航ミサイルで破壊したと発表した。ロシアは黒海からのウクライナへの船舶入港を20日以降は原則認めない方針を表明、。従わない船舶への攻撃も辞さない構えを見せており、演習はロシア抜きの穀物輸出継続を模索するゼレンスキー政権へのけん制とみられる。

 ロシア軍は21日未明、ウクライナ南部オデッサ州の農業関連施設などをミサイルで空爆した。同州への攻撃は4日連続。地元当局者によると、攻撃で2人が負傷、大麦や豆類など計100トン以上が被害を受けた。

 米国家安全保障会議(NSC)のガービー戦略広報調整官は20日のオンライン記者会見で、ウクライナ軍が米国から供与されたクラスター(集束)弾の使用を開始したと明らかにした。またロシアがウクライナの港付近に機雷を追加敷設した情報があると述べた。機雷による船舶攻撃をウクライナの仕業に見せかける「偽旗作戦」も実行しようとしているとして警戒を呼びかけた。

 ロシア軍の演習では、黒海艦隊の艦艇と航空機が船舶の航行を制限した海域を警戒し、侵入を試みた船を停船させる訓練も行った。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、エチオピアのアビー首相と電話会談したと発表。アフリカ諸国はウクライナ産穀物の輸出が滞れば大きな影響を受けるため「ウクライナは世界の食料安全保障の保証人であり続ける」と強調した。


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ウクライナ、集束弾使用(2023/7/22 京都新聞)

 ロシアの侵攻を受けるウクライナが、米国供与のクラスター(集束)弾の使用を前線で始めた。反転攻勢を阻むロシア軍の塹壕破壊を狙い、領土奪還に向けた切り札と位置付ける。だが、クラスター弾は大量の子爆弾を広範囲にまき散らし、不発弾を残す非人道兵器だ。ロシアは対抗措置を明言しており、民間人被害が拡大するとの懸念が国際社会に広がる。

 「極めて効果的に使用しており、ロシアの防衛態勢と攻撃作戦に影響を与えている」。米国家安全保障会議(NSC)のガービー戦略広報調整官は20日の記者会見で強調した。

 米紙ワシントンーポストによると、ウクライナ当局者は、領土奪還を遅らせているロシア軍の塹壕を破壊するため南東部の前線で使ったと説明。激戦が続く東部の要衝バフムト周辺でも使用される見通しという。

 ロシア軍はウクライナ軍の反転攻勢が6月に始まる数力月前から、対戦車障害物や地雷原からなる重層の防衛線を約千キロにわたって築いてきた。これに苦戦していたウクライナ軍に対し、バイテン米政権は今月「非常に難しい決断」として供与を発表した。

 クラスター弾は親爆弾から数個〜数百個の子爆弾をまき散らし、塹壕や要塞化した場所に潜む地上部隊に使用すると効果が大きい。ウクライナ軍はロシア軍の塹壕に撃ち込み、対抗の砲撃を抑え込むことで地雷原突破につなけたい考えだ。ウクライナ軍幹部からは「戦況を劇的に変えることができる」と期待する声が上がる。

 懸念されるのは不発弾だ。英BBC放送によると、ロシアが使うクラスター弾は実に4割が不発弾になるという。

 クラスター弾使用などを禁じる2010年発効のオスロ条約には日本を含む110カ国以上が参加する。だが、米国やロシア、ウクライナは入っておらず、米紙によると昨年2月以降、ロシアは広範囲で使用。ウクライナもソ連製などを使った可能性があり、民間人死傷者が多数出ている。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが使えば「同様の対応をする権利がある」とけん制しており、国際人権団体ヒユーマン・ライツーウオッチ(HRW)は当事国に無差別殺傷兵器であるクラスター弾の即時使用停止を訴えている。(キーウ共同)


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正恩氏、ロシアに兵器紹介(2023/7/27 京都新聞)

【北京共同】北朝鮮メディアは27日、金正恩朝鮮労働党総書記が26日に平壌の党本部庁舎で、訪朝中のロシアのショイグ国防相と面会し、安全保障などで「見解が一致した」と報じた。金正恩氏は開催中の「武装装備展示会」をショイグ氏と共に訪れ、朝鮮人民軍に最近配備された兵器を紹介した。ロシアとの軍事協力を一層強化する意思を強調する狙いとみられる。

 北朝鮮メディアは、12日に発射実験が行われた固体燃料型の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」も置かれた展示会場で金正恩氏がショイグ氏らを案内する写真を公開した。金正恩氏が外国要人と会うのは、2019年6月末に板門店でトランプ米大統領 (当時)と対面して以来、約4年ぷりとみられる。

 26日の面会で両者は国防分野の双方の関心事や、地域と国際安全保障に対する意見を交わし見解が一致した。ロシアのウクライナ侵攻に関する立場を金正恩氏が改めて支持したとみられる。ショイグ氏はプーチン大統領の親書を渡した。北朝鮮は27日、米国に勝った と主張する朝鮮戦争(1950〜53年)の休戦協定締結から70年を迎えた。これに合わせショイグ氏らロシア軍事代表団と、李鴻忠・共産党政治局員をトップとする中国代表団が訪朝した。

 平壌では27日午前O時(日本時間同)に祝賀公演が開かれ、金正恩氏と中口の代表団が観覧した。この場で李氏は金正恩氏と会話 を交わし、習近平国家主席の親書を手渡した。李氏は26日に北朝鮮の崔竜海(チェリョンヘ)・最高人民会議(国会)常任委員長を表敬訪問した。


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アフリカ、ロに平和共存訴え(2023/7/28 京都新聞)

 ロシア北西部サンクトペテルブルグで27日、第2回「ロシア・アフリカ首脳会議」が始まった。アフリカ連合(AU)議長国コモロのアザリ大統領は関連フォーラムで演説し「ロシアとウクライナの平和共存を呼びかける」と述べた。ロシアのプーチン大統領に侵攻 の停止を促した形。ウクライナ危機が食糧供給に深刻な影響を及ぼしているとし「ウクライナとロシアの穀物の供給促進を強く求める」とも訴えた。

 プーチン氏はこれに先立つ演説で「ロシアはウクライナ産穀物を代替できる」と主張し、マリや中央アフリカなど6力国への穀物無償供与の準備が3〜4ヵ月で整うと表明。「西側諸国がロシアの穀物や肥料の供給を妨害している」と述べ、制裁を科す米欧を批判し た。ロシアは伝統的友好国が多いアフリカと関係強化を図る狙いだが、ウクライナ産穀物の輸出合意を離脱したロシアとアフリカの温度差が浮き彫りになった。

 アザリ氏はプーチン氏と並んだ壇上で「平和を求めるわれわれの呼びかけが聞き入れられると確信している」と訴えた。会議には、17力国の首脳らアフリカ49力国の代表団が参加。2019年にロシア南部ソチで行われた第1回会議には40力国以上の首脳が参加して おり大幅に減少した。(共同)


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早期停戦は「非現実的」(2023/7/31 京都新聞)

 ロシアのプーチン大統領は29日の記者会見で、ウクライナとの早期停戦などを求めるアフリカ諸国の和平提案を「中国などの提案と同様、和平の基礎になり得る」と評価する一方、ウクライナが攻撃を続ける限りは「非現実的だ」と述べた。戦闘長期化の責任は、交渉を拒んでいるウクライナ側にあるとの立場を改めて強調した。

 ロシアーアフリカ首脳会議が開かれた北西部サンクトペテルブルクで記者会見したプーチン氏は、ウクライナ側の大規模反攻について「何の成果も上げていない」と指摘。ウクライナ軍は6月初めの反攻開始以降、415両の戦車と1300両以上の装甲車などを失ったと語った。

 多数の兵員を失ったウクライナの動員力は失われつつあるとし、撃退に自信を示した。

 トルコのエルドアン大統領と8月2日に電話会談する予定だと述べたが、直接会談の時期や場所は未定だとし、8月にプーチン氏をトルコに招くと述べたエルドアン氏と距離を置いた。トルコの仲介で実現した黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意からの離脱に象徴される両国関係の冷却化が裏付けられた。

 南アフリカで8月に開かれる新興5力国(BRICS)首脳会議へのオンライン出席を決めたことに関しては「参加国首脳らとは既に会った。国内にいる方が重要だと考えた」と説明。9月のインドでの20力国・地域(G20)首脳会議出席は「まだ考えていない」と述べるにとどめた。プーチン氏には侵攻に絡んで国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出しており、加盟国を訪問すれば逮捕の可能性がある。(共同)


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【インサイド】動乱の背後 ロシアの影(2023/8/2 京都新聞)

 西アフリカの砂漠国ニジェールが揺れている。クーデターを実行し、バズム大統領の追放を宣言したグループは軍部や行政の支持を取り 付け、1日までに軍事政権の樹立を既成事実化した。イスラム過激派が台頭するサハラ砂漠南部の安定を支え、地域の「要」(国務省)だった同国での突然の動乱。背後にはロシアの影もちらつく。

 「預金を引き出そうと人々が銀行に殺到し、いよいよ混乱し始めた」。首都ニアメーの旅行業アジズ・ハリドウさん(43)は共同通信の電話取材に町の様子を語った。「生活が上向いていたのに台無しになった」と残念がる。

 ニジェールは世界最貧国の一つだが、バズム政権下で構造改革などが奏功し、最近の経済は軌道に乗っていた。世界銀行によると、昨年の国内総生産(GDP)は11・5%増を記録した。

 それだけにクーデターに反感を持つ市民は多いという。ハリドウさんは「バズム氏に権力を戻すべきだ」と訴えた。

 西側諸国の衝撃も大きい。ニジェールに隣接するマリとブルキナファソでは、近年クーデターで発足した軍事政権がいずれも対テロ作戦でロシアに接近し、駐留していた旧宗主国フランスの部隊を撤収に追い込んだ。

 米欧にとって今やニジェールはサハラ砂漠南部でイスラム過激派の拡大を食い止める「防波堤」(英BBC放送)だ。ロイター通信によると、フランス部隊(千〜1500人)や米国部隊(約1100人)などが駐留し、テロ組織ににらみを利かせている。

 だが軍事政権トップのチアニ将軍は「同じやり方は続けない」と述べ、治安対策の見直しを表明。この地域で米欧は拠点を失う恐れが出てきた。

 「彼らは独立を獲得した」。クーデター発生翌日の7月27日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの通信アプリに、創設者プリゴジン氏だとする人物のクーデターを評価する音声メッセージが投稿された。

 ワグネルはアフリカでの影響力拡大を目指すロシアの先兵として活動してきた。ニジェールへの直接の関与は確認されていないが、マリやブルキナファソでロシアに近い勢力がクーデターを成功させ、今回の呼び水になったとの見方がある。

 米アフリカ戦略研究センターは「ニジェールは近年、ロシアの偽情報キャンペーンの標的になっていた」と分析。ワグネルとつながりのあるネットワークが2度にわたりニジェールでクーデターのうわさを流布していたとし、ロシアの情報工作が政変に影響を与えた可能性を示唆した。(ナイロビ共同)


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ロシア6港は危険地域(2023/8/7 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ政府は5日までに、黒海に面するロシア南部クラスノダール地方のノボロシースクやソチなど六つの港の海域が軍事的脅威下にあると宣言した。ロシア側に危険地域だと警告した形。ノボロシースクでは4日、ロシア軍の大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」が水上ドローンで攻撃され、損傷した。ウクライナはロシア領や船舶への攻撃を加速させる構えだ。

 ウクライナは7月以降、無人機で繰り返しモスクワの高層ビル群を攻撃するなど、ロシア国内やロシアが実効支配するクリミア半島への攻撃を次々と展開している。期待通りに進まない反転攻勢の局面打開に向け、規模で勝るロシア軍の混乱や補給、防衛能力の低下を狙っているもようだ。

 ロシア国防省は6日、モスクワ郊外に同日無人機攻撃の試みがあり、防空システムで破壊したと発表。負傷者や被害はなかったとした。

 米CNNテレビによると、ウクライナが開発した水上ドローンは約800キロの距離を最大時速80キロで航行できる。ウクライナ領内からロシア国内に届き、クリミア半島と本土の間にあるケルチ海峡に架かるクリミア橋への7月の攻撃にも使われた。無人機の国産化も進み、最新鋭の「ビーバー」の航続距離は600〜千キロと推定されている。

 5日には、ケルチ海峡の南方を航行していたロシアのタンカー「シグ」が「無人船」(ロシア当局)によるとみられる攻撃を受けた。

 ロシア外務省のザハロフ情報局長は5日の声明でシグヘの攻撃は「民間船舶に対するウクライナのテロ行為だ」と非難、報復を警告した。ザハロワ氏によると、乗組員は無事だったが、夕ンカーは自力航行能力を失った。ゼレンスキー政権に対しても「欧米の黙認をいいことに、テロを激化させている」と批判した。

 一方、ウクライナ国防省情報総局の報道官はオレネゴルスキー・ゴルニャクについて「損傷は非常に深刻だ。この船を見ることは当面ないだろう。(ロシアの)艦隊は難攻不落ではないようだ」と述べた。


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徴兵逃れと汚職 政権荒療治(2023/8/23 京都新聞)

 ロシアの侵攻を受け、総動員令が出ているウクライナで、徴兵逃れと関連した汚職が深刻化している。高額の賄賂を払い数万人規模の男性が 国外に出るなど違法に動員を回避しているとみられる。侵攻が長期化する中、厭戦機運につながりかねない事態に、ゼレンスキー大統領は全州の 徴兵責任者を解任する荒療治に乗り出した。

 ウクライナでは18〜60歳の男性の出国が原則禁止されている。動員対象者は全国に200以上ある地域徴兵事務所の呼びかけに応じ、軍務が可能かどうかを調べる健康診断を受けることが義務付けられている。

 昨年2月の侵攻直後から、重い疾患や精神障害と装った診断書を偽造し、兵役免除証明書(通称ホワイトチケット)の取得をあっせんする「脱徴兵ビジネス」が横行した。費用は5千〜1万/(73万〜146万円)程度が一般的とされている。

 発覚すれば刑事罰に問われる可能性があるものの、当局の追及の手は緩かった。現地メディアのウクラインスカ・プラウダで汚職に関する調査報道を続けるトカチ記者は「当時は軍入り志願者が多く、人材不足の懸念がなかった。富裕層向けの脱徴兵ビジネスは事実上黙認されていた」と解説した。

 今年春、南部オデッサ州の徴兵事務所のトップを務める軍事委員の巨額汚職事件が明らかになると、風向きが変わる。ホワイトチケット取得の便宜を図るため500万ドル以上の賄賂を受け取り、親族がスペインで別荘や高級車を購入していた。

 軍事委員は逮捕され、職を解かれたが、その後各地で同種の事件が次々と発覚。ゼレンスキー氏は8月11日、全州の軍事委員の解任を決定したと表明、112件の刑事手続きが進められていると訴えた。

 取り締まり強化の背景には軍志願者が減り、ウクライナ軍が動員に苦心している現実がある。国防省は8月から、徴兵事務所に足を運ぶよう呼びかけるキャンペーンを開始。マリャル国防次官は「戦争への恐怖は(入隊を)ためらう理由にならない」と強調した。

 ただ道は険しい。侵攻後、違法に国境を越えようとした約2万人が逮捕されたが、実際に逃れた人はもっと多いとみられている。トカチ氏は「脱法的に動員を回避したのは数万人、数十万人という規模だ。組織改革は手遅れかもしれない」と危機感を募らせた。(キーウ共同)


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ウクライナ 戦線膠着(2023/8/24 京都新聞)

【キーウ共同】ロシアがウクライナ侵攻を始めてから24日で1年半を迎えた。ウクライナ軍は開戦後にロシア軍に制圧された地域の約半分 を奪還したが、欧米が新装備を供与し6月上旬に始めた反転攻勢で取り戻した領土は約200平方キロで、制圧地の0・2%にとどまる。戦線は膠着し犠牲者が増え、米紙ニユーヨーク・タイムズによると両軍の死傷者は50万人に迫る。戦争終結の展望は開けない。

 同紙によると、米当局はロシア、ウクライナ両軍の死者について、それぞれ約12万人、約7万人に上ると推計する。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の統計では、8月時点で民間人の死者は9400人超。一部帰還しているが、627万人が国外避難した。日本の出入国在留管理庁によると、日本への避難民は約2500人に上る。

 ウクライナ軍は反攻でドイツ製レオパルト2戦車や米国製ブラッドレー歩兵戦闘車などを擁する部隊を投入したが、ロシア軍が塹壕や地雷原で構築した防衛線に苦戦。英国供与の巡航ミサイル「ストームシヤドー」で戦略拠点を攻撃し、前線で米国供与のクラスター(集束)弾を使用する。

 モスクワやその周辺などへの無人機(ドローン)攻撃や、ロシア本土と南部クリミア半島を結ぶクリミア橋への無人艇(水上ドローン)による襲撃も続いている。

 ゼレンスキー大統領は反転攻勢の遅れを認め、自ら欧米を行脚して武器供与の拡大を要請。オランダとデンマークは今月20日、米国製F16戦闘機の供与を表明し、来年以降に計約60機が戦列に加わる見通し。ウクライナは中国やサウジアラビアなどロシアに友好的な国の切り崩しも図っている。一方、国内では戦争の長期化から厭戦感が強まり、徴兵逃れや汚職も後を絶たない。

 一方のロシアも、前線に投入されていた民間軍事会社ワグネルが6月に反乱する痛手を負った。8月4日、プーチン大統領は徴兵対象年齢の上限を27歳から3年引き上げる法律に署名。ウクライナが攻撃を続ける限り、和平は「非現実的」だとする。


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【表層深層】和平交渉、高いハードル(2023/8/24 京都新聞)

 ロシアによるウクライナ侵攻は24日、戦況膠着のまま開始から1年半がたった。ウクライナはロシアに併合された南部クリミア半島を含む「全土奪還」の旗を降ろしていないが、反転攻勢はロシアの堅い防衛線に阻まれ、進軍は遅い。状況次第で停戦交渉を先行させる可能性も指摘され始めたものの、和平に向けたハードルは高く、長期戦は必至だ。

 「オランダはウクライナにF16戦闘機を提供することに合意した最初の国となった。歴史的で最も重要な合意だ」

 20日にオランダを訪問したゼレンスキー大統領は、ルッテ首相をこう持ち上げた。続いて訪れたデンマークでもF16供与を取り付けた。歴訪の裏には、6月から開始した反攻で多くの戦死者を出し、成果が上がらないことへの焦りがある。

 ウクライナ軍はクリミア半島とロシア本土をつなぐ陸路の分断を図り、アゾフ海方面への進軍を目指している。しかし防衛線を地上部隊だけで突破しようとし、無人機やミサイルに撃破され大きな損失が出ている。

 ウクライナは局面転換の鍵とされるF16投入で防空を強化し、地上部隊を支援して反攻を前進させたい考えだ。ただ提供は来年以降とされ、2力国で総数は最大約60機。モスクワの軍事専門家は「数が少なく戦況の転機にはならない」とみる。

 ウクライナはあくまで全土奪還を目指す構えだが、多大な犠牲を出す中、楽観論は下火だ。反攻で一定の成功を収めれば、ロシア軍が完全撤退しなくても和平交渉に入る―。西側外交筋によると、こうしたシナリオも検討されているもようだ。

 交渉の前提とするのは、ゼレンスキー氏提唱の10項目の「平和の公式」。ロシア軍撤退や領土の回復を含み、欧米や日本だけでなく、中国や新興・途上国にも賛同を求めている。ゼレンスキー氏は今月、63力国が実現に向け作業していると明らかにした。

 幅広く賛同を募る背景には歴史の教訓がある。核兵器放棄の見返りに、米英ロが安全保障を約束した1994年の「ブダペスト覚書」と、2014年に戦闘が始まったウクライナ東部の停戦のため独仏が仲介した「ミンスク合意」は、今回の侵攻を防げなかった。

 西側外交筋によると、ウクライナが10項目で最重視するのは、戦闘拡大防止と戦争終結の確認。これ以外は妥協の余地があり、同筋は「ロシア軍がクリミアに残っていても交渉に入る可能性はある」と解説した。

 一方、ロシアはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念して恒久的中立を宣言し、欧米が兵器供与をやめれば交渉に応じるとの立場だ。隔たりは大きい。

 米国とロシアの間では昨年11月、バーンズ米中央情報局(CIA)長官とプーチン大統領側近のナルイシキン対外情報局長官が、トルコで会談。停戦問題も話し合われたとみられるが、大きな進展はなかったようだ。

 ロシアが併合を宣言した東部・南部4州では9月に地方選が行われ、編入手続きが完了する。来年3月にはロシア大統領選があり、「祖国防衛」を掲げるプーチン氏の通算5選は確実視される。クリミア半島や4州の返還は「問題外」だ。

 仮に停戦に応じる場合でも、4州の前線に築いた防衛線を紛争凍結ラインとし、軍撤退は拒否するとみられる。(キーウ共同)


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【表層深層】裏切り代償「公開処刑」か(2023/8/25 京都新聞)

 ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏が乗った小型機が墜落、搭乗者全員が死亡したもようだ。意図的な撃墜や爆破との臆測が広がり、ワグネルが6月に起こした反乱に、プーチン大統領が「公開処刑」(米メディア)を命じたとの見方も。ロシアではプーチン氏に反旗を翻した人物の暗殺が相次、いできた。プリゴジン氏も「裏切り者」の恪印を押された可能性がある。

 23日午後6時11分(日本時間24日午前O時11分)、プリゴジン氏の自家用小型ジェット機は首都モスクワ北西の上空8・5キロを飛行中、突然レーダーから消えた。インターネット上に投稿された動画によると、らせん状に回転、煙を上げながら急降下して墜落した。

 ワグネルに近いネットメディア「グレーゾーン」は、防空システムが作動した時のような爆発音を地元住民が2度聞いたと伝えた。ワグネルに関係するテレグラムのアカウント「プリゴジン2023」は、プリゴジン氏が「ロシアの裏切り者による行為の犠牲になった」と、情報機関による関与を示唆した。

 独立系メディア「メドゥーサ」はこの高度を飛行する目標を撃墜するには、携帯型の対空兵器では不可能と指摘。2014年のマレーシア航空機撃墜に使われたとされる地対空ミサイル「ブク」などが必要とみる。ただ機内で爆発が起きた可能性があるとも分析する。

 プリゴジン氏は飲食業を始め、自身のレストランに来たプーチン氏の知己を得た。「プーチン氏の料理人」と呼ばれるほど親交を深め、次々と事業を拡大。14年にワグネルを立ち上げた。

 ウクライナ侵攻で大量の兵員を提供したものの、軍指導部と対立。ちょうど2カ月前の6月23日、ショイグ国防相らの解任を要求して武装反乱を起こした。ただ翌日には中止し、その後、プーチン氏とも面会。最近は国内外を頻繁に移動していて「免罪」になったとみられていた。

 欧米からはロシア軍や治安当局の関与を疑う声が次々と上がる。

 プーチン政権を批判してきた元ロシア情報機関員リトビネンコ氏は06年、毒殺された。18年には英国在住の別の元情報機関員と娘が神経剤ノビチョクで襲撃され重体に。英下院のカーンズ外交委員長はX(旧ツイッター)で、二つの事件を引き合いに「プリゴジン氏が裏切り者のリストに加えられた」と断じた。

 ウクライナのポドリヤク大統領府長官顧問も「プーチンが(プリゴジン氏を)許さず、機会をうかがっていたのは明らかだ」と指摘。元ロシア高官は英紙フィナンシャル・夕イムズに、裏切りの代償を見せつけるためで「エリート層全体への警告」だと語った。

 ワグネルの反乱時、支持する市民の姿も多く見られた。大統領選を来年に控えるプーチン氏にとり、プリゴジン氏が死亡したなら国内の波乱要因の一つを排除できたとも言える。23日には、第2次大戦でソ連軍がナチス・ドイツの戦車群を押し返し勝利への転換点になったとされる「クルスクの戦い」80周年の記念式典が開かれていた。ロシア政府系テレビ「第1チャンネル」は、プーチン氏の出席をトップで繰り返し報じた。

 「この地で戦った英雄たちを忘れない」。小型機墜落から数時間後、プーチン氏はウクライナ国境に近い西部クルスク州でこう演説し、侵攻に参加する軍関係者に結束を呼びかけた。(キーウ共同)


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教育に戦時色一層濃く(2023/8/30 京都新聞)

 ロシアでは9月1日の新学年スタートに合わせ、ウクライナ侵攻を背景とした「教育改革」の実践が始まる。大学などへの進学を控えた高学年向けには侵攻を正当化する国定統一教科書を使った歴史教育が始まるほか、簡単な銃器の扱い方などを身に付ける「初等軍事訓練」も復活する。学校教育での戦時色が一気に強まりそうだ。

 昨年2月に始まった侵攻についてプーチン大統領や政府高官は「欧米が自分の価値観や歴史認識を押し付け、ロシアの崩壊を狙っている」と繰り返し批判。「統一のカリキュラムで正しい歴史観を教えるべきだ」との声が高まった。

 昨年9月の教育法改正で、学校では国定教科書で歴史を教えることが義務付けられた。

 国定教科書は侵攻の目的を「ウクライナ東部住民の保護とロシアの安全確保」などと説明。戦死者らを英雄と記述し、欧米の対ロ制裁を「完全に不法」と指摘している。

 今年は10、11(年生向けに国定教科書が導入され、今後は低学年にも拡大される。

 初等軍事訓練は東西冷戦が続いたソ連時代の学校で行われ、ソ連崩壊で取りやめられていた。元軍人らの指導で生徒が自動小銃の組み立てや使い方、手投げ弾の扱いなどを学ぶ。当面は「人命救助の基礎」の科目に含めて実施されるという。

 政府系テレビ「第1チャンネル」は27日のニュース番組で、生徒に軍事利用を想定した無人機操縦訓練を行う学校もあると伝えた。

 新学年からはこのほか、生徒に学校の庭掃除や図書館での貸し出し当番などの奉仕活動も求められるという。(共同)


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米、劣化ウラン弾供与か(2023/9/3 京都新聞)

【キーウ、ワシントン共同】ウクライナのマリヤル国防次官は1日、南部ザポロジエ州の一部でロシア軍の第1防衛線を突破したとテレビ番組で語った。ロイター通信が伝えた。反転攻勢が進展した形だが、マリヤル氏は、ロシアが次の防音宍一を固めており一層の前進には多くの障害を克服する必要があると述べた。

 ロイターは1日、バイデン米政権がウクライナに対し、劣化ウラン弾の供与を近く発表すると報じた。米国による劣化ウラン弾の供与は初となる。米政府当局者の話などとして伝えた。

 劣化ウラン弾は今月にも戦場に到着する米主力戦車エーブラムスから発射でき、ロシア軍戦車の正面装甲を貫通するほど破壊力が高い。ただ健康や環境面で懸念があり、ロシアの反発も必至だ。

 英国は既に主力戦車チヤレンジャー2用の弾薬として劣化ウラン弾をウクライナに供与した。ロシアのプーチン大統領は「核成分」を備えた兵器だと主張。米欧の軍事支援強化への対抗措置として3月下旬、ベラルーシヘの戦術核兵器配備を決めたと表明した。米国はウクライナに、殺傷能力の高いクラスター(集束)弾も供与している。

 ロシア国防省は2日、本土とクリミア半島を結ぶクリミア橋を1日深夜〜2日未明に攻撃してきたウクライナの無人艇(水上ドローン)3隻を破壊したと明らかにした。

 ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長はロシア北西部プスコフ州の空港であった攻撃について、ロシア国内から出撃した無人機によるものだと指摘した。情報総局が1日発表した。ロシアの抵抗勢力による攻撃の可能性もある。


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停戦交渉は「降伏と同義」(2023/9/4 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナのポドリヤク大統領府長官顧問は2日、共同通信の単独インタビューに応じ、開始から3ヵ月が経過したウクライナ軍の反転攻勢について「効果的だ」と評価した。現時点での停戦交渉入りは「ウクライナにとって降伏を意味する」として否定。ロシア軍の撤退まで攻勢を続ける考えを強調した。

 反転攻勢では、ウクライナ軍が航空戦力や弾薬、長距離砲の不足を抱えながらもロシア軍が構築した第1防衛線を突破したと指摘した。着実に前進しており、反攻の遅れは欧米の武器供与のペースに起因していると主張した。

 ロシア国内で相次ぐ空港などへの攻撃については、同国内の反政権義勇軍が実行していると述べ「攻撃はますます増えるだろう」と予測した。

 ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島への攻撃に関し、緊張拡大を懸念していた欧米が最近、容認に転じたと説明。ロシアが半島を軍事拠点化し、補給に利用しているとして「われわれは前線の戦闘を減らすため、クリミアの軍事関連施設を全て破壊する」と述べた。

 ウクライナの目標は、ソ連から独立を宣言した1991年時の国境線まで部隊を実際に進軍させるよりも「ロシアの戦線を切り崩し、ウクライナ領から撤退させることだ」と強調。停戦を求めているのはロシアだとし「時間稼ぎのためにうその交渉を持ちかけようとしている」と批判した。

 ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が墜落死した背景には、プーチン大統領がいるとの見方を示した。プーチン氏は全ての人を疑い始めているとし「近しい人物への弾圧も始まるだろう」と推測。ロシアの内部で「変動」が起きることに期待を示した。

 日本に対しては「世界の民主主義と自由の原則を支えている」と述べ、ウクライナへの支援に感謝した。


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ウクライナ、東欧と対立(2023/9/20 京都新聞)

【ブリュッセル、ウィーン共同】ロシアの侵攻を受けるウクライナが自国産穀物の輸出を巡り、武器支援国のポーランドなど近隣の東欧諸国と対立を深めている。ウクライナは18日、輸入規制を続ける東欧3力国を世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表。ウクライナとの連帯を強調してきたドイツやフランスは3カ国を批判、欧州連合(EU)の足並みの乱れが浮き彫りになった。

 EUは、安価なウクライナ産穀物の流入による農家への打撃を懸念するポーランドとブルガリア、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアの5力国に限定し輸入規制を容認してきた。EUが15日に規制を解除したことを受けポーランド、ハンガリー、スロバキアは独自の規制継続を表明した。

 3力国の規制はこれまでのEUのものと同様に、経由地としてウクライナ産穀物の自国通過を認めている。陸送ルートが閉ざされることはないが、ロシアが黒海経由の穀物輸出合意を離脱したことから東欧経由の輸出拡大を望むウクライナは規制自体に反発している。

 EU議長国スペインのプラナス農相は18日、3力国によるウクライナ産穀物の一方的な輸入規制は違法との見解を示しつつ、最終的には「欧州委員会が判断することだ」と述べた。


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ウクライナに武器供与せず(2023/9/21 京都新聞)

【ベルリン共同】ポーランドのモラウィエツキ首相は20日、「ウクライナへの武器供与をやめる」と述ぺた。ウクライナのゼレンスキー大統領が19日の国連総会一般討論演説で、ポーランドなどによるウクライナ産穀物の輸入規制を批判したことに反発した。ウクライナ侵攻後に対ロシア強硬姿勢を鮮明にし、強力な支援国となってきた隣国との対立激化で、欧米の対ロ結束に乱れが生じる恐れもある。

 ゼレンスキー氏は20日、国連安全保障理事会の会合に初めて直接出席。19日の演説では打倒ロシアで団結を訴える一方、ポーランドなどについては「連帯を示しているように見えるが、実際はロシアを手助けしている」と主張した。

 これに対しポーランド外務省は20日、ウクライナの駐ポーランド大使を呼んで抗議したと明らかにし「当初から支援してきたポーランドに対して不当だ」と非難した。

 ウクライナ産の農作物は主に黒海経由で中東などに輸出されてきたが侵攻で停滞。欧州連合(EU)は陸路での輸出促進のため関税を撤廃し、東欧諸国に穀物が流入した。ポーランドとハンガリー、スロバキアは安価な穀物の流入を警戒し、独自に輸入を規制。ウクライナは18日、 3力国を世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。

 モラウィエツキ氏は20日、地元テレビで「ウクライナ産穀物の輸入により、自国市場が混乱することは認められない」と強調。「ウクライナへの武器供与をやめ、自国軍備を増強する」と語った。ただ、米英などが自重を求める可能性があり、実際に武器供与停止に踏み切るかどうかは不透明だ。

 ポーランドは武器供与や避難民の受け入れなどで最大の支援国の一つ。一方で来月15日に下院選を控え、政権は自国農家の保護や自国防衛を優先させる姿勢を明確にし、支持拡大を図っている。

 モラウィエツキ氏は他のメディアで、ウクライナが対立をエスカレートさせるなら輸入規制の対象品目を増やすことになるとも警告。ニューヨークで予定されたゼレンスキー氏とポーランドのドゥダ大統領との会談も中止されたと報じられた。


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敗戦言及も兵器えられず(2023/9/23 京都新聞)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が昨年12月以来となった4日間の訪米日程を終えた。ロシアに立ち向かう英雄として歓待された前回と状況は変わり、米世論や議会では巨額のウクライナ支援継続に懐疑論が台頭。戦時の大統領は敗戦の可能性にも言及して支援を直訴し、危機感をあらわにしたものの、熱望していた長射程兵器供与も見送られ、期待した成果を得られなかった。

 「支援を得られなければ戦争に負ける」。セレンスキー氏は21日、米連邦議会を訪れ、ロシアに対する反転攻勢の生命線となる軍事支援の継続を必死に訴えた。

 前回の訪米では上下両院合同会議で演説し、議員から盛大な拍手を送られた。今回は対照的に、共和党が多数派を占める下院の指導部との会談は公開されなかった。

 「米国第一」を掲げる党内保守強硬派から突き上げられる共和党のマッカーシー下院議長は、ゼレンスキー氏が求めた上下両院合同会議の開催を拒否。「一度やっただろう」と突き放した。

 戦争の終わりが見えない中、共和党内で支援への疑問は膨らみ続ける。CBSテレビの9月の世論調査によると、共和党支持者の56%が支援を減らすべきだと回答した。

 強硬派議員約30人は、追加支援予算に反対する書簡を政権に送付。名を連ねたバンス上院議員は「もうたくさんだ。同僚も私もノーだ」とX(旧ツイッター)に不満をぶちまけた。

 ゼレンスキー氏が今回の訪米で目玉としたかったのが、昨年来、再三供与を求めてきた長射程の地対地ミサイル「ATACMS」だ。

 ロシア領内を狙えることから米政権は供与を慎重に検討。訪米直前には今秋の供与を考慮しているとの報道があったが、結局見送られた。

 「期待していた分、ショックは大きい」(ウクライナ当局者)。年明けには米大統領選が本格化し、政権が大胆な支援に踏み切ぴにくくな るとの見方があり、早期供与の現実味は薄れている。

 ワシントン訪問に先立つ国連総会では、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の引き込みに奔走したゼレンスキー氏。だがロシアと関係を保つブラジルやアフリカ諸国は中立の立場を崩さなかった。一般討論演説では、侵攻開始当初から人道・軍事の両面でウクライナを支えてきた隣国ポーランドを念頭に、ロシアの手助けをしているとの趣旨の発言をしてポーランドの怒りを買った。

 同国のドゥダ大統領は記者団に、ウクライナを溺れている人にたとえ「(助けようとすれば)私たちが溺れてしまうかもしれない」と述ぺ、友好国との間に生じた溝の深さを感じさせた。 (ワシントン共同)


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全領土奪還まで交渉せず(2023/10/22 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ政府で安全保障政策の中枢を担うオレクシー・ダニロフ国家安全保保障・国防会議書記は21日までに、ロシア占領下の自国領土を全て奪還する見通しがない限り、停戦交渉には応じないと明言した。首都キーウ(キエフ)で共同通信と単独会見した。ロシア本土の軍事施設への攻撃を継続すると表明。中国に接近するロシアは「中国の手下になった」と指摘した。

 ロシアは併合したクリミア半島と東部・南部の4州支配の維持を図り、激しい攻撃を続けている。ウクライナの国家安保・国防会議は軍司令官や国防相、外相らで構成されるゼレンスキー大統領直属の最重要機関。同会議を取り仕切るダニロフ氏が全領土奪還の決意を表明したことで、戦争の長期化は避けられない状況がより明確になった。

 ダニロフ氏は「クリミアを含む国土からロシアが去ることなく、何を話せるというのか」と訴えた。プーチン大統領を「テロリストだ」と非難し「プーチンという名前のヒトラーがわれわれの子どもたち500人を殺害した」と断じた。

 膠着する戦況に関し、欧米からF16戦闘機が供与され、ロシアと航空戦力が均衡すれば「状況は根本的に変わる」と主張した。ただ全領土奪還に必要な時間を示すのは「非常に難しいとした。

 ロシア本土にある基地や武器庫、燃料貯蔵施設といった軍事インフラへの攻撃を続ける考えも示した。欧米の支援国とは、供与された兵器を本土攻撃には使わないとの「非公式な合意」を交わしたと述べ、自国産兵器を用いるとした。モスクワ周辺の施設も標的になり得ると警告した。

 中東でガザ情勢が緊迫し、ウクライナ侵攻に対する国際社会の関心低下が懸念される中「米欧との意思疎通は変わらない。協力は続き、支援は毎日届いている」と語り、支援が先細る恐れはないと強調した。

 ロシアと中国の関係強化について「ロシアは独立性を失った。中国や北朝鮮、イランといった国々に依存せざるを得なくなっている」と指摘。中国による停戦仲介は期待できないと示唆した。


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ガザに関心集中 支援先細り懸念(2023/10/30 京都新聞)

 ロシアに侵攻されたウクライナで、イスラエルとイスラム組織ハマスが衝突するパレスチナ自治区ガザ情勢に国際社会の関心が集中することで、自国への欧米の支援が先細りになるのではないかとの懸念が高まっている。反転攻勢には欧米供与の兵器が頼みの綱。ウクライナ政府は、支援停滞はロシアを利するだけだと発信を強化している。

 「ハマスとロシアは共通点が多い。虐殺によって国家を破壊しようとしている。ハマスはテロ組織で、ロシアはテロ組織のように振る舞う国だ」

 ウクライナのイエルマーク大統領府長官は20日、ハマスとロシアを同列視して非難。対ロ戦を「テロとの闘い」と位置付け、各国に結束を呼びかけた。27日には「最も大切なのは、ウクライナが国際社会でスポットライトを浴びる立場に居続けることだ」と訴えた。

 欧米諸国は、ウクライナ軍の生命線となっている兵器の供与やインフラ整備など幅広い分野で巨費を投じてきた。戦況の膠着により世界的なエネルギー価格の高騰といった負の影響が拡大し、各国で「支援疲れ」が指摘される中、ガザ情勢が一気に緊迫した。

 ベレシチュク副首相は今月のカナダ紙とのインタビューで「ロシアは(支援国の)疲弊を期待している。関心をウクライナからそらそうとしている」と指摘。「皆が疲れている。だが、この戦争は単にロシアとウクライナの戦争ではなく、未来をかけた戦争だと分かってほしい」と訴えた。

 ウクライナには、南部クリミア半島が2014年にロシアに併合され、欧米に事実上見放された形でロシアの支配が固定化した苦い記憶がある。14年以降、東部ドンバス地方で局所的な戦闘が続いてきたが、昨年の侵攻開始まで「忘れられた戦争」と見なされていた。

 欧米からは懸念を払拭しようとする発言が相次ぐ。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は今月11日の記者会見で「われわれは、異なる課題を同時に解決する能力を備えている」と強調した。バイテン米大統領は19日の演説で、イスラエルとウクライナへの支援継続を両立する決意を表明した。

 ただ26、27日に開かれた欧州連合(EU)首脳会議では、ロシア寄りのハンガリーとスロバキアの首相から支援に消極的な発言が相次いだ。米国でも下院で多数派を握る共和党内で支援への消極論が広かっており、追加予算が認められるかどうかは不透明だ。

 米メディアによると、米国がウクライナに供与を約束していた多数の砲弾の提供先が、ガザ情勢を受けイスラエルに変更されたケースも起きた。イスラエルが地上侵攻に踏み切り、戦闘が長期化すれば、対ウクライナ支援を現在の水準で継続するのは難しいとの見方もある。(キーウ共同)


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ウクライナ政権内不和か(2023/11/4 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領が対ロシア戦勝利に固執し、新たな戦略や方向性を打ち出すのが難しくなっているとの匿名の政権高官発言を米誌タイムが報じ、波紋を広げている。侵攻が長期化し、国際社会の支援継続が不透明さを増す中、政権内部の不和を示唆する内容。側近は火消しや発言者捜しに躍起になっている。

 記事は10月30日に公開された「ゼレンスキーの孤独な戦い」。ロシアやウクライナでの取材経験が豊富な記者によるゼレンスキー氏本人や複数の政権関係者へのインタビューを基にしている。

 ゼレンスキー氏は「私ほど勝利を信じている人間は誰もいない」と訴えたが、側近の一人は「大統領の頑固さが、戦略や方向性を示そうとする政権の努力に水を差している」と指摘。全土奪還にこだわるゼシンスキー氏に早期の停戦交渉入りを持ちかけることはタブー視されているという。

 また、ある高官は、侵攻当初に作戦会議で冗談を飛ばし周囲を和ませていたゼレンスキー氏が、最近は報告を聞き命令を出すと、すぐ退室するようになったと明かした。

 さらに、反転攻勢の遅れを理由に少なくとも1人の閣僚と将官を解任する必要があるとの声も上がっているという。

 記事に対して側近の一人、ポドリヤク大統領府長官顧問は不和を否定し「独特な考えを持つ記者の主観だ。匿名の情報源とは何なのか理解できない」と切り捨てた。

 政府で安全保障政策の中枢を担うダニロフ国家安全保障・国防会議書記は「記事に書かれているようなことは、政権内で起こっていない」と説明。「勝利を信じていないのに大統領のそばにいる匿名の人間は誰なのか、答えを出すべきだ」と、発言者を特定する考えを示した。

 ロシアの侵攻を受け記録的な支持を集めたゼレンスキー政権への支持は低下傾向にある。キーウ国際社会学研究所が9〜10月に行った世論調査では、大統領を信頼すると答えたのは76%で、昨年5月の91%から下落、政府への信頼は39%と74%から大幅に落ち込んだ。


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ウクライナ勝利に懐疑論(2023/11/14 京都新聞)

【ベルリン共同】ロシアの侵攻を受けるウクライナを巡り、近隣の東欧諸国を中心にウクライナの勝利に懐疑的な主張が目立ち始めた。チェコのパベル大統領は9日「戦場でウクライナは優位に立っていない」とし、来年にも和平交渉が始まる可能性を指摘した。八ンガリーとスロバキアは支援に否定的で、欧州の結束が揺らいでいる。

 チェコ軍出身で、北大西洋条約機構(NATO)軍事委員会の議長を務めたパベル氏はプラハでの会合で、戦闘が長期化するほど人材や物資でロシアが有利になると指摘した。「ロシアのどんな成功もわれわれの失敗を意味する」と強調し、ウクライナが次の方策を決める準備が整うまで、支援を続けるべきだとも述べた。

 一方、ハンガリーのオルバン首相とスロバキアのフィツォ首相は10月の欧州連合(EU)首脳会議で、EUによるウクライナへの財 政支援に難色を示した。

 ロシア寄りとされるオルバン氏は10月、EUの財政、軍事支援は失敗だったとし「ウクライナは勝てない」と断言。武器供与停止を 公約に総選挙で勝ったフィツォ氏も「軍事的解決はあり得ない」と述べ、和平交渉を支持しているという。

 1日の英紙ガーディアン(電子版)によると、NATOのラスムセン前事務総長(デンマーク元首相)はウクライナについて、ロシ アが実効支配する地域の確保を断念し、NATOに加盟すべきだと提案した。

 ラスムセン氏はロシア支配地域とNATOの集団防衛の対象地域を区別することで、ロシアとNATOの働突の脅威は軽減されると 指摘。ロシア支配地域を除くウクライナ領がNATOの防衛対象となることで、ロシアに攻撃を踏みとどまらせることができると訴えた。


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ロシア式典攻撃 25人死亡(2023/11/24 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ軍は22日、ロシア軍関係者が集まっていた東部ドネツク州クマチョボの式典会場を19日に攻撃したと発表した。部隊司令官によると、ロシア兵25人が死亡し、100人以上が負傷した。ロシア通信は、米国供与の高機動ロケット砲システム「ハイマース」が使われ、公演中だったロシアの俳優が死亡したと報じた。

 政府系ロシア新聞などによると、死亡した俳優はポリーナ・メンシクさん(40)。前線で戦う兵士を慰問するため現地を訪れていた。ロ シア国防省は犠牲者致などの被害を明らかにしていない。ロシア独立系メディアが伝えた観客が撮影したとみられる動画では、メンシクさんとみられる女性がステージで楽器を手にして歌っている最中に爆発音が響き、直後に画像が途切れた。メンシクさんは搬送先の病院で亡くなった。

 ウクライナ南部ザポロジエ州の前線に近い村では今月3日、ウクライナ軍の式典がロシアのミサイル攻撃の標的となり、兵±19人が死亡した。ウクライナ側はその報復として、クマチョボの式典を攻撃したとしている。

 ウクライナ軍のタルナフスキー司令官は23日、ドネツク州アブデーフカでロシア軍が3度目の攻勢を開始したと通信アプリで明らかにした。ウクライナ側によると、ロシア軍は町の包囲を狙って作戦を継続。ウクライナ軍は持ちこたえており、ロシア軍に大きな被害が出たとしている。ロシア国営テレビは23日、ザポロジエ州のロシア占領地域を取材していた自社の男性記者が攻撃で死亡したと伝えた。


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反転攻勢半年、膠着続く(2023/12/4 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ軍が大規模反転攻勢を開始してから4日で半年が経過した。ウクライナ軍はロシア軍の防衛線を一部突破したものの数力月にわたり戦況は膠着。長期戦が見込まれる中、ゼレンスキー政権と軍の間では確執が表面化した。国内の分断を狙ったロシアの揺さぶりとの見方もあり、ウクライナは正念場を迎えている。

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は英誌エコノミストが11月に報じたインタビューで、戦争が『膠着状態』にあり、打開するには兵器の技術革新が必要だと指摘。これに対しゼレンスキー大統領は記者会見で「膠着ではない」と反発した。

 国民の人気が高いザルジニー氏が政界に転じればゼレンスキー氏のライバルになり得るとされる。来年の大統領選実施の可否が取り沙汰される中、政権与党の議員がザルジニー氏に公然と辞任を求める事態にもなった。

 政権と軍の不協和音は国内外の関心を集めたが、ウメロフ国防相は地元メディアに、対立は「虚偽」だと指摘。国防省情報総局のユソフ報道官も「占領者にとって前線での戦争より安上がりだ」と述べ、ロシアが内紛を扇動しているとの見解を示した。

 昨年2月の侵攻後、ウクライナ軍は首都キーウ(キエフ)からロシア軍を撤退させ、東部ハリコフ州や南部ヘルソンを相次いで奪還した。その後目立った戦果が乏しい中で国民は疲労を蓄積させている。キーウ国際社会学研究所が今年9〜10月に実施した世論調査では「平和を獲得するために領土の一部を断念しても構わない」と回答した人が14%で、反攻開始前の5月より4ポイント増えた。

 膠着が長引けば、ウクライナの士気をそぐ狙いでロシアが情報戦を仕掛ける余地を生む。ゼレンスキー政権の目下の懸念は国際社会の支援と関心の低下だ。11月25日にはキーウを含む各地に過去最大の無人機攻撃があり、冬に入りロシア軍のインフラ攻撃が激化する可能性がある。


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人気作家の作品出版停止(2023/12/18 京都新聞)

 ロシアの出版大手ASTは17日までに、ウクライナ侵攻に関する不適切な発言があったとして作家ボリス・アクーニン氏とドミトリー・ブイコフ氏の作品の出版を停止すると発表した。ロシア書籍販売大手のチタイ・ゴロドも両氏の作品の販売をやめ、店頭から回収すると決定した。タス通信などが伝えた。

 日本文学の研究者アクーニン氏は「リヴァイアサン号殺人事件」などの小説で知られるロシアの人気作家で、作品は日本語にも翻訳されている。プーチン政権に批判的で、昨年2月の侵攻後は軍事作戦への反対を公言。ロンドンを拠点に活動している。詩人のブイコフ氏も作戦に反対し外国に滞在。侵攻を非難する文化人への締め付けが一層強まった。

 アクーニン氏とブイコフ氏はオンラインのインタビューを受けた際に、プーチン政権が「ネオナチ」とみなすウクライナ政権や軍を非難しなかったとして、交流サイト(SNS)で批判が拡大。ASTとチタイ・ゴロドは今月15日に出版や販売の停止を発表した。

 政権与党「統一ロシア」党首のメドページェフ前大統領は両氏が「国を売った」と通信アプリで断じ、決定を歓迎した。

 来年3月の大統領選で通算5選を目指すプーチン大統領は「ロシアの精神的価値観を守れ」と繰り返し訴えている。

 16日にモスクワで開かれたプーチン氏の推薦人団体発足会合には映画監督ニキータ・ミハルコフ氏のほか世界的指揮者ゲルギエフ氏、ボリショイ劇場バレエ団のトップだったツィスカリーゼ氏ら政権支持の文化人が多数出席。会合では愛国的な流行歌「俺はロシア人」でスターになった歌手シャマン氏がロシア国歌を歌った。(共同)


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ロ兵器部品 米国製74% 日本製も(2023/12/18 京都新聞)

 ウクライナ国家汚職防止庁は17日までに、ロシアの無人機やミサイルなど76の兵器に使用されていた2453個の部品を分析したところ、米国企業が製造したものが74%に当たる1813個に上ったとの調査結果を公表した。日本や欧州、台湾の部品も多数見つかった。ウクライナメディア「ウクラインスカ・プラウダ」が報じた。

 対ロシア経済制裁に参加している欧米や日本の部品がロシアに流入し、侵攻で使われる兵器の調達を支えている実態が改めて明らかになった。

 他に多かったのはスイス製が119個、日本製が96個。中国製は87個だった。ロシア製ば自国製無人機オルランなど一部でしか使用されておらず、13個にとどまった。

 ウクライナへの攻撃で多用されている巡航ミサイル「カリブル」や極超音速ミサイル「キンジャル」からは口シア製部品は見つからず、米国製が大多数を占めた。

 ウクライナ政府のホームページによると、日本製部品で見つかったのは集積回路(IC)やエンジン、カメラなど。企業名や部品の写真と共に、イラン製無人機「シャヘド」やミサイルなど、部品が使用されていた兵器も公表している。

 対ロ制裁の発動後は、欧米などからロシアへの直接の輸出は途絶えた。一方、中国や香港、トルコ経由などのルートでロシアへの流入が続いているとの見方も出ている。企業が意図しない形で、自社製品がロシアで兵器に使われたケースが多いとみられる。(共同)


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クリスマスも「欧米式」(2023/12/24 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナは25日、ロシアによる侵攻開始から2度目のクリスマスを迎える。従来は多くがロシア正教会と同様、旧来のユリウス暦に基づく1月7日に祝ってきたが、今年から公式に欧米と同じ12月25日に変更。反口感情の劇的な高まりを背景に「欧米式」の生活様式が市民に定着しつつある。

 12月上旬。首都キーウ(キエフ)の聖ソフィア大聖堂前にクリスマスツリーが現れた。戦時下でネオンは控えめだが、ソフィアさん(10)は「勝利が欲しい」と元気な声を上げた。ウクライナでクリスマスは家族と祝う一大行事。前夜にはクチヤと呼ばれるゆでた小麦にケシの実などを加えたおかゆを食べ、教会で祈るのが伝統だ。

 ゼレンスキー大統領は7月、クリスマスを12月25日とする法案に署名した。同国の独立調査機関「レイティング」が9月に実施した調査では12月25日に祝うとしたのは42%、1月7日は17%だった。「両日とも祝う」とした人は21%に上った。。

 レイティングのブロジェクトーリーダー、テチアナ・スクリプチェンコさん(27)は、「侵攻前から始まっていたロシア離れが決定的となった。ロシアとのつながりや共通点は多くのウクライナ人にとって過去のものだ」と指摘。親ロシア政権が倒れた2014年以降、欧米との交流や企業間の取引が増え、休暇を欧米に合わせる方が都合が良い面もあるという。

 ウクライナ国民の約6割が信仰するとされるウクライナ正教のうち、ロシアとのつながりを指摘される少数派のモスクワ総主教庁系の教会は従来の1月7日のクリスマスを維持する。


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スターリン容認が拡大(2023/12/24 京都新聞)

 ウクライナ侵攻を続けるロシアで、ソ連の独裁者スターリンを容認する空気が広がりつつある。侵攻作戦を、第2次大戦に次ぐ「国の命運を決める戦い」と位置付けてプーチン政権が国民の結集を図る中、当時の指導者で大戦を勝利に導いたスターリンの「功績」が見直されているようだ。

 スターリン生誕144年の今月21日。ロシア共産党のジユガーノフ委員長らがモスクワの「赤の広場」脇にあるスダーリンの墓に献花した。

 侵攻を支持するジユガーノフ氏は「戦争に勝つには社会的公正を実現し国民を団結させなければならない」と指摘。スターリン時代の工業化と核戦力の増強が「今も国民を守っている」と強調した。

 独立系レバダーセンターが実施した今年7月の世論調査では、スターリンに「敬意」「親しみ」「感嘆」を感じる人は計63%で、侵攻前の2021年5月の計60%から微増。プーチン政権発足直後の01年4月の38%からは大きく伸びた。モスクワ中心部の大型書店は今秋からスターリン関連書籍コーナーを設置。スダーリン著作集や伝記などをずらりと並べている。

 過去の指導者への評価を尋ねた8月の調査で、スターリンはピョートル大帝、エカテナ2世に次ぐ3位。65%肯定的」と回答した。調査を依頼した政治学者オルロフ氏はロシア紙コメルサントに「ピョートルとエカテリーナが評価されるのは、国の発展と近代化推進が重要と国民が考えているからだ」と指摘。

 ロシアでスターリンは戦勝が評価される一方、反対派を弾圧した1930年代の大粛清に対する批判も根強い。(共同)


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ロシア空爆 開戦後最大(2023/12/31 京都新聞)

【キーウ、ロンドン共同】ウクライナの英字紙キーウ・インディペンデントは30日、ロシアによる29日の全土一斉攻撃の死者が39人になったと報じた。負傷者は160人を超えた。ウクライナ当局によると、昨年2月の開戦後、最大規模の空爆。ロシアのミサイルが一時、ウクライナの隣国ポーランドの領空を通過した可能性があり、ポーランド外務省は29日、ロシアの臨時代理大使を呼び出したと発表した。

 産科病院や住宅、学校、商業施設、倉庫などが攻撃され、首都キーウ(キエフ)では16人の死亡が確認された。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、NATOは加盟国が攻撃を受けた場合、武力行使を含む必要な行動を直ちに取ると規定する。ロイター通信によると、ミサイルは領空を3分近く飛んだ後、ウクライナ側に戻ったとみられる。

 ウクライナ空軍によると、29日は158の攻撃があり、72%に当たる114を迎撃した。ゼレンスキー大統領は29日、防空態勢を強化すると表明。戦況が膠着し欧米の支援の先細りが懸念される中「世界がテロに対抗することが重要だ」と述べ、各国に行動を求めた。

 バイテン米大統領は29日の声明で、ウクライナを消し去るというプーチン大統領の目標は変わっていないとし「食い止めなければならない」と訴えた。英国はウクライナに地上発射型の防空ミサイル約200発を追加供与する。

 ウクライナ空軍によると、ロシア軍は無人機36機を使って複数の方角から攻撃を始めた。29日朝には18機の長距離概略爆撃機ツポレフ95が少なくとも90発の巡航ミサイルを発射。その後もさまざまなミサイルで波状攻撃を仕掛けた。

 米シンクタンク、戦争研究所は29日の報告で、ロシアは今年の秋からミサイルを備蓄し、主に無人機攻撃でウクライナの防空システムの弱点を探っていたと分析した。


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ロシア西部砲撃 24人死亡(2024/1/1 京都新聞)

 ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州に30日、ウクライナ軍の激しい砲撃があり、グラトコフ州知事は31日、子どもを含む24人が死亡、100人以上が負傷したと明らかにした。ロシアは29日、ウクライナ全土に一斉攻撃を実施。ウクライナメディアによると、治安当局者はベルゴロド州攻撃について「ウクライナの都市や民間人に対するミサイル攻撃への対抗措置だ」と述べた。国連安全保障理事会はロシアの要請で、緊急公開会合を開いた。

 ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、多連装ロケットシステムなどから多数のミサイルが撃ち込まれ、迎撃できなかったものが着弾したと発表。クラスター(集束)弾も使われたとし「必ず報復する」と表明した。

 ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領も報告を受けたと述べた。ロシア連邦捜査委員会は殺人容疑で捜査を始めた。州都ベルゴロド中心部の各地で爆発が起き、商業施設や住宅など10力所以上で火災が発生した。ロシア側は、現場に軍事関連施設は存在しないと説明している。

 安保理会合でロシアは「民間人を標的にしたテロだ」と砲撃を批判し、欧米や日本はロシアのウクライナ侵攻が根本的な原因だとして、ロシア軍にウクライナからの撤退を求めた。

 ウクライナ側によると、29日は同国で約120の都市や集落が同時多発的に攻撃され、少なくとも39人が死亡した。

 ウクライナ東部ハリコフ市中心部が30日、ロシア軍の攻撃を受け、地元警察によると、22人が負傷した。ホテルや住宅、医療機関などに被害があった。クリメンコ内相によると、負傷者には英国のジャーナリストが含まれている。(共同)


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プーチン氏、報復継続明言(2024/1/3 京都新聞)

【キーウ共同】ロシア軍は2日、ウクライナに大規模なミサイル攻撃を行い、ウクライナのメディアによると、首都キーウ(キエフ)や東部ハリコフなどで計5人が死亡した。キーウでは各地で火災が発生、一部で停電した。ウクライナのゼレンスキー大統領は通信アプリで計90人超が負傷したとし「ロシアに責任を負わせる」と訴えた。

 ロシアのプーチン大統領は1日、西部ベルゴロド州に対する昨年12月30日の攻撃を「市民を標的にしたテロ」と非難し、ウクライナ軍関連施設へのミサイル攻撃を続けると述べていた。ロシアは同29日にウクライナ全土に一斉攻撃を仕掛け40人超が死亡。双方の報復合戦が激化する恐れがある。

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は2日の攻撃に関し、ロシア軍が10発の極超音速ミサイル「キンジャル」を含む計99発のミサイルを発射したと発表。うちキンジャル全てを含む計72発を迎撃。無人機35機も全て撃ち落としたとした。ロシア国防省は2日、軍事工場を一斉攻撃し「目標は全て破壊した」と発表した。

 火災が起きたキーウの集合住宅では複数の部屋から白煙が上がり、複数の車両が損傷していた。7階の住人ミハイロさん(65)は「大きな爆発音で目が覚めた。部屋の窓ガラスが割れて、急いで逃げた」とぼうぜんとした表情で語った。

 ベルゴロド州のグラトコフ知事によると、ウクライナ軍による攻撃の死者は計25人となった。

 プーチン氏は1日にウクライナ侵攻で負傷した兵士らとモスクワの病院で会談、ロシアは軍司令部と関連施設だけを狙うとし「精密誘導兵器で今日も明日も攻撃する。100%だ」と強調した。

 ロシアがウクライナ東部ドネツク州に設置した「ドネツク人民共和国」の首長プシーリン氏は、中心都市ドネツクに1日未明、ウクライナ側からミサイル15発が撃ち込まれ4人が死亡、13人が負傷したと述べた。


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北朝鮮ミサイルで攻撃(2024/1/6 京都新聞)

【ワシントン共同】米国家安全保障会議(NSC)のガービー戦略広報調整官は4日の記者会見で、北朝鮮が複数の短距離弾道ミサイルと発射装置をロシアに提供したと明らかにした。ロシアが昨年末以降、ウクライナへの攻撃でこの弾道ミサイルを発射したとし、今後も実戦使用を続ける恐れがあると警告した。飛行距離から、短距離弾道ミサイル「KN23」の可能性が指摘されている。

 4日の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、ロシアがイランにも短距離弾道ミサイルの供与を求め、今春にも納入される可能性があると報道。米政権はロシアと北朝鮮、イランの軍事協力強化に警戒を強めている。

 ロシアは保有するミサイルの数が少なくなっているとみられ、友好国などからも調達したい考え。ウクライナ側も欧米からの支援の先細りに対する懸念が高まっている。

 米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は4日、北朝鮮が最近、ロシアに弾道ミサイル数十発を提供したことを示す情報があるとして、安全保瞳 理事会の会合を10日に開き、問題提起すると明らかにした。

 米政府によると、ロシア軍は北朝鮮から提供を受けた弾道ミサイルのうち、少なくとも1発を昨年12月30日にウクライナ南部ザポロジエ州に発射した。今月2日にも複数の北朝鮮製弾道ミサイルを発射した。

 射程は約900キロで、年末年始にウクライナに行った大規模ミサイル攻撃の一部に使用された。韓国メディアによると、米韓軍当局はロシアの弾道ミサイル「イスカンデル」と外形が酷似するKN23と推定している。北朝鮮はミサイル提供の見返りに戦闘機や地対空ミサイル、装甲車、弾道ミサイルの生産装置などをロシアに求めていると米側は分析した。

 ガービー氏はミサイル提供が国連安保理の決議に違反していると非難し、関係者に追加制裁を科す方針を明らかにした。


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ロシア 軍事部品3兆円輸入(2024/1/19 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナ侵攻で欧米から厳しい経済制裁を受けるロシアが昨年1〜10月、222億ドル(約3兆2800億円)を超す軍事転用可能な機械部品を輸入していたことが18日までに分かった。ウクライナのシンクタンクと米国の研究者が共同調査し、報告書を公表した。約3割が日本を含む西側企業の生産で、大半が中国やトルコを経由してロシアに流れていた。

 機械部品は集積回路(IC)や通信機器、センサーなどで、無人機やミサイル、装甲車の製造に使用できる。ロシアが欧米の制裁をかいくぐる形で調達している実態が浮き彫りになった。

 ゼレンスキー大統領は16日、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「ロシアの全てのミサイルに西側諸国からの重要部品が多数使われている。これは事実だ」と演説し、制裁の履行徹底を求めた。

 報告書によると。ロシアが侵攻を始めた2022年2月以降、制裁で部品輸入は激減したが、一部は回復傾向にある。研究者らはロシアが新しい供給網を確保し、自国の軍事産業に重要な部品を大量に入手しているのは明らかと指摘した。

 部品は41・2%が中国企業の製造だったが、米国が15・1%、台湾4・7%だった。日本企業は2・3%と国・地域別で5番目に多く、韓国(2・O%)が続いた。

 大半は中国やトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)からロシアに入っていた。企業にとっては意図しない形で、自社製品が軍事転用されるケースが多いとみられる。

 報告書は、ロシアの無人機やミサイルなどの兵器に使われた2797個の部品を分析したところ、米企業が製造したものが72%に当たる2007個に上ったとの別の機関による調査にも言及した。日本の部品も150個(5%)見つかったという。


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ロシア軍輸送機 墜落(2024/1/25 京都新聞)

 ロシア国防省は24日、ウクライナ国境のロシア西部ベルゴロド州で、ロシア航空宇宙軍の大型輸送機イリユーシン76が墜落したと明らかにした。タス通信などが伝えた。国防省によると、同機には捕虜交換のために移送中のウクライナの捕虜65人と同行者3人、乗員6人の計74人が乗っていた。グラトコフ州知事は搭乗者全員が死亡したと明らかにした。

 国防省報道官は、ウクライナ東部ハリコフ州内から発射されたミサイルで撃墜されたと指摘。軍出身のカルタポロフ・ロシア下院国防委員長は24日の本会議で、輸送機は欧米がウクライナに供与した地対空ミサイルシステム「パトリオット」か防空システム「IRIS−T」で攻撃されたと主張した。

 24日に両軍の間で192人ずつの捕虜交換が予定され、墜落したのは捕虜を運ぶ2機のうち1機だったとも述べ、交換を妨害するウクライナ側の攻撃だと批判した。

 現場は州都ベルゴロド郊外。地上に被害は出なかったという。ベルゴロド州にはウクライナ側からの砲撃などが連日続いており、24日にも無人機が撃墜された。新たな攻撃に対する警報も出ていた。

 ウクライナでは、ロシア軍が使うミサイルをこの輸送機が運んでいた可能性が報じられるなど情報が錯綜した。ウクライナ国防省情報総局のユソフ報道官は墜落に関する詳細を「確認中」とした上で、ロシア側と同じく24日に捕虜交換の予定だったと明らかにした。(共同)


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ロ軍機墜落で国際調査要請(2024/1/26 京都新聞)

【キーウ共同】ロシア西部ベルゴロド州でロシア軍の大型輸送機が墜落し、搭乗していたウクライナ人の捕虜らが死亡したとされることに関し、ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、事実関係の解明へ国際調査を求めた。

 ウクライナは25日時点で、墜落への関与について言及を避けている。ロシア通信は25日、当局者の話として、輸送機の飛行状況や操縦室の会話などを記録した「ブラックボックス」を回収したと伝えた。

 墜落はベルゴロド州と国境を接するウクライナ東部ハリコフ州で互いの攻撃が激化する中で24日に発生。ウクライナ軍は同日、攻撃に対抗するためベルゴロド・ハリコフ方面で「輸送手段の破壊」を続けると表明した。

 ウクライナ国防省情報総局は声明で輸送機に「誰が何人乗っていたか信頼できる情報がない」と説明。捕虜を交換する予定だったが「引き渡しの経路や方法を通知されていなかった」とし、ロシアが意図的に捕虜の安全を脅かした可能性があると批判した。

 ロシア国防省は24日、輸送機イリユーシン76に乗っていた捕虜のウクライナ人らと乗員らを合わせた計74人が全員死亡したと発表。一部ウクライナメディアは情報筋の話として地対空ミサイルS300を運んでいたロシア軍輸送機をウクライナ軍が撃墜したと報じたが、後に情報を修正した。

 地元メディアによると、輸送機が捕虜交換をするはずのウクライナ国境方面とは反対方向に飛行中だったとの情報もある。ロシア国営テレビ「RT」のシモニヤン編集長は、搭乗していたとする65人の名簿を通信アプリに投稿。独立系メディアなどによると、一部の名前は実際に捕虜となっている兵士と同じだと確認された。


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ウクライナ軍総司令官解任(2024/2/10 京都新聞)

【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、ワレリー・ザルジニー軍総司令官(50)を同日付で解任し、後任にオレクサンドル・シルスキー陸軍司令官(58)を任命した。ロシア軍占領地の奪還が進まず、戦況が膠着する中で、ゼレンスキー氏は軍の「緊急の変革」が必要だと訴え、指揮系統や戦略を見直す考えを表明。確執が伝えられてきた国民に人気の高い軍トップ更迭に踏み切った。

 ロシア軍の侵攻開始時から陣頭指揮を執ってきたザルジニー氏は軍内部の信頼も厚く、解任は軍の士気や国内の結束に影響を与える可能性もある。米欧によるウクライナへの支援疲れが懸念される中、ロシアは東部で攻勢を強めている。24日の侵攻2年を前に、戦争は新たな局面を迎えた。

 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は8日「誰が軍を指揮しようと、われわれは一緒に働く」と述べ、軍事上の混乱が生じる可能性を否定した。

 ゼレンスキー氏は声明で「昨年は地上戦で目標を達成できなかった。南部戦線の停滞や東部での苦戦が社会の雰囲気に影響した」と指摘。一方、これまでの功績を評価し、ザルジニー氏に要職にとどまるよう求めた。

 両氏はそれぞれの通信アプリに笑顔で握手している写真を投稿した。円満な交代をアピールし、国民の反発や混乱を防ぐ狙いがあるとみられる。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は9日、今回の人事について「ウクライナでの軍事作戦の進行を変える要因ではない。目標達成まで継続する」と話した。インタファクス通信が伝えた。

 ザルジニー氏は英誌が昨年11月に報じたインタビューで、戦争が『膠着状態』にあると報じたが、ゼレンスキー氏はこれを否定。昨年12月の記者会見で「戦場で起きていることはザルジニー氏と参謀本部に責任がある」と述べていた。

 ザルジニー氏は2014年以降、東部紛争で親口派武装勢力との戦闘を指揮し、21年7月にぜレンスキー氏が軍総司令官に任命した。侵攻直後、首都防衛に成功し、東部や南部でロシア軍を退却させる戦果を上げた。シルスキー氏は22年秋の東部ハリコフ州奪還作戦の功労者。一方、東部バフムトの攻防で多くの戦死者を出したことへの否定的評価もある。


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ロシア野党代表「早く停戦を」(2024/2/15 京都新聞)

 ウクライナ侵攻に反対するロシアの改革派野党ヤブロコのルイバコフ代表が13日、モスクワの党本部で共同通信と会見し、犠牲の拡大を止めて核戦争を回避するために、できるだけ早く停戦すべきだと訴えた。

 今月24日の侵攻開始2年を前に取材に応じたルイバコフ氏は、交戦を「今後何十年も影響を残す大きな悲劇」とし「どれほど多くの犠牲者が出たかも分からない。恐ろしいのは膨大な犠牲に慣れてしまうことだ」と指摘。「死者は戻ってこない。人命より大切なものなどない」と強調した。

 「核保有国を戦場で敗北させることは不可能だ」と述べ、欧米の対ウクライナ支援はプーチン政権の国内締め付けを強化させ、改革を遠のかせるとの見方を示した。

 その上で、事態が核戦争にならない保証はないとし「人類全体の危機が目の前にある」と強い懸念を表した。

 プーチン大統領が今月の米保守系ジャーナリストとのインタビューで、交渉に応じる用意に言及したことに触れ「厳しい条件でも、欧州や大国の指導者は交渉の可能性を利用すべきだ」と述べ、双方に妥協を促した。

 第2次大戦後、日本とロシアの間に平和条約が結ばれていない例を挙げて「それでも両国は何十年も問題なく付き合い、双方に(戦争の)犠牲は出ていない」と指摘。停戦後は長い時間をかけても交渉を続けるべきだとし「停戦は不人気かもしれないが、政治家は人命尊重の責任を自覚する必要がある」と強調した。

 西欧型民主主義を提唱するヤブロコはプーチン政権と対立。創設者のヤブリンスキー元代表は昨年、1千万人の署名が集まれば今年3月の大統領選に立候補すると表明した。出馬は断念したが約130万人の署名を集めた。(共同)